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日付 タイトル 現在地
8/1 (木) うまい!! 北海道静内郡静内町
8/2 (金) スレ魚に… 北海道浦河郡浦河町
8/3 (土) えりもの強風 北海道広尾郡広尾町
8/4 九州の夏が恋しい 北海道広尾郡広尾町
8/5 (月) 空腹を満たす 北海道中川郡本別町
8/6 (火) 集う流れ 北海道阿寒郡阿寒町
8/7 (水) とりとめもない会話 北海道川上郡弟子屈町
8/8 (木) 屈斜路湖での1日 北海道川上郡弟子屈町
8/9 (金) 釧路川の実力 北海道川上郡標茶町
8/10 (土) 釧路湿原 北海道釧路郡釧路町
8/11 摩周湖へ 北海道川上郡弟子屈町
8/12 (月) 旅野氏との出会い 北海道厚岸郡厚岸町
8/13 (火) 雨の中 北海道厚岸郡厚岸町
8/14 (水) 納沙布の丘陵 北海道根室市
8/15 (木) ミヅタニ氏との出会い 北海道目梨郡羅臼町
8/16 (金) 知床の峠 北海道目斜里郡斜里町
8/17 (土) サイクルメーターの呪縛 北海道網走美幌町
8/18 風と戯れる 北海道常呂郡留辺蘂町
8/19 (月) 樹海の声 北海道川上郡川上町
8/20 (火) ライダーさんとの触れ合い 北海道川上郡川上町
8/21 (水) これも自然だな 北海道士別市
8/22 (木) うたう1日 北海道中川郡美深町
8/23 (金) ダルい。 北海道枝幸郡浜頓別町
8/24 (土) クッチャロ湖畔にて 北海道枝幸郡浜頓別町
8/25 最北端の地 北海道稚内市
8/26 (月) 静かな道 北海道天塩郡遠別町
8/27 (火) 風にへこむ 北海道留萌市
8/28 (水) 夏の日 北海道雨竜郡北竜町
8/29 (木) うるさい道 北海道空知郡北村
8/30 (金) Oさんとの語らい 北海道札幌市
8/31 (土) きよさんに感謝 北海道札幌市

8/1(木) 59日目  現在地:北海道静内郡静内町 ふれあいセンター御園館
うまい!!
 のんびりと過ごした1日が終わり、今日こそはと思い起きたが、雨は降っていないものの、微妙な空模様だ。もう少し様子を見ようと、再び眠りに着いた。8:00になり、お腹も空いてきたので、起きてはみたが、相変わらずの空模様。出発するかしないか悩んでいたが、お昼になった時点で、雨が降っていないので、出発する事にした。
 予定では、静内川の上流にあるダム湖で、釣りをするはずだったが、そこにあるキャンプ場に行くまでに、荒れた林道を通らなければならないので、雨の影響を考え止めにした。

 キャンプ場までの道のりは、一昨日の晩にやって来たので、道中に何があったかさっぱり見えなかったが、明るい時間に通ると、川沿いの道を進んでいた事が分かり始めた。川は、昨日降った雨のため増水しているが、濁りがなく、釣り心が刺激される。上流のダム湖で釣りをしたかったなーと思いつつ川を見ていると、取水のための堰の下で、数人の釣り人がいた。しばらく、その姿を見ていたのだが、釣りのスタイルからして、明らかにトラウトを狙っている。川は増水から減水を始め、さらに、天気は曇り、ヤマメなどのトラウトを釣るには絶好のタイミングだ。ダム湖で釣りができなかった想いもあり、無性に釣りをしたくなってきた。 例え釣りにはまっても、キャンプ場はすぐ近くだ。こんな絶好のタイミングを見過ごしたくはない。いてもたってもいられず、まずは、近くにあったスーパーでパンを買い、簡単に昼食をすませ、釣りの準備を始めた。

 川幅は広く、それに負けなくらいの水量があり、大物が居てもおかしくない川だ。しかし、流れが強いだけに、ポイントの見極めが難しい。さらに、キャストされたルアーが、あっという間に下流に流されていく。そんな状況下、釣り上がって行くが、反応は全くない。さすがに、流れが強すぎるような感じがしてきたが、ヤマメならば、この程度の流れの強さには負けないはずだ、期待を込めてキャストし続けた。
 しばらく釣りあがると、やや流れが緩くなっているところにやって来た。上流にキャストされたされたルアーを、流れに乗せてリーリングしていたのだが、ルアーに何かがついている。当たりらしき感触がなかったので、何かなと思うと、15cm位のかわいらしいヤマメが釣れていた。
 少し、上流にある堰の下のプールで釣りをしたいが、先客がいる。渓流釣りでは、他の人の進路の前や、釣っている場所に行くのは、マナー上やってはいけない事なので、一旦自転車に戻り、さらに上流へ行く事にした。
 上流にやってきたが、やはり増水の影響だろうか、流れが強い。そんな中、岸から突き出た場所から、流れの変化のあるところへ、ルアーをキャストしていると、”ズン”と言う重い当たりに続き、鈍い引きが伝わってきた。すかさず合わせを入れ、取り込みに入る。流れが強く、なかなか近くに寄せられない。ようやく近づいてきた魚は、ヤマメとは違う色をしている。さあ取り込もうとした瞬間に、無情にもバレてしまう。バレたタイミングがタイミングなだけに、相当なショックだ。ヤマメとは違う魚だっただけに、その姿を確認したかったので、しばらく呆然としてしまう。
 気を取り直し、ポイントを変えつつ、再度キャストを繰り返すと、再び同じような当たりと引きがあった。慎重に引き寄せるが、またしても取り込む寸前にバラしてしまう。さらに、次の当たりもバラしてしまった。”悔しい”こうなれば、その魚が何であるのか、絶対に釣り上げたくなってきた。バラシの連続で、集中力は切れるどころか、増して行くような感じだ。
 3度のバラシやバイトのパターンから、魚の見当がついてきた。釣った事はないが、新冠川でも釣れるブラウントラウトではないかと思い始めた。バイトしてきたときは、いわゆる逆引き(ルアーを下流から上流に向けてリーリングする事)で、ゆっくりと引っ張ってきたときだけなので、ヤマメの様な俊敏なバイトが苦手なのだろうか。色々と考えながら、そのパターンでのバイトを狙い、逆引きで、流れの筋の横にある、やや流れの緩いところを、丁寧にトレースしていると、同様の当たりがあった。重く鈍い当たり、粘りのある引き、ヤマメのそれとはかなり違う。もうバラシはごめんだ。手元に伝わる魚の感触に興奮しながら、細心の注意を払い取り込んだ魚は、予想通り、ブラウントラウトだった。始めて手にするその魚体を見ながら、苦労の末釣り上げた満足感を味わう。サイズは23cmで、食べごろだ。ブラウントラウトがどんな味をしているのか、それも気になり、今晩のおかずにする事にした。

 キャンプ場に戻ってきて調理の準備をする。塩焼きも良いが、焼くのが大変なので、ホイル焼きにすることにした。アルミホイルに油を引き、たっぷりと塩コショウを振りかけた魚をのせ包み、それを火にかける。やがて、アルミホイルの隙間から、白い湯気とともに、香ばしい匂いが漂ってきた。頃合を見て火から外し、焼きあがった魚を見ると、とても美味しそうだ。魚を食べるので、気合を入れて焚いたご飯のできも上出来だ。”うまい!!うまずぎる!!”釣り上げた満足感を抜きにしても、うまいと感じる。

 雨の増水と曇りの天気がくれた最高に贅沢な食事を済ませ、幸運と満足感に浸りながら、今日を終えた。
ブラウントラウトとホイル焼き
 初めてのブラウントラウト、ヤマメとは違う鈍く重たい引きを体験できたのは良かった。ホイル焼きだが、本当なら、バターを使い、たまねぎや、きのこ類、さらに白ワインがあれば最高の味になるはず。塩コショウは、多すぎるぐらいがちょうど良い。ちなみに小さな赤いのは、鷹の爪です。癖になりそうなぐらい美味しかった。
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8/2(金) 60日目  現在地:北海道浦河郡浦河町 海沿いの堤防
スレ魚に…
 このキャンプ場、ふれあいセンターの名を持つだけに、昨日から柔道の合宿が行われ、体育館の方から、気合のこもった声が聞こえていたが、今朝、駐車場をランニングしている声に起こされた。
 昨日まで、微妙な空模様だったが、今朝は霧が出ていて、空が見えないが、3日もここに居るので、出発する事にした。

 えりも岬を目指すが、先にあるお店の状況が分からないだけに、ここ静内町で買い物を済ませておきたかった。店を探しつつ進んでいると、北海道のコンビニチェーン店のセイコーマートの新店が、今日オープンすると言う看板が出ている。セイコーマートだが、北海道に入ってから利用させて頂いているが、他の大手コンビニに比べると、自社開発の安い商品があったり、セール商品があったりと、かなり重宝している。オープンを迎える店に着くと、駐車場に花が飾られ、大勢の人が来店し、繁盛しているようだ。私も買い物をしたのだが、オープン記念だろうか、コーラを1本頂けたのラッキーだった。

 国道235号線に出て、えりも岬を目指すが、向かい風が強く進まない。空は快晴で、海を見ると、ぎらぎら光る海面の先の水平線が、間近に見えるほどにきれいだ。そんな景色を眺めつつ進むのだが、向かい風だけにやはり疲れる。
 道の駅に着き、休んでいると、1人のチャリダーが現れた。彼はOくん、東京出身で18歳。”自分の住むところを探したい。”と言う想いを胸に北海道へ来たらしいのだが、何か自分が思い描いていたものとは違うような気がすると言い、今は学校を休学し、旅に出ているらしく、何か机に着くような仕事ではく、体を使い職人のような仕事をしたいと言う想いもあり、この旅を計画し、1年前からバイトでお金をためたのだと言った。”自分の道は自分で決めたい。たとえ後悔しても、自分のせいにできるような選択をしたい。”と力強く言っていたのが強く印象に残った。さらに”北海道で?だから、日本一周しないとだめかな〜。”とも言っていた。何かに突き進む輝く目が、とてもうらやましく見え、見ているこちらも不思議な元気が出てくるような気がした。お互いにがんばろうと言い、道の駅を後にした。

 北海道に入って、釣り浸りだが、ここに来て、大事な道具の竿が少々の問題を抱えていたのが、昨日の釣りで、決定的な致命傷を負い、とにかく修理しなければと、釣り道具屋さんを探しつつ進んでいたのだが、浦河町に入ってすぐに見かけたので、そこへ寄る事にした。 竿の修理をしてもらいつつ、話をしていると、この近くの川に、面白いポイントがあるので、行ってみてはと進められる。地元の釣具屋さんの有力な情報なので、行ってみる事にした。
 その場所は、大きな堰堤の下で、大きな流れが込みがあり、深くえぐれた底を持つ、いかにもと言う場所だ。軽く試して先へ進もうと考えていたので、昼の明るい時間だが、ルアーを入れてみた。やはり反応はない。こんな時間から反応してくる魚は、よほど能天気なやつだから釣れるわけがないよなと思いつつキャストを繰り返していると、軽く50cmを越えるような魚がジャンプした。驚くと同時に、俄然やる気が出てきた。しかし、昼間で陽の光も川に差しているので、これは夕マズメまで待とうと考え、かなり早いが、晩飯を取ることした。
 流れを見つつ夕方を待っていると、再び大きな魚がジャンプした。こればかりではなく、よく見ていると頻繁にジャンプが見られ、どの魚も大きい。そんな様子に興奮しながら釣り期を伺っていると、地元の釣り氏がやって来て、竿を持つ私の目の前で釣りを始めた。少々マナーを疑ったが、こうなれば、釣り場を落ち着かせるために、時間を待っていてもしょうがない、私も釣りを再開した。しばらくするとまた違う釣り氏がやって来て、同様に2人がいるポイントへキャストを始めた。どうやらこの辺りでは、これが普通なのだろうか。3人並んで、同じポイントへルアーを投げ込んでいる。これでは釣れるわけがない。大きな魚は3人をあざ笑うかのように、頻繁にジャンプを繰り返している。
 入渓しやすく、釣りやすい足場なので、釣り氏が頻繁に訪れている事は明らかだ。したがって、魚たちがスレまくっている事が、容易に想像できる。18:00になり、このポイントで釣れるとすれば、よほど運が必要だなと、早々にあきらめ、釣りを終えた。確かに面白いポイントだが、スレにスレまくった魚に弄ばれたようだ。
青春チャリダーOくん
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8/3(土) 61日目  現在地:北海道広尾郡広尾町 広尾町キャンプ場
えりもの強風
 海辺の近くの宿泊地だったため、テントが揺れるほどの猛烈な風に襲われ、寝不足気味だ。この所、雨や釣りで、移動距離が少ないので、今日は飛ばすぞと意気込み出発した。

 すごい風だ。昨晩から吹き始めた風が、向かい風となって行くてを阻む。予定では、えりも岬を攻略し、その先の町で宿泊の予定だが、先が思いやられる。一生懸命漕いでいるのに、スピードが上がらず、おまけに寒い。いや本当に寒い。バックに着けている簡易温度計は、15℃付近。風の影響もあって、体感的にはもっと寒く感じる。寒さに、段々と手がしびれてきて、強風を突き進む疲労感に襲われ、たまらず自販機でホットコーヒーを買ってしまう。8月なのになんでホットが売っているのだろうかと思ったが、それに助けられる形になった。
 収まりそうにない向かい風に、くじけそうになり、一瞬予定の変更が頭を過ぎったが、逆に腹が立ってきて、”クソーッ、絶対に行ってやるー。”と、周りに誰も居ないことを良い事に、そう叫び、向かい風に立ち向かって行った。

 昨日とは違う曇天に、海は鉛色をしていて、いかにも北の海を連想させる。普段の数倍の疲れを感じながら、えりも町に到着したが、岬までの道のりは、まだ続く。県道へ道が変わると、アップ・ダウンが加わり、気力が奪われて行く。途中にある北海道ならではの、家のような立派なバス停で、風を凌ぎ休憩を入れながら、考えていた時間よりも大幅に遅れて、えりも岬に到着した。
 観光地特有のお店からは、森進一の曲が流れ、土曜日だからだろうか、それなりの賑わいを見せているが、さすがにみな寒そうな表情をしている。
 270度海が見えるとは言ったもんで、高台にある展望所からは、岬の突端へと連なる岩が見え、その先の水平線が見渡せる。”さすがえりも岬、スケールのでかさを感じるぜー。”と、1人勝手な事を感じながら、風に吹かれる展望所からの眺めを楽しんだ。

 えりも岬を後にして、宿泊予定の広尾町向かう。進行方向が変わるので、風の向きも変わってくれる事を期待したが、甘かったようだ。今日1日の向かい風との格闘を覚悟したが、建設に莫大なお金が掛かったために、その名がついた”黄金道路”に入ると、風が追い風になり始め、道が平坦な事もあって、快適なスピードが出だした。まだまだお金を必要としている道なのだろうか、やたらと工事が多く、そのため片側交互通行を強いられる。しかし、自転車を車両と認識して頂いている誘導員の人たちの丁寧な指示で、ストレスなく通る事ができ、広尾町へ到着。
 えりも岬に着いたときとは逆に、時間があったので、小さな川へ入り釣りをしたが、目的地へ着いた安堵感と、寒さ、さらに向かい風と格闘した疲れが押し寄せてきたので、釣りをほどほどに切り上げ、キャンプ場へ向かった。

 太陽が顔を覗かせないためだろうか、8月にしてはとても寒いのだが、土曜日なので人が多い。その片隅にテントを張り、花火の音や賑わいがあるものの、疲れていたのだろうか、即行で眠っていた。
えりも岬
 見渡す限りの海は、最高。しかし、風が強く寒い。
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8/4() 62日目  現在地:北海道広尾郡広尾町 広尾町キャンプ場
九州の夏が恋しい
 昨日の強風から感じていたのだが、とても寒い。このキャンプ場にきても寒さは変わらず、さらに昨晩から降り始めた雨が、寒さを増幅させている。今朝起きて、バックの温度計を見ると15℃を下回っている。北海道に来てから再三言っているが、8月とは思えない寒さに、本当に苦労している。
 予定では、これから帯広市を目指すはずだったが、小ぶりな雨が降っていて、この寒さだ。雨のほうは我慢できても、寒さが苦手なだけに、進む気を完全にそがれ、寝袋の中から出られないでいた。とりあえず温まろうとコーヒーを入れ、朝食を取り、天気を伺いつつ、再び寝袋の中に潜り込んだ。

 北海道に入り、自転車での移動距離が落ちて、予定が大幅に遅れているような気がしたので、地図を見つつ今後の予定を考えていたが、釣りへの誘惑が多く、北海道を進むには、まだまだ時間がかかりそうだ。それは良いとしても、この寒さは勘弁してほしい。
 九州にいて、夏のこの時期に、寒さを凌ぐと言う言葉は、冷房をガンガンに効かせたオフィスぐらいなもんだろう。寝苦しい夜が続き、クーラーなしでは、とても寝られないはずだが、今いる場所はどうだろうか、こんな話を、たまたま電話してきた兄に言ったら、うらやましいと言っていたが、さすがに私は九州のあの蒸せる様な、まとわり着く暑さが恋しくなってきた。
 なかなか風呂に入れず、入りたい欲求も出てきたが、汚れを落としたいと言うよりも、温まりたいと言う気持ちからだ。さすがにこの寒さは、地元の人も寒いねと言ってくれる。やはり寒いのか。しかし、こういう環境だからこそ、私が釣りのターゲットにしているトラウト達には過ごしやすいのだろう。その恩恵を、この北海道に来て受けているので、寒い寒いは言ってられないが、せめてもう少し温かいと助かるのだがと思いつつ、どんよりとした空を眺めながら、キャンプ場の炊事場でぼやいていると、やはりこの寒さには参ったと言っている、1人のチャリダーが現れた。
 えらくおじさんに見えたが、失礼だが年齢を聞いて驚いてしまった。なんと66歳。山登りのためのトレーニングだと笑いながら言っていたが、埼玉県からフェーリーで来て苫小牧から北海道を周っているらしい。ユースホステルに泊まる事が多いのだが、昨晩はたまたまこのキャンプ場に泊まったらしく、この寒さにかなり参っていた。やはり埼玉では、こんな事はないからねと言い、お互い北海道をなめてましたねと談笑した。しかし、66歳には見えない程に若さを感じる。山と自転車が鍛え上げた肉体だろうか、おもわず私もこの旅が終わっても、自転車に乗り続けようかなと思えてきた。

