22日 上高地05:00〜横尾07:00〜槍沢ロッジ08:30、09:00〜槍沢キャンプ地09:35〜大曲10:25〜グリーンバンド12:20〜殺生ヒュッテ13:40、14:10〜槍岳山荘15:20、キャンプ地16:15〜槍ケ岳山頂16:40〜キャンプ地17:10
23日 キャンプ地04:00〜山頂04:20、04:50〜キャンプ地05:15、06:10〜殺生06:30〜グリーンバンド06:50〜大曲07:30〜槍沢キャンプ地08:00〜槍沢ロッジ08:20〜横尾09:15〜上高地11:10
装備 ザック12kg位、軽アイゼン、ピッケル他
梅雨はまだ明けないが、夏山シーズンになる前にまた山へと行きたくなり槍ヶ岳行きを計画した。まだ残雪があることを考えると槍沢からということに必然的に決まってくる。とりあえず夏山装備に軽アイゼンとピッケルを追加して40Lのザックでパッキングしてみた。結果、水なしで10kg丁度に収まったので一泊二日を敢行することにした。梅雨前線は低気圧の通過により一時的に消失して週末の天気予報でも雨は降らないようだった。夜のうちに沢渡に着いて車の中で仮眠する。いつものことだがあまり眠れずに4時前になったので準備を初めてしまう。だんだん明るくなってきたのだがぽつぽつと雨が降り始めた。それが土砂降りに変わるのにそう時間はかからなかった。天気予報を電話で聞くと気圧の谷の通過で雨が昼頃まで降るそうだ。村営第二駐車場は車もまばらである。バスだと時間が遅いのでタクシーを考えているのだが大丈夫なのだろうか?そんな心配をよそに4時半頃には続々とタクシーがやってきた。雨足もいつしか弱まっていた。丁度2人連夫婦もタクシーに乗ろうとしていたので声を掛けて相乗りさせてもらう。

タクシーは今回初めてだったのでこれまで知らなかったのだが釜トンネルのゲートは朝5時に開くそうだ。タクシーの運転手さんはゲートが開くまでの待機時間はメーターを止めてくれる。ゲートが開いて釜トンネルを通過する。前回2回はここを歩いたっけ。まだ雨模様だがずいぶんと小降りになっている。タクシー料金は4600円だったが運転手さんの提案で私が1500円で2人が3100円ということになった。2人連夫婦に挨拶して横尾までの道を歩き始める。

朝一番ということもあって人はまばらである。
小雨が降っているので河童橋の所で上だけ合羽を羽織る。明神までの道で先行者を一人抜いた以外は人が全くいない。後半を考えて速歩にならない程度にペースを保つ。
明神館の辺りは誰もいない。ただ黙々と歩いていく。

徳沢では小屋の人だろうか?人がまばらにいる。テントはダンロップのVが一つ張られている。徳沢もそのまま通り過ぎる。
横尾に到着するもここも人影なし。売店でチョコを買う。ここで小休止。
天気は時折日が射したりするも小雨が降ったりやんだりと今一つである。横尾でも少しお腹を満たした程度ですぐに出発する。ここから先は登山道らしくなるが殆ど平坦で楽な道である。
槍見河原に着いたが上の方はガスっているので当然槍は見えない。
水音が大きくなってきてそろそろ一の俣だと思っていたら橋が見えてきた。

一の俣からしばらく歩くと今度は二の股である。前回冬に来たときと違って板張りの橋になっていた。橋を渡ってからも平坦な道が続く。槍沢ロッジまであと少しの看板があって、ようやく登りになる。
労せずして槍沢ロッジに到着した。ロッジで何か食べようかと思ったが、朝早かったせいで何も無い。ロッジの人に断って玄関付近でお湯を沸かしてカップ麺を食べる。
雨は上がるどころか本格的に降ってきたので合羽のズボンも履くことにした。まだまだ先は長いので出発する。ロッジからしばらく登った所に槍見岩というのがあった。この岩の上から槍が見えるようだ。とはいえこの天気なのでそのまま通り過ぎる。12月に来たときにあと少し歩けばここまで来れたことを思うと悔やまれる。

