2010 山日記



■2010山行記録■


金剛堂山   (1650m)      
2010.11.04(木)晴れ 
 息子の休みに付き合い、金剛堂山に登ってきた。
 近場の山だけに、出発時間もゆるゆる出発がうれしい。7:00家を出発して栃谷登山口に向かった。
 駐車場につくと平日ゆえガラーンとして一台の車もいない。靴を履きながら準備を整えていると白の乗用車が道を隔てた山側に停まった。「山やさんかな?」
 日は射しているが非常に寒く、温かい湯を飲んで身体を暖めていると、単独男性が一足先に登って行かれた。
 私達も8:20橋を渡り歩きだす。鉄板橋の水たまりには氷が張りTが転びそうになった。登山道に入ると、今朝の冷え込みから草に付く霜が溶けスパッスを濡らした。しかし山の冷気は気持ちをシャキッとしてくれ、心地良いものだった。
      
 沢を渡りジグザグの登山道を登り1kmの標識をみる。息子に「先に行って、中金剛まで行って来ていいよ」と告げ、MとTはゆっくり登山道を歩いた。
 落ち葉の上にはちらほらザラ目雪が見られるようになり、昨日の雨と山の冷え込みを想像させた。2km地点を過ぎるとすっかり登山道は雪道になり、雪面にはアートのように落ち葉が配され、この時期ならではの光景を楽しんだ。
 9:50片折岳に着いた。休みもとらず、すぐに山頂を目指し下った。正面には青空のもと金剛堂山がシュガーパウダーを振り掛けたように、白い色合いで手招きしている。
 雪で倒された笹が行く身を邪魔するが、初雪の情緒を一杯感じながら、登高を楽しんだ。振り返れば山裾の紅葉が美しい。足元には新雪が積もる。なんと言う風雅なことか。
      
 予想以上の積雪に満足し、五感を強く感じられる季節到来を鮮明に新鮮に感じ取った。
 10:50頂上に着いた。中金剛から戻った息子が「お疲れさま」と声をかけてくれた。「速いね」と交し、360度の大展望を楽しんだ。今日は風もない。槍、穂高の頂上付近には雲が掛かっているが、乗鞍や御岳は堂々とした素晴らしい山姿を見せつけている。白山も白く輝き美しい。 満足して方位板に積もる雪を掃い、腰かけ場所を確保してリュックを下した。
      
 湯を沸かしていると、先に登られた単独男性八尾のO氏が「奥金剛まで行って来た」と戻って来られた。凄い健脚だ。
 4人で山談議や世情話など交しながらランチを食べ、穏やかな頂上をゆっくり楽しんだ。
     
 O氏を見送り、11:50私達も頂上を後にする。
      
    
 心地よく雪道を下り、片折岳に登り返して、なめこ探しを試みながら、(見つける事が出来なかった)13:25駐車場に戻った。
     
   
 山肌の紅葉に陽が射し、一段と色彩が美しい。ほんの少し前、雪中に居た事が幻のような感じさえした。それでも今年初の雪に出会えた喜びがゆっくり波紋のように広がって心を満たしてくれた。
 下山後は庄川荘でさっぱりとして、帰宅の途についた。
楽々新道 小桜平 岩間道      
2010.10.24(日)曇り 
 先週の笈ヶ岳が日曜日に変更になり、ご一緒出来なかった野々市在住のKiさんからメールを頂いて、16日に楽々新道〜七倉の辻〜岩間道を周遊して来られたそうだ。小桜平小屋は数日前に新築完成したばかりで、楽々新道から岩間道と降り岩間温泉元湯の露天風呂でひと風呂あびてくるのはお勧めコースと情報を頂いた。
 未だ、楽々新道も岩間道も歩いた事がない。車の回収も不要で強く興味がそそられ、もみじ狩りを楽しむ目的で出かけることにした。
 今日の天気は午前中は曇り午後からは下り坂で雨になるようだ。少しでも早い行動を心掛け4:40家を出発して、新岩間温泉 山崎旅館に向かった。
 6:20 新岩間温泉 山崎旅館に着いた。廃墟寸前のような建物が並び、玄関前に営業停止の大きな看板が立て掛けてありいかにも寂しい。旅館前にある駐車場に車を停めると、対照的な真新しい立派な公衆トイレが完成して、駐車場も整備され車が4台ほど駐車していた。
      
 新岩間温泉の駐車場            丸石谷林道を25分間ほど歩くと登山口

 6:35準備を整え、階段を登り神社に安全祈願をして丸石谷林道に入った。25分間ほど歩くと楽々新道の登山口についた。
 楽々新道の登りは等高線が込んでいるので急登と覚悟していたが、足のふくらはぎが伸びて軽い痛みを感じた。登るにつれ慣れてきて、木々も赤や黄色に色づき、足元には渇いた落ち葉がザクザク小気味よく鳴って、気持ちが高鳴った。
      
 楽々新道の登りは急登だ            楽々新道の標高1400m辺りの紅葉 

 次第に緩斜面になると右に谷を挟み加賀禅定道の稜線が横たわり、山腹は錦秋に染まって美しい。「日差しがあればもっと奇麗なはず」と残念がりながら、登山道を辿った。 枯れた狭い沢を渡ると登山道はすっかり様変わりして湿っぽくなり陰気になった。足元には笹が迫り、視界もない山道を延々登ると細尾根になった。左に北アルプスが青く横長に広がり、その神々しさに疲れを忘れた。
 まだまだ先は長い。灌木の中を懸命進むと突然正面が開け、待ちに待った草原に出た。勢い付いて早足で進むと小桜平と書かれた標識があった。地塘の横に細い木道がありそこを進む。
      
