| 6月 (見たい日のタイトルをクリックして下さい) | |||||
| 日付 | タイトル | 現在地 | |||
| 6/1(土) | 次元が違います | 福岡県嘉穂郡(再出発前) | |||
| 6/2(日) | 身近な自然 | 福岡県嘉穂郡(再出発前) | |||
| 6/3(月) | 再出発前 | 福岡県嘉穂郡(再出発前日) | |||
| 6/4(火) | 快適? | 大分県中津市 | |||
| 6/5(水) | 短い激励 | 大分県佐賀関町 | |||
| 6/6(木) | 愛媛県八幡浜市若山 | ||||
| 6/7(金) | アカメを見る | 高知県幡多郡西土佐村 | |||
| 6/8(土) | 四万十川と共に | 高知県高岡郡大野見村 | |||
| 6/9(日) | 魅力ある人 | 高知県高知市 | |||
| 6/10(月) | 不安な夜 | 高知県室戸市 | |||
| 6/11(火) | 出会い | 徳島県小松島市 | |||
| 6/12(水) | 備えなくして | 和歌山県那珂郡粉河町 | |||
| 6/13(木) | 暗闇の中で | 奈良県吉野郡西吉野村 | |||
| 6/14(金) | きれいな川 | 和歌山県本宮町 | |||
| 6/15(土) | 夕日の中で | 和歌山県新宮市 | |||
| 6/16(日) | 誤算 | 三重県紀伊長島町 | |||
| 6/17(月) | 笑うしかない | 愛知県渥美郡渥美町 | |||
| 6/18(火) | 気力 | 静岡県浜松市 | |||
| 6/19(水) | ホームページがもたらすもの | 静岡県榛原郡金谷町 | |||
| 6/20(木) | 雨宿り | 静岡県清水市 | |||
| 6/21(金) | 富士山を眺めながら | 静岡県富士宮市 | |||
| 6/22(土) | 吸血虫? | 山梨県西八代郡下部町 | |||
| 6/23(日) | 本栖湖 | 山梨県西八代郡下部町 | |||
| 6/24(月) | 選択ミスと誘惑 | 静岡県御殿場市 | |||
| 6/25(火) | 芦ノ湖で | 神奈川県足柄下郡箱根町 | |||
| 6/26(水) | 寒い! | 神奈川県足柄下郡箱根町 | |||
| 6/27(木) | いろいろな道 | 神奈川県三浦市 | |||
| 6/28(金) | 友人との再会 | 千葉県市原市 | |||
| 6/29(土) | くつろぎの日 | 千葉県市原市 | |||
| 6/30(日) | 贅沢な1日 | 千葉県市原市 | |||
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| 6/1(土) 再出発前 現在地:福岡県嘉穂郡自宅 | ||||
| 次元が違います | ||||
| 早速、自転車の整備・点検を行った。ボトルケージやサイクルメーターを旧愛車から付け替え、ブレーキレバーやサドルを調整し、各部取り付けねじの締め直しをした。そうこうしていると、新車と言う響きも手伝い、無性に乗りたくなった。 なんて快適なんだ。でるでる、ぐんぐん加速していく自転車に、気分は最高点に達した。が、問題はそんなことではない。荷物をたっぷり積んだときにどうかだ。 なんだこれは、はっきり言って次元が違う。本当に同じ荷物を積んでいるのだろうかと思うほどだ。旧愛車はなんだったんだ。あまりの快適さに、旧愛車がまるで自虐的な乗り物のように思えてきた。ちょっと褒めすぎだが、その位の差があるのは事実。快適になったとは言っても旧愛車よりも良いだけで、フル装備の自転車はやっぱり重たいんですけどね。 あせらず、無理をせず、のんびりと行くことが、長い旅路を成功させるためには必要かな。 |
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| 6/2(日) 再出発前 現在地:福岡県嘉穂郡自宅 | ||||
| 身近な自然 | ||||
| 一昨日から、私が5/29に宿泊した兄の家族が、実家である我家に遊びに来ていた。甥っ子が3人いるのだが、とても元気で、私に釣りに行こうだの、ザリガニを捕まえに行こうなどと迫ってくる。大変と言えば大変だが、釣りをしたり、ザリガニを捕まえるような水と触れ合う遊びが好きな私にとっては、出かけると自ら楽しんでいる事の方が多かったりもする。 結局、日本一周の事は一時忘れて、水遊びに興じた日になったしまった。釣りは近所の溜池でブラックバスを釣る事にしたのだが、今では外来種のこの魚がいない池のほうが珍しくなっている。おまけに、その池には、こちらも外来種のミドリガメ(ミシシッピーアカミミガメ)がたくさん居るし、加えてブルーギルも居たりする。さらに、ザリガニを捕まえると言っても、もちろんアメリカザリガニだったりする。 こうして並べて見ると、私が小学生だった20年前と比べると、違和感を感じてしまう。 救いと言っては何だが、ザリガニを捕まえている時に、今では珍しい生き物になりつつあるメダカが網に入った。久しぶりに見るその小さな姿に、正直うれしくなってしまった。 |
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| 6/3(月) 再出発前 現在地:福岡県嘉穂郡自宅 | ||||
| 再出発前夜 | ||||
| 明日、再出発することにした。自転車の新調と言う予定外の出費は痛かったが、実は思わぬ形で手に入れた新車に少し浮かれていたりもする。自転車やバックの問題で旅の出直しを食らったが、装備的な重さにもかなり問題を感じたので、少々荷物を減らすことにした。本当は持っていきたっかた物もあるので、少し残念だが、快適さを求めれば致し方ない。と言うよりも、少しでも体への負担をやわらげたいためだ。いや、ぶっちゃけ、楽をしたいからだ。 明日の目的地は、最初の出発と同じく大分県中津市の兄宅。ただ、トンネルが怖いので、遠回りになるものの、迂回して違うルートを行こうと思う。新調した自転車で目的地に着いたときの体や精神的な状態が、前回と比べるとどのくらい違うか気になるので、非常に楽しみだったりする。 ようやく、ようやく旅が始まる。今、何かしらの期待感と少々の不安感に襲われている。この旅が私の人生に良いものになる事を願わずにはいられない。 |
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| 快適? | |||||
| 2002年6月4日と言えば、日韓共催ワールドカップの日本代表の初戦、対ベルギー戦の記念すべき日である。今日の目的地が兄の家なので、もちろんTV観戦できる。だから、余裕を持って出発し、ばっちり観るつもりであった。が、寝坊してしまった。私にとって記念すべき日本一周の再スタートの日なのに、この緊張感のなさ。しっかりしようぜ、と自分に言い聞かせるも、観たいが為に無理をしてはいけないと、心に言い聞かせて12時21分に出発。 | |||||
前回の出発の時の恐怖から、トンネルを避けることにしたが、10Kmばかり多く走らなければならい。しかも、峠、峠の連続である。さすがに参ってしまいそうだったが、新調した自転車の性能に助けられ、順調に距離を稼げた。結果的に、前回よりも30分も早く着くと言う驚きの結果となった。こんなにも違うものかと、前の自転車で行くことの無謀さを思い知る結果となってしまった。そういう意味では、前の自転車が悲鳴をあげてくれたことに、感謝せねばなるまい。 |
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| 出発時の後姿。 | |||||
| 途中、WC日本戦のキックオフに間に合いそうになかったので、ちょっとだけ無理をして、飛ばしてしまった事を告白しておきます。なんていったって、本日の最高速度が下り坂で時速47.5Kmを記録したぐらいですから。 |
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| 短い激励 | |||||
| 昨日は、兄の家と言うことで、さほど緊張感もなく無事に終えたが、今日からは野宿を基本とした本格的なスタートになる。大分県の佐賀関から四国に渡るため、一路大分方面を目指す。 しかし、自転車のツーリングスタイルって、やっぱり目立つ?結構、視線を集めているような気がします。見られることは、すぐに慣れます。でも、じーっと見ていく人は、なぜか男性に多いように感じます。車の運転そっちのけで、対向車線にいるのに、行き過ぎた後も、振り返って見ています。 そんな中で、営業中でしょうか、20歳代の人が二人乗っていた一台の車が、窓を開けて、スピードを落として通りすがりに、「日本一周ですか?がんばってください。」と一言。これは本当にうれしいです。思わずペダルを踏み込む力がましたような、なんともいえないパワーをくれたような気がします。何処の誰だか?短い激励でしたが、本当にうれしかったです。 |
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| 本日最大の難所。立石峠。これからいったい、いくつ峠を越えるのでしょうか? | |||||
