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日付 タイトル 現在地
7/1 (月) 友人への感謝 千葉県千葉市
7/2 (火) 吉野家に感謝 茨城県鹿嶋市
7/3 (水) 軒先 茨城県久慈郡大子町

7/4

(木) 久慈川の道 福島県東白川郡棚倉町
7/5 (金) タイミング(きよ氏との出会い) 福島県いわき市
7/6 (土) 土曜の公園 福島県相馬市
7/7 タイヤの損傷 福島県相馬市
7/8 (月) 宇多川の支流にて 福島県相馬市
7/9 (火) 降り出した雨 福島県伊達郡霊山町
7/10 (水) 人の温かさ 福島県伊達郡霊山町
7/11 (木) 台風の後 福島県伊達郡梁川町
7/12 (金) ようやくの仙台 宮城県多賀城市
7/13 (土) また雨ですか? 宮城県本吉郡本吉町
7/14 電気を拝借 岩手県陸前高田市
7/15 (月) 車旅のおじさん 岩手県大船渡市
7/16 (火) 台風に怯えながら 岩手県宮古市
7/17 (水) 本州最東端 岩手県宮古市
7/18 (木) しんどい 岩手県下閉伊郡田野畑村
7/19 (金) 張り詰めた想い 岩手県九戸郡種市町
7/20 (土) 雨に翻弄されて 青森県上北郡七戸町
7/21 蚊の猛攻 青森県下北郡大畑町
7/22 (月) カッパの湯 青森県下北郡大間町
7/23 (火) 北海道入り 北海道函館市
7/24 (水) 若き冒険家 北海道山越郡八雲町
7/25 (木) 福男人 北海道虻田郡豊浦町
7/26 (金) スレヤマメ 北海道有珠郡大滝村
7/27 (土) モバイルチャリダー 北海道千歳市
7/28 手強すぎる 北海道千歳市
7/29 (月) のんびりと 北海道千歳市
7/30 (火) 新冠 北海道静内郡静内町
7/31 (水) 休息 北海道静内郡静内町

7/1(月)  28日目  現在地:千葉県市原市
友人への感謝
 友人の家に来て4日目。友人には失礼だが、すっかり部屋の住人になりつつある。朝起きて、友人と朝風呂を浴びる。自転車に乗らず、汚れていないからだろうか、髪を洗ったときの泡の立ち具合が良い。気持ち良い位泡立つので、普段より念入りに洗ってしまう。おまけに、備えてあるリンスを使い、気持ちよすぎるくらいの洗髪を楽しんだ。
 雨が降っていることもあり、友人と二人、部屋で過ごす。学生時代に戻ったように、ビデオを見て、何気ない事をする。実はこれが、結構落ち着けたりする。久しぶりに会ったからといって、特別に何をするわけでもなく、時間を過ごして行く。
 やがて夕食の時間になり、再び御馳走になることに。お酒が入ったこともあり、話は盛り上がって行く。高校時代の共通の話題や、大学のときのくだらない話。あれから実に10年以上も経つなんて、改めて時の流れを感じる二人。最近の話題になると、楽しい話の中にも、仕事に対する心の葛藤がお互い口をついて出てくる。学生時代から就職、その他、大きな転機をお互い見てきただけに、そういった深い話も、流れの中で飾る事無く話せて行く。
 自転車旅の中で、友人の家にお世話になったことで、心身ともにリフレッシュできたと共に、リストラや再就職に向けてと言った、違う意味でもリフレッシュできた事は大きい。友人には本当に感謝して、明日から自転車旅を再開する。
友人と私
 右、友人T君。左、私です。すっかりお世話になりました。ありがとうございます。
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7/2(火)  29日目  現在地:茨城県鹿嶋市 潮騒はまなす公園

吉野家に感謝
 友人の部屋での最後の朝を迎える。すっかりお世話になってしまった。旅の本番はこれから、困難があるだろうが、無事に生還するようにと言われ、友人の出社より一足早く出発した。

 福島県を源流に持ち、茨城県で海に流れ込んでいる”久慈川”に行くために、まずは茨城県鹿嶋市を目指す。千葉県市原市からだと、九十九里浜沿いに海を眺めながら進むことを考えたが、少し遠回りになり、天気的にも曇っていて、いまいちそそられない。海は見えないが、なだらかで、距離が稼げそうな国道126号線を進むことにした。予想通り、アップ・ダウンが少なく、順調に距離を稼いで行く。が、景色にあまり変化がないので、黙々と自転車を漕いでいた。

 この旅で、移動しているときの昼食は自炊することはなく、道の駅やコンビニですます事が多い。時間をかけたくないと言うのが理由だが、いかんせん高くつきがちだ。そのため、街中を通るときは、吉野家の牛丼並盛りを狙う。経費を抑えたい私にとって、並盛り280円はうれしく、さらに、空腹感を満たす満足感は最高だ。しかし、自転車で移動しているので、吉野家が良いタイミングであるとは限らない。12:00〜14:00の間、移動距離にして30km程度の間に、出会えることを期待して、あのオレンジ色の看板を探す。今日は運良く12時過ぎに発見し、並盛りと味噌汁を頂き、一時の幸福感を得る事ができた。吉野家に感謝し、お腹も満たされた所で、鹿島市を目指すが、相変わらず景色に変化が少なくさびしい。当面の目的地は久慈川なので、観光地にも寄らずに先を急ぐ事に。

 先を急ぎつつも、気になるのは今日の宿泊地。野宿をしたいが、土地柄が分からないので、賭けみたいなものだ。人の出入りが多いとか、テントを張る場所がないと言った理由で、当てにしていた場所がダメな時のショックは、計り知れない。そう言った意味でも、16時頃から適所を探しつつ進むのだが、性格なのか、前もって適地を探しても、そこへ引き返したことはない。今日の宿泊期待地は、鹿嶋市の国道51号線にある潮騒はまなす公園。地図に載っていると言う理由だけで、もちろん前情報はない。
 幸いにも鹿嶋市の繁華街を抜けると、町並みが閑散としてきて、テントを張れそうな場所がたくさんある。18:00に公園に到着。人気はあまりないが、目立たぬところにテントを張り、水飲み場の水道で晩飯を作る。トイレもあり、問題のない宿泊地になりそうだ。
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7/3(水)  30日目  現在地:茨城県久慈郡大子町 橋の下

軒先
 湿度が高く、風が重たい。そのせいか、寝袋が湿っぽく、冷たく感じられる。テントは毎度のごとく、夜露でびしょ濡れだ。朝の出発の準備だが、テントが濡れるのは、困った問題の一つだ。夜露は仕方がないのだが、加えて梅雨のせいで、なかなか乾かず、いつもタオルで拭いて、パッキングしていた。芦ノ湖で連続的に雨に打たれたせいか、少しカビているのを見つけてしまった。ショックだ。そういった意味では、軒先にテントを張れると助かるのだが。

 久しぶりに川を目指すので、何だか浮かれている。山々が見えてきて、川が現れたときは、気分も軽くなる。”川が呼んでいる”と言った変なことを考えながら進む。曇ってはいるが、雨が降りそうにないので、寝袋を荷台にくくり付け、干すことにした。途中、スーパーで、レトルトカレー、ホットケーキミックス、インスタントコーヒー、ラーメン、ビスケット、チョコレートを買う。芦ノ湖のように、滞在したときは、これらの食料のサイクルで食事を済ませていた。
 天気は相変わらずの曇り。さらに、蒸し暑くなってきて、段々と増して行く。ポツリと小さな水滴が落ちてきたと思ったら、また、水滴が落ちてきた。”雨だ”。やばい、寝袋が濡れてしまう。慌てて軒を探すが見つからない。しょうがないので、道路脇の木の下で、寝袋をしまい込む。突然降り出した雨は、激しさを増して行き、遠くで雷まで鳴っている。にわか雨らしい。空が全体的に曇っていたので、気付かなかったが、にわか雨の準備をしていたなんて、なかなかやってくれる。どうりで蒸し暑いわけだ。せっかく干していた寝袋が、少し濡れてしまった。雨足が本格的になってきたので、移動して軒先に非難した。しばらくすると、弱くなり、出発し進んでいくうちに、晴れに変わって行った。
 久慈川の中流域に来ると、鮎氏の姿が多い。遊魚案内の看板を見ると、鮎のとも釣り専用区域で、鮎以外の魚を釣ることができないらしい。とは言え、私が釣りをする場合は、もっと上流域なのだが。川を眺めながらの走行は、足取りも軽い。上流を目指しているので、上り坂が多いが、休憩に川を見ながら一服すると、自転車を漕いで熱くなった体には、川を吹く風が気持ちよく、贅沢な瞬間を味わえる。

 茨城県久慈郡大子町の久慈川にかかる橋の下が、今日の宿泊地。車の音は、瀬を流れる川の音が消してくる予定で、眠りについた。
今日の宿泊地
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7/4(木)  31日目  現在地:福島県東白川郡棚倉町 サイクリングロード休憩所

久慈川の道
 川が流れる音で目覚める。外を見ると、辺り一面が朝靄に包まれている。目の前の道が散歩道らしいので、すばやく撤収し、道の駅に移動し、朝食を取る事にした。駐車場には、鮎釣りが目的だろうか、車中泊の人がいて、私と同じく、道の駅で洗顔したり、朝食を取ったりしていた。

 条件がよければ、久慈川で釣りをしたいが、まずはその支流のひとつへ行って見ることにした。国道から離れ、支流沿いの道を進んでいると、道路案内の表示が、意図しているものと違うことに気付く。地図を出し確認すると、道を間違えたようだ。そこから、別ルートで目的地に行こうとしたが、その道が険しく、12%の上り坂が現れたりと、時間的にかなりの遠回りを強いられた。山に釣りに行っていると、こう言う事は良くあるのだが、自転車ゆえにつらい。
 支流に到着すると、ヤマメの釣り看板を発見したので、入渓しようと、場所を探すが、道沿いの川は谷の下にあり、なかなか場所が見つからない。これも初めての川では良くあることで、しばらく、行ったり来たりを繰り返し、なんとか入渓できそうな所を見つけた。自転車を茂みに隠し、谷を降りて行く。きれいな渓流だ。日も高く、晴れているので、難しいだろうと思いつつも、ルアーをキャストした。しばらくキャストを繰り返すと、ルアーを追ってくる魚がいるが、ヤマメではない。結局、300m程、試しては見たが、ヤマメらしき魚影を確認することはできなかった。

 福島県東白川郡の矢祭町から棚倉町を目指すが、久慈川沿いにサイクリングロードを見つけ、その道を進む。この所の梅雨空から一変して、よく晴れている。川沿いに20km程度あるその道を走っていると、とても気持ちが良くなってくる。自転車で走るときの風の心地よさ、山と田園に囲まれた景色の心地よさ、そのままいつまでも走っていたい様な気さえしてきた。これまでの自転車旅は、苦しいことから逃避するように、景色につられて出てくる楽しいことばかり思い起こしていたが、ふと”過去は見飽きた”と思える一瞬が頭の中を過ぎった。すがすがしいくらいのひらめき。過去はいつでも見れる。今を、これからを見て行こう。そんな気持ちを生み出してくれた久慈川の道に、感謝するのだった。

 この久慈川サイクリングロードには、トイレ、屋根つき野宿ポイントもあり、今日はそこへ宿泊。
久慈川サイクリングロード
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7/5(金)  32日目  現在地:福島県いわき市 仁井田浦キャンプ場

タイミング(きよ氏との出会い)
  パソコンのバッテリーが切れそうなので、何とか充電をしたい。宿泊地のトイレには電源が来ているが、コンセントは見当たらない。そう簡単にある分けないよな、と思っていると、頭上に換気扇の差込口を発見。ラッキーだ。少々問題はあったものの、延長コード片手に、よじ登り電気を拝借する。パソコンを立ち上げると、さらにラッキーな事に、AirH"圏内である。メールを受信し終え、ホームページの更新をしていると、新着メールのサインが出た。こんなに朝早く誰からだろうと思うと、相互リンクを張らして頂いている”日本一周チャリの旅”の”きよ”氏からのもので、”現在、福島県相馬市に居ます。これから同県いわき市を目指します。”と言う内容だ。地図を見ると、現在、私が居るところから西へ70km程度の場所だ。旅人同士、会える機会があれば会いたい。予定していたルートとは違うが、私もこれからいわき市へ向かうと返信のメールを送った。

 会えると言う想いからだろうか、はやる心が、いつもより飛ばし気味のペースを生み、5時間程度で、待ち合わせのいわき駅へ到着。きよ氏がまだなようなので、電話してみると、まだかかりそうだの事。そこで、きよ氏が目星を付けていたキャンプ場で落ち合うことにした。携帯電話のメールで、きよ氏からは今何処まで来ているという内容、私からはキャンプ場の状態をやり取りしつつ待っているた。やがて、程近い場所に来ていて、良さそうな宿泊地を見つけたので、どちらが良いだろうかと言う内容の電話があり、とりあえず、私かそこへ行くことにした。自転車に乗ること5分。そこに私同様、自転車にフル装備でベンチに座っている人がいる。”はじめまして”笑顔で握手を交わす。少し照れくさい瞬間だった。

 結局、キャンプ場での宿泊を決め、軒のある炊事場を独占し、二人でテントを張る。飯の準備に取り掛かるが、自転車のトラブルの話や、会って来た人の話、楽しいこと、苦しいことで盛り上がり、話が尽きない。きよ氏も宿泊地には、頭を痛めているようだった出会えたことに感謝して、ビールで乾杯をした。
 程なくして、キャンプ道具を積んだ一人のライダーが、キャンプ場へやって来た。彼もここへ宿泊するのだろう、テントを張り出した。”飲むのなら多いほうが良い。”きよ氏は、そう言ってライダーさんにも声をかけ、3人で夕食を頂くことになった。ライダーさんは、きよ氏と同じく札幌の方で、北海道で旅をした事があるが、今回、おもいっきって日本一周に挑戦していると言う。しかも、我々を含めた自転車旅のホームページを少し知っていてくれた。
 北海道の二人。九州の私。お互いが地元を離れた場所で、こうして会えた偶然を噛みしめつつ、楽しく、心休まる時間が過ぎて行く。

