11日
吾妻スキー場06:20〜リフト終点07:55〜慶応吾妻小屋への分岐10:00〜五色沼12:00〜浄土平付近14:15〜吾妻小舎14:30
12日 吾妻小舎08:00〜鳥小平09:10〜高山10:40〜林道への分岐(標高902m)16:00〜林道ゲート16:45〜吾妻スキー場22:20
装備:ザック17kg、スキー5kg
1〜2月の厳冬期は北八ヶ岳のように難易度が低いところを当初考えていた。正月は山行しない私にとっては成人式の3連休は幕営1泊2日で予備日1日の行程を組めるので技術的な難易度が高くなくスキーのみでいけるところを検討していた。そんな中浮上したのは四阿山から万座へのルートだった。話はそれるが四阿山から万座へのルートは地図で見る限り四阿山山頂付近のみ尾根が痩せているのを除けばゆるやかな斜面が多い。去年行った時は山頂の先は痩せていてあんなとこをスキーで行くのかと思ってしまっていた。とはいえ公共の交通機関を使わない場合、車2台で行かねばならない。Nさんにそれとなく打診していたのだが都合がつかずに単独になってしまった。しょうがないので中間点の浦倉山あたりまでの往復を考えたがこれも車2台でパルコール嬬恋スキー場から入れば日帰りコースだ。信州方面ばかり検討していた私は発想を変えて東北に目を転じた。福島の吾妻連峰のうち高湯から吾妻小舎に行くルートが目に留まった。ここなら天候が悪くても慶応吾妻小屋か家形山避難小屋付近で幕営して引き返すという手もある。急遽福島のIさんに連絡を取る。2人になれば土湯に車1台を停めて高山経由の縦走も可能だ。とはいえIさんも頼んでいたシールが未入荷ということで断念してしまった。単独となってしまったがこんな経緯で行き先は吾妻小舎に決定した。ネットで調べると土湯から高湯はタクシーを利用するのが一般的なようだ。地図を見ると歩くには長いが自転車ならなんとかなりそうな距離であった。そこで行きに土湯側の林道ゲートに自転車をデポすることにした。前の晩に自転車のタイヤをスパイクタイヤに交換して荷台に靴をくくりつけた。靴を忘れるとプラブーツで自転車を漕ぐ羽目になる。
土湯温泉に向かう道は雪も少なく不安がよぎる。山スキールート図集でもこのルートの適期は2月中旬以降だ。ネットから捜すも1月の記録が見当たらない。今年は降雪が多いので大丈夫だろうと思っていたのだが。土湯温泉から狭い坂道を登り始めてその心配が無用なこととなった。それどころかFFの車では登りがきつい。何度かスタックするもチェーンをつけずにねばり林道ゲートに到達した。ネットで得た情報では去年は除雪されていたようだが今年はノントレースの雪面がゲートから続いている。自転車を看板にくくりつけて出発する。

高湯の温泉街を過ぎスカイラインを登っていく。除雪が終わっているとこまで行くが引き返してリフト一段下の大きな駐車場に車を停める。寝袋に入るが眠りにつけず5時頃には準備を初めてしまう。今からならリフトが動く前にリフト終点まで行けそうである。6時を回るころにヘッドランプをつけ出発する。

ゲレンデはすでに圧雪車が動いており楽に進める。斜度は中程度で急な部分ではなんとか真っ直ぐ登れるくらいである。
リフト終点には登山ルートは左に行くように看板がある。圧雪されたコースを左に向かって下っていくとさらに左へと曲がるがここで直進する。スキーのトレースが残っておりこれを辿ると明確な踏み跡に合流した。正月休みに多くの人が通ったようだ。それとは別に新しいスキーのトレースが一本ある。登りはゲレンデよりゆるやかになりスキーが潜ることもなく軽快に進む。緑布による目印もついているので風でトレースが消えるところでも迷うことはない。