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| 絶景なんだけど | ||||
| 防音のテントが発明されたら売れるだろうな。 おもいっきり寝不足です。この旅の初野宿地、道の駅佐賀関はデートポイントなの?夜の午前を回っても、入れ替わりで色々な人が来ます。初野宿で慣れないせいでしょうか。人の声がすると、少しビビってしまって、なかなか寝付けません。中にはおもいっきり、”テントだ!!”なんて叫ぶ人も。完全にテントを張る場所を間違えたようです。そんなこんなで寝たのは合計3時間程度。熟睡には程遠い夜になりました。 寝付けないせいもあり、5:00に起床。せっかく目の前が海なので、釣りをすることに…。予想通り釣れません。今日は佐賀関からフェーリーで四国入りの予定。ちょっと小さめのフェーリーで結構揺れて気持ち悪い。が生トビウオのジャンプが見れたので少し感激。 9:10四国入り。ちょうど10年前の夏に、友人と車で四国を一周したことがあるので、これからの道のりの険しさは周知しています。気合を入れて挑むも、上り、上りで始まる道にすぐにダウン。少し下って、さらに上る。やっぱりこの道は避けるべきだったのか。でも、この道から見える景色は絶景。眼下に広がる一面の輝かしい海、海。場所によっては、瀬戸内側と豊後水道側の両方を見ることができ、絶えず心地いい風も吹き、休憩のときは本当に気持ちがいい。10年前の友人との楽しい旅の事が思い出され、懐かしさを感じた道のりになりました。 明日は、この旅の目的地のひとつ、四万十川へ到着する予定。 |
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| アカメを見る | |||||
| 今朝の目覚めはなかなか良かった。昨日の経験を踏まえ、宿泊地を人に見つかりにくいようなところを選択したからだ。さすがに体が疲れているのか、良く寝れた。しかも、昨日の夕方に、近くの小川で、人気がないのをいいことに、洗髪したので、これが快適な睡眠を手伝った。 四万十川を目指すも、なかなにして道は険しい。標高約400mの峠の頂上まで一気に上る。旅が4日目、慣れない野宿の疲れも手伝って、正直きつい。そこを下るも、今度は向かい風にあう始末。さすがに昨日の事も有り、「のぼりは多いし、何で向かい風なんだよ。」と愚痴ってしまった。しかし、そんな中でも前へ進まないといけない。一歩一歩ペダルを踏み込んで、ゆっくりと進んで行く。何度か愚痴をこぼし後、愚痴が多いことに気付く。ふと、「そりゃきついさ、道がいつも平坦で、風がいつも追い風なんてことはないだろう。」なんて事が頭を過ぎる。その瞬間、何かにつけて文句を言って、逃避しようとする自分に無性に腹が立った。同時に、それに気付くことで、行き場のない愚痴が、頭の中から消えていった。 |
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| 四万十川と共に | |||||
| 四万十川に到着したものの、何かイメージしていたものと違う。川底は藻のようなものが付着し、水質も良いように感じられないし、水量が少ない。こんなものなのか?そう、単純に言ってしまえば、そそられないのだ。ちょっと、微妙なニュアンスだが、要するに感動がいまいちなのだ。したがって、今日の進むべき方角に迷った。予定では四万十川の下流を目指すはずだったが、予定変更、四万十川沿いに上流を目指すことにした。 最初の印象が悪かったものの、さすがにスケールがでかい。橋を見つけては、その中央から川を覗く。40cmを超えるような大きなウグイが群れを成し、鮎が石に着いた苔を食んでいるのが見える。鮎釣りの人が川の中まで入って、物干しのような竿振っている。名物の沈下橋が四万十川の雰囲気を盛り立てていた。結局、一日中、四万十川の流れを横目に見ながらの気持ちの良い走行となった。 途中、バイクに乗った50代ぐらいのおじさんが、自転車で走っている私に向かって、バイクに乗ったまま「何処から来たの?」と、話しかけてきた。バイクと自転車を道路わきに寄せ、しばらくの間いろいろな話を聞かせてくれた。おじさんは、愛媛県宇和島市の方で、バイクに乗ってのツーリングや旅が好きで、いろいろな景色を見たり、先々での出会いがあるのがいいと語ってくれた。最近出会った旅人の話をしてくれた。サンダル履きの犬連れ旅人や徒歩で日本を縦断している旅人等々。その出会いから旅人たちと、旅のスタイルや人生観、いろいろな考え方を語り合うことで、新たに出会う旅人に何か力を与えているように感じた。 |
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| 晩御飯 レトルトカレーだけど、野外で食べると最高にうまい。トマトは通りがかったお店で、なんとグラム単位で売っていた。ちなみに、このトマトは60円。 |
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| 魅力ある人 | |||||
| キャンプ場での睡眠が快適だったのか、キャンプ場であるということが精神的なゆとりを与えたのか、驚くほど快適な睡眠を得ることができた。 キャンプ場の管理のおじさんに挨拶をして、四万十川沿いの旅路が再開した。あんなに大きかった川幅もどんどん狭くなって、時折、渓流の様相を漂わせていく。上流に行くに従い、道も険しくなって行くが、横にきれいな川が流れ、見渡す景色が美しい山々なので、そちらに気を取られるのか、疲れを感じない。走ること2時間、距離にして20km、源流点近くに来たところで、四万十川を後にした。 標高400m付近から一気に下り、いくつかの峠を挟んで、次の目的地、高知市を目指す。高知市に近づくにつれて、肌に暑さを感じてくる。高知はあついな〜、と思っていたのだが、良く考えると、標高400m付近が涼しかったみたいだ。 今日はビジネスホテルに泊まる予定。ここ2日、山奥にいてホームページを更新できなかったので、体を休める意味でも、ゆっくりとくつろごうと考えたからだ。とは言え、WCUP日本戦を見たかったのではと言われれば、否定できない。 ホテルに荷物を置くと、簡単だが市内の観光を始めた。キャンプ道具を積んでいない自転車は、羽が生えているように軽い。さながら、星飛雄馬が大リーグボール養成ギプスを外したときの感じだろうか、快速自転車に変身した。これならと思い、片道12km、ちょっと距離があるが、観光名所”桂浜”を見に行くことにした。 桂浜に到着し、写真を撮っていると、ジョギング中の女性が、写真を撮ってくれるとうので、お願いした。しばらく話をしたのだが、彼女は宮崎県の出身で、坂本竜馬に、高知に惚れ、移り住んだらしい。現在は、自営業を営んでいるらしく、仕事に取り組む姿勢が自分の中で変わって行く事で、現在の仕事が自分にとって最高な物になって行った事を語ってくれた。それは、揺ぎ無い力のある輝かしい瞳で、人間的な魅力を感じた。最後に、旅の無事を願ってくれて、握手をして別れを告げた。 |
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| はりまや橋 高知市まで来たので、一応、渡りました。自転車で。しまった…、自分の足で渡りそこなった。 |
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| 不安な夜 | ||||
| WCUP、日本初勝利の興奮が冷め切らないまま朝を迎えた。さすがにホテルでの寝心地は良いい。 天気予報では、今週はどうやら雨が多そうだ。今日も夕方から雨が降るらしい。少し不安なスタートである。 これまで、山の中を走ってきたので、今度は海沿いに四国南東部の突端、”室戸岬”を目指し出発した。 道はアップ・ダウンが少なく、とても楽だが、車と信号が多く、イライラさせられる。しかし、だんだんと町並みが閑散としてきて、海が見えると気分も変わってきた。太陽に照らされてきらきらと光る海面、遥か先に水平線が見える。そうだよな、ここは太平洋だもんな、なんて事を考えながら走る。 途中、四国八十八箇所巡りをしているお遍路さんと、すれ違いざまに挨拶を交わして行く。中には「がんばれよー。」なんていってくれる人もいて、何だか面白い。 追い風の力を借りて順調に距離を稼いで行くが、西のほうを見ると、やはり雲行きが怪しい。雨が振り出す前に、室戸岬を攻略し、今日の宿泊地を探さねば。無理をせず、宿に泊まろうかとも考えたが、雨が降るような事は、これからは当たり前になる。何とか野宿を決行しよう。 ようやく、適地を探し当てた。屋根の付いた場所があり、トイレもある。だが、海に面していて、風が強い。雲行きはさらに怪しく、今にも降りだしそうだ。さっさと飯を食べ、寝る準備を整えた。 今、21:00、雨が降っている。風が強く横殴りに雨がテントに当たっている。海は波の音が激しく、少し荒れている。少し不安な夜になりそうだ。 |
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| 出会い | ||||