 昼を過ぎると、雨のほうは止んでくれたが、曇りのままで、相変わらずの寒さだ。キャンプ場も色々で電源がある所は少ない。このキャンプ場も電源を探すのに苦労したが、目ざとく自販機の電源を見つけ、拝借した。ひざに乗せたパソコンの温かさがなんとも言えない。夏のはずなのだが、夏が恋しくなる1日が過ぎていった。
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8/5(月) 63日目  現在地:北海道中川郡本別町 静山キャンプ村
空腹を満たす
 ”カーッカーッ”ニワトリならねカラスの声に起こされる。どのキャンプ場でもそうだが、このキャンプ場にもやたらとカラスが居る。目当ては、バーベキューの残飯のようで、油断していると、ゴミ袋を目茶苦茶に引っ掻き回され、目も当てられない状態になってしまう。私も青森県の薬研でカラスのお世話になってからは、ゴミを含めた荷物を全てテントの中に入れて、カラスの被害から逃れている。カラスの方にしてみれば、空腹を満たすには格好の場所だろう。
 ようやく暖かくなってくれたようだが、気温的には20℃位だろうか。しかし、昨日に比べれば、断然暖かく感じてしまう。天気の方は、曇り空で微妙だが、明るいので出発する事にした。

 この所の風や、曇り空による寒さのためか、体調が優れない。体温が定まらないのか、寒さを凌ぐために、カッパを着ていたが、自転車を漕いでいると暑くなり脱ぐ、しばらくすると寒く感じて着る、と言ったような事を繰り替えしながら進んでいた。
 帯広方面を目指すものの、市内に用はないので、十勝川でニジマスが釣れているポイントへ直行するために、県道15号線を通る事にした。
 自転車を漕ぐとお腹が空くので、途中にある家のようなトイレ付きバス停で、買っていた食パンを食べる。この食パンだが、最近はまっている。セイコーマートで120円で手に入る事とそのボリュームが魅力で、朝食はもとより、走行中に小腹が減ったときに頂いている。
 県道、正しくは北海道なので道道だが、道が広くなだらかで走りやすい。車の交通量が少なく、周りには、森と牧場が広がり、気分的にも楽だったのだが、後タイヤがパンクに見舞われてしまう。福島県の相馬市で、タイヤを替えてからは、パンクがなかったので、太目のタイヤでパンクには強いと感じていたが、とうとうパンクしてしまった。タイヤを見てみると、替えてから2000km以上走っているので、かなり減っていて、金切りくずを拾ってパンクしていた。自転車をわき道の路肩に寄せ、パンク修理を施す。
 気分を一新し、走行を続け、十勝川に到着。さすがに広く感じるが、水質的には、これまで見てきた北海道の川とは違う感じを受けた。しかし、この流れの中にトラウトが生息しているのだから、北海道の奥深さを感じていた。天気は相変わらずはっきりせず、曇り空だったのだが、ここでポツリと細かい雨が降ってきた。本降りには遠そうなので、十勝川では有力な釣りのポイントらしい千代田堰堤なるものを見に行く事にした。
 川のスケールがでかいだけに、河原も広く、土手の道からは川面が見えず、その様子が分からない。それでも川面へ降りれる場所を探していたのだが、見つけられないまま、堰堤に着くと、川の規模に合わせたような大きな堰堤で、確かに大きな魚が潜んでいてもおかしくないような雰囲気だ。数人の釣り人が居て、今まさに釣れた魚を取り込んでいた。その魚がでかく、2尺(約60cm)は越えている雄のサクラマスだった。漁法をよく見ると、ルアーや餌で釣っているのではなく、鈎針で引っ掛けるといった漁法で、ちなみに九州では禁止されている漁法だ。しかも、釣れた魚を直ぐに絞めていたことから、採取している事が明らかで、密漁に当たるのでは、と思いながら見ていた。
 私も釣りをしたい気分だったが、雨が強くなりそうな気配を見せていたので、先を急ぐ事にした。

 池田町に着き、久々のAirH"圏内だったので、パソコンを作業していると、あっという間に時間が過ぎ、しかも雨が強くなりだした。ここから直ぐのところに有料のキャンプ場があり、そこへ行こうかとも思ったが、30km走れば無料キャンプ場へ辿り着けるので、キャンプ場代を払うなら、そのお金でうまいもんでも食うよと思い。急いで、パソコンの作業を終わらせ、無料キャンプ場のある本別町を目指して出発した。しかし、途中から猛烈に腹が減ってきて、しかも雨が強くなり始めた。気持ち的に負けそうになったが、一々こんな事でくじけ、泣き言を考えるのも馬鹿らしくなってきたので、蜂蜜を付けた食パンを食べ、自転車を前に進める事だけに集中した。
 キャンプ場に着くと18:00を回っていた。そこで冷静になり”無理はいけないな。”と思いながら、猛烈に減ったお腹を満たすために、1合の飯にレトルトの親子丼、さらにインスタントラーメンを食べ、貧しいながら贅沢な食事を済ませ、雨に打たれるテントの中、眠りについた。
カラスの餌食に
 やりたい放題やっていますが、私的には、こんなカラスに誰がしたと言う思いがあるので、あんまりカラスを責めたくありません。キャンプ場でのゴミの処理は気をつけましょう。
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8/6(火) 64日目  現在地:北海道阿寒郡阿寒町 阿寒湖畔野営場
集う流れ
 雨の音に何回か起こされ、このまま降り続けるのだろうかと思ったものの、朝を迎える頃には止んでくれていた。しかし、空模様は霧が出ていて微妙だ。少し様子を見ながらゆっくりと身支度を整えていたが、様子が変わらないので、場所をトイレに移し、電源を拝借しつつ、パソコンを立ち上げ、空模様を見ながら、作業をしていた。しばらくすると、霧がはれ出したが、曇り空が見え微妙だ。このまま居ても始まらないので、この先にもキャンプ場がある事だし、出発する事にした。

 国道242号線を利別川沿いに進むが、この川はすぐ上流にダムを持つためか、流れが淀み、トラウトたちの気配が感じられない。そんな流れを見つつ、足寄町に着き、これから阿寒湖までの道のりを考え、気合を入れる。空は、雲が残るものの、所々晴れ間が覗き、気温も上昇しているようだ。
 国道241号線に道を換えると、晴れ間が広がりだし、久しぶりに陽を浴び、上りが続く事もあって、暑くなってきた。通りの木々からは、蝉の鳴き声が盛んに聞こえてきて、だらだらと汗が吹き出てきて、久しぶりに夏らしい暑さを味わい、気持ち良くてうれしくなってきた。

 足寄町を流れる足寄川の流れを見ながら、川を吹く涼しい風に打たれていると、汗を掻くというのも気持ちが良いなと思えて来る。溜まっていたものが、汗と一緒に吹き出て、流れ落ちるような気がしてきた。
 悩みや障害と言うのは人それぞれ。ある人から見れば、ある人の苦悩は些細な事かもしれない。しかし、置かれる立場や現状も人それぞれ。苦悩を些細な事と処理できる人がいれば、その苦悩からなかなか脱却できない人もいる。さらに、求める行く先も人それぞれ。それによって、今抱える問題の大きさも、その時々によって変わってくるだろう。何が良い道なのか、どの選択が正しいのかは、一概に判断できない。しかし、時間だけが過ぎてゆく。二度と同じ形を作らないが、絶えず変わらぬ流れを作り、それぞれの想いを持った一滴の水が集い作られる川の流れを見ながら、そんな事を考えていた。

 阿寒湖を目指すが、足寄峠までの道のりは、ひたすら上りが続く。自転車のスピードがあまり出ないので、それを良い事にと思っているかどうかは分からないが、アブがまとわりつき、時々足に止まりいたずらをしている。追い払うのにも、上り坂でなかなかハンドルから手が放せないので厄介だ。
 そんな状況が続き、2時間ばかり上りきったところで峠の頂上に付くと、開放感が突き上げてきて、気持ちよすぎる下りも重なり、一滴一滴の水の集まりが、寄って寄られて、力になってなられて、川の流れを形成しているのと同じように、それぞれの人の想いが集まり、寄って寄られて、力になってなられて、日々の生活と言う流れを作っているのかなと言う想いが生まれた。
 その流れの中にあって、何歳なっても、苦悩を抱える事が時としてあるだろう。しかし、流れに流されるだけが人生じゃない。それを人と共有する事で、もみくちゃな想いが渦巻く流れの中で、それに立ち向かう魚になり、力強く自分の意思で泳ぎたい。久しぶりの夏らしい陽の光がくれた汗が、下り坂の風に乾いてゆく感覚が、私の中にそういう想いをめぐらせていた。

 峠を越え、阿寒湖まで下りが続く。湖面の近くのキャンプ場に付き、荷物を置き、風呂に入る為に温泉街へ行くと、物凄い観光客がいる。雑踏とした町並みを通り、一軒の旅館のお風呂に入り、久しぶりの湯船の幸福感を噛みしめつつ、誰も居ないので、洗濯までしてしまう。お風呂から上がると、お茶でもどうぞと言われ、それを頂きつつ旅館の人と話をしていると、私が半袖で寒そうな格好をしていたからだろか、これを持って行きなと、温かそうな上着をくれる。最後に、明日の朝も寒いようだったら、もう一度お風呂に入りにおいでよとまで言ってくれた。心温まるうれしい言葉と、上着の温かさを感じながら、キャンプ場での夜を過ごした。
足寄峠
 久しぶりの陽の光に、気分も爽快。やっぱり夏が良い。って、今も夏なんですけどね。
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8/7(水) 65日目  現在地:北海道川上郡弟子屈町 和琴キャンプ場
とりとめもない会話
 阿寒湖付近のキャンプ場だったが、湖面から少し離れた林間にあったからか、風の影響も少なく、その分寒さも和らいでくれたようだ。しかし、間近の国道を走る車の音が、結構気になり、快適とまでは言えない夜だった。
 いよいよ摩周湖へ行くので、天気を伺うが、霧が出ていて分からない。昨日、阿寒湖の河畔にあるトイレの電源を見つけておいたので、そこへ移動し、作業しつつ霧が晴れるのを待とうと考え、荷物をパッキングしていたら、隣にテントを張っていたチャリダーさんが起きて来て、しばらく話をした。
 彼はN氏で、神奈川の大学に通っている。学生時代の最後にと、ソロで北海道へ来たらしい。何度か北海道へは来ているらしく、峠を見ると攻めずには居られないタイプだそうで、その理由を聞いたら、”やっぱり、その後の下りが最高でしょう。”と言っていた。そんな会話をしていたら、もう1人、今度は、バスと電車を乗り継ぎ旅をしている方も加わり、しばしらくの間、話をしていた。
 彼らと別れを告げ、目星をつけていたトイレに行き、パソコンを立ち上げ、作業をしていたのだが、AirH"圏内で、気兼ねなく拝借できる電気に、あっという間に時間が過ぎて行く。途中、私が寒そうに上下カッパを着ているような格好をしていたからか、近くの旅館のおばちゃんが、これでもどうぞと、熱いお茶を持ってきてくれ、しばらく話をした。1杯のお茶だったが、体ばかりか、心まで温まるような気がした。
 時間は過ぎて行き、霧も晴れてきて、陽の光が降り注ぎ始めた。辺りを見ると、観光客の姿がちらほらと現れ始め、にわかに町に活気が出てきた。
 ようやく色々な作業が終わり、出発の時を迎えたが、時刻は11:00になっていて、かなりのんびりとしてしまったようだ。せっかく天気も良いので、霧の晴れた阿寒湖を見てから出発した。

 阿寒湖から摩周湖のある弟子屈町へは国道241号線を通る。地図で見ても険しさが伝わってきたが、予想通りの上りが始まった。北海道が涼しいとは言っても、陽を浴びながら、上り坂を登っているときは、さすがに暑い。体も温まり、気合を入れるためにも半袖になり、上り坂をじわじわと攻めて行く。8〜10%位の坂だろうか、自転車のギアはローのまま、時速にして5〜6kmのスピードで登っていると、すれ違うライダーが、がんばれよーと言ってくれているのか、ピースサインを示してくれる。平坦や下りの道なら、こちらも手を挙げ答えるのだが、正直、必死に登っているときは、それに答える余裕はないと言うか、手を離せないので、会釈をしてそれに答えていた。そんな中、1人のライダーさんが、拳を握り締め、それを3回上下させ、まるで”ファイト、ファイト、ファイト”と言ってくれているようだ。さすがに、これには力が湧いて来る様なうれしさを感じ、苦しい表情で登っていた険しい顔にも自然と笑みが出ていた。

 峠の頂上付近に展望台があり、そこからペンケトーと呼ばれる湖を眺める事ができるのだが、豊かな森を宿した山々にある静かな湖面がとても美しく、峠を登ってきた満足感も加わり、吹く風の気持ち良さを感じる事できる。
 そんな湖を眺めていたら、1人のライダーさんに、写真を撮ってくれと頼まれ、お互いに写真を取り合った。埼玉を2ヶ月前に出発し、のんびりと各地を楽しみながら、ここまでやって来たと言っていた。彼も野宿を基本として旅をしてきたので、週末のキャンプ場の賑わいには、少し戸惑っていると言っていた。
 束の間の休憩のつもりだったが、ライダーさんとの楽しい会話で盛り上がり、少し長居をしてしまった。再び出発したが、時間的に今日の摩周湖攻略が難しくなってきた。峠の頂上から続く、長い長い下りを飛ばし、先を急いだ。

 道の駅”摩周湖温泉”に着くと、そこから釧路川を見ることができる。釧路川だが、四国の四万十川に並び、この自転車旅の目的地の一つで、その流れを目にしておきたかったので感激するかと思ったが、この場所での感激はいまいちだった。理由は種々あるが、釧路湿原を蛇行する姿に期待して、川面を眺めていると、 私の兄から電話が来た。九州は37℃有り、目茶苦茶に暑いから、北海道がうらやましいなどと言うとりとめもない会話をしながら、30分も話し込んでしまう。電話を終えると、時刻は15:30になっていて、空を見ると、どんよりとしだした。摩周湖は明日にしよう。そう思い、一路キャンプ場のある屈斜路湖を目指した。
 日が遮られると、気温が一気に低下していくようで、寒く感じる。摩周湖に行かなかったのでその分の時間を釧路川での釣りに費やしたが、小さなヤマメが2匹釣れたに終わった。途中曇り空は厚みを帯だし、とうとう雨が降り出した。

 雨の中テントを張るが、さすがにしんどい。素早く落ち着ける環境を整え、テントの中で晩飯を頂き、天気が回復してくれる事を願って、眠りに着いた。
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8/8(木) 66日目  現在地:北海道川上郡弟子屈町 和琴キャンプ場
屈斜路湖での1日
 梅雨じゃないんだからと言いたくなるような天気には、さすがに参って来た。おまけの寒さ。今朝も一段と冷え込み、10℃を下回ってるのじゃないのと思った程だ。空模様は、この所お約束になりつつある霧のため、分からないが、小雨がパラついている。摩周湖に行くつもりも、これではどうしようもない。天気予報の発表される5:00まで、もう一度眠りにつくことにした。
 最近馴染みつつあるキャンプ場のカラスの声に起こされ、携帯電話で天気予報を確認すると、雨後曇り。空の様子はと言うと、雨は止んでいるが、雲が低くたち込み、いつ降ってもおかしくない状況だ。様子を見るしかないと思い、朝食を取る事にした。
 昨日は、キャンプ場の受付が終わった後に来たため、その受付をしに行き、天気を尋ねると、北海道全域が雨で、この辺りもこのまま、降ったり止んだりだろうねと言う事だ。移動は止めにして、屈斜路湖で釣りでもするかと、2泊分の料金を支払った。

 雨は降っているが、テントの中で何もしないよりも良いので、早速、和琴半島を散策がてら釣りをするつもりで、湖面へと向かった。
 屈斜路湖での釣りの情報は持っていなかったので、まずは観察とばかりに、湖面を見ていると、岸よりに小さな魚がたくさん居る。人を恐れず、警戒感がまるでない。見慣れないその魚を良く見ると、きれいな湧水にしか居ないトゲ魚科の魚みたいだ。名前までは分からないが、ちょこまかと動いては、石に生えている苔を突っついている。見ていて飽きないので、その姿をじっくりと観察。うれしい体験となった。
 気になる釣りの対象魚の方だが、湖面に小さなライズを確認できた。”よし!”とばかりに、キャストを開始した。10投もしないうちに、うれしい当り。一気に横に走る引き、サイズは小さそうだが、ニジマスを予感させる。その引きを味わいながら引き寄せると、銀毛化した20cm程のニジマスだった。幸先の良いスタートに、気分も良くなり、晩飯はニジマスのホイル焼きだなと、取らぬ何とかの皮算用をして、そのニジマスをリリースした。
 しかし、よくあるパターンだが、その後全く食ってくれない。それならばと、ルアーをチェンジし、深場を攻めると、今度は鋭い当たりが竿先を襲った。が、引きからすると、先程のニジマスと同じくらいのサイズだろうか。強引に引き寄せると、銀毛化したヤマメだった。食べ頃は、23cmを越えてからだ、そう言い、そのヤマメをリリースした。
 釣りも良いが、時間もあることだ、和琴半島を一周してみる事にした。冬場は雪に覆われ、寒いイメージがあったので、閑散とした森をイメージしていたが、木々の間にも植物が生え、うっそうとしている。 キツツキ科の鳥(アカゲラかな)が、木を突付いては、何かを食べているようだ。
 周囲2km少々の散策路だが、アップ・ダウンがあり、眺望の良い場所もある。そこから山の斜面のがけから吹き出ている蒸気を見ることができる。あいにくの空のため、遠くに見えるはずの山々が見えず残念だ。
 雨は降ったり止んだりを繰り返し、昼食のため、一休みする事にした。

 釣りのポイントをいまいちつかめないでいたが、手応えがあったのは事実。もう一度、晩飯の皮算用をしてから、午後の釣りに出かけた。午前中とは違い、風がなく、静かな湖面。キャストを続けるが、反応はない。”これだからな〜。参ったよ。”と石に座り、一服していると、水の中にザリガニを発見した。これがただのザリガニではなく、日本ザリガニだ。東北以北のきれいな水にしか住めないと言われるその姿を、じっくりと見たかったが、私の姿に気付いて、岩陰に潜んでしまった。しかし、これには大感激である。水族館で見た事があるが、生で見れて本当にうれしい。これだけでも、屈斜路湖に来て良かったと思える程だ。結局、その後、釣果は得られず、竿を納めることにした。

