上ノ廊下 2002年9月7日〜11日
松井(

南からの台風と秋雨前線の影響で、読みにくい天気の中、停滞覚悟で7日の朝新宿発。
お昼に黒部ダム着。この日は奥黒部ヒュッテ泊。夕方から雨。夜半に強く降る。
8日、前夜の雨はあがり、心配していた増水もなく、2週間ばかりまとまった雨は降っていないという黒部本流へ。
数年前下ノ黒ビンガで敗退経験のある同行者勝峰によると、水量は5分の一以下ではないか、とのこと。膝下の徒渉で下の黒ビンガへ。垂壁の美しい下の黒ビンガは右岸をへつって通過。口元のタル沢先の泳ぎポイントも、胸までの徒渉で通過できました。
巨岩地帯をボルダリングのまねごとをしながら通過し、黒五跡の河原へ。でかい河原に幾筋もわかれた流れは、ひとまたぎできるほどに流れは細くなり、会長のビデオ「完全遡行黒部川上ノ廊下」を何十回となく見て憧れた黒部の奔流の姿は見ることができません。
内心ほっとしているのですが、さみしいような、なんとも複雑な心境。

中のタル沢を越え、上の黒ビンガの絶景を通過し、花崗岩の美瀑でひとやすみ。
金作谷の荒れた出合に圧倒され、わずかに残る残雪を横目に、第二のポイント、金作谷上の逆S字のゴルジュへ。緊張しながら進むと、これまた水量が少ないせいか、膝までの徒渉とヘツリで難なく通過。全身ネオプレン+ギア多数で、まるで沢のターミネーターのような格好の勝峰は、撮影のためわざわざ深いところを選び泳ぐが、流れが穏やかなため今ひとつ絵にならなくてすこしさみしいくらい。
あとは1カ所、左岸を5.7くらいのクライミングでへつるところがあっただけで、16時半頃ころ立石到着。撮影に時間をかけたわりに足が伸びたので、翌日はのんびりできそうでほっとする。
岩苔小谷出合の上に眺めのよい幕場があり、そこでビバーク。流木は山ほどあり、たき火には最高の条件。すぐ上のトロではイワナが群れていて、18時半頃にはライズがピークになり、夢のような光景でした。尺上2本を含む人数分だけ釣って、じっくり塩焼きにしました。

9日は取材の関係で薬師沢小屋泊まりなので、のんびり起きてゆるゆると遡行しました。
減水で特に問題となるような場所はなく、ロープの出番もないので、せめて黒部の流れを感じようと、立石上部の2mナメ滝の釜でカワセミでの突破にチャレンジ。勝峰と私でかわるがわる試みたのですが、結局震えが来て断念。
どっぷり浸かるとさすがに水は冷たいです。
立石奇岩をたっぷり撮影し、A,B,C,D沢も膝までで歩いて通過。水線通しで薬師沢小屋着。11時発、16時着。

10日は、源流を詰めてもおもしろいところがないということで、自分にとっては2度目となる赤木沢を遡行。初級の沢ですが、とにかく美しく飽きさせない沢なのでまだの方はぜひ。ツメの草原も気分がいいです。
赤木沢出合の兎平は、最近幕営禁止の管理が強化されており、グリーンパトロールが巡回しているようなので、ビバークは難しくなっているようです。この日は太郎平小屋泊。
11日は富山周りで帰京しました。

 雪代が終わり、2週間もまとまった雨のなかった黒部は、山全体が乾いており、出発前に会長にアドバイスいただいたとおり、まさに春の小川という感じでした。逆に、これが水量が増え、流れが強かったらどうなるんだろう、と緊張した想像をさせられる場所も多くあり、やはり上ノ廊下に存分に取り組むならば雪代が終わる前に来なくてはならないのかな、と感じます。あと、自然がほんとにすばらしいので、かけぬけるのはなく、ゆっくり楽しみながら谷の中で数泊して遡行するのがいいのではないかと思いました。