2011 山日記



■2011山行記録■


二上山  (274m)          
2011.12.10(土)晴れ
 余りにも良い天気なので、午後から二上山に行ってきた。
 コースは城光寺の滝を遡るミニ沢登り。去年、M一人で登ったが、Tはまだ登ったことが無いので、案内することにした。午後からの時間には丁度満足度もありよいコースだろう。
   
 滝の横を登り出す          冒険開始

   
 思った以上の水量だ          短い足をさあ伸ばしてGo

   
 大滝前で          冒険おしまい

水量が多く、ミニ滝下で長靴より深い淵があり、高巻きする場面もあった。  城光寺Pへ降る登山道で、山仲間のMさんとSさんにお会いした。

大熊山 (1628.5m)          
2011.11.27(日)晴れ
   去年、大熊山に登った時の剣岳は壮観だった。その眺めを再度見たいとTakeと三人で出かけて来た。
 家を6:10出発して馬場島へ向かう。馬場島のゲートが閉まっているのではと心配したが、通行可で一安心する。道端に雪が見られ、次第に路面にまでうっすら雪が積もって、普通タイヤの走行は緊張が強いられた。
 藤橋手前を右折して、雪道の林道を走行してUカーブまで来たが、タイヤが空回りし前進しない。バックして平坦地まで降り路肩に車を駐車して、登山準備に取り掛かった。
 7:40歩き出す。昨日のものと思われる足跡が雪面に残り、たとえ半分だけでもトレースがあれば大助かりと勢い付いた。
 鎖の通行止めを跨ぎ、林道を歩いて尾根取り付きに着き、7:55登り出す。
   
 林道を歩きだす          慎重に急斜面を登る

 快速のTakuには先に行ってもらい、Tと二人で風雪に耐えた巨木の立山杉を眺めたり、滑落しないように気をつけたりしながら急斜を登った。Tもペースを上げ離されたが、P1264を過ぎたあたりで、二人で待っていてくれた。
   
 風雪に耐えた立山杉に再会   清々しい真っ白な雪道

 スノーシューを履いた二人の後をツボ足で歩こうと目論んだが足が沈み、頂上で待ち合わせることにして、Mもカンジキを履き、二人の後を追った。
 今年初の雪の出会いだったが予想もしない大雪の遭遇に風情など感じることなく、ただ懸命に登り続けた。年を重ねるごとに感情の振幅は小さくなるのだろうか。嘆かわしいことだと思いながら、静寂の中真っ白なトレースの雪道を延々と歩いた。去年歩いて長い距離だったと憶えていたが、これで最後の登りかと期待してもまた先に登りが待っていた。それでもいよいよ平坦地に出て、Tの呼び声が聞こえ11:10頂上に着いた。
   
 風除けベンチで寛ぐ二人        穏やかな富山湾と空

   
 うさぎの舞踏会?          威厳ある剣岳

 30分間以上待っていて、心配していたのだそうだ。上着を着て、360度の大パノラマを楽しむ。剣岳や大日岳や毛勝三山や富山湾や白山を眺め満足して、風除けベンチの真ん中に入れてもらい、温かいカップ麺を食べ身体を温めた。
 今日は私達だけの貸し切りの頂上だった。こんなに雄大な景色を眺めながらゆっくり酒やコーヒーを飲み、心を癒す。なんと贅沢なことだろう、幸せを感じる。
 今日は残念ながら昨日の様な、抜けるような青空では無かった。しかし昨日の登山者のお陰で労せず、頂上に立てた。Takuは少し物足りなさを感じたようだが、私達は大いに感謝した。
   
 毛勝三山を眺め下山開始        剣岳にお別れ

 11:55下山開始とする。朝休憩したP1264手前でスノーシューを脱ぎ休憩後、急降下の尾根を降る。朝は着雪だったが、気温が上がり雪が解けだしよく滑る。設置のロープに助けられ13:40尾根取り付きに着いた。やっと緊張も解けゆっくりと林道を歩き、車デポ地に戻った。
 下山後はつるぎ恋月(600−)のつるつるになる黒い泉質の温泉に入り、冷えた身体を温め、満足しながら帰路についた。


