燕岳・常念岳
眺望の利かない表銀座なんて
クリ〇プを入れないコーヒーよりひどい・・・



我々へなちょこ山岳会は昨年、御来光を穂高連峰を西側の笠ヶ岳から拝んだ事に対し
今年は反対の東側から夕焼けをバックに黒いシルエットを織り成す穂高連峰を見ようと
燕岳〜蝶ヶ岳への縦走を企画した。
出発前の週間天気予報では14日(土)は雨模様だが、14、16日は晴れという情報を信じて
土曜日の一日をつぶす覚悟でこの縦走を決行した。
翌週も3連休だったのだが、先の話はわからないと判断したのもこの決行の決定要因でもある。


しかし!


このささやかな望みは「気象庁」という人道無比、冷酷極まりない無情の予報によって
大きく覆されてしまった。 雨らしい雨は降らなかったが縦走中に太陽を拝む事は無かった・・・
まったくもって


気象庁のバカヤローーーーーー!!!!!(怒怒怒)


くっそーーー!
前日どころか出発直前にインターネットで天候を確認した時ですら
15、16日は晴れ時々曇り、降水確率30%以下だったと思うんだけどな。
何の為に初日の燕岳を半分あきらめて登ったというんだぁ!?
頭の中に「爆風スランプ」の「45歳の地図〜COME BACK 青春!〜」がリフレインしている。

♪私の青春を返せ〜♪ ♪輝くときめきをもどせ〜♪
♪捧げて尽くした月日を さあよこせ〜♪

にゃろ〜


と気象庁に怒っていても声が届くわけでもなく、時間が戻るわけでもないので
ここに縦走紀を記すことにする。
それでもなんやかんやと楽しんできたのは我々の前向き(?)な考え・発想がなせる技か?


14日の早朝(?)1時に多治見インターを出発して穂高駅を目指す。
出発前に時折強い雨が降っていたが、これも予想していた事。
(今のうちに降っておけよぉ。連休は快晴じゃあ!)

中央道をひたすら豊科インターに向けて走る。
途中、弱い雨が降ったりしたが気にはしない。
ところが岡谷ジャンクションを越えて松本インターに近づいた頃にはすっばらしい雨となった。
「ありゃま! ある程度は覚悟していたけどこれはないよねぇ。」


豊科インターを下りて早速 最後の買出しにコンビニへ入る。
ここでも食糧が大半を占めるのだが、どうやってこの量を消費するのだろう?
一週間は山ごもりできそうな量である。
おまけにわたくちはトイレットペーパーを忘れた為に1パック/4ロールの買い物までしてしまった。
全部担いで登って 山小屋で売ったろかい!?


予定では穂高駅に4時ごろ到着して、他の登山客と乗合タクシーで中房温泉口まで行く予定だったが
我々が到着したのはなんと3時半・・・ 早く着きすぎた・・・
タクシーの運チャンと協議の結果、我々2人のみで行く事にした。 (結構割高になる。1人4千円強)
ただ、運良く話をしたタクシーの会社が駐車場を無料で貸してくれる特典がつくから結果オーライってなもんだ。


駐車場で荷物の再点検と先ほど買った荷物を詰め込む・・・ 入らない!
どんな量を持ってきたんじゃ!? 2号さん、タッパーウェアをそんなにたくさん持ってきてどーすんの?
収まりきらない荷物は車の中でお留守番となった。
トイレットペーパー3巻もその仲間となったのは言うまでも無い。


準備中
タクシーに揺られる事、約40分。 半徹夜で来たのでタクシーで眠れるかと思ったら、運チャンが御丁寧に話し掛けてくれる。 
2号は隣でいびきをかいている。 (クッソー!)
4時半過ぎに中房温泉に着いた。 雨はやんでいる。(ラッキー!)
おぉ!? 真っ暗!!! 当然である。 夜明け前なのだから。
普通の登山客なら雨が降り出す前にヘッドライトをつけて登り始めるかもしれない。
我々をナメチャいけない。 まずは雨天用に装備を直して朝食である。
一説には2号の荷物を軽くする為に必死に胃袋へ詰め込むという噂もある。
(実は最近、毎度の事なのだ)
朝食を取っている間、わたちはウロウロ落ち着きが無い。
Tシャツにサッカーのハーフパンツでは寒いんだよぉ。


5時半ごろに日が登り始め(太陽は見えない)、他の登山客がガンガン登っていく。
一番最初に来ていた我々はのんびりと準備運動にかかる。 (健脚者の余裕のつもりか???)