 自然の宝庫(宝湖)だね〜。1人感激し、ニジマスの代わりに、レトルトカレーを温め、晩飯を食べたのだった。
屈斜路湖のニジマス
 銀毛化していたためか、反射して写真写りも良くない。よく走る引き、大きいとな〜。
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8/9(金) 67日目  現在地:北海道川上郡標茶町 塘路元村キャンプ場
釧路川の実力
 このキャンプ場、歩いてすぐの所に、無料の温泉露天風呂がある。昼間は観光客の目が気になり、入らずにいたが、昨晩暗くなってから入る事にした。少し熱めの湯だが、外が寒いだけに、丁度良い。ゆったりと、そしてゆっくりとくつろがせて頂き、ホカホカの状態で寝袋に入ったので、最高の眠りを得る事ができた。
 朝起きたのだが、小雨が降り、雲も厚く立ち込んでいる。この状況で、摩周湖へ行っても、湖面すら見ることができないだろうと考え、雨の様子を伺いつつ、釧路湿原を目指す事にした。
 トイレの電源を借り、充電をさせて頂きながら、様子を見ていると、昼前になり、雨も落ち着き始めたので、出発する事にした。
 
 向かい風が強く、少々きつい。これまで、私の自転車での速度は、遅いほうだと思っていたが、そのようで、学生のサイクリング部らしい団体さんに、ガンガン抜かされ、あっという間に置いて行かれてしまう。人にはそれぞれペースがあるからなと、少々負け惜しみじみた事を考えなら進んでいた。

 相変わらず風が強く、それが寒さを増幅させるのだが、寒いのが苦手なだけに、”寒いな〜”と感じていると、気力が下がってきて、自転車を漕ぐペースが、落ち始めた。すると、さらに寒さが見に染み出し、くじけそうになって来た。そのとき、通り過ぎる車の窓から顔を出し、小さなお子さんが”がんばってー”と叫んでくれた。めちゃめちゃにうれしくなって、手を振り笑顔で答え、力強くペダルを漕ぎ始めた。

 1本道だが、自分の進み具合を確認するために、地図を見る。いつもそうなのだが、私の場合、道以外にも、周辺の川を確認してしまう。これは、自転車旅を始める前からやっていた事で、癖のようになっていた。
 釧路川が道沿いに流れているはずだが、今の所見えない。見たいよなと思いながら、地図を見ていると、この先に橋が架かっている事に気付き、全開とはいかないが、橋を目指して進んだ。
 中流域にあたるからだろうか、川幅が広く、流れも豊かだ。水の透明度は低いが、岸には木々が覆い茂り、いかにも釧路川らしい眺めだ。
 橋の上から、その流れを見ていたのだが、橋の近くから、簡単に川面まで降りて行け、さらに、釣りの好ポイントとなる場所がある。少し釣りをしようと、川面まで降りて行った。
 
 曇りと言う好条件だが、昼間にはなかなか釣れるものではない。案の定、ここはと思われる場所を攻めてみるが、反応はない。流れが速いからなと考え、逆引きで底を探る作戦に切り替えた。
 丹念にルアーを流して行くが、反応はない。やはり難しいなと思っていた時、”ズンッ”と言う当りがあった。すかさず合わせを入れるが、魚を引き寄せる感覚がなく、一瞬根掛りを思わせたが、次の瞬間、鈍いが大きく力強い引きが、竿先に伝わり、手元まで伝わってきた。”これはでかい”釣りの経験がある人なら分かると思うが、当りと合わせ、最初の引きで、魚のサイズが大体分かる。しかし、この引きは経験した事のないくらい重い。魚は抵抗するように深場へ潜り込み、その姿が見えない。私の心臓は、自分でも分かるぐらいに、激しく”バクバク”と鼓動し、その脈が、全身を駆け巡る。弓なりを越えた三日月かそれ以上にしなる竿と、その手応えが、興奮の頂点を突き抜けさせる。魚の抵抗は続く。時折、糸切れ防止機能のリールのドラッグが開放され、リールから糸が出て行く。魚を近寄せる所か遠のいて行く感じだ。その引きを竿にためながら必死にこらえる。魚が力を失ってくるまでの辛抱だ。興奮の中でも、できる限り冷静な判断で、魚とのやり取りを続ける。釣っていた足場が良い事もあって、自らが魚の方に近寄り、その距離を縮めて行く。やがて魚が近づいてきて、その姿が見えると、さらに私の心臓は高鳴った。”でかい”透明度が低く、全身が見えたわけではないが、水中で反転する姿から、その大きさを確認できた。間近に迫っても抵抗を続ける魚。バラしてはいけないと、竿を右に左に、上に下に動かし、できる限り魚をコントロールする。粘り強く、重たい引きと格闘し、数分のやり取りの後、ようやくキャッチした魚は、アメマス。サイズは46cm。九州には生息していない魚で、この魚がアメマスとして大きい方なのかどうかは分からないが、うれしいうれしい魚体との対面に、しばらくの間、興奮の中にいた。
 記念の写真を撮り、ネットに横たわる魚を存分に眺め、食べようかなとも思ったが、1人で食べるには大きすぎなので、”もう釣られるんじゃないぞ”そう言い、ネットから泳ぎだすアメマスを見送った。
 天候、時期、水温、時間、川の規模、川の状態、ポイント、釣り方、釣れる時と言うのは、種々の条件が重なるときだと思うが、それらを含めて、”釣れるときは釣れる”と言う”運”の要素が強いと思う。ちょい釣りのつもりで入った川でのアメマスとの出会い。その幸運と、釧路川の実力に感謝した。

 釣りを終えた後も、冷め切らない興奮の中に居た。気分良く、寒さも向かい風の事も忘れ、顔は緩みっぱなしだ。足取りも軽く、キャンプ場がある塘路湖へと向かった。
アメマス
 粘り強く重たい引き。よくルアーに反応してくれたものです。ありがとうアメマス君。
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8/10(土) 68日目  現在地:北海道釧路郡釧路町 とおや恵公園
釧路湿原
 また雨だよ〜。と、テントに落ちる水滴の音に起こされる。それだけで、今日1日に憂鬱感が走る。毎度の如く、5:00に発表される天気予報を確認すると、曇り時々雨。降り方にもよるが、走れるような降り方ではないので、再び寝袋に入り込んだ。
 8:00頃になると、雨足は弱くなり、何とか出発できそうな気配になって来た。いい加減、日記に天気の事は書きたくないんだがな〜、すっきりと晴れて欲しいよと思いつつ、濡れたテントを片付け釧路湿原の展望所を目指して出発した。
 
 出発するとすぐに雨は止んでくれたが、おもいっきり曇っていて、いつ降ってもおかしくない。そんな中、国道から道を変え、釧路湿原細岡展望所を目指す。
 途中、舗装されていない道も出現し、自分の自転車がMTBで良かったなと思いながら、少々ののぼりを制し、展望所に到着。
 一面に広がる湿原。はるか先に山々が見えるはずだが、この天気では見えるはずがない。しかし、釧路湿原は、この旅を抜きにしても、1度来てみたかった所なので、感激も一入だ。蛇行する釧路川、その周りだけに木々が茂っている。遠い時の流れの中で、何度も川の流れが変わっているのだろう、所々に三日月形をした池のようなものがある。生きている川なんだなと思いながら、静かに景色を眺めていた。
 ずーっとその場に居て、眺めていたい気持ちもあったが、雨のため出発が遅れている。先を急ぐかと自転車に戻り、出発しようかと思っていたが、展望所にある休憩所が目を引いた。この休憩所、ビジターセンターの名を持ち、釧路湿原の説明をしていたり、中に小さな喫茶店があったりと大変立派だ。もちろん休憩だけもできる。昨日の日記を書き込まなくてはいけないので、ベンチ横にコンセントがあるのを確認し、施設の人の了解を得て、電気を拝借する事にした。
 休憩所内で釧路湿原を特集したビデオ放送をやっていたのだが、それに耳を傾けていると、雄大な湿原が、多くの生物を育んでいる事を伝えていた。しかし、最近の開発などで、多様な生態系に影響が出ている事も伝えていた。
 私がその流れに感激した釧路川でさえ、護岸が増え、さらに、新釧路川と言う川でない川が作られ、釧路川も本来の姿を失いつつあると言う人もいる。
 ”残された自然”悲しい響きを感じる言葉が、胸を突いた。
 ビデオ放送にそんな事を感じながら、パソコンの作業をしていたのだが、案の定、大幅に時間がかかってしまった。時刻は13:00。AirH"圏内である釧路市を目指し、そこで作業をする事を考えるとあまりのんびりもしていられない。急ぎ自転車に戻ると、先程まで止んでいた雨が、再び降り始めた。こればかりはしょうがない。雨の中、釧路市を目指す事にした。
 展望所から釧路市までは、30kmもないのだが、雨と寒さに足取りも重くなっていた。しかも、釧路市にはキャンプ場がないので、どこかで野宿をしなければいけない。さすがに雨の中の宿泊地探しには気分が乗らない。
 そんな負の気持ちを抱きながら進んでいると、道沿いに東屋のある公園が目に付いた。しかし、今日はホームページの更新をしたい。祈るような気持ちで、その東屋の下、パソコンを立ち上げると、通信可能。雨は降り続き、少し勢いを増し始めた。しかも、トイレには、併設されたガラス張りで、コンセントのある休憩所がある。今日の移動距離は少ないが、こう言う好条件な野宿先もないので、この公園での野宿を決めた。

 強まる雨足に途方にくれそうになるが、明日は晴れてくれよと思いながら眠りについた。
釧路湿原
 数箇所ある釧路湿原展望所の中の一つ、細岡展望所。蛇行する釧路川はそれらしい。30分は眺めていたが、もっと眺めていたかった。念願の地に来た喜びをかみしめました。
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8/11() 69日目  現在地:北海道川上郡弟子屈町 和琴キャンプ場
摩周湖へ
 昨日の夕方、トイレに併設されたコンセント有りの休憩所で、その日の日記を書き終えた後、1人のチャリダーがこの休憩所にやって来た。
 単独女性チャリダーを見かけた事がなかったので、失礼だが珍しいと思ってしまった。女性の方でMさん、名古屋の大学に通っていて、夏休みを利用して、釧路まで輪行し、名古屋まで帰る予定らしい。通りすがり、私の自転車を見かけて、情報収集をしようと立ち寄ったと言っていた。18:00を過ぎていて、次のキャンプ場の情報を私から聞き出していた。低料金の次のキャンプ場までは、ここから20km程の所にあり、時間からして、行けない事もないが、あまり計画的でない印象を持ったが、話をしていてさらに驚かされた。名古屋から釧路に来るのにも、飛行機の予約を取らず、12番目のキャンセル待ちをしたらしい。幸運にも来れたとは言っていたが、お盆を前に今週から、会社も休みの多くなるときに、予約もなしにすごい事をするなと思っていたが、まだ、驚かされる。自転車部に所属しているらしく、これまでも、旅をした事があるらしいのだが、公園や学校、駅、さらには病院などで、野宿を平気でしてきたと言っていた。正直、私よりもたくましく写ってしまった。
 休憩所の環境が良く、外には最悪、東屋もある。彼女もここへ泊まろうかなと言い出し、二人して、休憩所でくつろいでいた。
 休憩所の中で、晩飯を作ったりして、時間は過ぎ、20:00を回っても休憩所が閉められる気配がないので、このまま休憩所で寝ることができるのではないかと思い始めたとき、たまたま、地元の高校生らしい若者がやって来た。どこから来たんですかと言う会話に始まり、私が休憩所の事を尋ねると、ここは閉められるらしいと言う。仕方がないので、身支度を整えておいて、時間まで休憩所に居る事にした。
 Mさんの自転車は、旅の初日早々、フロントのキャリアの溶接が取れると言うトラブルに見舞われていた。たまたま、故障したときに目の前にあったお店でベルトを買い、それで荷物を縛りつけ、ここまでは来たのだが、私が針金を持っていたので、休憩所が閉められる間、その修理をする事にした。何かの役に立つだろうと針金を持参していて良かったなと思いつつ、キャリアの外れた部分を縛り付けたが、旅の先が長く、荷物が重いだけに、これで持ってくれれば良いのだが。
 そうこうしていると、21:00になり、高校生が言っていたように誰かが来た。警備会社の人で、やはりこの休憩所を閉めるらしい。中の荷物を取り出し、東屋に移動し、その軒下に並べてテントを張り、眠りに着いた。
 深夜、花火の音で目覚める。高校生が遊んでいる。寒くないのかな〜と言う私の心配をよそに、明け方まで遊んでいた。
 
 朝起きると、昨晩まで降っていた雨は上がり、曇り空が広がっている。今日は、もう一度摩周湖へ行く予定だが、天気予報を確認すると、これから3日間、あまりよろしくない。しかし、どうしても見たいと言う思いが強く、不順な天気の隙を突ければと言う考えも有り、来た道を戻る最短のルートで、摩周湖のある弟子屈町へ行くことにした。
 Mさんも起きて来て、少々冷え込む中、二人して簡単な食事をとり、これからの予定を聞いていたら、弟子屈を通り、阿寒湖方面へ向かうと言った。しばらくは同じルートになりそうだねと言い、テントを撤収し、出発した。
 この間、女性部員を含む学生の自転車部の方にガンガン抜かされていたので、私を気にする事無く、先に進んでくださいねと言っておいたのだが、案の定、Mさんのペースは私よりも速く、どんどん離されて行く。さすがにこの時は、私も真剣に走って、もう少し脚力をつけないといけないと感じてしまった。

 来た道、すなわち一度通った道だが、天候や時間で違う発見があるので面白い。三つの湖の横を通るのだが、その周りには湿原が広がり、そこを流れる小さな川が、うっそうとした湿原の中を蛇行している様子が見れ、どんな生き物の世界が広がっているのかを想像するとワクワクしてしまう。
 牧場が点在しているのだが、そこでMさんがカメラを片手に休憩を取っていた。乳牛が飼われていて、妙に人なれしているのか、写真を撮っているMさんの方に、牛たちが集まっている。それが面白いと言って、牛たちの写真を撮っていた。少しの休憩を挟み、再び出発。またまた、置いていかれる私だった。

 そんなペースで、離れたり追いついたりで、弟子屈にあるホームセンターに到着。私には快適なスピードだったが、Mさんはまだ旅の初期の段階なので抑え目だと言っていた。Mさんは、その店で、今後のキャリアのトラブルの再発に備え、針金を購入。私も、いくつかの物品を補充した。
 店員さんに、今日の空模様から、摩周湖の状態を聞きだすと、ちょっと見えないだろうねと言う事だ。Mさんも摩周湖を見たかったようだが、あきらめ、阿寒湖へ向かう。私はあきらめられない。どうしても見たいので、しばらく様子を見る事にして、道が分かれる所まで並走し、がんばりましょうと言って、Mさんに別れを告げた。
 
Mさんと
 現役自転車部の実力だろうか、私が遅すぎるのだろうか、上り坂もガンガン登って行っていた。私ももう少し脚力をつけないといけないな。
 コンビニで休憩しつつ、空の様子を伺っていたが、摩周湖の方には雲が広がっていた。途方にくれそうになったが、ここまで来たんだし、だめでもいいから、一度摩周湖へ行くことを決め、一路摩周湖への上り坂へ進路を向けた。
 信号待ちをしている摩周湖方面から帰ってきたライダーさんが、がんばってと声をかけてくれる。摩周湖は見えましたかと尋ねると、少しだけと言ってくれた。天気予報では、明日も曇り、明後日も曇り、その次は雨だからな。少しでも湖面が見れれば、まずは納得しようと、きつい上り坂を登り始めた。
 なだらかな上りから始まるが、それが段々と険しくなって行く。反対車線から下ってくるチャリダーが、豪快に飛ばし気持ち良さそうだ。気温は低いのだが、汗を噴出しながら、その上り坂を登って行く。登るにつれて、曇り空が薄くなって行く感覚を感じ、さらには、スポット的に晴れ間もあり、わずかだが、青い空が見える。幸運を期待して登って行く。
 険しい険しい上りの末、摩周湖の第1展望所に到着すると、観光の人が大勢いる。日曜という事もあるし、盆休みでも有るからなと思っていたら、”見える見える”と言う声が聞こえてきた。急ぎ、湖面の見える展望所に立つと、空には雲が広がっているものの、霧がなくすっきりとした状態で湖面を見る事ができる。
 ”感激だ!”その印象と、曇りだったが、霧もなく見える湖面が、私の心を打つ。神秘と言われるが、流れ込む川もなく、流れ出す川もない。数万年とその水を湛え、数万年と外界から遮断された世界が広がっている。それを神秘と言わなければならない現代の自然の状況を、世界一透明度が高い水が鏡となり、そこへ映し出しているような静かな湖面。風が吹き出すと湖面が波打ち、それまで写し出していた空の姿が微妙にゆがみ、その鏡のもろさを暗示しているようだった。世界一と言われ、鏡のような湖面の水だが、学術的にもその水に溶け込む物質の変化が、その時代の大気の状態を写し出すと言われ、近年になり、大気の汚染のが示されていると、以前テレビで見たことを思い出していた。変わり行く地球の環境だが、摩周湖の水が、永遠にその美しさを保つ事を願いながら、素晴らしい湖面を眺めていた。
 感激と興奮に浸りながら自転車に戻り、次の展望所に着いたが、その時には、湖面全体に霧が広がり、全く見えなかった。気まぐれな天気と霧に翻弄されるが、人々を魅了する摩周湖の美しさを噛みしめ、下り坂を豪快に飛ばし、キャンプ場を目指した。
摩周湖
 鏡のような湖面が印象的。今度見るときは、ぜひ快晴の摩周ブルーを拝みたいものだ。釣り氏として、魚のライズを確認したのは言うまでもありません。ちなみに、アメマスと移殖されたニジマスがいるらしい。全面禁漁区です。
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8/12(月) 70日目  現在地:北海道厚岸郡厚岸町 筑紫恋キャンプ場
旅野氏との出会い
 昨日の夕方、キャンプ場に着いたは良いが、かなりの賑わいだ。特にライダーさんの姿が目に付く。もちろん県外ナンバーの方だ。そんな賑わいの中、わずかなスペースを見つけ、テントを張る。小さなテントだが、こんな時には助かる。晩飯を取り、テントの前でコーヒーを飲みながら、曇り空から一転した空が、夕焼けに染まって行くのを眺めていた。
 団体の方たちはジンギスカンをやっている。そんな中、一つのグループの方から、肉が余りそうなんで、ぜひ食べませんかと言うお誘いを受けた。一応、腹は満たしたが、まだ食べれそうだったので、頂く事にした。会話を交えながら、ビールまで頂き、もうこれ以上はと言う限界まで御馳走になり、さすがに苦しくなってきた。ありがとうございますと感謝し、テントに戻り横になり、満腹で苦しむと言う贅沢を感じながら、そのまま眠っていた。

