遍路-21 一見暗〜く汚い民宿で
6月21日
さ〜て、さて ・・・・・・・・・・・・遍路旅も19日目で、
昨日からは愛媛県です。
梅雨の中休みか昨日に続いて今日も晴れ。
昨日いっぱい歩いたので今日はゆっくりできると7:00出発。
国道はバイパスとなっており並行する静かな旧道を歩くことが多い。
長〜い(1740m)トンネルを抜け宇和島へと下っていく。暑い。
カッコよくはないが、麦わら帽子があって助かる。宇和島は大きな
町だ。郵便局で路銀をおろし、ついでに家から用意してきた葉書も
尽きたので「この後10日はかかる」と葉書10枚を買い求める。
繁華街の裏通りの中華料理屋で昼食を摂り、表に出るが現在地が
わからなくなる。遍路標識もしばらく見えない。何となく進み
法務局などのある広い通りで日傘の老婦人に「龍光寺に行きたいの
だが」と尋ねると「龍光院なら市内にあるが、龍光寺はずっと
先よ。国道に出た方が良い」と教えてくれる。
「どこからいらしたの?」
「仙台です」
「あら、それなら宇和島の本家じゃないの」としばらく話し込む。
同じ伊達藩として、仙台と宇和島は今でも姉妹都市のお付き合いを
していることを思い出す。
しばらく行くと大きな公園(多分お城の跡)があり、一休みして
「アイスクリン」などいただく。「アイスクリーム」ではない
ところがミソで、ソフトクリームの器にシャーベット状の
「アイスクリン」をカップで盛り付けてくれる。真夏のおやつだ。
今日の宿は次の札所の門前と決め、電話で予約を入れる。
国道を離れて山への県道となる。山の中に「うどん」の旗が
立っている。もう一度食べようと寄るが、製麺所で食べさせては
いただけないとのことガッカリする。
峠手前で車道を離れ、山道に入り峠を越えると高原状の別世界と
なる。集落をめざして田んぼの中の車道を行き、ちょっとした
町に入る。
きれいな小さな和菓子屋さんがあり、「名物なんとか饅頭」との
ノレンが下がっている。(”なんとか”がなんだったか忘れた。)
お腹も空いたことだしと、そこに入って「ここで食べたいので」と
2個だけ注文する。
女主人は「お疲れさん」とお茶を出してくれ、更に売り物の水
羊羹をお接待してくれる。
41番.龍光寺はそこからすぐで、小さいながら門前には
お土産物屋さんなどが並んでいる。15:40着。
宿は?と探すが見つからないので、露天の
土産物(ミカンなど)屋さんに荷物を預けて寺の石段を登る。
バスツアーが二組もありにぎやかだが、「宿もすぐそこだし」と
ゆっくり回って納経を済ますころにはバスは出発してしまい、
静かな境内に戻る。
石段をゆっくり戻り荷物を預けた露天のミカン屋さんの中の
「椅子に座って、しばしおしゃべり。
「ミカンと言ってもいろいろあるのよ」
「伊予柑なら知ってるけど」
「伊予柑はもう終わり。今はコナツがおいしいの」
とコナツをいただく。
「他にも○○とか。△△とかありおいしいよ」とそれらもひとつづつ
いただく。(○○、△△は覚えられなかった)
予約した宿の場所を聞くと「ああ、あそこはやる気が無いから
看板も出してないの。この先の公民館の向かい側の2階建て」と
教えてくれる。
16:20宿に入る。「ごめん下さい」と言っても返事が無い。
大声で3回ほど呼ぶとようやく老婆がよろよろと出てくる。
何か暗〜い感じだ。「予約していた岸です」と告げると
「二階へどうぞ」とシワ枯れた声で呟く。「風呂は下。
トイレは上にもある。上に3部屋あるからどこでも好きな所へ
どうぞ」と言い引っ込んでしまう。
一人で上に上がり、上がってすぐの端っこの部屋に入る。
壁いっぱいに賞状が掲げてある。昭和40年前後のもので二人の
娘さんのものらしい。
高校総体の入賞、皆勤賞、剣道の段位認定証、感謝状などなど
自慢の娘さんらしかった。部屋の中には娘さんが使っていたと
思われる机とか本棚とかもそのまま置いてある。
文字通り普通の民家をそのまま民宿にしている。
横になっていると下で何やら言い合いの様子。
予約なしの客を断っているようだ。その後、予約していたのだ
ろうか、一人上がってくる。
風呂に入って待っていると18:30やっと老婆が食事のお盆を
持って上がってくる。見ると足が不自由でギブスのような装具を
つけている。
「お手伝いしましょうか」と言っても 「大丈夫だよ」としわがれ
声で呟く。
それぞれの部屋に延べ6往復もして食事を運んでくる。食事は豪華だ。
ご飯、味噌汁の他になんと13皿も並んでいる。
家への葉書にその内容を書き記す。
食事を下げに来たとき「二人予約なしで来たが断ったよ。急に
来たって食事は出せないし、食事なしの素泊まりで良いと言われ
てもこんなボロ家ではお金を頂けないし」とニヤッとしている。
なかなか面白いバアさんだ。夜中に包丁を研ぐ気配でもあるかと
耳を済ませたがそんなことも無い。(後でわかったことだが、
旦那さんは脳溢血の後遺症でほとんど寝たきりでバアさんが
介護しているので忙しいとのこと。
また娘さんの一人はすぐそばに嫁いでおり食事作りの手伝いに
来ているとのこと。)
今日はノンビリした。 48,569歩 35kmぐらいか
目次に戻る
次へ