| 9月 (見たい日のタイトルをクリックして下さい) | ||||
| 日付 | タイトル | 現在地 | ||
| 9/1 | (日) | くさげんさんと支笏湖へ | 北海道札幌市 | |
| 9/2 | (月) | 誘惑のネオン | 北海道札幌市 | |
| 9/3 | (火) | 感謝です。 | 北海道札幌市 | |
| 9/4 | (水) | 余市川 | 北海道余市郡仁木町 | |
| 9/5 | (木) | も〜さんとの再会 | 北海道虻田郡倶知安町 | |
| 9/6 | (金) | 訪れた幸運 | 北海道虻田郡倶知安町 | |
| 9/7 | (土) | 気になる事 | 北海道寿都郡寿都町 | |
| 9/8 | (日) | 初めての出会い | 北海道瀬棚郡北檜山町 | |
| 9/9 | (月) | 5周目チャリダー | 北海道桧山郡厚沢部町 | |
| 9/10 | (火) | 輪 | 北海道松前郡松前町 | |
| 9/11 | (水) | コミュニケーション | 北海道上磯郡知内町 | |
| 9/12 | (木) | 再び函館へ | 北海道函館市 | |
| 9/13 | (金) | も〜さんと過ごす | 北海道函館市 | |
| 9/14 | (土) | 再び本州へ | 青森県北津軽郡小泊村 | |
| 9/15 | (日) | 雨雲に好意を持たれながら | 青森県五所川原市 | |
| 9/16 | (月) | 八甲田山への道 | 青森県青森市 | |
| 9/17 | (火) | 定まらず | 青森県青森市 | |
| 9/18 | (水) | 足止め | 青森県青森市 | |
| 9/19 | (木) | 奥入瀬の渓 | 秋田県鹿角郡小坂町 | |
| 9/20 | (金) | 米代川を見る | 秋田県鹿角市 | |
| 9/21 | (土) | インパクト | 秋田県仙北郡太田町 | |
| 9/22 | (日) | 目前のヘタレ | 山形県最上郡金山町 | |
| 9/23 | (月) | 秋分の日 | 山形県最上郡金山町 | |
| 9/24 | (火) | 降るんだな〜 | 山形県新庄市 | |
| 9/25 | (水) | 降雨確立 | 山形県東根市 | |
| 9/26 | (木) | かけることば | 山形県南陽市 | |
| 9/27 | (金) | ススキの道 | 山形県北蒲原郡黒川村 | |
| 9/28 | (土) | やれやれ | 山形県北蒲原郡黒川村 | |
| 9/29 | (日) | ・・・様子を | 山形県北蒲原郡黒川村 | |
| 9/30 | (月) | スレ気味 | 山形県北蒲原郡笹神村 | |
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| 9/1(日) 90日目 現在地:北海道札幌市 きよさん宅 | |||||
| くさげんさんと支笏湖へ | |||||
| ”釣り情報”、初めての釣り場ではそれが頼りになる。北海道に入ってからは、千歳在住の”くさげん”さんが、ホームページのカキコミで私の行く先の河川の情報を教えてくれていた。今日は、そのくさげんさのお誘いで、一緒に支笏湖へ行く予定を立てていた。 きよさんの部屋での朝を迎えたが、南向きの部屋のためか、暑く感じる。自転車での移動はないものの、釣りに行く朝なので、空模様が気になり見上げてみたが、曇り空が広がっている。くさげんさんが、車で迎えに来てくれるので、雨が降ったとしても、濡れる心配はない。しかも、多少濡れても、帰ってくるのはテントではなく、きよさんの部屋と言う事で、その曇り空を歓迎していた。 待ち合わせの時間まで、日記を書くことにしたが、電気に困らず、夜でも手元が見える明るい環境を得られるので、いつでも書けるな〜などと余裕をかました為か、作業は一向に進まない。 人間余裕が生まれると、ぐうたらになってしまうのだろうか、とまで考え始めたが、こんなにゆっくり出来る環境もないので、休日と言う事で良いだろうと考えていた。 そうこうしていると、くさげんさんから電話があり、近くまで来た事を告げられる。釣り道具を持って、くさげんさんの待つ場所まで行き、対面となった。 「初めまして。」 とは言うものの、やはり、メールでやり取りをしていた人と会うのは、不思議なものだ。とにかく、私の支笏湖での釣果を知ったうえで、休日を割き、支笏湖リベンジに誘って頂いた事を感謝した。 車に乗り込み、一路釣具屋さんを目指す。せっかくなので、何処か行きたいところがあればと言う言葉を、メールで頂いていたので、釣具屋に行きたい事を告げていた。くさげんさんとしては、そのような意味で言っていたわけではないのだろう、”さすが釣り氏”と言う突っ込みを受けていた。 札幌駅に程近い大きな釣具やさんに到着。北海道の釣具屋さんは、その環境のためか、トラウト用の商品が豊富だ。逆に、北海道にはブラックバスがあまり居ないので、九州で豊富な、ブラックバス関連の商品がない。店内を見回し、お目当てのルアーを購入した。 くさげんさんの運転で、札幌から千歳へ進む。くさげんさんは釣りを趣味としていれば、自転車でのツーリングもやっている人なので、話題には事欠かない。道中、北海道での釣りの話しをしたりしていたのだが、昨今の釣り人の増加で、やはり魚へのプレッシャーが高く、大物の釣果を得がたいと言い、特に支笏湖では、あまり良い思いをしていないと言っていた。 怪しい雲行きは、南に行くほど、その度合いを強め、とうとう降り始めた。 |
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| 千歳に着き、まずは私的には、非常に興味のもてる”千歳サケのふるさと館”に案内してくれた。千歳川に隣接し、トラウトを中心とした淡水魚の水族館で、しかも、建物の地階から、ガラス越しに千歳川の川の中の様子を見ることができる。サケが遡上するシーズンには、川を覆うほどの数のサケの姿を見ることができるらしい。規模の割には、入場料が少々高いような気もしたが、くさげんさんのお気遣いで中へ入る。 大きな水槽には、イトウ、ニジマス、ブラウントラウト、チョウザメが居るが、ニジマスさんはかなり肥満気味で、食用に改良されたドナルドソン・ニジマスのようだった。しかも、水槽に飼われるトラウトは、なぜかひれが貧弱な姿をしていて、ちょっと本来の姿じゃないだろうというような感じだ。 もちろんサケの幼魚もいるが、はっきり言って、トラウトたちの小さい頃の姿というのは、似たり寄ったりで、なかなか区別がつきにくい。 地下から千歳川を覗いて見たのだが、圧倒的にコイ科のウグイの姿が目に付く。サケの遡上シーズンには、遠いので、居るはずもない。しかし、数は少ないが、ヤマメの姿を見ることができた。流れの中を泳ぎながら、水面を流れてくる何かを捕食しているようだ。ネイティブなヤマメの水中での姿を、目の当たりにするのは、稀な事だろうと思い、その姿に見入っていた。 |
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| やまめ 絶えず泳ぎながら、水面に向かってライズしていた。こうしてヤマメが捕食する姿を見れるのは、とても楽しい。 |
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| サケのふるさと館を後にして、ラーメンやさんで、敢えて博多とんこつを御馳走になる。とてもおいしいのだが、博多は微妙だなと思いながら、食べていた。 千歳から、支笏湖を目指すのだが、道中には私も釣りをした、千歳川が流れているので、少し釣りをしてみる事にした。ちなみに、くさげんさの話しでは、川面に入りやすいので、この場所の魚は、相当にスレていると言う事だ。案の定、全く反応はない。私が自転車で来たときも、全く反応はなかったので、なかなか手強い魚しか居ないようだ。しかし、くさげんさんは、この川で尺上のヤマメをキャッチした事があると言っていた。やはり、このような川で釣果を得るのは、根気が必要そうだ。 小雨も混じっていたので、そうそうに切り上げ、本命の支笏湖を目指した。支笏湖が近づくと、霧が出だし、雨も強くなっていった。 当たり前だが、車の足は速いので、すぐに到着。車の行動力と、くさげんさんの経験を元に、数箇所で竿を振ることにした。初めに、恵庭岳の西にある道道を通り、支笏湖オコタン野営場の付近へ行ってみたのだが、キャンプ場の入口で入場料をとられてしまう。”無料だったんだけどな〜”と、くさげんさんが言っていたが、仕方がないので払う。数人の釣り人と、キャンプをしている人が居る。天気のせいなのか、場所のせいなのか、同じ支笏湖でも、私の利用したキャンプ場の賑わいには、程遠い雰囲気だった。 湖面に降り立ち、ルアーをキャストしてみるが、反応はない。湖の釣りでは、相手が回遊している場合が多いので、出会う確立は低いだろう。それでも、試みるが、見渡す湖面に魚のライズすら確認できないお寒い状況だ。早々にポイントを変える事にした。 続いて入ったのが、くさげんさんの実績ポイント。雨が降っているとは言え、数人の釣り人が居る。それに混じり、ルアーをキャストするが、やはり渋い。”釣れる”その一瞬のために繰り返されるキャスト。根性と執着心が要求されるような展開だ。それ故、釣り上げた1匹の重さも大きいと言うものなのだが。しかし、雨混じりの寒い中、湖面に魚の気配すら感じられず、キャストを繰り返すというのは、いくら釣りバカな人と言っても、結構つらいものがある。しばし休憩を入れようと、車に戻り、ホットコーヒーを頂く事にした。 2人して、”こんなもんでしょうね。”と言い合う。それ程までに確立の低い釣りであると言える。それが面白いのだが。車の中、釣りの話や、旅の話しをしていたのだが、辺りが暗くなってきた。私が支笏湖を訪れたのは、1ヶ月も前の夏の盛りの時期だったのだが、今は湖面を覆う木が、微かに色付き始め、夏の終わり、秋の入口を感じさせられる。他の釣り人たちが、竿を納め始めた。くさげんさんとの出会いと、共通する趣味の話しを楽しんだという事にして、我々も竿を納めることにした。 旅の道中、見知らぬ土地での、ホームページを通じての出会い。Webの力とその楽しさを感じながら、少しだけ旅の裏話を暴露しつつ、帰路に発った。 |
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くさげんさんと |
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| 9/2(月) 91日目 現在地:北海道札幌市 きよさん宅 | ||||
| 誘惑のネオン | ||||
| きよさんの部屋と言う事で、すっかりくつろぎモードに入ってしまった私、かなり緊張感がなくなっている。しかし、習慣とは恐ろしく、ゆっくり寝ていようと言う腹づもりに対して、体の方が正直なのか、明るくなった5時には目が覚めてしまう。2度寝に入るものの、寝れない。 部屋を借りるときの天気予報では、明日までは、雨の混じる予報だったのだが、今日になって、一転し、その気配が全く感じられない。私の頭は既に、明日まで部屋を借りる予定だったので、今日はまだ気ボケの領域の中にいた。 朝食を取り、日記を書こうとパソコンに向かってみるが、ネットを楽しめるので、他の旅人のページを見たりして、一向にはかどらない。 それにしても、携帯のメールでもそうだが、便利になった事を感じる。旅の道中で出会った旅人からのメールが届いていた。 阿寒湖で出会った、ネモッチさんは、峠を見ると燃えるタイプらしい足取りで、北海道を満喫し、家に戻った事を告げていた。 釧路町の公園で出会った女性チャリダーのMさんは、北海道から名古屋まで完走した事を告げていた。 そして、福島県のいわき市できよさんと共に出会った札幌発日本一周ライダーのKさんが、無事に札幌に帰りついた事を知らせてくれた。ちなみに、Kさんは、途中で財布を盗まれるというアクシデントに会い、大変な思いをしたようだが、1ヶ月半、12000kmの旅路の完結だ。 旅の最中では、一瞬の出会いだったが、こうしてリアルタイムにメールを交換でき、さらに、札幌でのOさんや、くさげんさんとの出会いを可能にし、そして、Webページを持つ旅人との交流を可能にした通信機器。重く、電気を必要とする厄介なパソコンを持ちながらの自転車旅に出て良かったと強く感じていた。 ホームページを更新しながらの旅と言うスタイルは、私の場合は、友人のふうじんが勧めてくれた話しだ。それまでは、パソコンの事なんかあまり知らないし、携帯電話ですら、メールなんてあまり使っていなかった。しかし、今はそのメールのやり取りから、多くの力を頂いている。 パソコンを購入にするに当たっては、臨時的な金銭収入があったと言うこともあるが、強引に電気屋さんに連れて行ったふうじんに感謝しなければならない。その後のホームページの製作や、Web上の知識も、ふうじんから教えてもらったものだ。旅に出た道中でも、常にメールの交換をしている。仕事をしながらの忙しい身でありながら、ホームページの管理も手伝ってもらい、私の旅路の負担を相当に軽くしてくれている。感謝です。 |
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| 私には釣りと並んで、はまっている趣味がある。パソコンの購入や旅の資金を提供してくれた趣味なのだが、それはパチスロである。旅に出てから3ヶ月間、一度も打っていない。釣りと同じで、初めての場所で、良い思いが出来る可能性が低いからだ。しかし、きよさんの部屋の窓からは、私を誘惑するネオンが見えている。”久しぶりに打ちたい。”が正直な所だが・・・、と少しだけ悩み、誘われるままに、パチンコ屋に入店。しかし、この業界の移り変わりは激しすぎる。知らない台ばかりが並んでいる。さすがに、それらに手をつけていたのでは、自殺行為そのもの。あっさりと店を後にした。 旅の道中、”旅打ち”が実現する日は来るのだろうか。旅の資金も心細いので、よほどの覚悟が必要になってくる。いやいや、ギャンブルなんてするものじゃないとも思っているが、せいぜい遊びの範囲を超えないようにしよう。と思いつつ、明日には何処かのお店に足を運んでいるかもしれないな。 しかし、世間は不況のはずだが、大金を投じている人たちの姿を目にする。見ているこちらが怖くなるほどだ。まだまだ、余裕があるのかな。 |
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| 9/3(火) 92日目 現在地:北海道札幌市 きよさん宅 | |||||
| 感謝です。 | |||||
| きよさん宅での3度目の朝を迎える。当初の天気予報とは異なり、全く雨が降らない。こなんものだなと言う印象を持つしかないが、こんなに晴天が続くのも、北海道に入ってから初めてではないだろうか。 あまりにも、便利な環境なので、自転車旅をしている事を忘れそうだ。日記を書きためてしまっているのが、その証ではないだろうか。しかし、明日出発する予定なので、そうのんびりもしていられない。パソコンに向かい、日記を書き始めた。 しばらくすると、きよさんからのメールが届き、1人のチャリダーさんが、私と同じくこの部屋を拝借しに来る事を告げられる。その彼の名は”ぶんた”くん、きよさんが、日本一周の旅を開始して間もない頃に北海道で出会った方だ。きよさんの度量の広さを感じながら、その彼の到着を待った。 お昼頃になり、ぶんたくんから連絡が有り、札幌市に到着した事を告げられ、間もなくして到着。身長が有り、良い顔をしている。 その後、ぶんたくんと共に散髪に出かける事にした。空に荷の自転車を駆り、安そうな散髪屋さんを探していたのだが、大通り公園に近い場所で、2000円程でカットできるお店を発見し、迷わず入店した。落ち着いた雰囲気のあるお店には、2人の店員さんが居る。早速カットが始まったのだが、無造作に伸びていた髪を見たからか、話し方に違和感を感じたからか、旅の身であることがバレてしまう。別にバレても良いのだが、おかげで会話をしながらの散髪となった。しかも、料金に対する設定外の洗髪をサービスしてくれる事になった。 きよさんの部屋に戻ると、陽が降り注ぐ南向きの部屋と言う事で暑い。もう9月なのにと思いながら、ぶんたくんと北海道での天候の話しをしていると、彼女さんがやって来た。暑さを気にしてのアイスの差し入れだった。しかも、今日彼女さんのお宅で行われる焼肉に招待されていた。部屋を拝借させて頂けるだけで、十分すぎるのにと思い、さらに感謝を感じながら、確かに暑いきよさんの部屋で、そのアイスを頂いた。 札幌に入ってからは、人のお世話になりっぱなしだなと思いながら、彼女さんのお宅へ向かった。着くとベランダで焼肉の準備をしていた。今年の北海道は8月に、らしくない天気だったので、外での焼肉は今年初めてだと言っていた。9月だと言うのに、やはり地元の方も戸惑うほどの夏だったようだ。 彼女さんのお父さんとお母さん、町内会長さんと共に焼肉を頂く。お肉以外にも、カレイ、イカ、そしてお父さんが釣ってきたヤマメと、すごいボリュームだ。 楽しい会話を交え、御馳走を頂きながら、きよさんと出会わなければ、実現しなかった事なんだよなと思わずにはいられなかった。 きよさんの部屋は、きよさんが長期外出しているので、ガスを止めてある。したがってお風呂に入れないのだが、その事情を知っているので、お風呂にも入れてくれた。お風呂の後には、食後のデザートまで頂く。 帰りも、車で送ってくれたのだが、札幌市内の夜景が望める公園に連れて行ってくれた。快晴の夜空の下に広がる札幌市内の明かりは、その喧騒が遠く、静かな絶景を提供してくれていた。 初秋の夜の冷え込みが、昼間の暑さを吹き飛ばし、気持ちが良い。縁と恩を感じながら、まだまだ続く旅路へ新たな想いをめぐらせていた。 |
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| 彼女さん一家と お世話になりました。 |
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| 9/4(水) 93日目 現在地:北海道余市郡仁木町 余市川沿いの土手 | |||||
| 余市川 | |||||
| きよさん宅での最後の朝を迎える。しばらく暑い日が続き、雨の心配もなかったので、窓を全開にして寝ていたのだが、涼しい風が入ってきて、寒いくらいになっていた。天気予報でも、今日から秋らしい涼しさが来る事を告げていたのだが、外へ出るとからっとした涼しさを感じる事ができた。 今日出発しなければならないので、のんびりとはしていられない。と思っていたが、きよさん宅での生活でのんびり癖がつき始めたのか、手際が悪い。予想していた展開だが、日記や出発の準備をしていると9:00近くになっていた。 昨日から同居しているぶんたくんに、荷物を運ぶのを手伝ってもらい、短かったが、その出会いを記念して写真をとり別れを告げ、見送られる中出発した。 |
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| ぶんたくんと 共に散髪をして、すっきりとした2人。精悍な顔つきのぶんたくん。やっぱりかっこいい。 |
