Treasure06
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東京・晴海で展示会があった頃ですから、もう20年位前の話です。
金物関係の展示会でしたので目新しいモノが奇抜に映るとても時がゆっくりゆっくり流れている空間です。そんな、片隅に人が群がっていて活況を呈している所がありました。実演販売コーナーです。
穴あき庖丁のあの人が実演していました。最近テレビで見ましたがあのまんまそのまんまで驚きました。ちっとも年をとらない人が世の中にはいるものですよね。
さて目の前で、電線を切ったり、かまぼこを木がついたまま切ったり、たまねぎをスライスして見せたりそれも上手に面白く演出していました。そして、「今日はこれしか庖丁を持ってきていない・売り切れたらごめんなさい」なんて、言われて、数人買い始めると思わず、「それ下さい」とペテナイフを買ってしまいました。
家に帰って、興味津々に箱を開けると、注意書きがはらりとでてきました。
その内容は概ね、「慣れない方は実演販売のような使い方はしないで下さい。」納得して、とてもほっとしました。業界でも、あの人はとてもとても手先の器用な人との事です。ちょっと薄手の穴あき庖丁は何度か研ぎましたが今では使われていません。使い手によって、庖丁はあれだけ色々な潜在能力があることを実証してくれたからです。あの人が西勘の庖丁を使って実演してくれたら、どこまで切ってくれるかなぁと夢を持たせてくれます。、
瞬間芸の極致とでもいえます。 庖丁のもつ潜在能力を信じて薄く刃を付けて、器用な人に切ってもらうと実に見事です。更に大事な事は、実演販売のような使い方では、長く切れませんよとわかっているからです。
コロブスの卵で、薄い刃付けにして、切れなくなったら替え刃という合理的な発想で安価にして、市場を席巻したものにカッターとノコギリがあります。当時、この考えで替え刃式の庖丁もありました。研ぎ代金よりも安い替え刃です。なんてのが、売りでした。思わず仕入れてしまいました。替え刃だけが、当時の仕入れ担当者しか知らない倉庫の片隅にごっそりまだあります。本体はなくなりました。そして、そのメーカーも現在はありません。その仕入れ担当者は、現在はナイフにもテリトリーが増え倉庫の中は、宝の山です。そのひとつに、イギリス製品でなんと、25年間研ぐ必要の無い庖丁もあります。売り時を間違えたオルゴール等・・・何とか7代目に見つかる前に処分せねば・・・。