22日 上高地 5:15〜徳沢 6:25〜蝶ガ岳 10:05〜常念岳 14:30、15:20〜常念小屋 15:50
23日 常念小屋テン場 3:55〜東大天井 6:00〜大天荘 6:55〜大天井岳 7:05〜大天荘 7:25〜大天井ヒュッテ 7:55、8:05〜ビックリ平 8:35〜西岳 10:00、10:50〜ヒュッテ西岳 10:55〜水俣乗越 11:40〜ヒュッテ大槍 13:25、13:40〜肩の小屋前 15:00
24日 肩の小屋前 4:00〜槍ヶ岳山頂 4:15、5:15〜肩の小屋前 5:25〜大喰岳 5:50〜中岳 6:30〜天狗原分岐 7:15〜天狗原のコル 7:45〜本谷橋 10:20〜横尾 11:00〜 上高地 12:40
装備:ザックBDジャッカル45L、テントDUNLOP X-116、シュラフ ウエスタンマウンテニアリング ハイライト、エアマット プロライト3ショート、他、水無し食料込み9.5kg
ここ何年か縦走をしていなかった。今年は屏風も登れたことだしガツガツと岩ばかり登らずにのんびり縦走でもしようと思い立った。とはいえ貧乏性で3日あるならと喜作新道を歩くことにした。以前も燕から歩こうかと思ったこともあったのだが、登下山口の違いで足をどうするかでなかなか実現しなかった。北鎌も水俣乗越コースで戻って来れるのだし、一般ルートで上高地から蝶の稜線を経由して行けばいいなと思い、準備もあっという間に終わった。常念〜大天井は以前歩いた時にコースタイムほどは時間が掛からないことは確認済みである。初日に常念小屋まで進めばあとのルートは小屋も多くなんとかなるだろう。装備もロープがないので無理に最軽量にせずにダブルウォールのテント、エアマット、暖かいダウンの寝袋と自分としては豪華にした。3日目は槍から以前やり残した大喰岳〜中岳の稜線を行くとしてそこから先は横尾谷右俣を下降することにした。
沢渡、朝4時半に準備をしてタクシー乗り場に向かってみると3人連れが相乗り相手を待っていた。おかげでバス並の費用で上高地5時過ぎ到着。ボトルに0.5L水を汲み、まだ薄暗い中を歩き始める。1時間も歩くと徳沢に着く。徳沢で2.5L水を補給してザックに入れる。

徳沢から蝶ガ岳へは徳沢園の正面を通る。これまで散々通ってきた徳沢だが蝶への道は今日が始めてである。登り口の標高が書いてある板を見て腕時計の高度計を合わせる。あとは先月の横尾から蝶へと同様樹林の中の急登をゆっくり登る。ペースが上がらない気がするが、1時間に400mのペースで進む。稜線まで半分程度の所で傾斜が緩くなり、さらにひと頑張りで稜線に上がるがまだ樹林の中である。妖精の池はただの水溜まりといった感じだ。そこからちょっと進むと展望が開け森林限界を越える。ここで一休みして、さて出発するかと思ったら蝶の山頂はすぐそこだった。

先月も来たので山頂は素通りする。ガスが段々湧いてきて穂高方面はどんどん見えなくなってしまう。横尾への分岐を過ぎて次のピークを越えると下りになり、また樹林帯へ入っていく。この稜線は常念から蝶へと向かう人が多いのかすれ違う人達が沢山いる。同じ方向へ進む人は殆ど見ない。樹林帯の稜線はアップダウンを繰り返し結構しんどい。ようやく小高い2512峰を越えると視界が開けた。ほんのつかの間常念が姿を現したがすぐにガスの中に消える。

樹林帯を抜けると気分的に歩きやすくなる。とはいえガスで遠くまで見渡せないし、常念山頂までストレートに視界がなく、いくつも続く小ピークを越えても一向に傾斜は緩まない。高度も分かっているし傾斜も変らないのは分かっているのだが単調な登りに一日後半の疲れが募る。人の声が聞こえると思ったら若者達のパーティーに追い付く。彼らは休み休みでこちらは同じペースでゆっくり行くので声が近づいたり遠ざかったりする。人々の話し声が近くなり高度計も2800mを越えた頃に山頂が見えた。ゆっくり同じペースで山頂到着。