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| 一路小樽方面を目指すが、札幌市内の碁盤の目のつくりの為か、信号が多い。北海道に入って、札幌市に入ってくるまでに、通過した信号の数よりも多いくらいの信号を通過したのではないだろうか。 市街地を抜け始めると、向かい風が強くなってきた。また、向かい風だと思ったが、北海道は風の吹かない日がないなと言う印象の方が先に来る。 海沿いの道に来ると、鮮やかな秋晴れのような空の下に、きれいな海が広がっていた。しかし、向かい風の強さが増し、しかも何気に坂が多く、アップ・ダウンが続く。この時点で、今日の移動の修正を考え始めた。しかし、目標としていたキャンプ場の他には、道中には適したキャンプ場がない。”困ったな〜”と思ったが、この考えも結構甘ったれている。キャンプ場の多い北海道の便利さに染まりつつあるなと感じ、こんな事では、この先の本州で困るぞと思い、久しぶりに野宿の事を考え始めた。 地図を見る限りでは、小樽まではすぐに着くだろうと感がえていたが、何気な坂は、三陸の様相を呈し、以外に時間がかかってしまう。しかも、小樽市内に入っても、その何気さが続く。 ようやく、小樽運河に到着し、一休み。平日だと言うのに結構観光の方がいらっしゃる。テレビや写真で良く目にする運河を眺めながら、やっぱり、夜に見るべきだなと思いながら、写真を撮っていた。 小樽を後にしても、坂と風が続く。しかし、秋を感じさせる空と涼しさのおかげで、ほとんど汗がでず、自転車で走るには一番良い時期かもしれないと感じていた。 余市町に着き、海沿いの道から一転、峠方面を目指す。道東や道北とは明らかに違う山の景色を見ながら走っていた。その山たちを水源に持つからだろうか、やはりずい分と違う印象を持たせる余市川の流れがそこにあった。きよさん宅に滞在中に、一緒に支笏湖へ釣りに行ったくさげんさんの話しでは、この余市川にはヤマメが居るとの事。その言葉通り、川の様子は、結構そそるものがある。時刻は15:00を過ぎ、そろそろ野宿地の事も気になり始める時間帯だ。 野宿地と釣り、そんな思惑を持ちつつ、道路をはずれ、川沿いの道を進んでいると。テントを張れそうな場所が見つかった。”これは釣りをするしかないな。”そう思い、即行で支度をと整え、川面へ降りていった。 川には多少の落差があり、分かりやすいポイントが点在している。入渓しやすい事を考えると、厳しい事が予想されたが、数投目のキャストで、小さな当たりがあった。引き寄せると、12cm位のかわいいヤマメが付いていた。一応ヤマメが居る事が確認できたので、そのヤマメに感謝してリリースする。再びキャストを続けたが、そんなには甘くない。なかなか次の当たりが来ないでいた。 流れを見ていると、ライズが確認できるが、サイズ的には、先程釣り上げたヤマメと同じくらいだろうか。そんな中、再びの当たり、案の定12cm程のヤマメだった。 場所を変え、見た目に、大きな魚が潜んでいそうな所に移動した。願いを込めるような気持ちで、キャストを繰り返したが、結局当たりはなし。しかし、その流れの中、海から遡上してきたのだろうか、50cmはあろうかと言うサクラマスがジャンプしていた。 釣りを断念し、堰堤の脇の土手にテントを張った。堰堤の上を覗くと、2匹の50cm位の魚が、寄り添うように泳いでいた。鯉かなとも思ったが、良く見ると、サクラマスのペアだった。こんな姿は、九州では絶対に見ることができない。暗くなって行く空の下、この川の力を感じながら、寄り添うサクラマスの姿を飽きる事無く見ていた。 |
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| サクラマスのペア 見えるかな〜。確かに2匹のサクラマスが写っているはずです。 |
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| 9/5(木) 94日目 現在地:北海道虻田郡倶知安町 旭ヶ丘公園キャンプ場 | ||||
| も〜さんとの再会 | ||||
| サクラマスの居た堰堤を流れる水の音に起こされる。昨日は、秋晴れを感じた空だったが、今朝は秋を通り越したような冷え込みだ。テントから出て空を見上げると、筋上の雲があり、昨日と同様の秋空を感じさせた。 夜露で濡れたテントを強引に撤収し、倶知安を町目指して出発した。 倶知安町では、北海道初日にお世話になったも〜さんに、会える予定だった。も〜さんからは、私が北海道を旅している間も、頻繁にメールでキャンプ場などの情報を頂き、とても助けられていた。 昨日、も〜さんからのメールで、倶知安町のキャンプ場に居る事を知らされていたので、そのキャンプ場を目指す事にした。 道には2つの峠が控えていた。地図の上では、その道の様子、要するに坂の具合が分かりにくい。しかし、その2つの峠の情報も、私が札幌でお世話になっていた部屋の主のきよさんから頂いていたので、気負う事無く、ペースを保ちながら進んで行けた。 そんなやり取りを続けながら、Webの助けなしでは、進めないとまでは言わないが、依存する割合が増えていくような気がしていた。 倶知安町が近づき、も〜さんにメールを送ると、倶知安を離れていたが、倶知安を目指しているとの事。キャンプ場で待つのもいいが、その間に、買い物や、ホームページのアップをする事にした。 主に北海道に広くチェーン店を持つホームセンターに行き、調理器具のストーブのガスを購入する。ちなみに、この町にこのホームセンターがあるのも、Webで調べておいたものだ。 ホームセンターの向かいにあった公園で、パソコンを立ち上げていると、も〜さんから電話があり、倶知安に戻ってきた事を知らされた。この場所に居る事を告げ、作業を続けていると、も〜さんがやって来た。私が函館を出発してから、約1月半。久しぶりの再会だ。 サイクルジャージに身を包んだも〜さんだが、歩き方がぎごちない。聞くと、昨日倶知安町にある後方羊蹄山に登ったとの事。少々分けありで、片道4時間の大登山になってしまたようだ。 も〜さんの車の先導で、キャンプ場に着き、私のテントが濡れていたので、まずテントを張る。さあ、これから何をしようかと言うも〜さんの問いに、即決、釣りに行きましょうと、も〜さんを誘った。実は、も〜さん、函館で私が釣る姿を見てから、釣り道具を揃えていた。単身、何度か釣りをしたようだが、惜しいところで、魚との出会いを逃していたのだ。倶知安には、ニジマスが釣れる尻別川があるので、も〜さんの運転で、釣りに出かける事にした。 羊蹄山の麓を流れる尻別川に着き、川面に降り易い場所があったので、そこから釣りを開始した。この場所、ゴムボートで川を下るラフティングの入川場所にもなっていた。釣りを始めてすぐに、その団体さんがやって来て、釣りどころではない。仕方がないので、その影響が少ない上流付近で竿を振ってみた。しかし、も〜さんも私も、魚の”さ”の字も感じられないまま、ポイントを変える事にした。 続いてやってきたのが、整備された公園から入渓できる、川と川の合流地点。釣りの基本的なポイントだ。足元には、誰かが捨てた釣り道具のパッケージがある。自らの釣り場を自ら汚すやってはいけない行為だが、初めて来る釣り人には、そこがポイントであると言う指標になる。しかし、2人に魚の気配は訪れなかった。 どうしたものかと話しをしていたが、この公園にはパークゴルフ場がある。も〜さんに聞くと、北海道では大流行らしく、その道具を持っていた。ゴルフには違いないが、一般的なゴルフとは微妙に違う。かつて私は、ゴルフをやっていた。実は、北海道のいたる所にあるそのゴルフ場を見ながら、やってみたいなと思っていたので、パークゴルフにチャレンジする事にした。 |
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| ゴルフボールより2周りほど大きなプラスチックのボールを、プロゴルファー猿ばりに、1本のクラブで回って行く。コースは、色々とあるようだが、長いものは100m近くあり、短いものは20mほどだ。しかし、ボールを叩く力加減が難しく、しかも、地を這うように進むので、地面に食われる玉の威力も、予想しなければならず、単純と思いきや、結構難しい。が、それがとっても楽しい。とりあえず、スコアは気にせず、手軽に楽しめるパークゴルフを存分に楽しんだ。 キャンプ場に戻る足で、焼肉のための買い物をする。手際の良いも〜さんの支度を手伝い、ベンチで焼肉をする。再会を祝いビールで乾杯。ビールを速攻で飲み干したも〜さんは、焼酎を飲み始めた。車をキャンピングカーに改造し、さらには自転車でも旅をしているも〜さんの話と、北海道で体験した私の話を肴に、年の差を忘れて語り合った。 も〜さんが、Webを通じての出会いの楽しさと、出会える力を語っていた。こうして、も〜さんと語らえるのも、そんな縁からだ。そんな不思議な出会いを感じながら、楽しい時間の夜が更けて行った。 |
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| 9/6(金) 95日目 現在地:北海道虻田郡倶知安町 旭ヶ丘公園キャンプ場 | |||||
| 訪れた幸運 | |||||
| ”お〜いっ”と言いたくなるような瞬間だった。数日前に見ていた天気予報では、雨の降る素っ気もなかったのだが、昨日確認した予報では、今日は雨。その予報通り、朝の空には一面の雲が広がり、昨日はきれいに見えていた、羊蹄山の姿が、全く見えなかった。 も〜さんの寝ている車に行くと、すでに起きていて、カレーを作ってくれていた。パンとカレーを食べる。レトルトカレーとは一味も二味も違う。おいしいカレーを御馳走になり、今日の事について話していたのだが、微妙な空模様だが、雨が降りそうなので、移動を控える事にして、も〜さんが一昨日の登山でわずらった筋肉痛の足を考え、温泉がてら釣りへ行く事にした。 私が1ヶ月前に買っておいた釣り新聞を元に、も〜さんのお勧めの温泉と近い場所へ移動を開始した。やっぱり車は速い早い。あっという間に着いてしまう。まずは川を覗いてみるが、いまいちそそられない。橋の上から、また川沿いに川を見て回り、入渓出来そうな場所から竿を降ってみたが、やはり反応はない。初めての川では、これぐらいは普通すぎる。さらに車で移動し、違う場所を覗いてみたが、やはりそそられない。渓流釣りでは、こんな苦労は当たり前。と言いたい所だが、期待して行くので、あてが外れると、少しばかりショックを受ける。 どうしたものかと地図を見ながら、談義をしていたのだが、ふと、ある川の事が思い起こされた。キャンプをしていた所から、割と近い場所に、私が洞爺湖から支笏湖を目指すときに通過した川があったのだ。最初からそちらへ行っておけば良かったかもしれないと言うと、も〜さんが 「今から行こうか。」 と言ってくれた。現在地から約100km。私には、遠い印象があったのだが、も〜さんが言うには、 「それほど遠くはないよ。」 と言う事だ。 針路変更、一路その方面を目指した。しばらく走っていると、”遠くないよ”の意味が理解でき始めた。別にも〜さんが飛ばし屋と言う訳ではない。そう言う道のつくりなのだ。 川に到着したのだが、1ヶ月前に私が訪れたときよりも、川の水量が少ない。北海道で雨に降られた印象が強いが、量的には少なかったのだろうか。釣りをするには、水量が少ないと言うのは、マイナスに作用する。一般的に夏の渇水期に、水量が減ると、水温が上昇し、ヤマメの活性が落ち、さらに警戒心が増すと言われている。しかし、曇り空で時々雨が降ると言う、こちらに良い条件もある。なにわともあれ、キャストをしなければ始まらない。も〜さんと2人、竿を片手に、川面まで降りて行った。 |
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| やはり前回とは違い、魚の姿が見えない。当たりどころか、ルアーに対するチェイスもない。”厳しいな。”と言う印象を持ちつつ、上流へと足を進める。 私はヤマメの姿を見れないでいたが、も〜さんの方には、チェイスがあったようだ。しかし、余裕のあるチェイスだったようで、ルアーには食いつく素振りもなかったらしい。 なんの手応えもないまま、堰堤の下に到着。期待を込めてルアーをキャストするが、無反応。違う場所で竿を振っていたも〜さんは、やはり食い気のないチェイスばかり。そのパターンに、も〜さんも何とも言えない悔しさをにじませていた。 堰堤を迂回し、その上流、さらには合流する支流へ移動する。途中にある橋の上から川を覗くと、25cm以上はあるようなヤマメが、悠々と泳いでいる姿が見えた。”クソ〜ッ”俄然やる気が出てきた2人であった。 筋肉痛のも〜さんは川の合流地点で釣りをする事に、私は少々釣りあがるのがきつい支流で釣りをする事にした。この支流の水量は、本流ほどの減水が感じられない。期待は膨らんでいたが、手強い相手である事も承知している。静かに歩を進め、岩陰や物陰からキャストを繰り返した。しかし、やはり食い気のないチェイスばかり。しかも、経験上、これは食ってくれるだろうと言うパターンのチェイスでも食ってくれない。やはり、相当に手強い、手強すぎる。 チェイス自体が少なく、気持ちが切れそうだが、そうでもないのが、この川の魅力だ。なぜなら、確認できるヤマメのサイズが、明らかに大きいのだ。集中し気を込めてキャストを繰り返しながら、釣り上がって行った。 100mほど釣り上がったとき、この日初めてのバイトがあった。浅く鋭い一瞬のバイト。魚影が見え、”ツン”と言う手応えが伝わってきたときの興奮はたまらないものがあったが、残念ながらフックまでには至らなかった。見えた魚の姿が大きかっただけに、ショックも大きい。たまらずタバコを吸い、自分に一時の間を与え、心を落ち着かせる。焦ると、気の入ったキャストが出来ないからだ。 悔しい想いを残しつつ、違うポイントに再びキャストし、流れに乗せるようにルアーを泳がせ、小刻みなアクションを加えていた。その時、瞬発の魚影が、ルアーにバイトしてきた。”浅い”と思わせるようなバイトだったが、次の瞬間、引きが竿を襲った。合わせを入れる間もないほどのスピード。向こう合わせで乗った魚の手応えと、川の中で首を振る魚の姿が、息をも吐かせぬ興奮を呼んだ。その興奮や、手応えを楽しむ余裕は、こちらにはない。”バレるなよ。”それだけを考えながら、引き寄せていた。サイズが大きそうなだけに、強引に引き抜く事も出来ず、浅瀬に引いてきたのだが、その時、無情にも針から外れてしまった。・・・。極めて一瞬の間の後、川に飛び込み、全身で魚の逃げ道を塞ぎ、素手で捕まえる。これで逃がせば、ショックは計り知れない。ズボンが濡れようが、腰に着けていたバックが濡れようが構わない。絶対に逃がさない、と言う執着心のおかげか、両手にあまるほどの魚体をがっしりとつかむ事ができ、キャッチとなった。恥ずかしげもなく、その場でガッツポーズを連発し、両手を突き上げ、喜びに浸った。サイズは33.5cm、尺上の立派なオスのヤマメだ。 |
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| ヤマメ 婚姻色を呈し、鼻が曲がったオスのヤマメ。ラッキーです。 |
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| その後、しばらく釣り上ったものの、反応はなかった。川を下り戻っていると、先に釣りを終了し、お昼ご飯を用意してくれていたも〜さんがいた。今日の釣果となったヤマメの姿を見せると、喜んでくれたのは、私にとってはうれしい事だった。も〜さんの車での行動力があったからこその結果に感謝した。そして、このヤマメを晩のお楽しみにする事にした。 キャンプ場に戻り、晩御飯の準備をする。も〜さんはてんぷらの準備を、私はヤマメのムニエル風ホイル焼きの準備をした。 火にかけたホイルの隙間から立ち上がるバターの香りが、食欲をそそる。そのヤマメを食べながら、てんぷらを揚げながら、も〜さんのおかげで訪れた幸運に感謝して、さらには、改めてWebを通じても〜さんと出会えた事に感謝して、ビールで乾杯をした。 酔いが回る中、旅の良さと、さらにはそのスタイル、果ては仕事についてなど、様々な事について語り合った。メールを通じての付き合いは続くものの、お互いと触れ合える時間が短いのを惜しむように話し続けた。 |
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| ムニエル アルミホイルにバターを塗り、たっぷりと塩コショウを振ったヤマメをたまねぎで挟み、ホイルを閉じ、蒸し焼きにする要領で火にかける。”うまい!” |
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| 9/7(土) 96日目 現在地:北海道寿都郡寿都町 寿都温泉に隣接する公園 | ||||
| 気になる事 | ||||
| やはり寒い朝を迎える。着実に秋へと進んでいるようだ。気になる空を見上げると、雲が広がり、微妙な感じを残すものの、天気予報は晴れを伝えていた。 トイレに行くと、も〜さんと対面、朝の挨拶を交わす。依然として足が痛そうだ。昨日買っておいたおにぎりと、残り物のてんぷら、味噌汁で朝食をとる。その後、今日は私の出発と言う事で、コーヒーまで入れて頂いた。 昨日の雨と、夜露に濡れたテントだが、乾くはずもなく、濡れたまま畳む。本当は嫌なのだが。一足先に撤収準備を終えたも〜さんと、また函館で会いましょうと言い別れた。私も撤収を終え、出発した。 まずは、日記を書こうと、電源を探しながら進むが、見当たらない。できれば、AirH"圏内の倶知安町で書いておきたかったが、さすがに長時間の電気の拝借には気を使う。ひたすら無難なポイントを探すが、見つからず、トップページの更新だけ行い、次の町にある道の駅を目指して先へ進む事にした。 羊蹄山とニセコアンヌプリの山に挟まれた道を進むが、アップ・ダウンがきつい。幸い、回復して行く天気が、暑すぎない気持ちの良い日差しをくれる。ニセコ町にある道の駅”ニセコ”に到着。やけに車が多い。そう言えば今日は土曜日だった事を思い出す。拝借しやすそうなコンセントがあるものの、この人の多さではかなり気が引ける。電気拝借を断念し、先へ進む事にした。 最近は、キャンプ場のコンセントを拝借すると言う楽な展開が多かったので、少々戸惑い気味だ。とにかく無難に拝借できそうな、公共施設を探しながら先へ進んだ。 蘭越町に着くと、観光案内書が目に付いた。いわゆる狙い目だ。まずはトイレに立ち寄り、建物を調べる。すると、休憩室に椅子が有り、しかもその横にコンセントを発見。職員さんに事情を説明すると、 「あんまり電気代かかりませんよね。」 と釘を刺されたが、問題なく貸してもらえた。椅子に座りながらの作業は快適だ。しかも、案内書のおばさんがお茶まで入れてくれた。素早く終了したいところだが、意外に時間がかかるのはいつもの事。移動を考えると、作業の途中で出発しなければならなくなった。今日の宿泊先で電気が確保できる保証はない。しかし、ここで助け舟となる、も〜さんからのメールが届き、最新宿泊候補地情報として、私の進む方向に、コンセント有りのきれいなトイレを完備した運動公園があることを知らせてくれた。こうなると、迷いはない。その公園目指して自転車を走らせた。 |
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| 国道5号線から道道276号線を進むが、海方向を目指すためか、風が吹き始めた。向きは言うまでもなく向かってくる方向からだ。風の事なんか、すっかり忘れていた。そう言えば、おまえさんが居たんだよな。と、思いながら、風に逆らいながら、進んで行くが、やっぱりぜんぜん進まない。尻別川の下流方向へ進む道なので、下りのはずなのだが、そんな気は全くしない。しかも、海が近づくにつれて風の勢いが増してきた。 なんとか国道229号線に着くと、進行方向が変わるため、風が追い風になった。はっきり言って、追うか向かうかで、次元が違いすぎる。スピードの差は10km以上。足への負担も半分以下と言った感じだろうか。鼻歌まで出てしまうほどの快適さだ。 風のおかげで、意外に早く、目的としていた公園に到着する事ができた。隣には温泉が有り、球場とサッカー場があり、公園にはきれいな芝生が敷き詰められ、東屋とコンセント付きのきれいなトイレまである。この公園は、国道から少し外れた所にあって、ただ走っていただけでは、気付く事は出来なかっただろう。も〜さんの情報に感謝して、今日はこの公園に泊まる事をメールにて伝えた。 今日の事を振り返ると、単純な1日のようだが、走っている最中に考える事は、その時に1番困っている事だなと感じた。電気であったり、風であったりだ。そんな事が多いと、他の事を考える余裕がないように思えて、”ゆとり”の大切さを感じていた。 透き通るような空の下、公園の脇に群生しているススキの間から、虫の音が聞こえる。陽がかげると肌寒さが感じられ、もう9月も半ばを迎えようとしているしなと、時間の流れの早さを感じていた。 |
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| 9/8(日) 97日目 現在地:北海道瀬棚郡北檜山町 真駒内ダム公園キャンプ場 | |||||
| 初めての出会い | |||||