出発
5時半に登山開始。
北アルプス三大急登がどの程度か見てやろうじゃん。

この格好じゃわかんないけど
実はレインウェアの下はTシャツにサッカーのハーフパンツという
いつもの格好なのであります。
レインウェアを装着したお陰で寒さがしのげた。

まぁ、この装備になる事を予想して薄着にしてきたんだけど
それにしても寒すぎるなぁ。


給水中


出発して30分を少しすぎた頃に第一ベンチについた。
ここまで来るまでに中高者の登山客にバシバシ抜かれた。
別に急登だからというわけじゃないんだけど、いきなり登坂が始まったからなぁ。
まだ体がついていかないよ。 ボクタチ、皆と違って寝不足なんだから。
ここで2号さんは水場へ給水に行く。

非常に水が豊富である。
さすが北アルプス。
初心者でもオッケーなのねん。(ホンマかいな?)


第一ベンチからみた登山道

登山道はとても綺麗に整備されており、何の不安もない。
樹林帯の中を進むので徐々に暑くなってきそうだ。
先ほど食った朝食のせいだろうか?
わらわは背中に担いだザックよりも体が重く感じるぞよ。

この第一ベンチで関西弁の若い女性4人組に遭遇する。
「おはようございま〜す!」
とても元気な女性達だ。 ペラペラペラペラペラペラ・・・・・

トテモニギヤカデスネ。 さ、僕らは出発しましょ。
このHP見たらごめんね。 僕らの疲れた身体にはちょっとヘヴィだったのさ。


第一ベンチを出てすぐに暑さに耐えられず、我々はレインウェアを脱いだ。
その衣装替えの最中に関西ガールズ(?)に抜かれる事に。
「おはようございま〜す!」 と若き女性の声。 ペラペラペラペラペラ・・・
「お゛は゛よ゛う゛ごじゃいま〜ふ」 と我々の返事。

さらに30分登るか登らないうちに第二ベンチに着いた。
随分とご丁寧なこった。 いったいいくつのベンチがあるのだろう?
ここにはたくさんの人がいた。 当然、関西女性カルテット(?)も。
「おはようございま〜す!」
「はい、おはようございます」
とまた繰り返す。


我々がどれくらい疲れていたかというと・・・

お昼寝ありゃま、手ブレ
左はいつものお昼寝。
本日は下が濡れている為にこのような格好で失礼します。
右は私が写したのでありますが(第二ベンチ手前)
眠いせいで思いっきり手ブレしてます。

最近、こんな手ブレが非常に多いんです。
つまりは使えない画像ね。 オホホ・・・
仕方ないんじゃい!
眠いんじゃい!


登坂
依然として登坂が続く。
割と急な登坂であるが、睡眠を取った後の我々は別人である。
人様に追い抜かれる事もなく標準時間で登りつづける。

第二ベンチでほぼ同時に出発した関西レディースの声が
九十九折になっている登山道の下の段から
ペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラ・・・

あれほどしゃべり続けてよくもバテないものだ。
よく聞こえる言葉は
「ほんでな、ほんでな・・・」 と 「でな、でな・・・」 がほとんど。
実に面白い!
I LOVE Kannsai Girls!