| 深夜、猛烈な突風が吹き荒れる。テントが強風にあおられ、バタバタとなびく音で目が覚める。夜になって降りだした雨は激しさを増して行き、孤独と相まって、不安感をかき立てて行く。なかなか寝付けないまま、時間が過ぎて行った。
朝、雨は小降りながら降り続き、やむ気配はない。この旅初の雨中走行を強いられる事になり、すばやく荷物を整理し、携行食を口にしてから、出発した。 雨に視界が奪われ、メガネが曇り、景色に目をやる余裕がない。ただひたすら、自転車を漕ぐ事に、前に進むことに集中した。途中、激しさを増したものの、午後を迎える頃、幸いにも雨は小降りになり、カッパを脱げるまでになった。が、今度は、そこから険しい上り坂が始る。黙々と、そして確実に上って行くが、トラブルが発生した。”パンクしてる”何気に後輪に目をやると明らかに空気圧が落ちているのだ。慌てず自転車を路肩に寄せて、タイヤを確認していくと、ガラスの破片が見事に刺さっていた。なんで雨の日にパンクするかな?と思ったが、雨とパンクが同時に起こる確率を考えたら思わず笑っていた。”めったにないよな”こんな事。パンク修理に取り掛かったが、うまく行かない。雨のせいでゴムのりが乾く感じがつかめないのだ。替えチューブ持っとけば良かったなんて思っても後のまつりである。何とか修理を終えて、再び上り坂に挑んで行く。ゆっくりと、ゆっくりと…。やがて雨もやみ、涼しい風が体に染み渡っていった。 峠の頂上にたどり着こうかという時に、後ろから声がした。「こんにちは。」振り返ると、自転車に乗る旅人が、そこにいた。彼は岡山の方で、四国に良くツーリングに来ているという。今回も2〜3日をかけて四国を巡っていたらしい。そのスタイルから、旅慣れた様子がうかがえ、案の定、日本一周の経験者であった。旅を通してたくさんの出会いと経験を重ねてきたのか、話の多くが、サラリーマンをしていた私には新鮮に聞こえてくる。仕事はしているが旅をライフワークとしやり続ける信念と、その生き方に誇りを持っていることが感じられた。話は弾み、気が付けばパチスロの話までしていた。結局、私が今日の野宿先を探していることを知って、徳島市の南に位置する小松島市にある静かなところを案内してくれて、一晩を共に過ごすことになった。 もし、私があそこでパンクをして、足止めを食らっていなければ、この出会いはなかったかもしれないことを考えると、人との縁は何処にあるのかわからない。何か不思議な思いを感じさせる日であった。 |
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| 備えなくして | ||||
| 旅慣れた人が近くに居たからなのか、思いのほか良く寝れた。気温も涼しくなり、昨晩、あれだけいた蚊が一匹もいない。二人でコーヒーを飲みながら、旅の経験を生かした助言を頂いたていた。中でも印象に残っているのは、”人の関係は持ちつ持たれ、人への行いが自分に帰ってくる”という言葉だ。旅の中でそれを経験してきた人が言うと重みが違う。朝食を一緒に食べ、激励を受け別れを告げた。 徳島から和歌山へ、いよいよ本州入りだと気合を入れるも、自転車がひとつの問題を抱えていた。昨日のパンク修理が甘かったようだ。朝には空気は抜けてしまい、穴が完璧にふさがっていないようだ。何度か空気を入れつつ、だましだまし走って、ホームセンターか自転車屋さんを探し、チューブごと交換することにした。後輪の空気圧を気にしながら走ること15分、すんなりとホームセンターを見つけることができた。今回のトラブルだが、場所がわりと街中に近かったのが良かった。これが山の中だったらと思うと恐ろしい。頭の中で自分の装備を、改めて見直し、予備のタイヤチューブを購入するのだった。 フェリーで徳島から和歌山までは2:00程度で付いてしまう。今後のルートを地図で確認していたのだが、予定なら海沿いを走るはずだったが、四国での経験からどうもそそられない。心が山へ、そして川へと向かっている。道は険しくなるが、奈良県方面の川の上流を目指すことに決めた。 |
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| 暗闇の中で | |||||
| 和歌山県から奈良県へと向かう国道24号線は、なだらかな上りだが、道が狭く、走りづらい。紀ノ川を眺めながら自転車は進む。紀ノ川の下流域は流域に住む人口が多いためか、あまりきれいではない。こういう状況が日本の川に多いのは残念だ。四国の川を見てきただけに、落胆が大きい。 だんだんと上りがきつくなり、紀ノ川の川幅も狭くなって行く。すると川沿いに看板が現れ、鮎釣りに関する説明が書かれている。ちょうど橋があったので、そこから川を眺めると、数人の鮎氏が竿を振っていた。水質も下流よりは良くなっていて、水が瀬を流れる音が聞こえてきた。心地よい音だ。上流域への想いが、加速して行った。 紀ノ川を離れ、今日の目的地、奈良県黒滝村を目指す。地図を見ても、その険しさが伝わってくる。案の定、道はとてつもなく空のほうを向き始めた。荷物の重さが、ずっしりと足に伝わってきて、休み休み上っていくしかなかい。やがてトンネルが現れ、上りは一段落した。わずかな歩道があり、車の危険こそ少ないが、明かりが少ない。おまけに標高が高いせいか、相当に涼しい。最初こそ気持ちよく感じたが、だんだんと背筋が震え始める。幽霊は信じていないが、暗いトンネルの中で、一人、懐中電灯の明かりひとつで進むので、だんだんと怖くなってきた。情けないと思うかもしれないが、こういう時に一人の寂しさを感じてしまう。 今日の夜は野宿だ。山の奥深く、道路からわずかに外れたところ。辺りは真っ暗な闇と静寂に包まれ、沢を流れる水の音が聞こえてくる。早く野宿に対する免疫ができて欲しいと思わずにはいられない。 |
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| 道の駅吉野路黒滝で食べた名物黒滝こんにゃく これはうまい!!苦労して険しい道を来た甲斐がありました。とってもビールが欲しくなりました。 |
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| きれいな川 | |||||
| この旅に出てから、まともに釣りをしていない。やはり、初めての土地で釣りをする難しさを痛感させられる。今日こそはと思い、奈良県南部から和歌山県にかけて流れる天ノ川沿いを進むことにした。 きれいな川だ。こんな川を目の前にしたら、釣り心が刺激される。しかし、川で釣りをする場合は、釣りの許可書である遊漁券を購入しなければならない。が、それが高いのだ。1日だけ有効な日券が3000円もしてしまう。 ヤマメやアマゴといった魚たちは、近年、その釣り人口が増加したため、乱獲に近い状態になり、今や、主にその河川を管轄する漁協が行う放流活動で、その数を維持していると言ってもいい。釣りをする者は遊漁料を払い、漁協は、それによって放流活動を維持している現状がある。が、日券が3000円は、私の感覚からすれば高いので、泣く泣く、川を横目に見ながらの旅路となった。 しかし、釣りをしたい思いは一変した。この川には、ダムが多いのだ。ダムの度に川の流れは痩せ、水量は貧しくなる。水質こそ悪くないが、ダムがなければと、つい思ってしまう。 利水、治水の面で、一概にダムを否定することはできないし、流域住民の様々な思いもある。私の知識では、無責任なことは言えないが、ダムを作ることによって、そこにある自然に手を加えている事実を、忘れてはいけない。私は良く、そこにある川の500年前の姿を考える。ダムはなく、山々の木々は保水力のある木に覆われ、とうとうと流れる川には、生命があふれ、ヤマメやアマゴといった魚たちは、海との往復を、何世代に渡って繰り返し、きっとこの川にも、その降海型であるサクラマスやサツキマスが、鮭と同じように産卵の為、上流へと遡上して来る雄姿を見せていたに違いないと。 |
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大きく広い河原に、細々と流れる川を見ると、何かさびしい思いが、突き上げてきた。 | ||||
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| 夕日の中で | |||||