| 公園での野宿だったとは言え、北海道では意外に抵抗が少ない。本州にも似たような公園があったが、必ず人の声に起こされたものだ。しかし、この公園では、1人も人が来なかったので、快適に熟睡する事ができた。 うす曇りのせいか、寒く感じる中、コーヒーを入れ、朝食をとる。東屋の下に張ったテントは、夜露に濡れる事もなく、素早く撤収できる。トイレに移動し、日記を書いていたのだが、このトイレは出来すぎだ。最近出来た新しさときれいさも良いが、二重扉になっていて、一つ目の扉の中へ入った所で作業が出来るのだ。野外で作業をしていると、虫が寄ってきたり、陽の光で画面が見づらいなどの苦労がともなうが、ここはそんな心配は無い。おかげで、日記がはかどり、早い時間に出発する事が出来た。 海沿いの道と言う事で、風は強い。しかし、向きが追ってくれているので、楽に進む事が出来る。気持ちよく進みたい所だが、地図の上では、この先にある岬を通過した後は、進行方向が、風の向って来る方向に変わりそうだったので、そんなに喜んではいなかった。 追い風を受け、弁慶岬に到着。灯台と弁慶の像がある。これは受け狙いかと思わせたが、そんな像よりも、見渡せる水平線に目をやっていた。 進行方向が変わったが、山が風を遮ってくれるからか、無風の状態が続く。過度の期待をしていると、裏切られた時の落胆が大きいので、多分向かい風になるだろうと言うくらいの気持ちで進んでいた。 やがて、肌に風を感じ始めたのだが、道沿いにある旗は、私の方向になびいている。やっぱり向かってくるようだ。自転車のスピードは落ち、足取りも重たくなってきた。気が緩みそうになるが、無理に飛ばしても疲れるだけだと思い、漕いでいればいつかは着くだろうと言う程度で進む。 道の駅で休憩を入れたのだが、少々疲れを感じる。地図を見ると、この先にはたくさんのトンネルが控えている。…のんびり行こう。そう言い聞かせ、再び自転車を走らせた。 トンネルを抜けると何とかと言ったフレーズを思い起こさせるように、トンネルを抜ける度に、曇り空から青空へと変わって行き、太陽が海に降り注ぎ始めた。澄んだ海に陽が入り、とてもきれいに見える。むき出しの岩盤や、そそり立つ絶壁の間を縫うようにある道とトンネルがスケールのでかさを感じさせる。 トンネルが多く、ストレスを感じそうだが、交通量が少ないおかげで、それ程でもない。しかし、工事中で、片側交互通行のトンネルに遭遇。いつもの展開なら、警備員さんが居るのだが、大事なときには居てくれない。信号が青になった所でスタートしたが、何処までが片側通行か分からないので、冷や冷やものだ。車が向かって来たら、たまったものではない。急ぎ気味に自転車を加速させたのだが、このトンネルが結構長い。やがて車線が2つに戻り、左側へ入ったとき、反対車線の車がやって来た。自転車にはぎりぎりだなと思ったが、リヤカーだったら死んでる所だなと感じてしまった。まあ、日本の道は車が中心らしいからなと、かなりスレた事を考えていた。 |
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| 連発するトンネルを交わし、街並みが近づいてくると、海の侵食によって出来た岩を、観光スポットにしている所があったのだが、その中の一つに、これ以上の侵食で、岩自体が崩れないように、セメントで補強を加えていた。しかも、そのセメントをさりげなく岩と同じ色で塗っているのだ。かなり無理があるなと思いながら、その岩を通過した。 次の岩は木に例えられているが、ただの岩だ。と思ったが、私も感動の少ない男だなとも思った。しかし、その岩のおかげで、海水浴場やお土産、トイレがあったので、そこで休憩を入れる。出発が早かった事もあって、大方予定していた距離を移動できていた。地図を見ながら、どうしたものかと思っていたが、も〜さんからのメールが届いた。現在地の内容を返信すると、かなり近い場所に居るみたいなので、再び落ち合う事になった。 も〜さんは、広大なスケールの北海道自転車ツーリング情報を収集中だ。その情報を収集しつつ、また、私の影響で始めた釣りをしつつ、私の進路と進み具合を予想して、先回りしていてくれたようだ。 フェーリーターミナルに隣接する公園に到着し、芝生に座るも〜さんと再会する。この辺の事情も調査積みだったようで、15km程離れた、すぐ横を流れる川で釣りができそうなキャンプ場に行くことにした。 国道229号線から道道345号線へ川沿いの道を進み、ダムの下にあるキャンプ場に到着した。整備が行き届いたきれいなオートキャンプ場だ。これが無料だって言うんだから、すごいものだ。しかも、私的に非常に気になる電源も、外灯の下に用意されていた。 も〜さんは先に着いていて、カレーの準備をしていてくれた。テントを張った後に、早めの晩御飯を食べる事にした。カレーとサラダ、ゆで卵付きの豪勢な食事を頂いた後、も〜さんと2人、横を流れる川へ釣りに出た。 ダム下と言う事で、少々の濁りが入り、水温も高めだ。しかし、ダム直下にあるプール状になった場所では、釣り人が糸を垂れていた。魚は居るようだ。 何度かキャストをするが、反応がない。こんなものなのかな〜と思っていると、鈍い当たりがあった。ルアーをくわえていたのはウグイさんだった。 も〜さんも手こずっている感じだったが、遠目から見るその姿には、倶知安で釣りをした頃とは違う雰囲気が感じられ、キャストやリーリングにも慣れて来た様子が伺えた。 場所をダム直下のプール近くに移動すると、先客の釣り人が魚とのやり取りをしている。少し距離があったため、取り込む魚が何であるかは分からなかったが、体長は35cm位はありそうだった。初めての場所では、釣り人の話を聞くのが手っ取り早い。先程釣れていた魚のことも気になり、その釣り人の近くまで行き、話しを聞いてみると、ダムでも、ダム直下でもニジマスが釣れると言う事だ。先程釣れたのは、ニジマスだったと言う事だ。 再び釣りをするものの、私にはトラウトの反応は無かった。も〜さんはどうだろうと思い、近づくと、釣れたよと言う合図を送っている。急ぎも〜さんに駆け寄ると、13cm程のヤマメを釣り上げていた。も〜さんにとって、うれしいうれしいルアーでの初ヤマメだ。共に喜び、記念写真を撮ってリリースした。 その晩に、ビールを飲みながら、も〜さんとヤマメの出会いを祝福した。新しい趣味が出来て、しかも、キャンプを絡めながらできるので、これからが楽しみだと言う会話をしながら、酔いの中へ入っていった。 |
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おめでとうも〜さん も〜さん初ゲットのヤマメ。思い出に残る1匹。私の初めての1匹目も、この位だったかな。これから、大物を目指して、共に楽しみしょう。 |
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| 9/9(月) 98日目 現在地:北海道桧山郡厚沢部町 厚沢部レクの森キャンプ場 | |||||
| 5周目チャリダー | |||||
| も〜さんと二人、貸切のキャンプ場での朝を迎えた。私には寒い位の気温なのだが、北海道人のも〜さんは、半袖姿で丁度良いと言っている。やはり、体質にかなりの違いがあるようだ。 も〜さんの作ってくれたスパゲティーを食べる。も〜さんは今日も、情報収集がてら、釣りをしながら移動して行くと言っている。うれしい事に、しばらくは、キャンプ場で共に過ごしてくれるようだ。とは言え、自転車と車、移動のスピードが違うので、難しいと思っていたのだが、ゆっくりと、いろんな川を見て回って、釣りをするから平気だよ、と言ってくれた。何だか私みたいな事を言っているなと思ったが、も〜さんも釣りの魅力に取り付かれつつあるようだ。 も〜さんは、しばらく、このキャンプ場の隣にある川で釣りをした後、出発する予定。私は、一足先に、キャンプ場を後にした。 道南に入ってから、晴れが続いているような印象があるが、今日も良く晴れている。日差しはきついが、気温がそれ程でもないので、快適な具合だ。道の方は、北檜山町から国道229号線をひたすら進むが、まずは峠が控えていた。海沿いの道から峠の坂が始まると、川の様子も変わり、木に覆われた山が身近に感じられ気持ちが良い。自分は山の方が好きなんだなと、あらためて感じる。 快適に進む私の自転車の隣に、1台の車が並走してきた。も〜さんである。窓を開けて、釣りの成果を伝えてくれ、ヤマメを釣ったようだ。1匹目のハードルを越えると、こんな感じで釣果が着いて来る。ますます、釣りにはまって行くも〜さんの車が行き過ぎるのを見送った。 峠の最高点の標高は150mほどで、それほど高いというわけではない。広がる青空と、周りの景色、川から沢へと変わりつつある水の流れの音を聞きながら進んで行く。 峠の頂上を迎えると、気持ちの良い下りが始まる。一気に加速して行く自転車に、気持ちの良さも加速して行く。 峠を下りきる前にある、温泉へ向かう。も〜さんお勧めの無料温泉だ。国道から名もない道へ入るが、途中からダートになった。締まってはいるが、砂利が浮いていて、走りづらい。上りに至っては、時々、タイヤが空回りしている。しかし、道の横には、きれいな渓相と、きれいな水を湛えている臼別川流れていて、異常に釣り心が刺激される。が、全面禁漁区の看板があり、指をくわえながらの走行である。 そんな道の途中でも〜さんとすれ違う。温泉に入ったら、昼食にしようと言い、買出しに行って来ると言った。も〜さんの車との並走は楽しいが、私の方はずい分と楽をし過ぎているなと思ってしまった。 ちょっとした谷あいにある臼別温泉の湯船に浸かる。後半月もすれば、色付きそうな木々に囲まれ、横には渓魚の姿がちらほらする沢がある。やがて、買出しから戻ってきたも〜さんと2人、湯船に浸かり、贅沢すぎる時間を楽しんだ。 温泉からあがり、昼食を頂く。朝の寒さはなんなのと言った感じの太陽が、背中に照りつける。臼別川の谷あいから吹く風が、とても気持ちが良かった。 |
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| 再び、も〜さんと別れ、一路キャンプ場を目指す。海沿いに出ると、幸運にも、物凄い追い風が吹いていて、気分も軽く自転車を進めた しばらく走っていると、物凄いチャリダーさんが前を走っていた。後ろの荷台に積んだ荷物で、運転している人の姿が見えない。荷物には、”日本全国一周の旅5周目・東京から”の文字が見える。挨拶を交わし、横を通り過ぎて行った。 道の駅”ルート229元和台”に着き一休み。9月に入ってから感じている北海道の夏に、思わずソフトクリームを食べ、さらに、軽食をとりゆっくりと休んでいると、先程、私が追い越した、チャリダーさんがやって来た。 内装3段を装備した自転車に、これでもかと言う荷物を積んでいるおじいさんチャリダー。しかし、その漕ぎ足と、話し口は、元気にあふれまくっている。 「俺は5周目だから、この道の駅のおばさんと仲良いんだ。」 と言いながら、アイスキャンディーをおごってくれた。色々話をしていると、日本5周目と言うのは、5回目ではない事が分かってきた。すごいとしか言いようがない。後何周するのかを聞き忘れたが、素敵な人だなと思うと共に、あれぐらい元気でいなければなと感じながら、おじいさんに別れを告げた。 厚沢部町のキャンプ場に到着後、程なくしても〜さんがやって来た。まずはビールを頂きながら、も〜さんの釣果を聞くと、ヤマメを釣っていた。やはり、上達しているのは確実そうだ。 も〜さんの用意してくれた、すき焼きとワインを頂きながら、釣り談議に花を咲かせる。も〜さん曰く、わたしの影響で、川を見る目が変わってきたと言い、なんとなくだが、ヤマメが居そうな感じのする川が分かってきた言っていた。私は、も〜さんとそんな会話が出来るのが、うれしかった。私が北海道を離れても、釣果を報告し合う事を約束した。しかし、北海道の俺の方が有利だなと言っていたのを、私は聞き逃さなかった。 |
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| おじいさんチャリダー すごい荷物だ!30kgはあると言っていた。さりげなく刺さっている釣り竿をチェックしたのは言うまでもない。ちなみに海で、カレイを釣っているそうだ。 |
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| 9/10(火) 99日目 現在地:北海道松前郡松前町 折戸浜野営場 | |||||
| 輪 | |||||
| 一体何度なんだと言う寒い朝を迎えた。しかし、寒がっているのは私だけのようで、も〜さんは上着を羽織ってはいるものの、丁度良いを連発していた。背の高い気の隙間から、快晴の青空が広がっている。 朝食を食べていたのだが、寒そうに猫のように背中を丸めている私に対して、も〜さんは平然としている。手の温度を比べてみたのだが、私の手は冷たくなっているのに、も〜さんの手は温かかった。旅が長引くのは構わないが、寒くなるのは嫌だなと感じていた。 も〜さんは今日辺りまで、ツーリング情報を収集するようだ。今日の私の目的地の北海道最南端の松前町で落ち合う事にして、出発した。 快晴の青空が広がっているが、海岸線沿いを進むため、風を気にしていたのだが、どうも易い方には吹いていないようだ。昨日の風は、追い風だったので、本当に気まぐれとしか言いようがない。 道の駅”上ノ国もんじゅ”に到着。この道の駅は、館内に図書館が有り、パソコンを使えると言う話しを聞いていたのだが、時間が早すぎるのか、パソコンが立ち上がっていない。ネットを利用させて頂く予定が消えてしまった。 しかし、道の駅は電気拝借の有効ポイントだ。トイレや建物を物色していると、自動販売機用の外壁のコンセントを発見し、日記を書く事にした。 今日の移動距離が、少なめだったので、焦る事無く、じっくりと作業をしていた。快晴の太陽が背中に当たり、とても暑い。 ようやく作業を終了し、出発したのだが、足取りが最高に重たくなってきた。道の脇に生えたススキが、風のせいで、みんな私の方向にお辞儀をしている。しかも、海岸線の道特有のアップ・ダウンが、加わり始めたのだ。救いようがあるとすれば、好天に恵まれた景色が最高と言うことだろうか。足元の海は、底が見えるほどきれいで、彼方の水平線はぎらぎらと輝いている。雨や曇りだったら、こうはいかないだろう。 ヒグマ出没注意の看板を横目に、じっくりと進んで行く。右手には輝かしいばかりの海が広がり、左手には急斜面の山がそびえ立っていた。谷に架かる橋の上から下を見ると、海に注ぎ込むきれいな川がある。人が住みづらそうなだけに、手付かずの自然が残されているような感じだ。と、満喫したい所だが、谷の川や沢には、砂防ダムが設けられていた。それらの姿は、どれも年月の流れを感じるものばかりだ。古い時代には、土砂崩れや土石流で、通行が妨げられる険しい道しかなかった事が感じられた。 |
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| 話しは飛んでしまうが、私は時々、物質を形成している原子に記憶があるのなら、その記憶を感じてみたいと思っている。
生命の場合、それを形成する有機物は、主に炭素と酸素と水素からなっている。野菜を食べた時、それらの生命を形作っていた物質が私の体内に取り込まれ、私の血や肉を形成する。
ひょっとしたら、私の皮膚を形成している物質は、古くは、目の前にある草木の祖先を形成していたものかもしれない。それらの物質は、見た目の形を変えようとも、根本を変えず、その時代の命を形成している。 そんな事を考えていると、札幌でお世話になったOさんとの会話を思い出していた。”輪廻転生”少し宗教じみてもいるし、精神的な部分もある。 ”輪廻転生”と言う文字の表現が一番適しているかどうかは分からないが、物質として、生命の輪を巡っているとは思えてくる。私が死ねば、私を形成していたと言う記憶を持った物質が、新しい命を形成するかもしれない。 私としては、生ける全ての生命、動物は当たり前だが、草や木にも同等の”魂”が宿っていると信じたいと思っているが、物質の記憶を考えれば、あながちそれも否定できないように思えてくる。時が進めば進むほどに、物質の持つ記憶は書き込まれ続ける。 そう考えていると、極端な話しだが、死んだ時に、灰となり、骨壷の中や石に囲まれた部屋に入るよりも、新たな命の端を担う為に、土に返りたいと思ってしまった。 少々、戯言が過ぎる考え方かもしれないが、今の私には、その考えを否定する気にはなれないでいた。 |
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| そんな事を考えながら、自転車を漕ぎ進めていた。ススキは相変わらず、私にお辞儀をしている。アップ・ダウンも手を抜いてくれる様子はない。こうなると、予定していた時間に目的地には着けそうもない。そんな時、も〜さんからメールが届く。宿泊予定として目星を付けていた場所の情報を、送ってくれていた。 前に進むには、きつい条件だが、なんと言っても天気の良さがそれらを忘れさせてくれる。海岸線の高台を走る道も気持ちが良いものだ。 キャンプ場の手前にあったパークゴルフ場に到着すると、も〜さんが居る。目星を付けていた松前の公園が、いまいちらしいので、程近いキャンプ場での宿泊を決め、そこへ移動する事にした。 海水浴場にあるキャンプ場。もちろん時期はずれと言う事で、犬を散歩させている人しか見当たらない。風の影響も無く、静かに波打つ海と、点在する岩礁が、味のある風景を演出していた。少し前に見た、名前のついた岩よりも、よっぽど良いなと思いながら、水道の水で洗髪をした。 買出しから戻ってきたも〜さんと、夕日を眺めながら、ビールを頂く。自転車で汗を掻いた後だけに、最高にうまい。やがて、白い光がオレンジ色に変わりだし、水平線に向けて、日が沈み始めると、名も無い岩礁が、影として浮かび上がり、心に迫る景色へと変わって行った。 晩御飯に、カツ丼を頂いた。も〜さんは、どんぶり調理専用の鍋まで持っていた。同じキャンプ場に、後から来たチャリダーさんを交え、3人でどんぶりを頂き、お酒を飲んだ。 一体、も〜さんと何泊目を迎えるのか分からなくなってきたが、快晴の空の下、猫の爪ほどの鋭い三日月と、満天に広がる星を眺めながら、心地良い酔いと、旅人の輪を感じながら、楽しい会話を楽しんだ。 |
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| 折戸浜の夕日 暮れ行く夕日は、いつまででも眺めていたいと思わせた。 |
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| 9/11(水) 100日目 現在地:北海道上磯郡知内町 農村公園キャンプ場 | |||||
| コミュニケーション | |||||
| 深夜、自転車カバーが、バタバタとなびく音に起こされる。昼間に吹いていた向きとは逆の風が吹き始めた。テントから出て、洗濯を干すのに使っている紐で、カバーを縛りつけ、再びテントの中へ潜り込んだ。 朝になっても風は収まらず、昨日の静かな浜辺から一転して、強風の吹き荒れる浜辺になってしまった。テントの外へ出たが、それ程寒くない。北海道は、本当に温度差の激しい場所だな。 撤収の準備をしていると、も〜さんが起きて来て、コーヒーを入れてくれた。寒くは無いと言っても、ホットコーヒーを飲むのに丁度良い気温だ。 倶知安から、キャンプ場を共にしてきたも〜さんだが、この辺りのツーリング情報の収集を終えたので、函館に戻る事になった。毎晩異なる料理を御馳走になり、大変お世話になってしまった。と言いつつ、2〜3日後には、再び函館でお世話になる予定なのだが。 深夜に方向が変わった風を受け、軽快に自転車を漕ぎ始めた。出発してすぐに、前方を走っていた1人のチャリダーに遭遇。”おはようございます”の受け答えが、”ハロー”、外人さんチャリダーだっった。しばらく話しを、と言うか、コミュニケーションの理解度は50%以下だが、話しをすると、スロベニアから来た方らしく、北海道に1ヶ月滞在し、これから仙台に向かうと言っていた。楽しい会話で盛り上がりたい所だが、話せずの英語では、話にならない。ありきたりの会話、いや身振りと手振りで話しをして出発。彼はとても速い足取りで、目の前から消えてしまった。 松前町に到着し、日課の電源ポイントを探していたのだが、トイレ付き、休憩所付きのバス停を発見。覗いて見ると、休憩所にコンセントが有り、拝借させて頂く事にした。北海道では、寒さを凌ぐために立派なバス停が多いが、バスには乗らないくせに、休憩やトイレにと散々利用させてもらったような気がする。 バス停を後にして、北海道最南端の白神岬を目指す。海からの風は波を起こし、その波は昨日とは違うイメージの姿を見せ、海岸線の岩礁に当たり、白く砕けていた。白神岬に着くと、本州青森が間近に見え、先端の竜飛崎の険しい姿が、はっきりと見えた。 |
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| 福島町にある道の駅”横綱の里ふくしま”に到着。私の記憶にもはっきりとある千代の富士の故郷らしく、資料館が併設されていた。一休みと、自転車を止めようとした時、2日前に出会った、日本5周目のおじいさんチャリダーさんがいた。挨拶を交わすと、何やら困っている風な感じを見せていた。 「フェリー代が、足りそうにないんだよ。青森まで行けば、友達が居るから。」 と言っている。おいおい、2日前にアイスをおごってくれた余裕は何処へ行ったんだと思い、今朝から何も食べてないと言ったので、持っていた食パンを差し入れする事にした。 おじいさんと話しをしていると、今朝出会った外人さんチャリダーがやって来た。手を振ると、こちらに近づいてきてくれて、再び、片言のコミュニケーションをとる。長期の旅をしているのに、荷物が少ない。地図を見せてくれというので、見せると、この先の道中のキャンプ場をチェックしていた。さらに、北海道の地図しか持っていなくて、本州の地図を何処で買えるか聞いてきたが、そんなやり取りを見ていたおじいさんチャリダーに事情を説明すると、地図を2つ持っているからと、日本地図を外人さんチャリダーにプレゼントしていた。とても喜んでくれていたが、地図なしで、旅に出るとは、結構なつわものだなと感じてしまった。 話しを続けていると、アイスクリームとソフトクリームの違いが分からないようで、何が違うのと言っていたが、うまく説明できない。”食べてみるよ。”と言うことになって、外人さんチャリダーは、ソフトクリームを買いに行った。 私も、2人に別れを告げ、先へ進む事にした。 |
