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2002年11月17日
ロードみえサイクリング大会
10月下旬飛騨はすでに降雪が・・・意外と早く訪れた冬のせいで今年最後の長距離遊びになりそう・・・・・第2チェックポイントには温泉が待っている「センチュリーランで温泉に入る会」推奨大会

な・なまえ入れてくれよぉ〜
110kmAコースエントリー
松阪市工業団地〜R186〜飯南道の駅〜蓮ダム往復
公称       110km
メーター読み  102km
最高標高差   100m

今年最後を飾る自転車長距離遊びは三重県松阪市、紅葉に燃える秋の奥香肌峡を走り抜ける「ロードみえサイクリング」。なんといってもこの大会最大の目玉はコース途中で温泉入浴ができること。ゴール地点近くに温泉がある大会はあれどコース途中のチェックポイントで「さぁ温泉に入っていってください」という大会も珍しいのでは・・・・・。

 飛騨高山は気の早い寒気団の影響で毎日雪混じりの雨、練習コースも積雪で走ることができず練習計画は全てパー、野暮用も含めてほぼ一月ほど自転車に乗っていないため結構な不安がつきまとうがまぁ何とかなるでしょう。

冬型の気圧配置なら太平洋側は間違いなく上天気、始発列車の車窓を彩る空は工業地帯の煙突を紫色で包み始めこの日の快晴を約束してくれた、紫の空は時間と共に群青色のグラデーションに光り、やがて黄金色の冬の朝日にバトンタッチし光の束が窓から一斉に飛び込んできた。
 松阪駅から会場に向かうが、飲兵衛の習性でついつい駅の繁華街方面に車輪を向けてしまい、早朝の繁華街を快走・・・と思いきや路面のガラスの破片のまっただ中に突入!あわてて急停車してみると瓶の割れた物が尋常ではないほど路面に散らばっている。どうやら昨夜松阪市内で暴動かテロがあったらしい(←ありません!)。安全地帯まで自転車を担いでいって歩道に座り込むとタイヤに刺さったガラス片を取り除く、体重も重いせいかかなりの量が刺さっていたが耐パンク性能の高いタイヤで致命的なダメージはなく本当に助かった。早朝道路掃除をしていたおじいさんに一言告げて再びペダルを回した。

 集合場所が変更になったのだが送られてきたのは相当アバウトな地図、しかも工業地帯の真ん中にある駐車場といういかにも目立たない場所、一生懸命会場を探すのだが同じような景色の中をぐるぐる回って狸か狐にバカされたように再び同じ所戻ってくるという「五里霧中ウォーミングアップ」を何度か繰り返えさねばならなかった。そのうち屋根に自転車を積んだ車が一台通り過ぎチャンスとばかりに追走してやっと会場到着。(後にもう一人に悲劇は訪れる)
 受付を済ませゼッケンをもらいチームメイトの都留氏とも無事合流できた。配られた名簿を見ていると佐藤帝王の名前があるのだがどこにもその姿は見えない。普通なら早々と会場に到着して準備万端整えているはず。はて?これは同姓同名同住所かなぁと?マークが5つほど浮かんだ。 

 それにしても、スタッフを見るとその風体と年齢構成が「農協産業祭」のノリである。これは間違いなくキツイ現場には「若いもんがいってこい」という「印籠」が繰り出され楽な現場には黄門様達が居座った結果でしょう。まぁ田舎のイベントには往々にしてあることですから(←経験者は語る)スタッフが産業祭なら進行も産業祭、軽トラの荷台が特設ステージとして披露され、ハンドマイクで「三つ揃」いの大会顧問の挨拶が続く、私も筋金入りの田舎物なので「う〜ん、紅白幕があればさらにポイントが高い」と密かに思っていた。

 顧問の挨拶がクライマックスを迎えたあたりで「受付はどこですかぁ〜〜っっっっ!」。大声と共に現れたのは大王ジャージも眩しい佐藤帝王、「五里霧中ウォーミングアップ」を十分にされていた模様である。これで今回出走のチーム大王のメンバーは揃った。