 きよ氏と私は、お互いのホームページで、動向を確認してはいたが、更新のタイミングや、それを確認するタイミングが誤差を生じさせる。そういった意味でも、今朝、あの時間に、メールをくれたきよ氏と、それを良いタイミングで確認できた偶然の幸運に感謝したい。
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7/6(土)  33日目  現在地:福島県相馬市 松川浦大橋の下の公園

土曜の公園
 二人で居たためだろうか、良く寝ることができ、お互い少し寝坊してしまった。朝食を取りながら、まだまだ弾む話を続けていた。ライダーさんは一足早く、我々に別れを告げ、東京へと出発した。最後に記念写真を撮り、また会うことを約束し、私はきよ氏が来た方向へ、出発した。

 海沿いを北上し、きよ氏が教えてくれた、相馬市の公園へ向かう。また、一人の旅が始まる。しかし、気持ちは晴れ晴れとして、元気が湧いてくる。また、元気を頂いたようだ。

 少々アップ・ダウンがあるが、足取りは軽い。道の駅”ならは”に寄ると、温泉施設があるではないか。スタートしたばかりで、この先の走行で汚れることを考えると気が引けたが、ここ5日、風呂に入っていなかったのでたまらない。500円で入浴することにした。”あ〜。”自然に声が出てくる。湯船に浸かり、じんわりと刺激される感覚に酔いながら、出会いの影響だろうか、これからの旅路への期待感が高まる想いを感じていた。
 さっぱりとしたものの、1時間もすれば汗が出てくる。幸い、海の方向から来る湿った靄のため、涼しく快適だ。おまけに、宿泊地の心配をあまりしなくても良いのが大きく、迷う事無く自転車を漕いだ。

 リフレッシュ出来た気持ちと、快適な道のおかげで、17:00に目的地の公園に着こうとしていた。が後わずかの所で、自転車がパンクしてしまう。パンク修理は明日しようと、そのまま自転車を押して到着。飯の準備に取り掛かるが、やけに人が多い。海沿いに釣りをしている人や、バーベキューをしている団体さんがいる。平日だと閑散としているのだろうが、今日は土曜日だ。
 テントを張り、眠ろうかなと言うときに、バイクの爆音がする。団体さんじゃないので一安心するが、公園の駐車場で、走り回ったり、公園の中に入ってきたりしている。土曜の夜だからな、と思いつつ、少しビビリ気味で寝袋に入った。
きよ氏(左)と私(右)
 
きよさん本当にありがとう。また、会いましょう。
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7/7()  34日目  現在地:福島県相馬市 松川浦大橋の下の公園

タイヤ損傷
 バイクの音も花火の音も深夜には静かになり、朝を迎えた。外は海からの靄のため、寒いくらいだ。長袖を着込み、朝食を取ると、昨日、この場所を目前にパンクした後タイヤの修理に取り掛かった。外傷を探すが見当たらない。しかし、一気に空気が抜けたことを考えると、どこかにあるはずだ。こんな原因の分からないパンクが困る。とりあえず、チューブを外してみると、見た目にも分かる3mm程度の穴が開いている。タイヤを内側から確認するが、物が刺さっている所はない。原因をつかめぬまま、パンク修理を施し、空気を入れてみた。”あれっ”リムと接触しているタイヤのゴムが、切れている。そのせいで、中のチューブが外から見えて、その部分がこぶのように膨らんでいる。”これはやばい”もう一度タイヤを外し、今度は切れているタイヤの内側に、パンク修理用のゴムを貼った。再びトラブルが起きた時、後輪を外したり着けたりするのは面倒なので、この際、前輪のタイヤとチューブを後輪と付け替えた。前輪に持ってきたタイヤの亀裂箇所は、空気を入れると、盛り上がるように膨らんでいた。これでもってくれれば良いのだが。

 この公園には、立派なトイレが有る。しかもコンセントが有り、AirH"圏内。洗濯したり、ホームページを更新したりしていると、時間は過ぎ、12時になっていた。出発しなければと、自転車に乗ると、一定の周期で何かがこすれる音がする。前輪を見ると、修理した所が、こぶのように大きく膨らんでいる。”だめか”これはタイヤを交換したほうが良いだろう。とりあえず、自転車屋さんまでもってくれ。祈るような気持ちで自転車を漕ぎ出すと、ものの50mで”シュッ”と言う音と共に、一瞬にして空気が抜けてしまう。再びタイヤを外してみると、貼り付けたゴムが切れていた。この程度のゴムじゃもたないかと思いつつ、また、ゴムを貼り、今度は空気圧を低めにして、だましだまし走ることにした。”重い”空気圧を下げているので、タイヤと路面の抵抗は予想以上だ。無理をせず、ゆっくりと走り、自転車屋さんを探す。
 幸運にも5km程で自転車屋さんに遭遇。しかし、MTBのオフロード用のブロックタイヤはあるが、ツーリング向けのタイヤはないらしい。自転車屋さんが、近くにある別の自転車屋さんに電話して聞いてみてくれたが、やはりないようだ。どうにか、自転車屋さんが、強固な応急処置をしてくれて、何とか走れる状態にしてくれた。が、空気圧を上げる事ができず、低めのまま走るしかない。 可能な限りの処置をしてくれた自転車屋さんのおじさんにお礼を言い、自転車屋さんを後にした。

 時刻は16:00.先へ進むことを止め、昨晩を過ごした公園へ戻ってきた。自転車の事を考え、福島市へ向かう山越えのルートは避け、仙台へ直行し、そこでタイヤを交換しよう。この応急処置のまま、もってくれれば良いのだが。
タイヤの損傷箇所
 
こんな所が切れるなんて。山奥じゃなくて良かった。
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7/8(月)  35日目  現在地:福島県相馬市 宇多川支流沿いの空地

宇多川の支流にて
  バイクの音がする。1台なんだけど、さっきから公園の海側にある港の同じ場所を、周回している。いつまで続くのだろうか、その音でなかなか寝付けない。……それから3時間。まだ、周回している。勘弁してくれ。……さすがに寝ていた。朝、周回コースを見てみると、確かに走りたくなるような場所で、近所に住宅があるわけでもないので、思う存分に走れるのだろう。こんな所でテントを張っているのでしょうがないな。

 昨日と同様、電源が有り、AirH"圏内なので、早朝、ホームページの更新をしていると、いわき市で共に過ごした”きよ”氏から、メールが来た。私の自転車のトラブルを知って、きよ氏が相馬市でお世話になった自転車屋さんの荒井商会に行ってみてはと提案してくれ、詳細な場所まで教えてくれた。自転車に不安を抱えたまま進むより、一度、荒井商会へ行ってからでも遅くないので、そうすることにした。
 もう6度目になる公園から市街までの道を進む。荒井商会へ着くと、女性が居て、主人は病院に行っているので、待つように言われる。その間、色々な話になり、この間も来たのよって、きよ氏の話をしたので、彼の紹介で来た事と、いわき市で会った事を話す。そうすると、きよ氏と同様に、ヘルメットをかぶっていないので怒られる。
 だんなさんが帰ってきて、状況を把握すると、今までのタイヤより少し太めの、センターリジットと言うタイヤを勧められる。”ツーリングにはスリックが良いって言うけど、私はこれの方が良いと思う。ツーリングだと砂利が浮いているような所もあるし、スリックは消耗が激しいからね。”と言う意見に反対はない。それを着けてもらう事にした。作業の間も、自転車の色々な話を聞かせてくれて、とても勉強になる。自転車旅をしているのに、自転車に関して無知なことが、恐ろしくなるほどだ。
 荒井商会さん本当にありがとうございました。そして、きよさん、ありがとう。

 自転車の不安がなくなった事で、これからどう進もうか迷う。修理目的で仙台に直行する必要がなくなったので、国道115号線を川沿いに進み、出来れば釣りをして、そこから峠を越え、福島市方面を目指そうかと考え始める。さらに、ホームページのカキコミににABEさんと言う方から、楽しそうなルート情報を頂いたので、それも興味がある。荒井商会さんに教えてもらった”はまなす館”の温泉(310円)に浸かりながら考え、答えは出た。福島市方面に行こう。

 地図で見ると、なかなか厳しそうなルートだ。しかし、進み始めると、横目に宇多川が流れていて、その川が美しい景色を提供してくれるので、そちらに気を取られる為か、それ程つらさを感じない。
 宇多川に流れ込む支流の合流地点に辿り着き、支流の方へ行くと、いかにもヤマメが居そうな気配がしてきた。”ヤマメに会いたい”そう思いながら進むと、非常に都合のいい場所があった。道路から少し川の方へ入った空地で、テントを張るにも、釣りをするにも好都合だ。今日はここへ宿泊することを決め、早速、竿を持って川へ降りて行った。
 きれいな水で、透明度が高い。水温も触った感じでは、18℃位だろうか。そんな事を感じながら流れを見ていると、俊敏な動きで小魚を追う魚が見えた。”ヤマメだ”こうなると俄然気合が入る。集中してルアーをキャストする。が、反応して追いかけてくるが、食ってくれない。ルアーの追いかけ方からして、ヤマメに間違いない。水がきれいなので、こちらの姿が見えて警戒するようだ。そこで、慎重に歩みを進め、上流のほうへ釣りあがりながら、慎重にルアーをキャストして行った。
 50m程、上って来ただろうか、反応はあるものの、なかなか釣れない。そして、水深80cm位の淵に着き、ルアーをキャストすると、魚が反応した。”見える”ヤマメがルアーを追って来る。私の姿には気付いていないようだ。”…クッ”と竿先に重みが伝わり、小気味良いヤマメの引きが、集中力を一気に跳ね上げた。釣れた場所が近いこともあって、強引に水の中から引き抜いた。サイズは20cm程度。この旅で初めて手にするヤマメだ。やっぱり美しい。その姿をしばし眺めた後、元の流れに返してあげた。その後、同じサイズのヤマメが2匹釣れる。こんなに反応の良いヤマメ達がいる川だったとは、九州を離れた場所でヤマメに出会えて、しばらくの間、感激に浸っていた。

この旅初のヤマメ
 
ありがとうヤマメさん。とにかく釣れたので、うれしいです。サイズ的に言えば、もう二周り大きいと、さらに良かった。

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7/9(火)  36日目  現在地:福島県伊達郡霊山町 霊山こどもの村

降り出した雨
 朝から少し雨が降っている。天気予報では曇りのはずだが、さすがに山の天気だなと思っていた。国道から外れた県道沿いのこの宿泊地は、夜になると川の音しか聞こえないくらい静かで、良く寝ることが出来た。気になる天気だが、昨日の昼頃から、携帯電話すら電波の入らない所に居るので、確認できない。とにかく、福島市方面へ進み、それから仙台市へ進もうとルートを確認して出発した。

 宇多川沿いに、険しい上りがまだまだ続く。急斜面に流れるその川は、大きな岩がたくさんあり、大雨が降ったときの荒々しさを物語っている。上りが一段落し、高原のような場所に出て来ると、なだらかな道になってきた。標高の高さと曇り空のおかげで、とても涼しく気持ちが良い。やがて峠の福島市側の斜面に流れる川が見えてくると、早くも視線は川の方ばかりに行っていた。
 下りが急になり始めたとき、半そでの腕に雨つぶが落ちてくる。”雨かな?”と言う程度だったが、タイミング良く霊山こどもの村の入口にある休憩所があったので、自転車を止め、しばらく様子を見る事に。雲が薄く、空が明るいので、すぐに止むだろうと思い、休憩所で休む事にした。 この休憩所、うれしい事にガラスで覆われた大きな部屋があり、ベンチ、テーブル、コンセントがある。パソコンとデジカメ用の電池を充電させて頂く。携帯電話は相変わらず圏外のままだ。
 雨が止むのを待っていたのだが、その気配はなく、激しくなり始めた。この場所は居心地が良いので、最悪ここに泊まろうと考え、時間を潰すのに色々なものの整理を始めた。
 まず、これまでに使ったお金を勘定しようと、貯まりに貯まったレシートを取り出し、記憶と共に整理し始めた。これがなかなか面白く、何処のお店のものなのか住所も載っているし、購入した日付と時間まで分かるので、旅の記憶が蘇る。しかし、すでに10万円以上と、予想以上に使っている。やはり、くじけて泊まったホテル代が響いているようだ。
 雨の様子は小降りながら、降り続いていた。時刻が14:00を回っていたので、今日はここへ泊まろうと、さらにくつろぎ始める。パソコンに取り込んでいる音楽を聞いたり、ベンチでおもいっきり寝てみたり、自転車を磨いたり油を注したりと、休憩所を自分のスペースと化して行った。

 18:00頃になり、ここは電気があって快適だな〜なんて思っていると、おばあちゃんがやって来て、
  「ここ、18:00で閉めますよ。」
と、言って来た。とてもやさしい感じで言ってくれたので、動揺を隠しつつ、くつろぎすぎて散らかした荷物を即行でまとめて外へ出た。
 ”ど、どうしよう”外はまだ雨だ。これから移動なんて無謀すぎる。しょうがない、雨には濡れるが、そのためのテントだ。休憩所に隣接した小さな公園にテントを張ることにした。

 天気予報が分からないだけに、この雨はいつまで降り続くのだろう。そんな事を考えながら眠りに着いた。
休憩所にて
 この中で寝るつもりで、くつろいでいました。
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7/10(水)  37日目  現在地:福島県伊達郡霊山町 霊山こどもの村