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| スーパーで、食料を調達、昼食を食べた後、おそらく、北海道での最後の峠を登り始めた。大した高さではないが、傾斜自体は結構きつい。北海道の峠の景色を楽しみながら、少し名残り惜しみながら登って行く。日差しが照りつけ、汗が吹き出てきた。 私が買い物をしている時に、追い越されたのか、前方で、おじいさんチャリダーが、自転車を押しながら登っている。内装3段のママチャリに30kgの荷物を積んでいたのでは、とても登れないだろう。しかも、自転車を押すと言っても、簡単ではない。10m程進んでは、休んで、また進むを繰り返しながら登っていた。 「暑いですね。」 と声をかけ、横を過ぎて行く。 峠の頂上付近にあるトンネルの中の涼しさを感じながら、下りを迎えた。山の景色、流れる川の姿、それらを楽しむようにゆっくりと下って行った。 知内川の横にあるキャンプ場に到着し、時間も早いので、釣りに出かける。川の中流域だが、落差が少なく、目立ったポイントがない。広範囲に渡る少ないポイントを探ると、10cm位の小さなヤマメが釣れた。よく出てきてくれたと、そのヤマメに感謝し、美しいその姿を拝ませてもらい、元の流れに元気良く泳ぎだすその姿を見送った。 キャンプ場に1人、貸切だ。青函トンネルからの電車が近くを通り、少しその音が気になるが、外灯の下にあるコンセントを引き込める場所にテントを張る。誰も居ない事を良い事に、水道で洗髪をして、さらに体を洗う。さすがに水が冷たいが、汗を落とすと気持ちが良い。雲が広がりだした空を眺めながら、久しぶりに自炊をする。明日はいよいよ函館だ。 |
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| キャンプ場の横の河原で 広い河原を、強引に自転車で移動。こんなショットも珍しい。 |
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| 9/12(木) 101日目 現在地:北海道函館市 も〜さん宅 | |||||
| 再び函館へ | |||||
| 久しぶりと感じた雨に降られ、テントを叩く雨滴に起こされる。時刻を確認すると、深夜だったので、朝には晴れてくれる事を願って、再び眠りに着いた。 明るくなり、それに起こされたが、雨は降り続けていた。今日の予定は、60km移動し、函館市はも〜さん宅でお世話になる予定。天気予報を確認すると、雨の予報はない。空が明るく、やみそうな気配が感じられたので、様子を見る事にした。とりあえず、メールにて、雨の影響で到着が遅れる事をも〜さんに伝えた。 久しぶりに過ごす雨の降るテントの中、キャンプ場の外灯の下にあったコンセントをテントに引き込んでいたので、日記を書いたり、他の作業をして過ごす。 ようやく、10:00頃になり、雨が止んでくれた。しかし、油断は禁物。テントを畳むと降り始めると言った事はありがちだ。空模様を眺めながら、旅に出発して一度も洗車していなかったので、ブラシと水で自転車の汚れを落とし、チェーンに油をさす。 山の上は厚い雲に覆われていて、微妙さに変化はないが、テントも乾き始めたので、撤収の準備に取り掛かり、11:30に出発。 北海道での最後の道のりに乗り出した。 キャンプ場から、下りを利用して、一気に海沿いまで下る。途中、またもや道路工事の誘導員さんに不快な思いを感じてしまった。工事の資材で塞がれた歩道を通れって言うんだから、完全に無理な話だなと、誘導員さんの指示を無視した事を自分的に正当化していた。しかし、正当化しなければならないほどに、嫌な思いを感じ、それを引きずってしまうのだ。 国道228号線を函館目指し、自転車を走らせる。次第に天気は回復し、追い風が背中を押してくれる。橋の上に来ては、川を覗きながら進む。河口では、サケを狙って、釣り竿を振っている人が居る。 爽快に飛ばし、函館も近くなると、函館湾の向こう側に、函館山が見え始め、町の様子も伺える。北海道に入ってから約50日。再び函館に帰ってきたんだなと感じると共に、北海道を去る寂しさを感じていた。 函館市内に入り、も〜さんに連絡をして、落ち合う場所を確認する。後は、その場所を目指して、ひたすらに自転車を漕いだ。 線路を越える大きな陸橋を過ぎ、その場所の近くに来ると、自転車に乗ったも〜さんが出迎えてくれ、そのまま、も〜さんの自宅へ向かう。 自転車に乗りながら、最近起きた北海道千歳市での、3人組のチャリダーが被害を受けた、強盗事件の話しを聞いた。なんでも、走行中に2人の人が車から降りてきて、いきなり殴られ、現金を強奪されたらしい。1人は逃げ切れたものの、2人は被害に会い、しかも、その内の1人は女性で、顔に1週間の怪我を追ったと言う事だ。恐ろしく、悲しくなるような事件だ。模倣犯が出ない事を祈りたい所だ。 |
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| も〜さん宅に到着後、温泉に連れて行って頂く。広い湯船に浸かり、くつろいでいると、北海道の旅路の事が蘇る。北海道初日にも〜さんに出会った事や、Webチャリダーに出会った事、他にも、たくさんの人に出会い、それらの人にお世話になった事。雨には泣かされたな。と、思い出になりつつある色々な事を考えていたが、釣り氏的にも、最高の出会いがあった事が思い起こされた。 北海道の夏は、旅人、特に釣りをするような人には最高の地かも知れないな。そんな事を感じながら、温泉の湯の感触に、体がほぐされて行くのを感じていた。 も〜さん宅へ帰宅後、奥さんに”お久しぶりです。”と挨拶を交わす。晩御飯を御馳走になりながら、ビールを頂いたのだが、最近のも〜さんとのキャンプ生活で、少々鍛えられたのか、500ml缶2本を飲み干してしまう。当然、頭は完全に酔いに包まれる。 ボーッとして行く意識の中、も〜さんとの出会いに、またまた感謝しながら、温かい布団の中で、眠りに着いた。 |
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| 函館山再び 50日前には、”来たぜ”を感じたが、今日見た函館山には、懐かしさと、寂しさを感じてしまった。も〜さんと始めた出会った日を、とても昔のように感じた。 |
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| 9/13(金) 102日目 現在地:北海道函館市 も〜さん宅 | ||||
| も〜さんと過ごす | ||||
| 6:00頃、カーテン越しの明るさに目覚めた。ベットと布団の寝心地は良すぎる。早起きのも〜さんが、カーテンを開けると、最高の青空が広がっている。その天気に誘われるままに、窓を開けたが、冷たい空気が流れ込んできて、9月中旬の北海道を感じさせた。九州なら、ようやく寝苦しい夜から開放される頃で、冷たい感覚とは程遠いのだが。 朝ごはんを頂きながら、新聞のチラシに目を通していたも〜さんが、特売の卵に注目していた。過去に単身赴任の経験を持つだけに、その辺のチェックは抜かりない。そう言う私も、今でこそ親と同居しているが、10年以上の1人暮らし経験を持つので、チラシを見ながら、地域的な値段の違いを比較して、楽しんでいた。そのチラシは、近所のスーパーのもので、卵はお一人様1パック限りだが、も〜さんと奥さんと私で、頭数は3人。も〜さんと私が、温泉と釣りに出かけるついでに、スーパーに立ち寄る事になった。 平日の開店直後だと言うのに、結構な賑わいを見せているスーパー。レジに並ぶ人の買い物カゴには、みな卵が入っていた。考えている事は、大方同じようだ。 買い物を済ませ、出かける2人。9月に入ってから、毎日も〜さんと遊んでいるような気がするが、気のせいだろうか、も〜さんが釣りを始めたのが大きいな、などと考えながら、川を目指した。 まずは、TVで魚が釣れると言う情報を得ていた川へ行く。しかし、川幅の規模が小さく、そそられない。川の水量も、普段より少なく感じられた。例年の雨の具合や、川の様子が分からないので、今の状態の川が減水していると言う判断が、正しいかどうかも分からない。やはり、初めての川は、その状況をつかみにくいだけに、難しすぎる。 荒れたダートや林道を通り、さらに道道へ道を変え、場所を移動する。国道の喧騒が無く、通る車も少なく、山々の間を通る道は、気持ちが良い。 やがて、木々の隙間から、沢が見え始め、道を下るに連れて、豊かな緑に包まれた渓相を持つ川へと変わってきた。 橋の上に来ては川を覗く。川幅も水量も、最高だとは言えないが、一発狙いの好ポイントが、目に飛び込んできた。私的にそそられる場所だ。 車を止め、釣りの準備をして、川面へ降りて行くと、堰堤下のプールが出現。気持ちが高まったと言いたい所だが、駐車した場所の車の出入りの痕跡や、散乱するゴミから、結構人が入っている事が予想できた。しかし、好ポイントに変わりはない。釣りをしなければ、釣れないので、も〜さんと2人、キャストを開始した。 水の透明度が高い事も手伝い、シビアな感じがしたが、案の定、ここだと言うポイントで、魚が出てくれない。何回かのチェイスがあったが、こちらの気配を感じ取られ、バイトまで行かない。も〜さんも、似たような展開で、バイトがあったが、フックまでには至らなかったようだ。 同じポイントで、2〜3度のキャストしかチャンスのない渓流ルアー釣り。特に堰堤の下のプールは、分かりやすいポイントなので、良い思いが出来る可能性は低い。しかも、刻々とその様子を変える川の流れ。ポイントの開拓には、とてつもない苦労をともなうのは、極普通だ。昨日釣れたからと言って、今日釣れるとは限らない。今日釣れないからと言って、明日釣れないとは言えない。しっかりしたポイント読みと、釣りのスキル以上に、めぐり合わせの要素が強い。逆に言うと、それが、大物を狙う渓流ルアー釣りの魅力だろうか。 |
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| お昼を迎え、公園で昼食にする。も〜さんの車は、自らが手を加えた装備が充実しているので、準備は早い。サケと野菜を味噌味で蒸し焼きにする”ちゃんちゃん焼き”を頂く。 食後、再び別の川を覗いたが、渓相に釣果が付いてきてはくれなかった。本日は完敗だ。 川を後にして、も〜さん宅へ戻る道を行っていると、夕日に照らされる火山灰に覆われた山頂を持つ駒ヶ岳の美しい姿を見ることができた。その姿を眺める事が出来る温泉の露天風呂に入り、涼しい外気と、温泉の温度の差を味わう。2人での釣り、2人での温泉。贅沢すぎる思いを感じながら、も〜さんと2人の時間を楽しんだ。 帰宅後の晩御飯に、単身自転車旅では味わえない、とてもおいしい料理を頂いた。奥さんが作ってくれた、筋子はできたてほやほや、新鮮そのもので、九州で口にするそれとは、次元が違いすぎるくらいにおいしい。 も〜さん一家の皆さんには、お礼の言いようがないほどに、お世話になってしまった。きっかけは、Webがもたらしてくれたものだが。 北海道の旅が、最高の形で終わるのも、も〜さんのおかげである所が大きい。明日、北海道を去る寂しさを感じながら、も〜さん宅での最後の夜を過ごした。本当に、ありがとうございました。 |
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| 9/14(土) 103日目 現在地:青森県北津軽郡小泊村 道の駅みんまや近くの空地 | |||||
| 再び本州へ | |||||
| 5:10に目が覚めた。今日は7:30のフェリーにのるため、寝坊できなかったので、携帯電話のアラームを5:00にセットしていたのだが、完全に無視していたようだ。 同じ頃に起きたも〜さんと、朝の挨拶を交わす。カーテンを開けたときの、空のまぶしさがたまらない。北海道の最後を祝ってくれているようだと、勝手な事を考えながら、支度を整えていた。 朝ごはんを頂いたのだが、奥さん手作りの新鮮筋子は、やっぱりおいしい。さらに、出発する私に、おにぎりまで握って頂いた。 自転車の準備を整え、最後の記念写真を撮り、出発。も〜さんは、車で見送りに行くと言ってくれた。 早朝の車がまばらな道を、フェリーターミナル目指し進む。しかし、天気が良い。8月もこれぐらい晴れてくれれば良かったのだがと思わずにはいられなかった。私の記憶の北海道は、寒すぎる夏のイメージしかない。まあ、これも後々振り返れば、楽しい思い出になって行くのだろう。 フェリーターミナルに着くと、大勢の人が居る。乗船手続きのため、受付の列に加わり、にぎわう待合室を見ていた。 車で到着したも〜さんがやって来て、今日は3連休の初日だからねと言われ、初めてその事に気付いた。私の感覚は、曜日と日付に鈍くなっている。本州に戻れば、野宿の必要性も出てくる。曜日は野宿にとっては、大事な要素だ。ぼんやりとは、していられないな。 北海道でお世話になった事を感謝し、も〜さんが九州に来た時には、ぜひ会うことを約束し、握手で見送られた。 いくら込み合おうと、自転車の乗船は、ほとんど1番先に行われるのは助かる。1番乗船を果たし、客室の好位置を確保する。次に、一般のお客さんが乗り込んできた。フェリーターミナルの賑わいそのものの様子が、客室に再現された。まずは、寝るが1番と、賑わいを見せる中、仮眠に着いた。 しばらくしてから起きたが、賑わいに変わりはない。地図を広げ、今後のルートを考えていたのだが、3日後までの予定は立つものの、その後は真っ白に近い。まあ、予定は予定だからなと思い、漠然としたルートしか決めずに、再び眠りに着いた。 乗船時間3時間40分。青森市に到着した。久しぶりの本州だなと思いながら、上陸記念の写真を撮り、一路津軽半島最北端の竜飛崎目指して自転車を漕ぎ始めた。最初の予定(今ではそんなものがあったな〜と言う程度しかないほど、いい加減な道筋をたどっているが)では、そこへ行くつもりはなかったが、北海道の厚岸であった、自転車日本一周記@俺旅の旅野さんから進められたので、行ってみる事にしたと。結構単純な理由だ。 進み始めて、まずとてつもなく違和感を感じてしまった。道が狭いのだ。おまけに、車の方も、自転車を大きく避けてはくれない。早速北海道が懐かしくなった。こんな道を通りながら、北海道まで来たのかな〜と、2ヶ月ほど前の事を思い出そうとしたが、全然浮かんでこない。まあ、そのうちに慣れるだろう。 海沿いの道を北へ向けて進む。昨日と今朝に御馳走になった筋子が効いているのか、驚くほどに足取りが軽い。気持ち良く飛ばし、距離を稼いでいた。 途中、トイレと買い物のために、コンビニを探す。当たり前だが、北海道チェーンのセイコーマートは無い。サークルKで、食パンと飲み物を買ったのだが、3割は高くついてしまった。また、北海道が懐かしくなった。 |
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| 予想外のスピードで竜飛崎に到着。海の向こうには、数日前に走った、北海道最南端の岬が見える。薄っすらと函館山も見えている。こうなると、本州なんだなと言う実感が湧いて来るはずなのだが、そう言う理由よりからも、今日の宿泊先の事を考え始め、本州なんだなと言う実感が湧いてきた。都合良く無料のキャンプ場がないのだ。またまた、北海道が懐かしくなった。 竜飛崎にある道の駅の近くの空地にテントを張る。”今朝、北海道を出発したんだろう。本州が北海道と違う事は分かっているんだろう。”と思ったが、やはりこの先、大変そうだなと言う思いが先行している。しばらくは、ゆとりの無い旅路になりそうだ。 |
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| 竜飛崎から 津軽海峡を挟んで、北海道松前半島を一望できる。石川さゆりの曲の同じフレーズが、しつこいほどに流れている。 |
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| 9/15(日) 104日目 現在地:青森県五所川原市 岩木川に架かる橋の下 | |||||
| 雨雲に好意を持たれながら | |||||
| 当たり前だが、9月と言う事で、夜が明ける時間が遅くなっている。久しぶりの野宿だったが、うるさいと言うことも無く、それなりには寝る事ができた。 今日は、青森県五所川原市で、以前からメールを頂いていた方と会う予定。宿泊地から70kmほど移動しなければならないので、のんびりとはしていられない。 テントの中、寝袋を畳んでいると、”パラッ、パラッ”と言う嫌な音がする。開口一番”エッ”と発してしまった。昨日の最終の天気予報では、降水確率は10%だったので、全く予想していなかった展開だ。 テントから辺りを見渡すと、北海道の方には、雲は無く、朝日が照っている。頭上を見上げると、この辺りだけに、雨雲が広がっていた。雨雲は、よほど私が好きらしい。 雨足は強いと言う事は無く、止みそうな気配を見せている。とりあえず、テントの中で、朝食をとり、様子を見ていた。朝に発表された最新の天気予報を見ると、降水確率10%の晴れの予報。溜息交じりに”何でかな〜”と言うしかなかった。 1時間も経つと、雨は止んでくれた。しかし、私に好意を持っているらしい雨雲が、頭上で微笑んでいる。急ぎ濡れたテントを強引に畳み、カッパを着込んで出発した。 旅野さんが私に、ニコニコしながら竜飛崎を勧めたのには理由があった。国道339号線の竜飛崎から日本海側を通る道、通称”龍泊ライン”は、とっても険しいらしいのだ。 出発して直ぐに、10%級の坂が連続し始めた。久しぶりに感じる足応えで、とってもきつい。雨雲があるものの、雨が降っていないので、カッパを脱ぎ、気合を込めて、ペダルを踏み込んで行った。 急な上りは、果てしなく続いている。地図を見ても、標高が記述されていないので、何処までが上りなのか、さっぱり分からない。とにかく、進むしかない。出発後、1時間が経過して、走行距離を見ると5kmしか進んでいない。道はまだまだ上っていた。 10%級の坂が連続しているだけあって、段々と見晴らしの良い景色が広がりだした。しかし、気になるのは雲の様子だけで、上を見上げては、”降るなよ。”と祈りながら進んでいた。 しんどい坂が続くものの、車の通りが少ないのは助かる。ようやく上りつめたのか、展望所に到着。眼下には日本海が広がり、なかなかに良い眺めだ。 下りが始まると、これがとっても楽しい。急な下りと急カーブが連続、スリルも加わり、最高の風を感じる事が出来る。おまけに、この旅での最高速度記録を更新してしまった。 海岸線の道に出てると、美しい海が広がっているのだが、海の遠くの方で、雷光が走っていた。頭上を見上げると、雨雲が私の後を追っているように広がっていた。 |
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| 龍泊ラインからの眺め 眼下に日本海が広がり気持ちが良い。この時、見えている雲の様子と違って、私の背後には、雨雲さんがいた。 |
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| 国道339号線から県道12号線に道を変え、十三湖沿いを進む。彼方に見えるこれから向かう五所川原市の方は、雲が無く晴れている様子だった。 車力村に到着し、軽食を取りながら休憩を入れていると、立ち込めていた暗雲が、叫ぶように強烈な雨となって降り始めた。私に雨乞いは必要なさそうだ。 夕立のような激しい雨を見ながら、進行状況を確認する。待ち合わせの場所には、問題なく着けそうなので、雨足が弱まるのを待っていた。 30分もすると、所々に日差しが戻り始め、出発できる程までになり、田園地帯の広がる、岩木川沿いのなだらかな道を進み始めた。 降水確率10%を、2回も引き当てれば、さすがに雨運も尽きてきたのだろうか、空には、塊のような雲があるものの、雨が降る気配は感じられないでいた。 |