後日、 カケヒ氏よりメールを頂き、前日26日に氏と男女2人計3人でラッセルしてくださったことが判明した。心からお礼を申し上げたい。

牛岳 (987m)          
2011.11.9(水)晴れ時々曇り
 Mの風邪がTにうつり、暫く山へは行けなかった。好天気に誘われ、仕事を休み久し振りに二人で牛岳に登って来た。
 登山口に着いたのが11時と遅い時間だったが、頂上からの眺めもよく、ナメコ狩りや適度な疲れも感じ、満足のいくものだった。
   
 道草しすぎ、しっかり登ろう               名残の紅葉を見上げる

   
 砺波平野を眺めランチタイム、しかし寒い              立派なナメコ、しかし最盛期は12〜1月

錫杖岳 (2168m)          
2011.10.30(日)小雨   
 9月、リーダーNi氏から錫杖岳のお誘いを受け、願っても無い山行にTakuが同行させて頂くことになっていた。悪天のせいで何回か順延され、30日に決まったものの、Takuは日曜出勤のため参加できなくなった。折角の御厚意を無にしたくない。Mがピンチヒッターとして参加させていただくことになった。
 攻めの山登りから久しく遠ざかっているうえに、3〜4日前から風邪をひき、咳と関節の痛み、気だるさがあり、身体がシャキッとしない。皆さんに迷惑がかかるのではないかと大きな不安を抱えたまま当日を迎えた。
 4時高岡を発って、富山西インターで一人、栃尾温泉で一人合流して、参加者10名は、中尾高原口駐車場に6:30についた。
 今日の天気は曇りのち雨、午前中はもち堪えてくれると期待していたが、上宝あたりから雨がボツボツとフロントガラスを濡らした。出発時から上下の雨具を着こんで6:45クリヤ谷登山口へ向かった。
 6:50槍見館前の登山道を登りだす。雨が止み急登の登山道を登ると汗が噴き出した。上着を脱いで先行メンバーを追う。振り返れば厳つい焼岳がくすんだ色調でそっけなく鎮座していた。薄暗い登山道を行き、クリヤ谷を渡渉して左岸を暫く登ると前方が開け、錫杖岳大岩峰が見えてきた。もうそろそろ錫杖沢出合だろうかと大きな期待が膨らんだ。
      
 クリヤ谷登山口を登り出す           クリヤ谷の徒渉

   8:05錫杖沢出合分岐に着く。05.8クリア谷から笠ヶ岳へ登った時、見つける事が出来なかった場所だった。「ここだったのか!」とうれしく納得して、皆が揃った所で登山道を離れ、錫杖沢出合に下りた。
      
 登山道から錫杖岳の大岩峰が見えてきた          錫丈沢出合から錫杖岳と錫杖沢(左)を眺める

 大岩峰群がそそり立ち、その左鞍部から大岩が崩れたような荒々しい錫杖沢が見える。今回の山行に当たりKa氏が7月偵察登山をして下さっていて、道迷いの心配はない。大船に乗ったつもりで8:15まずは岩屋に向け出発した。
 伏流のクリア谷には水はない。大石や巨石を渡り錫杖沢の右側に取りつく。インターネットではクライマーの道と書いてあり、明確な踏み跡を想像していたが、取り掛かりは岩登り状態だった。少し登ると踏み跡が読み取れたが、すぐに左に降る踏み跡を見て、沢に入いり、沢登りが始まった。 「ここを登ればすぐ岩屋だよ」と頼もしいKa氏の声が聞こえ、「どんなところだろう」と想像しながら、沢を登ると正面に巨岩が現れ8:50岩屋に着いた。
      
 適度の緊張を持って登り出す           巨岩の岩屋に驚く

 想像より大きな岩で、えぐれて庇の様になり休憩所にはもってこいの場所だ。ここで記念写真を撮って休憩していると雨が降り出して来た。
     
 リーダーを囲んで「ハイ チーズ」          


 9:00気持ちを引き締め、Ka氏を先頭に岩屋の右の沢を登り始める。岩を攀じ登ったり乗り越えたりしながら懸命に仲間の後を追った。足が短く届かない岩は若いKaさんが上から引っ張ってサポートして下さり、非常に助かった。岩石は滑り三点確保に徹し集中して乗り越えて行った。
      