 寝たのが早い事もあって、翌朝、3:00に目覚める。辺りは静かで、天気が良いのだろう、久しぶりに星空が見える。この時間なら無料の温泉露天風呂も誰もいないだろうと思い、100円ショップで買った洗面器を片手に向う。案の定、誰も居ない静かな露天風呂に貸切の状態で入浴する。低めの気温が熱めの湯と絶妙のバランスで体に心地良く、風もなく静かな夜の闇に、虫の声が鳴り響き、秋の気配が感じられた。やがて、西の空が明るくなりだし、あたりが朝焼けに染まろうとしていた。

 睡眠時間十分の早起きは、申し分がない。早速トイレの電源を借り、それぞれの充電を行いながら日記を付ける。今日の早起きには一つの理由があった。それは、私のホームページでリンクを張らして頂いている 〜自転車 日本一周記〜 @俺旅 の旅野正人さんと会う予定になっていたからだ。数日前に、函館のも〜さんから近くに居る事を教えて頂き、その後は旅野さんとメールを交換しながら、厚岸町のキャンプ場で会う事にしていた。
 作業を終え、朝食を取り、撤収にかかる。自転車が最近の雨のせいで、チェーンから悲鳴をあげていたので、オイルをさし、ついでにタイヤの空気を補充する。さあ出発だと思ったが時刻は10:00。また、のんびりしすぎたようだ。
 国道に入って、先を急ごうと思うが、向かい風が強く、スピードに乗ってくれない。途中、スーパーやホームセンターで買い物をしたため、少々時間をとられ、少し急ぎ気味で向かうが、風は相変わらず強く、きつい。結局、今日1日は、ひたすら向かい風の中を進む事になった。

 牧場の中を通るアップ・ダウンの道をひたすらに進む。17:00になり、ようやく厚岸町に到着。携帯でメールを確認すると、旅野さんはすでにキャンプ場へ着いているようだ。私もキャンプ場へ急いだ。
 海沿いから少し中へ入ったキャンプ場へ到着。メールで教えてもらっていた旅野さんのテントの前に着き、テントの前で名前を呼ぶが返事がない。しばらく待っていると、シャワーを浴び終えた旅野さんがやって来た。握手で交わす4人目の旅人との出会いの瞬間だ。

 旅野さんはお酒が飲めるほうらしく、お酒を買ってくれば良かったねと、話していると、”買ってきますよ。”と言ってくれたので、お願いする事にした。私は、その間にテントを張り、晩飯の準備を整える。ビールを片手に帰ってきた旅野さんと乾杯で対面を祝い、ともに晩飯を頂きながら、旅の話に花を咲かせる。
 やはり、私同様に旅野さんも、北海道はキャンプ場やライダーハウスが多く、旅をしやすいと言い、野宿先を見つけながら進まないといけない生活が待っていると考えると、本州に帰るのが怖いなと言う想いを抱いていた。しかし、お互い、旅の行程としては、半分も行っていないだろう。まだまだ、先は長い。飯の話になると、お互い似たような事をやっているようだ。北海道ではセイコーマートだよねと言うのは、お互いの一致したところだ。そんな中、旅の裏話を含めた楽しい事や、苦しい事の話を交え、お互いの有用な情報の交換をする。楽しい会話が続き、夜がふけて行き、気が付けば普段なら寝ている時間になっていた。回りのチャリダーさんや、ライダーさんが眠りにつく中、少々迷惑をかえりみず、騒ぎすぎたようだ。盛り上がる話をそこまでにして、静かになって行くキャンプ場で眠りに着いた。
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8/13(火) 71日目  現在地:北海道厚岸郡厚岸町 筑紫恋キャンプ場
雨の中
 早朝、誰も居ない洗濯コーナーへ向かう。もちろん、狙いは洗濯器ではなく、そこにあるコンセントで、昨日、旅野さんからコンセントがある話を聞いていたからだ。おそらく、電気を必要とする旅人の多くがそうであるように、旅野さんも私も、トイレに行ったときに、まずコンセントの有無を確認する。トイレに限らず、キャンプ場の炊事場、街路灯のスイッチ周辺や、外にあるブレイカーボックスなど、ありとあらゆる場所を物色する。もうこれは癖になっているねと言うような話を昨日していた。しかし、込み合うキャンプ場では油断は禁物で、あらかじめコンセントを見つけておいても、先に携帯の充電器が差し込まれている場合もある。やはり、早朝が狙い目のようだ。
 パソコンを作業しつつ、気になる天気予報を確認すると、曇り時々雨で、午後になるに従い、降水確率が上昇している。そうこうしていると、旅野さんがやって来た。今は降っていないが、微妙な空模様を眺めながら、2人りして、どうしたものかなと言う会話を交わしていた。
 キャンプ場には、他にもライダーさんやチャリダーさんが居たが、みな撤収を始め、気が付けば、私と旅野さんのテント2つが取り残されていた。
 これまで散々天気に振り回された2人だけあって、雨が降る中での移動は極力避けたい思いがある。微妙な空模様だが、”出発したら降り出す。”とか、”テントをたたんだら降り出す。”などと、少々ネガティブな会話を交わし、明日から天気が回復してくれるようなので、私的に移動への意欲が薄れて行っていたのだが、ポツポツと雨が降り始めた。”やっぱり降ったね。”と、溜息混じりに言葉を交わし、2人してテントの中へ潜り込んだ。
旅野氏と
 
 テントにあたる雨粒の音が、次第に大きくなって行く。雨は激しさを増しているようだ。何もする事もなくテントで横になりながら、コーヒーを沸かす。少々寒いので、温かいコーヒーが、一時の幸福を与えてくれる。
 海が近いので、雨が小降りになるようなら、釣りをしたいなと考え、以前に買っておいた釣り新聞を開くと、この辺りで”チカ”と言う魚が釣れるらしい。”チカ”と言う魚の名前は始めて聞く。サビキで釣れるらしく、15cm程度の体調を持っているらしいが、地方の名前なのだろうか。それでも釣れる物なら釣ってみよう。しかし、サビキを持っていない。それならばと、サビキを作る事にした。通常、サビキは魚の皮でできているが、ビニールっぽい奴もあるからなと思い、溜め込んだビニール袋を取り出し、色のある部分を、切り取り、釣り針にくくり付けて行った。こういう建設的で、作るのに頭を使う事が好きなので、作っているだけで楽しい。褒められた出来ではないが、3つのサビキを作り、それを枝状に連結して行き完成した。しかし、雨足は弱くなるどころか、強くなって行く。テントの隙間から外を見ると、横殴りの雨が降っている。釣りは無理だなと思い、再びテントの中で横になった。

 雨滴がテントをたたく音だけしかしない中、私のホームページの”裏日記”にあった友人のカキコミの言葉を思い出していた。”何かつかんだかい。”と言う言葉だったが、以前から書いているように、ホームページと言う形で、日記を更新しながらの旅は、少々つらい部分もある。しかし、メールやカキコミは、私に何かの心境の変化を与えてくれる。その言葉を噛みしめる事で、新たな思考へとつながって行く様な気がする。閉ざされた自分の考えが、新しい第三者の言葉で開かれて行く様な感じだろうか。一時の出会いではなく、やり取りを通じて続く会話によって、自分と向き合う時間が増えて行く。言葉が新しい心境を導き、その心境が新しい言葉を生み出して行く。何をつかめぬとも、この旅の行程で得られた、そして、これから得られるであろう人とのつながりが、私が手にできる宝のような気がしている。
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8/14(水) 72日目  現在地:北海道根室市 根室市キャンプ場
納沙布岬の丘陵
 霧が濃い中、まだ暗いうちから起きて、電気を拝借するため、洗濯コーナーへ行く。昨日の雨のせいだろう、室内には所狭しと洗濯物が干してある。どうやら学生の自転車部のものらしいが、迷惑なその干し方に、少々ムッとさせられる。
 暗いうちからの作業だが、今日の移動距離を考えると、これぐらいが丁度良い。時間が経つにつれ、辺りが明るくなってきたが、濃い霧は晴れる様子がない。そうこうしていると、早起きの学生さんが起きて来て、洗濯物を乾燥機へと入れだした。何人かの学生さんがやってきたが、洗濯物が邪魔になっている事を引け目に感じてはいないようだ。しかも、足元を見ると、どこかの旅館の名前入りスリッパを履いている。どこからか頂いてきたのだろうが、それを見ると、私も学生の頃は、無茶をしたからなと、洗濯物にしてもスリッパの事にしても、変な納得をしていた。
 テントへ戻ると、撤収を始めている旅野さんと朝の挨拶を交わす。周りにテントを張っていた他の旅人は、昨日、散々雨に打たれたのであろう一様に疲れた表情をしていた。昨日移動しなかったのは正解だったようだ。まあ、あいまいな日程を設定している旅人の特権のようなものだなと感じた。
 濃い霧もやがて晴れだし、所々から青空が見え出した。天気予報は、曇り時々晴れで、暑くなるような事を伝えていた。私と旅野さんは、日本を逆に周っている。キャンプ場を出発し、しばらく並走した後、今後の無事と、検討を祈り握手で別れた。手を振りながら離れて行く2人、楽しい時間を過ごす事ができた。
 
 久しぶりの青空に、気分も軽く、今日の走行への意欲を掻き立てられた。ここ厚岸町の中心部は、AirH"圏内、別れてすぐ電源を探していると、スーパーに無防備なコンセントを発見。電気を拝借していたのだが、今朝の学生の行為が思い起こされ、やっている事は大して変わらないなと、電気だけに形が残らないが、これも立派な窃盗に当たるのではないかと、1人考えながら作業をしていた。

 厚岸町から北海道最東端の納沙布岬を目指すが、私にしては、かなりの移動距離を強いられる。しかし、納沙布岬のある根室市までの道は、追い風にも助けられ、ハイペースで進めた。湿原や森と言った、豊かな景色の中を通る道。突き抜けるような青空には、筋状の高層雲が少しあり、さんさんと降り注ぐ太陽が背中を後押ししてくれるようだ。

 根室市に到着したが、そこから岬のある半島を1周し、キャンプ場に着くためには、後60kmは走らなければならない。時間的に、今日の納沙布岬攻略が微妙だが、かと言って、この時間からキャンプ場へ行くのも早すぎる。今日は天気が良いが、明日にはどうなっているか分からない。納沙布からの展望に期待して、向かう事にした。
 
 良く晴れていた空に、やや雲がかかり始めた。丘陵地帯のアップ・ダウンの道を進むが、風が強く冬は寒いと言った厳しい気候が影響しているのだろうか、高くそびえる木が見当たらない。
 ようやく岬に着くと、カニをうたうお店が目に付く。観光客の姿も見られるが、何処が最東端なのかがいまいちつかめない。たくさんの碑があり、北方領土の事をうたっている。そんな中、ここだろうと思われる、灯台の麓へ行く。知床連山を眺める事ができ、すぐ目の前に北方4島が見え、ようやく、納沙布岬へ来た実感が湧いてきた。
 岬からの帰り道、半島の丘陵地帯を、日が沈む方角へと走る。山がなく見渡す限り空が広がり、ライダーの後姿が、とても絵になっている。やや雲がかかっているが、その間に見える青空は、鏡のように澄んだ鮮やかな色をしている。陽も暮れ始め、海が太陽を反射して、いつまでも眺めていたい様なそんな景色を楽しむように、ゆっくりとキャンプ場へと向かう。久しぶりに見る夕日が、鮮やかに雲を焼いていた。
 
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8/15(木) 73日目  現在地:北海道目梨郡羅臼町 知床国立公園羅臼温泉野営場
ミヅタニ氏との出会い
 早朝3:30に目覚め外へ出てみたが、冷え込みが厳しく寒い。キャンプ場の外灯の下にある電気を、テントまで引き込み、パソコンを立ち上げる。ささやかな暖をとろうと、コーヒーを入れたが、外気に冷やされてしまうためか、すぐに冷たくなってしまった。
 明るくなり、空模様を見てみたが、昨日鮮やかな夕焼けを提供してくれた雲が、そのまま広がっているような感じの曇り空だ。
 素早く撤収し、キャンプ場からAirH"圏内の根室市まで戻り、再びパソコンを立ち上げた。ホームページでリンクを張っている”縦断画報”の”ミヅタニ”さんからのメールを確認するためだ。幸運にも、私の会いましょうと言うメールに対しての返事が届いていた。お互い通信にAirH"を使っているので、北海道の広さと、そのエリア状況から考えると、返信メールを確認できた偶然に感謝した。お互いに、知床半島の羅臼を目指す事を確認して出発した。

 国道44号線を西へ向かう。そこから見える風連湖の自然は、自然が自然な姿をして、人が立ち入る事を拒み、生き物たちの自由な世界が広がっているように見えた。その景色をのんびりと見たい気持ちもあったが、先を急いだ。 羅臼を目指すため、140km超の移動を強いられるためだ。
 風連湖を離れ、海沿いの道を進む。全開に飛ばし続けたい所だが、私にしては、昨日の移動距離も多かった方なので、少々疲れているようだ。休みを入れる回数が多く、頻繁に地図を見ていた。
 結構ヘタレ気味で、道のりの3分の2を走りきり、コンビニで休憩する。携帯電話でメールを確認すると、ミヅタニさんから、羅臼にあるキャンプ場を目指すとのメールが届いていた。ミヅタニさんは携帯電話を持っていないので、モバイル対応のグレーの色をした公衆電話、通称”グレ電”から、メールを送ってくれたらしい。しかし、グレ電がそこらにあるわけでもなく、私からの連絡手段はなくなってしまった。すなわち、私も絶対に羅臼のキャンプ場へ行かなければならなくなったようだ。
 力を得るためにもと言うわけでもないが、空いたお腹を満たすために、パンを食べていると、1人のチャリダーが現れ、同じく空腹を満たすために弁当を食べていた。彼の名はM君で、東京在住の学生さん。夏休みを利用して、東京から地道で北海道へ来たらしい。色々と会話を交わすと言うか、私の方が一方的にしゃべっていたような気がするが、最後に記念撮影をして別れ、地図を確認して、一路、羅臼を目指した。
 
Mくんと
 1日の移動距離を少なくして、各地の様子を楽しんでいるらしい。
 羅臼までの道のりは60km程だが、遅くなるかもしれない事も伝えられないので、先へ進むしかない。しかし、この辺りから、猛烈な追い風が味方をしてくれる。ラッキーとばかりに自転車を漕ぎ進めるが、今度は東北の三陸を思い起こさせるようなアップ・ダウンが連続し始めた。やっぱり、地図では、このアップ・ダウンが分からないからなと感じながら、ようやく羅臼に到着。やっぱり、出会いは乾杯で祝いたいので、コンビニでビールを買い込み、キャンプ場へ急いだ。

 羅臼岳が望める峠の道に入ると、急勾配の上りが始まる。明日はこの峠を越えなければならない。その覚悟を固めつつ、18:00にキャンプ場に到着したが、ミヅタニさんの姿がない。距離的には、ミヅタニさんの方が早いはずだがと考えながら、しばらく待っていたが、現れない。連絡手段がないだけにどうしたものかと考えていたが、暗くなっても大変だ。ミヅタニさんが来ても、私を発見しやすいように、入口近くにテントを張ろうとしたとき、”えいしょうさんですか?”の声がした。私にとっては、このまま来ないのではないのかと考え始めた頃なので、ホッとした出会いとなった。

 テントを張り、ビールで乾杯。晩飯を食べながら旅先での思い出話しに花を咲かせていた。お互い自転車旅が初めてで、年齢も近いせいだろうか、話の内容は、旅の捉え方や旅の考え方、旅を進めていく過程で、それらの考え方に変化が生じている事など、さらには旅を終えた後のこと等へと移っていた。
 私の無礼なしゃべり口にも丁寧な言葉で返してくれる。ミヅタニさんのホームページの文章の繊細さが伝わってくるような気がした。しかし、直接会うと、文章だけでは感じられない、内に秘められる苦悩の部分を感じる事ができ、共感できる部分が多分にあり、素直に会えて良かったと感じる事ができる。自分の感覚や印象を、伝えさらけ出す旅の日記だが、会う事でその言葉の重みが変わってゆく事を感じながら、更ける夜の中、楽しくも心に響く会話が続いていった。

 時が経ち、冷え込みが深となる中、近くにある無料の温泉露天風呂に浸かり、芯から温まり、テントを持たないミヅタニさんと、私の小さなテントの中へ潜り込んだ。
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8/16(金) 74日目  現在地:北海道斜里郡斜里町 斜里町峰浜キャンプ場
知床の峠
 2人が寝るには小さすぎるテントだが、寝心地は思いのほか良かった。外はかなり冷え込んでいるようだが、人間が発する熱の量はたいしたものらしく、1人で寝ているよりも数段に温かい。このテントで始めて2人で寝た記念とばかりに、写真を撮り起床。
 コーヒーを入れ、ミヅタニさんが買っておいた弁当を頂きながら、ミヅタニさんが通ってきた道の情報を教えてもらう。
 ミヅタニさんと私は逆方向へ進む。事故には気をつけてという言葉を頂き、一時の楽しい出会いを惜しむように握手で別れを告げた。
ミヅタニさんと
 
