26日 扇沢07:40〜大沢小屋09:50(左岸ルート)
27日 大沢小屋04:50〜マヤクボのコル08:30、09:00〜針ノ木岳山頂09:50、10:15〜マヤクボのコル10:50、11:05〜大沢小屋11:35、13:50〜扇沢14:30、15:30〜室堂16:50〜雷鳥平18:00
28日 雷鳥平07:00〜一ノ越10:25、11:20〜黒部湖手前(渋滞)12:25〜黒部湖12:55〜黒部ダム14:35
針ノ木雪渓は去年から行こうと思っていた。理由は簡単で扇沢まで片道150kmと近く、無料駐車場を使えば往復のガス代だけで行けるというせこい発想だった。当初は単独で大沢小屋前幕営で天気をにらみつつ1〜2泊で余裕の日程を組んでいた。それがNさんもGWは暇だというので立山に行くことを勧めたらテントまで購入してしまったので大沢小屋テント場で練習後立山入りするという話になってきた。そうこうするうちにいっそNさんと一緒に立山に行って去年滑れなかった御山谷でも日帰りで滑るかということに計画変更しつつ最後にはNさんのテントに入れてもらえば日帰り装備+シュラフで済むと段々と後半がハードになってきた。Nさんは連休初日は無理と言うので先に行くことにした。いずれ帰りも別なので相乗りの必要もなかった。一緒に行っても行けるとこまで登って先にテントに戻っていてという話しだったので2日目針ノ木岳から降りてきた時点で合流ということになった。
天気予報では土曜26日は午前中まで雨のようだった。ここは無理せず土曜はベースキャンプ設営だけにとどめることにした。扇沢の無料駐車場には0時頃に着いたが既に半分以上埋まっていた。先週の月山に続いてなので準備含め寝不足が続いていたのでよく寝れた。5時頃も時折雨が強く降るのでさらに寝ると7時頃にはいつの間にか雲の間からお日さまも見えてきた。準備を整えて出発するが今回は月山の直後で事前調査が岳人の記事だけということで登山口がわからなかった。トロリーバスゲートの守衛の人に聞くとゲートの手前の脇だと教えてくれた。雪の壁を乗り越えて河原に下りると山スキーをつけている人がいた。聞くとその人も初めてだと言う。ルートは右岸の左手沿いらしくその人も左手を進むがNさんに夏道沿いに来ればいいなどという適当なことを言ってしまったので左岸を行くことにする。左岸だと地形的に携帯も通じそうに見えたこともある(大沢小屋でも使えた)。石垣を乗り越えたりと最初からつまずき、こっちはダメだなと覆いつつもさらに進む。鳴沢手前の右の斜面は丁度いい斜面になっている。この辺に幕営してこの斜面で遊ぶのも面白いかもしれない。

鳴沢は遠くから茶色いデブリが見える。沢の両岸は雪崩のせいで土が出ている。スキーのままで行けそうな場所が上流に見える。結局かなり登る羽目になってしまった。デブリを越えた辺りでNさんに電話をかけ右岸のトレースをたどるように伝える。GPSを見ると100m位標高を下げると夏道の辺りに出るようだ。大沢小屋も見えてきたが赤沢にもデブリが堆積している。今度は登るのが面倒なのでスキーを脱いでデブリを横断した。対岸の雪壁はスキーをほうり投げ今回初使用のBDウィペットでよじ登った。

大沢小屋は営業準備の最中だった。まだ営業していないからと幕営料も取られなかった。時間もたっぷりあるのだが明日に全力を尽くすということでこの日はどこも行かなかった。シールは乾かしてからスキーごとテントに放り込み防風壁まで作ってしまった。後から中高年の団体が着いて隣に設営した。単独?とかどこ行くのとかお決まりの質問を受けた。どうもグループで来る人達は単独者を色眼鏡で見るようだ。
雪を融かすのが歩かなくて済むのだが川が近くにあるので汲みに行った。山頂方向の展望が効きこれで明日天気が悪いと後悔するなと思いつつテントに戻る。隣の団体も4時起床とかでさっさと寝るらしい。「汚れ物は水場で洗ってきて」とリーダーらしき人の声がする。??山の会と聞こえたがこんな会もあるんだと思ってしまった。
よく眠れて3時に目が覚めた。そのまま準備をして出発の機会を伺う。4時頃までは霧雨も振っていたが5時前に出発するころにはうっすらガスが出ているくらいになっていた。登り始めると後ろに今朝扇沢から上がってきたと思われる二人連れが見えた。会話をしながらなのにいいペースで抜かれてしまった。さらにしばらくしてゲレンデ板を担いで登っている人にも抜かれてしまった。しばらく後ろ姿を見ながら登っていたが急になって登りにくくなったのでクトーを着けているうちにずっと先に行ってしまった。