 雨足が強まってきた           二俣から見た西穂高岳

 9:40二俣に着き、小休して右俣に進路を取る。岩との格闘は太ももを疲れさせた。風邪のせいか体力の無さか馬力が出ない。元気のよいメンバーは「楽しいハイキン〜グ♪」と歌ったり「素晴らしい、良い山」と声高らかに感嘆するが、Mにはそんな余裕はなかった。次第に沢水も無くなり、源頭部は左曲して草付きの急斜面になった。渾身の力で草を掴み登っていく。疲れた足は踏ん張りきれず、ずり下がり疲れが倍増した。次第に背の高い笹原で覆われるようになり、笹を鷲掴みして腕力で登り続けた。後ろでリーダーが「もう少し、登りつめた所で休憩するから」と励まして下さった。
 笹漕ぎを終えると支尾根らしき上に出た。見かねたリーダーが「関本さん、重いもの担いで上げるから出して」と言って下さった。今まで長い間山登りを続けているが、私物を誰かに持って貰ったことは一度も無かった。しかし今日は甘んじて受けよう。リーダーは天気に恵まれず何回も錫杖に挑戦しながらもまだ登頂を果たされていない。リーダーいわく「もし、誰か登れなくなったところで、自分はそこで止める」の言葉は重かった。期待を裏切ることは出来ない。食料バックをリーダーに、テルモスをA氏に預け、リュックを軽くした。
 左上方に笹で覆われた大木場の辻からの稜線コルが見え、二俣の左俣から合流する沢筋が見渡せた。ごつごつした一枚岩をへつったり、藪漕ぎしたりしてトラバースし、合流地に着く。元気なNaさんが果敢にコルまでの超急斜を、先頭を切って力強く登って行く。そのあとを追ってメンバーが続き、藪漕ぎして10:55コルに着いた。
      
 コルに着く           気の抜けない登りが続く 

 稜線に出て、案内役のKa氏が先頭に立ち、頂上に向け歩きだした。少し登って最初のピークで休憩を入れた。ここで食べた冷たいブドウは美味しかった。リュックの軽さからか疲れが回復して少しの余裕が出来た。
      
 岩峰の基部を這い上がる           上から覗く

 稜線上には踏み跡があり迷うことは無かった。それでも大岩壁を巻いたり、岩を這いあがったり、絡み合った根を乗り越えたり、枝を潜ったりとなかなか変化に富んでいる。だれかのブログにGPSの軌跡が載っていて「たしか東側に出て歩く所あったな」と思いだしながら歩いていると視界が開け、11:55頂上に着いた。
      
 頂上のピッケルは剣や鉾を思わせた          烏帽子岩と笠ヶ岳(最奥左)

 烏帽子岩がかっこいい。Naさんが「ピッケルのところまで行って来たら」と教えて下さり、少し下って平な岩場に登るとピッケルがささっていた。写真を撮って頂上に戻り展望を楽しんだ。
 頂上からは視界が得られるものの、単調な色彩は今一つ冴えない。それでも念願の錫杖岳頂上に立てたと思えば、喜びも湧いた。10名が座るともう動けなくらいの狭い頂上だ。全身ずぶ濡れで、寒さのせいでランチを食べても、おいしさが判らない。義務的に喉に押し込み栄養を補給した。身体が冷え、指先もしびれてくる。記念写真を撮って早々12:25下山開始とした。
      
 狭い頂上で記念写真          西穂高までは見えるが奥穂高岳は雲の中

 下山時は隊列を組み、リーダーの「ゆっくりでいいから」の掛け声のもと、一丸となって下った。
 13:10コルに戻り、小休後、笹を掴んでスピードを殺し急斜面を下った。登って来た右俣へトラバースして沢に出て、錫杖沢を下る。下りの方が危険かと不安だったが、水量が増えたにも関わらず、それほど怖さを感じなかった。
      
