土留、外構まわり
解体屋の営業責任者は、優秀な営業マンである。
仕事の話はほとんどしない。
世間話、身の上話、新築する家の話、そして自分の家族の話
要するに、商品を売り込む前に徹底的に自分を売り込む。
まずは、自分を信用してもらい、そのついでに商売の話を
チョコッとしていく。
とうとう土留と外構もお願いすることとなった。
何から話が始まったのだろうか?
「解体工事の前にお祓いをせねばならない」から始まったような気がする。
鯛と米と塩を準備して、お礼には「御初穂料」と書くとかいろいろ
教えてくれる。
知人のそのまた知人に紹介してもらい、近くに熊野神社に電話して
宮司さんを迎えに行き、無事 お祓いを済ませ、ついでに地鎮祭の
お願いもしてしまう。
その経緯を解体屋さんに報告すると、「それは良かったね」と
我が事のように喜んでくれる。
「これは彼の営業の作戦なんだ」
とわかっているのだが、少しづつはまってしまう。
3回目の打ち合わせ時に、珍しく約束より15分ほど遅れてくる。
「いやあ、申し訳ない。ちょっと結婚式の打ち合わせがあって」
とわびる。
仕事の話にはなかなか入らず、翌日の結婚式の話で盛り上がって
しまう。
うちの娘が挨拶するとすかさず
「いい娘さんだこと・・・・、彼氏はいるのすか?」とくる。
「あした、いい男がいっぱいくるから、見てきてあげるから」となる。
こうなったらすっかり解体屋さんのペースである。
とうとう娘の見合いをお願いする結果となる。
こうなったら、初めは
「お金がないから土留めとか外構とかしないよ」と言ってたが、
断れなくなっている。何しろ我が娘の見合いがかかっているのだから・・・
「先々、盛り土なんかしたときに今の土留めでは、崩れて隣に迷惑を
かけるかもしれない」
と言われれば、「いや、うちは土盛りなんかしないから大丈夫」と
言ってたのが「そうねえ・・・それでは土留めを作り直して下さい」
となる。
ついでに門塀も、車庫スペースもと膨らんでしまう。
しまった!!と気付いてももう遅い
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