小グループずつ1分間隔でスタートする。都留氏と私は同じグループ、二人とも次の愛好者ミーティングは是非とも「カタツムリさんチーム」を創設して欲しいと願う低速大王を自認する。
 今回のコースは2カ所ほど大きな坂があるが大したアップダウンもない標高差250mほどの全長110kmの櫛田川上流往復だ。いつもの練習コースは標高の高い所に住んでいるため調子こいてどんどん川を下っていき、いい加減疲れてから今度は上流に遡るという「行きはよいよい帰りはコワイ」パターン。帰りの下りも途中ちょっとした峠はあるものの飛騨の山間部の比ではない。・・・・・はっきり言って楽チンできそうなコースだ。
 櫛田川をどんどん上流に遡ってゆくが、エメラルド色の川面に映る紅葉はルビーを散らしたように転がり、石にぶつかり光を放つ水流はダイヤモンドが七色の光を放つ様、底の玉石は朝日を受けて透明に輝やくクォーツ、赤や黄色の雄大な大自然に抱かれた宝石箱を眼下に眺めて走るコースは最高に気分がいい。知らず知らずにペースを落として川面をなでる風のようになってしまう。やはり最初に睨んだとおりコース上の分岐点誘導や給水ポイントのスタッフは遠いところに行くほど年齢が若返ってゆく。

 大きな楠やケヤキが深紅や黄金の手を振って応援してくれるのだが、そのあまりの見事さに足を休めて写真を撮る。沈下橋、共同洗い場、日本人が忘れかけている川との関わりを持った生活がまだまだ引き継がれているのだろう川にも河原にも目立ったゴミは落ちていない。
 路面状況や道路状況も気になるほどではない、50kmコース折り返し点の第一チェックポイントを過ぎ、山が左右に迫りくるあたりから細くて曲がりくねってデゴデゴ始める。行楽シーズンでもあり行き交う車は多いがそれほど危ないこともないが時々見通しも悪いカーブがあるので注意が必要だ。
 思ったよりアップダウンはあるがそれ程きついこともないむしろこれくらいのアップダウンの方がメリハリがあって楽しいというもの。とはいってもやはり練習不足なのでしょうか何となくいつもと調子が違います、日課のウォーキングもまともにできなかったし筋肉は緩みっぱなしのはず・・・まぁスタート直後よりはずいぶん足が軽くなってきているしもう1時間も走れば何とか調子も戻るでしょう。
 
 それにしても前方を走るMTBの兄さまがちょっとウザい、下りでは猛然とペダルを漕いで猛スピードで追い抜いたかと思うと登りでは大減速してフラフラしながら登る超ワイドギア走法を敢行している。下りで抜かされる分には全然かまわないが登りで前を超低速でフラフラされるとこちらのペースが狂って結構つらいものがある。スルーしても良いのだが登りでスルーするのは車などのかねあいから結構気を使うし体力も使う、しかもスルーしても次の下りではまた猛然と抜いてゆかれるのだ。
 何とか一定のペースで走りたい私だが彼をスルーして引き離すチャンスはなかなか訪れずに登りでの大幅ペースダウンに付き合うことにする。コースもだんだん狭くなり渓流沿いの田舎道で情緒をかき立てられて楽しく走れのが幸いだ。
 さて、ただでさえ遅いのにとこどこで写真を撮りながら走っているためほとんど最後尾近くをウロウロしている。ありがたいことに危険な場所や分岐点には複数のスタッフが待機していてくれて親切に誘導してくれる。できるだけ笑顔でできるだけ大きな声でお礼を述べながら通過するが、途中の道案内の看板をもう少し目立つようにしてもらうと時々よぎるミスコースの不安が解消されることでしょう。
 
 かなり急な登りをフラフラアンちゃんに付き合いながら登る、頂上カーブの先は見通しの良い下りの直線だ。ここで勝負をかけることにして頂上手前でアンちゃんをスルーして前に出るとダンシングして一気に加速する・・・・やっぱり!・・・・アンちゃんは下りに差し掛かると何かにとりつかれたように猛然とペダルを漕いで急速に速度を上げてくる。ここで抜かされてはたまらんと私も加速し次の登りも一気にダンシングで駆け抜けた。はぁ〜・・・・・やっと引き離しに成功した。アンちゃんは予想通り登りで大ペースダウンして遙か後方をフラフラしている。それにしてもあの走り方で最後まで持つのか人ごとながらちょっと心配になる。