 小桜平の地塘                  木の香漂う完成したての小桜平避難小屋 

 息子に「避難小屋で待っていて」と約束してあったが、避難小屋が見当たらない。Mは小桜平に避難小屋があると思いこんで来たので、慌ててしまった。「見逃したのかな?」とTに聞くと「小屋を建てるような場所は無かった」と言い、先に行ってみる事にした。少し登るとTが「小屋が見えた」と大声で教えてくれた。ほっとして登ると小屋が目に入り、小桜平避難小屋の標識もあった。
 10:05新築完成した避難小屋に着いた。屋内に入ると木の香が漂い新築の匂いが芳しい。「いい匂い」待ちぼうけをくらった息子はランチをたいらげ備えのノートも読み終え、身体が寒いと言っている。
 これでも私達一生懸命歩いて来たのに。真新しい板床に座っておにぎりとパンを食べ、少しは馬力が着いた。コーヒーを飲み身体を暖めたが、じっとしているとさすがに身体が冷えた。
 七倉の辻までとは行かないまでも、清浄ヶ原まで行こうか迷っていたが、午後から天気は下り坂、Tの「下山しよう」の一言で決意した。
      
 真新しい快適な避難小屋           小桜平避難小屋を見下ろす(大笠山、笈ヶ岳が良く見える)

 10:30小屋を後にして樅ヶ丘分岐に向け穏やかに登りだした。振り返ると草原に避難小屋が厳冬に堪える覚悟を決め愛しく建っている。その後ろには大笠山と笈ヶ岳が鎮座して、清らかで美しい風景に感動した。あたりには笹の他に紫のクロマメノキの実や赤いナナカマドの実が実り、少しの色彩を演出してくれる。何度も何度も振り返っては、静かな静かな仙境の地を眺めた。
 10:45分岐に着き、岩間道に降る。ごろごろ石の急坂道を慎重に降る。楽々新道はよく歩かれているように思えたが、岩間道はかなり荒れている。しかし展望が抜群で中宮道の間名古の頭の裾が深い谷に落ち込みその山腹の紅葉は色鮮やかで、しかもダイナミックな地形にも目を奪われ感動した。
      
 手前から中宮道、北縦走路、奥は剱岳、薬師の北アルプス            間名古の頭とソーロ谷の紅葉           

      
 薬師山手前から清浄ヶ原を振り返る                 錦秋 

 少し登り返して薬師山に着く。ここからの下りもロープが下がった急斜で、眼下には中ノ川が深く切れ込み、全山の紅葉は見事だった。
      
 五彩染め           幽玄な趣の自然庭園

 また暫く下ると、コメツガに囲まれ巨岩が苔むした天然庭園が迎えてくれ、その美しさに心が癒された。なんと素晴らしいところか。感激しきりだった。
 標高1600m〜1450m位が紅葉の盛りで、まるで狂乱じみている。鮮やかな色彩の洪水に息が出来ないくらい、3人で「わぁ奇麗」「わ〜ぁ奇麗」「わぁ〜奇麗」ただただ心からの叫びを連呼するばかりだった。眼に残像が焼き付いてチカチカして離れなくなるのではと心配なくらい、紅葉色に染まっていた。
      
 紅葉に埋まる           色彩の洪水

 次第に薄緑の葉が林を覆うと川音が聞こえ、青いビニールシートなど木々の間から見え、13:00岩間温泉元湯広場に出た。
 誰にも会わなかった山中だったが、ここには多くの観光客が居てにぎわっている。男性が露天風呂に入っている。広場にも男女10人位の人々が憩っていた。私達は何処か浮いている。露天風呂は諦めて、冷たい沢水で顔を洗い、長い林道を歩き13:50新岩間温泉ゲートに戻った。
      
 野趣溢れ過ぎの岩間温泉露天風呂(まる見え)           林道をひたすら歩き新岩間温泉へ帰る

 今日の山行は山の頂上を踏んでいないので、物足りなさを感じたが、楽々新道の小桜平の広いやさしい風景が心に残った。また岩間道は見どころ満載で充分な満足があった。また機会があれば登ろうとうなずきあう、お勧めコースだった。
 神社に感謝の拝礼をして、駐車場で靴を脱ぎ、着替えを済ませた。車内に入って温かいコーヒーを飲んでいるとフロントガラスに雨が落ちた。
 「早く下山して来て、良かったね。」余りのタイミングの良さに驚き、雨にもぬれず下山出来た事を喜びあった。「岩間温泉元湯広場に居た人達、雨に打たれるね。」まさかこんなに早く雨が降りだすとは、だれもが予想していなかっただろう。
 帰りの林道でも小雨にぬれながら北国新聞主催の“白山、もみじウォーク”の老若男女の参加者が一里野に向かって歩いておられ、お気の毒に思った。
 下山後は大門温泉で汗を流し、さっぱりとして17:50無事帰宅した。