横尾尾根は新緑に覆われ沢筋には雪渓が残っている。初夏の雰囲気だ。

上を見上げると雪が残っているが、もうこの辺りは新緑に覆われている。

河原に石積みが見えてきてあれが旧小屋跡かと思って近づいたらただの石垣だった。
さらに少し歩くと旧槍沢小屋跡があった。テントが一つ張ってある。とはいえ人はいないようだ。いつしか雨も止んだので合羽のズボンはまた脱ぐことにする。槍沢を下ってくる人が何人か見える。いずれも単独の人のようである。
ババ平でしばらく休憩した後出発する。
ババ平からは雪渓の上を歩くことになる。トレースを捜しつつ左岸寄りを歩いていく。まだまだ緩い登りである。キャンプ地から上で合計4〜5人とすれ違った。そのうちの一人に声を掛けると上の方はみぞれが降っていたとのこと。上を見上げるとガスっているので雨はこの先ひどくなるのだろう。とはいえ降りてくる人達は合羽を着てない人が殆どだ。
雪渓の真ん中がぽっかり空いて沢の流れが見える。雪融けの頃は雪渓の真ん中はすぐ下がこうなっている筈なのでうかつに近寄れない。
沢が大きく左にカーブしているところで上方に大曲の指導標が見えた。夏道は沢の左岸の上方についている。
大曲を回り込むとようやく先が見えてきた。正面に見えるのは大喰岳のすそで槍はまだ右手に隠れていることになる。とはいえいずれにせよガスで見えないはずだ。はるか前方に先行者が上っていくのが豆粒のように見える。ゆっくり進んでいるので先はかなり急なのであろう。
大曲から先は槍沢は曲っているので振り返ってババ平が見えるのはこの辺まで。
だんだんと傾斜がきつくなる。今回はピッケルを持ってきたがスキー用に買ったカンプHL250というモデルで軽量化の為に60cmしかない。なのでこの程度の傾斜ではスピッツェが雪面に届かない。つぼ足が多くなる縦走では長めが便利なのだなと思いながらも重いもう一本の方を持ってくれば良かったと思う程ではない。斜度としては上り下りともスキーに最適である。槍沢までのアプローチさえ考えなければすごく良い所だと思う。
振り返ると正面は赤沢山でババ平方面はもう死角になっている。
広い雪渓のどこを歩けば良いかわからずも、赤旗と足跡をたよりに進んでいく。傾斜がきつくなったので先行者のトレースにも軽アイゼンの跡がつきはじめたので、自分も装着することにする。一歩一歩蹴りこんでいけばどうってことはない斜面であるが蹴り込む体力もセーブしたいのでアイゼンに頼る。とはいえないよりましという程度であまりあてにならない。しかしながら重い思いをして12本爪を持ってくる程ではない。だんだんと傾斜がきつくなってきて先行者の足跡を拝借しながらゆっくり登る。雪渓は右手に回り込んでいくが、トレースは正面の岩場に向かう。ここがグリーンバンドという辺りであろう。
右手を見ると東鎌尾根からの道が見える。いつかは大天井からここを経由して来たいものだ。
グリーンバンドを越えるとまた雪渓になった。上を見上げると時折ガスから殺生ヒュッテが現れるのが見えた。グリーンバンドを越えた途端、稜線からの風だろうか。風が強くなり体が冷える。ここまで素手で来ていたのだがたまらず手袋をはめる。アイゼンは一旦外したのもあってそのままつぼ足で登る。風のせいでどんどん体温が奪われる。さっきまで合羽で蒸れて暑いので下は長袖の下着だけになっていたのだ。この寒さでは殆ど春山である。下に着ることも考えたが殺生ヒュッテまでこのままで頑張ろうと思う。
見えてからたどり着くまでかなり時間がかかったが殺生ヒュッテ手前の岩場に出た。下を見下ろすとこんなに登ってきたんだなあと思う。とはいえ今回は急な登りもなくゆるゆると雪渓を直登してきたのできつかったという印象はない。
ここまで来れば一休みできる。いつのまにか左手だけ冷えてしまっていたが原因は腕時計のバンドの締めすぎであった。私の左手は昔骨折してからというもの具合が悪い。まだこの時間ならここで休んでも十分肩まで行けるだろう。
殺生ヒュッテでは食べ物が準備できるとのことでうどん800円を注文した。小屋の中は暖房が入ってないせいか結構寒い。体を動かさなくなったせいでかえって冷えてくる。一旦脱いだ合羽をまた羽織る。そうこうしているうちにうどんが来た。かけうどんかと思っていたのに山菜も入っている。ありがたい。
小屋内の温度計も7度を指している。外はもっと低いのだろう。天気が悪いせいでこれではGWの立山より寒いではないか。