今日はもう大天井まで足を伸ばす余力もないので山頂でゆっくりする。とはいえガスは晴れず、テン場の場所取りもあるので下山を開始。下りは楽で次々人を追い越して小屋の前に到着。平らになると足が重い。テントの受け付けを済ませ、水を4L/800円で購入。テン場は600円。小屋正面のエリアはスペースが少なく傾斜もあってあまり良くない。向こう側にもあると教えてもらい、横通岳側に行く。こちらはまだ沢山空いている。段々畠状になっているがあまり良くない。最下段の隅に平な場所を見つけ、そこに張る。明るいうちにテントの前室を開けて晩飯を作り7時には就寝。

午前2時過ぎに目を覚ます。十分良く寝れたので寝袋を片付けて朝食にする。生暖かくてフライの内側はびっしょり結露している。まだ暗いうちに準備が整い出発する。空はまだ星空である。

横通岳への登りは結構急である。昨日の疲れは取れてはいるが先も長いしゆっくり登る。1時間も登らないうちに傾斜は緩くなり山腹の巻き道に入る。振り返ると常念への登りには複数のヘッドランプが瞬いている。まだ薄暗いので足元を確認しながらゆっくり進む。東大天井とのコル付近で明るくなる。

稜線はゆるやかなアップダウンを繰り返すのみで歩行は楽である。東大天井辺りから反対方向から縦走してくる登山者と出会う。大天井から常念へ向かう登山者が多くなる。ピークを2つ越えるが手前から見た程にはきつくなく、あっけなく大天井がすぐそこに見える。

大天荘の前にザックをデポして山頂に行く。タイミングがずれているので誰もいない。

昨日と同じくまたガスが湧き始めて視界が悪くなってくる。

山頂から取って返し下りに入る。

喜作新道に向かう人は切通岩からショートカットするはずだからこちらは殆ど人が通らない。かなり急な崖っぷちみたいな道を下ると大天井ヒュッテの屋根が見えた。

ヒュッテの前では3人休憩している。私が着くのと入れ替わりに出発していく。昨日と違い、今日はすれ違う人より同じ方向へ向かう人が多いだろう。ヒュッテ正面から稜線上を登る道があるのだが、こちらは縦走路ではない。登ればさぞかし展望が良さそうだが標高差が200m程度あるので割愛する。

ここからしばらくで北鎌への貧乏沢入り口があるはずだと思いながら樹林の中を歩いたが結局見落としビックリ平に着く。ここで後から来た人に抜かれる。前を歩く人はどんどん離れて行くし、皆速い。稜線は緩やかでそれほどきつい登りはないが、昨日の疲れと今日もまだ後半がきついのでゆっくり進む。右手の北鎌尾根は時折ガスの切れ目で姿が見えるがすっきり全体が見えることはない。赤岩岳かと思われるピークで休憩後、いくらも歩かないうちに西岳直下に着く。ザックをデポして山頂に行く。

見下ろすと小屋はすぐそこだった。山頂からは結局槍の穂先は見えず。

しばらくねばったがダメなようなので諦めて下る。

下には水俣乗越が見える。一旦2500mまで下ってそこから500m強登ることになる。

小屋の前では数人休憩している。小屋には寄らず下り道に入る。下から登って来る人も多い。急な下りで梯子とかが次々出てくる。一気に下るとニセ乗越。ここはどちも急で残雪期に北鎌のアプローチで間違ってここに来ると大変そうである。さらに2〜3の小ピークを越えると水俣乗越。GWに通った時とかなりイメージが違う。北鎌方面への踏み跡もかなりはっきり付いている。

ここからまた登りとなる。アップダウンを繰り返すように思えたが、登り→水平→登りと稼いだ高度を失うことはない。それでもやっぱりきつい。

前を歩く人に追いつけそうで追いつけずといった感じで進む。後ろからも人が来るがこちらも追いつくかと思えばそうでもない。どんどん足が重くなってペースが落ちてきた頃にようやくヒュッテ大槍前到着。小雨がぱらついたので合羽を着る。ここからはコースタイムで50分だが、もうバテバテである。

案の定ペースは上がらずどんどん抜かれる。雨は上がってしまい明るくなってきたので合羽を脱ぐ。肩の小屋辺りの喧騒が聞こえてくるが、結局重い足はどうにもならずに亀の歩みで進む。最後のコンクリのスロープだけ一気に最後の力で駆け上がる。運良くテン場はまだ空いていて17番の札を受け取る。水を3L買ってテン場に下る。

いつものパターンで疲労と高度で調子が悪い。今日は槍のてっぺんに上がる気は全くない。あっても登れない。このまま寝るとさらに調子が悪くなるのは分かっているので頑張って飲み食いする。明日の朝食を除いて何もなくなるくらいに食いまくる。