人の温かさ
 昨日降りだした雨は、朝には小降りになっていた。びしょ濡れのテントを休憩所の軒先まで持ってきて乾かしていた。と言っても、雨のせいで湿度が高く、乾きはしないのだが。ビスケットを食べながら、空模様を見て、進むべきか、このままここへ居るべきか悩んでいた。なぜなら、一昨日から携帯電話がつながらず、天気予報を確認できないからだ。そうこうしていると、昨日のおばあちゃんがやって来て、「休憩所の鍵を開けたから中に入りな。」と、やさしく言ってくれた。再び、休憩所を独占し、くつろぐことにした。

 雨は昨日よりも一層激しくなり、時折、バケツをひっくり返したように集中的に降り始めた。天気予報は分からないが、休憩所にやってくる人に聞いてみると、台風が来ていて、かなり接近しているらしい。これは今日の移動も無理だな思い、旅の整理を始めた。
 地図を見ながら、通ってきたルートや宿泊先のデータをまとめる。お金の勘定と同様に、これもまた面白く、再び、旅の記憶が蘇った。その結果を少し紹介します。
   ・現在36泊
     野宿 17泊
     キャンプ場 7泊
     ユースホステル 2泊
     ホテル 5泊
     その他 5泊
   ・総走行距離 2,324km
    1日の最高移動距離 130.89km
    最高速度 59.7km
日本一周の予定では、総走行距離が1万km位にはなるだろうから、ようやく4分の1が終わった感じだろうか。まだまだ、これからだなと思える。

 そんな事をしながら過ごしていたのだが、雨の激しさは収まらない。今日もここに泊まろうと思っていたとき、道路の状況をパトロールしている県の土木事務所の人たちがやって来た。最初の語り口でよくあるパターンだが、「何処から来たの?」と聞かれ、色々話していくうちに、昨日は隣にある公園にテント泊した事を話し、今日もそこへテントを張る予定だと話した。すると、その中の一人の方が「台風来てるから、危ないよ。ここからすぐの土建屋さんの詰め所に泊まらしてもらいな。」と言ってくれ、連絡をしてくれた。しばらくすると土建屋さんがやって来て、しばらくパトロールの人たちと仕事の話をしていた。そして、私の話になり、快くその詰め所に泊めてもらえる事になった。

 雨の中、4km程移動し、詰め所に到着する。まず驚いたのが、ストーブを焚いていた事だ。話しによると雨が降り続くようなこんな天気のときは、寒くなるそうだ。土建屋さんっぽく、色々な資料が置いてある。こんな所でよければとおっしゃってくれたが、私にしてみればテント泊に比べれば、天国のような場所だ。
 コーヒーを御馳走になりながら、話をしていたのだが、最近は土建屋さんも仕事が少なく、うちの会社も早期退職してもらった人がいると言った様な会話になっていた。
 しばらくすると従業員の方が帰ってきて、雨による被害状況の話しだろう、何処の川は後数十センチであふれ出しそうだとか、どの道に土砂が流れ出し始めたのだとかを話していた。それから、私の話になり、ここに泊めてもらう事を知った一人の方が、「こんな所に泊まるの?」と言い、「内に泊まりな。」と言ってくれた。その時、この旅を始めて四国で出会い、徳島県小松島市で一緒に野宿した方が”旅をしていると、飯を食べていけやら、泊まっていけやら言う人が出てくると思うけど、その時はなるべくお世話になりなさい。好意で言ってくれているのだし、人の関係は持ちつ持たれつだから。”と言っていたのを思い出し、お世話になることにした。

 自転車を詰め所に置いたまま、車に同乗し、その方の自宅へ向かう。道中、お世話になりますと言うと、「自分の息子が同じ立場だったらほおって置けないから。」と言ってくれる。途中、茶色くにごり増水した川をみて、相当に激しい雨が降っていたのだと分かる。程なくして到着した家は外見が普通の家だが、中に入って驚く。内装の壁に杉の木を使い、木目が生きた素晴らしい部屋になっていた。さらに、天井が高く、吹き抜けの部分からは柱が見えていて、どこかの旅館に来たような雰囲気だ。しかも、このおじさんがとても器用な方で、その内装のほとんどを自分で仕上げたと言う。
 奥さんも良い方で、他人の私を厚くもてなしてくれる。まず、お風呂に入れてくれたのだが、窓を開けると、向かいにある山々を眺める事ができ、とてもリラックスできる。晩御飯も御馳走になったのだが、久しぶりに食べる手作りの味わいに感激していた。

 正直、自分が旅をしていて、こう言う状況に遭遇するとは、思ってもいなかった。土建屋さんの詰め所に泊まることを薦めてくれたおじさんにしても、見ず知らずの私に厚いもてなしをしてくれた夫妻にしてもそうだが、人の温かさを感じながら、心地よい畳の部屋で安心の眠りに着いた。
おじさん夫妻
 本当にありがとうございます。手料理、おいしかったです。
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7/11(木)  38日目  現在地:福島県伊達郡梁川町 農村公園

台風の後
 外は台風の影響で、風と雨が強いはずなのだが、昨晩からお世話になっているこの家の中は、とても静かだ。家の中がこんなにも落ち着けるなんて、これも野宿を経験しなければ感じなかったことだろうなと思う。

 朝起きると、おじさんが居ない。徹夜で道路や川の監視と防災をしていたらしい。コーヒーとヨーグルトを御馳走になりながらテレビを見ていると、各地の台風による被害を伝えている。雨がとても激しかったようで、福島県郡山市の阿武隈川流域では、避難勧告が出て、近くの非難場所で毛布に包まり、不安な表情で朝を迎えた人々の映像が映し出されていた。
 8:00頃、おじさんが帰ってくると、疲れた表情をしている。朝食を御馳走になりながら、道路に土砂が流れ出したので土嚢を積んだり、地域の雨量に気を付けていた話などをしてくれた。おじさんは、ほぼ徹夜なので仮眠を取るために横になった。しかし、10時には出社して、色々な復旧作業をしなければならないらしい。
 おばさんが、弁当におにぎりときゅうりの漬物をくれる。何から何までお世話になりっぱなしだ。これからの旅路を楽しんでちょうだいと激励を受け、おばさんと別れを告げ、仮眠から起きたおじさんと、自転車を置いている詰め所へ向かう。天気は風が強いものの、空は明るくなり出し、雲の切れ間からきれいな青空が顔をのぞかせていた。
 詰め所に着くと、社員の人たちが、これからの作業について話し合っていた。みな徹夜明けなのだろう、一様に疲れた表情をしている。おじさんと詰め所にいた人たちに見送られ、自転車を漕ぎ出した。

 道を進み始めると、台風の爪あとを感じることができる。川は減水を始めたものの、茶色く濁り物凄い勢いで流れている。川には色々な表情があるなと感じていたら、私もその洗礼を受ける事になった。

 国道115号線から県道を通り、伊達郡梁川町に着き、スーパーでパソコンをいじっていると、買い物帰りのおじさんに話しかけられ、虫パン2つを頂く。ホームページの更新も終わったので、仙台方面に進もうと、阿武隈川沿いを通る国道349号線を目指したのだが、昨日の雨の影響で、道路が冠水して通行止めになっている。しょうがなく県道へ迂回することにした。

 県道沿いを進んでいたのだが、道々にある町の消防施設は炊き出しの跡やらがあり、昨晩の台風と戦った後を色濃く残していた。県道に入ってきて程なくして、とてもよい宿泊地を見つけたのでそこへ泊まる事に。空は台風一過のごとく、鮮やかに晴れ上がっていた。
国道冠水
 この先200mくらいの所が、完全に冠水。それでも、だいぶ引いたそうです。
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7/12(金)  39日目  現在地:宮城県多賀城市 極楽湯

ようやくの仙台
 深夜、トイレのために外へ出た。すっきりと晴れていて、そら一面に星が広がっている。こういう時、自分の視力の低さが歯がゆい。目が良かったら、本当にきれいな星空が見えるんだろうな。

 偶然見つけたこの宿泊地だが、地元の人の話によると、カップルが来るような事を言っていたけど、その気配もなく、静かに眠ることができた。
 相馬市での自転車トラブルや山に入っての台風の接近で、なかなか前へ進むことができなかったが、今日ようやく仙台市に入ることができる。牛タンだけは食べたいなと思い、出発した。

 宿泊場所には恵まれたものの、険しく細い道のりが続く。本当に良く登るな〜と言う感じで、出発して1時間、上りっぱなしだ。国道の迂回路としては、選択に失敗したようだ。しかし、下りが始まると、気持ちが良いぐらいに続く。上ってきたかいがあったな、何て思っていたら、ブレーキの効きが悪く、左コーナーで斜面に突っ込みそうになり怖い思いをしてしまう。ブレーキシューがそろそろ変え時だとは思っていたが、いよいよ危なくなってきた。仙台市の自転車屋さんも日本一周チャリの旅の”きよ”さんに教えてもらっていたので、そこへ行くこにしよう。

 長い下りも終わり、阿武隈川に着くと、昨日と同様、川は暴れていた。ホームページのカキコミでABEさんに教えてもらっていた阿武隈川沿いの土手に沿ってあるサイクリングロードを通る事にする。
 まだ、台風の影響だろう風がとても強い。豪快な追い風を背に受け、快適に自転車を飛ばし、最高だな〜、軽く漕いでいるのに30kmも出ているよ。と思っていたら、視界の先にある川がUの字を描いている。追い風は段々と角度を変えて向かい風に変わって行く。最低だ〜、おもいっきり漕いでも、10kmも出ないよ。こうして1日を振り帰り、日記を付けていると、それもまた楽しかったと思えてくるから不思議だ。風の影響は受けたものの、自動車の威圧感がないので、やっぱりサイクリングロードは快適だった。ABEさん、ありがとうございました。
 途中、道を国道4号線に換え、仙台市を目指す。追い風の影響で、楽々と到着することができた。気まぐれな風も今度は味方してくれたようだ。
 早速、自転車屋さんCYCLO山口に向かう。久しぶりに人通りが多い街中の走行で、少し恥ずかしい。知らない土地であり、道が入り組んでいたので、少々道に迷ってしまうが、無事到着。店長さんは留守らしく、パートのお兄さんが丁寧に応対してくれる。ブレーキシューの交換を依頼し、時間節約のため、その間に昼飯を食べに行く。もちろん牛タン狙いだ。商店街にある定食屋さんに入り、1200円と、久しぶりに贅沢な食事を頂く。
 自転車屋さんに戻ると、作業は完了していて、出発するときに、お兄さんに「うらやましいです。自分もしたかったんですよ。でも、子供も居ますしね。」と言われる。自分の場合は、リストラが発端で、大きなチャンスに恵まれ、こんなに楽しいことができるなんて、改めて色々な偶然に感謝を覚えてしまった。

 自転車のメンテナンスも終わり、牛タンも食べ、気になるのは今日の宿泊地だが、こちらもカキコミにyasu@仙台さんから”仙台市の西公園はどうでしょうか。”と言う情報を頂いていた。が、西公園に行ってみたが、今の私にそこへテントを張る勇気はなく、もう一つあてにしていた、銭湯に行くことにした。場所は、仙台市の隣の多賀城市にあり、福島県いわき市できよさんと共に出会ったライダーさんから教えていただいた所だ。
 これはいける。風呂には入れるし、畳の敷いてある部屋もあり、なかなかいい感じだ。しかし、今日は金曜日だから人が多く、かなりにぎやかで、実際あまり眠ることができなかった。欠点としては、3:00に畳部屋が閉まってしまう事だろう。
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7/13(土)  40日目  現在地:宮城県本吉郡本吉町 JR高架下

また雨ですか?
 AM3:00。昨晩から泊まって(?)いる銭湯の畳部屋が使えなくなったので、出発することにした。辺りはまだ暗く、視力が低い私には、このくらい中を走るなんて自殺行為。夜明けまで待つことにしようと思い、ゆっくり移動していたら、チェーン店のカーショップに無防備なコンセントを発見。電気を拝借しつつ、日が昇るのを待つついでに、パソコンを立ち上げた。
 やがて、夜が明け始めたのだが、さすがに九州よりも西に位置するだけに、夜明けが早い。4:00には明るくなり出したので、出発することにした。

 国道45号線を多賀城市から松島方面へ向かう。朝も早いので、交通量が少なく快適に走れる。難なく松島に着くと、雲が少ないおかげで、松島らしい風景が見れる。内湾だからか、波が静かで穏やかなのが、景色に落ち着きを与えているように感じた。しばし、松島の風景を楽しんだ後、一路三陸方面へ向かう。
 道筋にある鳴瀬川や北上川は、台風の影響で増水している。魚たちはどうしているのだろうか?そんな事を考えながら、川沿いを走っていた。

 道の駅”津山”の食堂で昼食を取っていると、ラジオが天気が下り坂にあることを伝えている。携帯電話で天気を確認すると、明日からしばらく雨が続くような予報だ。雨が凌げる宿泊地が見つかると良いなと思い、道の駅を後にした。

 早朝から走っていたこともあり、午後の早い時間に今日定めておいた目的地に到着。スーパーで買い物を済ませ、先へ進むことにする。道々、良さそうな宿泊地を探す。テントが張れそうな場所は幾らでもあるが、雨を凌げると言う条件を満たしてくれない。地図を広げ、この先にある道の駅に期待し、宿泊地を探しながら進んだ。
 そんなに都合よくあるもんじゃないな。候補をあるものの、好適地を見つけられないまま、道の駅に着いてしまった。が、この道の駅は、宿泊地にするには論外のような賑わいを見せている。天気予報どおり雨が降るのだろうか、空には雲が広がり始めた。このまま先に進んでも、保証がないので、戻ることを決断した。