 草つきを降る          笹をつかんでスピードを殺す

 15:00岩屋に着く。リーダーがコーヒーを沸かして下さり、身体を暖めた。樹林の右斜面上に赤いテープがあり、往路ひとりでKaさんが登って来たという。帰りはそのクライマーの道を降ることにした。Ka氏を先頭に錫杖沢出合に向け15:25出発した。
      
 二俣に着く          錫杖沢出合で下ってくる仲間を待つ

 途中本沢に下った踏み跡を確認して15:55錫杖沢出合に戻った。ここまで来ればもう安全地帯、心は開放された。全員揃った所で、槍見館に向かって登山道を降り、16:45登山口に着いた。
 バリエーションルートの錫杖岳、全員怪我も無く、無事帰還出来た。リーダーをはじめ、案内役をして下さったKa氏、力を貸して下さったメンバー全員に感謝したい。皆さんに助けられ登られた、価値ある山行だった。
 下山後、荒神の湯で身体を温め、着替えを済ませさっぱりして、帰路についた。Naさん運転の車中では山談議に花が咲き、あっという間の20:00帰高した。
 家に帰るとTが「良く、頑張った」と褒めてくれ、Taku共々、うらやましがった。今度は錦秋の晴れた日、二人を案内して頂上からの素晴らしい大展望を見たいものだと切に思った。

白山 (2702m)          
2011.10.21(金)晴れ 
 今週末の天気が期待できないので、好天最終日になる金曜日、白山に登ってきた。 
5:45家を出発して、大白川登山口に向かう。高速道路の袴腰トンネルをぬけると五箇山は重く雲が垂れこめ、期待外れの天気にがっくりしたが、白川郷ICを下り鳩谷ダム辺りから青空が見え出し一瞬にしてぱっと晴れ、心も晴れ晴れ浮き立った。 
 平瀬温泉から右折して林道をゆっくり走り、7:20駐車場に着くと閑散とした駐車場に車が2台停まっていた。「この時期の平日にも、登山者があるのだね」といそいそ身支度を整え7:35登山口を登り出した。 
 このあたり紅葉の真っ盛りだった。年を重ねるにつけ感性の瑞々しさが涸れ、感嘆符が口を突いて出てこない。心の動脈硬化を嘆きながら、重く感じる足を引き上げ急登の階段を登った。 
「今日はゆっくり登ろう、楽しもう」と、Tと語らいながら紅葉の林を歩くと、右手に奥三方岳が白く聳えとても美しい。「澄んだ良い天気だね」今日の空のように何のかげりも無く、ただひたすら行楽に徹した。 
      
 登山口付近は紅葉の真っ盛り              五色の紅葉に目を奪われる

  高度を増すとエメラルドグリーンの白水湖が眼下に望め、紅葉の山肌と相まってとても奇麗だ。穏やかな青い空、葉を落とした白いダケカンバ、心に染みる風景に静かな喜びが込み上げた。 
 大倉山の稜線に出ると、行く手に白山の双峰が丹精な姿を現した。何回も目にした眺めだが、今日は格別晴天で、秀麗だ。「こんな奇麗な白山は初めてだね」パステル色の色彩に心も和んだ。大倉山手前で若い単独男性が下山されて来て、「もう登られたのですか?」と聞くと、清々しい素敵な笑顔が戻ってきた。 
      
 白水湖のエメラルドグリーンが印象的               こんなにきれいでやさしい白山は初めてかも

 9:35大倉山避難所に着いた。掃き清められた土間、掃除の行き届いた避難小屋にはもう訪れる登山者は多くないのだろう。遠慮がちに腰を掛けて、栄養を補給した。 
 9:45避難小屋をあとにする。ここからの後半が本番と考えているので、ペースを守りながら急がずジグザグに高度を稼ぐと、頂上はぐっと近づいた。 
 細尾根を慎重に通過して、最後の登りをこなし、ハイマツの賽の河原に着いた。人っ子一人いないハイマツの海を寂しく歩み行くと、夏にはクロユリの咲く草原に出る。もう草紅葉を終え、か細くなった草々がすぐそこまで来ている冬の到来を物語っていた。 
   