ところがトレースと緑布は慶応吾妻小屋へと向かい五色沼方向には全くトレースのない雪面が続いているだけである。緑布に混じって紫外線で褐せた赤布があったがここから先は目印はそれに頼るしかない。とはいえせっかく一番乗りで入ってきたからには読図を楽しまなければと思い1/25000図を取り出し登っていく。登りが急になってキックターンをした際にこけてしまった。下から人の声が聞こえる。あっけなく追いつかれてしまった。後ろから遠藤さん(吾妻小舎オーナー)も来ているそうだ。先頭を代わってもらったので今度はトレースをついていく。右から別のトレースが合流してしばらく先に遠藤さん他5人の方達が休憩していた。結局5人グループに混ぜて頂くような形となって登ることとなった。最初はペースが今までより上がったので汗がどんどん出てくる。とはいえ中間着を1枚脱ぐのも面倒だ。
五色沼が見える鞍部に出たところで岩が露出しているのでスキーを外す。風はやや強いくらいである。五色沼は夏に見た神秘的な色と違ってただの白い平面だった。ここで右に巻いてからトラバースするようだ。ここでシールをつけたままだがようやく滑ることができる。遠藤さんは所々で赤布を巻いて目印をつけている。通称パラダイスという場所で長めの休憩を取る。ここからはペースを合わせてついていくのをやめて元のペースに戻るが休憩毎に私が追いつくまでは待っていてくれているようだ。
五色沼わきから登り切ると本日の待望の滑降が待っていた。今シーズンはスカルパT2を新調してゲレンデでその威力を確かめたはずだが荷物を背負っていると結局革靴からの進歩は殆どなくこけまくりながら斜滑降やボーゲン股制動で情けなく下っていった。前を行く人達は華麗にテレマークターンで滑って行く。酢ヶ平避難小屋の脇を通り夏道が露出している所で左に折れ夏道のやや右寄りを滑っていく。この辺はアイスバーンになっている。
浄土平のターミナルが見える所で再度シールをつけてターミナルには向かわず斜めにショートカットして車道に向かう。車道は風に雪が飛ばされてアスファルトが見えている部分があったり、雪が山のようにこんもり盛り上がっていたりする。

遠藤さんら一行と分かれて小屋付近の樹林の間にテントを張る。いつもこの時が一番げんなりする。なんで冬に山なんかに来てしまうんだろうという思いが頭をよぎる。雪を踏み均して整地しようにも股まで潜る。仕方なくスコップで雪をどかしながら踏んでいく。さらさらの雪は踏んでも固まらないので凹凸でも諦めて張ってしまう。テントはダンロップの3季用のX-116に無理矢理モンベルのステラリッジ用の外張りを組み合わせている。とはいえ室内で試し張りはしている。窪地だし樹林の中なのでペグは省略しようかとも思ったが適当に足で踏みつけて埋め込む。ようやく設営が終わり次は水作りと食事だ。気分的にはもう寝袋に入ってしまいたいのだが明日の為には食わねばならない。さっき足で踏み固めた雪でもかまわずすくって水を作る。もう外に出る気力がない。カップラーメンに餅を入れて食べるとようやく回復してきて、その勢いでカレーライス(アルファ米+レトルト)も食べると元気が出てきた。寝る予定を変更してアルミボトルに熱湯を入れ、アイロン代わりにして濡れ物を乾かす。遠藤さんに夜に来ればいいと言われていたがスキーなしでは行けそうもないので明日朝に顔を出すことにして寝てしまう。
2時に目が覚めた。外では風の音が強い。樹林に囲まれているのでテントにはあまり風は当たらないがかなり風が吹いているようである。雪が当たる音もするので外に顔を出してみるが地吹雪で空には星が見える。テント内は−7度で外は−12度。モンベルの外張りは手持ちのテント中最も通気性が高いので気温差が少ない。外張りに口をつけて反対側に息が抜けるのは手持ちではこれだけである。その代わり結露は少ない。水分を大目に取れるようにカレーうどんに味噌汁、たまごスープにコーヒーとどんどん口に入れる。テントを畳むころには明るくなってきた。