| キャンプ場での朝を迎えた。このキャンプ場は、静かな場所にあり、すぐ脇には川も流れ、なかなか良い。そして、何より500mほど離れた場所に、公衆の温泉があり、久しぶりに湯船に浸かれた事が、最高の眠りをもたらした。熟睡できたものの、この2日間の猛烈なアップ・ダウンの連続で、さすがに体が疲れている。今日は無理をせず、この場所から30km程離れた新宮市で宿をとり、休養をとる事にした。 出発してすぐ、背中に大きな荷物をしょった、一人のバックパッカーと出会った。近畿・甲信地方のお寺を、歩いて回っているという。年は40代後半ぐらいだろうか。旅の中で自分とは別の旅人と出会い会話することは、それが挨拶だけであっても、私にはうれしい。その方も野宿に対する不安感があり、なかなか苦労しているようだった。と同時に、もっと安価で泊まれる宿が多いとな〜と嘆いていた。 新宮市までの道のりは、昨日横目に見ながら走った天ノ川が合流する熊野川沿いを行くことになる。下流域に来ても驚くほど水質が良く、大きな淵の底にある石が見えるほどだ。所々、鮎氏がおとり鮎を使った”とも釣り”をしている。急斜面の山に囲まれたその川は、水量こそ本来のものでないにしろ、美しい様相をかもし出していた。 しかし、道のりは楽ではない。道幅が狭く、交通量も多い。しかも、所々、道路の改修をしていて、片側交互通行だ。これが曲者だ、この片側通行、何処まで片側通行なのか分からないし、信号が設けられているのだが、そのタイミングが自転車に配慮していないようだ。信号が青になって、車がすべて行った後、走り出すのだが、車はあっという間に見えなくなり、前から車が来たどうしようとひやひやしながら進まなければならなかった。ともあれ無事、難関を通過し、新宮市に到着した。 新宮市に宿を取り、荷物を置くと、身軽になった自転車と釣り道具を持って、海を目指した。熊野川が海へ流れ込む場所に到着すると、数人の釣り人が竿を振っている。話を聞くと、スズキを狙っているらしい。すかさず私も竿をとり、スズキを狙って、釣りを始めた。 |
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しかし、そんな甘いことはない。結局、日没間じかまで2時間程釣りをしたが、見せ場のないまま終わってしまった。熊野川の上流域、昨日今日と走ってきた山々に夕日が、沈もうとしていた。 | ||||
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| 誤算 | ||||
| 昨日は走行距離を押さえ、ホテルに泊まったおかげで、十分に休養が取れるはずだった。が、久しぶりに電源に困らず、AirH"の通話エリアだったこともあり、夜更かしして、寝不足気味だ。それでも、ベットでの睡眠は快適だ。 昨日、買っておいたパンを食べ、出発の準備に取り掛かる。何気に部屋に置いてある灰皿を見て、驚いた。吸殻が14本もある。私としては吸い過ぎだ。この一夜に限らず、旅に出てからタバコを吸う回数が増えている。最初は、一日中自転車に乗っているのだから、体が受け付けず、量が減るだろうと思っていた。しかし、慣れない環境と、未だ生活リズムが作れていないのが、相当にストレスになっているようだ。実際は、そんな甘いことは言ってられない。自分の肝っ玉の小ささに少しあきれてしまった。 そんな事もあり、今日は三重県紀伊長島町にあるキャンプ場での宿泊を予定し、出発した。 この道がまた楽ではない。まあ、何事も楽な道なんてある分けないのだが。海岸線を走っているときは、平坦で順調だったが、次第に次の町に行くために、山越えを迫られた。峠を越えては海まで下り、また峠を上る繰り返しだ。しかも、トンネルが多く、そのどれもが狭く、非常に走りずらい。自分の存在を知らせるために、懐中電灯を後ろ向きに照らす。トラックは自転車を大きくよけて行くが、なぜかバスは容赦してくれない。中には50cm位隣を猛スピードで通り過ぎて行く。風圧が自転車をふらつかせる。自転車に取り付けているバックが壁に触れそうになる。触れたらバランスを崩し、転倒の危険があるだけに、命が削られる思いだ。実際、その瞬間は、心臓か締め付けられ、胸元と背中に汗が吹き出る程だ。細心の注意を払い、無事に難所を通過した。トンネルの中には、歩行者専用トンネルが設けられている所もあり、それは自転車にとっても本当に助かる。 ようやくキャンプ場のある紀伊長島町に到着した。すると、キャンプ場の看板があり、そこにオートキャンプ場と書いてある。いやな予感がした。すぐに、看板の電話番号に問い合わせてみた。 「オートキャンプ場ですよね?」 「はい。」 「一人なんですけど、テント一張りいくらですか?」 「ちょっと待って下さい・・・4000円です。」 やはり、オートキャンプ場と言えば、キャンプサイトに車が直に付けられ、車を基本としたキャンプが出来る所が多く、1区画幾らの場合が多い。 高い、高すぎる。一人で4000円なんて払ってられない。奈良県の道中でも、この手のキャンプ場が多かったが、できれば、ソロで利用できるシステムを組み込んで頂きたいものだ。自分の無計画性を責めても始まらないので、ここは野宿を選択するしかなかった。時刻は17:30を回っている。すぐにでも場所を確保したいものだ。 さまよう事30分。幸運にも人目に付きにくい空き地を見つけた。ホッと胸をなでおろし、テントを張り、その中に潜り込むのだった。 |
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| 笑うしかない | |||||
| 梅雨のせいだろうか、今朝も曇っている。この2〜3日、まとまった雨こそ降らないが、曇ってばかりだ。紀伊半島に入ってから、太陽を見ていない気さえしてくる。自転車で走る分には、暑くならず、日焼けもしない点で、雨の降らない曇りは歓迎なのだが。 三重県鳥羽市から愛知県渥美町伊良湖までは、フェリーを使う予定。フェリーの時間もあるので、可能なら今日中に愛知県入りしようと言う程度で出発した。客観的に言うなら、この様な無計画な行動が、自分を苦しめる結果につながるのだが。 いつものように、川に遭遇しては、眺めていく。鮎、ウグイ、オイカワ、カワムツ、鯉が泳いでいる。どんな場合でも、そこに居る魚を発見できるのは、うれしい。国道42号線沿いを走っていると三重県伊勢市で海に流れ込んでいる”宮川”に出くわした。しかし、この川、これまで見てきた紀伊半島の川とは様子が違う。川の水はトロトロと流れ、勢いを感じない。下流に行くにしたがって、その原因が明らかになった。案の定、ダムがあるのだ。流域に住む人間が多い為か、水の輝きも失せている。しかし、九州の川の大部分もこんなもんだろう。地方都市の下水道の普及率は極めて低いと聞く。そういった事が川の汚れる原因の一つになっているだろう。所々、川に流れ込む水が、生活排水で、汚れている様を見るのは、悲しい事である。 走行のほうは、初めの大きな峠を越えた後は、なだらかな下りが続き、予想以上に距離を稼げた。14:00に鳥羽市に到着し、この時間なら愛知県へ向かい、すぐ側にキャンプ場があるので、そこに宿泊することに決めた。鳥羽市から愛知県渥美町まではフェーリーで55分なので寝る間もなく到着する。愛知県上陸の記念写真を撮り、キャンプ場を目指し自転車を走らせた。キャンプ場に着いたはいいが、誰も居ない。受付には貼り紙がしてあり、”本日の受付は、本館でお願いします。”と書いてある。なるほど、月曜だからそういう事かと、本館へ行ってみた。このキャンプ場、国民休暇村らしく、キャンプ場の他に、コテージやら、テニスコートなどがある。本館の受付のおねいさんに、問い合わせて見ることに。 「キャンプ場を利用したいんですが?」 「キャンプ場は、只今、土曜日しか受け付けていません。今日は・・・・」 と、体よく笑顔で断られてしまう。昨日に続き、キャンプ場で失敗してしまうとは。さて、どうしたものか。飛び込みでキャンプ場を利用しようと言う計画の無謀さを思い知る結果になってしまった。外へ出ると雨が降り出し、こうなると、もう笑うしかない。 幸い、キャンプ場までの道のりで、もしもの為に野宿先の目星を付けていたので問題ない。 ここは、芭蕉の句牌がある公園で、幸運にも屋根が付いている。明日、天気が回復してくれる事を祈って、眠りにつくのだった。 |
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| 愛知県渥美町・伊良湖へ到着 この時、こんな事になるなんて、思いもしていなかった。 |
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| 気力 | |||||
| 密室の中の蚊は手に負えない。テントに潜り込む際に進入した蚊が、ワールドカップをラジオで聞きながら、うとうとし始めた私を襲い始めた。初めは無視していたのだが、何度も何度も食われてしまい、どうにもかゆい。探すが、ライトの小さな明かりでは、なかなか見つからない。見つけてもすぐに視界から消えてしまうので、どうにもならない。仕方がないので、寝袋に潜り込んでみたが、今度は暑い。結局、蚊の襲来はしばらく続いたが、いつの間にか寝てしまっていた。朝起きると、テントの中に、私の血を吸ったであろう蚊が、そこに居た。私は、「負けたよ。」と言って、そっと蚊を外へ追い払った。 昨日から降り続いた雨が、激しさを増している。今日は静岡県浜松市まで行き、贅沢にも宿を取り、ワールドカップ日本戦を観戦しようと思っていたが、この雨だ。この場所は、コンビニも近いし、ワールドカップだけなら、すぐそこにあるフェリー乗り場で見れるから、休養がてらのんびりしようかとも思ったが、ホテルでシャワーを浴び、冷たいものでも飲みながらテレビ観戦する姿を想像したら、どうにも止まらなくなった。すぐに準備を整えると、雨の中出発するのだった。 雨の中の走行は、やっぱり大変だが、カタツムリが全身を出す姿を見て、待ちに待った雨が降ってるんだなと感じる。カエルも道のあちらこちらに現れて、雨を歓迎しているようだ。お前達、車に轢かれるなよと思いつつ自転車を進めると、海が見えてきた。雨滴が海面をたたき、水平線も見えない視界がさえぎられた海は、太陽に照らされてぎらぎら光る海と違った幻想的な姿を見せていた。そんな晴れていては、感じることのできない自然の姿を堪能し、雨も悪くないなと余裕をかましていたのだが…。道の方は、スパルタ的に私の足を鍛えてくれるような感じで、ひたすらアップ・ダウンの繰り返し、平坦なところがまるでない。上っては下った先に次の上りが見えるので、体力的な部分より、気力的な部分を削がれて行くような感じだ。気力が衰えて行くに従い、足取りまで重くなってきた。これは、危険な兆候ではと思い、上り坂の頂上を睨み付け、”何のこれしき”と自分を叱咤激励しながら走るのだった。幸い、静岡県に入ると、道が平坦になると共に、雨も止み、澄んだ青空が雲の切れ間に見え出した。 ホテルに到着すると、すぐにシャワーを浴びる。頭を洗うのが、こんなに気持ち良いとは、体を洗うと、今日削がれた気力が回復していくような気さえしてくる。”風呂に入る”旅に出る前は、些細な事だったが、今では最高の幸せを感じる。気力と言う見えない部分が、人間を大きく支えている事を感じる日であった。 |
