私は懸垂下降にはATCなどのビレイ器を使っている。理由はビレイと懸垂に兼用可能だとか多々ある。例えばすっぽ抜け防止に末端処理をする場合にATCの場合は2本別々に結びこぶを作ればすっぽ抜けないが、エイト環の場合には2本束ねて結んだ上にカラビナを掛けないとすっぽ抜けの危険がある。そして何より懸垂下降時はへろへろに疲れた帰りにやるということもある。1本ずつ結べば連続したピッチでの下降でロープ回収と同時に次のピッチへロープを垂らすとか、2本ねじれていても下降することによってビレイ器で2本に分けられるとかいろいろメリットがある。
それでも純粋に懸垂下降する場合のエイト環のメリットは分かる。仮固定もしやすいし、ロープが泥だらけになったり凍りついたりした場合にはメリットはある。それでもエイト環を好まないのはカラビナと環の連結となるからだ。
先日、小川山の親指岩で小川山レイバックから登ってクレイジージャム側から懸垂下降するときにそれは起こった。いつもはATCなのに連れがエイト環も使ってみたいというので持参したのである。連れの方は持ってこなかったとかでATCを使えば良かったのだが、エイト環をセットした。てっぺんの平らな所から身を乗り出し、スリングを掴んで下降の準備。抑え手でロープを握った時にツイストロック(ダブルロックタイプ)のカラビナのゲートが閉まる音が鳴った。カラビナに視線がいってなかったが、ゲートとエイト環の穴が干渉してゲートが押されて戻った音だと思う。「続・生と死の分岐点」に記載のあったエイト環がゲートを押す状態だったのであろう。強いストレスが掛かれば安全環のロックは割れてしまう場合もあるのだ。まあこの時はまだバックアップのセルフビレイが2点から取られていた状態であるが、外れてしまえばスリングで墜落を止めることになるのでかなり腰にダメージを被ったであろう。
使い方を間違えなければ安全というが、やはりリスクを内包する道具はあまり使いたくない(ペツルのケイビング用とかDMMのビレイマスターというカラビナを使用するのがベターであろうが、そこまでしてエイト環を使用する理由が私にはない)。ロープを掛ける時もATCより1手順多くなる。以上あくまで私の例であって使いたい人が使用するのはいっこうに差し支えない。とはいえ私と一緒にクライミングする人はATC(ブタ鼻でも可)にしてもらえると助かります。
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