ふぞろいの梨たち?
登り始めて2時間半くらいで富士見ベンチに着いた。
恐ろしい事にコースタイムとほぼ同じである。
ここで初めて行動食をとる。
行動食は梨だ。 これも2号の荷を軽くする為に仕組まれたものだ。

にしても、左の画像は20年位前にTBS系のドラマで
似たようなシーンを見たような・・・
確か・・・  「ふぞろいのリ〇ゴたち」 って番組だったような。
時任三郎、手塚里美、中井貴一、石原真理子・・・
あっ、そうそう、いたわいたわ柳沢慎吾。 な〜つかしいなぁ・・・
って違う番組になってんじゃん。 このあたりのフレーズが理解できる人はそれなりの年齢です、ハイ。
わからない人は30代中盤の方々にお問い合わせください。
即答されるはずです。

関西ガールズ達にここでも接触する事に・・・
「おはようございま〜す!」

いい加減にワシらの顔と服装を憶えろっちゅーんじゃ!


合戦小屋富士見ベンチから15分もしないうちに合戦小屋に着いちゃった。
ここにはさらにたくさんの人がいた。
さっそく名物のスイカを食べようとしたら季節終了だった。
ぐっすん (;_;

お昼寝パート2

ここでも2号さんはやってくれました。
しかし、この後すぐに関西ガールズが隣の席に座り
ペラペラペラペラペラ・・・ ほんでな、ほんでな、  でな、でな・・・


向こうに燕が・・・ナナカマドに彩られた登山道この合戦小屋の周囲にはナナカマドが綺麗に咲いていた。
そのナナカマドの向こうに燕岳が見えるはず・・・ なんだけどなぁ。
合戦小屋を出ると登山道は一段と綺麗になり、右側はしばらくナナカマドが赤い実で演出してくれた。

さてと、あとは一気に登っちゃいましょう!
尾根はもうすぐそこだい。


燕山荘

とかなんとかいっているうちに尾根に着いてしまった。
文字通り着いてしまったというあっけない感さえある。
ガスの中からヌボッと赤い屋根が現れてきたんだもん。
燕山荘の登場でごじゃい! 小屋の近くには雷鳥の親子がいた。
時間も時間なのでここで昼食を取ることにした。
周囲にはたくさんの人たちがいたが、寒さと強い風の為か
外でバーナーをたいている人は少なかった。 本当に寒いんだな。
というよりも、北アルプスじゃあ素泊りする人のほうが少ないからね。

それにしてもかっちょいい山荘だねぇ。

ペンションみたいだよね。


強い東風を全身に浴びながら鼻水を垂らして食べる食事は美味かった!
食事を取り終えると荷物を小屋の前にデポして山頂ピストンに出発する。

歩き出して1分もしないうちに2人して
「背中に荷物がないって事はこんなに楽なのかい!」


燕岳燕岳燕の尾みたいな岩


燕岳は男らしくってかっちょ良かった。
男らしいといってもゴッツイカッコ良さではなく
端正なカッコの良さである。
実にスマートだ。 人間界にもいるよね。 こーゆー奴。 ふんっ!
別に燕岳に怒っちゃいないからね、あんたはカッコ良くていいの。



頂上ピークハントの瞬間


燕山荘燕山荘は近くで見てもカッコ良かったが、離れて見てもかっこいい小屋だった。

小屋に戻ると寒そうにして荷物は小さくなっていた・・・
なっちょらんっちゅーに!
でかいわ、重いわ、でも好きなんだべさ。
このザックと中に詰まった幸せが。


小屋の外で大天荘に連絡を取ろうとしたが携帯が通じない。
電波が届きにくい上に、かかっても誰も出てくれない。
ありぃ? メモリーに間違えて登録したかにゃ?
コール音をしばらく聞いていると、なんと! 留守電に切り替わってしまった。
最近の山小屋は留守電まで完備したのかにゃ???

2号が燕山荘の公衆電話を使ってかけてみると一発でつながった。
なぜじゃあ???
予約は取らないので直接来てくれとのこと。
「ホイサッ!」 っと大天荘まで足を伸ばす事にした。


合戦尾根って北アルプス三大急登って言うけどホンマかいな?
我々でもふつーに登れちゃう登坂が三大急登とは信じられない。 人集めか?
政治的な匂いがプンプンする。 特に観光協会やら山岳協会の・・・
いかんいかん! こんな事を書いていると協会の筋から山の出入り禁止を喰らうわい!