笈ヶ岳(1841.4m)      
2010.10.17(日)晴れ  
 日本100名山踏破のお祝いメールが9月初旬金沢市在住のWa氏から届いた。そのお祝プレゼントに、10月の紅葉期 清水谷からの笈ヶ岳を案内して下さると記されていた。 
 なんという嬉しさ、私達夫婦だけではとても行けないコースのご招待とは、飛び上がるほどの喜びだった。即 受諾して10月のその日を待ち望んでいた。 
 息子の同行もお願いして16日で調整していたが朝方の天気不順を考慮して、17日の快晴日に決行が決まった。 
 無雪期の笈ヶ岳は清水谷をつめたP1128辺りにわさび小屋があり、そこまではしっかりと登山道がある。しかしその上部には登山道がなく、(踏み跡は不鮮明ながらある)頂上直下付近では凄い藪漕ぎを強いられる。大ベテランで笈ヶ岳を熟知されているWa氏なら大船に乗ったも同然、何の心配もいらない。しかし情報集めに各HPを読むと槍日帰り同等、大窓のよう、生半可な気持ちでは登れない、自己責任で、などと不安な助言が飛び交っていた。またWa氏は物凄い健脚者で、特にMはそのスピードに付いて行けるか、体力が維持できるか、迷惑が掛からないかと、心配も多かった。  
 
 16日の前夜、車2台で自宅を出発し、待ち合わせ場所 道の駅瀬名に向かった。22時頃に着き、今夜はここで車中泊した。 
 
 17日、5時少し前にWa氏が到着されご挨拶を交し、氏の先導で中宮まで行き息子の車をデポし、林道終点へと向かった。 
 林道終点には2台車が停まっていて、Wa氏は知人の車だと言われた。まだ明けきらぬ暗闇の中準備を整えていると、幾分薄明るくなってきた。 
 5:35 Wa氏を先頭に取水堰堤へ向かう北電巡視路を歩きだした。Wa氏との出会いは2008.3/8、大滝山でお会いし、2009.2/11白木峰でもお会いした。その後いろいろと山情報など頂いたりしていたが、一緒に山に登るのは今回が初めてだった。 
 和やかに山の話題など話しながら30分程歩くと取水堰堤に着いた。鎖を外し堰堤に入り、左岸から右岸へと渡った。 
        
 Wa氏を先頭に北電巡視路を行く            取水堰堤を通って雄谷右岸に渡る

 雄谷の右岸道は心配するほどの危険場所は無く、よく整備されていて安心して歩けた。ソリクラ谷を過ぎ、雄谷と離れここから本格的な登りとなる。 
        
 雄谷と右岸の登山道            雄谷右岸では河原を歩くところもある

 かなり急登して大瓢箪山からの南支尾根標高950mまで登って、巻き道を行き水晶谷へ降る。 
 滑らないようにロープを掴み、急坂を降り7:15水晶谷に架かる赤い橋(10 月末には撤去される)についた。流れが速く水量も多い。暫し足を止め、清らかながら激しい水流をこわごわと静観した。 
        
 ロープにつながり水晶谷へ降る            水晶谷にかかる赤い橋

 ここから登り返して清水平へ向かう。登りきって巻き道を行くと、山紫水明 清水谷の白い流れが目に入り、一服の掛け軸を思わせる風景は心が癒される美しさだった。やがて平坦地になり清水平に入った。巨木のブナやミズナラの樹が林立し、足元には多様のきのこが生えていた。残念ながら4人とも茸音痴、目だけで楽しませてもらい先を急いだ。このあたりは石川県屈指のブナの原生林、黄色く秋色に染まっているかと期待したが、まだ紅葉には早いようだった。 
        
 清水谷の風景            清水平はまだ紅葉していない

 つま先上がりの小道を登ると笈ヶ岳への分岐があった。横目で見送り8:05わさび小屋手前の小川に到着した。Wa氏はここで水補給をされた。これからが笈ヶ岳の登りとなる。ゆっくり休憩を取って栄養補給をして、気持ちを新たにした。 
分岐まで少し戻り、8:20支尾根に取りついた。急登するとやせ尾根になり、半藪漕ぎに なったり踏み跡が不鮮明になったりして、気持ちも引き締まった。Mは懸命に登るが男性軍には到底及ばない。健脚のWa氏と息子にすぐに離される。後ろでMをカバーしていたTもMのペースでは疲れると言って前へ出た。それでも常に声を出して、「居る?」「居るよ」と掛け声を交しながら登り続けた。先頭のWa氏はMが遅れた頃合いを見計らい待っていて下さった。 
 尾根に出て、軽いアップダウンをこなし登り続けると右に冬瓜山やシリタカ山など見えて来て、懐かしい想いにかられた。やがて正面に殺生岩がドーンとそそり立っているのが見え、「ここまで来たか」と満足しながらやせ尾根を登ると9:50殺生岩に着いた。 
        
 尾根上からは冬瓜山やシリタカ山など見える 奥は白山           殺生岩の右を巻く

 男性軍が休憩していてMも腰を下し、白山方面の景色を眺めながら栗おこわを食べた。 
 ここからが核心部、殺生岩の右側を巻き込み、長い岩場を出来るだけロープに頼らず慎重に登って尾根に出た。尾根に出るとすぐに草付きの痩せ尾根になり、ロープに頼って登りきった。左にはたおやかな大笠山が紅葉して美しく輝いている。 
        