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| 待ち合わせている方と携帯電話のメールで状況を交換しつつ、待ち合わせ場所の五所川原駅に到着。さすがに自転車旅スタイルは目立つのか、おじさんが話しかけてきて、しばらく話しをしていると、背後から「えいしょうさんですか?」の声がした。振り返ると、待ち合わせをしていた女性がそこにいた。 彼女は北海道出身のKさんで、実は、私が北海道で大変お世話になったも〜さんの知り合いの方。も〜さんから自転車でのリアルタイム旅日記のホームページを教えたもらい、それからメールを頂くようになった。 自転車のスタイルを配慮してくれたのか、河原でお食事しませんかと、お弁当を買ってきてくれていた。 岩木川の河原では、なにやらイベントをやっている。カラオケ、フリーマーケット、バーベキューをしている人が居れば、スタントカイトや凧揚げを楽しむ人、パラグライダーをやっている人たちが居る。さらには、私には必要のなさそうな、降雨体験装置まであった。それぞれがそれぞれで楽しんでいるような、見た目には、掴み所のないイベントに見えた。 そんなイベントの様子を横目に、河原にある階段に座り、手作りの味わいの焼肉弁当を御馳走になりながら、色々と話しをしていたのだが、メールでのやり取りの印象とは違っているから楽しい。それはお互い様だろうが、話しの内容よりも、そのギャップを感じながら、そして、次第にそのギャップを埋めながら話しをしていた。 雨をもたらす天気なのか、日差しを浴びると蒸し暑く感じていたのだが、風の向きが微妙に変わり始め、スーッと冷たい空気を感じた。条件反射的に空に目をやり、背後を見ると、この辺り一体だけに、曇天の塊がある。またしても狙い撃ちの様相を見せていた。少々、打ち解けていた2人。すかさず、”雨男ですね。”の突っ込みを受ける。私の今日の雨の事情を説明すると、 「今日は雨の降る予報は無かったんですがね。」 の手痛い突込みを受けたのだが、雨男ぶりの本領を発揮したのか、ポツポツと雨が降り始めた。 どうしたものかと思っていたが、Kさんのお宅におじゃまする事になった。 |
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| コーヒーを入れて頂き、さらに電気を拝借しながら話しをしていた。も〜さんから、Kさんは素直な人だよと聞いていたが、素直を通り越すストレートを感じた。 私を雨を呼ぶ男にしたいのか、新聞の天気予報を見て、五所川原市の降水確率が0%であった事を強調される。 「0%の確立を打ち破るなんてすごいですね。」 と、シャレで言っているの?本気で言っているの?と言いたくなるような、初対面を忘れ、パンチの聞いた突っ込みを受ける。今日3回目の低確率の雨に降られては、否定できない。しかし、私的には、同情されて大変ですねと言われるよりも楽しい。 Kさんの飾らない言葉が、私には気持ちが良く、負けじと私もシャレの聞いた突込みを返していた。文章でのやり取りも良いが、直接会う会話は、それとは違っていて面白い。言葉足らず、心足らずのメールの隙間を埋めるような会話を続けていた。 現在、私には新たなスタートとなる旅のゴールを迎えると言う目標がある。Kさんにも、過程としてのゴールを目指す目標がある。お互いを励ましあう言葉としては、”がんばりましょう”では、言葉が少なすぎる。しかし、一時の出会いと会話が、これからの私の励みになってくれるのは、間違いがない。Kさんにとっても、そうであって欲しいのだが、それは他人の私が詮索する領域を超えているだろう。 私は、出会う人と、お互いの気持ちを通じ合い、パワーを共有出来ればと考えるようになっていた。プラスの相乗効果と言った所だろうか。”1人でも生きて行けるさ”なんて思っていた頃もあるが、ずい分と変わったものだ。 18:00を過ぎ、も〜さんから聞いていた五所川原市での宿泊先に移動する。握手で別れを告げ、手を振りKさんに見送られた。私に好意を持っているらしい雨雲が広がり、日没の暗さに拍車をかけていた。 |
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| 9/16(月) 105日目 現在地:青森県青森市 酸ヶ湯キャンプ場 | |||||
| 八甲田山への道 | |||||
| 函館のも〜さんに勧められた橋の下の宿泊地、車の音が少々気になるが、それ以外に支障はない。しかし、街中での野宿は久しぶりだった為だろうか、熟睡できていなかったようだ。そのせいで、寝不足気味の朝を迎えた。 散々雨に降られているので、朝一番に天気予報を確認すると、夕方から雨の予報。さらに、明日は完全な雨の予報。やっぱり、私は雨に好意をもたれているようだ。それもかなり強烈だな。 テントの外へ出て、空を見上げる。朝日が見えるが、一面に薄い雲が広がっている。晴れ予報は雨に変わるので、雨予報が晴れに変わってくれないかな〜と、期待の薄い願いを持ちつつ、荷物をパッキングし出発した。 昨日、妙な賑わいを見せていた河原のイベント会場は、カラスの賑わいの場と化していた。それを横目に国道339号線に入り、弘前市方面を目指す。海沿いの道を否定し、内陸は十和田湖を目指すためだ。 コンビニで買い物をして、地図を確認する。明らかに険しそうな道のりが続いている。それは良いとしても、気になるのは雨の具合だ。単に十和田湖を目指すのではなく、八甲田山系の間を抜け、奥入瀬川沿いから行く予定を立てたので、1000m級の峠を越えなくてはならない。1日で通過するのは厳しいだろう。さらに、夕方からの雨、そして明日の雨予報を考えると、それなりの場所で、宿泊したいと考え、八甲田山の大岳の麓にある酸ヶ湯キャンプ場を目指す事にした。 岩木川沿いに進む道、遠くには、早朝の朝日に写し出された岩木山の姿が見える。田園に混じり、いかにも青森だな思わせるりんご園が広がっていて、収穫期も近いのだろうか、りんご達は鮮やかな赤みを呈していた。 道を進みながらも、天気と並び、気になる電気を拝借できそうな場所を探していると、国道沿いにある休憩所にトイレを発見した。立ち寄ると、水飲み場もあり、まずは洗濯をする事にした。 駐車場には、長距離トラックが数台止まっていて、ドライバーさん達が仮眠をとっている様だ。洗面器を使いを洗濯をしていると、ドライバーさんが洗顔にやって来て、”どこから来たの?”、”若い内にしか出来ないからね〜”と言う会話を交わす。福岡から来た事を告げると、驚いていたが、青森県入りして、5回くらいは同じ会話を交わしている。北海道ではこの手の会話が少なかったので、少しうれしい感じがしていた。 洗濯を終え、日記を書こうと、延長コードを差込、携帯電話の充電をしようとしたのだが、充電サインがでない。このコンセント、通電されていないようだ。となると立ち去るのみ、洗濯物を自転車にくくり付け、出発した。 |
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| 国道からショートカットの県道を通り、黒石市に到着。100円ショップで、ハンドタオルと、前々から自転車のフロントに着けようと思っていたかごを買う。 国道102号線に入ると、にわかに道が上り始めた。そりゃ当然だなと思い、浅瀬石川を眺めながら、その上流方向へ進む。しかし、この川は直ぐ上流にダムがあるためか、そのような水の色をしている。 気になる天気だが、目指す方向は、山岳地帯、どんよりとした雲が広がっていた。 まだまだ緩いと感じる上りを坂を登り、国道394号線に道を変えたのだが、道のほうが急激に険しくなってきた。道沿いにあったトイレ付きの休憩所の東屋の下で、先程100円ショップで買ったかごを自転車に取り付けた。こう言う工作じみた事が好きなので楽しい。限られた材料と、限られた道具で作業をしなければならないが、その悩みがまた楽しい。15分ほどで作業終了。材料費は150円程度と言った所だろうか。 新装のかごに、ウエストバックを入れ、その上に地図を置く、断然に見やすい。浅瀬石川の支流の中野川沿いを進むのだが、10%級の坂が続く。最低のスピードで、ゆっくりと進んでいたのだが、今日は休日なので、車の通りが多い。道も狭いので、フラフラしていたのでは危険すぎる。しっかりとハンドルを握り、汗を吹きながら上っていた。 |
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| 上り坂も一段落し、谷底から120m程の場所に架かる城ヶ倉大橋に着くと、視界が一気に開け、青森湾が見える。遥か橋の下には、八甲田山を水源に持ち、青森湾へと注ぎ込む、青々とした水が流れ、美しい渓相を持った川が流れている。その眺めを楽しんだ後、キャンプ場までの残り少ない道のりを進み始めた。 依然のぼりは険しい。しかも、天気予報が伝える通りなのか、あるいは、山の天気なのか、空はいつ降ってもおかしくないような状況になって来た。お客さんで賑わう酸ヶ湯温泉の脇を通り、15:00頃に、キャンプ場に到着。 受付へ行くと、他にお客さんが居ないので炊事場にテントを張っても良いとの事。炊事場の水周りではなく、電気周りを確認する。ブレイカーボックスにコンセントを確認して、それをテントに引き込んだ。寒いので、テントの中で炊事をしながら、気になる天気予報を見ようとしたが、携帯電話には圏外の通知がされていた。なんとなく嫌な展開を思い出していると、雨が降り始めた。青森県入りして3日目、毎日雨が降っている。もう何の言いようもない。どうやら雨に溺愛されているようだ。 |
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城ヶ倉大橋からの眺め |
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| 9/17(火) 106日目 現在地:青森県青森市 酸ヶ湯キャンプ場 | ||||
| 定まらず | ||||
| 昨日の夕方に降り出した雨は、激しさを増し、時折、猛烈な風を伴い、激しくテントを打ち付けた。さらに標高が高いせいもあるが、雨と風が寒さまでも連れてきたようで、結構冷える。それらに何度か起こされ、朝を迎えた。起き抜けに、この旅で、”雨・風・寒”この3つのキーワードを何度口にしたことか、…多分ゴールの自宅に帰るまで言い続けそうだなと考えたら、憂鬱になりながらも、苦笑いを浮かべていた。 ガンガン降り続ける雨、こう言う予報は当たるんだよなと思ってみたが、どうあがいても、どうしようもない。無駄に起きてもお腹が空くだけなので、再び眠りに着いた。 再び目覚めるが、雨は降り続けていた。山の方を見るが、ガスがかかり全く見えない。これでは、雨雲の様子すら判断できない。さらに、頼みの携帯電話も圏外の通知。昨日の予報では、今日は1日雨の予報だった。電気を引き込めるという条件が良かったので、早々に今日の移動を断念した。青森県に入って4日目、その間の私の降水確率は100%だ。 この先の行程と天気の状況がつかめないので、買っておいた食パンを控えめに食べる。自転車を漕がないので、少々お腹が空いても大丈夫だろう。 コーヒーを入れ、テントの中でパソコンを立ち上げた。これで電気が無かったら辛かったなと思いながら、日記を書いていた。 雨、風に収まる気配はない。おまけに、炊事場にテントを張ったは良いが、横殴りの雨で、コンクリートの床に雨が降り込み、テントが浸水し始めた。コンクリートの水履けが悪いだけに、結構な浸水だ。テントの中に敷いている銀マットの上だけが安住の地となっていた。 先が読めない状況の中、1人テントの中に居ると、気分も湿りがちになってくる。浮かんでくる考えが、負の方へと向いているような感じだ。明日も雨だったらどうしようとか、洗濯物が乾かないとか、食料が無くなったらとかを考えていたが、これが天気が良かったら、微塵も思いはしない事だろう。 |
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| 地図を見ながら、今後のルートを考えるが、いまいちはっきりと定まらない。”まあしょうがない”その言葉だけが、今の自分を支配し始めた。 とりとめもないない考えが、とりとめもない不安を呼ぶ。先が定まらず、先の見えない漠然とした不安。”結構乱れているな”客観的な自分が、自分に問いかけてきた。 こう言う時間は、旅の途中ながら、旅の終わりを意識させられる。”新たなスタートとしてのゴール”を目標としているが、具体性のないスタートに不安を覚えてしまう。 天候に、自分の気持ちの起伏を重ねてどうしようと言うのかとも考えられるが、私の真相だなとも取れる。 日記を書き進める手が止まりがちだ。漂う気持ちを表現する手段がない。キーを叩きながら、その時に浮かんだ文字を羅列して行く。文章にならない文面が出来上がって行く。それに今の気持ちが、そっくりと写し出されているような気がしてきた。逃避したい部分だが、向き合いたい部分でもある。 定まらず、答えが生まれない思考が、山の不順な天候のように思えてきた。まあ、そんな気分の起伏もあるものだ。しかし、それから逃げるのではなく、前には進んで行こう。重たい気分から開放されたい想いで、そんなわずかな言葉を生み出していた。 パソコンに取り込んでいた音楽を聴きながら、それを口ずさみ、何も出来ない時間が過ぎて行った。 |
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| 9/18(水) 107日目 現在地:青森県青森市 酸ヶ湯キャンプ場 | ||||
| 足止め | ||||
| テントに当たる雨と風の音が聞こえる。重たい気分を引きずったまま、朝を迎えた。寒さも加わり、憂鬱間と気力の減退に襲われる。外を見るまでもないような降り方をしているので、再び眠りに着いた。 今日は移動出来る期待を持っていたが、その可能性を否定するように、時折、激しく降る雨がテントに当たり、激しい音を立てている。 コーヒーを入れ、朝食をとる。昨日と同じく、状況が読めないので、控えめの朝食だ。さすがに”畜生”の言葉が出てきたが、どうする術もない。雨と風と寒さの中、出発する気は、全く起きない。もう1泊しないといけないかなと、消極的な事を考えていた。 昨日と同じく、マイナスな思考が渦巻く中、そればかり考えていると、腹が立ってきた。何もしないなんて、贅沢な時間だからな。いっそ楽しんでやるよと、履き捨てるような事を考えていた。 日記を書いたり、地図を見たりと、ぼんやりと過ごしていると、昼前になり、陽が照り始めた。外を見てみたが、一面ガスが広がり、物凄いスピードで走っている。上空を見ると、太陽がぼんやりとしか見えない。雨こそ降ってはいないが、出発するには勇気のいる状況だ。 大した距離を必要とせずに、次の目的地に辿り着けるので迷った。しかし、道の方は、いきなりの上りから始まり、下ってまた上ると言う、移動に必要な時間を少々読みにくい道だ。と思っていると、小ぶりながら、再び雨が降り始めた。こんなもんだな、何も無理をする事はないな。そう思い、今日の移動を止めにした。 |
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| このキャンプ場、歩いて直ぐのところに、酸ヶ湯温泉がある。地図の話しでは、八甲田で1番人気らしい。はどうでも良いのだが、昨日は激しく降り続ける雨に行く気が起きないでいたが、今は小降りなので、温泉に浸かりまくろうと思い、行ってみることにした。 まずは、キャンプ場の受付に立ち寄り、追加の料金を支払う。天気の話しをすると、明日以降は晴れるらしいとの事だ。その言葉を聞いて、少し安心し、温泉に向かった。 平日にも関わらず、駐車場にはたくさんの車が止まっていた。登山口が近いのか、こんな天気にも関わらず、登山客らしい人も見える。大きな建物があり、お土産屋や食堂が併設されている。中に入ると、それなりの趣を見せている。 脱衣場の小さなロッカーに、強引にパソコンの入ったバックを押し込む。木造の壁、木造の湯船に高い天井。お湯は、米のとぎ汁のような感じの色で、じんわりと刺激される感覚がたまらない。長期戦に備え、ひたすら半身欲で浸かっていた。熱くなっては、湯船の縁に腰掛、熱を冷ますと言った事を繰り返す事3回。時間にして1時間の入浴を終え、テレビのある休憩所でくつろぐ。 狭苦しいテントとは違い、開放感がある。ぼんやりとテレビを見ること1時間半。お土産屋さんに立ち寄った後、テントに戻った。 時間があるので、自転車の手直し工作をする。雨走行の問題点として、濡れるのは当たり前だが、それに付随する不具合があった。私の自転車は、ツーリング向けだけあって、泥除けが装備されているのだが、それにも関わらず、前輪が巻き上げる水に悩まされていたのだ。そこで、泥除けの部分の下に、半分に切ったペットボトルを取り付け、泥除けの下から巻き上げられる水の対抗策をとる事にした。 500mlのペットボトルの上下をナイフで切り落とし、さらに縦に半分に切る。それを連結させるのだが、調理用のストーブで針金を熱し、ペットボトルに穴を開け、針金でつなぐ。同様に穴を開け、前輪の泥除けに、針金で縛り付けて完成。費用は只みたいなものだ。 これがうまく機能してくれるかどうかは、次の雨走行だなと思ってしまったが、いやいや、しばらくは試せなくて良いなと思い直し、そんな願いを空に向けて発していた。 |
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| 雨は止んでくれたが、ガスが立ち込んでいる。今日で3連泊になってしまった。さすがに明日は出発したい。相変わらずの風が、初秋を漂わせる、わずかに色付き始めた木々を激しくゆすっていた。 | ||||
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| 9/19(木) 108日目 現在地:秋田県鹿角郡小坂町 十和田湖生出キャンプ場 | |||||
| 奥入瀬の渓 | |||||
| 昨日の夕方以降、雨が止んでくれている。このまま回復してくれれば良いのだがと思いつつ、朝を迎えた。夜明けを迎えているはずだが、テントの外に、明るくなる気配が感じられない。”頼むよ”と願いつつ外を見ると、濃いガスが広がり、陽を遮っていた。しかし、その隙間から青空が見える。ホッとした瞬間だった。やがて、ガスが晴れだすと、雲一つない晴天の青空が広がりだした。 標高や、一時の気候もあるだろうが、冷え込みを厳しく感じ、早く南下しないと行けないなと、少々焦りを感じている。一昨日、昨日と控えめに食べたおかげで残った食パンを口にして、自転車のチェーンにオイルをさすなどして出発。 キャンプ場を出ると、いきなりの上りから始まる。2日も休んだからか、これまでの道のりよりも傾斜を緩く感じる。5kmほどの上りを、30分で走破し、標高1020m、傘松峠の頂上に到達した。 ”さてと”、カッパを着込み気合を入れる。お楽しみの下りの始まりだ。予定通り、そして期待通りの下り坂が連続する。快晴のおかげで、国道103号線より北にある八甲田山の山々が見え、さらには、遥か先の十和田市の様子が見える。 グングン加速して行く自転車。その風が、2日間の足止めで溜まった想いを吹き飛ばしてくれるようだ。適度なコーナーが、さらに気持ちを高ぶらせてくれる。森の中を突き抜ける道、それを覆うように茂った木の隙間から、木漏れ日が差していた。 下るに連れて、水の音が聞こえ出す。2日間の雨のためか、沢の流れに勢いがあり、冷たそうな色をしている。その沢が集ったのか、川が見え出したのだが、この川は普通の川とずい分と違うイメージを持っている。砂防ダムが多いのだが、一般的なコンクリートの砂防ダムと違い、石を積み上げたような感じで出来ている。さらには護岸も同じスタイルでやっている。 そこに架かる吊橋の上で、休憩をしつつ見ていたのだが、何だか違和感を感じてしまう。コンクリートのそれよりも、渓谷の雰囲気は保てているが、変な感じを残す川であった。 |
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| 下りは続き、十和田湖を目指す国道102号線まで一気に下りきる。国道の合流地点と同じく、そこで十和田湖から注ぎ出る奥入瀬川と先程の川が合流している。雨の影響か、奥入瀬川は少々にごりを生じていたが、水量が多く、速い流れを作っている。気持ちの良い日差しと風を受けながら、川に架かる橋の上で一服した後、十和田湖目指し、進み始めた。 青森県入りし、八甲田山経由で十和田湖を目指したのには、理由があった。地図曰く、日本随一と言われる”奥入瀬渓流”を見るためだ。 十和田湖までは上りが続くが、川沿いを走る道なので、傾斜は緩い。渓流の流れと、その渓相を育む森を眺めながらゆっくりと進む。川沿いに遊歩道が有るのだが、コンクリートを一切使っていない。ガードレールも無く、かなり自然体を意識した状況が伺える。 多い茂る木々に包まれた道と川。その緑を反射しているかのような川は、緑色にさえ見えてくる。差し詰め、緑の川と言った所だろうか。所々に、奥入瀬川に流れ込む滝の流れがあり、一見の景色を提供している。 自転車を止め、川面の遊歩道に立ち、多様な流れを見せる川の姿に見入る。川の水に手を入れると、意外に水温は高く、20℃前後の感じがした。 川に倒れ込んだ木は、朽ちかけているものの、苔や植物を宿し、自然の成り立ちと、息づかいが聞こえてきそうだ。 吸い込まれそうな景色と胸を突く瀬の流れの音に、気分も溶けて行きそうだったが、道が近いのが災いしていた。十和田湖へと通じる道は、観光バスがひっきりなしに通り、その音が、溶け出しそうな想いを現実へ引き戻した。こればかりは、観光地の宿命だな。そう思い、確かに美しい奥入瀬の渓相を眺めながら十和田湖へ向かった。 |
