ネットで仲間を得る

HPやブログで人様の批評をするのは避けたいと思っている。山行記録中では行動時に思ったことをそのまま字にしているので結構辛辣なことも書いていると思うが自分自身の行動自体も批判対象となるに十分な甘さ欠点だらけなので他人を批評する資格はないと思っている。さらにネット社会の怖いことは自分の批判等を見つけるのが容易なことにある。匿名掲示板だからとか、こんな過疎板誰も見たことはないだろうと書いてもそれは全世界に発信されていることに等しいのである。裏を取るとか証拠を得るというのはプロバイダーのアクセス記録が必要だが、証拠はないけど○×さんが△□さんの悪口書いているなという程度はなんとなく分かる場合もある。またネットはこれが消えないのが始末が悪い。今回は禁を破って書いてみることにする。読んで不快に思われた方がいる場合はメールまたは掲示板に匿名にてその旨書きこんで戴ければその投稿と共に削除する意向です。

登山という行為は正解というものがない未発達な面を持っている。自動車交通等は交通事故死者がある数存在してしまうということを社会が仕方なく許容し、それに対する法整備も行われている。 思想的に考えればバイクでヘルメットを被るとか車に乗ってシートベルトをするだとかは自己責任にすればいいと思うが、実際それを法律で規制することにより確実に交通事故死者は減少してきた。任意保険で事故の賠償をカバーするのも当然であるし、ルールを逸脱して重大事故を起こした場合には懲役刑を受ける場合もある。それでも実際の事故の話を聞くと当て逃げされたのに警察が捜査してくれないだとか、任意保険加入していない車にぶつけられ半身不随で保障もしてもらえないという闇の部分も多数聞くことがある。登山の場合はせいぜい2県に登山条例がある程度でそれも本ちゃんルートという非常に限られたものだけである。あとは経験季節技術関係なくどの山域に入山するのも自由である。それはお上が登山の安全の面倒を見てくれないということである。遭難が発生した場合のみ面倒を見てくれるが遭難数の減少の為の手は殆ど打たれていないこととなる。山岳保険に入っている人やビーコンを所持している人は驚くほど少ない。そういう私も入山届は出さないことが多いし、遭難時対策は家族が山行内容を理解出来ないので友人に予め伝えるというあまりにお粗末なものだったりする。

さてそろそろ本題に入りたい。今、ネットの掲示板で仲間を募集して事故が起こったと大騒ぎになっている。募集した掲示板と事故当事者が等しいかの裏は取れていない。ただ募集者は事故発生以降掲示板に書き込みがなく、状況からイコールと皆が決めつけている。その掲示板は去年の暮から開設され、いわゆる「岩と雪」をやりたい人募集という内容のものであった。その人はここ三年毎冬に同名のトピを立ち上げていた。確か2回目くらいに立ち上げた頃に私もそれに書き込んだことがある。私は登山板に書くようになった頃には別IDでの書き込みはしなくなったので覚えている人もいるかもしれない。私もパートナーを得るには苦労したし仲間を得るのは悪いことではないと思っていたので賛同反対といった感じの内容ではなく落ちないように維持するような書き込みをしたと思う。ただその頃は私はパートナーをそれ以上増やしたいとも思っていなかったし、その人は私より実力が上であることが明白に読み取れたので連れて行ってもらうタイプの山行を望まない私はただの雑談のような書き込みしかしなかったと思う。5.11+が以前登れたが今はリハビリ中というようなコメントをもらったような記憶がある。3年目の今回は早くからレスがつき批判、同調いろいろな意見が書かれていった。あの掲示板の特徴で書いている側が自分の現在の山行レベルを隠したまま批判やら何やら書いていくので話がかみ合わなくなっているように傍から見えた。過去ではなく現在の山行記録をプロフにリンクするという行為をしないことには誰と話をしているのか分からなく なってしまう。しかし狭い世界、私のようなへぼでない場合は行った山で実名が割れてしまう。