吾妻小舎に行くと昨日一緒だった人達以外にも数人泊まっていたようだ。2階から入り1階に下りて行く。遠藤さんにはトレースがないから気をつけて行くように言われた。鳥子平までは車道を行くようにとも。

小屋の前では出発の準備をしている人もいるが3連休なので私と同じルートを今日行く人はいない。今日は陽射も当たり天気が良い。

標高1622mの看板で遠藤さんに言われた通りに左に行こうとする。少し入ると道らしきものが判然としないので車道に引き返しもうしばらく進んでゆるい坂を下りきった所に左に抜けれそうな所があるので行くと赤布を見つけた。

川のように無木立の部分が左右に伸びていて向こう側に道らしきものが見え、そこにも赤布が見える。そこから先はコースを示す黄色いプレートに導かれて進む。道はほぼ一直線なので太陽の方角から進行方向を判断する。傾斜はだんだんきつくなり若干斜登高をしながら高度を稼ぐ。風が強くなり見晴らしも良くなった辺りで傾斜がゆるくなった。正月のものかうっすらとしたトレースが認められた。まだ結構あるかと思っていたら突然アンテナが見えた。山頂は風が強くアンテナの間でうなりをあげている。山頂を越えて南に少し下ったところで休憩する。
ここから先は下りだがシールはつけたままで滑って行く。山頂から南に派生する尾根は西側は風で飛ばされて雪がついていないが東側はたっぷりと雪がある。尾根沿いに下るがここで過ちを犯してしまった。コースは南に派生する尾根の東側を下りてさらにその下に派生する別の東に伸びる尾根を辿るのだがその東に派生する尾根が実際より南側にあるように錯覚してしまったのだ。黄色いプレートも見たのでそのまま尾根を進んでしまい。尾根から雪庇が出ていていやらしかったのでここで尾根上に登り返してしまう。ほんとはこの雪庇の手前で下に下るのだが。コースのように見える尾根の上を進んでしまったがプレートもなく?と思った時点で地図を見返した。そこで初めて失敗に気がついた。登り返すのも面倒なのでトラバースして戻る。さっきのいやらしい雪庇の下を通ることになる。下の方は斜度も若干ゆるくなっているので大丈夫そうなのだが降雪直後だとやばそうな所だ。大して労せずして戻ると赤布を見つけた。とはいえ下る方向は定かでない。赤布から少し下ると緩斜面になり樹林も濃くなる。池塔に向かって滑るはずだが樹林にさえぎられてそんなものは見えない。仕方なく池塔よりやや左になりそうな方向にコースを取る。樹林に視界を遮られ左右に緩斜面が広がりさっぱり方向が判らない。樹林もスキーで滑るには十分すぎるほど疎林なのでコースを特定するのも出来ない。最初は本来向かう方向である左へ向かったのだが位置確認の必要を感じて右に下りて行く。右に行けばそのうち崖になるので位置が分かるはずだ。ノントレースなのでコースプレートを捜すのは諦めて地図を頼りに下ることにする。右寄りに下ると小高い尾根があった。登ると山頂方向の視界も得られた。ここでザックを降ろしてGPSを取り出す。まだ衛星はしっかり補足しているようだ。1/25000図はコピーで今回は横着をして経緯度線を引かなかった。部分コピーなので1/50000図を使う。場所は夏道のやや左寄りのようだ。この小尾根の向こう側に行って真っ直ぐ下れば夏道と交差する。とはいえ夏道は雪の下なのでわからないだろう。このまま尾根の右寄りを行ってもよいのだが枝状に派生する支尾根があるので登り返しが必要になってしまう。高度計を見ながら尾根の左が急になる高度で左へと進路を変えることにする。沢状の窪地を越えた後一度はさらに左へ向かうが考え直してその窪地の左岸を辿る。尾根が細くなり本来のコースに合流した。
これでもう一泊しないで済む。ここからは非常に眺めが良い。