 殺生岩を回り込み尾根に登る               殺生岩を横上から見る、このあたりは紅葉が進んでいた            

 次第に緩斜になったが、その先は藪漕ぎが待っていた。今日はWa氏がリードして下さるのでメンタル面では非常に楽だ。概ね尾根上に踏み跡はあるが、左右にそれると全く先行者が見えなくなり、不安になる。声を出して「何処?」と叫ぶと「こっち」と返ってくる。もう背丈よりササ藪のほう高く、その中を潜ると言った感じだった。 
        
 藪の中でハイポーズ           Wa氏の知人Mu氏とバッタリ、今日の登頂は5人だけ

 頂上直下でWa氏の知人(単独男性)が下山して来られた。お二人は親しく山情報など交換され親交を深められていた。その間、話を聞いていてもほとんどが藪漕ぎのチンプンカンプンのマニアックな山名の話で、ただただ凄い人達だとあきれるばかりだった。 
 男性を見送り、また背丈の高い藪を急登すると「着いたぞ」と上部からTの声がした。心躍らせ藪を漕ぎ分けると11:10突如 頂上だった。 
        
 頂上で、Waさんありがとうございます           頂上からの大笠山

「わぁ〜やった」無雪期の笈ヶ岳頂上に立てるとは。感慨深い喜びがあった。見覚えのある山名柱が立ち、正面には白山が大きい。感謝の意を込めWa氏に握手を求めた。氏は静かに笑顔で返して下さった。 
 頂上からは剱岳、槍、奥穂、乗鞍、御岳、などすっきり遠望出来、大笠山や千丈平の紅葉も盛りで日に照らされ色濃くとても奇麗だ。日本海も見え360度の大展望に大満足だ。ようやく落ち着いて、腰を落としランチタイムとした。穏やかな日差しに包まれた頂上で、各自、思い思いに至福の時を楽しんだ。 
 11:45 Wa氏の「気をつけて降りましょう」とお言葉を頂き、下山開始とした。
 正直、予想していたよりも登りはきつくなく、まだ余裕があった。しかしこのコースは降りが大変だと言うことが身にしみて分かった。
 藪漕ぎの降りでは、踏み跡を見つける事が難しい。ベテランのWa氏がリードして下さるから安心して降れたが、調子に乗って降ると踏み跡から大きくそれる。また殺生岩への降り岩場でもロープが細く頼りきれない怖さがあった。またわさび小屋に降る支尾根に入る個所や方向を変えて降る場所など細心の注意が必要のようだ。地表も粘土質で急坂、よく滑る。両手で木々や枝を掴みなから速度を殺しながら降らなければいけない。そもそも足場が安定せず、滑り台を歩いているように感じた。降りの好きなMもほとほと疲れ、何回も滑ってしりもちをついてしまった。 
 13:35わさび小屋分岐に着いた。清水平は難なく通過出来るが水晶谷までの巻き道も登って来る時は感じなかったが、足場の傾斜が微妙に谷に落ち込んでいる。足を滑らせると谷に真っさかさまだ。気が抜けない緊張の連続だった。それにしてもWa氏の降りは速い。それに付いていく息子にも驚き感心した。 
 14:15水晶谷に着いた。Wa氏はテンカラ釣りの名人だ。時間もあるので岩魚釣りの妙技を見せてもらった。岩魚と知恵比べ、かけ引きが堪らないようだ。その間、大きな岩魚が2匹も食らい付いた(本当は4匹、2匹は取り逃がした)。Waさんの勝ち、もちろんキャッチ&リリース、大きな岩魚は悠々と水面に消えていった。ちなみに10月からは禁漁なのだそうだ。岩魚の大きさと名人技に興奮して、14:40水晶谷に別れを告げた。 
       
 水晶谷から登り返したとこで、笈ヶ岳を振り返る          明るい時間に着きました、ありがとうWaさん

 谷の急斜面をロープに掴まりながら登り返し、巻き道入った。ここも足場の傾斜が谷に落ち込み、滑ると谷に滑落して助からないだろう。緊張の連続で一歩一歩集中しながらの降りだった。こんなにきつい斜度をよく登ったものだと、下山時になってようやく只者ではないこのコースに感服した。 
 15:45男性軍が待つ取水堰堤に着いた。やっと張りつめた心を開放して、北電巡視路を延々と歩き16:25車デポ地に着いた。 
 Wa氏のリードよろしく無事に明るい内に帰還できた。やはり期待通りの思い出に残る素晴らしい山行だった。 
 下山後 Wa氏の知人である畑氏がオーナーをされている、中宮にある深山料理“けがさ茶房”に立ち寄り、コーヒーを飲んだ。 
       
 わさび小屋の代表畑氏が経営される“けがさ茶房”          登山道修復、ありがとうございます

 畑氏は、わさび小屋の代表をされており、お仲間とご一緒に笈ヶ岳の登山道の整備や修復をして下さっているのだそうだ。降るだけでも不安定で大変危険な場所なのに、そこに留まり作業をされるとは、頭が下がる。深く感謝して尚話を聞くと、冬になると雪崩が巻き道を削り、一年で登山道が無くなってしまうのだそうだ。気が遠くなるような話だった。 
 オーナーが美味しいナラタケのお味噌汁をごちそうして下さった。ぬるぬるして舌触りがよく、歯ごたえがサクサクとまたよい。そしてなんと甘いことか。今まで食べたキノコの料理ではピカ一の美味だった。身心とも温まり、Wa氏ともゆっくり歓談でき、幸せな時間を過ごす事ができた。 
 またWa氏は帰りの温泉入浴券まで用意していて下さり、何から何まで、心の行き届いたおもてなしに恐縮するばかりだった。本当にありがとうございました。こころからお礼を申しあげます。 
 お気づかい頂いた白山里の温泉で汗と疲れをとり、金沢で夕食を食べ21:00無事に帰宅することが出来た。大満足の長い長い一日だった。 
 