 ずいぶん標高を稼いだようでそれまで美しかった紅葉がだんだん色あせ始めた、温泉まではあと少しなのだが最後にダムサイトに続くとどめの大激坂がある。手前の給水ポイントで秘伝パワー食を摂るつもりでいたのだが実にうれしいことにここではバナナの配給がある。時間的にちょうどおなかも空いてへたすれば坂の途中で餓死しかねない状況でのバナナである。パワー食は非常用にとっておいて支給されたバナナをむさぼるように食べると一段落付いた、しかし、大したことないと思っていたコースだがここまでも意外と走りがいがあった。佐藤帝王とも話していたのだが、道路勾配が絶妙で知らず知らずにペダルを踏み込みオーバーペースを誘うのではないかと分析した。
 独特の尖った山を前方に眺め気持ちよくカーブする道を快走するといよいよ9%の激坂が待ちかまえる。あわてず焦らずフロント30t必殺クルクル作戦だ、ポジションはやや後ろ、かかとを落とし気味にペダルを前に押し出すように漕ぐ、はい、クルクルスイスイクルクルスイスイ、ダンシングに入る予定だったが途中で固まってしまい思わず足を着いたお兄さんをスルー、おお!この甘い香りは女性ライダー、少し未練はあるがこれもスルー、おお!足つきお兄さんはデブにスルーされた悔しさからか爆発的パワーで激走再びかわされたがクルクル野郎はいやらしくその後ろを追うのでした。

 「おおおおお!」意外と近かったダムサイト頂上からは絶景が広がる。紅葉はピークから少し下げたあたりでちょっと残念だが、それでもあまりある景色が準備されていた。快適なダム周遊道路約10qをくるりと一周して先ほどの激坂を下ると第2チェックポイント&昼食会場に到着する。ここは110qコース参加者だけが許されるご褒美「温泉」が準備されているのだ。

 ここでやっと佐藤帝王、都留氏と合流、「楽しいコースですねー」と語りあう。昼ご飯は田舎の仕出し屋が慣れた手つきで作ったことが伺えるいかにも「弁当」という素朴な物だがおかずのレパートリーは多い、程々に濃い味付けも疲れた体には大変ありがたく「センチュリーランで食べる会」幹事候補としては合格点を差し上げたい。


ふふふふ、ついに温泉である。佐藤帝王、都留氏とも温泉にはつからずそのまま再スタートするとのこと。しかし、「センチュリーラン(の途中)で温泉に入る会」初代幹事として、お膝元に天下の三名泉「下呂温泉」と露天風呂の数世界一の「奥飛騨温泉郷」をだかえる温泉オタクとしてその泉質を体で感じなければなるまい。

 太っ腹なことにロードみえ参加者は割引料金で入浴できる(500円也)ちょうど紅葉見物の時期と重なり温泉はイモ洗い状態だ。「ムムムム・・・こ、これは」う〜ん明らかにバブル全盛期にリゾート開発とぬかして強引に地中深くパイプを差し込んで掘り出した(注:掘り当てたのではない)「強引地熱温泉」ですなぁ、温泉オタクとしては少々ポイントが低いぞ。しかし、センチュリーランの途中で温泉に浸かるという暴挙が可能なことは自転車乗りとしては著しくポイントが高い(←どっちやねん)。
さてさて、温泉オタクの習性でつい髪の毛を洗ってしまい仕方がないので滴をしたたらせて再スタート。実にさっぱりして気持ちは良く体はほかほかしているがついでに筋肉も緩んでしまったのでこちらが少々難点である。しかし、ここからはほとんど下り基調の快適コース、大半の参加者は温泉でくつろぐバカを後目にとっくの昔にさっさと再スタートを切ってしまっているので貸し切りコースをソロツーリングだ。
満開だった太陽も温泉バカにあきれ果てたらしくその姿を雲の間に隠してしまった。さらに激坂よりタチの悪い向かい風が楽しそうにクルクル渦を巻いている。時間が経つごとに筋肉は調子を取り戻してきたが体は冷えてきた・・・「これだから強引温泉は・・・」と愚痴をこぼしつつギアを軽めにして回転数を上げ体温の回復に努める。

 行きと同じコースを戻るだけなので目星をつけていたポイントで写真を撮りながら下るつもりだったが肝心な光が雲の中ではその気も失せた。それならばと体重にモノをいわせて向かい風をどんどん撃破し一気にゴールを目指す。本当に一気に走り切れそうで予定していた列車より一本早く帰れそうだ。田舎へ帰るローカル線はこの「一本早く」がとても重要なのだ。

 ゴールではすでに普通のおじさまと化していた佐藤帝王に迎えられる。練習不足で不安はあったものの春から溜め込んできた練習の貯金が少しは役に立ったようで各部位とも異常なしでまだ十分走行可能なようだ。

 参加記念品には少々驚かされたがアットホームで親切なスタッフや景色のすばらしさ、文句を言いつつも結構おもしろかった温泉、意外と走り甲斐のあるコースなど次回も楽しみになる大会であった。