私がネットで仲間を最初に得たのはRさんが最初だった。その時は今風の皆でわいわいタイプの山行で自分のやっている山からはかなりレベルを落としたものであった。参加メンバーの殆どのレベルは低かったが(ストレートな表現で申し訳ない)Rさんだけは30kg担いでコースタイムを叩き出す素晴らしい人だった。その後はメンバーを絞って数度一緒に行った。Rさんには荷物分担でかなりお世話になったものだった。Rさんには技術的な部分を伝えられたつもりだ。Rさんも連れて行かれるのはあまり好まないらしく私と行った後にきちんと復習山行をしていたようだ。今は忙しく山から離れているようであるがまた復活する日が来ることを願っている。Rさんとの初接点は今大騒ぎになっている某掲示板であるが、すぐに別のメンバー制の掲示板に移行した。山行リーダーとなって人数が多かったこともあったが、私のこの文章と同じ読みにくい装備表を何度もメールでやりとりし、なんとか全員登頂出来た。しかし、雨天装備など経験がないと分からない部分での甘さがあり、参加メンバーの濡れによる疲労など若干の無理もあった。レベルが違う場合にメールと掲示板だけのやり取りに限界を感じたのもこの時である。

次にネットを介して行くことになったのがT氏だった。T氏は当時HPを開設していて過去の山行やクライミングに対する思想などをアップしていた。それに共感する部分もあり、T氏の掲示板に実名で書き込んだのがきっかけでご一緒するようになった。世代も異なるし、顔が分からないという掲示板(ヤフでない)の特性上本名で書くのが礼儀ではないかと思ったからだった。今思えば当時の私は本ちゃん登りたいだけのおバカさんだったがT氏の好意で谷川という話が持ち上がり計画が進みそうだった。しかしもう一人のメンバーが未経験の私に難色を示し話は流れてしまった。もう一人のメンバーとは谷川で初顔合わせというのではなく、越沢で初顔合わせしてロープを結んだ後での断りだった。結局その後は背伸びせず、私のレベルに落としてもらって徐々にルートのレベルを上げてもらった。その辺は私の山行記録を見れば全て書いてあるので詳細はそちらを読んでもらえれば良いかと思う。流れた谷川は変チの予定だったのだが当時の私は自分がそのルートをこなせるかは判断つかなかった。それは経験がないからだった。しかし今自分が逆の立場であれば当時の自分の実力、ジム5.11前半、外岩5.10前半、5.9マルチを ロープソロで登るという情報があればT氏と同じ判断をすると思う。でもT氏はそこまで考えてなくダメならオールセカンドでという程度に考えていたのかもしれない。あと山行記録以外にも数多くの練習をご一緒させてもらった。

次に出会ったのがnov氏だった。nov氏もHPを開設していて目的ルートが近く、共感する部分もあってメールを送った。メールにしたのは単に氏のHPに掲示板がなかったからだ(当時)。T氏の時もそうだったがストレートにご一緒しませんかとは書かなかったので返信が来てそれっきりになりそうだった。ところが前穂で事故を目の当たりにした記録をアップした時にまたメールが来てなんだかそれをきっかけとして一緒に行きましょうということになった。この時は初対面にていきなり長いルートに行ったが問題となったのは2人のうちどちらがリーダーになるかという問題で、T氏とは主従関係的に登ってこなかったこともありリーダーはその状況でというような意味を伝えるのに苦労した。結局その山行ではお互い得意な部分でリーダー的役割を演じて二人力を合わせて抜けたという良い山行となった。T氏の時もそうだがネットを介してといってもどちらも検索サイト等を開始点として個々のHPを訪問してのものである。

次に出会ったのが儚月さんであった。彼のことはソロをやっていた頃に別のソロクライマーの掲示板に書き込んだ時に同じように書き込んでいて知ることとなった。ただリンクを辿った彼のHPから私とは段違いの実力であることが分かりご一緒しましょうと言うのが憚られた。しかし彼の方から私の掲示板に書き込みがあり、それからはクライミングパートナーというよりお友達という関係が続いている。私のこのような一般受けしない独りよがりな文章のHPについても面白く読んでくれているようで、一時閉鎖しようと思ったのにまだ残っているのは彼のおかげである。