せっかくクトーを付けたのに傾斜はすぐ緩くなり板が重い。正面に針ノ木峠と思われるコルが見える。3人とも右手のマヤクボ沢の方に曲っていった。マヤクボ沢に曲ると傾斜は30度位になった。先行する2人の山スキーのトレースは斜登高になっている。ようやくクトーの効果が出る。雪面は表面だけ凍ってその上にうっすら雪がまぶした程度に積もっている。時折ぱらぱらと雪が降ってくる。
傾斜がさらにきつく35度位になるととうとう直登できなくなった。斜登高の切り返しで後ろに滑った。すかさずウィペットを刺す。3千円だから買ったのだがこれは意外に使える。後ろを振り返ると転びたくないような急斜面だ。先行2人の山スキーヤーは稜線に届いている。後続のスキーを担いだ人がその下50m位にいる。もう1時間くらい遅れを取っている。
岳人などではマヤクボのコルへのルートが紹介されていたが山頂左手の稜線に出る方がいいようだ。とはいえ当初の予定と違うこととスキーを担いだ人が山頂直下で難儀しているようなので一人マヤクボのコルを目指す。
35度の斜面が緩くなったところからはマヤクボのコルへと適度な斜面が続く。最後にまた少し急になるがそれでも30度くらいだ。
蓮華岳山頂は時折ガスに包まれたりしていたがマヤクボのコルの向こうの空はずっと青かった。ようやくコルにたどり着くとすぐスキーを脱いで稜線の向こう側をのぞきに行く。眼下に黒部湖、正面に立山が見える。明日滑る予定の御山谷も見える。
針ノ木岳山頂への道は夏道が露出していた。重たいアイゼンは持ってくることはなかったかと思ってしまう。岩の上はスキーのプラブーツだとえらく歩きにくい。山頂手前で北側の日陰になる部分で夏道は雪で埋まって下方50mくらいまで雪の斜面になっていた。岩の上を巻くことも出来そうだったが歩きにくいプラブーツなので素直にアイゼンを着けた。少し行くと雪はなくなったが山頂はすぐそこなので着けたまま登る。
黄色い指導標が見えそこを右に折れてしばらく行くと三角点もあった。先に登った三人はとっくに滑り下りたようで一人の山頂を満喫する。
下を見下ろすとマヤクボ沢を登ってくる人達が見える。360度の展望と言いたいところだが南方向は高瀬ダムより先はガスで展望が効かない。山頂から下りる途中でヘルメットにハーネスという3人グループとすれ違った。稜線を縦走してきたようだ。
マヤクボのコルからの滑り出しは傾斜もきつくなく幅の広い斜面をゆっくり滑る。一旦傾斜は緩くなって先の見えない35度の斜面に入る。自分のシュプールから出来た雪玉が20〜30cm大の塊になって転がって追い抜いていく。下から登ってくる人達は左手を登っているので右手の斜面を下りていく。ずるっと足をすくわれて尻餅をついて立ち止まると上からザーという音とともに雪崩れてきた。ちょっと前に進んでよけるとその小さな雪崩れは下まで落ちていき小さなデブリをこしらえた。
針ノ木峠からのルートと合わさる手前で傾斜も緩くなり次々登ってくる人を横目で見ながら快適な滑降が続く。
左右から出ているデブリがうるさくなってきて殆ど斜度もなくなってきたと思ったらテント場の近くに来ていた。
Nさんに電話をかけると今登ってきているところだと言う。テントを撤収する前にNさんは合流した。Nさんは立山入りのフル装備なのでばてばてである。重荷にこけまっくるNさんと共に右岸伝いに滑っていく。
スキーを履いたまま難なく登山口まで戻ってきた。登山口の看板の前にはぽっかり穴が開いて水がしぶきをあげている。
テントや余計な物を車に放り込んで扇沢ターミナルに向かう。ちょっとタイミングが悪く3時のに乗りそこねてしまった。3時半のトロリーバスに乗る。もう乗客も少なく登山者らしき人は我々を除いていない。黒部ダムでは記念撮影する人達が沢山いる。黒部湖は去年と違い流氷のような氷か雪の塊が浮いている。黒部湖駅では臨時便を出してくれた。乗客は我々二人とあと一人でその人もテレマークだ。話しかけると今日御山谷を滑ってきたそうだ。ロープーウェイもすんなり接続した。ロープーウェイからは今日登った針ノ木岳が反対側から見える。つい数時間前には向こうからこっちを見ていたと思うと不思議な気持ちだ。
室堂から雷鳥平には去年と同じでみくりが池経由で行った。Nさんのステラリッジ1とツェルト(荷物置場)が張り終わる頃には真っ暗になっていた。晩飯を食い終わる頃には22時を回っていてすぐ寝ることにした。明日は4時起きと行ったらNさんが不満そうだったが彼のペースを考えると仕方ない。
