立山・剣岳

険しいところなんて無いって言った奴がいた・・・




室道



前年の槍穂縦走時の天候とはうって変わって素晴らしい天候に恵まれた。いつもは夜中に車で出発して、登山口で夜を明かして半徹夜状態で登山に挑むのだが、今回はブルジョアだった。
 登山前日の昼間に名古屋から立山駅まで車で移動し、駐車場に車を置き去りにして美女平まで傾斜のキツい坂をケーブルカーでカタコト登っていく。なかなか風情があってよろしい。景色も良い。
 美女平からはバスに乗って弥陀ヶ原の室堂まで。
 室堂の「みくりが池温泉」で今夜はご一泊。
 うーん、なんて優雅な登山だろう。今までが異常なのか?早めに着いたので地獄谷を散策する。硫黄の匂いが立ち込める。
 みくりが池温泉は硫黄泉で身体にジンジンしみる。夜はBEER片手に見上げた空が綺麗だった。



立山頂上



翌朝、みくりが池温泉を出発して一ノ越を目指す。
そこそこの登りだが、前日にたっぷり寝た事もあってそんなにきついとは思わない。
一ノ越につくと一気に展望が開ける。目指す剣岳はまだまだ遠い。
中休止の後、大汝山・真砂岳経由で別山に向かう。
別山までの登山道は尾根伝いで日差しはきついが平坦な為、
とても楽である。
 敵は夏の日差しのみ。

雄山頂上より一ノ越山荘を見る一ノ越より黒部湖を望む




別山手前別山手前の登山道。

地元の高校生くらいの遠足だろうか?
かなりの人数が延々と続く。

巻き道を使ってこの集団を回避。
急いだせいで息が切れた。

若さだけは戻らん!



剣岳
まだ10時頃だというのにとても暑い。
日陰が無いので風通しが良いところを探すことにした。
富山市を望む小屋の裏側が風が良く通り、
日差しを除けば快適であった。
 1号と3号は朝からBEERでガソリン補給中。
1号にいたっては1リッターくらい補給していた。
この日差しの中、山行をするのに大丈夫だろうか?
剣岳を目の前にして少々興奮気味。
本当に山が好きな男だ。


剣御前小屋前より剣岳を望む


剣御前小屋からの剣岳と昼食   暑いんだから!



別山乗越から剣山荘を目指す。剣山荘までは緩やかな下りが続く。途中、小さな雪渓もあってちょっとした気分転換になる。2号は「るん!るん!」ってなもんだ。




剣山荘に着くと一服剣を見上げるような位置にあることがわかる。このまま荷物を置いて剣岳ピストンを敢行するかどうかの判断を迫られる。
いろいろ聞いて回ると、午後からは雲が出るといわれて出撃は明朝へと持ち越しになった。
登頂が翌日と決まった途端、毎度のごとくBEERタイムだ。BEERが終わると1号は下見とばかりに一服剣へと登っていった。2号と3号はお留守番。いってらっしゃい!
このあたりは雪渓があり、水が豊富という事もあって、夜は小屋で風呂に入ることが出来た。なんとゴージャスな登山なのだろう。




翌朝、剣岳に向けて出撃する。
天候は曇り。
荷物は小屋に置かせてもらう事にした。
機能下見に行った1号の情報では
「一服剣を登ったらすぐに剣が見える」とのことだった。

これが嘘だった!

もっと奥じゃないかよ!



鎖場 まだまだ余裕!

一服剣を越えると確かに岩山の頂が雲の向こうにかすんで見えたが、それは前剣である事が判明。
もったいつける山だなぁ。
やい、1号! 偽ネタ流すなよ。
疲れるじゃん、にゃろ!
前剣を越えたあたりから厳しいポイントが出現する。
ガレ場の急登、足元の悪い鎖場を平行移動、鎖場の急降下はなかなか恐怖心を煽ってくれる。
1号と3号は鎖が嫌い。あの冷たくて不安定に揺れる物に命なんて預けられるかい!
おまけに梯子も嫌い。要は人工物が嫌いってこと?


前剣の門、平蔵のコルでも十分迫力(?)があったのにまだ例の奴が姿を現さない。
と思ったら目の前から登山道が無くなった。じゃなくて、ほとんど垂直な壁が曇り空に向かって伸びている。
その壁にぶっといボルトが30m程上まで点々と打ち込まれている。














出たぁああXXっ♪ぁあ#あ!!

これが噂の「カニの縦バイ」かぁ。
なかなかスリリングじゃん。
さてと、この途中でカメラを取り出す余裕はなさそうだからカメラは口にくわえてっと。
立ち止まっているおばちゃん達を尻目に 「ほんじゃお先に」 と登り始める。
人工物は嫌いなのでボルト、鎖は使わないで両手両足をヒコヒコ動かして壁を登る。
本当に情けないカニみたいだよ、こりゃ。
どうしても一箇所だけ手足が届かないところがあってボルトを掴む事に。
やっぱりヒンヤリして嫌だった。

カニの縦バイ余裕かましてっじゃん!



カメラマンとしてこの途中で撮影する余裕は無かった。
撮影しようとするのだが下を見たくない。 イヤイヤ! 絶対にイヤ!
それでも好奇心がウズウズ・・・

「見ちゃおっかな!?」

中くらいより少し登ったところでカメラをくわえたまま下を見ると
1号と2号がヘコヘコ登ってくる。
「こりゃいかん」 30mほどの壁を一気に登る。
登りきったところで右側の小さなテラスのような所へトラバース。
そこで身体を安定させてさっさと無事撮影。


我々 「へなちょこ山岳会」 では 「カニの縦バイ」のことを
「カニの縦チン」と呼んでおります。 深い意味はありません。ホントです!
このサイトはアダルトサイトではありません!