山行パートナーは一人だけだとお互いの行きたいルートが一致しない場合がある。よくあるパターンは一人はそのルートを何度も行っているがもう一人は未経験という場合だ。再度登りたいと相手が思っていないルートに登りたい場合には別のパートナーを見つけないとならない。そのような状況はT氏、nov氏の二人と交互に行くことにより解消した。また本番はいいとして普段の練習では居住地が近いことも重要になる。nov氏というパートナーの出現により私のネットでの仲間探しの必要性はなくなってきた。ただ常に無所属で自力でやっている人がいないかとネット上を徘徊していたので上記仲間以外にも似たような人たちを知っていた。その中で夫婦で本ちゃんをやっている人たちがいた。自分の印象としてはステップアップの仕方が性急で危なげに見えた。今は冬山やクライミングというのはリスクを伴う行為である故、リスクの割合をどこまで許容するかは人それぞれで他人が意見する資格はないと思っている。トップクライマーが命からがらの登攀をするのも初心者が低いレベルで同じようなことをするのも違いはないと思っている。私自身ゲレンデでソロ練習している時にいろいろ忠告されたが半分聞き流していたものだった。でも彼らの私への忠告はそこで事故を起こしてしまった場合に被害を蒙るのはそこを登る全クライマーであることを伝えたかったのだと思う。

その夫婦はロープを使うルートを山岳会でもなく有料ガイドでもないベテラン夫妻により教えを受けて始めていた。奇しくも今話題となっている宝●岳が最初のロープを使う山行だったようである。この辺は話を聞いたのではなく彼らのブログに書かれていたものだった。教えをうけつつも山岳会のような濃密なつながりではなく点でつながっているような感じだった。首都圏にいながらわざわざ教えてもらう為に他県の物○岩でトレーニングを受けていたりと情報不足でないかと思ってしまったものだった。たまたまその物○岩で取り付き付近に練習でそのベテラン夫婦の指導の元、ボルトを打ったことが地元の人の怒りに触れ、たまたまブログの内容から地元の人がそれを発見して痛烈な批判を浴びせてきた。しかし当人たちは「はあ?」という感じで何もわかっていないのが読み取れた。今の時代、ゲレンデでボルトを打ち足すという行為はボランティアでその岩場環境を維持している人たちにとって非常に不快なことであるのだ。文句を言った方もこの暗黙のルールを知らずしてやったことを理解してかその後は彼らのブログにコメントを投稿していたりしていた。しかしアイスで性急に無理をしている姿には夫婦の夫のブログに痛烈に批判を浴びせ続けていた。しかしながらそのブログに集う常連の方たちは彼らのステップアップの仕方に疑問を持っていなかったのかその批判の主は非常に浮いていた。私は彼らがそのベテラン夫婦の指導の元にアイスを始めて後、自分たちで××小滝で練習し始めた頃に危惧を抱いた。小滝でリードした次はそのすぐそばの××大滝にチャレンジするだろうと。アイスのプロテクションは私の考えではリングボルト並に貧弱である。フリーの経験皆無であの40mの滝で後半部立っている氷でフォールした場合に運が悪ければ事故になる。さんざん悩んだ挙句彼のブログに書き込みを行い、何回目かの投稿でバーチカルのゲレンデ、●川に誘った。大滝に挑戦するにはここで練習を積むのが最良だからだ。またリードにはトップロープと違う難しさがあるので●尾の入門マルチを勧めた(こちらは推薦しただけで同行していない)。問題なくリードは出来たようだが2ピッチ目でスクリューセット時にアックスを落としていた。これが大滝だったらと思ったがこの時は当たり障りのないコメントを書き込んだ。その後も練習に励んでいたので大丈夫かと思ったが大滝で落ちてしまったとメールの返信にあった。リーシュレスで少ないスクリュー本数で落ちてしまったことに対して先の浮いていた物●岩の人もほら見たことかというようなコメントを書いていて本人もかなり堪えていたのはわかったのだが私も痛烈な批判を書いてしまった。この書き込みで絶交されても仕方ないと思いつつも私の思いの一片でも伝わればと思ってのことであった。しかし価値観や考え方の異なる者同士でこの期待は浅はかである。落ちることは悪くないといった論調の中、私はすごすご退散した。私は落ちる落ちないということではなく地道な下積なくして性急にグレードを上げていくことに警鐘を鳴らしたかっただけなのである。全て自分でやっているのならまだ良かったのだが、最初の取っ掛かりだけベテランの指導を受け、連れて行ってもらうことにより実力以上のルートを体験した所を取っ掛かりにしてさらに自分たちの限界付近で難易度を上げていくことに疑問を感じたのだった。この夫婦とはもう一回和解を試みようと思ったのだが、私の書き方が悪かったのと相手の反論に対する返答をあまり文章を吟味せずに書いたので益々誤解を大きくしてそれっきりになってしまったのであった。しかしその時の彼のコメント「フリーやってなければ登ってはいけないのですか?」(私はやった方がいいと思うのであって、本ちゃんのグレードが低ければ必ずしも必要ないと思っている)ということがきっかけとなったのか今では私より高グレードを登るフリークライマーとなったことはとても嬉しいことだと思っている。