雨飾山(1963m)      
2010.10.11(月)小雨のち晴れ 
 連休にあわせて下の廊下を計画していたが、前半の天気が良くない。ここは諦めて雨飾山の紅葉を見に行くことに決めた。
 5:00家を出発して雨飾山登山口へと向かう。予報では晴れるはずなのだが、R148を小谷温泉に左折するとますます濃灰色の雲が低く垂れこめ、期待外れの空に心までも曇った。
 小谷温泉を過ぎ、狭くなった林道を走るが後方に車の影も無く寂しい限りだ。登山口に向かうべく、右折して少し走行するとなんと言う驚き、今までの閑寂がうそのよう。道の片側路肩にずらりと車の列が続く。Uタンーもままならずいやおうなく登山口駐車場まで行き、引き返して下方の第二駐車場に車を停めた。
 準備を整え車道を歩きだす。すぐに笑顔の女性と目が合った。何処かで見た顔、そう「本間さんですか?」「はい」長年山に登りながら、会うことの無かった元さんご夫婦だった。まさか今日会えるなんて。偶然の対面は大きな喜びだった。握手をして挨拶を交わし、興奮しながら一足先に頂上へと向かった。
 トイレ棟の前には団体の登山者が大勢いて、快活な声が飛び交う。色とりどりの服装を横目で見ながら、7:35登山口を下った。
 灰色の空ながら、登山者は元気に隊列を成し、大海川河原の木道を軽快に歩いた。これほどの人々の願いも空しく、空からは無情にも小雨が落ちた。
        
 大海川河原の木道を行く            荒菅沢が見えてきた

 木道が終わり、尾根に取りつくと樹木が繁茂してそれほど雨は気にならなかった。急斜面を登り、ブナ平に着くとここでも多くの登山者が休憩していた。団体さんを追い越すにはもってこいの場所、先を急ぎ泥んこ道を交しながら進むと降りになり、8:45荒菅沢に着いた。
 どこもかしこも登山者で満員、休むにも休めずそのまま進むことにした。滑る狭い急登では渋滞が起こり、待って居ると雨具を着なかった為に身体が冷える。にぎやかなのは良いが、これほどでは興ざめだ。上部岩場のハシゴではもっと渋滞が起こると察し、少しずつ前にだしてもらい、ようやく団体群からのがれる事ができた。
        
 ヤセ尾根に出ると岩壁の紅葉が見ごろだ           岩場を登る登山者

 見晴らしの利くやせ尾根に着くと雨も上がり、左に布団菱岩峰群とその岩肌や岩壁の紅葉が見ごろで魅了された。岩場を登り終え9:45笹平についた。
        
 笹平はガスの中            雲が流れ、頂上が見えてきた

 相変わらずのガスで雨飾山の頂上は見えない。笹中の登山道を軽く登降して歩き進めると、コル手前で霧が晴れ、頂上も見え出してきた。
 最後の急登を登り終え、10:10息子が待つ頂上に着いた。もちろん頂上も満員だったが焼山側に場所を取っておいてくれ3人でゆっくり休憩することが出来た。
 次第にガスが晴れ、焼山、火打山、金山、天狗原などすっきり見えだして、頂上では歓声が上がった。茂倉尾根の紅葉も見ごたえがあり、雄大な眺め、素晴らしい色彩、景色を心ゆくまで堪能出来た。
            
 頂上からの大展望 (焼山、火打山、金山)           元さんこと  本間ご夫妻と

、  本間ご夫妻が頂上に着かれ、記念写真を取らせてもらい11:00下山開始とした。(頂上で高岡在住の女性の方から、我がHPを見て下さっていると声をかけて頂いた。謝辞は述べたが、お別れの言葉も交わさず下山してしまった事が悔やまれた。ここに無礼をお許し下さい。)
        
 ビロードのような笹平           ハシゴの渋滞、やっと順番がきました

 澄み渡った空の下、足取りも軽やかに下山をする。登山道は登降の登山者で大渋滞、もうここまで来るとうんざりするほどだったが、それだけ紅葉時の雨飾山が愛されている証拠なのだろう。
        
 茂倉尾根の紅葉を眺めながら下山する           青空に突く岩峰と紅葉にうっとり(荒菅沢)

 荒菅沢に着くと朝は雲がかかって何も見えなかった源頭部の険しい岩峰もすっきり見渡せ、もう思い残すことはなにもなかった。
 巨木のブナに別れを告げ、坂道の登山道を降り、木道脇の小川に泳ぐ岩魚に目を奪われ、せせらぎで靴の泥を洗い流し、13:20登山口に戻った。
        
 巨木ブナが点在する           登録有形文化財の山田旅館

 下山後、小谷温泉、山田旅館(500−)の源泉かけ流し温泉に身を浸し、さっぱりとリフレッシュして家路についた。すべてが楽しい大満足の一日だった。
 翌日 本間さんの奥様が怪我をされた事を知り、手ばなしでは喜べない思い出に変わった。

