ナチュプロ

ナチュプロとはナチュラルプロテクションの略称である。カムやナッツなどを総称してこう呼ぶらしい。私がこれらに興味を持ったのはクライミングを始めて間もないころであった。クライミングジムで一ヶ月練習した後、初めて行った外岩が小川山であった。初心者の私にとってはここの岩場のボルトの間隔は非常に遠く感じた。さらにルートによってはボルトとボルトの間がえらく離れているところがある。その時にパートナーが出してきたのがカムだった。ボルト間が離れている所には大抵フレーク状の岩の隙間やクラックがある。ここにカムで中間支点を取るのだった。小川山の有名ルートであるジャーマンスープレックス5.10bも1ピン目の手前にカムが入る。パートナーのは安いフレクシーか何かだったと思う。クラックが登りたかったわけではなかったがこのカムという道具に魅せられた。ボルトも何もないところに支点が取れてしまうという機能美に惹かれてしまったのだ。

とはいえカムは高価である。パートナー曰く「キャメロットが一番良い」だそうであるが安物カムの1.5倍くらいの価格である。結局欲しくとも1個だけ買っても仕方がないしキャメはなかなか買えなかった。フレンズは定価が安く3つくらいは買えるかなと思って店で聞いてみると売れ残りだし、もう棒フレンズは入れないから安くしとくよと言われて1個3000円位で6つ買ってしまった。とはいえ売れ残りでサイズがばらばらで#1×3、#1.5、#2.5、#4.0と使えない組み合わせだった。さらにBDのストッパー#6〜#9を買った。その時のパートナーは私がNPルートに行こうと頼んでも渋ってボルトルートしか行かなかった。彼は小川山レイバックの為にカムを買ったと言っていたが私とNPルートに行くことはなかった。今思えば初心者と一緒にNPルートに行ってリードさせるのが危険だと思ったのだろう。当時彼(外岩中心で1年半やっていた)と私はインドアのグレードが同程度で(その頃私は週2〜3回通っていた)同じようなルートを登っていたのだがロープワーク等のスキルは全然違っていたのであった。

その後も安物買いの銭失いは続き特価品のトライカムを買ったりと使えないナチュプロが増えて行った。結局フレンズの欠番を埋めるようにキャメロットの#0.75、#1.0、#2.0を買ってようやっと一揃いとなった。このキャメロットは岩に入れて向きを変えてもなかなか外れなかった。フレンズはバーを下向きにセットした後、バーを上に回して行くと外れてしまう場合がある。やはり棒フレンズは時代遅れの代物なのかと思ってしまった。このギアで初トライしたのはソロでの榛名黒岩大スラブだった。NPだからというよりソロの緊張で1P目だけで降りてきてしまった。

最初のパートナーとは長続きせずソロクライミングをやっていこうと思っていた頃に出会ったのがT氏であった(今も一緒に行っている)。T氏はクラック好きでそれなら湯川に行きましょうということになった。この時奮発してキャメロットを0.3〜4.0まで全て揃えた。今までNPを使ったことはあったと言っても本格的なクラックは初めてだった。5.8の汚いルートは登れたものの「コークスクリュー5.9」はトップロープでも歯が立たなかった。翌日登った小川山のセレクションで5.8でいっぱいいっぱいである自分に気がついた。

それでもジャムの練習をしていたら少しは登れるようになってきた。そんなレベルで行ったのがみずがき山の「調和の幻想」であった。この日の為に用意したキャメの#5はT氏がフレンズ#6を持ってきたこともあり取り付きに置いて行くことになった。核心5.10aのピッチでえらくランナウトする羽目になった。カムは3つセットしていたのだが全て利いているとは思えないセットだった。スラブに穴が開いていてエイリアンがあればここに決まりそうなのにと思ってもあとの祭り。結局A0で乗り切ったが帰ってすぐにエイリアンを購入した。ただこのエイリアンも二子山中央稜で使っただけで(先行者事故で途中まで)その年は日の目を見なかった。

使えないと思っていた棒フレンズだったが慣れてくると場所によっては使えなくもないということで脇役として活用していた。とはいえ欠番があるので使いにくかった。T氏がフレンズ(フレキシブルタイプ)であることもあったし、サイズが一目で判別出来ないということもあって自分でも棒タイプで欠番を揃えた。マルチだと2人のギアが混ざってしまうので自分のキャメだけ使うわけにもいかないのだった。

今年は春からクラックに行った。「コークスクリュー5.9」のレッドポイントを狙っていた。ハンドサイズはキャメと棒フレンズで2個ずつになったはずだったが核心で使い切ってしまった。もう一個セットしようとまごついているうちにフォール、生まれて初めてNPでのフォールを止めたのはキャメ#3だった。それまで怖くてテンションしかしたことがなかったのであった。 このフォールの後、早速旧キャメ#3を購入した。その2週間後くらいにまた挑戦したのだが怖くて核心部を進めなくなってしまった。それでさらにキャメC4の#2と#3を購入した。その次行った時は核心手前でキャメ#3を2つ固め取りしてようやくRPした。

今年はもっとクラックをやるつもりだったのが海外出張で流れてしまった。とはいえ出張先でREIに行ったらついついいろいろ買ってしまった。出張の日当もあるしということでキャメC4の#6やらエイリアンの持っていないサイズ、日本で売っていないエイリアンのグレー(赤と黄色の間のサイズ)、トライカムの持ってない小さなサイズ、さらにヘキセン(実はこれだけ日本の方が安かった)など。そういえばDMMのカムも$30で特価だったので5つくらい買ってしまった。でも今思うとビッグブロを買い損ねたと後悔している。

カムのことばかり書いてきたがナッツも今では結構揃えている。BDは#3〜全て(#6〜#11は各2)、DMMのは#1〜全て、メトリウスは#3〜#8。BDが安くて一番コストパフォーマンスが高い。DMMはちょっとくびれていて場合によってはBDよりセット時の安定が良い場合もあるけれども倍近い価格を出してまで買うこともないと思う。余談だがDMMが高いのは日本だけでアメリカではDMMもBDも価格は大差なかった。メトリウスはテーパーがきつく小川山のような花崗岩のクラックにはあまり向かない。どちらかというと本ちゃんルートの汚い岩の割れ目みたいなところでよく使う。ナッツで落ちたことはまだないが岩の割れ目にパズルのようにうまくセット出来たときはカム以上に信頼出来る。

以上書いてきたように担ぎ切れないほどナチュプロはあるのであるが、当然使う時はその中から適当に選んで持って行っている。

ナチュプロをこれから使おうと思っているなら

1.最初に買うのはキャメロット#0.5〜#3.0

2.小さいサイズはエイリアン

3.サイズは連番で買うこと。カタログスペックで最小と最大が交差していてもその中間サイズが必要になることがあり、連番で持たないと意味がない。

4.フリークライミングの場合、同じサイズが2個以上必要なルートが多い。

5.カムは値段で選ばない。

6.下手(セットが)なうちは落ちない方がいい。

7.ジャムが決まる位置にはカムも決まることが多い。

8.ナッツも連番で買う。サイズは小さい方から買って行くほうがよいかも。

旧キャメロット+C4少々

エイリアン+ハイブリッドエイリアン

棒フレンズ

DMM

トライカム

ビッグブロ

ナッツ&ヘキセントリック

2005.10.26

END

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