私は登山やクライミングで「師匠が〜」と云う人をあまり信用しない。まあこれは趣味全般、仕事にも通じることだが技術を習得するのに人から習うことを主体に捉えている人と自分が合わないのだ。
いろいろな世界で独学なんて無理と云われているがそんなことはないと思う。人は文字という伝達手段を手に入れたことにより多くの情報を得ることが可能なのだ。
自分にとってクライミングの師匠に当たるのはQ氏、T○氏、vibram氏の3人だと思うが、実際手取り足取り教わった記憶はない。Q氏はジムのリード講習でリードクライミングの基本を教えてくれた。これだけ。Q氏は古いクライマーで登り方は自分で考えるものだと思っているし、グラウンドアップが基本で 余計な事は教えない。でもそんな氏のスタイルを見ることによって得ることも多い。
T○氏は実は多くを教えてくれた。たたフリーだけ、地元岩場だけだったので本ちゃんに行きたい自分がソロ練習を始めたら破門された。この人はQ氏と逆できっちり師弟関係を構築したい人でオンサイトが苦手で徹底的な反復練習によるRPクライマーだった。最近(といっても2年前)岩場で再会し、「随分うまくなったね。」としきりに感心された。その時は調子良く氏のビレイで榛名黒岩「あひる」5.11cをマスターで再登した。このルートプリプロでないと結構怖いのだ。
vibram氏は丁度パートナーに困っていたのと登りたい私の都合が重なって一緒に行くことになった。かなりいろいろな事を教えてもらえた。とはいえ説明とかがある訳でなく一緒に行動して後ろから見て盗ませてもらったのだ。フリーのグレードは私がやや上となったが、本ちゃんでの強さは遠く及ばず、精神力・ビバーク力など相当強かった。氏が行きたいのはルートグレード5級のルートで当時の私はちょっと無理と音を上げてしまいチキンな輩が嫌いなvibram氏とはそれまでとなってしまった。vibram氏は別のパートナーのチキンな行動で敗退という屈辱をよく味わっていたのでダメだったのだろう。目標は成し遂げるタイプでその後8000m峰登頂も成し遂げた。私の本ちゃんに対する経験は8割方氏のおかげである。
3氏のおかげでベースが出来てからはほぼ独学である。山岳会はまず無理。給料貰えるなら考えるけど。組織で全体のバランスを考えてなどというのは仕事だけにして欲しい。講習会は貧乏だから無理。というのと講習会に来ている人種があまり好きでないというのがある。山の中でこの手のパーティーと遭遇して自分とは別の人種と強く感じた。お金があればガイドさんとは個人でお願いしたいと思うけどおそらく(お金に)縁がないと思う。
結局、本ちゃんはnov氏と行くことに落ち着いた(過去形)。クライミングも大事だがnov氏とは歩くペースが同じだったのだ。正確には登りは私が少し早く、下りはその逆。冬季はペースを上げればばててしまうし、寒いので休憩出来ない。遅い方に合わせて長時間待つとそれも冷えにつながる。私が5.11レベルの時は難しい核心は私がリードすれば1グレードフリーの能力が違ってもさして問題ではなかった。ルートグレード5級とか狙わない限り、フォローなら5.10登れればなんとかなるのだ。実際本ちゃんでは核心ピッチなんてほんの一部なのでほぼ等分の分担で登ることが出来た。2人パーティーで登るのは全部俺がトップという人もいるかもしれないが、リードは結構精神的に参るので交互に交代してもらえると非常に楽になる。ちゃんとビレイしますからフォローでなんて人とは一緒に行けないのだ。nov氏はガイドクライミングも多数こなしていてガイドで下見とかかなり情報が多かったのも助かった。こっちは関東でnov氏は関西、一緒にゲレンデで練習なんて一切無かったがお互いのページを読むことによって結構意思の疎通は出来たと思う。しかし、私が5.12に届き始め北条・新村ルートに行った頃に齟齬が生じ始めた。ロープなしで登れる判断やランニングを飛ばしていく判断がフォローからはついていけなくなってきてしまったのだ。厳しい状況で精神的に追い込まれると自分の判断をパートナーの判断に翻訳して危険を回避する余裕が無くなって来る。自分が先行で行けた所はフォローは来れる筈という思い込みがずれて来たのだ。ただ幸いにしてnov氏は還暦を過ぎ、それなりに困難な目標ルートは行ったのでペースダウンになってきたようなので難しいルートに危険を冒してまで何度も行くという雰囲気は無くなってきていた。簡単なルートなら一緒に行けると思うのだが、それなら別にお互いを指名しなければならないこともないので自然消滅となってしまった。氏のページが無くなってしまったのは非常に残念な事である。
それで今のパートナーはgakuさんである。一番の問題は休みが合わない。彼は平日休み、私は土日。そんな訳で日曜にジムで昼間一緒に登っている。これが外岩や山に行かなくなった最大の理由かもしれない。gakuさんも初対面の頃は自分にとって理想のビレーヤーでは無かった。nov氏やvibram氏はフリーでガンガン落ちる系のクライマーでないので突っ込もうとするとやや体がロープに引かれるということも多々あったが、墜落を確実に止めようとすると張り気味になるのは仕方ないし、それで登れなくなるようなルートを登っていた訳でもない。ただgakuさんとはジムでは5.12とかをつついていたので最初はロープの出し具合が足りずにゴールにデッドで飛びついてホールドを止めきれずにフォールとか、外岩の5.11でダイナミックムーブで取りに行って落ちて振られて痣に出血とかいうことがあった。ただほんの微妙なビレイの不満で口に出すほどの事ではなかった(ロープが足りないのは口にしたかも)。しかし彼の凄いところはゴールを取らせられなかったとか怪我させたとかを自らの失点と思っていたらしく次回同じことというのが全く無かったことだった。いつしか彼のビレーでないと本気トライする気がなくなってしまったのだ。彼とのクライミングは山行記録を参照して欲しい。
gakuさんは私の事を自転車師匠とかブログに書いてくれているが、どこが師匠やねんという感じで私の趣向が入った意見には全く耳を貸さない。最初はロードレーサーを買うとか云うのでクロモリを薦めたらカーボンを買うし(その後カーボン売ってクロモリ購入)、MTBを普段乗りに薦めても聞く耳持たずだったがついに折れて購入した途端に嵌ってしまっている。
で何が言いたいかというと自立したいのなら師弟関係に嵌らない方がいいよということ。
2014.12.23記
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