とにかく我々は大天井岳直下の大天荘を今夜の宿泊地と決めて出発した。
ここ燕山荘に泊まっても時間がありすぎるし、明日は晴れるだろうから大天井岳からのご来光と
常念岳を越えて蝶ヶ岳までずーーーっと右側に槍穂の連なりをみて楽しむのじゃあ!


レインウェアを上下着るのは辛かろうて、我々は上のみ装着。
これからの行程は尾根伝いになるため、風が心地良いはず・・・
天候さえ良ければさいっこーなのに。


大天井へ向けてさすがにこんな天候では縦走する人は少ないようだ。
当たり前かぁ。 このコースは登る事を楽しみにしてくるのではなく
槍穂の眺望を楽しむ為にあるようなコースだから
槍穂が見えないんじゃあ来ないわな。

ご覧の通り、まっちろけの世界が広がる。


すったかほいさっと歩みを進める。
この縦走路はダラダラとした平坦路なので
我々へなちょこがもっとも得意とするコースのひとつになろうか?
お陰さまでビシビシと前を行く登山者を追い抜いていく。
実に早い。 本当に別人になっちゃうんだよなぁ。


かっとんで進むのはいいけど蛙岩(げえろいわ)が見当たらない。
どこにあるんじゃ? 見落としたか、視界が悪くて見えないのか?
そんなことを話しながら進むうちに突然登山道が下りだした。


大下りありゃま、大下りに着いちゃってるよ。
大下りと言うからには急下降なのか岩場なのか、そーとーきつい下りを想像していたがなんのことはない。普通の下りだった。
なんじゃい? もーちっときついかと思ったわい。


最鞍部まで下り、また登りが始まった。
ここの登りは暑さとの戦いだった。
なぜ急に暑くなったかって?
それはね、ルートが尾根のてっぺんか西側だと西風に吹かれて気持ち良いやら寒いやら。
東側になると尾根に隠れちゃうから無風状態になってあっちゅいの!
おまけに久しぶりの登りだから暑さも3倍返しってとこかな。
ここでも為右衛門吊岩がわからず終いだった。
どうにもこうにもおっかないネーミングの岩だけど
曰く因縁つきの岩なのかな???
しばらくは砂地のようなところを登ったり下ったりした。
実につまらない。 視界は悪いし風は吹かないし。


梯子と、突然鎖が現れた。 鎖といっても大した事はない。
別に鎖がなくても通過できそうなポイントである。
鎖の次は梯子が現れた。 めっちゃくちゃ頑丈そうな梯子だ。
梯子を降りると目の前に何やらオジちゃんの顔がプレートに刻まれて岩に張り付いている。


喜作レリーフ??? 誰? ???

あーあー、喜作新道の喜作レリーフね。
でも、変な角度で変な場所に付いてるからやっぱ変だよ。
だって岩の真中にくっつけてあるから、顔が宙に浮いてるみたいだモン。

でもすごいよね。 装備も大した事なかった時代にルート作っちゃうんだもんね。



さーてと、ここからが本番です。
大天荘を経由して常念岳を目指すルートと
大天井ヒュッテを経由して喜作新道を使って槍ヶ岳に行くルートの分岐点。

分岐点(道標)分岐点(道標)


我々は当然前者のルートを選択。
このルートが実にきつい。
合戦尾根なんて目じゃないぜ。
睡眠不足と疲労が溜まり始めた頃に現れるきつい登り。
おまけにカッパを着ているから動きも緩慢。
足元は砂地でズルズル滑るし、砂地が終わったと思ったら岩場になっちゃた。
前を行く集団も休み休み登っている様子。
我々へなちょこもふんばるふんばる!


分岐点登れーーーーー!!!ホッとひと休み



大天荘登って登っていい加減に疲れてきた頃にガスの中からボォッと人工建造物が現れた。
燕山荘といい、ここら辺の山小屋はガスの中からボォッとしか現れんのかい!?