ネットでの仲間を得ることについては山行記録をアップしている実力が揃った者同士では大いに交流した方が良いと思っている。しかしながら、初心者または初級者を育てるという気持ちで仲間を捜すことには慎重になった方が良いと思う。私自身、ロープに慣れない人と何度か山行をしているので自戒を込めて書くのだが、パートナーがいないから育てようとか自分がパートナー探しで苦労したのでその苦労がないように面倒見てあげようとかいう行為は慎んだ方が良いと思う。本ちゃんクライミングや雪のバリエーションに行くからには一般の縦走やテント泊で必要な生活技術からロープワーク等数々の下積をしなければならない。これの面倒を全面的に見れるのはしっかりした山岳会以外はないと思う。私はたまたま遠回りをしてきたのでなんとかここまでやってこれたような気がする。経験者と山に行くというのは経験者の考えで行動することに最終的にはなってしまう。山岳ガイドという経験者を除けば大抵の人は自分のやりたい山行を成功させる為に人を育てようとするのである。私も核心1ピッチのビレイヤーが欲しいということだけでGWの北鎌尾根に初級者を連れていってしまった。山行前にはやっぱりやめようかと散々迷った。自分が大丈夫でも連れが落ちると大変なことになってしまうのである。ロープを使うような所に行く前にマスターすべき硬いトラバースでのアイゼン歩行、ルートファインディング、雪崩走路の見極めなどすでに出来ていなければ行くに不十分な状態の人を教えながらで非常に苦労した。幸いだったのは普通、山行中怒鳴られ続ければ厭になって人間関係の悪化とモチベーション低下を招くのだが私の罵詈雑言に耐えてくれて無事事故なく終えたことであった。この時の私は卑怯であるがきちんと説明した上で核心以外ではロープは結ばずコンテは一切しなかった。先日の事故のリーダーは初心者とコンテにて滑落したとのこと。何かあったら命を張って守ろうという意思があったのだろうか?私にはとても出来ないなと思った。T氏、nov氏となら簡単なところなら支点のないコンテとなっていることがあるがそれは相手がヘマを打たないという信頼があってのものである。

私のこれまでの経験から言えることは、ロープを使うような山行においてレベルの大きく異なる者同志が行く場合、連れていく側は切実なパートナー不足、ボランティア精神、連れて行くのが女性という下心とか複数の動機があるのに対して連れて行ってもらう側は、それが初体験というのでなければ自分の実力以上のルートに行きたいと思っている場合が多いのではないかと思う。ただ自分がその側に立ったことがないので本当のところはよく解らない。

2008.1.27記

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