私は登山を始めるに当って体力作りとか考えたことがなかった。理由は簡単で若い頃に心肺機能、体力ともに十分過ぎるものを持っていた過去があったからだ。しかしながら長年のブランクと重荷によりその傲慢さは打ち砕かれた。登山だと荷物を背負って登らなければならない。若い頃に1000〜2000mクラスの山なら標高差1500mなら3時間、500mなら40分で登っていた。でもその時は手ぶらで登っていたのだった。今でも空身に近ければコースタイムの1.5倍程度のペースは出る。しかしながら15kg背負えばコースタイムフラット、20kg背負えばコースタイムの1.5倍くらいかかってしまっている。この辺をどうにかするには荷物を背負って毎週登山するしかない。ただその時間を割くことが出来ない。近所に寺の石段があるのでやる気になれば不可能ではないが日々継続することを考えると自分は加藤文太郎にはなれないと思ってしまう。最近ようやっと昔やっていた心肺機能トレーニングを道具を引っ張り出してやっている。帰宅後雨でもやれるのでなんとか続いている。夜中にザック背負って歩いていたらやはり職務質問とかされてしまうのだろう。
クライミングに関してはジム通いでどうにか維持している。ジムは仕事が終わってから車で30分弱で行けるし、夜11時までやっている。帰りは道が空くので行きの半分程度の時間で戻って来れる。フリーの能力のみ考えればジムで維持出来るがクラックでのリード、ランナウトなど精神力を試される場面ではブランクが空くとてんでダメで一からやり直しになる。ジムは平日週1で4時間(滞在時間でレスト含む)やっていてたまに週末にも行く程度なのでグレードは完全に頭打ちである。週2に増やせば伸ばせるのは判っているのだが目指せ1級とか5.12とか意欲が出てこない。週2通うより外岩5.11を登りたいと思ってしまう。その5.11より本ちゃんを優先しているからいつまで経ってもうまくならない。
ジムに通い始めたのは2003年の6月だった。最初はボルダーには目もくれずリードばかりやっていた。その頃は毎日来ている親子がいてその人の好意でビレイヤーには困らなかった。その後も外には一緒に行かなくとも同じ曜日に来る常連にビレイをしてもらっていた。とりあえず5.10cまでは腕力ですぐ登れるようになった。ジムで5.10cが登れると外では5.10aまで登れた。この辺はインドアの2つ落ちが外で登れると言われたとおりだった。このレベルまではジムに通い始めて一ヶ月半で到達した。しかしながら5.10dの一部が登れてもその先5.11aは不可能な課題に見えた。そこで自分の登り方が出鱈目だったことにようやく気がついた。垂壁の10台は腕力でなんとかなってしまうのだが前傾壁だと足の使い方がポイントになる。件の親子の父親に被ったボルダー壁に連れて行かれて「この5級を登ってみて」と言われてやってみるが途中で力尽きてしまう。手本を見せてもらって何度かやるうちにだんだん判って来た。そうしてボルダーもやるようになった。人の登りを見ていると私が腕力で両手で引き付けているような個所も懸垂すら出来ないような女性が見事な体のひねりで取っている。それまで登れて済んだと思っていた課題も全てやり直してひたすら腕力をセーブする登りを練習した。そうしてようやっと3ヶ月半経った9月末にリード壁の前傾壁ど真ん中を登る最もやさしい5.11aが登れた。それからは新しい課題を触ることなくその5.11aが5.10cに感じるくらいに登りこんでやっと10台は垂壁のバランス系で難しい10dを除いて大抵登れるようになってきた。最初に登れた5.11aは足自由だったがその年の11月にあったコンペのミドルクラスのルートが足限5.11bだったので各駅停車でムーブを探りながら練習した。そしてようやく始めて半年で5.11bに手が届いた。その後3年近くが経とうとしているが11b/3級が登れるようになったその頃から1年後に11c/2級となって以来成長が止まっている。最近は故障しやすいので2級は手を出さないようにしている。11cはものにもよるが3〜5便で解決するが2級となると3〜4週費やしてしまう。11cは触った日かその翌週にはムーブを解決してあとはつなぐだけになるが2級は手の弱さを足でカバーしなければならないのでムーブ解決の時間が長く掛かってしまう。解決してもアップ直後に1〜2便がやっとである。3級は1撃〜その日のうちだが、常連課題は諦めてしまったり2〜3週要するのもある。
最近は50手くらいの長物でアップして3〜4級のボルダーをやるのが普段のジムでの過ごし方になっている(リードは11月のホールド入れ替え後課題が増える年初くらいまでであとは誘われた場合のみ、あまり良くないと思っている)。50手くらいの長物はつながるのに一月くらい要したりするのだが力を抜いて登るトレーニングになる。あまりやる人が多くないのか12とかグレードが付いていたりするが初見のグレードであって繰り返していると11前半くらいに感じられるようになる。ただ横方向にばかり動くのはあまりよくないと言う意見もある。それを解消した上下を多く取り入れた長物も出来たのだが壁入れ替えでなくなってしまった。つながるまであと数ヶ月はかかると思っていた(最後の1手が4級程度)ので残念だった。長物はホールド入れ替え毎に難しくなっていて以前のは往復出来ても新しいのは片道も出来ないという状況から新しいのが往復出来るようになってと2〜3順したが常連の飛躍的なレベルアップで長物もついていけなくなる日が近い。
最近は外もインドアも上限を上げる努力より横方向に広がりを持たせるように心がけている。インドアは壁の傾斜に関わらず触っている。ただルーフとかは面白いからやっているが外では登らないような気がする。クラックもハンドジャムの10a以下はなんとかなるがフィンガージャムの10b以上はまだまだTR頼みである。スラブも10b止まり。アブミは簡単と思っていたが間違いを指摘されるまで乗るコツに気がつかずに腕力でやっていた。インドアではよくこんなムーブを考え付くなという新たな課題に次々出会う。自分のムーブの引き出しの少なさを痛感する日々である。人の登りを見てしまえば自分の登れるグレードであればリーチとかの違いがなければどうにかなるが、やはりそれを初見一撃で出せるようにならなければと思う日々である。
2006.9記
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