なにはともあれ山小屋に到着である。
よかったよかった。 山小屋が現れない時の辛さは越後三山の時で十分だもんね。


大天荘


まあ、視界は良くなかったもののガスであるが為にずぶぬれになることもなく
湿度としてはちょうど良かったのではないだろうか。
これまた恐ろしい事にコースタイム通りで山小屋に着いちゃった。
明日、変な事が起こらなきゃいいけどな。 不安だな。 何が起こるのかな?


小屋に入り、自分達の場所が決まると2号さんは早速いびきをかきはじめてしまった。
3号さんはロビー(?)でTVを見ている周囲の人たちの中で本を読みながらコックリコックリ・・・
TVは大相撲を映していた。 ここのTVは我が家のTVより立派な代物だった。 どーちて?


5時過ぎに2号が起きて来て夕食にした。
食糧は豪快に背負ってきているので食べる量も豪快になる。
スープにご飯にレトルトの具材にシチューに魚の缶詰、牛肉の缶詰・・・
出るわ出るわ、ここで商売でもしちゃろうかい?
腹一杯になったところで見渡すとTVの横にお茶とコーヒーが置いてある。
なんてサービスの良い小屋なんだろう。
3号さんはスキットルのバーボンをグビリとやっている。
今夜は天体観測も無理なのでさっさと寝てしまおう。
布団はこれまた今年に新調したような素晴らしく綺麗な布団だった。
寝心地抜群!
さらに夜通し灯りがついているのでトイレに行くときもヘッデン無しで行けたかも知れない。

天気予報を信じれば明日は晴れるさ!
外はきっとガスが飛び始めて・・・
まっちろけやないかい!!!
ま、明日に期待しましょ。

きっと疲れていたんだろうねぃ。
8時半ごろにはおやすみなちゃーい! zzz・・・



翌朝

翌朝起きてみると快晴・・・
になっているはずもなく、昨日にもまして濃いガスが一帯を覆っていた。
ふにゃぁああああ・・・


ガスばっかり


昨夜、2人で相談した結果に基づいて予定変更を仮決定した。
予定変更とは? 仮決定とは?

眺望を楽しむ山で眺望が望めないならば、後日リベンジしようということで決定した。
つまり、本日の朝に天候が回復しているならば蝶ヶ岳まで山行続行。
回復していないならば常念岳登頂までは続行し、そのままヒエ平へ一ノ沢ルートを使って下山。
回復していないまでも回復の兆しがあるならば、常念小屋で一泊して翌日蝶ヶ岳へ山行続行の
3通りのプランを立てていたのである。
現時点で天候は回復はしていないので、とりあえず常念小屋を目指す事となった。


ガスに覆われた登山道時折ガスが飛んで前方の視界が見え隠れするものの
晴天は望めそうもなさそうである。
晴れていれば右側に槍・穂高が悠々とした姿を見せてくれているのだろうと思うと非常に残念な気持ちになる。
2人で時折右側に目を凝らしてはみるものの、起きた時と何ら変わらない 「まっちろけ」 な世界が広がっている。


見えるはずも無い槍穂をチラリチラリと見やりながら黙々と歩く。
本当に黙々と歩きつづける。

どこが中天井岳で、いつ東天井岳を越えたのかもわからない。
山岳地図の等高線を目安に多分このあたりだろうという目算で歩きつづける。
視界20mとあってはそれぞれのピークも分からず、現在位置の判断が難しい。
おおよそ30分に1度の小休止と1時間に1度の中休止をしながら歩きつづける。


我々は登山道が迂回をしたり下ったりの繰り返しで位置を見失った。
まぁ東天井岳を越えた下りだろうと判断した下降をズンズン続ける。
それにしてもいい勢いの下りが続く。
「ありゃりゃ???」
「どこかの下山ルートにでも迷い込んだかな???」
「いやいや、分岐点は無かったよ」

なーんて言っているうちに森林限界を超えてしまった。
つまりは2,500〜2,600mを割ってしまったって事???
樹林帯の中をさらに下りつづける。
眺望どころか周りは低潅木のお出迎え。