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| 奥入瀬渓流 自然にあふれているが・・・。観光地の宿命を背負っているような。しかし、美しいのは確かです。 |
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| 木々に包まれた道から出ると、十和田湖の湖面が広がっている。突き抜けるような快晴の空が広がっていたが、風が強く、湖面は激しく波を打っていた。 湖面沿いの道を、進むのだが、結構な上りが含まれていてきついが、そのおかげで、展望の良い場所が有り、そこへ吹く少し冷たい風を受けながら一休み。湖を周遊する観光船が、白い波を立てていた。 観光地の休屋地区で、パソコンを立ち上げ、ホームページの更新を行った。なぜかスポット的にAirH"の圏内になっていたからだ。 気になる今日の宿泊先だが、キャンプ場がある。これから先、十和田湖を後にするためには、少し厳しい上りが控えている。時間的に移動も可能に感じたが、キャンプ場の隣にあった無料休憩所にコンセントを発見。今日の日記を書くには都合が良いな思い、明日に備え早めの日記を書くことにした。 |
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| 9/20(金) 109日目 現在地:秋田県鹿角市 国道341号線チェーン着脱場 | ||||
| 米代川を見る | ||||
| 昨日の夕方、日記を書いていた休憩所、コンセントは有るし、AirH"圏内だったのだが、16時になり、管理の方が来て、閉まる事を告げられた。その管理の方と、しばらく話しをしたのだが、方言が交じり、正直分かりにくい。最後に、何処に泊まるのかを尋ねられたので、隣接するキャンプ場であると言うと、 「受付、閉まったよ。」 の一言。キャンプ場の管理人さんでもあった。16時に閉まるのは早いだろうと思いつつ、明日の朝でも良いかと尋ねると、 「朝って言っても、受付が開く前に、あんたが出発したらどうしようもないだろ。」 と言われ、さらに 「その時は、しょうがないから良いよ。」 の言葉を頂いた。それはラッキーだと思い、なかなか融通がきくなと思いながら、キャンプ場へ移動した。 他の利用者は、車の方が1人のみ、平日だけに閑散としていた。AirH"圏内と言う事で、電源を探すが、見当たらない。うまい事は行かないものだ。 炊事場の軒の下にテントを張り、晩飯の支度をしていると、先程の方とは違うキャンプ場の受付の方がやって来た。 「受付、まだですよね。」 と一言。利用料金500円を支払った。意外にしっかりしていた。 日没の時間が早くなって来たのは、困った問題の1つだ。さすがに19時には寝れない。この場所は、炊事場と言う事で、電灯がつき、その明かりの下、地図を見ていたのだが、それも続かない。強引に寝袋に入るも寝付けない時間が続く。これから陽は短くなる一方だし、野宿の時は大変そうだなと思いながら、何とか就寝した。 |
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| 大量の睡眠時間のためか、夜中に起きる事数回、何とか朝を迎える。”贅沢な悩みだ” 3連泊を強いられた酸ヶ湯のキャンプ場よりも標高が低い為か、それ程寒さを感じない。と言っても、15℃を下回っている感じだが、私の体質も、今年の北海道の夏知らずの寒さに、鍛えられたのかもしれない。 テントの中で朝食をとっていると、カラスが炊事場へ来た気配がした。軒下と言う事で、自転車の荷物をテントの中に入れていなかったので、いつかの時のように、物色されてはたまらない。テントから顔を出し、追い払ったのだが、その後、2度と近づいてこなかった。意外に根性の無いカラスたちだ。 荷物をまとめ、出発しようとしたが、せっかくのAirH"圏内。日記を仕上げ、アップしようと思い、扉の閉まった休憩所の外を物色すると、コンセントを発見した。久しぶりの、電気に困らずの圏内と言う事で、他の旅人のページを見たりしていると、時刻は8:00。少しのんびりしすぎたかなと思い、昨日と同じく快晴の空の下、自転車を漕ぎ始めた。 予定通りの上りから始まる道だが、かなり険しい。十和田湖には楽な道はないなと思いながら、頂上に到着。湖を一望できる展望所から、その姿を見て、十和田湖を後にした。 上りの後は下りだが、適度な角度を保ちつつ下っているので、楽な時間が長く続き、鹿角市の市街に到着。足止めの為に尽きかけた食べ物を調達し、八幡平方面を目指した。 前方には、1000m級の山々が見え、標高965mの峠が待っていた。 国道282号線から国道341号線に入る手前、米代川の橋の上で休憩を取る。 ”米代川”トラウト、特にサクラマスを狙う人に、この川の名前を知らない人は居ないだろう。日本でも有数のサクラマスフィッシング河川で、サクラマスの聖地とまで言われているほどだ。 いつかはサクラマスを釣り上げたいと思っているので、 釣り期、ポイントとは、全く異なる時期と場所での米代川との出会いだが、言い知れぬ感激を覚えていた(ただの釣りバカである)。下流へ向かい、その流れを楽しみたい所だが、それはいつかの時の為に取っておこうと思いながら、米代川を後にした。 |
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| 米代川の支流の一つ、熊沢川沿いに走る国道341号線を進む。20km先は、1000m近い標高を持つと言うのに、緩やかな上りが続いていた。奥深い山の景色が広がり始め、車の通りが少ない事もあって、気分は良い。熊沢川は、きれいな流れを保っているものの、水量が乏しい。地図を見ると、数箇所に発電所が有り、そこから取水されているのだろう。 緩やかな道も、徐々に険しくなってきた。今日は峠の頂上の手前で、1泊の予定を考え、キャンプ場に目星を着けていたのだが、地図には、”夏季のみ”の文字がある。行ってだめなら、道をそれたキャンプ場だな思いつつ進んでいたのだが、目的のキャンプ場の影も見ないまま、通り過ぎていた。と、あまり期待していなかったので、落胆もせずに道を進んでいると、チェーン着脱場が現れた。しかも、トイレと東屋まで着いている。道をそれない分、次のキャンプ場よりは良いかもなと考え、宿泊を決定。 山々に囲まれているので、早い時間に陽が遮られ、吹く風に寒さを感じ、上下のカッパを着込む。徐々に暮れて行く空の下を、たくさんのトンボが飛んでいた。 |
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| 9/21(土) 110日目 現在地:秋田県仙北郡太田町 横沢公園キャンプ場 | |||||||
| インパクト | |||||||
| やはり早い日没は、就寝を困難にしている。テントに入るよりはと思い、冷えて行く夜風と、響き渡る虫の音の中、東屋のベンチで横になっていた。 最近の日記に、自分と向き合う言葉が欠けているような気がしていた。いや、心の芯、心の真はあるのだが、それを表現する事から逃げているように感じる。言わば、1日の出来事を振り返った、義務的な日記のように感じてしまった。 感動しようとして感動するものではなく、想いたいと思って想うものでもない。ただ、そのきっかけからさえも逃げているが。 客観視する自分が自分を苦しめるような気がする。作られた自分の日記。演じられた自分の日記。振り返れば、その時の複雑な心境が写し出されているとも言える。 全てが過程であり、全てが結果である。それを受け止めてこそ、自分の為になるのか。数日前に感じた”スタートとしてのゴール”の具体性に、一つの想いが生まれ始めていた。 自分1人で思考を巡らせても、人との出会いの力には勝てないような気がする。人には、それぐらいの力があるのかもしれない。響く想いが、輪となって広がって行く。やりたい事や仕事なんて二の次かもしれない。それよりももっと大切なものがあるような・・・。 ”もっと多くの人と出会い、それを大切にしたい。” ここ数日の日記には、そんな想いを生み出そうとしていた自分の心境の背景が書かれていたのかもしれない。かすかな衝撃を感じながら、テントに入り眠りに就いた。 |
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| 朝を迎えたが、道路が近いと言うのに、非常に静かな夜だった。野宿とは思えないほどの快適さと、自分に架かる靄が少し吹っ切れたような昨晩の想いに、久しぶりにすがすがしい感じを覚えた。 朝食をとり、トイレに移動。多目的トイレのコンセントを拝借し、日記を書く。携帯電話すら圏外だが、野宿地としては、良い場所である。 晴れ渡る気持ちを写し出すような空の下、昨日から続く峠の頂上を目指し出発した。 厳しい上りが続くが、車の通りが少なく、さらには森の中、所々にある沢や川の流れを目に、その音を耳にしながら進んでいた。心地良い汗も、涼しすぎる風がきれいに吹き飛ばしてくれるような感じだ。スピードは出ないが、気分的には楽な道のりだった。 熊沢川の支流の流れが、ずば抜けた渓相を見せ、私の心を溶かしてくれる。”最高だね。”そんな想いを胸に、頂上付近に辿り着くと、湿地が広がり、そして、火山性のガスの匂いがして、変わった景色を提供していた。 日記を書いたり、上りに要した時間で、お腹が空いて来た。頂上付近の景色を眺めながら、軽食を摂っていたのだが、あらゆる感覚を刺激されているようで、いい道だなと思えてくる。 下りに入りしばらく進んでいると、玉川の渓相が広がりだした。透明度は高いのだが、鉄分を含むためか、川底の石が赤い色をしている。これだけ赤い川は見た事がない。水量も豊かで、釣り心が刺激されるようなポイントも随所に見られる。川を育む森も生き生きとしているように感じられ、しばし、その流れに心を置いた後、先へ進む。 やがて、目の前の景色が開放され、天高く広がる雲が視界に現れ、ダム湖が見え始めた。湛える水は、先程見た流れのもの、水の色は青く澄み切っていて、空にある雲を写し出していた。天上にある雲だが、湖面に写る雲は手が届きそうなくらいに近く見える。きれいだとは言えるが、ダム湖だからなと思い、ダム下の川の流れがどうなっているのかを気にしていた。 ”玉川ダム”なぜか観光地と化している。訪れる人影はまばらだったが、ダムの資料館があったりと、きれいに整備されている。ダムの上から、ダム下を覗き込んで見ると、”地獄の滑り台”と言った表現を使いたくなるような景色が広がっていた。 玉川ダムを越え、道を進むと、橋の上からダム下の川が見下ろせる。川の色は少々濁りの入った緑色をしていた。 さらに下ると、次のダム湖が見え始めた。湛える水の色は、褐色の緑。ずい分と変化を見せてくれる。 そして、そのダムの下へ着き、玉川を横切る最初の橋の上に着いた。うっそうと茂る植物に、川の流れはほとんど見えない。と思っていると、そのわずか下流で、発電所を通過した水が、豪快に川へと流れ込んでいた。その水の色は、褐色の増した緑。忙しい川だな。 しばらく進んでいると、全開に緑色をした川の上に架かる橋へとやって来た。”あれがこれだからな。”と思うと共に、もの凄いインパクトを感じた。この川に住む魚は、大変そうだな。 |
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| と、濁すのは、いい加減にしたい。私はダムを否定するわけでも、肯定するわけでもない。もちろん否定したい想いはある。だが、以前にも日記の中で書いたが、それをどうこう言う資格と知識を持ち合わせていないので、無責任な発言は出来ない。しかも、この川には、この川の事情があるかもしれない。それを知りもせずに、やたらな意見は述べられない。しかし、これまで旅を通して川を見てきて、正しい知識を身につけ、その真相を突き止めたい。今日の玉川との出会いは、そんな想いを感じるには十分すぎる体験となった。 ダムが遠のくに連れて、注ぎ込む支流の水の影響か、水の色は、鮮やかさを取り戻していた。 |
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| 川も色々だなと思いながら、玉川を後にして、角館町の市街に到着。桧木内川を覗くと、鮎釣り氏の姿が見える。 傾き始めた陽の中、キャンプ場へと続く道を進んでいると、稲刈りをした田んぼから、稲の匂いがしてきた。刈られた田園は、秋が深まり行く事を告げているようだ。”カーーッ、カーーッ”と、カラスの鳴き声が聞こえて来た。こんなシチュエーションでは、その声にも情緒が感じられるから不思議だなと思いながら、宿泊先へ到着した。 |
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| 9/22(日) 111日目 現在地:山形県最上郡金山町 グリーンバレー神室 | ||||
| 目前のヘタレ | ||||
| 田園地帯にある運動公園に隣接したキャンプ場。無料だが、きれいで、炊事場にはテーブルやベンチが有り、しかも屋根が付いている。さらにコンセントまで用意されていた。それを良い事に、その屋根の下にテントを張り、テーブルの上で日記をつける。快適そのものだ。 静かな朝を迎えたが、それ程寒さを感じない。軒の下でなければ、テントが濡れて、面倒な所だが、それもない。環境が良かったので、日記は付け終えている。朝食をとり、早々に出発した。と言っても、日の出の時間の関係上、7:00を回っていたのだが。 県道を南に、横手市方面を目指す。陽は上っているのだが、雲が広がり、その光が届かない。一面に広がる田園の稲穂には、豊かな米が実り、露による雫が付いていた。 狭い県道だが、早朝と言う事で、車の通りが少なく、気持ちが良い。しばらく漕いでいると、体も温まり、半袖でになると汗も出ず、丁度いいような気候だ。 やがて県道は、国道13号線に合流、交通量が増えたが、広い路肩のおかげと、揺るやかな下りのおかげで、快適に飛ばせる。 本州はキャンプ場の数が少ない。適当に走っていても、どうにかなっていた北海道と違い、ルート、キャンプ場の予定を綿密に立てた方が苦労が少ない。しかし、所詮自転車の足、2日後くらいの予定しか立たないのだが。今日は、明日の天気が崩れるような予報だったので、温泉に隣接したキャンプ場を目指す事にしていた。距離的には、100km程度。道の内容が分からないだけに、ぼんやりしていたのでは、着く事が出来ないので、安全圏に到達するまでは、ひたすら先を急ぐ。 |
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| なんなく横手市に到着。AirH"圏内なので、公園のベンチに座り、ホームページを更新する。通信エリアで立ち止まり、通信作業を行うのは、何処へ行っても変わらないパターンだ。衛星携帯で通信が出来れば、楽だろうななどと考えながら、パソコンに向かっていたのだが、でも日記を書き溜めたときの言い訳がなくなるなと感じ、これでも良いかなと、勝手な事を考えていた。 街中を通ったり、田園地帯を通ったりを繰り返し、私的に、あまり見所がない。すれ違うライダーさんが居るのは居るのだが、北海道の時のように、手を上げてくれる人は少ない。たまに手を上げてくれるライダーさんの荷台には、北海道帰りなのか、北海道のガソリンスタンド”ホクレン”でもらえる旗が丸められて刺さっている。ライダー同士で語るあの行為は、北海道限定なのだろうか。ちなみにホクレンの旗、ライダーさんに貰ったのか、拾ったのか、チャリダーも刺しているのを見かけていた。もちろん北海道での事だ。 消化するように、先を急ぎ、自転車を漕ぎまくる。少々飛ばしすぎたのか、あるいは単調なリズムのせいなのか、結構疲れを感じ、気分もダレて来た。特に大きな峠も無く、やや下りの道で、楽なはずなのだが。 そんな感じで、秋田県雄勝町の道の駅”おかち”に到着。日曜日と言う事で、人の姿が目に付く。ライダーさんが居るが、旅スタイルの人は居ない。これから寒くなるから、旅人は減る一方だなと思っていると、4つのバックを着けた自転車が止まっているのを発見。久しぶりにチャリダーさんに会えるかなと期待したのだが、その自転車に見覚えがあった。巡る記憶から、北海道の知床峠の頂上で出会った方のものである事を思い出した。 この再会は、偶然と言うしかないだろう。お互いに交わした挨拶は、”お〜〜、久しぶり。”何処をどう通ってきたのかを、お互いに話し合う。本州で旅人に出会えないからか、 「最近、旅人減ってきてるからな〜。」 大阪の方だったのだが、そんなしゃべり口で言っていた。彼の旅は9月で終了する。この後、仙台からフェリーで帰るそうだ。 恐ろしいくらいの偶然のタイミング。良くまた出会えたなと思いながら、彼が走り去るのを見送った。1ヶ月前に、北海道で出会ったときに、刺さっていたホクレンの旗が見当たらない。どこかにしまっているようだ。 |
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| 偶然の再会を果たし、ダレ気味の気分にも、明るさが戻ってきた。これからの道を考えれば、ちょっとした峠が控えていたので、私には大きな励みになった。復活した足取りで、キャンプ場までの残りの道を進み始めた。 2つの峠を越え、明日の雨予報に備え、スーパーで買い物をする。残す道のりは、キャンプ場までの上り、距離にして7km。時間的に、余裕があるからだろうか、とても足取りを重く感じる。日本一周チャリの旅のきよさんも、たびたび日記に書いていたが、目的地を前にしての残りの10kmの距離を長く感じると言うのは、私の中にもあった。時間の読みづらい自転車故に、問題無く着けると言う安堵感が、気分的に作用するからだろうか。不思議だが、余裕があればあるほどに、残りの10kmを遠く感じる。 重い足取りと、極めつけの最後の上りで、足の方はヘタレきってしまった。”疲れた”と一言漏らし、貸切のキャンプ場、炊事場にテントを張る。温泉に隣接するキャンプ場なので、今夜は気持ち良く寝れそうだ。 カラスの寝床なのか、目の前の山に、大群がやって来た。夕焼け空のカラスの声も、これだけ多いと情緒も消えうせ、ただの騒音だなと思いながら、雨予報を象徴するような雲が広がり始めた空の下、暮れ行く夕日を眺めていた。 |
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| 9/23(月) 112日目 現在地:山形県最上郡金山町 グリーンバレー神室 | |||||
| 秋分の日 | |||||
| ”当然だな”全く泡立たない1回めの洗髪を終える。手についた抜け毛の多さに落胆しつつ、2回目の洗髪に入る。やや泡立つが、まだまだのようだ。手についた毛の量を見た後、3回目の洗髪を行う。今度は気持ちよく泡立ってくれる。”かなり”を通り越し、とても汚れていたようだ。 シャンプーを流し落とすと、すっきりとして、何だか軽く感じる。その感覚に、抜け毛の量は関係ないよなと思いながら、体の洗濯に入る。予想通り全く泡立たない。備え付けのシャンプーを使い、1回、2回、3回、4回と体を洗いまくる。ついでにひげも剃り、納得のいった所で、温泉に浸かる。 ”ホッ”と何気ない一言が出る。その言葉に気持ちの良さが込められていた。 アルカリ性の泉質のためか、風呂上りの肌がすべすべして、気持ちが良い。久しぶりのお風呂だったので、”すげー汚れてたんだな。”と思いながら、タオル1枚で扇風機の風を受けていると、その風に気持ちが飛ばされそうなくらいに、心地良い。 温泉施設には休憩所が有り、さらにコンセントまである。受付の方に、事情を説明すると、笑顔で”どうぞ”と言われる。これまた気持ちが良い。乾いた体にと、コーラを飲みながら日記をつける。300円の入浴料にしては、贅沢すぎる環境だ。 北海道よりも南に、さらに八甲田山や八幡平よりも標高が低いためか、朝の冷え込みを厳しく感じない。 今日は雨の予報。降ったら降ったで、のんびりするつもりでいたのだが、テントの中からは、雨の気配が感じられない。どんな具合かなと、テントから出ると、微妙すぎる空が広がっていた。天気予報を確認したいが、携帯電話には圏外の通知。様子を見るしかないなと思い、朝食をとり、昨晩の私の体と同様に汚れまくっていた服の洗濯を行っていると、雨が降り始めた。 判断のつけにくい天気より、はっきりしてくれた方が良い。天気予報通りの展開なので、準備は出来ている。しかも、完璧に雨を凌げる炊事場にテントを張っていたので、のんびりする事にした。 |