大日岳(2501m)      
2010.9.26(日)晴れ 
 好天に誘われ、大日岳に登ってきた。息子は喉の痛みを伴う軽い風邪だったが、秋日和の大日岳頂上に立ちたいと同行した。息子の山登りも今回で6座目となる。
 5:15家を出発して、称名滝駐車場に向かった。今日も明け方の空に北アルプスの山並が鮮明なシルエットを描き美しい。
 称名滝林道の桂台ゲートに着くとゲートはしっかり閉ざされていて、ゲートの前に車が一台停まっていた。案内板を見ると7時まで開かないらしい。30分程待つと車の列が出来、定刻には開門された。
 駐車場に着き、登山靴など履き7:10歩きだす。10分余りで大日岳登山口に着き山道にはいった。
 急斜面をジグザグに切られた登山道を登って行くと、称名川川床も低くなり悪壁の城も目線に迫る。暫く歩くと猿が馬場に着き、その先に崩落した斜面が現れた。
 思った以上の規模で、その崩壊状態に自然の猛威を感じずにはいられなかった。崩落地にはピンクリボンと黄色いペンキで石に数字が印され標となっていた。落石をさせぬように慎重に登り、従来の登山道に合流して、牛の首に着いた。
 新しい鉄製のハシゴが新調され登り易くなっていたり、岩場には石を削り平坦にしたりと、安心して歩けるように手が入れられ、山小屋の方のご苦労がしのばれた。
        
 崩壊地を 落石を起こさぬように登る             大日平小屋が見えてきた

 大日平に出て広々と視界が開け、木道を歩き9:05大日平小屋に着いた。大日小屋泊の登山者でベンチが一杯なので少し先の木道脇のベンチまで行き、ここで休憩を入れた。
 快晴の空に大日岳が聳え、広い草原は心を爽快にした。「さあ行くぞ」気を引き締め木道に乗る。頂上で落ち合うことに決め、Tと息子は先に行きMはその後を追った。緩い勾配を登って行くと次第にゴロ石の登山道になり、2度ほど渡渉して、またジグザグに切られた登山道を黙々と登った。眼下には赤い屋根の大日平小屋と木道が小さく見える。
        
 広大な大日平から頂上に向かう            登山道から薬師岳や弥陀ヶ原を望む

 もうそろそろ巻き道かと期待を寄せながら根気よく登ると視界が開け、快晴の空に大日小屋が見えた。トラバースの岩場を登り、11:15コルに着いた。
 剱岳が堂々と聳え雄姿を誇示する。写真に収め頂上に向かって左折した。もう花々は何もない。チングルマの葉が赤く紅葉してほんのわずかに残ったワタゲの種が秋の終わりを告げているように思われた。
 11:30Tと息子が待つ頂上に着いた。二人はコルでも待ち、15分前に着いたそうだ。剱岳はもちろん奥大日、立山など素晴らしい風景に魅了された。だた先週登った猫又山にはすっぽりと雲がかかっていて残念だった。
        
 頂上で

        
 頂上からの剱岳         頂上からの立山

 腰をおろし、休憩に入ると雄山方面には雲が流れ込んで来た。谷あいの斜面では紅葉が見られるが本格的な紅葉にはまだ早いようだ。
 無風の頂上で剱岳を観望しながらランチを食べ、コーヒを飲みゆったりと過ごす。ただ息子の体調がすぐれず、食欲もなかった。
        
 下山時にはガスに包まれた            涼やかな秋風は心地よい

 12:10下山開始とする。爽やかな秋風に頬をやさしく撫でられながら心地よく降り、大日平小屋で小休して、牛の首ではザクロ谷側に設置してあるハシゴ下で岩を削って足場の修復をしておられる方にお会いした。登山者の安全を願いながら、だれにも気付かれない縁の下の力、頭が下がる。お礼を述べ有難く通過した。
 崩れやすい崩壊地を慎重に降り、ジグザグの登山道を快調に歩き15:00登山口に着いた。 
 称名滝道路には韓国観光客やファミリーが大勢行き来して、大いににぎわっていた。
 15:10駐車場に着き、着替えを済ませ、吉峰で温泉に入って帰宅の途に着いたが、息子の風邪は悪化して熱が出た。よく頑張って登って来たものだ。しかし山は自己責任、自己の体調は人には判らない。特に大人になると我慢をするのでなおさらだ。諦める勇気、断る勇気も必要だとおもう。

大猫山(2070m) 猫又山(2378m)      
2010.9.19(日)曇り時々晴れ 
 連休を利用して、一週間東北の山を計画していたが天気が良くない。その計画に使った労力を考えると随分惜しい気もしたが、ここは諦めた。
 息子に、10月初旬に大猫から猫又山に連れていくと約束していたのと、 先日「元さんの山歩き」の本間さんから百名山完登のお祝いメールを頂きぐっと親しみを感じ、9/18付けのHPにはこの連休は大猫、猫又、赤谷に出かけられると書いてあった。「誰か来ないかな」ととも書いてあったので、今まで一度もお会いしたことがない元さんにお会い出来るかもと期待して、前倒しで出かけることにした。
 5:10家を出て、一路馬場島へと車を走らせた。馬場島に着くと連休とあって全国から登山者が集い、満車状態だった。
 左折してブナクラ駐車場に着くと、車が谷側に疎らに7台停まっていた。思ったより閑散として、寂しささえ感じてしまった。
山側に車を停め、準備を整え6:50大猫に向かって登山道を登りだした。
急登をしのぎながら登ると、背後には剱岳がくっきり大きく見えスカッとさわやかで足も心も弾み、順調に高度を稼ぐ事ができた。
        