小屋を出るときに奥に向かって挨拶してから出ようとすると中から小屋のおやじさんが出てきてくれた。もと来た方向に戻ろうとしていた私に小屋の脇を通って行くように教えてくれた。槍沢からの登山道は殺生ヒュッテの手前で二手に別れてヒュッテを過ぎてまた合流するという形状なので教えられた通りに行く方が近いのだ。ガスのせいで視界が効かなかったので、そのままだったら一度手前の分岐まで戻ってしまうところだった。小屋のおやじさんに感謝して出発する。体はまだ冷えているがそのうち暖まるだろう。
少しの雪渓を横断した以外はガレ場をじぐざぐに登っていく。上の方で音が聞こえるが建物は見えない。ガレ場でじぐざぐに歩くとはいえ雪渓をつぼ足で歩くより楽である。何より滑らないので気を遣う必要がない。
休んでしまいたいのだがあと少しと自分に言い聞かせながらゆっくり登る。空気が薄いせいか少しつらい。なんとなく音だけでなくうっすら建物が見えるようである。
いつしか建物も近づいてきて指導標の所に出た。槍岳山荘付近は発電機やら工事の音やらでにぎやかだ。この指導標の所に出たのだが、斜めにショートカットしたほうが山荘に近かった。
槍の穂先はここまで来てもやっぱり見えない。
いくつか建物の脇を通り過ぎてやっと到着。
中は暖房が効いていて暖かい。テントの受付をして水を1L200円で買う。小屋も空いているので小屋泊の誘惑に負けそうになったが1泊2日テント泊という当初目的を達成すべく我慢する。稜線上は風が強いですよと小屋のおねえさんに言われるが、駄目ならこっちに来ますと小屋を後にした。
丁度大きな岩の陰になっているところを発見した。当然人っ子一人いない。
テントサイトは段々畑状に区画されていて地面もならしてあってまるでオートキャンプ場のようだ。
テントはダンロップXー116という一人用。前回使ったときも雨の中登る羽目となり、このテントが雨を呼ぶのかとも思ってしまう。下が土なので今回初使用のダンロップのマグネシウムぺグを刺して固定する。ペグの上には岩を置いて念には念を入れる。
天候はどんどん回復してきているのか雲が減ってきて槍の穂先も姿を顕し始めた。これなら明日の朝は期待できるかもしれない。
テントも張ったので空身で槍の穂先へ向かう。他には誰もいない。登りはホールドも多く簡単に登れる。近くの妙義の山々の方がよっぽど難しい。
梯子や鎖もあるがなくては登れないような所でもない。まあ利用した方が楽なので使うのだが。高度感も予想していたほどでもない。
空に向かって突き上げている梯子があったのでこれが最後かと思ったらそうだった。
山頂は以外に広い。
まだガスでそんなに遠景は見えないが千丈沢側を見下ろすことができた。
ここはおさい銭がたくさんある。私も50円を財布から出す。高度計は100m以上ずれていた。横尾で合わせたのでその間、天候が回復してきて気圧が上がってきたのだろう。
下りは降りているうちにいつのまにか下り専用ルートに入っていた。どこで別れたかと思ったが上の写真の所だった。
下りも難しいことなどなくほいほいと降りてきてしまった。
テントに戻って食事を作る。外が明るくなってきたので出てみると一面の雲海であった。
天気がどんどん回復しているのはわかっていてもったいない気もしたが疲れには打ち勝てずにおやすみなさい。
翌朝は頭が痛かった。急に高い所に来たせいかもしれない。気温はテント内1度、でテントの外は0度だった。空は高い所に雲が薄くはっていて今一つである。秋に大天井に行った時の2日目に似ている。とはいえ3時には寝袋から出て4時にはあとテントを畳むだけにして今朝も穂先に向かう。当然今日も誰もいない。
地平線の太陽の方向は雲がかかっている。駄目元と思いながら頂上でしばらく過ごす。風を防ぐため祠の向こうの岩陰に身を寄せる。北鎌尾根の最後の登り部分なのか下に向かって踏み跡が続いている。
北鎌尾根は峻険でいつかはここを辿ってここまで来れたらと思う。
槍は周りより少し高いのとへそのような位置にあるせいか360度付近の山を見渡せる。昨日はガスで殆ど見えなかったが今日は殺生ヒュッテもヒュッテ大槍も見える(上の写真)。
2000mより下は雲海の中だ。
次の北アルプスは穂高に行こうかなと思っている。
長居してしまったが天気はこれ以上は良くなりそうになかったので名残惜しいが下山することにする。