 ここは、川に架かるJRの高架の下。一応、雨は凌げるし、道路からも遠く、人気もなさそうだ。列車はうるさいだろうが、単線で本数が少なそうなので、問題ないだろう。
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7/14()  41日目  現在地:岩手県陸前高田市 漁港の空地

電気を拝借
 ”パア〜ン、…ゴトンゴトン、ゴトンゴトン。”川沿いのJRの高架下の宿泊地だが、やっぱり列車の音は凄まじい。寝る前に1本が頭上を通過したのだが、地面まで振動している。まあ、車の音より良いかと思い、就寝した。…朝を迎える。列車に起こされなかったので、あれから来なかったのかな〜と疑ってしまった。時刻は4:30。やけに外が騒がしく、河原に数台の車が停車し、運転手同士が話をしている。何事かと思いつつ、テントを撤収し、出発した。
 川の土手を通っていると、やけに釣り人の姿が多い。聞いてみると、今日はこの川での鮎の解禁らしい。寝床の近くにいた人も釣り人だろう。

 5km程先のコンビニで朝食を取りつつ、公衆電話用にあるコンセントから電源を頂き、パソコンを立ち上げた。が、その直後に雨が降りだした。すぐに天気予報を確認すると、今日・曇り時々雨、明日・雨、明後日・雨。ガックリと肩を落とし、コンビニのわずかな軒下で様子を見ていると、店員さんがやって来る。
 「あの、どれくらいかかります。窓に水をかけたいんですよ。」
確かに、窓は飛来してきた虫の死骸でいっぱいだ。電気を頂いている気まずさもあり、素早く撤収し、200m程先にあるコインランドリーに場所をかえた。雨足は強くなって行く。
 雨宿りをしつつ、ここでも外にあるコンセントから延長コードで軒下まで電気を引き込み、パソコンを立ち上げた。
 朝も早いと言うのに、洗濯物を持った人が、次々とやって来る。その中の1人のおばちゃんが、なんか一生懸命勉強しているみたいだからと、コーヒーをくれる。いや、パソコンいじっているだけなんだけど、と思いつつ差し出されたコーヒーを頂いた。雨はまだ止まない。
 それにしてもこのコインランドリー、お客さんが多い。まだまだ人がやって来る。そうすると今度は、おじさんが話しかけてきた。
 「この間も歩き旅の人見たよ。すんげー荷物しょってたな。1日で意外と進まないんだろ。」
と、野宿旅の問題点を理解してくれているようだ。
 「そうですね。飯作ったり、寝床探したりで、思ったより進みませんね。」
と言うと、おじさんもコーヒーをくれる。雨は小降りになり、やがて止んでいた。しかし、作業中でパソコンの電源を落とせない。
 相変わらず、コインランドリーは大盛況。また、1人のおばちゃんが話しかけてきた。
 「ここ掃除したいんですけど。」
”やばっ”管理の人だ。おもいっきり電気を拝借して(盗んで)いるのがバレバレで、非常に気まずい。
 「すいません。」
逃げるように、その場を離れた。

 三陸だなと言うような、アップ・ダウンが連続する道を進む。空模様は曇りだが、山の方を見ると、今にも降り出しそうな雲が待機している。携帯電話で天気予報を見ると、今日・曇り時々雨、明日・曇り、明後日・雨。…やめだ、やめだ。日替わりの週間天気予報に一喜一憂するのが、バカらしくなって来た。 とは言いつつも、明日の曇りを信じて、港の空地にテント泊。雨が降ったら、降ったときだ。
峠が連続するが、こんな景色も拝めます。自転車を降りて、一休みしました。
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7/15(月)  42日目  現在地:岩手県大船渡市 道の駅さんりく

車旅のおじさん
 車のアイドリング音や花火(爆竹)、極めつけはエアガン。日曜の夜だから静かだろうと思っていたが、とんでもなかった。結局、眠れたのは2〜3時間。なかなか静かにならないので、さすがに嫌気がさし、3時に起床しコンビニへ移動した。完全に寝不足だ。
 朝食を取りながら空を見ていると、雨が降りだした。昨日の予報では曇りのはずだが、梅雨の天気予報は日替わりで、最近悩まされる続けていたので、結構どうでもよくなっている。本降りには遠そうなので、出発することにした。

 道が険しく、昨日までさほどでもないと感じていたのだが、そろそろ三陸が本気を出してきたようだ。カッパを着ているので、さすがに暑く、サウナ状態だ。”風呂入りて〜”これしか頭に浮かんでこない。
 峠を上りきろうとしたとき、雨が少し強くなって来る。それにしも三陸の天気は読みづらい。高い山に囲まれているので、見えない雨雲がいきなりやって来る感じだ。ちょうど峠の展望台にトイレと東屋を発見したので、様子を見ることにした。
 雨足が強くなって行き、止む気配がない。丁度いい、寝不足だから一眠りするかと、ベンチで横になった。
 しばらくして起き、雨の様子を見ていると、降ったり止んだりで、判断しづらい。しょうがない、もう一眠りした。
 …もうお昼だよ。雨は止んでいるが、また降りそうだ。とりあえず、今日の目的地をここから30km程先にある道の駅”さんりく”に定め、再出発した。

 これだよ、これ。こんな峠を待っていたよ。国道45号線の大船渡市の大峠を登る。険しさを体感し、カッパの中は最悪の状態。しかし、逆に風の気持ち良さを数倍感じ取ることができる。達成感と涼しさを、しばし味わう。トンネルを抜けると道の駅までは下りのみ。上りに1時間、下りに5分と言う感じで到着。
 当てにできない天気予報を確認する。”よし雨だな”と確認したところで、今日の移動をここまでにして、のんびりしていると、おじさんが話しかけてきた。おじさんは定年退職し、念願の夢だった日本一周を車でやっているらしい。かつてはアフリカのコンゴで鉱山開発をしていて、何もない所に小屋を建て、電気を発電し、泉からポンプで水を引いたり、勤労でない現地の人を雇っていたなどの苦労話をしてくれた。さらに、コンゴにいた時に、自転車でアフリカ横断をしている日本人が尋ねて来た事も話してくれた。彼もそうだけど、自転車旅の人はすごいね。やろうと思ってもなかなかできるもんじゃないよ。やっぱり根性がないとできないよ。と、チャリダーを褒め殺してくれる。家族が心配しているらしく、毎日電話しているそうだが、私のような若造が言うのもなんだが、おじさんからは期待と充実感で、旅をとても楽しんでいる様子が伝わってくる。今日は涼しくて良く寝れるよと言って、ウイスキーを少しと、コーヒーをくれた。

 この道の駅、広くて立派な東屋があり、少々の雨は問題ない。私もテントを張り、眠りに着いた。
大船渡市・大峠にあるトンネル
 冷たく涼しい風が、サウナ状態のカッパには気持ちが良い。
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7/16(火)  43日目  現在地:岩手県宮古市 YH末広館

台風に怯えながら
 立派な東屋と車の出入りが少なかったおかげで、良い睡眠を取る事ができた。深夜、雨が降ったようだが、朝には止んでいた。前回の台風の教訓から、台風7号の情報について、私の友人で旅をサポートしてくれているI(風神)くんから、逐一詳細な情報をもらっていた。今日の夕方前に、こちらに接近するらしいので、それを踏まえ、ここから80km先のユースホステルに宿を取ることを決め出発。空は相変わらずの曇りで、今にも降りだしそうだ。

 下りから始まる道で風を受け、朝も早いので少し寒い。海沿いの場所で、7月中旬に寒く感じるなんて、九州じゃ絶対にありえない。ホントに7月かよ、と思っていると、雨が降り出し、一気に強くなって行く。駅に隣接する自転車置き場が見えたので、そこへ非難した。わずか8kmの走行で足止めを喰らってしまう。
 辺りを見ると、トイレはあるし、駅は無人そうだから、雨が1日強く降るようだったら、ここへいれば良いな。例え今日の宿がユースホステルでも、強い雨の中を移動する気にはなれないでいた。早速トイレを見回り、電源を頂く。しかし、AirH"の圏外。きれいなトイレで雨を防げるので、そこで昨日の日記を書きながら、雨の様子をうかがっていた。
 10:00頃になると、雨が弱くなってきた。ここから宮古市までは80km近くあり、台風の接近前に辿り着けるかは微妙だ。しかし、このところ移動距離が少ないので、できれば進みたい。そんな思いから、少雨の中出発した。

 昨日から本気を出し始めた、アップ・ダウンの連続する三陸の道を進む。道には、所々砂利が流れ出ていたり、土砂崩れがあったりで、雨による被害が出ていた。しかし、川は増水したおかげで、川底がきれいに洗い流され、青々としたきれいな水が流れていて、見ているだけで涼しくなってくる。こんな時の上流の渓流は本当にきれいだ。雨の中、川に架かる橋の上に来ては、早く上流に行きたいと思わせる流れを見ていた。

 雨は少雨のまま降り続けていたが、突然日が差し出し、台風の接近を疑わせる。ユースホステルをやめて、野宿しようかなと思えてくるほどだ。しかし、釜石市に到着すると野宿の気持ちはすっ飛んだ。小学校の校庭に積まれた土砂。住宅のならぶ山の斜面が崩れたらしい。さらに野宿を否定するように、さっきまで晴れていた空に暗雲が立ち込み始めた。これはユースホステルが賢明だなと思い、そこからは少し飛ばしぎみで進む。
 国道45号線を釜石市から山田町へ、そこから峠を越えて宮古市なのだが、峠の辺りは雲が広がり、雨と風が強い。台風が来ている雰囲気が伝わってきた。が、峠を下り、宮古市に到着すると、雨は上がり、風もなく穏やかに曇っているだけだ。台風の気配も、全く感じられず、三陸の天気に翻弄されたようだ。ユースホステルに入るには時間があったので、スーパーで買い物をする。売れ残りで半額になった240円の弁当を買い、それを公園で食べた後、ユースホステルへ向かった。

 久しぶりのお風呂を楽しみ、畳の部屋で横になり、明日は何処へ向かおうと考えていたら、すぐに眠っていた。
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7/17(水)  44日目  現在地:岩手県宮古市 宮古市堀内地区センター公園

本州最東端
 朝起きると、窓の外が暗い。雨でも降っているのだろうかと思い、窓を開けると、目の前は壁だった。隣の建物まで30cm位だろうか。その隙間から空を見上げると、久しぶりに晴れているようだ。そうなると今日のルートに悩む。ここから少し戻ることになり、同じ道を行って帰って来る事になるが、日本一周チャリの旅のきよさんから進められていた本州最東端の地、重茂半島にあるとどヶ崎に行こうかと思い始めた。理由としては単純だが、結構険しいが、楽しい道のりだよ、と言うことを直接聞いていたからだ。せっかく晴れているし、行ってみよう。

 自転車を漕ぎ出すと、チェーンがギシギシと音を立てている。昨日の雨の中の走行で、オイルが取れてしまったようだ。広い歩道の片隅に自転車を寄せ、チェーンの汚れを落とし、オイルを着ける。自転車の色々部分が、跳ね上げられた泥で汚れている。やっぱり雨の中の走行は嫌だな。
 国道45号線から県道41号線に入り、とどヶ崎を目指す。しばらくは海沿いに進んだが、道が突然直角に山の方へ向かっている。ここからが本番のようだ。気合を入れようかと思った時、公園が目に入った。これはちょうどいいと、とりあえず洗濯をする。洗濯物を自転車の後にくくり付け、いざ坂道へと漕ぎ出した。

 きつい。聞いてはいたが、いきなりの長く険しい道は、さすがにきつい。しかし、スピードが5km以上出ていたので、まだまだだなと少し余裕を持っていた。雨で復活したとてもきれいな沢の水が流れる音を聞きながら、町の喧騒とは程遠い美しい木々を眺めながら、40分程登ると、今度は一気に下り始める。ブレーキを使わないと、とても曲がれるコーナーじゃない。これは、仙台でブレーキシュウ換えていなかったら死んでたなと一人思い、爽快に飛ばす。ものの5分の下りの後は、再びのぼりざか。これを登りきると、今度は重茂漁港のあるところまで一気に下るが、これが物凄い下り坂で、帰りはこれを登らないといけないのかと考えると憂鬱になってくる。そんなこんなで、アップ・ダウンを制し、県道からとどヶ崎に向かうための林道の入口がある姉吉漁港に到着。深い谷あいの中にあって、左右を岸壁が覆い、小さくきれいな浜辺があるこの漁港は本当に美しく、これだけでも来て良かったと思わせてくれる。
 漁港に自転車を止め、片道4kmの林道を歩いて進み、とどヶ先を目指す。そう言えば、こんなに歩くなんて久しぶりだ。林道だけに上り下りが険しく、背中には貴重品であるパソコン、その他の荷物、約5kgを背負っているので、疲れがひざに来る。歩き旅の人は、下りでもきついのかと感じ、たいへんだな〜と思う。何事も経験しないと分からないな。所々木々の隙間から、切り立った岸壁に打ち寄せる波を見ながら黙々と歩き、本州最東端、とどヶ先に到着。高くそびえる灯台があり、霞んだ水平線が見える。本州最東端の碑がある所で、しばし休み、険しい自転車での道のりと、程々の歩きで汗ばんだ体に、心地よい海からの風を感じていた。
 自転車での帰り道の途中、軽トラのおじさんが、乗せて行こうかと申し出てくれたが、今日の宿泊地を洗濯をした公園に決め、急ぐ必要もなかったので、せっかくなんで自分の足で行くことを伝え、丁重に断った。

 公園に着くと、猛烈にお腹が空いている。さすがにエネルギーを消費しているようだ。いつもより多めの飯を炊き、それを定番になりつつあるカレーで頂いた。静かな公園で、差し詰め野宿の穴場だなと思い、テントの中に入った。
姉吉漁港からとどヶ崎までの林道
 波の音、木々が風でなびく音。きれいで気持ちが良いが、アップダウンが、結構ひざに来た。
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7/18(木)  45日目  現在地:岩手県下閉伊郡田野畑村 国道沿いの空地