カニの縦チンをクリアしたあとの頂上までの様子はよく覚えていない。
ただ、危険な個所はそれほどなかったのではないかと思う。
と言うよりも、カニの縦チンをやってしまったので恐怖感が麻痺してしまったのかも。

頂上に到着すると10数人の登山者がいた。
頂上のスペースはそんなに広くなくて岩がゴツゴツしている。


剣岳頂上天下の名峰 「剣岳」 の山頂で記念撮影。

このとき、ガスが出て撮影は出来なかったが
西北西へ伸びる早月尾根の登山道を見て一言。

「人間じゃないな、このルートを登ってくるのは・・・」

早月尾根を踏破した人がこのサイトを見たら教えて欲しい。
何を考えてあのルートを行こうとしたのかを。
見た事のある人は同じ意見をもつのではないか。
だって岩がゴロゴロしているだけのような尾根なんです!
ありゃあ、カモシカくらいなもんでしょう。登ってこれるのは、ハイ。


霧雨が降りだして寒くなってきたので下山する事にした。
登りで「カニの縦チン」を踏破している我々に怖いものはない!
なーんて事は絶対に言いません。

登りの難易度が高いってことは、下りの難易度はさらに高いってこと。
当然、先ほどから降り出した霧雨で岩場は滑るし寒いし鎖はさらに冷たくなるし。
正直なところ
(勘弁してくれよぉ〜)
と心の中でつぶやいた。

でも、やっぱり無理でした。地図にも書いてあったしガイドブックにも書いてあった。
下山時に現れる縦バイよりも怖い奴・・・

出ました・・・


感想は
!!!
腕をクルクル回しちゃいそうな気分!


出ました、カニの横バイ。   へなちょこで通称 「カニの横チン」
はみ出てるわけじゃありません。 なんのこっちゃ???
カニの横チン




写真の一番下にいる黒いザックの人の所からグルリと回り込むんです。

切り込む為の始めの第一歩が見えないんです、足元が。

手探り状態ならぬ足探り状態で左足のポイントを探さなくちゃならないんです。

「えいっ!」とばかりに行かなくちゃならないんです。

当然渋滞します。私の前のおばちゃん、早くしてね。寒いし、後ろがつかえてるからね。


ところが、さらにさらにおっそろしいことが・・・

本当に恐怖心をあおるような出来事が起こちゃったんだな、これが。
私の前にいたおばちゃんがやってくれました。
そのおばちゃん、かなりビビリが入っていたので
3人で 「ヤバイんじゃないのか? 何でこんなとこに来ちゃったのかな?」
なーんて話していた直後!

カニの横チンの第一歩で

「ズリッ!!!」

我々と後ろで待っていた人たちは全員



「#!*♪&〆〒♀♂Θξ」



場外ホームランです! これは間違いなく場外ホームランです!

鎖を必死につかんでいたので片足を滑らしただけで難を逃れましたが
これはいけません。反則です。
後に控えている人たちをビビらせました。
直後に行かなきゃならない私はどーすりゃいいの!?
へなちょこ3人衆は、ただただ笑うばかりのみ。
「ひゃひゃひゃひゃひゃ・・・」 また壊れました。
順番では次にトライする3号が 「俺をビビらせてどーするよ!?」

と言っていても仕方がないので
「行きます」 と声をあげて 「エイッ!」 と岩にへばりつく。
さすがにここは鎖をつかまなくちゃ渡れない。
だって手は届かないし、足元は見えない。
足でモサモサと足場を探していると後ろの2人が
「もう少し右、そうそうもうちょっと下」
なんて、まるでスイカ割りみたい。

こちらから送れる情報は一言のみ。

「怖いよ〜、足元見えないから気をつけてね。」
と後ろを振り返り、情けない声を出すのが精一杯。

なんとかその場はクリア。 多分そのあとも危険個所はたくさんあったと思う。
でも何も感じなくなっていた。 恐ろしや、カニの横チン
縦チンなんて目じゃないぜ。


剣山荘なんとか無事に剣山荘まで戻る。
天候は回復していた。
というよりも頂上付近だけがガスっているような感じだ。
振り返ると頂上は曇っていた。


帰りは来たときと同じ別山乗越の剣御前小屋前まで行き、そこで昼食とした。
そこからは雷鳥坂を下って雷鳥沢ヒュッテまで下山。
このとき1号はヒョイヒョイと走るようにして下山していった。
2号と3号はフラリフラリというか、のんびりというかマイペースで下山。

雷鳥沢ヒュッテは大きくて静かな小屋だった。小屋というよりも小さなホテルのよう。

雷鳥沢ヒュッテこれが雷鳥沢ヒュッテだす。
温泉が気持ちいいはずなのに。
日焼けがひどくて3人とも温泉に浸かることが出来なかったダス。

みなさん、日焼けには十分気をつけましょう。


夜はここのテラスのようなところで星空鑑賞。
簡単な食糧を温めて星空見上げてBEER片手にいいもんです。
流れ星が結構見えました。
3人で 「流れ星が流れている間に願い事を3回唱えると願いが叶うって話だよな」 とは言ったものの
3回なんて絶対に無理だ、という結論に達した。
だって、見つけたときは1回目の願い事さえ言い終わらないうちに消えてしまうんだから。

この夜は日焼けで火照った身体を冷ましながらゆっくり寝ました。
日焼けで火照ったんです。 変な想像はしないで下さい。


翌日の朝、室堂まで行き、そこからまたバスにゆられて美女平まで帰っていきましたとさ。


それにしても恐るべし、剣岳。



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