4時に予定通り起きたがさすがにだるい。案の定ツェルトを張るのに埋めたペグは雪面が凍ってスコップでは掘り出せない。スノーソーでほじくり出す。ゆっくり支度していたら7時になってしまった。ルートは去年と同じ雷鳥平から立山の斜面をトラバースするルートを取る。去年手前から高度を上げすぎて難儀したので手前ではあまり高度を稼がない。クトーを使いたい状況であったがついてくるNさんは使えないのでなしで行く。表面だけ凍っていて滑りやすい所に来てしまった。なんとか切り抜けるが自分がなんとかという状況だからNさんはついてこれる筈がない。ずるずると横滑りしてつまってしまっている。大声で一旦傾斜が緩い下まで滑り下りてそこでアイゼンをつけるようにと言う。Nさんは2ターン目くらいで結局こけて下まで滑り落ちていく。待っている間寒いので少し登って滑りやすい所を脱してザックを降ろした。待てど暮らせど一向に来る気配がない。仕方ないのでせっかく稼いだ高度50m位を滑り下りるとまだアイゼンを着けている途中だった。少し上は風で寒かったのにここはぽかぽか暖かい。結局Nさんと一緒に一ノ越まで沢状の底を登っていく。こっちは登る人がおおいせいか足跡だらけだ。一ノ越手前でまた登れなくなるだろうからNさんにはアイゼンで行ってもらう。
一ノ越には大勢の人が休んでいた。こんなに人がいてここはスキー場かとおもったが20人くらいの団体さんがいるようだった。旅行会社かガイドがやっているツアーらしかった。この人達をやりすごしてから行こうと思っていたがNさんの準備が遅く人が少なくなってから滑ることになった。
雷鳥の鳴き声が聞こえて見てみると2羽の雷鳥がいた。飛び立ちそうもなかったので走って追いかけて写真を撮る。
御山谷は針ノ木雪渓よりさらに幅が広い快適な斜面だった。ただ最大斜度も30度未満でスキー場の中級者コースのような感じなので上級者には物足りないかもしれない。
それでもスキー場とは比べ物にならない幅と長さでいくら滑っても終わることはない。幅が広いのに小刻みにターンを刻む自分が情けない。
上を見上げても下を見下ろしても広大な斜面が続く。
先でくの字に左手に折れる手前が平なのか大勢の人が休んでいるのが見える。
休んでいる人達の左を抜けて真っ直ぐいくと先が崖になっていた。Nさんが来るのを待って右にトラバースする。
そこから先も幅は狭くなるとはいえ針ノ木雪渓並の幅の快適な斜面が続く。とはいえ斜度は緩くなってだらだらと滑るのみだ。
上の涼しさが嘘のように5月の陽気に変化してきた。ジャケットを脱いでもまだ暑い。雪の下は沢が流れているのでシュプールは右岸沿いになる。
スキーもあまり滑らなくなり樹間の緩斜面をトレース伝いに滑っていく。
右からデブリが出ていた。先行の人達は板を外している。見た目は土の色だがデブリは雪だからということでそのままデブリの上を滑る。
ボードの人は歩くような斜面のトラバースになってもテレマークの強みでずっと板を履いたままで行くがとうとう最後になってしまった。何故だか渋滞している。渋滞の原因は見えないが下りにくいところでもあるのだろう。板とストックをザックにつけて渋滞の最後尾に付ける。Nさんは何故だかストックを持ったままだ。ストックを私のザックに付けさせ、Nさんのザックからピッケルを外して持たせる。渋滞の列が短くなるとさっき一ノ越で説明をしていた団体の引率らしき人が下りるのを手伝っている。こんな大勢連れてくるならもっとなんとかしろよと思ってしまう。
両手が開いていればなんの苦もなく下りれるとこだった。Nさんはぎこちなく下りてくる。その後ろから来た山スキーのグループは先頭の人が素早くロープを張っていた。
沢はどうやって左岸に渡るかと思っていたら流木の橋があった。Nさんはすでにここでびびっている。
渡った先にもう一本沢があった。踏み跡は上流に向かっている。対岸にも上流から踏み跡がある。丸太の一本橋が見えるがそこには踏み跡はない。ピッケルを刺して後ろ向きにキックステップで下りたら雪が崩れて丸太の上にストンと落ちた。プラブーツで感触をつかみにくかったので少しずつカニ歩きで渡る。向こう側に付いたらピッケルを刺してよじ登る。Nさんは絶対いやだと言って上流に向かって歩きだした。後ろから来た3人組みもNさんについていく。5分もしないうちに下りてきてダメだったと途方に暮れている。踏み跡が終わっている所にはスノーブリッジはなかったのだろう。あとは川をざぶざぶ渡るしかないかと黒部湖へ流れ込む辺りへ下りていった。
そこにはさっきのよりはかなりましな橋があった。ようやっとNさんは渡ることが出来た。一息入れたそうだったがさっきの団体が動きだしたのでまた渋滞に巻き込まれたらかなわんとNさんをせき立て出発する。
黒部湖畔は腐れ雪がたっぷり残っていて足を取られつつトレースをたどった。ロッジくろよんから広くなった道にも雪はたっぷり残っていた。
針ノ木雪渓、御山谷ともに一気に滑れてスキー場では味わえないような幅広ロングコースを満喫できた。
END