しんどい
 とても静かな公園で、電気もあるし、AirH"も圏内と、野宿には最適だった。テントから出ると、よく晴れていて雲ひとつない。今日は暑くなりそうだ。早速天気予報を確認すると、今日・曇り、明日・曇り・明後日・雨。宮古市から川沿いに山へ向かい盛岡を目指すか、海沿いに行くか迷っていたが、山に入って天気が崩れると面倒なので、このまま国道45号線を北上することを決めた。まだまだ、三陸の険しさを味わえそうだ。

 宮古市を抜けると、待ってたよとばかりに、いきなりきつい上り坂が出現する。昨日、歩きを含めて、結構険しい道のりをがんばりすぎたせいか、かなりきつく感じる。峠を越えると、豪快な下りで田老町に到着する。街中を通っていると、1人の若者チャリダーがおじいさんと会話をしている。軽く手で挨拶を交わす。
 田老町を抜けると、お約束の急坂があり、これもまたきつく感じる。が、自転車の速度が5kmを越えているので、まだまだと、汗だくになりながら登って行き、道の駅たろうで休憩をとる。トイレに行った後、物産館で食べ物を物色していたら、さっきの若者チャリダーがいる。早い、もう追いつかれたのか。彼はA君で、会社を辞め、10日前に神奈川県を出発し、日本一周を始めたとの事。21歳でまだまだ元気そうだ。私がゆっくり休んでいる間に、爽快に自転車を漕ぎ始め、あっという間に行ってしまった。私のほうはと言うと、その後アイスクリームを食べるなど、ゆっくり休み、再び自転車を漕ぎ出したが、足が悲鳴をあげていた。さすがに、30歳と言う年と、運動不足だったことを感じてしまった。

 それにしても、道が険しい。今までの三陸路は序章に過ぎなかったようだ。かなり疲れを感じていたら、これまたきつい坂が現れる。自転車のスピードメーターは4km以下になり、たまに遅すぎるのか、測定不能の0kmを表示している。フラフラしながら登りきると、今度は追い討ちをかけるように、細かく急なアップ・ダウンが連続し、思うように進む事ができないし、気力は失せて行く。道の駅たのはたにようやく到着し、売られていた饅頭で腹を満たす。この道の駅が涼しく、景色もよく、野宿もできそうで、しかも、この先大きな峠が待っている。このまま居ようかと思ったが、がんばって先へ進むことにした。

 ゆっくり、じっくり登って行く。車の通りが少ないおかげで、道の横を流れる沢の音が聞こえる。やっぱり水の流れる音は良いね〜、と思いながら進んでいると、豪快に水が落ち込む音が聞こえ、釣氏として、条件的に反射してしまう。音のほうを見ると、砂防ダムがあり、その下がプールになっていて、そこへ沢の流れが落ち込んでいた。その場所までは道があるので、行ってみる事に。
 小さな沢だが、釣り心が引かれる大きなプールがある。何も居ないよね、と思いつつも、目はそのプールに釘付けだ。しばらく見ていると、獲物に飛びつくような動きをした魚を発見。砂防ダムの周りを見渡すと、テントが張れそうな場所があり、三陸路で、足は疲れきっている。さすがに砂防ダムの近くにテントを張るのは危険なので気が引けたが、空は晴れていて雨の心配はなさそうだ。今日はここで野宿することを決め、早速、竿を持って、プールへ行った。
 何回かキャストすると、ルアーを追ってくる魚がいる。外道には見えないが、何だろうと思いつつ、その後のキャストで、小さな当たりがあった。引きは小さいが、元気が良い。小さいのでそのまま引き抜くと、15cm位のかわいいイワナがついている。これがイワナか〜。初めて釣ったイワナなので正直うれしい。その姿をじっくりと観察させてもらい、リリース。こんな小さな沢に居るなんて驚いた。しかし、よくルアーに反応してくれたものだ。
初めてのイワナ
 私が在住している九州では、岩魚の住む河川は数本しかなく、釣ったことがなかったので、小さくてもうれしい出会い。ありがとうイワナさん。
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7/19(金)  46日目  現在地:岩手県九戸郡種市町 種市海浜公園キャンプ場

張り詰めた想い
 今日も三陸路を行かねばと、気合を入れて起きるが、足首が痛い、少々疲れが残っているようだ。静か過ぎる宿泊地と、イワナの住む沢に別れを告げ、再び峠を登り始めた。

 昨日の予報では、天気が崩れると言っていたが、そのようで、空には雲が広がっている。気合を入れて挑んだ峠だが、昨日の段階で、かなり進んでいたようだ。15分もすれば、あっさりと峠の頂上、国道45号線で標高が一番高い場所へ到着。
 下りが始まると、気持ちが良いのだが、風を受け寒くなってきた。地図では、ここから長い下りなので、寒さを凌ごうとカッパを着込んだ。”よし、下りを楽しむぞ。”と進みだしたら、雨が降り出した。激しくなる前にと、バックにレインカバーを取り付け、自転車に干していた洗濯物を取り込む。”なんだよ。これからだろ〜。”と思いつつ、下っていると、雨が激しくなって行く。とりあえず様子を見ようと、雨宿りができそうな運動公園を見つけ、様子を見ていると、本降りになってきた。もうお手上げだと思い、雨足が弱まるのを気長に待つことにした。
 2時間程たつと、走行できそうな位に雨足が弱くなってきたので出発する。長い長い下りだが、雨なので無理もできず残念だ。さらに自転車を漕がなくて良いので寒くなって来る。が、下りきり上りが始まると、暑くなって来た。雨も止みかけていたので、気合を入れるためにもカッパを脱ぐが、5分と経たないうちに、再び雨が降り出す。”わざとやってるの?”と言いたくなるような展開に少々イラついたが、しょうがないので再びカッパを着る。
 三陸路は幾分緩やかになったものの、アップ・ダウンの連続はまだまだ続く。雨の中、カッパを着て、自転車を漕ぐから暑いが、三陸に入ってからずいぶん涼しいと感じていた。晴れていないせいもあるだろうが、自転車を漕ぐのを止めると寒いぐらいだ。三陸はいつもこんなに寒いのだろうか?

 そんな三陸路の中、ふと、この旅に出てからは、目的地、天気、宿泊地、そしてホームページの事ばかり考えて、気の向くまま、気の向く様に、自転車に乗っていた時に感じていた風を感じていない事に気付いた。なぜ自転車に乗る事が気持ちが良いのか、なぜ自転車に乗る事が好きなのか。学生時代や、思い悩んだときに、ひたすら自転車を漕いだ後に感じていた風や、それが導いてくれる想いを感じられないのか。なぜ自転車で旅に出ているのか。そんな自問を繰り返していると、無性に腹が立ってきた。と同時に、過去の色々な引きずる思いが頭を支配してきた。”くそっ、むかつく。”やり場のない怒りからか、がむしゃらに自転車を漕いだ。漕ぎまっくった。

 突き抜けるような想いや、爽快な感覚なんて、そう簡単に感じる事はできない。何かに追われ、何かに焦る自分の姿だったのだろうか。しかし、自分の日記に記すことで、張り詰めていた何かが穏やかになって行くような気がした。

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7/20(土)  47日目  現在地:青森県上北郡七戸町 七戸町運動公園

雨に翻弄されて
 昨年1年間はリストラを含め、私にとっては激動の年であった。その結果、こうして漠然と夢に抱いていた自転車での旅をすることができている。自分を見つめる旅、と言うほどのものではないが、見知らぬ地を走り、そこに吹く風を受けながら、これまでを振り返り感じること、そして、これからを考えていく上で感じることを、この旅日記に追い求めるものではなく、感じることとして綴って行きたい。昨日感じたなんとも言えない想いが、寝袋に入った私に、そんな事を考えさせていた。

 キャンプ場に宿泊したおかげで、よく眠ることができた。朝起きると雨が降っていたので、二度寝に入る。8:00頃には、雨も落ち着き始めたので外へ出ると、やはり寒さを感じてしまう。昨日買っておいたパンを食べながら、天気予報を確認すると、曇り時々雨の予報。雨時々少しだけ曇りだろと思いながら、荷物をパッキングし出発。
 小降りな内に15km程先の道の駅を目指し、雨の様子をうかがおうと思っていると、雨が強くなりだした。道の駅はまだ先だよ、もう少し辛抱してくれと言う願いも届かず、雨はさらに強くなりだした。
 三陸を抜けたとは言え、道はアップ・ダウンが激しく、それが続き、早くも汗だくだ。道の駅までもう少しと言うときに、雨が止み始め、到着すると止んでしまった。
 トイレに行くなど、しばらく休んだ後、国道45号線を青森県八戸市目指し出発。走り始めてしばらくすると、雨が降り出した。”良いよ良いよそれで。”もう開き直っていた。
 八戸市が近くなると、雨は止んでくれたが、まだまだ微妙な空模様だ。市内に入ると、久しぶりに吉野家を発見。少し早かったが昼飯に、牛丼並盛・紅ショウガ特盛を頂く。
 八戸市を抜け、仙台から走ってきた三陸の道国道45号線の最終地点、十和田市を目指すが、雨が降ってきた。雨雲の様子からすると激しくなりそうなので、コンビニの軒下に非難した。激しくなる雨に途方にくれそうになるが、しょうがないと思い、壁にもたれ座り込み、昼寝をする。雨は止みそうで止まない。時間も押してきて、今日の宿泊地が気になりだした。地図を広げ、この先にある道の駅まで行こうか行くまいか悩んでいたが、このままコンビニの軒下と言うわけにも行かず、出発。幸い雨は小降りになってきた。
 道の駅”しちのへ”に到着すると、豪快に曇っているものの、雨は止んでくれた。この道の駅、たいそうな賑わいを見せている。土曜日だからなと思いつつ、宿泊できそうなところを探すが厳しそうだ。先を進みながら探そうかと思っていると、観光案内の地図に、近くの運動公園が記載されているので、とりあえず行ってみる事にした。閑散とする広い牧場を走っている道を進むと運動公園に到着。雨だったせいだろうか、土曜日だと言うのに誰も居ない。中に入って見ると、きれいな芝生の生えそろった球場がある。東屋や水道があり、申し分ない。

 雨に翻弄された1日になったが、静かで良い野宿地を見つけることができた。さすがに、1日中カッパを着ていたので、汗まみれで気持ちが悪い。誰も居ないことをいい事に、上半身裸になり水道で体を洗う。涼しいので快適に眠ることができるだろう。
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7/21()  48日目  現在地:青森県下北郡大畑町 中央公園

蚊の猛攻
 青く澄んだ空が広がっている。つかの間の青空だろうか。天気予報は晴れ後雨。やっぱり雨が降るのか。しかし、そんな気配を感じさせないほどに、今の空は、気持ちが良いくらいにきれいだ。
 運動公園の球場にあったコンセントから電気を拝借し、日記を付ける。多少罪悪感と引け目を感じてしまったのか、隣にあった自販機でコーヒーを買う。
 日記を付け終わると、すぐに出発したが、時刻は8:00を回っている。現時点で晴れているので、距離を稼ぎたいが、自分の足は遅いほうなので、無理はできない。相変わらずアップ・ダウンが続き、根気のいる道が続く。

 国道4号線を走り、野辺地町に到着すると、海が見える。三陸から見えていた太平洋とは違い、内湾だからだろうか、とても静かで、穏やかに見える。海水浴場があるみたいだが、夏休みに入った日曜日だからだろうか、たくさんの人がいる。気温は25℃くらいなので、寒くはないだろうかと思ってしまったのは、私が九州の人間だからだろうか。
 気持ちのいい海沿いの道を北へ進むが、地図の上では一直線に見えたのだが、平らなところがなくうねっていて、おまけに向かい風を受け、結構足に来る。自転車のトレーニングにはこういう道が良いのかなと勝手なことを考えながら、ひたすら自転車を漕ぐ。
 長い下りがあるわけでもなく、休む暇もなく漕ぎ続けたので休みたくなるが、休憩地と考えていた道の駅までは、がんばろうと思い、進んでいると、2人のりのバイクの人が、がんばれよという合図だろうか手を上げて挨拶をしてくれる。この海沿いの国道279号線に入ってから、やたら他県ナンバーのバイクや車が目に付く。みんな北海道を目指しているのかなと、また、1人勝手なことを考えながら進む。
 ようやく道の駅”よこはま”に到着。日曜日なので、人が多く、お店も活気がある。やたらとホタテと菜の花に関する商品が目に付く。が、ホタテなどの貝類を私は苦手としているので、興味がわかない。でも、炭火で網焼きされているホタテは確かにおいしそうに見えた。いつものように店内を物色し、から揚げが2コ入った焼きそばを買う。から揚げはおいしいが、焼きそばは具が少なく残念だが250円だからなと割り切って食べる。
 うねった道は続き、むつ市に到着。南の方角を見ると、なんか雲行きが怪しい。急いで宿泊地を探したいが、見つけることができずに、そのまま国道を走り、大畑町に着いてしまった。地図を見るが、宿泊地となるような公園は載っていない。20万分の1の地図だからなと思い、日本一周チャリの旅のきよさんから教えてもらった、コンビニで地図を見て公園を探す方法を実践する。きよさんも四国在住のたまこさん(リンク張らしてもらっています)に教えてもらったみたいなのだが、これが功を奏し、野宿できそうな公園を発見する。