 初冬を感じさせる室堂センター               ガラーンとした室堂広場

 11:10Tが待つ室堂に着く。広場のベンチも仕舞われガランとしていて、建物全てが厳冬に耐えうるよう板で防護され、登山者を拒んでいた。 
 あんなに天気が良かったのに、雲が速く流れ頂上に掛かり出した。室堂での水の有無を探しに行ったTは「有ったぞ、熟知者に教えてもらった」と嬉しそうに帰って来た。 「ねえ、雲行きが怪しいから頂上に早く登ろうよ」と告げ、11:15 登り始めた。 暫くは曇っていたが、頂上に着くころには回復して青空が戻り、11:50頂上に到着した。 
      
 別山と室堂              頂上で憩う

      
 頂上の情景                     紺屋ヶ池、油ヶ池も青空を映し出す

 紺屋ヶ池が青空に映え奇麗だ。室堂や別山もすっきり見通せ、金沢や小松の町も白く光っている。360度の大展望、遠望では10日ほど前に登った奥穂高もよく見え、槍ヶ岳や剣岳、乗鞍など一望でき、充分満足が得られた。 
 風も無くゆっくり岩陰に座って大休憩とする。湯を沸かし、温かいカップ麺やコーヒーを飲み、贅沢な展望レストランでの至福の時を過ごした。心身とも満たされ12:50下山開始とする。 
    
 さあ、白水湖まで帰りましょう              ダケカンバとナナカマドの実が小春日和に輝いていた

 13:10室堂に戻って水を補給し、大倉山避難小屋で小休して、Tの快速に付き合い膝に弱い痛みを感じつつも、15:20には登山口に戻った。 「今日も頑張ったね。」「今年も登れたね。」充足感と解放感に包まれながら、登山靴を脱いだ。 
 下山後 平瀬温泉しらみずの湯で疲れを取り、天気に恵まれ素晴らしい風景を脳裏に刻み、帰路についた。 
 
涸沢 (2309m)    奥穂高岳(3190m)       
2011.10.9(日)晴れ
 連休の9.10日は下ノ廊下に行こうと計画していが、7日の15時頃、扇沢へ車の回送をお願いしていた三渓社から「地震の影響で落石事故が起き、死亡者が出た。危険だから下ノ廊下に入らないほうが良い、警察も通行止の措置をとるだろう」と、いち早くお電話を頂いた。
 連休は好天続き、楽しみにしていただけに胸にポッカリ穴があいた。落ち込んでばかりはいられない。テン泊の準備も出来ている、この時期のテン泊となればやっぱり涸沢だろう。まだ涸沢の紅葉を見たことがないので大きな期待へと変わった。ということでTakuと3人で奥穂高岳に登ることに決めた。
 5:30家を出発して、平湯のアカンダナ駐車場に向かう。駐車場に着くと予想をはるかに上回る駐車率で、最下段の大型駐車場でも空きを探すのが大変だった。やっと駐車して準備を整え、重いリュックを担ぎバス乗り場へと石段を登った。
 バスターミナルで上高地往復(2000−)を買って、居合わせたバスに乗り込んだ。満席になり発車し、8:10ごろ上高地に着いた。
 登山届を書いていると、指導員に「奥穂に行くのか?」と聞かれ「ハイ」と答えると、「アイゼンを持ってきたか?」と威圧的に聞かれ、「持っていない」と言うと「だったら登れない」ともっと怖い顔で睨まれた。昨日2〜3cm雪が降り、凍結して滑るのだそうだ。最後まで書き終えると、小屋でアイゼンを借りるように指導された。
 8:25まずは横尾に向け歩きだす。梓川のほとりに出ると青空に穂高連峰の絶景が迫る。「きれい」「すばらいい」と心弾ませ、晴れマークが続くであろうこの山行が幾倍もの喜びに満ち溢れた。観光客の人気スポット河童橋で定番の記念写真を撮って、上高地街道を歩き出した。
      
 いざ出発              上高地街道を歩きだす

 横尾まで11kmある。明神館までTakuと三人で歩いたが、あまりの登山者の多さに不安を感じ、テン場の確保が心配になった。俊足のTakuに場所取りをお願いし、涸沢ヒュッテで落ち合うことにした。Tと二人で、徳沢でゆっくり休憩したり、景色を楽しんだりしながら11:25横尾に着いた。
      
 徳沢園 下山時にはソフトクリーム食べたいな               対岸の前穂と北尾根が目を引き付ける

 横尾にも人々が溢れている。トイレには長蛇の列、テント場は満杯その凄まじさに引いてしまった。涸沢はもっと凄いだろうな!!
     