と、ポッカリ樹林帯を抜け出た。
本当にポッカリと抜け出た感じだ。
ガスが一面に立ち込めて視界が利かない。

一陣の風がサァッと吹いた・・・・・


「なんじゃあ!? ありゃあ!?」


ガスが飛んだ前方には標高50m程下ったところにカラフルなテントの花が咲いている。
その向こうには山小屋独特の赤い屋根を持った人工建築物が・・・


常念小屋発見「こんなとこに山小屋なんてあったっけ???」
「蜃気楼じゃないの???」

なんて言っている場合じゃない。
どー考えても常念小屋である。 大天井小屋から3時間の予定であったはず。
我々が大天井小屋を出発しておおよそ2時間半。
我々の普段のペースとこの天候を考えるとかなりいいスピードで進んだ事になる。


「わーっはっはっはっはっはっはーーー」
「今まで地図で確認してきたそれぞれの位置はなんだったんじゃあ???」


見事に現在位置をロストしていた事を証明する出来事であった。
かなしー。
我々は地図も満足に読めんのかいな?
もはや笑うしかないかった。
「わーっはっはっはっはっはーーー・・・ あ〜ぁ、なっさけなぁ」


常念小屋入口常念小屋に荷物をデポして常念岳登頂を敢行する事にした。
簡単な行動食を取った後、手ぶらで小屋を後にした。


あのピークの向こうに常念山頂が・・・濃いガスの中、ピークを目指す。
この登りが結構しんどい。
浮石が多く、不安定なところも多い。
荷物を背負っていたらヒィヒィ言っていたに違いない。

左画像の頂上の向こうに常念岳頂上が・・・


45分も登り続けただろうか。
勾配も緩やかになり、前方に頂上らしきピークが見える。


常念岳山頂ガス立ち込める中、山頂にて見えない槍穂の連峰をバックに記念撮影。

本当になーんも見えません。

多分、我々の後ろには穂高連峰があるはずなのですが・・・


何も見えないのでさっさと下山する事に。
常念小屋まで戻ると、デポしたザックを外に持ち出し
昼食の準備に取り掛かる。


常念小屋でBEERを購入 800円也3号さんは怠り無くBEERを小屋で購入。 800円也。
こりゃあ美味い!
やめられまへんなぁ!!!

この時点で山小屋の親父に天候の回復を聞くも
明日もダメだとの即答に下山を決定。


食事をさっさと済ませるのだが、この時になって我々を迷わせる出来事が・・・


青空が・・・「晴れとるやんけ!」
「どーなっとんのじゃあ?」

頭上を見上げると青空が広がっていた。
ドーナッテンノ???

我々の思考回路がピコピコ働く。

カチャカチャ、ピー、カチャ、ピー・・・
チーーン!

結果が出ました。


「だまされちゃあ、いけねぇ!」
「これは天気の神様がなされた悪戯に違いねぇ!」
「我々に対して ほーれほれ行ってみそ! なーーんて働きかけているに違いない」
「天候回復を信じて眺望を期待する我々が山行続行した途端、ガスを撒き散らすんだ!」
「神様が衛星回線で我々の頭上だけ晴れるように雨雲とガスにTELして、いったん離れるように言っただけなんだ」
「常念岳山頂付近の移動性悪天候部隊は速やかに一時退避せよ! なーんて具合にさ」
「ほんでもって我々が進行するとまた衛星電話が飛ぶんだよ」
「移動性悪天候部隊は再度終結せよ! 速やかに終結せよ! ってな感じさ」


ということで我々は一ノ沢ルートを使って下山する事を決めた。
尾根からタクシー会社に連絡して、3時間半後の3時半にヒエ平登山口に来てもらうように手配する。
コースタイムが3時間強なので、いつもの我々ならこんなもんでしょう。