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| 愛知県渥美町 芭蕉の句牌公園 我家と化していく公園。蚊がいなければな〜。 |
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| ホームページがもたらすもの | |||||
| 現在、私のホームページとリンクを張らして頂いている、日本を自転車で旅をすると言う同じ目標を持った同志と会う。今日は、そんな幸運に恵まれた日であった。 昨晩、静岡県浜松市に滞在していた私は、旅の出発前で近くに住む、自転車で日本を一周しながら、登山をする計画を持つ中村真也さんに、急ではあったがメールをしてみた。忙しい身であったにもかかわらず、会いましょうと言う快い返事を頂いた。うれしい事に、彼は私の動向を確認していてくれて、2〜3日中には、この辺りを通過するだろうということを、予測していてくれた。 浜松駅にほど近いファミリーレストランで待ち合わせたのだが、私と自転車の姿を見ると、すぐに駆け寄ってくれた。初対面であるにもかかわらず、ホームページを通じて、お互いを知っているからだろうか、笑顔での対面となった。彼と私は、自転車が同じと言うこともあり、しばらくは自転車談義。泥除けが着いているから良いだの、付属のバックの固定がいまいちだの、大いに盛り上がった。 朝食をとりながら、私はこの2週間の話、彼は予行演習での話を語り合う。”自転車で走った後のお風呂は最高だ”がお互いの一致した意見だ。彼の気さくな態度にも助けられ、打ち解けてゆく二人。何の隔たりもなく、同じ話題で語り合える。私にとっては不思議な時間が、過ぎて行った。 ホームページを更新しながらの旅路は、実際にやり始めると、筆不精な私には結構大変だったりする。しかし、旅の中で出会う人、激励のメールを送ってくれる人、そして日本を旅する同じ目標を持った同志、これら多くの人との触れ合いを与えてくれた事に感謝せずにはいられない。そして、これからの旅路で、大きな励みと力を与えてくれるに違いない。 中村さんとお互いの健闘と、再開を約束し、私は浜松を後にした。 |
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| 中村氏(右)と私(左) |
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| 雨宿り | ||||||
| 予定外の事態で、神社での朝を迎えた。ユースホステルに泊まる予定だったが、電話がなかなかつながらず、結局、利用することができなかった。ここに来てのこのハプニング、最近立て続けに失敗してきたので、さすがに動じることはなかった。道を進みながら、適地を探せそうと思った矢先、5分もしないうちに神社を見つけ、宿泊となった次第だ。国道1号線が、谷あいの反対斜面にあるため、少々うるさいが、水はあるし、蚊が少なく、炊事、洗濯、睡眠には、全く困ることはなかった。 昨日、旅をしながら登山を計画している中村さんに会った事で、私も自分の旅の目的の一つである釣りをしたい気持ちが強くなった。富士周辺と言えば、富士五湖があるが、虹鱒やブラウントラウト、移殖された外来のマス科の魚たちが釣れる事で有名だ。当初、箱根にある芦ノ湖だけの訪問の予定だったが、釣り気分が高まってしまったので、富士山の北西に位置する本栖湖にも行くことを決めた。本栖湖までの移動には、今日を入れても2日はかかるだろう、さらに午後から雨らしいので、今日は静岡県清水市にあるユースホステルで宿泊することにした。 見渡す限り、御茶畑。さすが静岡と思いつつ自転車を進めていると、雨が降り始めた。雨脚が強くなる前に、カッパを着込み、激しくなれば雨宿りでもするかぐらいの気持ちで進んだ。清水市を目前に、雨脚が強くなり、ユースホステルのチェックインまで時間があるので、海に近い、川に架かる屋根のある場所で、雨宿りをすることにした。これからのルートを確認しながら、雨脚が弱まるのを待っていたら、一人のおじさんが雨の中自転車で現れた。手には竿を持っている。聞いてみると、うなぎが釣れると言う。慣れた手つきで、3本の竿の仕掛けに稚鮎の切り身を付け、次々に川へ投げ入れていく。雨が降っているとは言え、こんな昼間からうなぎが釣れるのかな〜と思っていたら、早々に1匹を吊り上げた。やるなおじさん。これを見ていた私も竿を振らずには居られない。ルアーで釣れるかどうか分からないがやってみよう。針先に、ソフトルアー(ブラックバス釣りで、よく用いられる柔らかい疑似餌)を付け、川へ投じた。とりあえず、いろいろ試して見るが、やっぱり釣れません。その間もおじさん、うなぎばかりか、なまずと鯉を釣っています。釣れるかどうか分からない釣りではあったが、釣りをして、おじさんが釣ったのを見て、ただの雨宿りなのに、何だか楽しい雨宿りになった。チェックインの時間も近くなり、雨脚も弱くなったので、おじさんに挨拶をして出発した。それにしても、笑顔が印象的なおじさんさんだった。ありがとうおじさん。 |
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| おじさんとうなぎ ちょっと小さいな〜なんて言ってました。 |
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| 富士山を眺めながら | |||||
| なだらかな海岸線から始まる今日のルート。目指すは富士山の麓、本栖湖。ユースホステルを出発し、走り始めると、若者がスウェットスーツで自転車に乗っている。どうやらサーファーの人達らしい。小学生らしい子供たちも指導されながらカヌーに乗っている。 前回のパンク以来、何か自転車に抵抗を感じると、後タイヤに目が行く癖が付いていた。出発間もない今日も、何度か見ていた。よし、異常なしと思っては、自転車を漕ぐのであった。通勤ラッシュで車の多い道を進んでいると、ゴリゴリという感覚が、お尻に伝わってきた。”もしや”、反射的に後タイヤを見た。”パンクしてる”ついさっきまで大丈夫だったのに。すぐに自転車を降り、タイヤを確認すると、金切りくずが、見事に刺さっていた。まあ、パンクはしょうがないしな、雨が降ってないだけいいさ、と思いパンク修理を施し、再出発。 蓄積した足の疲労もあり、ここの所あまり無理をしないようにしている。さらに、これからの目的地である本栖湖の標高が900m付近なので、朝から飛ばしていては大変だ。着かなきゃ着かないで、何処かに泊まろうと考え、スローペースで進んで行く。 今日は良く晴れている。遠くの空には入道雲が発生し、気温がぐんぐん上昇しているのが分かる。久しぶりに熱く、夏が近いことを感じさせた。途中、国道1号線の自動車専用区間に泣かされながらも富士市に着くと、富士山が見えてきた。頂にわずかに雪を残し、雲から突き出たその姿を見ると、旅もここまで来たんだなと言う実感が湧いてくる。 道がにわかに上り始めるが、最終的に900m位上らないといけない事を考えると、目の前の坂に嫌気がささないから不思議だ。これまでは、目の前にある坂の頂上にたどり着き、早く楽になりたいと思っていたが、今日は目の前の坂を越えれば良いレベルじゃない。最終的な位置がもっと高い所にあるだけに、目の前の坂も、気負う事無く楽な気持ちで上って行けた。 食料を買い足すために、スーパーによると、いきなりおじさんが 「何処から来たの?」と話しかけてきた。「九州、福岡です。」と答えると、「福岡の何処ね?」とさらに訪ねられたので、「飯塚辺りです。」と答える。そうしたらおじさん「女房の近くじゃないか。」と、それから、近くに居た、たいやき屋のおじさんを交えて、「何処まで行くの?」、「大変だね。」などと話す。その内、おじさんが「息子が高校生の時に、自転車で九州まで旅をしたんだけど、そしたら痩せて帰ってきてね。」と言い、私の姿が、その時の我子の姿とダブったのか、少し涙を浮かべていた。最後にたいやき屋のおじさんから「良いね〜。良い機会だからがんばってよ。」と激励を受け、たいやき2つを頂き、先へ進む。 上りは厳しさを増して行き、右手に富士山を眺めながらの道は進んで行く。自転車の速度は、時速5〜8km。地図を確認すると本栖湖までは、辿り着けそうにない。わき道へ入り、ちょうど良い草むらがあったので、そこで宿泊することに…。 |