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| 時刻は8:00。1日はまだ長い。まずは地図を見ながら、今後の予定を漠然と決める。まあ、行き当たりばったり。予定を立てた所で、それ程の価値はないのだが。 ついでに、ここ1週間の通過した道のりを、サインマーカーで地図になぞって行く。これが結構面白い。過去の道のりも、これを見れば一目瞭然。色々な記憶が道と共に思い起こされる。ちなみに、道を間違えて、引き返した行程もマークしておく。自分の間抜けぶりを記録しておくためだ。…ではない。それも楽しい思い出になりかねないからだ。 一通り地図を見た所で、眠気が襲ってきた。逆らわずに横になり、かなり早い昼寝の世界へ旅発った。 ポツポツと降り始めた雨は、時折激しく降り、炊事場の屋根に当たり、大きな音を立てていた。 しばらくして起きると、雨足は弱まり、しとしとと静かに降っていた。暇を弄びそうになるが、焦らずにコーヒーを入れる。何気ない1杯。キャンプ場の先にある山の谷間に流れ込む霧のような雲を見ながら、キャンプ場の横にある小さな川に流れる水の音を聞きながら、草むらから聞こえる虫の音を聞きながら、ボーッとする。 ”こんな時間も良いもんだな。”言い知れぬ開放感を感じながら、まったりとした時間を過ごしていた。 昼食にラーメンをすすった後、こう言う時間だからなと思い、自転車の整備をする。整備と言っても、大げさなものではない。チェーンの汚れを落としてオイルを射したり、ブレーキシューやブレーキの確認を行うだけだ。 旅に出て、やがて7000kmになろうとしている。頭を抱えるような、大きなトラブルも事故も無く、無事に走って来れた事を自転車に感謝した。ふと、家にあるもう1台の自転車の事が思い起こされた。大事な自転車だが、あの自転車には、この道のりは重荷だっただろうなと思うと共に、帰ったら乗ってやるからなと思った。 弱まり始めた雨は完全に上がり、陽も差し始めた空には、青空が覗き、吹く風に乾いた感触が感じられ始めた。 暮れて行く夕日が、所々に残る雨雲をオレンジ色に変えようとしている。晩飯を食べ、コーヒーを飲む。まったりとした1日が過ぎようとしていた。 暗くなり始め、トイレに移動し、電気を拝借する。しばらくパソコンと向かい合った後、トイレの外に出ると、澄み切った空には満天の星が広がっていた。ひんやりとした風の中、吐く息が白くなる姿を見て、秋の足取りの加速を感じていた。 |
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| グリンバレー神室 温泉はあるし、良い場所だな。ホテルも併設され、冬はスキー場になるようだ。 |
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| 9/24(火) 113日目 現在地:山形県新庄市 東山スポーツ公園 | |||||
| 降るんだな〜 | |||||
| 星空は月夜に変わり、キャンプ場を包む林を照らしていた。静かな夜。熟睡かと思いきや、昼寝のツケがまわって来たようで、なかなか寝付けない。おまけに、放射冷却の作用か、とても寒い。やっぱり、寝袋をどうにかしないといけないかな〜と思いつつ、厚手の服を着込み、寝袋の中で横になるも、眠れない。目は冴える一方、寒さはしみる一方。 少し焦りを感じ出したのだが、そうなればなるほど眠れない。取り止めもないことに頭を巡らせ、何とか眠りに就いた。 車の音に起こされる。昨日もそうだったのだが、炊事場の目の前の道は、山へと通じ、おそらく林道しかないのだろうが、やたらと車がやって来ていた。当然、皆引き返して行くのだが。 えらく早起きの人がいるもんだと思ったのだが、時計を見ると深夜2:00。しかも、その車は私が寝ている炊事場の横に止まり、人が降りて来る気配がした。 いくらキャンプ場とは言え、小さなテントに1人。さすがに緊張が走ったが、車から降りてきた2人は、炊事場の横にあるファイヤープレースに腰掛、会話を始めた。この時間、この寒い中、何やってんだろうと思ったが、ようやく眠りに就いた私には、その会話が耳障りに聞こえる。”勘弁して〜”と思いながら、寝袋に潜り込み、強引に眠りに就いた。 気だるい朝が、寝坊を呼んだが、寒さに目は冴える。今日の天気は大丈夫だろうと思い、テントの隙間から外を覗くと、青空が見える。”よし”と、テントの外へ出て、空全体を見渡したのだが、晴れていたのは、テントの隙間から見えた一部分だけで、全体的に雲が広がっていた。 明るいので、降る事はないだろうと思い、テントを撤収し、荷物をパッキングしていると、炊事場の屋根に当たる雨滴の音。 「うそんじょっ。」 と、思わず出た大分県日田弁が、私のショックを物語っていた。ちなみに”うそだろ。”と言う意味だ。それでも出発する前で良かったと、炊事場の下で、降り始めた雨の様子を見る事にした。 激しくなる雨。しかし、雲がやって来る方向の先を見ると、晴れている。直ぐに止むだろうと思い、コーヒーをいれ、その時を待つ事にした。 |
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| 流れる雨雲、その境がはっきりと分かる。あの雲が行ってしまえば、と思いながら待つ事2時間。晴れ間が戻りつつある空の下、濡れた道へと自転車を漕ぎ出した。 下りから始まる道。所々に水溜りが残り、その水をタイヤが跳ね上げているが、酸ヶ湯のキャンプ場で取り付けた延長泥よけが功を奏し、不快感を感じない。 完全に圏内へ入った携帯電話で、天気予報を見ると、雨後晴れ。まばらに広がり残る雲をかわせば、問題ないだろうと思い、先へ進んでいた。 10km程走ると、小さな峠が現れ、と同時に低く立ち込める部分的な雲がやって来た。間違いなく降るだろうと思い、道沿いにあった駐輪場の軒下に非難する。間もなく、ポツポツと雨が降り始めた。 見渡せる雲の範囲が広いので、雨の具合を読みやすい。雨雲が過ぎ去るのを見送り、再び走り始めた。 昨日の休息のおかげか、足取りも軽く新庄市へ向かっていたのだが、どうも怪しい雲がやって来ている。…後晴れだったよなと、天気予報を思い出しながら、コンビニの軒下で待機しながら、最新の天気予報を確認すると、曇り時々晴れ。しかし、それがどうしたの?と言う展開で、雨が降り始めた。仕方がなく、そこで雨宿りをする事にした。 AirH"圏内だったので、ホームページの更新をしながら、降ったり止んだりを繰り返す雨の様子を見ていた。風上の方を見ると、”雨です。”と断言できる雲が、連なっていて、すっきりとは晴れてくれないようだ。 そんな具合の空を気にしつつ、受信したメールに目を通していると、これから向かう先の山形県東根市在住の方からの、非常にうれしい宿の提供のお話しがあった。今居る新庄市から、40km程走った所。宿の提供を抜きにしても、メールを頂いた方にあえるチャンスだなと思い、返信のメールを送った。 相変わらず定まらない天気。無理をして進む事もないだろうと、間隙を突き、近くのスポーツ公園に移動。その公園内を見て周ると、大きな屋根の着いた土俵があったり、東屋があったりと、十分に雨の日の野宿地の条件を満たしていた。その東屋の下で、天気を伺っていたのだが、時折雨が激しく降り、しかも稲妻まで走り出した。今日は、ここで1泊しようと、東屋のベンチで横になっり、断続的に降り続ける雨を眺めていた。 陽も沈む時間になると、夕日が顔を覗かせ始めた。このまま回復してくれるかどうかは微妙な状況ながら、まぶしく照りつける光線が、木々から滴り落ちる水滴をキラキラと照らしていた。 暗くなり始め、土俵の屋根の下にテントを張る。明日の天気を気にしながら寝袋に潜り込んだのだが、雷雲を伴った激しい雨が降り始めた。良く降るよな〜と思いつつ、旅の道中を振り返り、雨に降られた日を勘定してみたのだが、3日に1回は雨が絡んでいる。”こりゃ相当な確立だな”とぼやきながら、眠りに就いた。 |
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| 束の間の夕日 この後、雷を伴う激しい雨。なんだかな〜。 |
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| 9/25(水) 114日目 現在地:山形県東根市 Uさん宅 | |||||
| 降雨確立 | |||||
| 土俵を覆う屋根の下、天上の高さが災いして、風を伴う雨がテントに当たる。きれいな夕日を見た後だったので、もう降らないだろうと思い無造作に広げたグランドシートとテントの間に水が浸入し、それがテントまで染みて来た。”油断するとは、つくづく間抜けだな。”と思いながら、安全な銀マットの上、寝袋が湿らないように、細々と寝たのだった。 激しい稲光、とどろく雷鳴、さらには、なぜこんな場所で駐車しているのと思わせる車のアイドリング音に起こされる事数回、朝を迎えた。 もう気にしたくない空模様を見ると、雲が広がり、これまた微妙さにあふれている。スポーツ公園での野宿だけに、のんびりはしていられないのだが、朝食をとり、日記を書き、荷物をパッキングすると時刻は8:30。”のんびりしすぎだな。”と1人、突っ込みを入れた。 相変わらずの空模様。風上には、雨雲が広がっている。しかし、別の方角では、陽が射したりと、どっちつかずの様相を見せていた。 公園内の東屋に移動し、空の様子を伺う。昨日頭の中で勘定した雨の日数だが、正確な所はどうなのだろうと、記録を見てみると、雨に降られた回数43日、確立にして38%。”3日に1回を超えてるよ。”と、雨の引きの強さに落胆した。この確立なら、今日も降るなと、”曇り時々晴れ”の天気予報を否定していた。 微妙な空だが、風上の雲が切れているのを確認し出発。当然、自転車のバックには、レインカバーが着けられていた。 新庄市から、国道13号線を南へ向かう。今日は、東根市で、Uさん宅でお世話になる予定。それ程の距離も無く、寄り道も出来るかななどと考え、走っていたのだが、風上から熱い視線を送る雨雲がやって来ている。”熱烈だな。”とぼやきながら、タイミング良く見かけた小国川の中州に架かる橋の下へ避難する。直後に雨が降り始めた。 時折激しく降ったものの、1時間もすると、日差しが戻り、雨の方も止んでくれた。これで雨雲も愛想を尽かしてくれたら良いのだがと思い、再び走り始めた。 |
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| 道に残る水を車が跳ね上げ少々不快だが、点在する雲があるものの空は鮮やかな青色をしている。戻ってきた強い日差しと、さっぱりした秋風が、気持ち良く感じられた。 しばらく走っていると、道が乾いてきた。と言うより、雨の降らなかった場所へ来たらしい、降ると言っても、局地的に降っているようだ。それを引き当てるなんて、雨雲も私が好きだな〜なんて事を考え、自らの雨男ぶりを否定しようとしていた。 大して移動も出来ずに、お昼を迎え、コンビニで休憩。昼飯を食べながら空を見ていたのだが、明らかに雨をもたらす雲が接近して来ている。軒の下と言う事で、その雨雲が行過ぎるのを待つ事にしたのだが、案の定、雨が降り始めた。夕立のような雨、それを気にしながら、コンビニで立ち読みをして過ごす。30分も経つと、雨雲が行過ぎたのか、雨の方は止んでくれた。見渡せる限りの範囲で、次の雨雲がやって来る様子はない。もう大丈夫だよなと、願いを込めながら、先へ進んだ。 広い道幅を持つ道路のおかげで、快適な走行を続ける。2回の雨宿りで、寄り道するような時間は無くなっていた。しかし、真っ直ぐに東根市に向かうには時間が余り過ぎる。車のストレスが少なく、さらに宿の心配がないので、目に入る景色も良いものに写るから不思議だ。 広がる田園に、刈り取られた稲が干されている姿。川沿いに広がる平地を挟むように広がる山々。道沿いに生えているススキが風に揺れている。落ち着ける風景が、気分まで穏やかにしてくれるようだ。 そんな道を通り、東根市に到着。Uさんとの待ち合わせに時間があったので、スーパーに寄ろうと向かっていると、饅頭屋さんが私を呼び止め、饅頭とビールを差し出した。とてもシャレが効いている会話を交わした後、スーパーで買い物を済ませ、待ち合わせの駅へ向かった。 広い駐輪場に腰掛、地図を見ながら、Uさんを待つ事30分。 「えいしょうさん?」 の声に振り向くと、Uさんが居た。1人暮らしのUさん宅へ移動する。Uさんは、今年の5月に仕事の都合で千葉から、ここ山形県東根市に住まいを移していた。実は昨年リアルタイム旅日記ホームページを更新しながら日本一周をされた、I'll be-自転車日本一周リアルタイム日記のO.Kさんに千葉で宿を提供していたのだった。 まずお風呂を頂き、さらには豪勢な食事を御馳走になった。”今日、給料日だからね。”と一言、とても気さくな方だ。 Uさんの昔の旅の話を聞くと、環境の険しさが、伝わってきた。コンビニが珍しい時代で駅の立ち食いそばを食べていた事や、レトルトカレーも今ほど安くなかった事、アウトドア用品にしても今ほど便利なものが無かった頃の話しだ。 野宿の苦労話も、共通する点があって面白い。その時の微妙な心情を知っているので、鋭く細かな点を突かれる。 リアルタイム旅日記に配慮を頂いて、後は御自由にと一言。日記を書き進めていたが、それもほどほどにして、環境が良いので、他の旅人の日記を見たりする。さらに、気になっていた日本における年間降雨日数を調べると、測定条件等の詳細は分からないが、東京におけるデータを発見。その降水確率は年間で36%、6〜9月間に至っては50%だった。”そんなに降ってるの?”と思い、私の確立は、まだましな方なのかなと思ってしまった。 そんな事をしていると、時刻は23時を過ぎていた。楽しい会話と、1晩の宿をくれたUさんに感謝しながら、用意してくれた温かい布団の中で眠りに就いた。 |
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| 雨雲接近中 軒下で良かった。と思うしかないな〜。 |
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| 9/26(木) 115日目 現在地:山形県南陽市 須刈田キャンプ場 | |||||
| かけることば | |||||
| 明るくなり始めた部屋で目覚める。さすがに布団は、温もりと寝心地の良さが最高だ。窓から外を眺めると、露が降りていて、窓ガラスから降りてくる冷気が、外の寒さを伝えていた。 Uさんと朝の挨拶を交わす。ゆっくりして行くと良いよの言葉を頂いていたが、今日は私の方に用事があり、出発しなければならなかった。出勤前の慌しい時間と言うのに、朝食の準備、さらにはおにぎりまで作って頂く。とても短い時間の付き合いだったが、気さくなUさんにすっかりリラックスさせて頂いた。出発前に写真を撮り、Uさんに見送られ出発した。 |
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| Uさんと 仕事に忙しい平日、曖昧なこちらの日程も気にせず、気さくに触れ合ってくれたUさん。ありがとうございます。本当に元気がでました。 |
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| 早朝の道を東根市から山形市方面へ進み始めた。さすがに県庁所在地、通勤や通学の人たちの姿が目に付く。その喧騒を横目に、先を急ぐが、私の日記に対するレスのメールが頭を行ったり来たりする。 ”想いを綴る” 言葉、日記の場合は文字だが、羅列される文字に、感じた事自体の真を込める難しさを痛感していた。平坦な文字、抑揚が無ければ、表情も欠けがちだ。しかし、書き記しておきたい、あるいは記憶に留めて置きたい想いがある。自分自身でさえ、過去の日記を振り返って読んだときの感じ方は、その時々の自身の気持ちが絡んで、読む度に感じ方も変わってくる。 以前、私の友人であるふうじんにそんな事を話すと、言葉は言葉であって、文字は文字であり、あまりそれにとらわれないで良いんだよと言う言葉をもらっていた。しかし、それ故に面白いと思えてきた。 感じ方、捕らえ方は人それぞれ、時それぞれ。それで良いんだなと思えて来た。これだけ沢山の文字を長い間書き続けた事がない。筆の進む日、進まない日。気持ちの入る日、入らない日。記したい言葉や文字よりも、記そうとする行動にこそ、記したい想いが込められているのではないだろうか。 書ける言葉に欠ける文字、それ故に記したい想いを込めた文面が1人駆けて行く事もあるだろう。しかし、それが的を得ず、誤解を生むとしても、描きたい心情を、今書ける言葉で記そう。快晴の空に、そんな晴れて行く自分の気持ちを重ねていた。 |
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| ”かける”なんて事を考えすぎたからか、人にかける言葉に気持ちを込める事も難しいなと思えてきた。例えば、励ましを伝えたいのだが、どう言って良いのやらと言う状況だ。言葉自体に気持ちを込める事自体が、ナンセンスなのだろうか。しかし、想いを伝えたい。その言葉や文字よりも、その行動によって伝わってくれれば、 ”伝えたい言葉よりも、伝えようとする行動で伝える。” …。「こんな恥ずかしい事、酒でも飲んでねーと言えねーなー。」と、1人赤面し、自転車を漕いでいた。 |
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| 今日の早い出発の理由であった用事と言うのは、雑誌の取材であった。”バイシクルクラブ”と言う自転車雑誌の別冊版”ムック”として刊行される”旅自転車・散歩自転車(仮題)”(10月28日発刊予定)の編集部の方に、以前から取材の協力を、メールでお願いされていた。 私は、自転車旅に出ているものの、自転車に関しては無知である。失礼だが、その雑誌を知らなかった。しかし、メールを頂いたタイミングが、函館のも〜さんのお宅であった事から、も〜さんにお聞きし、Webが由縁での出会いだなと思い、その取材を受ける事にしていたのだ。 自転車での曖昧な日程にも関わらず、モバイルを利用してのやり取りの後、今日の取材日を迎えたと言うわけだ。しかし、晴れていて良かったなと思いながら、落ち合う場所の南陽市は目指し進んでいた。 地図での距離を読み違えたからか、意外に早く南陽市に到着。待ち合わせには時間があるなと思い、ぶらぶらと街乗りをしようとした矢先、携帯電話に連絡が有り、JRあかゆ駅で合流。 場所をドライブインに移し、まずは取材を受ける事になった。漠然とした質問には、答えにくい。と言うよりも、考えがまとまらず漠然とした受け答えになってしまう。まあ、まとまる事も無く、漠然とし続ける想いと言うのが正しいかもしれないのだが。 しかし、そこはプロの皆さん。打ち解けるムードに引き出される言葉。相変わらずまとまらない答えだが、私自身の隠された気持ちが出てくる。絡まれる雑談が、私には楽しく、それに伴い、自分自身が感じる事が出来なかった想いも出てきた。雑誌の取材と言うよりも、そんな未知の会話に期待していた所なので、とても楽しい。 その後、自転車や道具の撮影を行う。場所を変え、私の写真を撮るのだが、自分自身の写真を撮る事が少ないので、これは出来上がりを楽しみにしている。が、自分で見ると恥ずかしいだろうな。 私には1人旅の中でのWebがもたらした3人のスタッフの皆さんとの触れ合いが、これからの旅路への活力へとつながるだろう。率直な感想としては、やはり想いや、考えを言葉にする事は難しいと言う事だろうか。ただ、今はこの旅が楽しくてたまらない。そんな想いを感じながら、楽しい一時が過ぎ、スタッフの皆さんと別れを告げた。 1人になった私が呼んだのか、雲行きに微妙さを感じる。昼間の快晴がもたらした暑さも何処へ行ったのやら、急激な温度変化に、たまらず上着を着込み、ゆっくりとした足取りでキャンプ場を目指した。 |
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| バイシクルクラブのスタッフさん達と | |||||
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| 9/27(金) 116日目 現在地:新潟県北蒲原郡黒川村 胎内平キャンプ場 | |||||