うーん、あの方向に槍があるのかな?下山前の元気な姿 服装が晴天仕様に・・・


一ノ沢ルートは登るにはきつそうだが、下山については非常に楽なルートである。
ダラダラした下りがずっと続く。
きついのは尾根から少しの間だけだが、登山道がかなりしっかりしており
歩みに問題は無い。
ここ2、3日は雨が降っていたということもある水が北アルプスは豊富である事を教えてくれる。
登山道の右側にずっと沢の音を聞きつづけるのだが、
この水の音は尾根から30分も下りるか下りないうちに登場する水場からずっと続いている。
雨のせいもあるのだが、登山道が小さな水の流れとなっているところも幾箇所かある。


水場水場この水場が尾根から30分を過ぎたくらいのところにあった。
水量は豊富で冷たく気持ちがいい。


雷に割られた木道中、多分雷で割られたと思われる木を見た。
割られた木の間は焦げたようになっていた。
雷に打たれてからまだそんなに時間が経っていないような感じである。
いやぁ、平地での雷って別に怖くもなんとも無いけど
こうして状況が変わってみると実に恐ろしい存在ということがよく分かる。
KONISHIKIみたいに絶縁体の厚い人間でもきっと助からないでしょう。
(別に差別しているわけじゃないよ。私はKONISIKIが大好き!)
自然界というのはたくましいものだ。


谷間にいる為か携帯がまったくつながらない。
かなりいいペースで下りてきたのか、山の神に到着する頃には尾根から2時間15分を過ぎたくらいだ。
山の神から登山口までは15分あるかないかだろう。
困ったな、こりゃ。 タクシーを1時間も待つのは辛いじょ。
と、山の神で立ち休憩をしていると携帯がつながるではないか!
「なーんだ、じゃあ登山口にはWCもあるし町営駐車場(30台)があるくらいだから
携帯もつながるだろうし、自販機や公衆電話もあるだろうから
登山口についてからタクシー会社に連絡をとって早めに着てくれるように頼もう!」

とんでもない間違いだった。
登山口には綺麗なWCはあった。
が、公衆電話どころか自販機も無い。
おまけに携帯も通じなくなっていた。
いまさら山の神にまで戻って携帯をかける気も無い。 まだ50分ほどもある。
きっと山の神が 「ここで電話をかけなさい」 と言ってたに違いない。
登山口のあたりをウロウロしてみたが何もあるわけでもなく時間は遅々として進まない。
まだ45分ほどもある。
仕方が無い。 ここでコーヒーでも沸かして時間が経つのを待とう、ということになった。
なんてったって1日繰り上げて下山したから食糧はタップリあるもんね。
2号が道具を出して湯を沸かそうと火をつけて何分もしないうちに一台のタクシーが現れた。
よくみたら中房温泉に我々を運んでくれたタクシーのオッチャンだった。
当然である。 尾根で連絡した時に同じオッチャンが空いていれば優先的に回してくれと頼んだからだ。
なんせ、中房温泉で約束したのだ。
下山の時は蝶ヶ岳から三股へ3時ごろに下りるから連絡すると。
悲しいのは2号である。 何のために湯を沸かそうとしたのか。
まだ水は冷たいままであった。


そのタクシーに乗り込み、来た時に車を預けたタクシー会社の駐車場まで送ってもらった。
帰りは5千円強だった。


タクシーのオッチャンの推薦で町営のしゃくなげ温泉に寄った。
休憩室が無いのでそのあたりは不便だったが、まあ温泉を探す事を思えば手っ取り早く風呂に入れた事で良しとしよう。


風呂をあがると小腹が減ったので蕎麦を食べて帰ることにした。
一軒の蕎麦屋に入り、北アルプス蕎麦というなかなか風情のある蕎麦を注文した。
わさび漬けが非常に美味しかった。


国道147号線から中央道に入り、北アルプスを見上げると尾根一帯は雲の中だった。
「はーーーーーっはっはっはっはっはっはっはーーーーぁぁあああああ!!!!!」
神よ、我々をあざむこうとしても無駄なのだ! 我々は神の悪戯に騙される事なく下山という英断を下したのだ!
我々は神を超越したのだぁぁぁあああああ!!!!!

と意味不明なことを口にしてヘラヘラ笑いながら
中央道を名古屋へ向かって走っていきましたとさ。




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