 公園に到着すると野宿はできそうだが、異常に蚊が多い。どちらかと言うと蚊に刺され難い方だが、標的が私一人だけなので、凄まじい数の蚊がやって来る。上下カッパを着込み、頭からタオルをかぶり完全武装で蚊の猛攻に耐える。が、あきらめることを知らないその執着心には、脱帽させられる。どこかに隙があるのではないかと、蚊の方も必死みたいだ。完全武装で余裕をかましていたのだが、血を吸われている痒さを足元に感じた。見ると、靴下越しに血を吸ってる。こうなると逃げ場はテントの中しかないが、視界には10匹位の蚊が飛び回り、その数は増してゆく。飯を食べ、早々にテントの中に逃げ込んだが、あの数だ。おそらくテントの中にも侵入しているはずだ。蚊との格闘を覚悟して眠りに就いた。
国道279号線
 細かくうねる道。向かい風と相まって、私の足にはきつかった。が、意外と距離は稼げた。
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7/22(月)  49日目  現在地:青森県下北郡大間町 大間崎テントサイト

カッパの湯
 案の定、蚊が耳元で音を立てている。これは安眠は程と遠いとな思い、テントの中で横になり、蚊が血を吸いに来た瞬間をしとめることにした。暗闇の中、ここだと思うところをたたく。ライトで蚊の死骸を確認する。3匹はしとめただろうか、蚊の気配がなくなったので眠りに着くことができた。しかし、子孫を残すためとは言え、命がけで血を吸いに来るのだから、蚊も大変だな。
 朝になって外へ出ると、早速、蚊の襲撃が始まった。逃げるが勝ち、即行で退散する。

 市街地に入り、電源を探す。パソコンのバッテリーの充電に、意外と時間がかかるので、バッテリーをあまり消費したくない。充電をしながらの作業がベストだ。時間があるときは、案外早く見つかるもので、小さな公園のトイレの外壁にコンセントを発見する。こういう公共の施設だと気分的に拝借しやすいなと思いつつ、携帯電話も充電する。パソコンを作業しながら充電するからか、パソコンに表示される充電時間よりも、多くの時間を必要としてしまう。特に残りの10分は、1時間くらいかかるような気がする。私のパソコン自体に問題がないとすれば、もっと正確に時間を表示して欲しいところだ。そんなこんなで、充電が終了するころには、10:00になっていた。
 今日は最終的に大間港まで行っておけばよいが、少し時間があるので、きよさんに勧められていた薬研にあるカッパの湯に入る事にする。大畑町から県道4号線で進む。道の横には九州とは違う森に包まれた薬研渓流がながれ、涼しく気持ちがいい。この川、上流に温泉があるせいか、水の色が少し黄色身を帯びている。しかし、比較的流れが太く、水量が豊富で、要所に大きな淵があり、私流に言わせれば、非常にそそられる渓流である。流れに沿って続く道を登って行くと、薬研温泉と国設野営場がある場所に到着。意外と近いので、昨晩はこの野営場に泊まっておけば良かったと後悔した。
 カッパの湯に到着すると数人の先客がいて、1人は常連さんのようで、毎日来ていると言っている。このカッパの湯、ロケーションは最高で、木々に包まれ、すぐ隣には川が流れている。川面を伝って吹く風が、お湯に浸かって火照った体にちょうど良く、最高に気持ちが良い。川にはヤマメの姿もちらほらしていて、究極に近い贅沢な時間を味わう。
 先客の人たちが帰り、常連さんも先に帰っていき、一人になり、この贅沢を独り占めしようかと思った時、常連さんが慌てて何か私に叫んでいる。タオル一枚で常連さんの所まで行くと、私の自転車の荷物がカラスに物色されている。とりあえず、服を着て、物色の被害を確認すると、自転車のバックの上についているポケットのチャックが開けられ、お菓子を頂かれていた。これを開けて見事お菓子をゲットするとは、やるなカラスと思いたかったが、正直頭にきた。しかも、遠巻きに私の方を見ていて、明らかに様子を伺っている。やっぱりカラスは、頭が良いね。
カッパの湯
 これが無料の温泉なんだから、言う事なし。最高でした。もう一度行っても良いかな。
 カラスの襲撃にあったものの、体がすっきりし、涼しいので、ゆっくり自転車を漕いでいると汗をかかず快適だ。再び大畑町の市街地に戻ってきて、スーパーで買い物をし、ついでにコインランドリーの場所を聞いてみたが、ないと言われ、朝お世話になった公園の水道で洗濯をし、自転車にくくり付け、大間目指し出発。
 海沿いに出ると、そこは津軽海峡だ。遠く海の向こうの北海道が、霞のせいで、見えそうで見えない。しかし、とても美しく、穏やかに波打つ海面は心を落ち着かせてくれ、いつまでも眺めていたい様な気分にさせる。そんな景色が走りにも力をくれるのか、快適に飛ばし、大間に到着。北海道は明日のフェリーに乗り行く予定なので、本州最北端の大間崎を目指す。少し寂しい感じのする漁港や家々の中を走り、大間崎に到着すると人の多さと賑わいぶり、さらに風の強さに驚かされる。本州最東端のとどヶ崎とは対照的だ。最北端の碑を見ていると、観光案内のおねいさんが写真を撮ってくれると言ってくれた。色々話を聞いていると、この賑わいは連続ドラマ(私の空だったかな)が端を発しているらしい。TVの効果はすごいね。

 問題の宿泊地だが、本州最北端の地に無料のキャンプサイトがあるので問題ない。立派過ぎる炊事塔があり、風が強い事を除けば問題はない。これだけ風が吹けば、蚊も近寄れまい。明日はいよいよ北海道入りだ。
本州最北端・大間崎
 澄み切った青空。最北端の碑に居るウミネコが良いね。
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7/23(火)  50日目  現在地:北海道函館市 もーさん宅

北海道入り
 曇天だよ。せっかくの北海道入りも、天気には恵まれないようだ。雨が降ってないだけましだなと思いつつ、テントを撤収し、大間港へ向かう。フェリーの乗船手続きをしていると、出航が遅れるかもしれないと言っている。何でも昆布漁が行われていて、フェリーの航路に漁船が出ているらしい。海を見てみると、確かにたくさんの船が出ていている。が、フェリーは定時に出航。いよいよ北海道だ。
 乗船時間1:40で函館に到着。フェリーを降りて、北海道入りの記念写真を撮っていると、屈強な足をしたおじさんが現れる。WEBチャリダーの応援団、もーさんである。出発してから何度かメールを頂いており、日本一周ちゃりの旅のきよさん、@俺旅の旅野さんもお世話になった方だ。私の荷物を車に乗せ、慣れた手つきで自転車を車の後ろにつけているキャリアに乗せる。函館での予定を聞かれ、函館山に言ってみたいと言うと、そのまま、私を同乗し車で向かってくれた。
 函館山には行ってみたいと思っていたが、もーさんが連れて行ってくれたのは正直助かった。なんでも、函館山の頂上へ行くためのロープウェイは片道1000円以上もするらしく、それを聞いていたら、私は断念していただろう。平日の朝という事もあって、人気はまばらだ。展望台で眺める函館の町は、当たり前だが、よく見る写真の姿そのもので、北海道初日の私に感激をもたらしてくれる。もーさんとの出会いと、もーさんの好意に感謝しながら2人で記念写真を撮る。
 今日は内に泊まるといいと言う計らいで、次にどこに行きたいのか聞かれたので、川を見たいと言うと、もーさんの30年前の記憶を元に、当時ヤマメを釣ったと言う川へ向かう。

もーさんと
 函館山にてもーさんと記念撮影。曇っていたが、きれいに函館を一望でき感激。

 函館市から海沿いを東へ進み、その川の河口に到着。上流に家がないからだろうか、下流の流れであっても、水量豊かでとてもきれいだ。川沿いに上流を目指すが、さすがに車だと早い。川への入口が、草で覆われていたため分かりにくく、行ったり来たりをしたが、もーさんの思い出の場所へ到着する。変わってないな〜と言うもーさん。30年前と川の状況が変わっていないのは、本当にうらやましい事であり、良い事だ。
 好きにしていいよと言うお言葉に甘えて、早速、釣りの準備に取り掛かる。もーさんは、ここでバーベキューをしようと言い、買出しに出かけ、私は期待を持って、豊かな森に包まれた、美しい流れへ入っていった。
 本当にきれいな川で、30年この流れが保たれている事が不思議なくらいだ。しばし、川の流れと鳥がさえずる音を聞き、魚が居そうなポイントへルアーをキャストした。数回のキャストで早くも反応があった。水の中でルアーにバイトしてくる魚が反転した、ギラっとした姿が見えた。これは期待できる。再度同じポイントへルアーをキャストする。今度は慎重にルアーをトレースしていると、”クンッ”と言う鋭い当たりに続いて、グイグイとした引きが伝わってきた。ヤマメである事が分かる引きで、しかも元気があふれているのか強烈だ。そのひき味に興奮しつつ、引き寄せ、幸先良く1匹を釣り上げた。その後、ヤマメ3匹、イワナ2匹が釣れる。どのヤマメもサイズプラス3cmくらいの引きがあり、完璧な魚体をしていた。
 もーさんが帰ってきてバーベキューの準備をしていた。私も釣れたヤマメをさばき、ホイル焼きにする準備をした。
 川に森、自然あふれる場所で北海道では常識らしいジンギスカンを食べる。そして、釣れたてのヤマメのホイル焼き。最高に贅沢を感じる時間をもーさんと共に過ごし、さらにその後、温泉に入り、もーさんの家へと向かった。
天然かな?
 放流は行われていないらしく、とすると天然のヤマメかな。にしても、北海道初日にしてヤマメと出会えたのは良かった。
 もーさん宅に着いても、もてなしを受け、本当にうれしい。野宿の生活では味わえない奥さんの手料理をたくさん頂き、感激に浸る。さらに、食後に娘さんの運転で、函館の裏夜景と言って、函館山の反対側の山の斜面から夜景を望む。次に海岸線に出て、イカ漁をしている漁火を見る。曇が低くたちこみ、雲が漁火に照らされ、幻想的な眺めだ。家に戻ると、これからの北海道での旅路を良いものにと言う配慮で、色々な情報を教えてくれた。

 ホームページがもたらしてくれた、もーさん一家との触れ合いともてなしに、本当に感謝します。
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7/24(水)  51日目  現在地:北海道山越郡八雲町 さらんべ公園

若き冒険家
 もーさん宅での朝を迎える。小雨が降り、少し寒く感じる。朝食を御馳走になりながら、TVを見ていると、立て続けに起こっていた物騒な事件を報道している。少しの金目当て、食べ物を盗むどの事件で、簡単に人を傷つけていたので恐ろしい。以前では考えにくい事ばかりだ。世の中全体が不景気で切迫して余裕がないのだろうか、今後こんな犯罪が増えていくような気がした。
 所用で出かけるもーさんと一緒に出発する。もーさんの先導でしばらく後をつけて走っていたが、さすがは現役チャリダー、もーさんの足の筋肉はすごい。
 函館の繁華街の手前でもーさんと別れ、私は国道5号線を北へ向かう。路面電車の走る風景は、私が学生時代を過ごした熊本を思い出させ、10代後半の記憶が蘇る。あの頃は楽しかったなと思いつつ、今も楽しいさ、そして、これからも楽しくなるさと考えると、自然と顔がほころんでいた。

 もーさんは、1人の若者を応援している。私と同郷の福岡出身、19歳の”しゅうたく”くんで、今は日本一周をしているが、いづれ世界一周をしようという若き冒険家だ。実は、彼の動向は、もーさんのメールで教えていただいていて、同じくらいにもーさんを交え函館で会える可能性があったが、一足違いで実現できなかった。しゅうたくは今日函館を目指している。私は、彼と道中で会える事を祈って自転車を進めた。
 空はどんよりとした雲が低く立ち込み、寒い。路上の温度表示は17.8℃と、九州の夏では考えられない気温に、ホットコーヒーを買ってしまう。汗が出ない代わりに、トイレの回数が増え、道中にあるコンビニやトイレを見かけては、トイレに行っていた。

 峠を下りきると、内浦湾が見えてくる。夏だと言うのに、海から湿った冷たい空気が流れて来て、寒く感じる。自転車を漕いでいる分には、ちょうど良い温度なので、とにかく漕ぎ進めていると、前方にチャリダーが見えた。”しゅうたくだ”自転車に積んでいる荷物の量で、一目で分かる。彼も私の事を、もーさんから聞いていたらしく、意識していてくれたようだ。自転車を止め、挨拶を交わす。屈託のない表情で笑う姿が、私の目にはすがすがしく映る。お互い、もーさんを通じて聞いていただけだが、私には、初対面とは思えない感覚が生まれていた。”お互いにがんばろう。”その言葉でしゅうたくと別れ、先へ進んだ。
 19歳、全てが新鮮で、楽しい時間を過ごしているしゅうたくの目は、少々世間を知ってしまった私の目にはまぶし過ぎるくらいに輝いていた。”私の目は輝いているだろうか?いや、輝かせたい。一歩一歩進みながら輝いていたい。”若いあの頃は良かったと思うより、今を、これからを輝かせたい。そんな元気が出てくる出会いであった。

しゅうたくと
 すれ違いざまにアイコンタクト。出会えて本当に良かった。ありがとうしゅうたく。

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7/25(木)  52日目  現在地:北海道虻田郡豊浦町 東雲山村広場

福岡人
 静かな公園の朝、快眠だ。しかし、少し寒く、寝袋の温かさが気持ちが良い。もう少し居たいが、そうもいかないので、外へ出ると、海からの風が冷たく霞がかり、霧雨のような感じだ。
 コーヒーを入れ、朝食を取りながら今日の行く先を決める。当面の目標の場所は支笏湖だが、今日はそこまで行けそうにないので、この場所から70kmほどの豊浦に定める。距離が短いので、急いで出発する事もなく、場所を電気が拝借できるところまで移動し、日記を付けることにした。
 AirH"の圏内であったので、色々としていると時間は9:30になっていた。のんびりしすぎたようだ。慌てて出発。