 横尾でも一休み                屏風岩の岩壁を見上げる

 横尾から涸沢まで6kmあり、標高差800mを登る。11:40横尾大橋を渡り、平坦な登山道を歩いていると、小窓でお会いしたYo氏に声を掛けて頂いた。氏は下山中だったが、予期せぬ再会はとても嬉しいものだった。
 岩小屋跡を通過して人慣れした野生の猿に驚き、なお歩を進めると突如山道らしくなってきた。左に屏風岩がそそりたち岩壁を見上げその威風にも感心した。多くの登山者が下って来られ、その都度登山道の譲り合いで忙しい。
     
 本谷橋を渡る                こんな登山者の数、今まで未体験

 12:40本沢橋に着くと、ここでも多くの登山者が河原で休憩されていた。どこもかしこもけた外れの人出だ。吊り橋を渡って屏風岩の裾を回り込むように登り続けると、背後に常念岳が見え視界も開けてくる。整備された岩石混じりの登山道を登ると、右奥の高台にテントの群れが見え、涸沢が近づいた。それを励みに根気よく登ると14:25涸沢ヒュッテに着いた。
   
 涸沢ヒュッテ 売店、テラス、野外座敷、生ビール、おでん、なんでもあり、まるでお祭りみたい

 石段上からTakuが大声で声を掛けてくれ合流した。1時間余り前に着いたTakuは整地された2つのテン場を確保してくれていた。それにしてもなんとスケールの大きい素晴らしい風景だろう。今年の紅葉は見劣りすると言われるが充分美しかった。この景色を見に全国から岳人が集うのが良く分かる。ここは山岳での銀座と言ったところだろう。テントの花が咲き、人々でごった返している。沢山写真を写して、テン場に案内してもらい大きい場所を選び、テントの設営に取りかかった。
      
 テントの花(8日は1200張り)              デコボコ石を均して、テント設営開始

      
 狭いながらも楽しい我が家              隣のお兄さんが写してくださいました

 簡易マイホームが出来、男性二人はお待ちかねの宴会に突入。「山で飲む酒はうまい」などと言い延々と飲んでいる。Mは夕食を済ませ、テントの中に入って身体を休めた。
      
 まずは、飲まなくては              テントの灯りはやさしくて癒される

 暗くなり各テントには灯りがともり、外に出て夜景を楽しんだ。夜空には十三夜の月が浮かび山中をやさしく照らしていた。19:30シェラフに入って眠りに就いた。

2011.10.10(月)晴れ
 標高2300mの涸沢は寒いだろうと、念入りに防寒対策をして眠ったがそんなに寒くは無かった。ただ夜半から風が吹きテントをバタバタ震わせ、その音でなかなか眠れなかった。
 3:45起床して準備にかかったが、狭いテントの中ではスムーズな行動が取れない。シェラフなど片づけ空間を確保し、男性軍と入れ替わりにトイレへ行った。4〜6時に混むことは知っていたが、甘く見ていた。30分間待ちで(昨日は1時間待ち)男女それぞれ長い列が出来き、その最後尾に付き順番を待った。空を見上げるとオリオン座をはじめ無数の星々が輝いて美しかった。
 5時に出発と思っていたが、大幅に出遅れテントに戻り朝食を食べ、必要な物だけリュックに入れ、テン場を出発したのが5:40分だった。
      
 奥穂に向けテン場を後にする              涸沢小屋からテント村を撮る

 涸沢小屋でもう一度トイレ待ちをして、奥穂高岳に出発出来たのが6:05だった。この1時間が後で大変な苦労の種になった。
      
 涸沢小屋テラスからの前穂と涸沢カール            美しい色彩に心も和む

 ナナカマドの樹林をぬけガレ場に出ると、雄大な岩峰の連なりが空に向けそそり立っている。前穂は黒々と男性的だが、涸沢岳や奥穂高岳は白く、山肌には草紅葉がアクセントをつけ、ハイマツの深緑がそれを引き立たせている。「やっぱり奥穂高岳は涸沢から登るべき」と3人で語らいながらガレ場を登ると、ヒュッテからの登山道と合流して、ザイテングラートの岩登りとなった。
      