 標高700mを越える知床峠の道を進みだしたが、いきなりの上り坂だ。いつも、走り出しは暖機とばかりにゆっくりと進むが、そうも言ってられない。力を込めてペダルを踏み込んだ。体はすぐに温まり、着ていたカッパを脱ぎ、これから続く15km程の上りに、気合を入れて挑んでいった。
 気温が涼しいとは言え、天気が良く、まぶしすぎる陽と上り坂で、汗が吹き出てきた。覆道の歩道を通っていると、水の流れる音が聞こえてきた。覗き込むと羅臼川の青々とした流れが見える。きれいで冷たそうな急流を眺め、気分的に涼しくなったところで、再び登り始めた。
 上り坂のレベルとしては、たいしたことはないと聞いていたが、脚力がないためか、スピードは5〜6kmしか出ていない。このペースじゃ3時間はかかるなと思ったが、標高が高くなるにつれて、景色が良くなってきたので、景色を楽しみながらゆっくりと登ればいいさと割り切った。
 登るにつれて、道の脇に茂る木々の姿に変化が出てきた。いつも強い風が吹くためか、それとも太陽を求めるためかは分からないが、木の幹の半分には枝がなく、半分が茂っている。どちらにせよ、厳しい環境にたくましく育つ自然の姿が感じられた。
 かなり登ってきただろうか、眼下には、山の斜面とそれを縫うように続く道、そして、択捉と国後の島の姿が見えてきた。ここからの展望は最高だ。自転車を路肩に止めて、好天に恵まれた事を感謝しながら、しばらく眺めていた。雲海が広がる海の先に見える島だが、霞んで見えて、近くて遠い島であると言う、その現状を連想させる風景だった。
知床峠の道からの眺め
 上りはきついが、駐車スペースを気にする事無く、景色を楽しめる自転車の利点を感じた。
 休憩を挟んだ為か、それ程の疲労感もなく、2時間半ほどで峠の頂点に達した。自転車旅に出て2ヶ月以上が経つが、思えば、150m位の峠をしんどく感じていた出発時に比べれば、ずいぶんとたくましくなったものだ。少々の優越感と達成感を感じ、峠の駐車場でしばらく休み、お楽しみの下りへ向かった。
 標高740mから10kmの道のりを下る。さすがに快適だ。木々の隙間からオホーツクの海が見え出した。標高が下がるにつれて、好天の暑さが心地良いのか、蝉の声が盛んに聞こえてくる。盆を過ぎた九州では、晩夏を告げる”ツクツクボーシ”と言う泣き声が聞こえているはずだが、北海道には生息していないのだろうか、一様に”ミーン、ミーン”と言う鳴き声しか聞こえてこない。そういう知識に長けていれば、もっと楽しいだろうなと考えながら、夏が過ぎるのを惜しむように鳴いている蝉の声を聞きながら、下り坂を爽快に飛ばした。
 オホーツク海側の知床峠の入口にある知床自然センターに立ち寄る。ここからは、カムイワッカや知床五湖へ向かう観光バスが出ているので、たくさんの人が居る。私も、と行きたいところだが、ここへは電気を拝借しに来たようなものだ。受付の人の了承を得て、パソコンを立ち上げ、それぞれの充電を行う。

 自転車に戻り、出発の準備をしていると、北海道のライダーさんが話しかけてきた。この場所からカムイワッカにはどうやったら行けるのと言う質問を私にしてきた。地元の方が、旅人である私に聞いてくるのはおかしいと思ったが、話していくうちに、
  「北海道人だからって、地元に詳しいとは限らないよ。」
と言ってきた。それもそうだよなと思える。私だって福岡人だが、博多どんたくと言う祭りを見た事がないし、隅から隅まで知っているわけがない。妙に納得させられる意見に賛同して、話を進めていたのだが、やはりその辺をよく勘違いされるらしく、
  「北海道は広いんだから。」
と付け加えられ、その事をみんなに伝えておいてくれと頼まれてしまった。
 どうやって伝えるんだ?と思ったが、目から鱗が落ちるような会話に、固定観念は視野を狭めてしまうなと感じ、そのライダーさんと別れた。
 
 キャンプ場へ向かう足取りが重い。大きな峠を越えた脱力感からだろうか、急に道が狭くなったためだろうか、体力的な部分より、気力的な部分の問題のように思えてきた。ふと旅がマンネリ化して行く怖さを感じてしまう。気ままな旅のはずだが、知らないうちに自分に枷を背負わせてしまったのだろうか。生み出されるはずの想いを、生み出そうと無理をしているような気がしてきた。
 ”バランス感覚を大切に。”学生時代の経営学の先生が言っていた言葉を思い出した。自転車にしても、思考にしても、バランスを崩しては倒れてしまうなと感じるとともに、無理して進む事だけが、方向性を定めるものでもないなと感じ、ゆっくりとした足取りでキャンプ場へ向かった。

 オホーツク海に面した川の河口では、釣り人がカラフトマスを釣っているのだろう、海に向かって竿を振っている。その先の遥か彼方の水平線を、太陽がぎらぎらと照らしていた。
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8/17(土) 75日目  現在地:北海道網走郡美幌町 美幌町みどりの村森林公園キャンプ場
サイクルメーターの呪縛
 晴天なんて関係ないのだろうか、海に面したこのキャンプ場、海からの湿った冷たい霧が強風と共にテントに吹き付け、寒い。外灯の下にあるコンセントをテントに引き込み、パソコンを立ち上げた。しばらくすると、辺りが明るくなりだしたが、自動でスイッチの入り切りが行われているのか、外灯の電源が切れてしまった。しょうがないので、テントを撤収し、出発した。

 海沿いの道が続くため、海からの霧が道路にまで立ち込み、視界が悪く、車やバイクはライトを点灯させている。私の方はと言うと、メガネが霧を拾って、曇ってしまい、気分まで曇りそうだ。今日の最終的な行く先も決めず、とりあえずと言う形で、網走市を目指して自転車を進めていた。

 自転車で走っているときは、サイクルメーターを見る事が多い。スピードと走行距離が分かるので、自分のペースと、目的地に着く時間を想定できるからだ。今日も、地図の上で、網走市までの距離を算出し、今出ているスピードを確認しながら走っていた。いまいち自分のペースが上がらないので、目標のスピードを出す為に、ペダルを踏み込んでいたのだが、やはりペースが上がらない。こんな事では、網走に予定通りつけないと思い始めたのだが、何だかこの走り方が、走る事だけに集中しているように感じられ始めた。坂道に来てはスピードを確認して、風が吹いてはスピードを確認する。逐一サイクルメーターを気にする事が、逆にサイクルメータに縛られているような気がしてきた。
 ”何だかアホらしい。”
場合によっては、サイクルメーターの情報を元に走行する必要もあるが、今日は今の所はっきりした目的地もなく、キャンプ場の多い北海道なので、何処でも泊まれるはずだ。スピードも走行距離も関係なく、辿り着いたところで寝れば良い、今日の走行距離は、走り終わったときのお楽しみだなと思い、サイクルメーターが見えないようにして走り始めた。
 単純にして明快だった。サイクルメータを見ずに、今出ているスピードを気にする事をやめたとたんに、足取りが軽くなっていった。多分、出ているスピードが遅くなっただけだろうが、そんな事も気にせず、今日は休日の走行をしようと思い、のんびりと自転車を漕ぎ進めた。
 走る義務感を開放した為かどうかは分からないが、のんびりとした足取りで走ると、景色も違って見えてくる。人の視野や考え方も、気分一つで大きく変わるもんだな。意外と簡単な事で、新しい発見に出会えるかもしれないななどと、勝手な事を考えながら、晴天の陽が降り注ぐ道を、気分に任せた速度で走っていた。
 
 網走市に到着すると、晴天だった空に雲が広がり始めた。国道沿いの網走刑務所が、駐車場が完備された観光名所になっているので妙な気分になる。家族連れで、現役の刑務所を見学に行く姿が、なんとも不思議な景色に見えてしまった。
 網走湖の横を通っていると、ワカサギの遊漁案内の看板を見つけた。こんな海の近くでワカサギが釣れるのと、一瞬”おやっ”と思ったが、ワカサギは鮎と同じキュウリュウ魚科の魚だ。本来、海へ下り、産卵の為に川を遡上する魚で、放流され湖にしか居ない九州の環境が、本来の姿ではない事を思い出した。

 のんびりと走行しながらも、漠然とこれからのルートを考えていたのだが、やはり、心は川や山の方を向いている。網走市から旭川市方面へ向かおうと、国道39号線を西の方角へ進んだ。
 やはり北海道は助かる。こんな無計画な行程でも、そこにはキャンプ場がある。小高い丘の上のきれいなキャンプ場にテントを張り、今日の走行距離を確認すると、90km。それにしては疲れが少ない。今までは、サイクルメータの数字が私を疲れさせていたのだろうか、気分や考え方、そして捉え方で、感覚も変わってくるものだと言うことを感じる1日になった。
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8/18() 76日目  現在地:北海道常呂郡留辺蘂町 留辺蘂つつじ公園キャンプ場
風と戯れる
 風は涼しいが、朝から青空が広がり、日差しが暑く感じられる。蝉の鳴き声が聞こえるのだが、それに混じって、草むらからコオロギのような鳴き声が聞こえ、秋の気配が匂いそうな雰囲気だ。
 内陸を通り、北上を決めたので、旭川市方面を目指すのだが、国道39号線を通る場合、標高1000mを越える石北峠が控えている。今日1日の移動では、その峠を越える事ができないので、峠の手前の留辺蘂町を目指す事にした。したがって、今日の移動距離は60kmほど、慌てて出発する必要もないので、キャンプ場のトイレから電気を拝借、さらに洗濯をしてから出発した。

 上り坂から始まる道だったが、追い風が強く、快適だ。しかし、先程まで晴れていた空に、強風が連れて来た雲が、あっという間に空を覆い始めた。また、天気の心配をしないといけないのかなと思いつつ、上り坂を登りきると、進行方向が変わったためか、強風が向かい風になった。
 ”ゴーッ”と、耳元に感じられる風の音が、その強さを表しているかのように、猛烈な向かい風が、自転車の行く手を阻む。スピードは全く上がらず、一漕ぎ一漕ぎが重たく、漕いだ分しか進まない。風の向きは、運次第だろうが、さすがに風の神に祈りたくなるような心境が続くなか、進んでいた。おさまりそうにない風に、さすがに腹が立ってきて、負けてなるものかと、気合を入れて、スピードを上げてみたが、3分もしないうちに、くじけてしまった。無理しても疲れるだけだ、”あきらめよう。”と、風との格闘を覚悟して、ゆっくりと進む事を受け入れた。しかし、体力の消耗が激しく、買い物ついでにスーパーに立ち寄り、休憩を取る事にした。
 スーパーで買い物を済ませ、風を凌げる場所で、パンに買ってきたコロッケを挟み、昼食をとる。空を流れる雲の速さと、地図を見ながら今日の目的地が、比較的近くて良かったなと思っていると、おじさんが話しかけてきた。少々の会話だったが、おじさんは最後に、
 「良い経験をしているよ。息子にもさせたいくらいだよ。」
と言い、激励の言葉を付け加えて去っていった。こういう旅を賛成する親も居れば、反対する親も居る。親も色々だなと感じる。ちなみに、私の場合は、親父には、旅立つ前日に話をした。有無を言わさず出発したが、この間、電話で話したら、「まだ、ほっつき歩くのか。」なんて言われてしまった。しかし、いざ旅立ち、1人になると、親が健在で、帰る場所があるから、こういう旅ができるのだなと言う感謝を感じている。
 
 風は相変わらず、強く私の自転車を押し戻していた。街中を通っていたので、お店が多く、休憩と称し、ホームセンターや100円ショップ、さらには釣具屋さんに立ち寄りながら、ゆっくりと進む。
 ようやく、キャンプ場に辿り着いたのは、17:00。すぐ近くに川が流れている。竿を持って川面に行き、釣りを始めた。なだらかな流れで、ポイントが少ない。ニジマスだと思うが、2度のバイトを物にできず、悔しい思いを感じると共に、自分の腕の未熟さを痛感させられる。しかし、釣りの手応えに、今日1日、向かい風にたたられた疲れが、癒されていくような気がした。

 空には、微妙な雲が広がっている。天気予報を確認すると、望ましい予報ではない。まあ、こればかりはしょうがないなと思いながら、テントの中で横になると、すぐに眠っていた。
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8/19(月) 77日目  現在地:北海道川上郡川上町 ち炉りん村
樹海の声
 朝一番に空を見る事は、旅に出てからの習慣になっていた。川の流れの音に起こされた今朝も、まず空模様と天気予報を確認した。予報では、午後から雨で、3日ほどぐずつく事を伝えている。今は降っていないものの、雲が広がり、微妙な状況だ。朝食をとり、場所を近くの道の駅に移動しようと、テントを撤収していると、同じキャンプ場に居たチャリダーさんが、話しかけてきて、彼は登山の予定もあるので、今日の移動はしないと言った。私は、出るなら今が良いと考え、チャリダーさんに見送られ、出発した。

 道の駅”おんねゆ温泉”の休憩場で、公衆電話用のコンセントから電気を拝借する。できれば先へ進みたいと考えながら、空模様を気にしながら、日記を付けていたのだが、やはり雨が降り出した。今日のルートでは大きな峠越えが待っている。さすがに、雨の中を走る気が起きないので、場所を隣にあったコンビニに移動し、ホッとコーヒーを買い、空を眺めながめていた。
 すると自転車の写真を取らして欲しいと、1人のライダーさんが話しかけてきた。岡山を出発し、仕事をしながら、日本を一周していると言っていた。最近仕事をしていた場所で、数人のチャリダーに会って、その人たちと会話をしていくうちに、次は自転車で旅に出たいと言う思いが生まれたらしく、
 「チャリダーさんはすごいっすよ。バイクなんかアクセル吹かすだけでしょう。」
と、言ってくれ、えらくチャリダーを尊敬していた。 あまりにも、チャリダーを褒めてくれるので、私も調子に乗りそうだったが、
 「自転車には自転車の、バイクにはバイクの良いところがあり、こればかりは、体験してみないと、なんとも言えない所があるんだろうね。いろんな人の旅のスタイルと接したいね。」
と話すと、感動してくれて、
 「そうですよね。やっぱり次は自転車に乗ろう。」
と言ってくれた。
 素直で、活力に満ち、意思に翼が生えているように感じられ、何事にも縛られる事なく、自由に飛びまわって行ける印象を感じる気持ちの良い青年だった。出会いの記念の写真を撮ろうとしたが、写真は次に会ったときに撮りましょうと、連絡先を交換した。
 そんな会話をしていると、今朝会話をした、同じキャンプ場に宿泊していたチャリダーさんが、コンビニにやって来た。
 「まだ居るじゃん。」
と軽い突込みを受け、峠越えがんばってきますと言い、再び見送られ、出発した。
 幸い雨の方は、コンビニでの会話の途中に止んでくれていた。
 
 峠と言っても、色々な峠があるが、今日越えなければならない峠は、標高が1000mを越える大きな峠だ。道は、なだらかに上り始めた。
 きつい坂をイメージしていたが、だらだらとした勾配の道が続く。 道の横には、深い森があり、川も流れている。その渓想が、私の中の釣り心に火をつけるが、今日は釣りをしている余裕はなさそうだ。きれいな流れを横目に、じわじわと進んでいた。
 峠道も5合目を過ぎる辺りから、勾配が急になって来た。汗が吹き出るが、標高の高さと、曇り空のおかげか、涼しい風が心地よい。
 頂上付近に達すると、眼下には、広大な樹海が見え始めた。車の通りが少ないおかげで、鳥のさえずりや、虫の声、風になびく木々のざわめきが聞こえてきて、何かを語りかけているようだ。山の斜面に架かる橋の上で、樹海を眺めると、生き物の気配に混じって、森の声が聞こえてきそうな感じがする。 脈々と息づく樹木達の海。森全体が魂を宿し、私の心を呼んでいるような不思議な感じがして、海ならば、そこへ飛び込み、そこに息づく生命と触れ合いたい衝動に駆られた。自然の中に居ながら、自然を感じる術を知らない自分がもどかしくも感じられ、吸い込まれそうな景色をひたすらに眺めていた。
 峠の頂上にある樹霊供養の塔を見ながら、山や森、そこに住む生き物たちへ、この道を通れる事を感謝した。

 峠の下りへ入ると、石狩川の上流域を見る事ができるのだが、2つのダムがあり、水は淀んでいる。その淀んだ流れに注ぎ込む支流の美しさを感じながら、層雲峡を通っていたのだが、我慢に耐えかねた雨が降り始めた。急ぎ、キャンプ場を目指すが、雨足は強くなって行く。久しぶりにずぶ濡れになってしまった。しかし、峠の最中でなかっただけ良いと考え、雨の中キャンプ場に辿り着き、テントを張り、その中で、晩飯を食べた。
石北峠からの樹海の眺め
 吸い込まれそうな樹海が続く。鹿やリスの姿を目にする事ができ、鳥のさえずりや、沢の音が聞こえてきて、心に響く景色だった。
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8/20(火) 78日目  現在地:北海道川上郡川上町 ち炉りん村
ライダーさんとの触れ合い
 昨日降りだした雨は、多くの旅人を悩ませていたようだ。このキャンプ場は、昨年までライダーハウスをやっていたようで、ライダーの姿が目に付く。皆、雨を避けるためにバンガローを借りていたのだが、昨晩、私が炊事場で後片付けをしていた時に、1人のライダーさんが、みんなで集まっているので、良かったら遊びに来ませんかと誘ってくれてた。キャンプ場ばかりに泊まっている私は、近くにテントを張った人との接触はあったものの、ライダーさんが集まるような場に、参加した事がなかったので、興味本位も有り、行ってみる事にした。
 4畳半程の部屋に5人のライダーが集まっていた。年もばらばらなら、出身地もばらばら。乗っているバイクも、原付から大型までと多様で、大騒ぎをしているわけではないが、楽しそうな雰囲気だ。とりとめもない会話が主だが、その一言一言に、体験が込められていて面白い。バイクの県外初走行が北海道の人や、400ccのバイクなのだがブレーキがドラム式で効きが悪く怖いと言う人、数日前に人気のない所でパンクして困った人、荷物を下ろして知床峠を2往復して存分に楽しんだ人。私はその場に居る唯一のチャリダーだったので、ライダーさんがしてくれるガッツポーズが非常にうれしい事を話した。すると、ライダーさん達は、「やっぱりうれしいんだ。」と言ってくれ、追い抜きざまにやったときも、こちらが手を振り返すのを、ミラーでちゃんと見ていると言ってくれたのは、私にとってはうれしい事だった。
 何気ないライダーさんとの会話が、自転車に乗っている私には、異文化に触れているようで楽しい。しかし、”雨の日はつらいよね。”は、二輪車に共通する悩みのようで、皆一様に、明日の天気を心配しながら楽しい会話を続けていた。

 1人、テントの中で朝を迎えたが、雨滴がテントを叩く音で目覚めると言う、望ましくないパターンだ。外を見ると、しとしとと雨が降り、キャンプ場の横を流れる石狩川は、増水しているのだろう、瀬を流れる音の激しさが聞こえてきた。とても止みそうにないので、もう一度眠りの中に入る事にした。
 8時に目覚めると、雨音は続いていた。テントの中で朝食をとり、炊事場へ移動し、電気を拝借していると、昨晩、話をしたライダーさん達が、入れ替わりでやって来たのだが、出発するかしないか、判断をつけかねていた。天気予報は、今日1日が雨であることを伝えている。私は今日の移動を消極的に考えていた。そんな中、昨晩私を誘ってくれたライダーさんがやって来て、連泊する事を決めたと言い、お昼に道路側にあるレストランで食事をするが御一緒にどうですかと誘われた。少々高くつきそうだが、たまにはおいしいものを食べたいと思い、御一緒する事にした。
 雨足は、時々弱まるものの、それを返すように突然強くなったりと、1日振り続けるつもりでいるらしい。
 