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| 富士川から見た富士山 |
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| 吸血虫? | ||||
| 寒い!さすがに標高が高いだけはある。深夜、雨が少し降ったようだが、朝には止んでいた。今日の移動は30km程度なので、ゆっくりしようと、暖かい寝袋の中で、二度寝に入った。 しかし、この場所、やたらと虫が多く、昨日この場所に来た時から、見た事もない体調3mm程度の虫に悩まされていた。この虫、足に止まり、どうやら血を吸っているようだ。その数と、その攻勢が容赦なく、追い払うレベルを超えていたので、カッパのズボンを着て、かわそうとするのだが、今度は顔に襲いかかって来る。その凄まじい攻撃にかなり参っていたのだが、今朝になって大変な事になっていた。かゆい、足の刺された箇所が、猛烈にかゆいのだ。しかも、腫れてきて、かゆさは増してゆく。右足のくるぶしから甲にかけて、パンパンに腫れあがっていった。 テントの外に出ると、辺りは霧に包まれていた。さすが朝霧高原の事はあると、下手な関心をしていたのだが、早速、例の虫が私を歓迎してくれる。これはたまらないと、早々にテントをたたみ、出発した。 まだまだ上る道、しかし、目的地が近い事もあって、のんびりとした足取りで向かう。やがて、下りが始まり、本栖湖が近いと感じると、おのずと気分も高まってきた。霧のせいなのか、太陽はたまにしか顔を覗かせない。見えるはずの富士山も、厚い雲に覆われていた。吹く風が冷たく、震えが来るほどで、道路に表示されていた気温は、17℃だった。寒く感じるわけだ。やがて谷あいに架かる橋に来ると、山々に囲まれた本栖湖が見えてきた。ようやくの到着である。湖面沿いの道を、のんびりと進んでいると、所々釣りをしている人の姿が目に入った。釣れているのだろうか。すでに、私の興味はそちらへ行っていた。 5000円札の富士山が、見れると言うキャンプ場に到着する。同じ方向へ、富士山を見るが、雲に覆われていた。キャンプ場の方の説明によると、5000円札のように逆さ富士が見れるのは、年に数回程度だそうだ。釣りの状況も聞いてみたが、良い返事がない。釣れる事は釣れてるみたいだけど、回遊しているから難しいとの事。しかし、こればかりは分からない。釣れる時は釣れるもんだ。 キャンプ場に早めに到着したので、どうしたものかと思っていたが、虫に刺された足の腫れ具合が悪化していたので、ゆっくりする事にした。霧が湖面にまで広がり、寒さが増して行く。防寒用に持ってきた薄手のフリースを着ても寒いので、テントに入り、寝袋に入っていると、疲れていたのだろうか、すぐに眠っていた。 明日は一日中釣りの予定。足の腫れが引いてくれれば良いのだが。 |
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| 本栖湖 | ||||
| 本栖湖の湖面の標高は902m。やはり、朝はかなり冷え込む。4:30に目覚め、普段ならもう少し寝袋の中に居る所だが、今日は違う。釣りをする日はいつもこうなのだが、すっきりと目覚め、コーヒーを沸かし、軽食を食べると、早速、朝マズメの本栖湖へ釣りに出た。 一面に霧がかかり、風は強く、湖面は波立っている。辺りを見渡すと、数人の釣り人が居た。少し興奮気味に湖面に近づき、湖の水を触ってみる。外気が冷たいせいだろうか、かなり暖かいと感じる。期待と興奮の本栖湖の釣りの始まりである。 わずか3投目、ビリビリと言う感覚と共に、鋭い引きが竿先に伝わってきた。間髪入れずに竿を引き、リールを巻く。引きからすると小ぶりそうだが、休みなく、元気の良い引きに興奮は一気に高まって行く。やがて、姿が見えて来た。”虹鱒だ”25cm位だろうか、と思った瞬間、痛恨のバラシ。虹鱒は元の深みへと消えていった。痛い、痛すぎるバラシだったが、わずか3投目のヒットに、この後の展開に期待感が膨らんだ。しかし、その後全く反応がない。幾度となくルアーを投じるが、空を切るばかり。1時間、2時間と時間が過ぎて行く。”こんなものなのか本栖湖よ”と思ってしまうが、経験上、全く釣れない日だってある。魚が見れて、手ごたえを感じられただけ良いじゃないか、と自分を慰めるのだった。その後、何度かルアーを追ってくる魚影は見えたものの、食ってくれない。釣り開始から4時間が経過していた。辺りは依然として、霧が立ち込み、対岸さえ見えない。お腹も空き始めたので、ここは一時中断して、朝食にしようとした時、再びビリビリと言う感覚。”これは最初の魚よりでかい”切れかけていた集中力は、一気に跳ね上がり、再び興奮の波が押し寄せる。が、またしてもバラシてしまう。悔やんでも悔やみきれない2度のバラシ。”やってくれるぜ本栖湖”と思いながら朝食を取りに一時中断。 結局、午後と夕方にも釣りをしたのだが、虹鱒を手中に収めることができずに、本栖湖での釣りは終了してしまった。さっぱりな結果に肩を落としたものの、休息と共に、きれいな湖で釣りを楽しむ(?)事ができ、良い時間を過ごすことができた。 |
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| 選択ミスと誘惑 | |||||
| 昨日の釣りのショックを引きずりながら、早朝の湖面に出てみた。どんよりと曇っているものの、富士山が見える。なるほど5000円札の景色だなと思いながら眺めていると、バシャ、バシャと昨日の私をあざ笑うかのように、虹鱒がライズしている。これだから釣りは止められない。そう簡単に釣れていては、やりがいがない。九州の渓流で釣りをしている時もそうだったが、初めての川で釣果を得るのは難しく、賢く、学習能力の高いトラウト達のさらに大物と呼ばれる固体を手にするには、釣りの腕以上に運による所が大きいと私は思っているので、昨日のような日でも納得はできる。しかし、バラシと言うのは、後になっても悔いが残るものだが。 次の目的地をここから35km程離れた山中湖に決めていたので、慌てずに身支度を整える。相変わらず、天気の方は、はっきりせずに肌寒い。昨日1日、自転車に乗らずにいたからか、今日乗る自転車を驚くほど軽く感じ、たまには休息が必要であることを思い知らされた。 青木ヶ原の樹海の中を走る道は、歩道が広く走りやすい。気温が低い事もあって、汗をかく暇がなく、気持ち良い。景色と言っても、山や森の木々だけだが、それらを十分に味わいながらの走行は、なんともリラックス気分漂う、のんびりとしたものだ。途中、道の駅なるさわで昼食を取ったのだが、自転車を見られたからか、食堂の人に「傷心旅行かい?」なんて聞かれて、それも良いかもねなんて思いつつも、「リストラ旅行です。」と答えておいた。正直、自分のリストラに関して、傷心を受ける程のショックはないが、その事実を通告されたときの心境としては、リストラに至る過程や理由には、正直、悔しい思いを感じた。私の場合、同じ会社から2度、リストラ勧告を受けると言う体験だった。 1度目は、1年と少し前になるが、当時私が勤めていた工場が半年後に閉鎖される事を、工場を預かる部長から知らされた。会社の方針と時代背景の変化と言う説明だが、一作業員として働いていた者にとっては、寝耳に水の突然の事態である。その時に、私を含めた10名の工場作業員全員の解雇が通告された。その話のあった直後、工場作業員同士の間で、ため息混じりにも雰囲気を和まそうと冗談を飛ばし合うが、乾いた笑いだけが響いていたのを忘れる事ができない。 1年前の1度目のリストラの出来事を思い出しながら、山中湖を目指していた。何だか雲行きがとっても怪しい。自転車の荷物に雨対策を施し、寒さが増してゆくので、防寒着代わりにカッパを着込んだ。山中湖に近づくにつれて、霧が出てきて、さらに霧雨となって行く。道路にある気温の表示は12℃を示している。山中湖は霧雨に包まれ、視界は100m程だろうか。携帯電話を使って、天気予報を確認するが最悪だ。山中湖でキャンプ場に泊まる予定だったが、予定を変更し、芦ノ湖へ向かう途中にある静岡県御殿場市を目指し、途中で軒のある野宿地を見つけようと考えた。山中湖付近を通っているときに素泊まり3000円の宿に誘惑されたが、今日は野宿にしたかったので、先へ進むことにした。御殿場市までの道のりにある峠を越え、下りに入ると、雨足が強くなって行き、さらに、野宿に適した場所が見つからない。3000円の宿に泊まっておけば良かったと、後悔しつつ進んでいると、御殿場市まで着いてしまった。道路の高架の下でどうしたものかと悩んでいたら、道路沿いにあるビジネスホテルが私を誘惑し始めた。雨が降る寒い中を走ったせいもあり、体は冷え切っている。これはもう完全な選択ミスだ。素泊まりの宿を無視した事を後悔しつつ、ビジネスホテルの温かいシャワーの誘惑に負け、高い代償を払う事にした。 |
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| 本栖湖から見た富士山 早朝、まともに見えた富士山です。 |