順調に高度を下げていくと人の姿が見えた。2人がこれから下ろうとしているところだった。一人に「左のトレースに行かないように。コース外を登ってきたから」と言われたが、この時私の解釈は林道への分岐部分でトレースが二つに分かれている。だった。本当はこの人達が林道への分岐から一旦滑っておそらく塩川出合まで下ってそこからまた登ったらしかった。人を見た安堵から安易にスキーのトレースを辿ってしまった。二人分のシュプールがあったので左のトレースと右のトレースが単に2人分と思い下ってしまう。すぐにそれが登りに使ったトレースだと判ったがさっきのところでシールを剥がしてしまったのでついそのまま下る。登りのトレースづたいに滑るのは斜度もきつくなり容易でなくなりすっころんだところではたと考える。そこでようやくさっきの言葉の意味を理解した(15:00頃)。地図をまた見る。右が下り斜面の所を行くのはさっき確認済みなのに右手に尾根がある。間抜けだと思ってもはじまらない。シールをつけて元来た方向に戻らないで右手を直登する。登り切った尾根上にはトレースはなく谷を挟んで向こうにもう一本尾根が見えた。支尾根に入ってしまったようだ。仕方なく尾根上を登り返す。しばらく登るとシュプールを見つけた(15:37)。
ここから少し急なところを下るとルートは緩い登りになった。2人のシュプールは左をトラバースしていくがシールを貼りっぱなしなので本来のルートを行く。その先で20度くらいの一直線の下りが数十mあり下りきった辺りで左からのシュプールに合流した。そこからはまた緩い斜面が続く。(1/2500図で1024.7m三角点の西を見れば確認できる)
林道への右手の分岐部分に2人の行きにつけたと思われる跡が左へと続いている。見たところこの先は緩斜面だけのようなのでシールを剥がす。しばらく軽快に下るが平らになって緩く登り返しがある。なんとかストックとバランスで前に進む。ステップソールがあればと思う。夕方になりだんだん雪面が氷化してきて緩くてもスピードが出るようになる。スピードを殺せず転んで減速しながらなんとか林道に出る。
林道は傾斜がゆるく雪面がかちかちになってきているので丁度良いスピードで進める。もうそろそろかなと思う頃に緩い登りになってしまった。これを越えれば終わりかと思ったらそうだった。
自転車は荷物が重いせいかけっこう振れてしまう。スパイクはよく効くし、スキーと違って滑って振られながらもこけずに土湯温泉まで無事下りた。国道も一部凍結していたがゆっくり下る。2車線になるところで左折したが地図を確認しないで行ったせいでわからなくなってしまい仕方なく最短ルートはあきらめてフルーツライン経由で行く。高湯への登り道はきつかった。山道に入ってすぐにザックを道路脇の木の影にデポした。それでしばらく行くが次は漕ぐのを諦めて押すことにした。それでもきつくなり遭難しそうになったので自転車もデポ。ようやく温泉街に辿り着き自販機を発見。
ここで缶ジュース2本を飲むと復活してどんどん気温が下がって冷えてくる中ペースを上げた。料金所を過ぎると坂もゆるくなり空身もあっていつものペースを取り戻しようやく車に辿り着いた。山の格好のままだったから良かったがそうでなかったら疲労凍死しそうな寒さだった。
今回もなんだか目一杯の行程となってしまった。スキーで滑降を重視するなら私の実力ではさらなる軽量化が必要なようだ。とはいえ遠藤氏は見た目20kg以上の荷物に革靴に幅60〜70mmくらいの山スキーでうまい人は道具は関係ないと思わせる。ルートを失ったところに関しては帰宅後取ったGPSログを見る限りあまり深く考えずにそのまま滑っても大丈夫だったようである。今回装備にピッケルと軽アイゼンを入れたが全くもって必要なかった。自転車で一周つなぐというアイデアはもう一泊して体力の回復を図るなどしない限り全くもって無謀なものであった。
GPSの軌跡は登山道と重ならない部分のみ抽出したものです。五色沼前後のルートは遠藤氏によるものと重なります。高山は本来のルートに合流したところで電源を切ったので最後に間違えた部分はありません。こっちの下りは参考にしないで下さい。
END