 お昼になり、もう1人のライダーさんを含めた3人で、レストランへ向かう。ライダーさんの話では、昨年までは、このレストランがライダーハウスとして使われていたらしい。雰囲気の良いログ調の建物に内装、とても落ち着ける。
 ライダーさんは、それぞれカレーとスパゲティーを、私はチキンステーキ、ご飯大盛りを注文した。チャリダーさんは、自転車に乗らない日でも食べるんですねと言われたが、正直、旅に出てから、日に日に食欲が増して行くのを感じている。旅に出る前は、1日2食の生活だったのが信じられないくらいだ。
 注文を待つ間も、自然と話は天気の事になっていた。ライダーさんは、”雨の日は乗っても楽しくないし、危なくて、濡れるだけだから、乗らない方が良い。”と言っていた。私も、日程に余裕があるのであれば、無理して走る必要はないと考えるようになっていた。しかし、一様に溜息の混じる言葉で、ガラス越しに降り続ける雨を見ながら、食事をしていた。
 テントやバンガローに戻っても、する事がないので、コーヒーを飲みながら、レストランに流れる曲を聴きながら、昨晩と同様に、とりとめもない話に花を咲かせていた。

 テントに戻ったが、する事がない。石狩川で釣りをしたいが、川面を覗くと、雨の影響で増水し、濁りが入り、とても釣りのできる状況ではない。どうしたものかと考えていたが、時間があるので、明日の朝食用にと、ホットケーキを作っておくことにした。ホットケーキを作り終え、次は晩飯の準備に取り掛かる。お昼をしっかり食べたはずだが、お腹の具合は、すでに食べれる状況になっていた。自転車旅では、エンゲル係数が高いなと考えながら、ご飯を炊きつつ、これからの予定を地図で確認していた。
 夕暮れも迫っているようだが、厚い雲に覆われた空は、暗くなってゆくだけだ。幸い、天気予報では、明日が曇りである事を伝え、それを示すように雨は小降りになっていた。今日の雨にたたられた新しいライダーさんが、ずぶ濡れでキャンプ場にやって来ていた。口々に”最悪でしたよ。”と言っている。しかし、限られた日程なので、しょうがないとも言っていた。
 天気ばかりはしょうがない。ただ天気の回復を祈りながら、早々に眠りについた。
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8/21(水) 79日目  現在地:北海道士別市 つくも水郷公園キャンプ場
これも自然だな
 明ける事を知らない梅雨の中に居るようで、今朝も天気の心配をしながら目覚めた。雨に降られたときの印象は、嫌のものとして強く記憶に残っているためか、この旅では、富士山の辺りから、今まで、ずうっと雨や曇り空の気がしている。しかし、季節は8月も後半を迎え、秋の気配がすると言うのに…。溜息をついても始まらないので、小雨の降る音を聞きながら、朝食をとり、毎度の如く、炊事場のコンセントを借り、日記を書いていた。
 ライダーさん達も起きて来て、挨拶を交わすが、微妙な空模様に困惑気味だ。しかし、日程的にも、3連泊は避けたい想いもあるようで、祈るように空を眺めていた。
 我々の願いが通じたのか、それともいたずらか、小雨は止み、所々に晴れ間も覗き始めた。急ぎ、テントを撤収し、出発の準備に取り掛かる。ライダーさん達も、出発の準備に取り掛かっている。しかし、晴れ間の先には、雨雲が控えていて、臨戦態勢をとっているような、複雑な天気だ。
 ライダーさん達には、すっかりお世話になってしまった。昨日も、買出しに行かれるときに、声をかけてもらい、私の分の買い物をして頂いていた。今朝、出発するときも、おつまみをくれるなど、楽しい一時と加えて、花と団子を頂いた気分だ。
 最後に、キャンプ場に連泊の記念として写真を撮り、ライダーさんに見送られながら、天気の隙をついて出発した。
 
ライダーさん達と
 楽しい一時をありがとうございました。
 雨の影響で増水した濁りのある石狩川の横を通る道を進む。石北峠からの下りが続いているのか、快適に飛ばしていたのだが、またも向かい風の抵抗に遭ってしまう。いくらも進んでいないのに、コンビニで休憩を入れる。
 気を取り直し、出発したが、今度は雨が降り始めた。霧雨のように細かい雨なので、あまり気にならないが、加わる風が寒さを増幅させる。あまりの寒さに、カッパのズボンを履いたが、雨以外で履くのは初めてだ。漕げども温まらない体に、気力が衰えてくる。 小さな峠にさしかかったのだが、待ってるよ言わんばかりの雨雲が、頂上付近を覆っていて、さらに気力を衰えさせる。手前にある無人駅の中で、寒さを凌ぎながら、地図を広げ、最寄のキャンプ場を探すが見当たらない。少しの間、様子を見ていたが、雲の様子に変化はない。土砂降りじゃないだけ増しだなと、自分を慰め、峠道を登り始めた。
 ”寒い〜〜〜。”道路にある温度表示計は11℃。九州なら初冬の感じだろうか。体感する温度に加えて、見える数字が、私の寒さの感覚に拍車をかける。カッパを着て登る峠道でも、汗が出ない。上りきった先の下りで、寒さは最高点に達しようとしていた。
 小雨交じりの寒さに、くじけ気味になり、今日の目的地をここから程近い、士別市にある無料キャンプ場に定め、自転車を進めていたのだが、スタンバイOKの、すごい雨雲が目前に広がり始めた。山の斜面では、結構激しく降っているのか、白く見える。これは来るなと思い、とりあえず軒下を見つけ非難したとたん、風にあおられる強い雨が降り始めた。ガックリと肩を落とし、雷雨じゃないだけ良いよと、自分を慰めてみたが、さすがにツキのなさを恨み始めた。
 軒下の壁にもたれながら、雨足が弱まるのを願っていたが、その気配もなく、時間は過ぎて行く。雨も風も、そして寒さも自然がもたらすもの、ある意味自然との触れ合いだなと、あきらめ、雨の中を再び自転車にまたがった。

 士別市のキャンプ場に着くと、雨足は弱くなってくれた。すぐ近くに天塩川が流れている。上流にダムを持つためか、雨の増水の影響か、濁りが入ってたいが、時間があったので、釣りを始めた。岸際を見たところの判断では、通常よりも30cm程、増水しているようだ。濁りが入っているだけに、期待の度合いが低い。案の定、全く反応はない。しかし、釣れないのを濁りのせいにしていては、釣り氏の名折れだ。時間いっぱいまでキャストを続けたが、やっぱり、釣れない。悔しい思いを引きずりながら、 寒さが身に染み出し、指先が冷たくなってきたので、キャンプ場へ移動し、誰も居ない中、貸切の状態でテントを張った。
 
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8/22(木) 80日目  現在地:北海道中川郡美深町 美深公園美深アイランド
うたう1日
 最近二言目に発する言葉がある。”寒い”だ。昨日、雨と共に、私を悩ませた風が、冷たさを増して吹き荒れていた。さすがに寒く、阿寒湖の旅館でもらった上着を着たまま寝袋に入ったほどだ。夜中も、寒さに何度か起こされ、安手の私の寝袋の限界を超えているようだった。
 朝起きても、寒さは続いていた。寝袋の中から出るのに、ためらいを感じていると、心地良い二度寝の世界に入っていた。これは冬の朝に感じる事だよと思いつつ起きて、朝食を取るが、膝の上に置いた寝袋を外せないでいた。8月に温もりの幸せを感じるなんて、九州に居ては体験できなかっただろう。
 せめて陽が射してくれればな〜と思いながら見上げた空は、雲で覆われている。寒さに、曇り、消極的になりたくなるような条件だなと、愚痴っぽい事を考えながら、テントを撤収した。

 キャンプ場のトイレのコンセントを借りていると、1人の男性がやって来た。トイレのコンセントから、延長コードを引き、パソコンをいじっていると、大抵は違和感のある眼差しで見られるのだが、この方の場合は違った。
 「日記ですか?」
と、事情を知ったような口ぶりに、動揺したのは私の方だった。続いて、
 「縦断画法のミヅタニさんをご存知ですか?」
の問いに、さすがに私の方が、
 「なぜ知っているんですか?」
と、質問を返してしまった。
 実はこの方、”アレイ”さんと言って、現在、日本一周中のチャリダーさん。ミヅタニさんとは京都で出会ったらしく、現在もメールのやり取りを続けているとの事だ。
 このキャンプ場に誰も居ないと思っていたが、先客が居て、しかもミヅタニさんと出会っている人だったとは。”妙”と”縁”を感じる瞬間だった。
 アレイさんは、千葉を出発して時計回りに日本を一周している。旅立ってから150日以上が経過し、現在、北海道2周目に入っているらしく、少々旅疲れ的な言葉を口にしていた。しかし、時折会話の中に、北海道を走り足りない事も言っていた。本州に戻れば、千葉への道を残すのみ。旅の過度期を迎えた複雑な心境なのだろうか。いずれ私も、この時期が来るだろうが、今の私には、それを考えるには、まだ早いようで、全く実感が湧かない中、アレイさんの話を聞いていた。
 お互い写真を撮り、アレイさんの出発を見送った。
アレイさんと
 旅慣れた雰囲気が伝わってきた。オルトリバーのバックなので、防水対策は完璧らしい。
 アレイさんを見送った後、しばらくパソコンの作業を続けていると、トイレ清掃の方がやって来た。キャンプ場を利用した事を伝えると、
 「寒かったでしょう。」
と、言ってくれた。何でも、台風の影響で、北海道の上空に、シベリアからの寒気が流れ込んでいたらしい。その影響だろうか、函館のも〜さんからのメールでも、私が通過した石北峠から見上げる事ができる大雪山に雪が降ったと告げられていた。どうりで寒いはずだ。
 AirH"の圏内と言う事で、他の旅人のページを見たりと、少々時間をかけて作業終了。雲が広がる空の下、出発する事にした。

 昨日の夕方釣りをした天塩川を覗くと、やや減水しているものの、水の色の具合に変化は見られなかった。どうやら、上流にダムを持つ川らしい水の色をしているようだ。全く反応の得られないまま天塩川を去るのも悔しいので、少しだけと、再び同じポイントで竿を振ってみたが、反応はなかった。
 陽が姿を現さないので、寒い。カッパの上下を着込み、自転車を漕いでいたのだが、向かい風が強く、思うように進まない。気力の勝負だねと思っていたが、その気力も減退気味。幸い、雲が多いが、雨の降るような感じはなく、所々に晴れ間も覗き始めた。
 しばらく走っていたが、風の方は容赦してくれない。あまりにも風の事を意識しすぎるためか、いつも以上に疲れを感じてしまう。まあ、のんびり行けば良いさと考えても、吹き付ける風を意識してしまう。”疲れた。”気力の衰えが、体力を道連れにして行くようだ。
 大きな橋の上から天塩川を見ると、雲の隙間からこぼれる陽の光が、大きな流れに反射されていた。その様子を眺めながら、橋の中央で休んでいると、風に向かって、私の好きな曲を歌っていた。再び自転車を進め始めても、歌い続けた。別段、叫んで歌うような、激しい曲でもないので、気分に任せるような、鼻歌を歌うような感じで、口ずさみながら走っていた。そうすると、段々と気分的に落ち着いて行くような気がして、風の事もあまり気にならなくなっていた。”進めるだけ進めば良いさ。”歌う事によって導き出されたかのような、自分の発した些細な言葉に、風と格闘するのではなく、風と向き合う気持ちを感じて、険しい表情も消えて行った。
 歌った、歌いまくった。記憶にある全ての曲を歌ったような気がする。

 道の駅と温泉施設に併設されたキャンプ場に到着したが、向かい風とあって、さすがに走行距離は少ない。道の駅で”ジャガイモコロッケを買い、レトルトカレーと共に頂いた。陽が落ちると、寒くなり始めたが、温泉に浸かった体はホカホカしている。その温もりを失うまいと、寝袋に潜り込み、快適な睡眠の世界へ落ちて行った。
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8/23(金) 81日目  現在地:北海道枝幸郡浜頓別町 クッチャロ湖畔キャンプ場
ダルい。
 やはり寒い。早朝の冷え込みを厳しく感じてしまう。テントの中で朝食を食べ、トイレに電気を借りに行く。コンセントがあるのは、昨日確認済みだ。とりあえず、天気予報を確認しようと、携帯電話の充電器を差し込んでみたが、充電されている様子がない。このコンセント、通電されていないようだ。たまにある事なので、動じないが、あてにしていただけにがっかりだ。こうなると、移動するしかないので、テントを撤収し、6:30に出発となった。

 隣接する道の駅に行くと、この寒い中、寝袋だけで寝ているライダーのグループが居る。丸まって寝ている姿は、見るからに寒そうだ。私の目的は電気だけ、しかし、拝借しやすいコンセントは見当たらない。地図を見ると、この先にも道の駅があるので、それに期待して、先へ進む事にした。

 走り始めたのだが、少々体の様子がおかしい。体中の関節に痛みを感じ、しかも鼻水まで出ている。風邪の初期症状を思わせた。この所の寒さが応えているようだ。特に、腰に違和感を感じながら走っていた。腰と言えば、仕事をしていた時に、酷使したからな。思えば、その頃は慢性的な腰の痛みに悩まされていた。今頃になって、突然痛み出してもおかしくないよなと思いつつ、道の駅”おといねっぷ”に到着。
 旅を通して、色々な道の駅を見てきたが、その賑わいようは千差万別だ。立派な建物を持ち、大繁盛しているものもあれば、一言”えっ”と思うようなものもある。この道の駅は、早朝と言う事もあるので、判断できないが、どちらかと言うと後者にあたる様だ。ぐるりと見て回ったが、この道の駅では、電気を拝借できそうにない。休憩を入れて、次の道の駅を目指して出発した。
 
 峠を越えるための道に入ると、道が上り始めた。雲があるものの、陽が差し、久しぶりに夏の空を感じさせたが、気温はさほど上昇してくれない。風邪気味の体のためか、暑く感じたり、寒く感じたりするため、カッパを脱いだり着たりしていた。
 峠を登りきり、下りに入ったのだが、途中で車のチェーン着脱上に併設されたトイレを見つけた。電源目的で立ち寄ると、コンセントを発見。拝借させていただく事にした。
 陽が広がり始め、久しぶりに乾いた風の感触を感じたので、湿り気味のグランドシートを干しながら、トイレのある建物にこもり、日記を書いていた。
 作業を終え、外へ出ると、日差しをまぶしく感じてしまい、こういう空が続いてくれればなと、思ってしまった。今年の北海道は、地元の人もおかしいと言っているくらい、すっきりとしていない天気が多いらしい。出会う旅人と話をしていても、天気の話をする事が多い。

 再び出発し、道の駅”ピンネシリ”に到着。電気も拝借済みだったので、用はないが、寄ってみる事にした。キャンプ場が併設されているだけに、広い公園や、北海道でブレイク中(?)のパークゴルフ場がある。洗濯をしたいと思いながら、辺りを見渡すと、水飲み場の水道を発見。北海道に入ってから購入した洗面器を使い、洗濯をする。洗面器を使うと、見た目に汚れが落ちているようで気持ちが良い。洗濯物を自転車にくくり付け、出発しようとしたが、やはり腰に違和感があり、加えて、体にダルさを感じ始めた。 湿りがちになりそうなだが、川の流れを見ては、釣りをしたいと、釣りバカ的な事を考えていた。
 
 峠を越えてからは、緩やかな下りが続いていた。いつものように、橋の上から川を眺めていると、釣りの手応えと、あの興奮が思い起こされた。道沿いの頓別川では、ヤマメが釣れると言う情報も有り、だるい体にむちを打つように、竿を振ってみることにした。
 緩やかな流れで、分かりやすいポイントが少ない。1時間ほどキャストを続けたが、全く反応がない。ライズすら確認できず、魚の影も形も感じられないまま終了。
 初めての川で釣りをする場合、こんな事は普通だ。いくら北海道とは言っても、あまりにもなめた釣り方では釣れてくれないようだ。この所の釣りでは、手応えを得られていないので、北海道上陸初日に、も〜さんと一緒に行った川が、とても良い川であった事を、最近になって感じていた。

 なんとも言えない体のダルさを感じながら、先を急ぐ事にした。最新の天気予報を確認すると、明日は雨らしい。それを象徴するかのように、海に面した町、浜頓別に着くと、上空に雲が広がり始めた。風は冷たく、またしても憂鬱感が走る。溜息混じりにキャンプ場へ到着し、テントの中で炊事をしていると、テントを叩く音がする。またしても雨だ。明日の移動は…と、考え始めたが、雨次第だなと、憂鬱感から逃避するように、早々に眠りに着いた。
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8/24(土) 82日目  現在地:北海道枝幸郡浜頓別町 クッチャロ湖畔キャンプ場
クッチャロ湖畔にて
 降り続ける雨だが、時々止んでしまうので手に負えない。今朝も断続的に降ったり止んだりを繰り返していた。とりあえず起きて、早朝に発表される天気予報を確認すると、雨の予報。昨日から感じていたダルさも手伝い、もう少し寝る事にした。
 8:00に目覚め、空を見ると、以外にも雲が薄く、明るい。これはと思っていたら、再び雨が降り出した。今日1日は、ゆっくり休んでいなさいと言わんばかりの天気だ。

 このキャンプ場、かなり不便な点がある。何でも、砂金堀り世界大会なるものが、このキャンプ場で催されるらしく、そのためか、大きなテントが立ち並び、会場の準備の為に、工事車両や関係者が作業を続けていた。その弊害を受けているのが、一般のキャンパーで、水洗トイレや、屋根付きの炊事場まで遠い所にテントを張らなければならなかった。近い場所にも、トイレや炊事場はあるのだが、水洗でなく虫が多かったり、屋根がない場所だ。別段、憤慨する事でもないように思われるが、雨の中という事が加われば、文句の一つも言いたくなる。せめて、申し込むときに言ってくれよと思っていたが、その程度の不便さで不愉快を感じてしまうとは、私も便利なキャンプ場の生活に慣れてしまったのだろうか、それとも、長期に渡る旅路で、良い知れぬストレスを溜め込んでいるのだろうか、そんな詮索をしてしまった。