今日は穂先まではっきり見える。
テントに戻って撤収を始める。撤収開始時にテント脇を通り過ぎた小屋で働いている人がパッキングが済む頃に戻ってきた。隣の大喰岳まで行ってきたそうだ。しばらく立ち話しをする。山が好きでここで仕事してるのだなと思う。引き留めてしまったが仕事の時間だと言って小屋に戻っていった。出発前に小屋に立ちよってみやげを買う。ついでに缶ジュースを飲んで水分補給する。手持ちの少しの水であとはババ平まで行こうと思っている。この時間なら昼頃には上高地に降りれるだろう。
下りはあっというまで殺生ヒュッテの少し上の雪渓で振り返るとこんなに離れてしまっている。肩で泊まるのもいいが殺生ヒュッテ付近で泊まれば朝この景色が見れるのかと思う。肩からだとなんか槍は不細工に見える。
殺生ヒュッテを過ぎてまた雪渓にたどり着く。ここはそこそこ傾斜があるのでお尻で滑っていく。スピッツェでスピードを殺すがなかなか難しい。止まりたい時は結局ピックを打ち込んで止まる。振り返ると槍はさらに小さくなっていた。
雪渓が切れてグリーンバンドに到達する。この先は傾斜が一段ときつくなって槍が見えなくなってしまうのだ。ここから見ると地形がカール状になっているのがよくわかる。これで当分見納めだ。
グリーンバンドを過ぎた後は一段と急である。とはいえアイゼンなんかはつけづに急な所はひたすらお尻で滑る。とはいえピッケルにかなり力を入れないとスピードを殺し切れない。暴走してしまった時にピックを打ち込んでも平気で2〜3m位滑っていく。スピッツェを抜いてピックを打ち込むほんのタイムラグに一段と加速するのだ。とはいえかなりスピードを抑えているので危険なことはない。でもこうも簡単に加速すると滑落は怖いと思ってしまう。合羽のお尻も心配なのと高度が下がって暑くなってきたので歩くことにする。そこらへんに落石が転がっているので気味が悪いのだが合羽のズボンもここで脱いでしまう。案の定お尻の所が擦れている。こんな山行を数回やると破れてしまいそうだ。次からは策を考えねばならぬ。
登りにあんなに時間がかかったのに下りは本当に早い。大曲を曲った所で下から集団が登ってくる。
雪渓の下は大量の水が流れている。スキーだと気持ち良さそうだが今の時期ではこれを見るとちょっとできないなと思う。
さっき見えた集団は中高年かと思ったが若者(学生?)の集団だった。今日は天気が良いせいか他にも沢山登ってくる。ババ平には昨日のテントがまだあった。とはいえ人の気配はない。
ここでカロリーメイトを食べて水を好きなだけ飲んで出発する。
今日は槍見岩に登ってみた。本当に槍の穂先がはっきり見える。
岩の上には賽銭こそないが上の写真の様にそれらしい形の岩が置いてある。
槍見岩の手前の岩に白く「槍見」と大書きしてあるので一目でわかる。
ほどなく槍沢ロッジが見える。とはいえ今日は寄らずに通り過ぎる。
あとは見通しの効かない樹林の中を歩くだけである。槍見河原に着いた頃はガスが出てきたのかもう槍は見えない。ここで槍を見たことがないのでどの辺に見えるのかもわからない。横尾に着いた頃には山の上の方は完全に雲がかかっていた。
疲れているのと降りてきてしまった倦怠感であとはひたすら黙って歩く。人も昨日の朝と違い沢山見かける。あとは帰るだけだと思うと自然に歩調も早くなる。すでに歩き方は山のものではなく町歩きの時と同じになっている。そうは言っても行きより少し余計に時間がかかって横尾〜上高地間を歩き通した。河童橋では中高年グループが記念写真を撮っている。
いつもは河童橋から梓川沿いを歩くのだが今日は真っ直ぐバスターミナルに向かってしまった。丁度15分発のバスがあるのでそれに乗ることにする。いつもは往復2000円を買っていたのだが片道で村営第二駐車場まで行くと1350円もするのだった。まだ昼前でも私のような下山者もいてバスはほぼ満席に近かった。とはいえ上高地入りするバスの方が多く釜トンネルまでの道ではバスは何度も行き違いのため停車せざるを得なかった。沢渡でバスから降りるとさっきまで元気に歩いていたにもかかわらず疲労と靴ずれでびっこを引く有り様だった。
短時間で往復できたのは良かったのだが、なんかせかせかして印象の薄い山行となってしまった。とはいえ槍からの眺めと、殺生ヒュッテ付近からの槍の眺めはまた来てもいいなと思わせるだけのものがあった。
END