AKINDO07

提供:ナイフマガジン 撮影:金子成美
似て非なるもの
色々なオーダー又は見積もりをお受けする機会があります。例えば
「四郎さんにクロンクのモデルを製作してもらうとざっといくら位でしょうか。」「中村さんに田崎モデルを頼むと。」お気持ちはよくわかりますが、初めてのモデルとなると、とてもすんなりは見積もりは出しにくいものです。まず、お客様とお会いしてどのモデルにするか次にメーカーはその現物モデルの所有者を探して見て触ってのアプローチ段階になります。次に使われている材料の吟味にもはいります。そしてそれからが試行錯誤での製作開始です。以前ナイフの青本を見ながら田崎さんに「そんなに、このモデルが好きなら作ってよ。」とコレクターにリクエストされた時、言葉を濁していました。流石にプロだなぁとも同時に感じました。本を見て製作するという度胸のある方もいるかもしれませんが、彼らはとてもとても慎重です。そのものを見るために何度もシェフィールドを行ったり、アメリカのコレクターの所へ、忙しく勉強していました。オーダーに応えるという事はそれなりに離れ業です。昔、鈴木新吉氏がバーローナイフを製作した時コレクターが黙って、アンテイークのバーローをご褒美?に提供していました。売った私も鈴木氏も「あっちゃー」です。
・・・・・・似て非なるもの・・・・。厳しくも優しいコレクターにまだ恩返しの出来ないまま、中村氏・鈴木氏のナイフへの情熱は冷めない事でしょう。写真のレミントンレプリカは四郎さん製作です。四郎さんそして田崎さんの製作姿勢を見てきた中村氏がそのレブリカを作りたがらないのは・・・。好きでナイフ作りをする事がはじめの一歩ですが、それがそのまま商品にならない事は当然かもしれません。今日必要なのは、むしろメーカーよりも育成できるコレクターです。育成は批評は勿論パトロンたる存在である事も必須条件です。買いながら育てる。宝くじでも当選しないと大変です。
「似て非なるものが見受けられる・・。」と嘆くコレクターが増えました。この嘆きを真摯に受け止めて西勘本店ももう一度勉強しないと、そして又雑巾がけから・・始まりです。