| ススキの道 | |||||
| 昨日、急激に上る坂道を漕ぎ進め到着したキャンプ場。貸切だったと言う事も有り、とても静かだ。辺りはススキに覆われ、今まさに見ごろを迎えていた。しかし、ここに来る道中の道で、”熊出没注意”の看板をやたらと目にしていたので、静か過ぎる夜に少々ビビリながら眠りに就いた。 朝起きて空模様を確認する。この場所は帯電話が圏外だったので、昨日確認しておいた予報をもとにするしかない。それによると、今日の夕方辺りから雨の予報。降りそうもない空を確認し、まずは安心し、テントに引き込んでおいた電源で日記を付ける。 テントを撤収し、荷物をパッキングすると、時刻は10:00。おいおい、と言う感じで、ススキが広がるキャンプ場を後にした。 |
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| 雨次第の予定も、迫り来る雲が見えないので、焦りを感じない。南陽市から国道113号線を西へ進み、新潟県入りする予定のルートを決めた。 舟形町から並行するように進んでいたため、見ることのできなかった最上川の流れに架かる橋の上にやって来た。地図を見ると、盆地を緩やかに流れている様子が見て取れたが、そこから見える最上川の姿は、いかにもその雰囲気を出していた。魚の姿こそ見えないが、時折、水面に小さな波紋が広がる。コイ科の魚達だろう。 盆地を通る道だけあって、平坦な場所が多く、快適に進んでいた。強いと言うほどでもない風を背後から受けている。となると、背後から来る雨雲が気になるが、今の所はその気配が全くない。道の駅”いいで”に着き、最新の天気予報を確認すると、やはり夕方辺りから雨が降るような事を伝えていた。しかも、明日に至っては、高い降水確率が示されていた。 そうなると、何処でもテントを張れるわけではない。それなりに条件の良い場所でと思い、少し距離があるが、比較的低料金で利用できそうなキャンプ場に狙いを定めた。 最上川の支流の白川に架かる橋から川を覗くと、その場所から上流5km程の所にダムがあるためか、そそられる流れをしていない。その橋には、大きな電光掲示板があり、”川をきれいに・白川ダム”、”きれいな川へまたカエル・白川ダム”、”川と遊ぼうきれいな川で・白川ダム”、”安心故郷きれいな川”の文字が、交互に写し出されていた。降雨時やダムの放水時に、その情報を伝える目的を持っているのだろうが、表示されている文字に”なんだかな〜”と言う印象を持ち、やや、冷ややかな目で見ていた。 私的にいまいちな感動のその場所の流れを見た後、上流の流れに想いを抱きながら、白川を後にした。 |
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| 峠道が始まったが、それ程の距離はない。その後に続く下りに期待して、焦らずにゆっくりと登っていた。 刈り取られる直前の黄色い稲穂と、その周りに生える穂を吹いたススキ、ほんのわずかに黄色味を呈し始めた銀杏、風に揺られるそれぞれの姿が一度に目に飛び込んできた。何とも言えない懐かしさがこみ上げてきた。旅、日本一週から離れ、それらの景色を存分に楽しむような、ゆっくりとした走りをしたい衝動に駆られていた。 峠のトンネルを越えると、荒川沿いを走る緩やか下り坂が続く。切り立った山々が目前に広がり、そこから流れ出てくる水が集まった荒川は、非常にそそる流れをしている。 道の脇には、ススキが広がり、逆光で見るその姿は、銀色の穂を揺らし、たくさんのトンボが小さな影を作り宙を舞っている。暑くも寒くもない風。絶好のサイクリング日和を感じ、吹く風に心も流されてゆきそうになる程に気持ちが良い。 紅葉で有名らしい谷間は、時期には早すぎるようだが、とうとうと流れる輝く荒川の流れには、黄色い落ち葉が流れ、その気配の始まりを告げているかのようだ。”気持ちの良い道だな。”妙な懐かしさを感じながら、緩やかに続く下りを走っていた。 |
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| 荒川沿いに走る国道113号線を通り、新潟県に入ると、発電用のダムが現れだした。それを横目にまだまだ続く緩やかな下りを進み、道の駅”関川”で、トイレタイム。 この先、国道290号線に道を変えるため、最後にと思い、荒川に架かる橋の上からその姿を覗いてみた。 広がる河原に、所狭しと生えそろっているすすき野原。銀色の草原が、風とシンクロし、波のようにうねりなびいている。月夜の似合いそうなその景色に引き込まれ、しばし呆然と見入ってしまう。 自転車に乗るのには最高の時期かもしれない。学生時代に足であった自転車を駆り、気の向くままに走り、気の向くままの想いを感じていたあの頃も、9月後半から11月にかけて集中していた。今日見てきたススキの姿に、そんな過去が繁栄されて、懐かしさを感じてしまったのだろうか。 キャンプ場を目指す道のりに入っても、ススキの姿が目に付く。見ごろを迎えているそれらを、丁度良いタイミングで見れた偶然の道のり。気持ちの良い走行だったなと1人思い、キャンプ場に到着した。 |
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| 逆光のススキ 銀色に輝くススキの穂、きれいだ。九州ならセイタカアワダチソウが邪魔に入るのだが、その姿がない。 |
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| 9/28(土) 117日目 現在地:新潟県北蒲原郡黒川村 胎内平キャンプ場 | ||||
| やれやれ | ||||
| 溜息さえ尽きそうな展開。”またしても” そんな言葉では表現できないような展開。予定通りと言えばそうなのだが、天気予報にやや遅れて降り始めた雨が、炊事場の屋根を叩き始めた。その下にテントを張っていたので、慌てる事無く眠りに就いた。 朝を迎え、早朝に発表された天気予報を確認すると”雨”。外を見るまでも無く、再び眠りに就いた。 しばらくして起きて、外を見てみると、小降りではあるが、広がる雲に隙はない。”やれやれ”と思いながら、コーヒーを入れ、朝食をとる。炊事場にあったコンセントから、電気を引き込んでいたので、憂鬱になりそうな音から逃れるように、パソコンに取り込んでいた音楽を静かに聴く。 携帯電話で改めて天気予報を確認し、さらに週間天気予報を見てみると、”やれやれ”と言う言葉しか出てこない。今日はもとより、明日、その次まで休日になってしまいそうだ。 |
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| キャンプ場を選択して正解だったなと思いながら、昨日の日記を書き始めた。これでは、昨日感じた爽快な道のりの想いも砕けそうだなと感じていたが、さすがに、こうも雨の恵を受けると、こちらにも余裕が出てきているのか、以前ほどの焦りを感じない。 「止むまで待つさ。」 落胆的に発した言葉ではなかった。雨に向かって行こうと言う、気負いが入っているわけでもない。自然と口を吐いた言葉に、以前とは違う自転車旅の進め方を感じていた。 旅に出て4ヶ月が経とうとしている。何を目的に・・・。”川を見たい”、”釣りをしたい”と言う想いはあったが、その外にも、自転車で日本一周すれば、何かが変わるのではないか、自分自身に自信が生まれるのではないか、そんな期待も少しは持っていた。 しかし、期待を求めるあまり、旅路を楽しむ事を忘れ、過度の義務感に襲われた時もある。”変われば”ではなく”変えよう”ともがく心境が、自然と自分に枷を背負わせていたような気がする。 ”そんなに肩に力を入れてどうするの?”と表現されるかもしれないが、”肩”こそ”頭”や”思考”であって、そこで見るもの全て、感じる事全てを寛容に受け入れる余裕を失っていた。 目に見えて変わるわけではない。気付けば変わっているかもしれない。いや、何も変わらなくても良いではないか。こうやって、自転車で旅をしたと言う事だけが、記憶に残るだけで良いではないか。以前、私の友人のふうじんと 「別に、旅を途中で断念したって良いんだよ。旅に出た事だけでも、えいしょうにとっては十分に価値のあることだから。そして、それを見ている俺にも何かが残る。それだけでも良いんじゃない。」 と言う会話を交わしていた。気心が知れている。それだけでは片付けられない私とふうじんの関係だろうか。もちろんお互いの主張をぶつけ合い、お互いに引かないなんて事もあった。相手に合わそうとしているわけでもなければ、合わして欲しいと思ったこともない。お互いの良い所を知っていれば、悪い所も知っている。それ故に、私の肩を揉んでくれた一言であった。 |
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| 頂いたメールにしてもそうだろう。その一言一言に私の背負っていた何かが、軽くなるような事が何度かあった。 ”日本一周ってなんなの?”と言う漠然とした問いがある。海岸線を走り続けなければいけない。日本の端全てを周らなければいけない。全県制覇しなければいけない。等、種々の意見があるだろう。 旅のスタイルにしてもそうだろう。お金をかけず、貧乏に徹しないといけない。野宿をしなければいけない。 しかし、すれ違いではあったが、多くの旅人と接した私には、”それがなんなの?それがどうしたの?”と言う考えしか出てこない。別に海岸線を周らなくても、同じ道を行って帰ってくるだけでも良いだろう。通過する場所だって、そう言えばあそこには行ってなかったなと言う事があっても良いだろう。お金に余裕があるのなら、毎晩ホテルに泊まり、毎晩おいしいものを食べるのも良いだろう。自転車にしたって、ツーリング向けにこだわる事もなく、ママチャリだって良いだろう。 ”こだわるものでは無い。” と言う想いを痛切に感じている。そう言う私も、それを感じた時に、自分に背負わせていた枷を外す事が出来たように思う。 気の向くままに、気の向く方向へ、気の向くスピードで、自転車を漕いで行く。先日の雑誌の取材でも口にしたのだが、私はこれを”ヘタレ乗り”と表現している。がむしゃらに漕いだと思えば、ゆっくり漕ぐ事もある。良い場所に遭遇すれば、飽きる事無くそれを見る。休みたい時に立ち止まる。もっと平たく言えば、右に行きたくなったら右に行けば良いし、左に行きたくなったら左に行けば良い。別に引き返しても良いだろう。 ”気付けば日本一周してたよ。” これが今の段階での私の望む旅のスタイルかもしれない。そう感じられるようになってからだろう。自転車を漕ぐ事がたまらなく面白い。自転車旅が最高に楽しい。 ”今日もヘタレ乗り” |
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| 1日が終わった時に、その言葉を言えるような旅路をしたい。まあ、実際は、宿や天候等の問題で、なかなか簡単ではないのだが。 小さくなったり大きくなったりする雨粒が降る中、ぼんやりとそんな事を考えながら、テントの中で過ごしていた。 ”やれやれ” そんな天気だが、その言葉のニュアンスは、以前の私から発せられるものとは大きく異なっていた。 |
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| 9/29(日) 118日目 現在地:新潟県北蒲原郡黒川村 胎内平キャンプ場 | ||||
| ・・・様子を | ||||
| 夜テントの外へ出ると、雲の隙間から星が見えていた。天気予報は、”曇り一時雨”を伝えていたが、星が見えた事で、明日は大丈夫だろうと、テントに入り、眠りに就いていた。 朝起きると、一番に空模様を確認した。”…っふ”と、鼻で笑いながら、苦笑いを浮かべるしかないような微妙すぎる雲が広がっていた。携帯電話で天気予報を確認すると”曇り時々晴れ”。しかし、私の頭上を含め、風上には、いかにも雨を連れていますと言った雲が厚く立ち込めていた。 そんな空を眺めながら、タバコを1本吸う。吐いた煙が風になびかれ、散り散りになって行く。 ”…様子を見るしかないな。” と、テントの中、コーヒーを入れ、朝食をとり、昨日の朝と同様に、引き込んでいる電源を使いパソコンを立ち上げた。 |
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| 色々と作業をしながらも、気になる空の様子を見ていたのだが、鉛色の雲は、切れる事無くやって来る。だが、雨粒は1滴も落ちてこない。天気予報を信じ、進むべきか、それとも留まるべきか、非常に悩む展開だ。時折、テントの外へ出て、空一面を確認するが、手のつけられない微妙な加減である。 ”…様子を見るしかないかな。” と、テントの中、旅の整理をする事にした。 以前、宿泊先や走行距離のデータを確認した事があったが、新たに書き加えたデータをプラスすると次のようになった。 ・現在117泊 野宿 37泊 キャンプ場 57泊 ユースホステル 3泊 ホテル 5泊 その他 16泊 ・総走行距離 7195.6km 1日の最高移動距離 148.5km 最高速度 66km/h キャンプ場泊が多いが、その内47泊が北海道での話しだ。ちなみに北海道での野宿は8泊。しかも、北海道の野宿でビビリが入った夜は1泊のみ。一概には言えないが、やはり北海道は、旅をするには環境が良いようだ。と言うよりも、最高かもしれないな。 総走行距離だが、 自宅-青森県大間 3213.8km 北海道1周 3173.5km 青森-現在 808.3km と言う内訳だ。北海道は広いな。 |
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| 気になる天気だが、雲の様子に変化がないものの、雨は一向に降らない。しかし、出発するには、相当に勇気がいる状況だ。11:00を迎え、最新の天気予報を確認するが、”曇り時々晴れ”と変化がない。 ”…様子を見るしかないだろう。” と思い、とりあえず、最悪の展開を考え、雨の降っていないうちに、近くのコンビにまで買い物に行く事にした。 坂道が絡むものの、そこは空荷の自転車。軽快に飛ばし、コンビニに向かっていると、何かが腕に当たる。”おいおい、自転車に乗った途端にこれかよ。”とぼやいてしまうような狙い撃ち。雨が降り始めたのだ。幸い、小降りな内に買い物を済ませ、テントに戻る事が出来たのだが。 テントの中から外を覗くと、雨は激しくはなく、パラパラと降っていて、何だか止みそうな気配が感じられた。しかし、時刻は13:00になっている。 ”…様子を見てもな。” そう割り切り、今日の移動を考える事を止めた。 さて、どうしたものかと思っていたが、パソコンだけは電気を気にせずに使えるので、正確な降雨確立を算出しようと、集計してみた。 ・降雨日数 48日 ・降雨確立 40.7% (48/118) 降雨日数だが、数日前に数えたときには、2日分足し損ねていた。さらに、上記の数字には、今日の雨も含まれている。5日に2回は、雨が降っている。 ”…雨男だな。” もう、疑いようも、ごまかしようも無い。 |
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| 雨は止んだが、雲は広がっている。またしても同じ場所で3連泊になってしまった。…いや待てよ、17:00になり、最新の天気予報を確認すると、明日は”曇り一時雨”。明日どうするかは、 ”…様子を…。” だな。そう思いながら、少々あきれ気味に、広がる雲を眺めていた。 |
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| 9/30(月) 119日目 現在地:新潟県北蒲原郡笹神村 奥村杉キャンプ場 | ||||
| スレ気味 | ||||
| ”そうだろうな。” 朝1番に見上げた空は、天気予報の”曇り時々雨”が示す通りの雲が広がっている。塊状ではなく、薄っすらと広がる雨雲。一旦降り始めると、しとしとと降り続けるような感じだろうか。 ”もう1泊か?” が、頭を過ぎったが、この場所、水道とコンセントを完備した炊事塔があるものの、肝心なトイレが見当たらない。実はキャンプ場と違う場所なのかもしれないなと考えていたのだが、それ故、若干不便だ。昨日は、コンビニのお世話になり、事なきをを得たが、毎回コンビニには行ってられない。加えて、食料のお米が切れている。明日の天気予報を見ると、完全な雨を伝えている。 ”移動するなら今かもな。” 幸い、50kmほど移動した所に、無料のキャンプ場がある。買い物がてら、AirH"圏内も通過できる。 一所での4連泊を避けるように、荷物をまとめ、微妙な空の下、出発した。雨雲とのお付き合いは、まだまだ続きそうだ。 |
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| 国道290号線を新発田市方面へ向かう。稲が刈り取られた田んぼには、この所の雨のせいだろうか、所々水が溜まっている。その水に、微妙な空と、静かな山の姿が映し出されていて、落ち着けるよう景色をしていた。 林を見ていると竹林が目に付いた。北海道には竹が育ってなく、本州に戻っても、これまでまとまった形では見れていなかったので、久しぶりに見たような気がする。さらに、それと共に目をやった家の屋根には、瓦が使われていた。この姿も久しぶりだなと、妙な懐かしさを感じていた。 やがて峠の下りに入ると、川が見えてきた。田園地帯を流れるその川は、里川の雰囲気をかもし出し、渓流とは違った魅力が感じられる。 気になる空模様だが、相変わらずの曇り空。今日1日、降らないと言う事はないだろうから、もう少し降らないでいてくれよと、空に願を発しながら、この所の悪天候を忘れさせてくれ、もう少し眺めていたかった川を後にした。 新発田市市街に到着し、パソコンを広げたいなと思っていると、公園にある大きな東屋が目に付いた。そこで、1時間ばかり作業をしていたのだが、公園内にある小さな池に波紋が広がりだした。 ”そうだろうな。” 雨が降り始めた事に、驚く事はなかった。トイレに行き、近くにあったコンビニで軽食を買って、再び大きな東屋に戻り、しばらく様子を見ることにした。 1時間もすると雨は止んでくれたが、小休止である事は容易に察しがついた。しかも、雨宿り中に交わした日本一周チャリの旅のきよさんのメールで、台風が来ているらしい事が告げられていた。さらに、週間天気予報を見ると、今週は雨が絡んでばかりだ。きよさんに感謝しながらも、憂鬱な気分が先行し始めた。 雨の間隙を突くように、本屋やスーパーに立ち寄りながら先へ進む。さらに、ホームセンターに寄り、調理用のストーブのガスカートリッジを買おうとしたが、売っていない。アウトドア用品なだけに、これまでの道中でも取り扱っていないお店もあった。天候が良ければ問題のない所だが、思わず”…頼むよ。”と言う言葉を吐いた後、ニワトリらしいマークを持つホームセンターを後にした。 相変わらずの空模様。時折、気にならない程度の小雨がパラつくなか、再びホームセンターを見つけたが、店の名をうたう看板には、ニワトリがいた。案の定、ガスはない。この先の悪天候に対する不安が導いたのか、”…使えねー。”と、思わず口にしてしまった。しかし、お店には全く非はない。さすがに、この所の悪天候に、私の気持ちもスレて来たようだ。 |
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| パラついていた雨も、やがて止んでくれて、涼しい時間が続く。しかし、曇り空には変わりはない。急ぐようにキャンプ場を目指していた。 キャンプ場だが、温泉街が近い。その温泉街を通っていると、共同浴場(250円)を目にしたので、迷わずに入る。頭と体を洗い、さらに髭を剃り、さっぱりした所で、湯船に浸かる。スレ気味の気持ちが、噴出される汗と共に体から出て行くようで気持ちが良いが、やはり、天候を考えると憂鬱感が走る。 温泉から出て、空を見上げると、相変わらずの曇り空。キャンプ場は目前だ。もう少し辛抱してくれよと思いながら、大きく育った杉に囲まれた谷あいに有り、近くに小さな川が流れているキャンプ場に到着。 その小さな川を眺め、今日は9月30日。今シーズンのヤマメ釣りも今日まで、明日から禁漁だなと思いながら、東屋の下にテントを張った。 日没間じかになり、谷あいの先に夕焼け空が見えた。 ”雨が降りそうな曇りだって言うのに夕焼けかよ。” そんな言葉が、自分のスレ具合を象徴していた。 台風の影響だろうか、強い風に杉の木が揺れて、激しくざわめく音が聞こえる。暗くなったテントの中、聞こえるその音に気分までざわめきそうになっていた。 |
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