 急登を延々登ります            いつ来ても素敵なところ(大猫平)

 アップダウンをこなし大岩をロープで降り、少し登ると今日初めて人に出会う。ご夫婦で「コースは?」と聞かれ「大猫〜猫又〜ブナクラです」とお答えして、先に出た。
 9:15大猫平に着いたが、紅葉はおろか草紅葉もしていない。それでもいつもながらの剱岳と北方稜線がクールに聳え、私達を魅了させた。
 地塘を回り込み、大猫平を俯瞰しながら一登りして10:05大猫山に着いた。
        
 紅葉はまだまだ先のよう(大猫平見下ろす)           大猫山は剱岳の展望台

 今日の天気は曇り空だったが、山々の展望は素晴らしく鮮明で心憩うものだった。腰を下し、栄養補給してゆっくり休憩を取った。大猫には何回か来たが、こんなに眺望が良いのは初めてだ。
 10:20腰を上げ猫又山に向け歩きだす。軽いアップダウンを繰り返し、草原を横切り、消えかけた登山道を踏み、花崗岩の大岩や巨石に目を配らせながら高度を重ね、草付きの急登を登ると森林限界となり稜線に飛び出た。
        
 猫又山に向かう(左釜谷山と右猫又山)           花崗岩の巨岩がアクセントになり美しい

        
 猫又山の全容           花を終わらせたお花畑を横切る

 穏やかにザレた斜面を登り、ブナクラからの登山道と合流すると、下方から団体の登山者が登って来るのが見えた。頂上はもうすぐ、草原の中に踏まれた登山道を登り、平坦地に着くと単独男性が休んでおられ軽く挨拶を交わし頂上に向け歩くと、単独男性が降りて来られ「大猫から?」と聞かれた。「強いですね」とお褒めの言葉を頂き、息子とTが待つ頂上に12:00に立った。
        
 猫又山頂上

 360度の大パノラマ、富山湾、白馬三山、五龍、鹿島槍、剱岳、見あきぬ絶景、思う存分親子だけの貸し切り頂上を楽しみ、ハイマツの茂みに入ってランチタイムにした。息子が「最高の登山道と最高景色、猫又山大好き」と感激して喜んでいる。案内した甲斐もあるというものだ。
 団体さんも頂上に着き、女性の明るい歓声が聞こえる。東京からの男女15人グループだった。5:30から歩かれたそうだ。それにしても猫又山だけに遠路遥々登りにこられるとは、その情熱に頭が下がった。
        
 猫又山頂上からの釜谷山と毛勝山                              東京から来られた御一行様

 12:35下山開始とする。雄大な大自然の中に大きな剱岳を眺めながら降る。ガレ場を降り、灌木帯に入ると熊笹が登山道を塞ぎ隠し足場が判らず難儀したが、それでも懸命に降り13:50ブナクラ峠に着いた。
        
 絶景を眺めながら猫又山を後にする          ブナクラ峠に向かう細尾根を行く

 頂上でお会いした富山からの男性と剱岳の写真を撮りに来られた千葉からの男性が合流して、4人で暫し休憩を取った。
 14:00登山口に向け降り出す。大石のガレ場でMがバランスを崩し転倒したが、奇跡的に怪我もなく胸を撫で下ろした。千葉のKa氏と戸倉谷出合いまでご一緒して、沢で顔を洗い小休して、あとは長い長い登山道をひたすら降り、15:50登山口に着いた。
 今日は残念ながら元さんにお会いすることが出来なかった。それでも素晴らしい眺望と大猫からブナクラの周回が出来た喜び、息子の感激ぶりなど見ていると、大きな満足が得られた。

ブナクラ峠からの下山時、草が払われていた。駐車場に着くと大猫の登山道上部から、草刈りの音がして、その方のご奉仕によるものたっだのかと感謝の念が高まった。お礼を言いたいと思っていると草刈りをして下さっている男性が降りて来られた。
 感謝の言葉をお掛けすると、笑顔のやさしい方だった。登山道を拓いてもう17年になるそうだ。ブナクラ会のメンバーも年を取り、こうして活動出来る者はもう2人だけになったと言われた。「胸が痛い」登山道の整備をして下さっているからこそ、私のようなものでも山に登れる。とても有難く感謝に堪えない。
 なんとかみんなで協力出来ないものか、呼びかけは出来ないものかと痛感したが、不甲斐ない我には策が見当たらず胸が苦しくなった。ブナクラ会の男性に深々と感謝のお辞儀して、車に乗り込んだ。
 馬場島に着くと朝より車が多く路上駐車も当たり前のようになっている。息子に早月尾根の登山口を教え、湯神子温泉で疲れと汗を流し、富山市内で夕食を食べ、20:00無事家に戻った。