 直線で平坦な道が続く。路肩も広く走りやすいので、快適に飛ばしたいところだが、少々の向かい風でペースが上がらない。おまけに、道が広く、信号が少ないのを良いことに、横を通る車は高速道路なみに豪快に飛ばし、その風圧が人工の追い風や、向かい風となってペースを乱し、以外に疲れる。そうなるとお腹も空いて来て、さらにペースが乱れていった。そんなに走ってもいないのに、かなりの疲れを感じる。小さな商店を見つけたので、休憩をとる。たくさん食べたいところだが、節約のためパンを一つ食べ、ベンチで一休み。道と風は相変わらずの状況だ。
 定まらないペースのまま40km位走り、久しぶりの峠を迎える。さすがに一直線の平坦な道には、飽きてきたところなので、ちょうど良い。そんなに急な上りでもないので、景色を楽しみながら登って行く。それにしても、車は飛ばしすぎで、明らかに免停を受ける速度を出している。これが北海道なのか。
 風と車に翻弄され、豊浦町に到着。コンビニで休んでいると、ライダーさんが、
  「どこからですか?」
と話しかけてきたので、
  「福岡です。」
と答えると、
  「えっ、俺も福岡なんですよ。まさかこんな所で同郷に人に会えるなんて。」
と言い、私も彼もえらく懐かしい響きの方言で会話を始めた。彼はM君で、バイクで日本一周中、2週間前に福岡を出発したとの事。北海道のお互いの印象は、一致していた。一言”寒い”だ。彼はバイクなので、手足がしびれるほど寒く感じると言っていた。やはり九州人の感覚では、北海道は異国を思わせるほど寒く感じる。お互いにがんばろうと言い、手を振り彼の出発を見送った。

 私はこの町で野宿なので、場所を探すかと思っていたが、M君と出会ったコンビニの目の前が公園だ。なんなく宿泊場所が決まり、コンビニで見かけ、思わず買ってしまった、北海道の釣り新聞に目を通していた。すると、”長万部漁港でサクラマス上がる。”の文字が飛び込んできた。内浦湾では、8月中旬まで、海でサクラマスが狙えるらしい。これを見た私は、長万部って、今朝通ってきたじゃないか。と少し後悔したが、この豊浦町も内浦湾に面している。こうなると釣り心が収まらない。道中を思い出し、サクラマスが遡上しそうな川があったか探す。あったよあった、3kmくらい手前で、橋を渡った事を思い出し、そこまで行ってみた。
 川の流れと、大きな波が打ち寄せ、ぶつかっている。雰囲気的には良いのだけれども、海でサクラマスを狙うような事はしたことがない。どんなルアーで、どのように釣ればいいのかなんて分からない。まして、この場所にサクラマスが居るかも分からない。しかし、河口を見ていると、納まりがつかなくなって来た。”釣らなければ釣れない。”とりあえず、竿を振ることにした。道具を持って水際に立つと、ライズが確認できた。一応期待しつつ、ルアーをキャストした。・・・無反応。ライズは頻繁にあるが、キャストは空を切るばかり。だいたい、ライズしている魚が何なのかも分からない。結局、日没まで釣りをしたが、たくさんのライズを見ただけになってしまった。この時期、この場所で、河口でライズする魚とは、一体何なのだろう。そんな疑問だけが残る釣りになってしまった。
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7/26(金)  53日目  現在地:北海道有珠郡大滝村 川の土手

スレヤマメ
 北海道に入ってから、まともに太陽を見ていないような気がする。今朝も、海沿いの宿泊地だったため、海からの湿った冷たい風が吹いていた。この公園、静かで良いのだが、園内にパークゴルフ(グランドゴルフ)場があるので、のんびりはしていられない。早々に撤収し出発した。

 洞爺湖を経て支笏湖へ行く予定だが、メインの国道は、数年前のうす有珠山の噴火の影響で、通行止め、と言うより、道自体がなくなっているらしい。しかし、函館のもーさんから県道を通れば行ける事を聞いていたので、その道を進む。
 いきなりのきつい坂が現れる。10〜12%級の坂の連続で、かなり参ってきたが、進むしかない。1度休憩を挟んで、頂上に辿り着くと、霧が出ていて寒い。下りに入る前に長袖を着て、下りを全開で行きたいところだが、メガネが霧を拾って水滴となり、前が見にくく、危なくてしょうがない。ゆっくり行こう。
 洞爺湖に着いたが、霧に包まれていて何も見えず、少しがっかりする。湖沿いの公衆トイレで電気を拝借し、ホームページをアップしていると、段々と霧が晴れてきて、今日が快晴である事が分かってきた。同時に、湖の中央にある中島が見えてきて、いかにも洞爺湖らしい風景を拝む。風は涼しく気持ちがいい、ここで宿泊したい気分になってきたが、ここから支笏湖までは、長い上りが控えているので、先を急ぐ。
 噴火口から煙が立ち上る有珠山を見ながら、洞爺湖沿いの道を進む。湖の方を見ていると、大きなブラウントラウトが、ジャンプした。しびれるねーと思いつつ、釣りをしたい気持ちが加速していった。

 支笏湖を目指す道に入ると、案の定、上りが始まった。横目に長流川があるので、それを眺めながら上っていたのだが、この川が私流で言う、非常にそそる川なのだ。上流に行くに従い、いかにもヤマメが居そうな雰囲気で、私を誘惑する。こうなると運転そっちのけで、川ばかり見ていた。大滝村に入ると、川のすぐ横に道があり、きれいな流れが目の前に見える。自転車を止め、その流れを見ていると、ヤマメが気持ち良さそうに泳いでいるのが見えた。しばらく進むと、発電の取水のための提があり、その下がプールになっていて、いかにも大物が居そうなポイントがある。もう限界だ。入渓できそうな場所を探し、竿を手に即行で川へ下りていった。
 キャストされたルアーにビシビシ反応する。数匹のヤマメがルアーをチェイスしてくるのが見える。しかし、バイトしてくれない。こうなると、悔しくて、意地でも釣ってやりたくなる。そういう状況を繰り返しながら、提のプールに到着。やはり、チェイスはあるが、バイトがない。なかなかやるなと思いつつ、根がかり覚悟で、ルアーを一旦底まで沈め、リーリングを始めたとき、鋭い当たりが伝わってきた。ようやくバイトまで持ち込み、ヤマメを釣り上げる事ができた。”よっしゃー”と思わず心の中で叫ぶ。その後、同じパターンでもう1匹を釣る。

 自転車に戻り、進んでいると、川が支流に別れ、その川の合流地点も、釣り氏的にえらくそそられる場所だ。予定変更、支笏湖へは明日行く事にして、この川の付近で野宿する事を決めた。夕マズメの時間に釣りをしたいが、時間があったので、夕方まで支流に入ったが、どの魚もチェイスはするがバイトはしないと言う、非常にスレた状態だ。ルアーのサイズやカラーを変えて挑むが、釣り上げられないまま、支流での釣りを終える。
 日没まで釣りをしたいので、早めの晩飯を食べ、陽が傾き始めたので、再び提での釣りをする。釣り氏特有の言い訳だが、やはりこの川のヤマメはスレているようだ。結局、絶好の夕マズメの時間に釣り上げる事はできなかった。魚が居るだけに悔しい。まだまだ、修行が足りないようだ。
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7/27(土)  54日目  現在地:北海道千歳市 美笛キャンプ場

モバイルチャリダー
 昨日、釣りをした川の土手の上にテント泊。最高だ。朝マズメのヤマメを狙おうと、身支度をしていると、1人の釣り人が、同じく釣り支度をしている。その川の状況を知りたければ、地元の釣り氏に聞くのが一番。話しかけてみたところ、この辺りは入渓しやすいので、相当に人が入っているだろうね、という事だ。やはり相当にスレているらしい。素直なヤマメを釣るのもいいが、スレているヤマメも釣りがいがある。手強いヤマメたちに再挑戦する。
 間もなく8月だと言うのに、北海道の渓流は涼しく、気持ちが良い。きれいな渓相を眺めながら、タバコを吸い、はやる心を落ち着かせ、ルアーをキャストした。やはり朝マズメだけに、反応が良い。が、やはりバイトまで持ち込めない。水の透明度が高く、こちらの気配を悟られやすいので、静かに歩を進め、慎重にルアーをキャストする。”ツン”一瞬のバイト。反射的に竿を立て合わせを入れる。”やった”フッキングまで持ち込めた。なかなかの手ごたえに、サイズへの期待も高まる。グイグイ引くヤマメを引き寄せる。が、取り込む直前バレてしまった。サイズが良かっただけに、相当に悔しく、肩を落としたが、昨日より反応が良いので、気を取り直し、再度ルアーをキャストする。川の流れにシンクロさせるようにルアーを流しながら、小さなアクションを入れていた時、岩陰から素早い魚影がルアーに飛びついてきた。”グン”確かな手ごたえ。頭を振るヤマメ特有の引きに心も躍る。バラさずに取り込んだヤマメは24cmだが、体甲が高く、ずっしりと太った良型。ようやくキャッチしただけに、感激も大きい。じっくりと拝ませて頂いた後、リリースした。
 スレているとはいえ、このサイズのヤマメがごろごろしている。たっぷりとヤマメたちと戯れた川を後にして、出発した。 
ヤマメ
 苦労の末、釣り上げただけにうれしい。サイズ的にも、うれしい1匹になりました。
 陽ものぼり、快晴なだけに、さすがに暑くなってきたが、九州で言う6月ぐらいの気温だろうか、私的には気持ちが良い。先を急ぎたいところだが、まずは無料温泉”オサルの湯”に入る。川面に面している、と言うより、川まで数メートル。開放感がありすぎる湯船に浸かりながら、今朝のヤマメの事を思い出し、満足感を少しだけ味い、さっぱりしたところで、支笏湖を目指して出発だ。
 かなりきつい峠を覚悟していたが、そうでもなく、長流川沿いの道を、だらだらと上って行く。道の駅”フォーレスト276大滝”に到着し、これから先の、仕上げの峠の前に休憩を入れていると、一人のチャリダーがやって来た。紳士的な態度と、話し方。チャリダーと言うより、サイクリストと表現したほうが良さそうな、とてもスマートな方だ。東京在住で、福岡出身、10日間の休暇を利用して輪行で、北海道へ来ているとの事。なんとパソコンとさらにGPSを携帯し、自らのホームページ・サイバーサイクリストで、面白い取り組みをされているモバイルチャリダーだった。私より一つ年上だったが、実に若く見えた。やはり自転車旅のスタイルは、通常より若く見えてしまうのだろうか。一時の出会いだったが、記念写真を撮り、別れを告げた。

 覚悟して挑んだ峠も、拍子が抜けるほどのもので、あっさりと峠の頂上に到着。長い下りが始まったが、いきなりのトンネルがまた恐ろしい。自転車は車両だが、さすがにトンネルの中は、車道を通る気がしない。仕方なく80cm位の歩道を通っていたのだが、歩道の壁にせり出ていた標識にぶつかりそうになり、かなり冷える思いをしてしまう。さすがに、もう少し考えてくれよと思ったが、トンネルを抜けると、爽快な風が吹き、抜けるような青空、見渡す限りの山々が見え、トンネルのストレスも消えて行く。
 長い下りが緩やかになってくると、支笏湖に流れ込む川が現れる。この川が、またきれいで、そそる。その川を横目に支笏湖へ到着。

 コンビニで買った釣り新聞の情報を元に、湖の西側のキャンプ場に宿泊するつもりで行ってみたが、ただならぬ賑わいを見せている。一言”祭りだ”びっしりと車とテントが並び、辺り一面を漂うバーベキューの匂い。水辺の近くで、設備が整っていて、良い場所なのだが、これまで1人、野宿をしてきた私にはとてつもなく異様な風景に写ってしまった。さすがに、このキャンプ場での宿泊は止めようかとも思ったが、係員の親切な対応と、湖面のすぐ脇に、静かな場所があったので、ここへテントを張ることを決めた。
 風が強く、湖面は波立っている。釣りの状況は良く分からないが、数人の釣り人がいるので、私も釣りを始めた。…さっぱりだ。広い湖の中でのポイントの選定、この湖に適した釣り方、全てが白紙なので、ひたすらキャストを繰り返すしか術がない。見かける地元の釣り人に話を聞いてみるが、今年は温かくなるのが早かったから、プランクトンが異常に発生し、魚たちがそちらに目をやるので、ルアーもフライも苦労していると言う事らしい。私も地元の釣り氏もひたすらキャストを繰り返すが、さっぱり釣れないまま日没を迎えてしまった。
 やはり、湖での釣りは厳しいな。しかし、そうであればあるほど、やる気が出てしまうのは、釣り氏の悲しい性だろうか。明日の早朝に期待して、バーベキューと花火の煙のにおいの中、テントの中で眠りについた。
道の駅での出会い
 モバイルチャリダーに出会えるなんて、どんな出会いが待ってるか分かりませんね。
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7/28() 55日目  現在地:北海道千歳市 支笏湖湖面の空地

手強すぎる
 4:00に目覚める。昨日とは打って変わったように風がなく、静かに水をたたえる支笏湖。きれいに晴れ渡り、恵庭岳が良く見える。コーヒーを飲み、釣りのスタートだ。
 水面を飛ぶ虫に向かって、小さな魚が盛んにライズしている。しかし、ルアーの方には、全く当たりがなく、周りの釣り氏も苦戦しているようだ。釣り方が分からない以上、ひたすらキャストを繰り返すしかないが、全く無反応。空も明るくなりだし、朝日が顔を覗かせ始めた。少し風も出てきて、わずかに波立つ湖面に映る朝日に、しばらく見とれていた。全く魚の反応がないまま、時刻は7:00、陽も昇り、釣りの時間は終了した。

