遍路−3  突然の腹痛
6月4日
さてさて 四国の第2日目は・・・ 前夜はわざわざ寺から離れた山中に幕営し、蚊取り線香の臭い が染み付き、ますます遍路者のたたずまいとなる。  夜明けを待ちテントをたたみ、昨夕購入していたパンをかじ って、改めて山門に行くと7時前なのに開いている。 早速、お参りし納経所に行くとおばちゃんが「早いねえ。はい、 これはご褒美」とまんじゅうと飴などいただく。 7時ちょうどに納経を済ませて山を下り、30分ほどで5番、 地蔵寺にお参りし、6番に向かう。 今日もカンカン照り、遍路道は大きな街道から外れてあちこち に日陰もあり歩きやすい。  途中、大きな神社の鳥居の前で腰を下ろして一休みしている と、反対側から遍路笠に金剛杖の若い美人がひょうひょうとし て軽々と歩いてくる。 「なんで逆方向から来るの?」と思い、「おはようございます」 と声をかけると立ち止まり「これ、そこでいただいてきたの。 半分どうぞ」と枇杷を差し出す。 みずみずしくおいしい枇杷だ。「昨日、結願して1番さんに戻 るところなの。49日もかかっちゃった」とのこと。  何の悩みもなさそうな実に清々しい姿だ。つい我が家の26歳 グーたら娘と比べてしまう。  6番、7番を済ませ、7番に向かう途中、突然、右下腹部に激 痛が起きる。 とても歩けない。「倒れる」と思い、ザックをおろし、しゃが みこむ。お腹を押さえて路上にうずくまる。額にはつめたい 脂汗がべっとり・・・・・・ 7年ほど前の尿管結石のことを思い出す。 あのときは痛みが 2時間ぐらい続いた。おしっこがでなかった。 おしっこをしてみる。はずかしいが立てないのでうずくまった ままで。出た。 と言うことは結石ではない。下痢の兆候はない。  15分ぐらいで痛みは収まり、ゆっくりゆっくり歩き出す。 平地で杖をついて歩くのが変な姿勢になりいけないのかも知れ ないと杖は持つだけにする。  「この先、接待所あり」の看板につられて遍路道を外して車 道を行くと大きなバラックがあり、ご夫婦で果物屋をしながら 歩き遍路の接待をしている。 お茶とみかんをご馳走になる。お腹の痛みのことを話すと 「慣れない生活で緊張して神経性胃炎になる人がいる」とのこと。 宿のことを相談すると「今からでは11番は難しいかも知れない が、もし行くのならここから11番門前の宿に電話しなさい。 正直に現在位置を話すと断られるから”8番を終えて9番に向か っている”と言いなさい」と知恵を授けてくれる。 早速電話して宿を予約する。 「さあ急がなくっちゃ。お腹が空いただろうが我慢して9番まで 行ってから”たらいうどんの大盛り”を食べて 11番まで急ぎな さい」と接待所のおじさんに急かされてまた歩き出す。  たらいうどんはおいしかった。さすがうどんの本場だけのこ とはある。  11番へはひろーい河原のなかを歩く。じりじり照りつける日 差しをさえぎるものは全くない。 吉野川を渡ると街に入りあちこち木陰がありホッとする。 急ぎに急ぎ17;00ちょうどに11番 藤井寺につき、タイムリミット を延長してもらってお参りを済ませて宿に入る。  本日の歩数 49,825 歩 お腹の激痛はこの後もたびたび起きる。きっと発心を試されて いるのだ・・・・・
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