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| 芦ノ湖で | ||||||
| 梅雨本番だろうか、降り続く雨。全国的に寒いようだが、寒さが苦手なだけに、これから向かう箱根方面の標高が高いので、寒いのだろうかと考えてしまう。虫に刺された足の腫れは、今朝になってほぼ治まり、ほっとしたが、かゆさは残っている。刺された所を数えてみると、両足で40箇所はあった。 箱根の芦ノ湖を目指すが、道は険しいことが予想された。案の定、おもいっきり上ってる。自転車でバランスを取る限界の速度だろうか、スピードは時速4km前後で、左右にふらふらしながら進んで行く。上りが続き、カッパを着ていたせいもあり、外気は冷たいが体が熱く、着込んでいた長袖を脱ぐ。相変わらずの空模様、天気予報でも、この先しばらくは雨らしいので、もう好きにして下さいと言った感じで、雨を受け入れる。 ゆっくり上っていると、対向車から、「がんばれよー!」と声がした。こういう声援は、何度頂いてもうれしい。その声援に、顔をにんまりとさせながら進んでい行くと、トンネルが現れ、どうやら峠は一段落したようだ。トンネルを抜けると雨は激しくなり、下りが続く。自転車を漕がないので体が冷えて行き、ガチガチ震えながら下って行く。国道138号線から県道75号線へ道を進む。芦ノ湖まではすぐそこだが、再び上りが始まると、冷えていた体は、また熱くなって行く。一部、下りがあったおかげで、昼頃に芦ノ湖へ到着した。やっぱり、ここも寒い。 芦ノ湖では連泊の予定で、滞在先は湖の北にあるキャンプ場。設備が充実していて、さらにきれいだ。テント1張りで利用できる料金設定は、ありがたい。おまけに湖面までは、30mほど。昼飯にとインスタントラーメンを作って食べたのだが、冷え切った体が温まり、なんとも言えない幸福感を味わえた。雨の中、テントを張り、雨に濡れないように荷物を中に詰め込み、これからは釣りの時間だ。 雨の中、竿を振る。狙いは虹鱒だ。10投もしない内に”グングン”という鈍い当たり、すかさず合わせると、引きの割には重たい感じがする。これは虹鱒ではないと思い、引き寄せていたのだが、ジャンプしエラあらいをした。その姿はまぎれもなくブラックバスで、体調は35cm程度だが、丸々と太っている。…と、バレてしまう。狙っている魚じゃないだけに、落胆はしなかったが、釣り上げたかったなと思って続行していると、再びの当たり。”グングン”これもバスの引きだ。…また、バレてしまう。本栖湖の2回のバラシで、薄々感じていたが、どうやらこの竿は、腰が柔らかく、合わせによる針掛りが悪いみたいだ。合計4回のバラシや、小さな当たりを針掛りまで持って行けないので、この竿で釣りを続けて行くのが不安になってきた。 休憩を挟み、場所を変えて再トライ。良く見ていると、波立つ湖面に、時折ライズが確認でき、岸際でも40cm位の虹鱒が、小魚を追っているのが見えた。しかし、何度も何度も投じるが、釣れない。こうなって来ると根気がいる。雨の中、投げては巻く、と言った作業をひたすら繰り返す。いつ来るか分からないが、次の瞬間に来るかもしれない。その期待感が、釣人を支えている。 3時間が経過し、当たりは段々と暗くなってきて、夕マズメの時間がやって来た。18:45。岬の地形の突端から投じられたルアー。”ビリビリ”と言う当たりに緊張と興奮が一気に跳ね上がる。大きく、強く合わせを入れる。小気味良い引きだ。バレないでくれと思いながら、慎重に引き寄せる。本栖湖では、悔しい思いをしたが、ここ芦ノ湖へ来て、ようやくの御対面。虹鱒にしては小ぶりだが、うれしいトラウトを手中に収めることができた。 その後、すぐにもう1匹が釣れる。 何時間、何回と投じたのも全てはこの時のため、釣れない時間が長かっただけに、うれしさも大きくなる。なんにせよ、釣れると言う幸運が来たことに感謝したい。 |
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| 虹鱒とその塩焼き サイズは27cmと虹鱒にしては小ぶり。しかし、うれしい1匹です。塩焼きにして食べました。正直、塩焼きならヤマメの方がおいしいかな。 |
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| 寒い! | |||||
| 富士五湖から箱根は、いつもこんなに寒いのだろうか。全国的に寒いらしいが、間もなく7月だと言うのに、ここ5日間私が着ているのは、Tシャツ、長袖のシャツ、薄手のフリース、さらに、カッパ。昨晩も寒さで何度か起こされ、朝起きたときには、猫のように丸まっていた。 今日1日は、芦ノ湖で釣の予定。しかし、冷たい雨が降り続いていて、冷え込んでいる。目覚めこそ良いが、なかなか寝袋の中から出られないでいた。しかし、昨日の虹鱒の事を考えると、今日は釣りをしたい。寒さに負けそうになりながら、外へ出ると、どんよりした空模様と、立ち込める霧が、気分的に寒さを増幅させる。コーヒーを入れて飲むが、体は温まらない。”それでも釣りをする”一人心の中で叫び、いざ湖面へと向かった。こんな天気でも、釣人は私だけではなく、数人の姿が確認できる。みなさんがんばるなーと思いつつ、自分もがんばるなーなんて思う。単なる”釣りバカ”と言う声も聞こえてきそうだが。 釣り開始から4時間が経過したが、一向に来る気配がなく、全くの無反応。昨日釣れたからと言って、今日釣れる保証はないのだが、やはり期待が大きかっただけに、悔しい。 集中力が薄れていくにつれて、寒さが身に染みて来る。ひとまず、朝食のために休憩を入れた。 この旅での朝食は、ホットケーキが多い。理由は簡単で、ホットケーキミックス事態が保存しやすいからだ。もちろん焼かないといけないのだが、フライパンが小さいので、1回で焼ける大きさは直径7〜8cm程度。したがって何度も焼かないといけない。それに、コンデンスミルクをかけて食べる。このコンデンスミルクも常温で保存できるのが良く、他の使い方として、コーヒーに入れたりもできる。 朝食を食べ、再び釣りをしようと思うが、あまりの寒さに手足がしびれてきた。おまけに少し頭痛もする。他にどうする手段もなく、テントの中の寝袋に潜り込んだ。が、連日の雨のため、寝袋が湿り気味で、なかなか温まらない。頭も寝袋の中に入れ、自動販売機で買ったホットコーヒーを抱き、丸まって寒さを凌いだ。しばらくすると、ようやく温まってきて、そのうちに眠ってしまっていた。 13時頃に目覚め、どうしたものかと考えていた。なぜかと言うと、自動販売機でコーヒーを買う時に、そこに居たおじさんに、芦ノ湖での釣りの近況を聞いてみたのだが、「ちょっと時期が遅いかもね。もう深場に移動していて、この辺で釣るのは難しいだろうね。」と言われていたからだ。寒いから勘違いしていたが、触ってみた湖の水温自体はそれほど低くない。元来、トラウト達は冷水域を好み、釣りの本によるとヤマメの場合、15℃をピークに、それから上がっても、下がっても活性は落ちるらしい。虹鱒の場合は、ヤマメより高温に対応できるのだが、活性を考えた適温としては、時期 が遅すぎたようだ。とは言え、釣りと言うのは釣りをしなければ絶対に釣れない。可能性が低くても、あきらめてはいけないと思い、再び湖面へ向かった。 全く釣れず、反応がなく、集中力は落ちて行く。強くなる雨と風に、もはやくじけそうだ。頭痛は激しさを増し、震えが体を襲う。自転車旅の事を考え、少し未練が残るものの、竿を納めることにした。 トラウトをターゲットとした湖の釣りは、九州ではなかなかできない。まして、大きな虹鱒や怪物と呼ばれるブラウントラウトを専門に狙える場所があるだろうか。本栖湖と芦ノ湖での釣りを終え、何とか虹鱒は釣れたが、再び訪れ、大物と出会いたいと言う想いが強くなってしまった。 |
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朝食です。 |
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| いろいろな道 | ||||