北ノ俣岳(2661m)      
2010.9.5(日)晴れのち曇り  
 今までTの山道具や山衣料など一式を借りていた息子が、一通りの山用品を買い揃えた。登山靴の初慣らしも兼ね、今週は北ノ俣に登ってきた。 
 4:40 家を出発して八尾に向かう道中、北アルプスの稜線がくっきり空に浮かびあがり今日の好天を確信させ、安穏に飛越トンネルを目指した。 
 R471の駒止橋を左折して、大規模林道を走り山之村に入った。爽やかな空気を感じながら林道を走り飛越トンネルに着くと10台位の車が停まっていた。しかしもうこの時間では人の気配は全くなく、静まりかえっている。 
 登山口に近い場所に駐車して、準備を済ませ6:55 Mが先頭で登山口を登り出した。 急登して、小さなアップダウンを繰り返し、葉が大きく茂った水芭蕉が繁茂するぬかるみの湿地に着く。輪切りの幹が敷かれ不用意に足を置くと滑り、注意をしながらぬかるみを避けては登り降りをこなした。シラビソの根が地表に絡まり張った登山道を懸命に登ると8:20神岡新道分岐に着いた。 
        
 アップダウンを繰り返し、神岡新道分岐へ向かう            穏やかな草原を行く

 小休して、寺地山へ向かう。穏やかな草原を青紫色の涼やかなヤマリンドウをながめながら行くとご夫婦が下山されて来た。避難小屋で泊まられたそうだ。小さな鏡池を見送り一登りすると9:15寺地山に着いた。 
        
 寺地山に向かう途中笠ヶ岳も良く見える             これでも池と言えるのか 今日の鏡池はハート型

 先に着いた二人は少し下った見晴らしの良い場所で待っていてくれた。あんなに良い天気だったのに北ノ俣岳には黒部五郎側から雲が流れ込み、山容の半分は見えなくなっていた。まだかろうじて薬師岳の全景は眺められたが時間の問題だった。ちょっとがっかりしながら北ノ俣岳に向け降った。 
      
 寺地山から薬師岳             寺地山からの北ノ俣岳

 Tと息子の姿が見え無くなる。Mはマイペースでその後を追う。森林限界を抜けるとハイマツ帯になり、正面にはおおらかな北ノ俣のすそ野が広がった。  
 9:55避難小屋分岐で腰を下し休憩して、いよいよ北ノ俣の登りの木道を歩き出す。 雪の重みでかすがいが外れ歩きにくくなっていたが、振り返れば見晴らしも良く寺地山が段々低くなっていった。草原はまだ草紅葉とは言えず、中途半端な装いだ。高山植物の花はもうなにも咲いていなかった。雨でえぐられた登山道の脇を歩き、高度を増していく。ますますガスに包まれ、ただただ黙々と与えられた仕事をこなすよう気持ちで登っていった。単独男性の下山者3人にであったが、何も言わず一礼をするだけ、この天気では気分も乗らない。 
        
 草紅葉にはまだまだ日数がかかりそう             心が癒される地塘が点在する風景

     
 一瞬雲が流れ北ノ俣岳が姿を現す            雲中まっただ中

 前回来た時(06 9/23)ハイマツが覆いかぶさり登山道が狭くて歩きにくかったが、ハイマツが広く刈られ歩きやすくなっていた。ザレ場を登り小高いピークを穏やかに降ると縦走路に出て、少し歩くと11:35北ノ俣山頂に着いた。 
     
 風が強く寒い            少し回復して

 霧の中に若者4人が浮かびあがった。その奥の石積ケルンの陰に風を避けTと息子が休んでいて、座る場所をあけてくれた。石に腰かけると太陽で温まっていて心地が良い。4人の若者を見送り(明日は赤木沢だそうだ)、ゆっくりランチタイムを楽しんだ。少しはガスが晴れ薬師だけでも顔を出さないかと待った。 
 北ノ俣は縦走路のただの通過点、赤木沢を登ってきた2組を迎え見送り、苦労した割に地味な登頂に訳もなく寂しい想いがあった。 
      
 道のりは長い、気合いを入れて降る           避難小屋で水の補給

 12:15下山開始とする。途中避難小屋で冷たい水を飲み、寺地山を登り返し、神岡新道分岐で一休みして、アップダウンをこなし、15:45駐車場に着いた。 
 息子にオnewの登山靴の感想を聞くと、「最初は重く感じたが慣れると気にならず足になじみ、さすが○○」と満足げだった。それにしてもMでさえ休憩を入れ4:40で頂上に着いている。Tと息子はもっと早い。この先の山行を考えると怖くなってくる。 
 着替えを済ませ、帰路はかねてより気になっていた、山之村トンネルを通り和佐保に降る県道を走ってみた。積雪時山之村に入れる唯一の道、残雪の和佐府ゼッコを何人かに薦められたが、まずはアクセスが心配だった。案の定良い道とは言えない。くねくね曲がりくねったカーブの連続、狭い道、片側断崖、長い距離、あまり通りたくない道路だった。また廃滓堆積場を見た時、大きな驚きとその異様さに心が曇った。 
 R471に出ると沈んだ気持ちも少しは晴れた。割石温泉に立ち寄ると、湯あがりのクラブ山仲間(7人で乗鞍岳に行って来たそうだ)とばったり出会った。百名山完登の祝辞などもらい、慌ただしくお別れをした。 
 ゆっくり温泉に入り、疲れと汗をながし、充実した満足に包まれ、家路へと急いだ。 

■2010山行記録■