 このキャンプ場は、ラムサール条約に指定されているクッチャロ湖に面していて、白鳥などの鳥が飛来するらしい。湖の自然を紹介している施設があるので、電気を拝借できる事をもくろみ、行ってみる事にした。中には、野鳥の剥製が並び、その生態を紹介している。さらに窓辺には、望遠鏡が設置され、湖に立ち寄る水鳥を観察できるようだ。土曜日という事もあって、観光客の姿が多い。そんな中、電気を拝借させて欲しいと申し出ると、
 「環境庁の施設なので、そう言う申し出は受けていない。」
と、言われてしまう。国の施設ならなおさら良いじゃないかとも思ったが、職員さんを困らせてはいけないし、気持ち良く拝借できなければ、こちらも借りにくいので、退散する事にした。
 空は明るく、雨が降りそうもない様子が感じられた。地図を見ると、ここから30kmも移動すれば、次のキャンプ場に辿り着ける。天気の隙を突いて、移動しようと荷造りを始めたが、その途端、お約束のように、再び雨が降り始めた。テントを撤収する前で良かったと思い、再びテントの中へ潜り込んだ。
 11:00を迎え、最新の天気予報を確認すると、今日の天気が曇り時々雨に変わっていた。微妙すぎる天気を気にする事に疲れてきたので、まずは落ち着こうと、コーヒーを入れることにした。こんな展開も、しょうがない。天気も今日は休みなさいと言ってくれているのだなと、心変わりの激しい天気にやきもきするのではなく、自分の良いように解釈して、今日の移動を考える事を止めにした。

 北海道に入って1ヶ月が経過したが、以前北海道を抜けるめどが立っていない。雨や、釣りをした影響もあるが、テントの中で、これまで走ってきた走行距離に目を通していると、そうでもない事が分かってきた。福岡県の自宅から青森県の大間まで、約50日で約3200km、北海道に入って、約30日で約2000km。同じようなペースで走行していることになるので、改めて北海道の広さを痛感してしまった。ちなみに、北海道を出るまでには、後1000km、日数にして2週間ほどは走らなければならないだろう。まだまだ、北海道を満喫できそうだ。

 そんな事を考えながら、過ごしていたのだが、明日の走行を考えると、ゆっくりできる今日の内に、電気を確保したい。先程は、できれば屋根の下、室内で電気を拝借したいという色気づいた下心があったからなと思い、テントから遠いところにある炊事場に行って見る事にした。そうすると、おもいっきりコンセントを発見。基本はこれだよと言われている様な気持ちを感じながら、電気を拝借。いや、キャンプ場を利用しているんだから、使えて当然だと、少々あつかましい位の気持ちで、電気を頂いた。

 相変わらず微妙すぎる空模様が続いている。その空の下、砂金掘り世界大会の会場の設営は急ピッチで行われているようだ。会場となるこのキャンプ場には、外国人の方の姿もちらほらしている。砂金掘り大会って、どんな大会なの?深い詮索はせずに、各国の国旗がなびく、賑わって行く会場を見ていた。
電気拝借の一例
 ちなみにこの場合は、とてもかわいいほうだ。犯罪的に拝借する場合も多い。いつか捕まりそうだね。
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8/25() 83日目  現在地:北海道稚内市 仮設稚内キャンプ場
最北端の地
 昨日の夕方、炊事場の電源を借りて日記を書いていると、浜頓別町で開かれる砂金掘り大会の会場を設営している人たちが話しかけてきた。
 色々話をしていたのだが、冬の北海道は大変だよ、と言っていたのがとても印象的だった。その会話の後、考えていたのだが、私が北海道で見てきた景色は、夏の姿。言わば、1年で1番良い時ではないだろうか。私は九州育ち、音も凍るような極寒の世界を知らなければ、雪かきの苦労も知らない。観光シーズン、観光客でに賑わう夏の様子しか見ていない。峠の茶屋も、冬は営業していないだろう。
 景色を見たときの一時の印象は、一時のものでしかないように感じてしまった。そして、冬の姿を見たい衝動に駆られてしまった。

 暗いうちから起きて、テントの外へ出ると、広がる雲の隙間から月明かりがこぼれていた。微妙な空模様だなと思いながら、朝食を取る。昨日の天気予報では、これから天気が回復して行く事を伝えていたので、それを信じて、パッキングをして、5:00に出発した。

 早朝と言う事もあって寒い。それを凌ぐために、上下のカッパを着込んでいたのだが、それが雨を導いたのか、ポツポツと降り始めた。さらに向かい風が加わり、なんでかな〜と、ぼやきたくなるような展開だが、その気持ちをぶつける所がないので、こらえるしかない。極めつけは、雨が降っているのに、陽が射してきて、虹が現れた。”最高だね。”と、皮肉を言うしかなかった。

 幸い、しばらく進んでいると、雨の方は止んでくれた。風を正面に受けながら進んでいると、前方からチャリダーがやって来た。すれ違いざまに、手を上げて挨拶を交わすが、お互いから”オーッ”の声があがる。自転車を寄せて交わした挨拶は、”お久しぶり。”そう、岩手県の道の駅”たろう”で出会ったチャリダーA君であった。まさか、こうして再び会えるとは。偶然の再会に驚きながら、しばらく話をしていたのだが、やはり天気には困っていたようだ。
 彼の感心させられる所は、地元の人との会話を大事にしている事だ。そして一言”冬は大変らしいですよ。”と、昨日の夕方に工事のおじさんが話していた事と同じ事を言った。そして彼は、冬の北海道を感じたいので、知人の家でバイトをしながら、この冬を過ごしてみたいと言っていた。昨日感じた事もあったので、私はそれも良いかもしれないねと言った。
 一時の再開を懐かしく感じ、想いを新たに、お互いの背中を見送りながら、別れを告げた。
Aくんと
 半そで半ズボン、素足にサンダル。元気を感じる。うらやましい。
 一路、日本最北端の地、宗谷岬を目指し進んでいたが、海沿いの道に出たためか、海からの霧が激しく、霧雨となって襲ってきた。メガネは曇り、カッパはびしょ濡れ。雨の中とあんまり変わらないなと思いながら、道の駅”さるふつ”で風を凌げる場所で休憩を取った。
 再び走り始めたのだが、霧に収まる気配が感じられない。この状態で、宗谷岬に行ってもなと、弱気な事を考えながら進んでいたのだが、結局、そのまま着いてしまった。
 日本最北端の地、その重さは人それぞれだろう。今は、旅の通過点でしかなく、別段の感動を感じないでいた。しかし、本土最南端の地、鹿児島へ向かう意欲を感じていた。ここまでくれば、旅の半分には達しているだろう。残りは半分もあり、半分しかない。どう言う旅路になるのか、どう言う旅路にしたいのか。と、考えて始めたが、少し不毛な考えだなと思い、その先に考えを向ける事を止めにした。
 家に辿り着いたときがゴールと言う分けでもなく、逆に旅を終えたときが、新たな出発地点でもある。自転車旅の旅路がその先へ進むための何かにならなくとも、今を、この時を、日々を大事にして行く事が大事だなと思いながら、宗谷岬を後にした。

 稚内を目指すものの、雨のような霧は続いていた。進行方向が変わったため、私を苦しめた風が追い風となって、背中を強く押してくれる。遠く稚内の市街地が、霧で霞んで見えていた。
 稚内の市街地で、パソコンを広げる場所を探す。霧雨では、たただの東屋では役不足だ。しかし、そんな私に追い討ちをかけるように、本当の雨が降り始めた。”これだよ。”と、またも愚痴をこぼしてしまう。とりあえず、公園にある東屋を見つけ、地図を見ながら昼食をとっていると、電気を拝借しつつ休憩できそうな場所を見つけたので、そこへ行く事にした。
 ポートサービスセンターの名を持つその施設では、コインランドリーやシャワーが利用でき、座敷の休憩所を備えていた。職員さんに、電気を拝借させて欲しい旨を伝えると、快い返事が返ってきた。雨を凌ぎつつ、休憩でき、さらには暖房まで入っていた。最高の環境で、休んでいると、雨が上がり、霧も晴れてきて、雲が残るが、鮮やかな晴れ間が広がり始めた。職員さんにお礼を言い、稚内市の北に位置する夕日が美しいと言われている野寒布岬を目指した。
 向かい風が強く、愚痴りそうになった。しかし、きっと冬の風よりはやさしいはずだ。雨にしたって、寒さにしたって、本気の北国を知らない。この位で文句を言っているようでは、甘えているなと思った。いや、それだけではない。仕事にしたって、学校にしたって、さらには、これまで歩んできた過去にしたって、自分のどこかに甘えがあったように思えてきた。時に愚痴りたくもなり、愚痴る事も必要かもしれない。本当につらい事や、きつい事なんて、こんなもんじゃないはずだ。これまで感じていた、愚痴に少し恥ずかしい想いを感じていた。

 霧が晴れ、鮮やかな青空とそこに残る雲が、きれいな夕焼けに変わろうとしていた。
最北端の地、宗谷岬
 曇り空で残念。晴れていれば、樺太が見えるという事だが、それは見たかったな。
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8/26(月) 84日目  現在地:北海道天塩郡遠別町 遠別川河川公園キャンプ場
静かな道
 ”晴れ”その言葉を、天気予報で久しぶりに見たような気がする。朝起きたときの空は、月が輝く、快が付くほどの晴れだった。今日は走るぞと意気込み、出発の準備を整えた。明るくなった空は文句のつけようがないほどの快晴で、気分も高らかに自転車を漕ぎ出した。
 …と、ここまでは良かったのだが、最北の地の稚内を目指す時に吹き続けた北からの風が、全く逆の南からの風に変わっていた。南下する私には、またもや向かい風である。追い風の算段をしていた私には、相当なショックだ。 青く澄み切った空は、鮮やかなブルーだが、私の心は、湿ったブルーになり始めた。

 自転車を漕ぐものの、進まない。こればかりはしょうがないと、納得したいが、なかなか納得できない。 道は、通称オロロンラインと言われる海に面した道道106号線。風を遮るものは何もなく、ひたすら強風を浴び続けた。
 へこんだ気持ちから立ち直れないまま、道中にある休憩所に辿り着き、気持ちの面から来る走行距離に見合わない疲れを感じていた。海の方を見ると、快晴のおかげで、利尻島の山がきれいに見える。しかし、風にあおられ白い波頭が、激しく北の方へ向かっている。
 これまでも、何度も感じていたのだが、私的には、海沿いの道は、あまりそそられない。このまま、風に向かって海沿いの道を走る事を考えていたら、憂鬱な気持ちが先行し始めた。風ごときに負けてなるものかとも思ったが、何処を通ろうが、向かい風は変わらないだろうと思い、道を変え、内陸を通る事を決断した。
 案の定、内陸を通る国道40号線にでたものの、風はこちら向きに吹いている。しかし、道のアップ・ダウンの変化が、風に対する気分を和らげてくれる。向かい風よりも、上り坂を登っているほうが、気分的に楽だと言うのもおかしなものだが、私にはそう感じられた。

 内陸の道を通り始めたからか、久しぶりに半袖でも暑く感じるような太陽を浴びたからか、次第に気分も晴れてきた。飛ばしようのない風が、焦るなと言ってくれている様だ。どの道、焦ったところで、スピードは上がりはしないのだが。
 お昼頃になり、コンビニで休憩を入れる。腰を下ろしたときに、いつも以上に足が疲れている事を感じる。風や、内陸の道を選択したことで、今日の目的地を下方修正しなければならなかった。地図を見つつそれを確認していると、川沿いの道を見つけた。かなりマイナーな道の気配が漂い、非常にそそられる。川の状況自体は行って見ないと分からないが、川を見たい気持ちも手伝い、その道を行く事にした。
 相変わらず風は強く、逆風のままだ。やがて、天塩川の下流に着いたのだが、水が茶色く濁り、上流付近で、かなり強い雨が降っていた事を感じさせた。それからしばらく国道を進み、道道256号線に入る。低い山に囲まれ、川沿いを通る道だが、周りには牧場が広がり、牛の姿が目に付く。さすがに、すれ違う旅人はいない。
 川に架かる橋の上に来ては、川面を覗いていたのだが、どうも、魚の気配を感じ取れない。稚内を目指すときにも感じていたのだが、道北に入ってきてから覗く川で、それらしい姿を目にしていなかった。泳ぐ姿も、ライズすら見ていない。魚自体はいるのだろうが、それが感じられないと、本当にいるのだろうかと思ってしまう。
 その寂しい気持ちに追い討ちをかけるように、廃墟と化した牧場の建物が目に付き始めた。手入れを放棄したためか、雪の重さのためか、屋根がつぶれた建物や、人の気配が全く感じられない古い建物、錆びきって放置された昔のトラクター。
 川が源流付近の沢の様相を見せ始めると、静かな林の気配が感じ取られる。山の傾斜を覆う熊笹ときみどり色の樹木、鳴り響く虫の音。
 車の通りや、すれ違う旅人の多い道とは違った印象を感じながら、静かな道を進んでいた。

 再び海沿いの国道へ出てくると、太陽に照らされた海が飛び込んできた。今年生まれたのだろう茶色い毛をしたウミネコがぎごちなく、風の中を飛び回っていた。久しぶりに、心地良い汗をかいたので、コンビニで発泡酒を買い、キャンプ場に到着。陽が斜めに射す中、空腹に満たされる発泡酒が、すぐに頭まで巡ってきて、贅沢な気持ちになる。心地良い酔いが、体中に巡るのを感じながら、腰を下ろすと、足に疲れを感じる。風はつらいなと思いながらも、久しぶりに晴れてくれた事を感謝しながら、沈んでゆく夕日を眺めていた。
遠別の夕日
 誰も居ない海辺。利尻の山を望みながら、沈んで行く夕日を官能。彩雲も見る事ができ、発泡酒片手に・・・。贅沢な時間だな。
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8/27(火) 85日目  現在地:北海道留萌市 黄金岬キャンプ場
風にへこむ
 静かな波の音が、今日の晴天を告げているようだ。貸しきり状態のキャンプ場で目覚め、朝一番、風の向きと強さを確認する。あいにくの方向から、あいにくの強さで吹いている。今日も風と向き合うかと、少々溜息混じりに荷物をまとめる。
 天気予報を確認すると、明日からの様子が怪しい。昨日から続いた晴れ間も、今日までかと思い、それならば、今日は留萌市まで行っておきたいと考え、日記を書き終え、出発。

 やはり、自転車は進んでくれない。昨日は、遠回りになるとは言え、逃げるように海沿いの道を避けて進んだが、今日はそう言うわけには行かない。行くしかないと、重たく感じる自転車を漕ぎ進めた。
 地図で見る限りは、海沿いのなだらかな道のように見えたが、実際はそうではなかった。最近になって、知床峠や石北峠などの峠を越えて、自分にも結構、脚力が付いたな〜なんて、少しばかり調子に乗っていたが、未だに、苦手と言うか、苦痛に感じる道がある。アップ・ダウンの連続する、うねるような道だ。その道が、目の前に現れ始めた。上っては下るを繰り返し、さらに加わる向かい風。気分は低調になり、失せて行く気力に、足取りは最悪の状況。
 道の脇に生えた穂を吹きかけたススキと、虫の音が秋の気配を感じさせていたが、それを官能する余裕もなく、道を進んでいた。

 思い足取りと、乗らない気分だが、前に進むしかない。ギアを軽くして、シャリシャリとゆっくり漕げば、前には進んでくれる。これで良いさと、のんびり進んでいたのだが、1人のチャリダーさんが、私を軽快に追い越して行った。下り坂も全開で漕いでいる様子からすると、急いでいるのかなとも思ったが、多分、私の速度が、目茶目茶に遅いだけだろう。とは言え、”うらやましい。私も飛ばしたい。”と言うのが、正直なところである。

 コンビニに到着し、小休憩を入れていると、ライダーさんが
 「どこから来たんですか。」
と、話しかけてきた。色々と話していたのだが、このライダーさん、荷物を積んでいなかった。北海道では、キャンプ場や、ライダーハウスに荷物を置いて、走行している方も居るので、その類かと思っていたのだが、
 「荷物ないですね。」
と、尋ねると、
 「ここの者です。」
と、一言。地元のライダーさんだった。これは失礼しましたと告げたのだが、よく間違われるそうだ。そこで、
 「旅人のライダーさんに、手を振られるでしょう。返していますか?」
と、素朴な疑問をしてみたのだが、
 「返してますよ。」
と言ってくれた。なんとも優しい方だ。私が地元のライダーで、すれ違うたびに手を振られたら、正直、めんどくさくなると思うのだが、いや実際、それぐらいにライダーさんの方がいらっしゃるのだ。
 
 ライダーさんとの素朴な会話に、気分も和み、再び自転車を漕ぎ出した。しかも、これまで続いていたアップ・ダウンが、影を潜めだし、さらに、風が追い風に変わってくれたのだ。”いや〜、楽ちんだ〜。”と調子に乗って、軽快に自転車を飛ばし始めた。
 私も単純だなと、自分自身を結構冷ややかな目で見ていたのだが、自転車の風の影響と言うのは、それぐらいに違いがあると思う。
 こうなると、景色に目が行くので、不思議だ。丘陵地帯に立ち並ぶ風力発電の風車の数を数えながら、進んでいたのだが、突然、風の向きがまたもや向かい風に変わった。”なぜ。”と思うほど、極端に変わった風向きに唖然とし、またもや自転車は進まなくなった。再びヘコミ気味な気持ちが先行し始めた。留萌まで20km、2時間の辛抱だと思い、強風を浴びながら自転車を進めた。

 風に翻弄され、弄ばれ、ようやく留萌市に到着。海に近いキャンプ場に着き、晩飯の支度をしていると、隣でジンギスカンをしている方から、お肉と野菜を頂く。うれしい誤算とはこの事だ。温めようと思っていたレトルトカレーをしまい込み、それをおかずに、ご飯を頂いた。
 晴れていた空に雲が広がりだし、明日からの天気が崩れて行く事を、知れせているようだった。風の次は雨か…。どうも、気分がへこんで行く方向にしかならないな、と思いながら、眠りに着いた。
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8/28(水) 86日目  現在地:北海道雨竜郡北竜町 金毘羅公園キャンプ場
夏の日
 昨日の夕方の天気予報では、今日は確実に雨が降るらしい。”らしい”と言う表現こそ予報の証だが、今はそれを信じるしかない。雨を迎えるときの態勢として、良し悪しがあるが、このキャンプ場で、雨に降られると、海に面している点や、草の生えていないむき出しの地面など、条件的には悪い方だ。近くには、評判の良いライダーハウスもあるので、雨に降られる前に、動ける態勢をとるために、3:00に起きて、4:30に出発した。
 天気予報が示すとおり、空には雲が広がっていた。

 車の通りが少ない静かな街中を通り、公衆トイレの屋根の下、ホームページを更新する。空模様を気にしつつ、最新の天気予報を確認すると、やっぱり雨が降るらしい。しかも、これから向かう方面の天気も、午後から雨の予報。移動を控えようかとも思ったが、雲の隙間からは、陽が見えている。”微妙だ。”迷いを生む空模様だが、今日予定している移動距離は、少ないので、出発する事にした。
 進行方向の峠の向こうには、どんよりした雲が広がっていて、”らしい”天気予報が当たる可能性を示していた。