| この寒さに耐えるのも今日までだ。芦ノ湖を離れるのは少し残念だが、今日の目的地神奈川県三浦市に着けば、少しは温かくなってくれるだろう。そんな期待を持ちつつ、芦ノ湖を後にした。 国道1号線に入り、峠を一つ越えれば、後は快適だ。小田原市までは、超特急で下って行く。箱根駅伝で目にする景色を眺めながら行くのだが、実際にはそんな余裕はない。荷物を積んだ自転車はブレーキの利きが悪く、さらに雨のせいでタイヤのグリップが悪く、猛スピードで下っていくのは危険すぎる。晴れていたら、豪快に飛ばしていくところだが、仕方がないので、ゆっくりと下って行く。と言っても、スピードは30km以上は軽く出ている。ちなみに今日の最高速度は時速49.7km。場合によっては、スピード違反で捕まってもおかしくない速度だ。上りの時は時速4〜6kmなので、このスピードの差が、自転車の面白いところだと私は思うし、この下り坂が快感で、苦しい上りにも耐えることができるのだ。 雨に濡れながらとは言え、長く続く下りのおかげで、あっという間に小田原市に到着した。今日は100km以上走る予定なので、先を急ぐことに。 いつもはしょうがないなと思っていたが、今日はさすがに頭に来たので、蓄積した怒りを列挙してみました。 ・自転車通行可の歩道を走行中に、T字路で右折をしたいのだが横断歩道がなく、おまけにガードレールがあるので遠回りを強いられる所。 ・自転車通行可の歩道を走行中に、高速道路の入り口があり、歩道が途切れる所。 ・自転車通行可の歩道を走行中に、有無を言わさず国道からそれて行く所。 ・自転車通行可の歩道を走行中に、大きな交差点にぶつかると、地下道や陸歩道橋を通ることを強要する所。最悪の場合、それすらないところもある。 ・人や自転車が通ることを想定していないトンネル。 ・橋にぶち当たると、歩道がなくなる所。 少々(おもいっきり)愚痴っぽくなったが、自転車に乗っていると、結構これらの事に遭遇する。列挙していく内に、自分でも嫌な気分になって来たので、この辺にしておこう。これとは逆に、走りやすい道もある。高知県の道は、自転車にとって本当に走りやすい場所が多かった。そういう所では、景色を見る余裕が生まれ、全体として良い印象が残っている。 逗子市辺りで、上記の道に遭遇し、道に迷ってしまったが、雨の中無事に三浦市城ヶ島にあるユースホステルに到着。昨日、電話で予約しておいたのだが、対応がとっても親切で、自転車で行くと言うと、「気をつけて。」と言ってくれただけのことはあり、実はこのユースホステルの職員さん、若き頃、日本全国を旅をして回っていたそうで、私の姿を見て大変喜んでくれた。最近は、自転車旅で、このユースホステルを利用してくれる人が減ったともらし、しばらく若い頃の話を聞かせてくれた。中でも「根っからの旅好きになってしまうと、社会復帰が大変だよ。」と言っていたのが、失業中の私には、痛く聞こえた。今は旅の最中で、考える余裕がない、と言うより少し逃避しているが、現実問題として、旅を終えたときの事を考えると少し不安な部分がある。30歳は若い。まだまだ、これからの人生。いろいろな道が待っているだろが、とにかく今は、自転車旅を楽しむことにしようと考えながら眠りに着いた。 |
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| 友人との再会 | ||||
| 朝起きると、部屋に陽が差し込んでいる。久しぶりに見るその光に安堵感を感じたが、空模様を見ると、そんな余裕はなさそうで、雲の隙間からわずかに太陽が顔を覗かせているだけだった。 神奈川県三浦市久里浜から千葉県に向かうフェリー乗り場を目指し、城ヶ島ユースホステルを出発する。海岸線に出ると、浜辺の海の家が新装や改築をしていて、海開きが近いことを感じさせる。しかし、この所の夏らしくない気温のせいで、それらの状況にいまいち実感が湧かないでいた。 旅に出る、あるいはどこかに出かけるときでもいいが、フェリーに乗ると、何か気分が高揚するような感じがする。なぜかと言うと、フェリーを降り、新たな土地に降り立った時に、新たな旅路が始まるような気がし、さらに、乗る前と降りた後の景色が一変するからである。今回はわずか30分程度の乗船だったが、海を進むフェリーから、目的地の陸が見えたときには、これから始まる道のりへの期待感が膨らんで行った。 今日は千葉県市原市で学生時代の友人に会う。その友人は福岡県北九州市出身で私とは変な縁があり、高校、大学、大学院と9年間も同じ学校に通っていた。友人との待ち合わせは市原市に19:00の予定だったので、急ぐ必要もなく、海沿いにのんびりと自転車を漕ぎ出した。 左手に海を眺めながら進んでゆくのだが、気になるのは天気の事ばかり。しょっちゅう空を見上げては、今にも降り出しそうな雲に、今日は降るなよと祈っていた。道の方は、少々のアップ・ダウンがある程度だが、やたらと土砂を運ぶダンプが走っていて、通るたびに砂ぼこりが巻き上がり、風圧と共に私を襲う。あまりの攻勢に、それを避けるように広い国道から、脇を通る県道に道を変え、市原市を目指した。 16:00に待ち合わせ場所に到着した。時間があるので近所のファミリーレストランに入り、時間までのんびりさせいて頂くことにした。コーヒーを横にパソコンを立ち上げ、ホームページのアップや他の旅人のページを見て過ごす。やがて日が落ち始め、工業地帯の職場から大勢の人たちが足早に帰宅し始めた。空にある雲が段々と赤く染まって行き、夕焼け空になって行く。久しぶりに見るきれいな夕焼け空を、飽きる事無く日没まで眺めていた。 友人の都合もあり待ち合わせの時間を20:00に変更し、待ち合わせ場所に移動。程なくして友人が姿を現した。懐かしい顔に自然と顔がほころび、旅に出て一人になる時間が多かったこと事もあり、気持ちが穏やかになって行く。その後、友人の自宅へ移動。社寮と言うこともあり、本来、部外者を入室させてはいけないので、悟られないように部屋に入る。その夜は近くの居酒屋で、再開を祝して飲むことに。学生時代の友達とは不思議なもので、久しぶりに会っても、学生時代と変わらぬ雰囲気で話をすることができる。自転車旅の話に始まり、お互いの近況や、これからの事、日々感じている様々な思いを語り合った。 友人は明日、明後日と私用で出かけるものの、その間、部屋を自由に使ってくれの事。さらに月曜日には、私のためにわざわざ休みを取ってくれていた。ここはお言葉に甘えて、ゆっくりさせて頂く事にした。部外者の立ち入り禁止で、少々不便だが、屋根があり、電気がある事だけで十分すぎる。 |
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| ファミリーレストランの窓越しに見た夕焼け | ||||
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| くつろぎの日 | |||
| 習慣になってしまったのだろうか、朝5:00に目が覚める。何故か友人も起きていたので、二人で朝風呂に入る事に。大きな浴場で、お風呂の温かさが身に染み渡る。久しぶりに湯船に浸かり、今日1日ゆっくりできることを考えると、気が緩んで行く。友人が出かけるのを見送った後、一人になり横になっていたら、昼まで眠ってしまっていた。 そのまま寝ていようかなんて思ったが、せっかくなので、ネットを楽しむことにした。とは言っても、これからの旅での有用な情報を得るためだが。途中テレビを見たり、おもいっきりくつろいでいたのだが、…眠い、再び眠りについてしまっていた。 夕方に目を覚ますと、外は雨が降っている。明日はもっと激しくなるらしく、明日もここに居られる事に感謝した。色々とネットを徘徊していると、富士の本栖湖を目指す際に、野宿先で刺された虫の情報を発見した。どうやら”ブヨ”と言うやつらしい。正式な名称は”ブユ”。きれいな流水がある所で繁殖しているらしく、渓流などにも多く居るらしい。刺すではなく、皮膚を噛み切り、血を吸い、その時に人体に有毒な物質が入り、かゆみと腫れを引き起こすらしい。時には足が血まみれになることもあるそうだが、私のふくらはぎも血まみれになっていた。ひどい場合には頭痛や発熱をともなうそうだ。この情報を知っていくうちに、蚊がかわいく見えるほど、とても怖い虫であることが判明した。そんな場所に膝丈のズボンで入っていったので、恐ろしいことをしていたのだなと感じ、襲われた割には軽症(?)だったのでホッとしている。九州の渓流で、それらの虫に出会ったことがなかったので、無警戒だったが、この先出会う確立は高く、警戒が必要だ。慣れている人は免疫ができ、さほど問題にならないらしいのだが、前回の経験で私にも免疫ができていれば、いいのだが。 屋内に1日中居たなんて久しぶりだ、体的にも精神的にもゆっくりとくつろぐ1日が過ぎて行った。 |
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| 贅沢な1日 | |||
| 贅沢を言ってはいけないが、会社寮はなかなかにして手強い。本来、部外者は立ち入り禁止、トイレに行くにも一苦労で、人気がしてはすばやく部屋に戻るような感じだ。ご飯を食べるのも、気軽に外に出られないので、買いためたカップラーメンをすする。ちなみに、お湯を沸かすのもキャンプ道具のストーブで沸かしていた。まあ、外食してお金がかかるよりも良いのだが。友人は昨日から泊まりで外出中、したがって、今日も一日中、友人の部屋に居ることになった。 外は雨の予報だが、降る様子がない。こんな時は、天気予報も外れるんだよなと思うが、天気は気まぐれというもんだ。天気予報を確認すると、遥か南に台風が発生しているものの、雨は少なそうだ。一気に距離を稼ぎたいと考え、宿泊地となるキャンプ場の情報を調べていたのだが、利用料金が高く、よさそうな所が見当たらない。出費を抑えたいが、自転車ゆえ、移動距離が限られるだけに、そんなにうまく行くわけがない。 少し暇になり、ビデオを見たり、音楽を聴いて過ごす。旅に出る前は、なんでもない事だったのだが、少々の不便はあるものの、何かとても贅沢な感じがしてきた。旅に出て1ヶ月が過ぎようとしているが、旅先でこんなにのんびりできるなんて、あらためて友人に感謝するのだった。 |
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