 ザイテングラートを登る              

 時折日陰では雪が凍結していたが、慎重に登ればそんなに危険ではなかった。鎖場を過ぎ、梯子を登って岩尾根を登ると穂高山荘まで20分と表記してあり、コルに向かって巻くように登ると8:05穂高山荘に着いた。
 先に着いたTakuが小屋で待っていた。軽くパンを食べ防寒に雨具を着た。耳が冷たく痛いのでバンタナを縛って、8:15頂上に向け出発した。
      
 穂高山荘に着く                奥穂高岳山頂

 西方からの強風で非常に寒い。登り始めの雪が凍結して、スリップしている登山者が目に入った。ストックを突き刺し、慎重に足を運び、梯子下に出た。登りきって鎖を通過し、そのあと一か所凍結場所があったが、慎重に集中してやり過ごし、なだらかな登山道に出る。目の前に黒々としたあこがれのジャンダルムが聳えていた。
 風に負けないよう、帽子が飛ばされない様に緊張しながら登りつめると、9:00奥穂高岳の頂上に着いた。
 先に着いていた二人に、社へ登るように指示され、記念写真を撮ってもらった。透明な大気、素晴らしい御天気に恵まれ360度のパノラマは富士山まで遠望出来た。「来て良かった」大満足しながら山座同定をして、9:15頂上を後にした。
      
 ジャンダルムと                澄みきった素晴らしい天気に恵まれた

 穂高山荘に戻りホットミルクを飲んで10:00下山開始とした。
 ザイテングラートで浮き石に乗らない様に凍結場所で滑らない様に気をつけながら下り、11:30テン場に戻った。
      
 ザイテングラートを降る                あの喧騒は何処に もうだれもいない

 テントをたたみ、コーヒーを飲んで、各自リュックにきっちりバッキングして12:15涸沢ヒュッテを後にした。
      
 2011涸沢の紅葉 

 明日は平日と言うのに涸沢は特別な場所らしい。今日も多くの登山者がどんどん登って来られた。相変わらず、道を譲ったり譲られたりしながら14:10横尾に着いた。
 横尾山荘で平湯行きバスの最終時間を確認すると、不覚にも17:00だった。「上高地まで戻れるだろうか?」Tがまだ到着していない。焦りながら待つとTも着いた。14:15気合いをいれて横尾を出発した。
 ここから上高地まで11km、標準タイム3時間を、重いリュックを担ぎ2時間40分で行けるだろうか。いや行かねばならない。Takuはウサギのようにすぐ姿が見えなくなった。
Tと二人で、懸命に早足で歩いた。休憩も無し、腰が痛かろうが、足の裏が痛かろうが、肩が痛かろうが、もう時間との戦いだった。功を奏して明神館には3:50に着き、間に合う見通しが付いた。
 河童橋でTakuと合流して、バスターミナルに着いたのが16:40だった。臨時便16:45に乗車してアカンダナ駐車場に戻った時、広い駐車場はガラーンとして僅か数えるほどしか車が無かった。
 「よくやったね」「最後きつかったね」「涸沢きれいだったね」と喜びを分かち合って、靴を脱ぐと5cmくらいの水膨れが、足の裏に出来ていた。痛い通りだ。
 平湯のバスターミナル横の食事どころで夕食を食べ、ひらゆの森で疲れと汗を流し、19時過ぎ、帰宅の途についた。
 明日10月11日は私達夫婦の35年目の結婚記念日、今回の山行ではTakuが行き帰り運転をして、テントを担ぎ、 場所取りなど始終サポートしてくれた。雄大で美しい涸沢の紅葉景色は、忘れられない素晴らしい思い出になった。また36年目に向かってお互い元気で頑張りましょう。


■2011山行記録■