 留萌市の付近から感じていたのだが、道北の景色とずい分違う印象がある。山の雰囲気がそうなのだが、生い茂る樹木の様子が違っているように感じ、なんとも懐かしさを想わせる姿が広がっている。しかも、北海道に入ってから、初めてではないだろうか、蒸し暑く感じる。半袖で風に吹かれても涼しさを感じない。ずい分と味わっていなかった、このまとわり着く空気の感触が、道北と違う印象を感じさせた景色に加わり、”夏の日”を感じさせた。
 感傷に浸るほどでもないが、夏らしい感触を懐かしいと思ってしまった。もう間もなく、9月だと言うのに。

 暑さを感じながら峠道のパーキングエリアで休憩していると、1人のチャリダーが私に追いついてきた。
 「こんにちわ。この間もあいましたね。」
と、2日前にコンビニで見かけた旅人であった。埼玉県在住のS君、学生さんで、夏休みを利用して北海道を旅しているとの事。端整でさわやかな顔つきは、私から見れば”若い”印象を感じさせた。どうやら、ほぼ同じ行程で、稚内からここまでの道のりを進んできたらしく、風が強くてとぼやいていた。
 そんなS君と、しばらく並走する。向かい風が強いが、自転車の後に着けば、さほど風の抵抗を感じない。代わる代わる前後を入れ替えて、北竜町にある道の駅まで御一緒し、手を振りながら彼が行くのを見送った。

 道の駅”サンフラワー北竜”は、温泉施設が併設され、休憩室まである。夏の日を感じた体は、汗であふれている。昼前で早すぎるが、予定していたキャンプ場は目の前、休憩室でくつろぐのも良いだろうと考え、温泉に入る事にした。
 平日の昼間と言う事もあって、空いていておもいっきりくつろげる。お風呂上りに、アイスを食べたくなり、思わず買ってしまったが、少し前まで、寒いと言っていたのがうそみたいだ。口に広がる冷たさがなんとも言えない。
 休憩室に移動すると、宴会ができそうな、広い畳部屋にテーブルが置いてある。地元の方達のくつろぎの場と言った感じだろうか。私もコンセントの近くに座り、電気を拝借させて頂いた。
 
 窓から空を眺めていたのだが、雨の降る様子が感じられない。お風呂に入り、くつろいでいた私は、ここから程近いキャンプ場に行くことを決めたので、休憩室でくつろいでいた。
 15:00になり、そろそろと思い、外へ出たが、”ムッ”とした暑さを感じる。九州のそれに比べれば、たいしたことはないが、北海道も暑いじゃないかと思ってしまった。
 汗をかかぬよう、のんびりとキャンプ場へ向かう。道路の脇には、ひまわりが大輪の花を咲かせていた。
 小高い丘の上にあるキャンプ場に着いたのだが、誰も居なければ、誰も来る様子もない。芝生が生えそろい、虫の音が鳴り響いている。鯉が居る小さな池もあり、そこで育ったのだろうか、たくさんのカエルやトンボが居る。そう言った音以外何も聞こえない、とても静かなキャンプ場。紅葉を始めた木々と暮れて行く陽が、小さい頃遊んだ山の雰囲気を思い出させ、今日感じた夏の感触と相まって、とても懐かしく、そして、心を落ち着かせてくれる。”良い場所だな。”そんな事を感じながら、暗くなって行くキャンプ場で、眠りに着いた。

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8/29(木) 87日目  現在地:北海道空知郡北村 北村ふれあい公園キャンプ場
うるさい道
 一度は眠りに着いたのだが。雨の音に起こされる。予報では既に降っていてもおかしくないので、ようやく”らしい”予報が現実のものになったようだ。幸い、貸切のキャンプ場を良い事に、東屋の下にテントを張っていたので、慌てる事無く、カエル達が楽しそうに鳴く中、再び眠りに着いた。

 昨晩、雨が降ったので、朝一番に空を見上げたが、雨は降っていないものの、またしても微妙な空模様だ。食パンとコーヒーで朝食をとっていたのだが、ホッとコーヒーを熱いと感じる。雨のせいなのか、それとも内陸のせいなのかは分からないが、北海道に入って、初めて蒸し暑さを感じる夜だったからだ。とは言え、九州人の私には十分に涼しいと感じられるレベルだが。
 空模様を気にしながら、キャンプ場にある休憩室のコンセントを拝借する。やっぱり、寝る場所と電気が、同じ場所にあるのは助かる。
 日記をつけながら微妙な空模様を気にしていたのだ、やがて晴れ間が広がりだした。朝に見上げていたのは、どうやら霧だったようだ。
 このキャンプ場がとても落ち着ける場所だったので、再びコーヒーを入れ、静かなキャンプ場の雰囲気を味う。インスタントコーヒーだが、一時の贅沢を感じる事ができる。
 のんびりしたところで、日も高くなり、9:00に出発。

 札幌方面を目指すのだが、日本一直線距離の長い国道12号線を通る手段もあったが、信号が多そうなので却下。国道275号線を選択した。気ままなはずの風も、最近お約束になり始めたのか、またしても向かい風。おまけに大型車の交通量が多く、ダブルの風を受け、結構しんどい。
 そんな中走っていると、道路工事で片側交互通行に出くわす。自転車にとっては、これが結構厄介だ。誘導員さんから、仮設の歩道を通るように支持されたので、そちらを通る事にしたのだが、狭く、工事車両なんかも止まっていて、入った直後に仮設のガードレールと工事車両に挟まれ、自転車の両側のバックが接触し、少々不快な思いをしてしまう。その後すぐ、今度はパワーシャベルが歩道を塞いでいる。はっきり言って、通れない。車が来ていないのを確認して、車道に出て通過。さらに不快な思いをしてしまう。歩道自体よりも、そこを通る事を支持した誘導員に対して、腹が立った。
 少々、頭に熱が発せられた状態で進んでいると、再び片側交互通行が出現。誘導員さんが、歩道を通る事を支持したので、今度は
 「ちゃんと通れますか?」
と、尋ねると、
 「大丈夫だ。」
と言ったので、歩道を通る事にした。しかし、少し進むと、舗装されていない、がたがたの歩道が見え始めた。これは通ってられない。”何処が大丈夫なんだ。”と思いながら、中程にいた誘導員さんに、歩道を通れないので、車道に出る事を告げると、
 「何が起きても、責任取れないからね。」
と言われる。それでも結構と思っていたが、誘導員さんが、出口の誘導員さんと無線で会話している様子を聞いていると、どうやら私が歩道を通る事を強要しているようだ。しかし、それに構わず、最後尾の車の後を追って、車道を通り始めた。出口は後100mほど、私が車道を通る事を知っているはずで、しかも私を目視出来ているのに関わらず、出口の誘導員さんが、向かってくる車の通行を許可しだした。私の行動が誘導員さんの頭に熱を加えたようだ。対する私も過熱気味の頭にさらに熱が加わる。迷惑そうに、大型車が私をすれすれの状態で通過して行く。誘導員さんの支持に、またまた不快な思いを感じてしまう。
 こうなると、道中の景色を楽しむところではない。イライラしながら、消化するように前を急いでいた。しかし、そんな私に追い討ちをかけるように、再び片側交互通行の道が出現する。案の定、歩道を通る事を強要されたが、その距離が100m程だったので、誘導員さんに、車道を通らせて欲しいと言うと、
 「勘弁してください。」
と言ってきた。それまでの行程で、結構頭が熱くなっていた私は、それを無視し、最後尾の車の後を追うように車道を通り始めた。すると、
 「チッ。」
と舌打ちし、
 「最後、チャリンコ。」
と、出口の誘導員さんに無線で伝えていた。”おいおい舌打ちが聞こえてるぞ。”、と思いながら通過。頭の中は沸騰直前だ。
 そんな道を通過した後に、道の駅で休息をとる。過熱気味の頭を冷やしながら、もっと冷静にならないとな、くだらない事で腹を立てても、つまらないからなと思い、道中イライラした記憶しか残らず意味がないと感じていた。
 しかし、正確な所はどうなのだろう。上記のような道では、車に比べれば足の遅い自転車は、誘導員さんの指示に従うべきだとは思うが、その要求が、理不尽と感じられる場合は、無視しても良いのだろうか。同じ工事中でも、最後尾を走る自転車が通過するのを待ってくれるような場所もあるし、仮設の歩道にしても、十分な広さを確保している所もある。そのギャップと、場所によって違う支持を出されるので、少々混乱気味だ。私にしても、自転車で旅をしているのにも関わらず、正しい自転車の交通ルールに無知すぎる。一度、ちゃんと学んでおいた方が良さそうだ。
 お互い、気持ち良く。これが大事なような気がするが…。

 そんなこんなでキャンプ場に到着。陽が沈むのを眺めていると、昼間の出来事が、とてもくだらない事に思えてくる。せっかくの旅路も、道中沸騰しっぱなしでは、意味がないからな。そんな事を考えながら、紫色に色付く雲を見ていた。
キャンプ場からの夕日
 ストレスをためながら走っもつまらない。そのストレスを落ち着かせてくれる夕日でした。
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8/30(金) 88目  現在地:北海道札幌市 O氏宅
Oさんとの語らい
 炊事場の電源を延長コードでテントに引き込み、パソコンを立ち上げた。AirH"も圏内の予定なので、ゆっくりネットをしようと思っていたが、電波が入らない。電波エリア地図では、圏内のはずなのだが。電気をテントに引き込みながら、ネットを楽しむ目論見は崩れ去った。ちなみに、そのような好条件を満たした宿泊地は、道中2回だけ。そんなに甘くはないようだ。
 朝起きてから、空を眺めると、曇り空で、ほんの少しだが、雨が降っている。今日は札幌市で、以前からメールを頂いていたO氏のお宅にお世話になる予定。本当にうれしい事だ。

 キャンプ場から道道を、次いで昨日不快な思いをした国道275号線を通り、札幌市を目指す。道路工事中が多ければ、大型車も多い。やはり都会は走りにくいなと感じながら、進んでいた。
 比較的平地なためだろうか、出会う川の流れが非常に緩やかだ。その様子も、これまで北海道で見てきた川とは違い、悲しくなるような姿をしている。道路の脇に育つ木も、排気ガスや砂ぼこりを浴びているからだろうか、覇気がないように見え、少し寂しい雰囲気を感じてしまい、ある意味、厳しい環境で育っているのだな思わせた。
 そんな道を進みながら、石狩川の支流に架かる橋の上で一休みしていると、3人の学生さんチャリダーがやって来た。北海道までは輪行で来たらしいのだが、電車で来るとはすごいと思っていたが、なんと青春18切符を使い、40時間をかけてやって来たと言い、さらに、帰りも電車に40時間揺られると言っていた。すごい人たちも居るもんだと思いながら、彼らが走り去るのを見送った。

 札幌市街が近づくと、車の交通量が俄然多くなったので、歩道へ退避しゆっくり進む。JRの苗穂駅に着き、ホームページを更新していると、Oさんから電話があり、こちらまで迎えに来てくれる事になった。急ぎパソコンを作業していると、再び電話があり、駅に着いた事を知らされ、携帯電話を片手に辺りを見回すと、公衆電話にいるOさんを発見。大きく手を振り合図を送る。Oさんも、私の身なりをホームページで確認していてくれたからか、手を振り応えてくれた。
 手こずるホームページの更新を快く待っていただき、その後、自転車を車に積み、Oさん宅へ向かう。
 Oさん宅へ着くと、まず玄関先に居る少し物思いにふけっているような1匹の犬に歓迎される。家に上がると、一つの部屋に案内され、自由に使ってくださいと、うれしいお言葉を頂く。3階にある居間に行くと、2匹の犬が居る。1匹は、激しく吠え立てているが、尻尾を激しく振って近寄ってくれるので、私を歓迎してくれいるのだなと、勝手な事を考えながら、少しだけ遊んでもらう。もう1匹の犬は、おとなしく、栗毛の超べっぴんさんだ。
 飯でも食うかと、早速御馳走になってしまったのだが、Oさんの作った特盛りカレーライスを頂く。これがうまい。旅に出てからレトルトカレーばかり食べているが、私は大のカレー好き。毎日食べても平気なくらい好きなので、とてもうれしい。その後、贅沢にもコーヒーまで入れていただく。
 Oさん、実は私と同じく被リストラ人。とは言っても、私のように完全受身の解雇とは違う足取りだったようだが。よって現在は私と同じく失業中の身。話もそこから始まるが、やはり抱えるものが違うためか、その重さも違っている。私のように年齢30歳で、結婚しているわけでもなく、子供がいるわけでもなく、割と気楽な立場にいるが、時々言い知れぬ不安感を感じる事がある。”恒産なくして、恒心なし。”とは、Oさんの言葉だが、やはり収入が途絶えていると言う事が、気分的な波を作り、それに襲われる時があると言っていた。しかし、そんな時、犬の散歩で汗を掻く事によって、すっきりすると言い、部屋に居て、煮詰まって行く気持ちをいくらか軽くしてくれると言っていた。同感である。私の場合は、日本を一周するために自転車を漕ぐ事で、さらに、道中での様々な人との触れ合いや、激励のメールによって、気分も軽くなる。部屋の外の風や自分の外の風が、心に溜まったほこりを吹き払ってくれると言った感じだろうか。
 その他、道中の温泉の事や勝負の事、精神チックな事まで話し、直接会って話す事の楽しさを感じていた。

 晩御飯を御馳走になっていると、Oさんの奥さんが帰宅。開口一番”若いのね。”と一言。なんでも、Oさんのメル友がやって来るというので、もう少しおじさん風の方をイメージしていたらしい。
 とても明るい奥さん。話していると、こちらまで元気が出てくる程だ。何でも乗馬をやっているらしく、馬に乗りたくなったら、いつでもおいでと誘われてしまった。
 団らんに参加させて頂き、久しぶりにその楽しさに触れ、感激気味でベットでの眠りに着いた。メールでのお誘いであったが、Oさん一家と出会えて良かったと感じながら。
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8/31(土) 89目  現在地:北海道札幌市 きよさん宅
きよさんに感謝
 Oさん宅での朝を迎える。久しぶりのベットでの睡眠だったためか、寝坊をしてしまう。しばらくボーっとしているとOさんがモーニングコーヒーを持ってきてくれた。なんとも贅沢おもてなしに、感謝を感じながら頂いた。
 気になる今日の天気は…、と思ったが、今日の宿泊先は決まっていたので慌てる必要はなかった。日本一周チャリの旅きよさんの”札幌に来た時は、部屋を使ってくれ。”のお言葉に甘える事にしていたからだ。
 朝からたくさんのご飯を頂いたのだが、御代わりを頂けるのがうれしい。野宿やキャンプでは、焚いたご飯を食べ終わったら食事は終了してしまう。食欲が増加しているせいか、コッヘルの底が見え出したときに感じる物足りなさは、結構寂しいものがある。
 テレビを観ると言うのも久しぶりの環境だ。やはり今後の天気予報が気になっていたのだが、台風が九州に接近している。雨と風が激しく、テントであれを喰らったら、たまらないだろうなと思いながら、その映像を観ていた。 Oさんが犬を散歩に連れて行っている間、テレビを観ていた。
 散歩から帰ってきたOさんと話をする。たくさんの本を読んでいるからだろうか、人生経験が豊富だからだろうか、私には刺激になり、そして興味深いお話をしてくれる。旅の道中でも感じていたが、年上の人と話すと自分も若いなと感じ、逆に年下の人と話すと自分も年をとったなと思う。きっとこの旅も、10年後に振り返れば、あの頃は若かったなと思うのだろう。
 30歳と言う年齢に、しかもWebを通じての出会いも加わる貴重な体験をしている事を改めて感謝した。

 お昼前になり、Oさんの計らいでお勧めのラーメン屋さんに出かける。工業団地の一角にあるラーメン屋さんで塩ラーメンを御馳走になる。九州では、とんこつが主流、と言うより、ラーメンと言えばとんこつを指すのが当たり前なので、塩ラーメンなどは、なかなか口に出来ないし、あったとしてもその店に足を踏み入れるのは結構勇気がいる。そんな感じなので、実は人生初の塩ラーメンではないだろうか。あっさりした味をしているものだとばかり思っていたが、結構濃厚でうまい。餃子まで頂いたのだが、これもうまい。
 ラーメンを御馳走になり、Oさんとのお別れの時間が近づいた。きよさんの部屋を借りるに当たっては、きよさんの彼女さんの家まで行き、鍵を預かる予定だったのだが、Oさんが車で連れて行ってくれることになった。
 鍵を預かったところで、Oさんに別れを告げる。何から何まで、本当にお世話になりました。興味ある会話と楽しい時間をありがとうございました。
 
Oさんと
 
 Oさんと別れ、きよさんの部屋を目指す。しばらく車で市街地を一緒に走ったOさんから、番地を元に碁盤の目のような札幌の市街地を歩く手ほどきを受けていたので、近くまではすぐに到着する。最後は少し迷ってしまったが、到着。
 札幌市内で、宿泊先に困らないと言う喜びと、部屋を使ってくれと言ってくれたきよさんに感謝しながら、荷物を部屋に運びいれる。
 札幌に来たのは、これで2度目になる。前回は私が学生のときで、観光がメインではなかったので、少し自転車で走る事にした。
 バッテリーの調子の悪い携帯電話を何とかするために、販売店を探しつつ、何処へ向かうわけでもなく、のんびりと自転車を走らせていた。
 ここ数日暑い日が続いたなんて思っていたが、今はなんとも涼しい秋めいた風が吹き、気持ちが良い。急いでいるわけでもないので、人の波に逆らわないようにゆっくりゆっくり、街並みを見ながら走っていた。
 適当に走っていたのだが、携帯ショップを発見。私の使っていた携帯が古い機種なので、替えのバッテリーがあるわけでもなく、結局機種変更をしてしまう。なにも札幌で…とも思ったが、携帯電話はやはり生命線的な部分もあるので、仕方がない。
 その後、思い出したように時計台を見に行く。学生の時に来た時は、丁度外壁の塗装をしていたので見ることができなかったからだ。…これが時計台か、と言う感想を持っただけで、前回見れなかった想いを払拭したかっただけかもしれない。
 大通り公園のベンチに腰掛、久々に人の波を眺めていた。私の旅の道筋は、ことごとく、都会を避けてきたので、少し落ち着かない。
 きよさんの部屋に戻り、日記を書いていると、きよさんの彼女さんがやって来た。部屋を使うに当たっての気を付けて欲しい事の説明のためなのだが、手には差し入れが入った袋を持っていた。部屋を借りれるだけで十分なのに、きよさん、そして彼女さん、ありがとう。

 昨日に引き続き、人のお世話になり、感激の中眠りに就いた。少々、夜更かししてしまったのだが。
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