夕闇が迫る頃にはガスが晴れてきて展望が利くようになる。今日は昨日と違い寒い。明日は急ぐこともないとゆっくりしていたが8時には就寝。

人の話声で2時過ぎに目がさめる。まだ1時間位寝ててもいいのだが、良く眠れたので起きて朝食。4時前にはテントを畳む。今日は風があるせいかテントは乾いている。まだ暗いがとりあえず空身で槍の山頂へ。疲れてペースが上がらないかと思ったが、半分岩登りみたいな登りだと楽で15分で山頂へ。しばらくすると次々人が上がって来る。人の多さにうんざりしたので薄暮の中、北鎌尾根を見下ろしてから下山する。下からは次々と人が登って来る。テン場に戻り昨日のお隣さんに挨拶してから大喰岳へ向かう。先に団体客が歩いて行ったのでどうなることかと思ったが飛騨乗越を下っていくところだった。登りはさすがに3日目で足が重い。若者が颯爽と抜いて行く。

大喰岳山頂は広く道標がないとどこが山頂か判り難い感じだ。山頂で一休み。出発する頃にはさっきの若者も見えなくなり、一人になる。昨日の槍の肩の喧騒が嘘みたいである。大喰岳、中岳とも3000m以上であるが、マイナーでひっそりしている。中岳への登り反しはきついかと思ったが、コルはそんなに低くもない。このコルから槍沢へ一直線にスキーで滑れそうである。山頂前の2段の梯子を越えてピークへ。

ここからは後は下りになる。登山道は2つに分かれていて新しい右のへ進む。下から登って来た人とすれ違う。南岳への稜線はまた登りとなるが、緩い登りで楽に進める。

今日はこの3日のなかで最もガスが少なく遠くの稜線まで良く見える。

横尾尾根が見え、見覚えの有る天狗原分岐に到着。槍沢はガスが上がってきているが横尾谷は下まで見通せる。

天狗原分岐から急な下りを下っていく。横尾谷にもガスが出て下の方が見えなくなる。単独だから無理はしたくないと思いつつも、完全にガスに覆われなければ大丈夫だろうと考える。途中まで降りた所で下までガスが晴れたのでルートを確認する。カールの底の岩がごろごろしている左側の草が生えた土手沿いに進んで大岩の向こう側に源流のラインが見える。進むべきルートを頭に叩き込んだので天狗原のコル目指してまた下る。

天狗原のコルから横尾谷を見下ろす。大した傾斜に見えないが、意外に悪いはずである。一般ルートでないので全ての岩が浮いていると疑ってかかりながらゆっくり降りる。途中で一旦左の涸沢に逃げ、傾斜が緩んでからまた沢を離れる。薄い踏み跡を辿ると大岩がゴロゴロしたカールに入る。

当初目星をつけた大岩まですんなり進む。ガスが出てきて遠望が利かなくなる。当初見当を付けた大岩に着いたら、そこに登りガスが晴れるのを待つ。

ガスが切れた時に写真を撮り、大岩の向こうにある明瞭な踏み跡を辿ると右岸から巻くように草の中を下っていく。水の音が聞こえて横尾谷源流に着く。水を飲んで一休みしてから出発。

最初は草の中を歩いたが、岩の上の方が歩きやすいので水線を行く。滝があったが水流のすぐ脇をクライムダウン。下る時に浮いてそうで避けた岩をホールドになら使えるか試しに触ったらあっけなく落ちた。数百kgはあろうかという岩は焦げ臭い匂いを発しながら大きな音を立てて数m落ちて行く。横から触ったからなんともなかったが用心せねば。

そこから先は岩の上を伝いながらルートを読みつつ下っていく。下から4人パーティーが上がって来る。見た感じガイドとお客さんといったところか。

暑くなって来たので休憩して薄着になる。ケルンが各所に積まれている。こっちだなと思って進もうとするところに「こっちだよ」と言わんばかりに積んである。ルーファイの面白みが半減する。

涸沢との出合が近くなる頃にさらに2人パーティーとすれ違う。こちらは二人ともダブルストックで不慣れな感じだ。巻き道も結構あったが、水が少ないのでなるべく水線通しに進む方が楽だった。

涸沢と交わると岩にペンキマークも出て来た。後で知ったのだが昔の涸沢への登山道の名残のようである。

傾斜もなくなって磨かれたつるつるの岩も多くなってくる頃に本谷橋に到着。標高が下がって体調が良くなったのか、そこから2時間強で上高地まで駆け下りた。
END