 日に照らされたおかげで、湿っていたテントはすっかいか乾いていた。これは良いと思い、テントの上に寝袋を広げ干す。横になり、地図を見ながら、どうするか悩んでいた、完全に不発のまま支笏湖を後にしたくはないが、そろそろ電源も欲しい。とりあえず、支笏湖で唯一AirH"の圏内、湖を挟んで向こうにある支笏湖畔に行ってみることにした。
 湖畔沿いの道を20km位走らなければならず、湖の大きさを実感できる。道には所々車が停車していて、水辺に降りられるようなので、釣り氏のものだろう。平坦な道を予想していたが、とんでもなく、アップ・ダウンを繰り返し、到着すると、日曜日と言う事もあって、たくさんの人が居る。さすがに観光地だねと思っていたが、駐車場の入口に係員の人がいて、車の誘導をしている。駐車場は完全有料制、自転車は問題ないようなので、そのまま入ったが、バイクまで料金を取っているようだ。一度入ってきたライダーが、そのまま帰って行ってしまった。開放的な北海道のイメージがあったが、これは残念だ。
 トイレに行き、電源を探すが、見つけられない。しかも、人が多く、あったとしてもかなり気が引ける。しょうがないので、”いも天”なるジャガイモがドーナツ生地で覆われたてんぷらを食べながら、バッテリーでパソコンを起動し、必要最少限の事をする。バッテリーの残量は50%、とても日記はつけられそうにないと思い、これからの予定を考える。
 ”釣りたい"芳しくない釣りの状況ながら、全く手ごたえが得られなかったので、欲求は強くなる。こうなったら支笏湖でもう1泊。今度は釣り場を変えてのリベンジだ。

 支笏湖の東側にあるキャンプ場に来たが、やはりたいそうな賑わいだ。今日が日曜日なので、夕方には、静かになるとも考えられたが、このキャンプ場の付近から発進しているジェットスキーが気になる。今日はキャンプ場ではなく、途中で見つけておいた、唯一自転車を湖面まで持っていける所にテントを張る事を決めた。
 湖面に着くと、高校生らしいグループがキャンプをしていた。昨日から夏休みに入ったらしく、泳いだり、釣りをしたりと、とても楽しそうだ。私もテントを張る場所を確保し、夕マヅメの釣りに集中するために、早めの晩飯を食べる。
 やや薄っすらと雲が出てきて、肌寒くなってきた。陽が傾き始めたところで、釣りを開始する。が、昨日と同様、全く反応がない。手を変え、品を変え、ポイントを変えと、できる限りの事をしてみたが、釣れない。唯一、釣れたのは、お前さんルアーと大きさあんまり変わらないよ、と言ったサイズのアメマス1匹。結局、そのまま日没を迎え、支笏湖に弄ばれる結果となってしまった。支笏湖での釣りの感想は一言。”手強い”
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7/29(月) 56目  現在地:北海道千歳市 泉沢自然の森キャンプ場

のんびりと
 今朝も釣りをするつもりだったが、曇りの影響で、明るくなるのが遅かったためか、寝坊してしまった。しかし、曇りならなおさらと、釣りをするも、状況は昨日までと同じく、全くの反応なし。完敗です。
 テントを撤収し、朝飯にラーメンをすする。どうにか電源のある所まで行きたいので、千歳市市街を目指す事にした。が、支笏湖にあるライダーハウスの近くにあるトイレに立ち寄ったところ、見事にコンセントを発見。ここでなく、他の場所でもそうだが、電源を拝借しつつパソコンの作業をするのは、人気のない早朝のほうがやりやすい。時間が早い事もあったので、ここで3日分の日記を付けることにした。トイレから延長コードを外まで引き、缶コーヒーを買い、長期戦の作業を開始した。
 作業の途中で、お花屋さんの方が話しかけてきた。どこから来たのかと言う会話から始まり、リストラが発端で旅をしている事などを話した後、名刺交換をする。最後に「北海道で困ったら連絡してください。道内にネットワークがあるので、何とかしますよ。」と、初対面なのに、非常にありがたいお言葉を頂いた。
 ようやく作業が終了したが、お昼を回ってしまっていた。やっぱり日記はためるもんじゃないな。一応、そうだろうと言う事を予想して、今日の目的地を千歳市市街に定めたのは正解だったようだ。しかも、もーさんから、無料キャンプ場の情報を得ていたので、宿泊先の心配もない。買出しを含めて、ゆっくりしようと考えながら出発した。

 支笏湖から千歳市市街を目指す道に入るとすぐに、サイクリングロードがあり、千歳市市街まで行けるようなので、迷わずその道を選択した。なだらかな下りで、軽く漕いでいるだけなのだが、スイスイと進んでくれる。道は森の中を通る感じで実に気持ちが良く、さらに曇り空のおかげで涼しい。楽なのだが急ぐわけでもなく、のんびりと進んでいると、やがて千歳川に架かる橋の上にやって来た。川には水草が生え、水量豊かで、きれいだ。いつものように、橋の上からしばらく川の流れを見ていた。
 橋を越えてすぐ、休憩所があったが、団体さんの先客がいた。トイレに寄りつつ、団体さんの話に耳を傾けていると、どうやら東京から来た小学生のようで、先生らしき人もいた。そして、カヌーのコーチらしき人が、注意事項を説明していた。昨日のジェットスキーにしてもカヌーにしても、もちろん私がやる釣りにしてもそうだが、水との付き合い方は色々だなと思ってしまう。できれば、そういった遊びができる環境を愛する事まで教えて欲しいなと思いながら、子供たちの様子を見ていた。
 千歳市市街が近づくにつれて、釣り氏の姿がちらほらと見え出した。こうなると、私も釣りをしたくなってくる。しかも、サイクリングロードは、川のすぐ脇を通っている。陽も高く、とても釣れるとは思えないが、ちょっとだけと思い、適当な場所を見つけては釣りをしながら、市街を目指した。

 市街に到着すると、まずはホームセンターに行こうと、通りがかりの人に場所を聞いてみた。すると、ちょっと遠いけど、この道を行った所にあると言うので、行ってみたのだが、5分とかからず着いたので、笑ってしまう。人の感覚なんてそれぞれだな。
 次にスーパーへ行き、うまい事コンセントを発見したので、買い物をしてから、電気を拝借し日記をアップする。

 今日の宿泊地はキャンプ場だが、誰も居ない。支笏湖とは大違いだなと思いながら、静かな中、眠りに着いた。
支笏湖から千歳市街までのサイクリングロード
 支笏からはひたすら下り。森の中を行く道は、最高に気分が良くなる。
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7/30(火) 57目  現在地:北海道静内郡静内町  ふれあいセンター御園館キャンプ場

新冠
 北海道に入って、1週間だが、竿を振っていない日は1日だけである。北海道が身近な所にトラウトが居る証拠だろうか。今日も、走行の進み次第では釣りができるので、少々距離があるが、新冠川を目指して出発した。

 先ずは、国道36号線を苫小牧を目指す。道が広くなだらかな下りと言う事もあって、予想以上に距離を稼ぐ。あっという間に、ラムサール条約登録湿地で、様々な野鳥が見れると言うウトナイ湖に着き、水辺の休憩所で一休み。時期のせいだろう、野鳥と言っても白鳥が数羽、遠くのほうに居るだけだった。
 相変わらず道が広く、港が近いためか、コンテナを積んだ大型車が多い。が、それらの人工追い風を受け、ハイペースで走行できるので、気持ちがいい。
 門別に着くと、道沿いに牧場が目に付き始める。門別、新冠は、競走馬の育成が盛んなとこらしく、牧場の看板も聞いた事のあるような名前をしていて、きれいな牧場には、見事な体型をした美しいサラブレットが、たくさん居る。そんな牧場の中を通り、新冠町の高台にあるサラブレット銀座駐車公園に着くと、新冠の町と牧場が一望でき、風の気持ち良さと眺めの良さを、しばし味わう。しかも、この高台からは新冠川を拝む事もできる。 ハイペースのおかげで、今の段階で100km以上走っているのに、時刻はまだ14:00。宿泊地は、隣町のキャンプ場の予定なので、釣りをする為、新冠川の上流を目指し、自転車を走らせた。

 川を眺めつつ、釣り雑誌の情報を元に、ヤマメが釣れている場所に到着したが、なかなか川に入れる場所を見つけられない。やや、雲が広がり始め、陽が遮られ、釣りをするには条件が良くなってきているだけに、何とか入渓したい。
 場所を探しつつ入渓地点を探すが、牧場の敷地や密集するブッシュのせいで、容易に近づけない。数箇所、何とか川まで降りていったが、川幅が広く、流れが急なため、釣りあがるのが困難で、スポット的にルアーをキャストするしかできない。人が入りにくいだけに、入れる場所は、常日頃から釣り人が入っている事が考えられるので、そう言った場所での魚の反応はシビアな事が予想された。案の定、魚の反応は、数回のチャレンジで1度だけ、食いつきの浅いバイトで、フックにまで至らず、取り込むことはできなかった。
 川の規模、人の入りにくさを考えると、この川は釣られていない大物の可能性を含んでいるような気がしてくる。さらに上流を目指し、スポット的に釣りあがって行くが渋い。陽も段々暮れ始め、キャンプ場への移動の事が気になり始めるが、あまりにも、釣り氏的に一発大物の魅力がありそうな川なので、釣りに没頭する。
 見かけた釣り人に話を聞いてみると、ヤマメとブラウントラウトが上がっているらしく、大物も居るだろうという事だ。
 結局、釣果0のまま、新冠川を後にした。背丈を越えるブッシュを進む気合と、強い流れに臆さない根性、通いつめる執着心があれば、大物を釣り上げる事ができそうな印象が残る川となった。

 釣りに没頭しすぎたためか、陽も暮れてしまい、真っ暗な中、キャンプ場に到着。気付くと、移動や釣りやらで、今日の走行距離が150km近く行っていた。キャンプ場で落ち着くと、どっと疲れが出てきた。それでも、明日の釣りの事を考えながら眠るのであった。
サラブレット銀座駐車公園
 高台にあり、町全体を見下ろす事ができる。目の前に馬が居て、心地よい風が吹いていた。
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7/31(水) 58目  現在地:北海道静内郡静内町  ふれあいセンター御園館キャンプ場

休息
 キャンプ場に1人の時は、遠慮せずに炊事場などの軒の下にテントを張らしてもらう。突然の雨に困らない事と、なんと言っても、テントが夜露に濡れないのが良い。今回も、炊事場にある大きな軒の下にテントを張っていたのだが、今朝になって、雨が降り出した。とりあえず、軒下なので慌てる事はなかったが、今日はキャンプ場の近くを流れる静内川の上流にあるダム湖で釣りをする予定だったので残念だ。それでも、出発する前だったので、良かったと思っていたら、雨は激しさをまして行き、止みそうもない本降りになって来た。ここ数日、快晴に恵まれていたので、天気はノーマークだった。雨の中、無理して走る必要もないし、今いる所が雨を凌げるので、移動する必要もない。雨が収まるのを待つ事にした。

 軒の下、雨が降るのを見ながらボーっとしていると、何もしないと言うのも、ある意味贅沢な時間だなと感じる。仕事をしていた時は、休みともなれば、釣りに行ったり、温泉に行ったりと、時間を惜しむように過ごしていたが、今は何もしていない。まあ、何もできないのだが。こんな休息日も良いかなと思い、何もせずに時間が過ぎて行く。
 自転車を漕がず、何もしていないのだが、お腹が空くのはしょうがない。コンビニがあるわけでもないので、インスタントラーメンとホットケーキを食べる。
 雨は、全く止む気配がなく、今日の移動は無理そうだ。一度はたたんだテントを、もう一度張り、一眠りする事にした。

 テントの中は、不思議な空間だ。私のテントは黄緑色をしているのだが、その中で横になると、1人静かな状況と言う事もあって、色々な事を考えてしまう…。

 これからを考えていく上での今までではないが、過去を振り返ると、自分の気持ちを”つもり”でごまかしていたように感じる。何かをするつもり、何かをやるつもり、しかし、実際は楽なほうに流されていただけ。周りからの期待や視線。それらから逃れるために、自分を演じ、いつしか自分そのものを見失っていく姿。何をしたいのか、何をやりたいのか、それすら突き詰める事無く、漠然と生きてきた自分。この想いは以前から感じていたのだが、きっかけは、5年前の大学院を中退するときで、それを気付かせてくれた一つの言葉がある。
  ”日本人の多くは、偶然によって人生を決めている。”
 大学院進学の重圧、その道が本当に自分の求めるものなのか、様々な想いや後悔に悩んだ私の人生の中で、もっとも苦しかった日々。それから開放された救いの言葉でもある。このままではいけない、このままでは一生を後悔する事になる。そう思い、大学院を退学したのだが、進学を勧めた先生や受け入れてくれた先生、学費を払ってくれた両親には、期待を裏切る形で終わり、大変な迷惑をかけてしまった。しかし、退学を決めた私の心は、新たな希望に満ち溢れていた。
 そもそも、高校から大学進学を考えても、おかしい事がある。それは自分が好きな教科を選択するのではなく、大方みなが、点数の取れる教科を選んでいたからである。それが普通であり、当たり前であったが、そのために合格する事だけに主眼を置き、全力を注ぐ。本人に良かれと思い、それを強要する周りの環境。あまりにも自分と向き合う時間が、少なすぎるような感じがする。それが幸福へつながるのか、それすら疑問に思う暇もなく机に向かう高校生。

 何が求める道なのか、何が自分の夢なのか。答えなんて、そう簡単に出るもんでもなければ、一生かかっても分からないままかもしれない。しかし、漠然と流され続けた偶然の人生を止め、今、その時に求める自分の道を進みたい。人から見て、少年じみた考えと言われても良い。5年前、大学院を止める時に感じた想いを、リストラされ、新たな旅路へ向かう私の中に、強い気持ちとして蘇っていた。
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