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リンゴの雑学





INDEX

  1. りんご・リンゴ・林檎
  2. 蜜入り
  3. 青子(あおこ)


りんご・リンゴ・林檎・林子・苹果

 「リンゴ」を文字で書くならどれがいいのでしょうか・・・と云うお話。

・植物名はカタカナで書くのが生物学の常識
・リンゴと書くより林檎と書いた方がかっこいい
・パソコンや携帯電話で「りんご」を変換すると「林檎」が出て来る。
 などの事情もありますが・・・

 日本語だけだと判りにくいのですが、英語の"apple"は果実だけを指し、りんごの実がなるのは”apple_tree”だしょ?
「りんご」は果実の種類を現す名前で、「りんごの木」と「リンゴ(片仮名表記)」は、「りんごの実が着く植物」の名前。
「りんご」の実がどんなものか知っている人は多いでしょうが、りんごの木だけを見て、りんごのなる木だとわかる人はさほど多くはないと思います。

 似たような事情で、「サクランボ」と「桜桃(おうとう)」の違いでも、あるサクランボの栽培農家で「全く同じ。桜桃といった方が玄人っぽくてかっこいい。」とおっしゃる方もいましたが・・・
 文学で「桜桃」と云えば、桜よりも濃い桃色の花が咲く風景(樹姿)を連想させるのが一般的です。
 「サクランボ」は、桜桃という植物の実で、桜桃を栽培して「桜桃の果実」を出荷するのが農家の仕事なので、栽培の対象は「桜桃」ですが出荷するのは「サクランボ」です。



 「林檎」は、「りんき/りんきん」と読み、中国・新彊地区原産の野生種の名前で、日本へは平安時代に伝来し、「ワリンゴ/ジリンゴ」の元となりました。(このときの原種は「リンゴウ」とも読まれた)
 これらの種レベルでの学名は、Malus asitica で、西洋では「クラブ・アップル」と呼ばれて、渋味・酸味があって無理すれば生食も可能ですが、cider(サイダー/シャンパンのような発泡酒)の原料やMシリーズで有名な矮性台木の品種として栽培されています。

 現在「リンゴ」と呼ばれて生果店で販売されているものは全て明治の初めにヨーロッパから導入された「西洋リンゴ」で、種レベルの学名は Malus pumila で、「苹果」の字を当てて「オオリンゴ」と読んで区別しました。

 漢字辞典によると「苹」は「ヘイ/ビョウ/ホウ」と読み、単独では水草の一種である「ウキクサ(浮き草)」やキク科の「ヨモギ」。さらにはヨモギが生い茂る様を表わす文字です。

【結論】「林檎」は「りんご」とは別種に当たる植物の品種名です。

【2011/07/23 報道】
 中国・雲南省昆明市に、米国apple社のニセ直営店が存在する事が発覚。店名は「apple stoer/苹果商店」の店名が掲げられていた。("stoer" が故意か誤字かは不明)
 一応、店内で販売されていた品物はapple社の本物らしい。



青子(あおこ)

 広義には着色不良果を指すが、ここでは、日陰枝などの光線不足によるものは除外して扱う。
 成熟期に達しても幼果のように果肉が硬いままで、climacteric_rise が無く(最終肥大期になっても、ほとんど肥大しない)、果実表面が妙にツルツルして果粉の生成や微細な皺を生じないものと、果肉品質(食味など)に異常が無く、日当たりにも問題が無いのに着色しないものとに分けられる。
 前者は、特定の時期にホウ素の葉面散布をすると激減する事から、開花期〜開花直後の細胞分裂期にホウ素が欠乏して発生するものと考えられる。

 典型的な青子は「遅れ花」に着果した小玉果実に多く、果肉の食味低下が全体に及んでいることが多い。
 通常の開花期よりも早目に開花したものでは蕚窪部付近〜果実の下半分だけに起こる事があり、全体が逆三角形の尻すぼみ果となり(三角実と呼ばれる事もある)程度によって縦伸長の抑制を伴った独楽(コマ)型・伴わない円錐型、不整伸長による底部の斜形・・・などの症状を呈する。

(詳細は、【肥料成分→ホウ素】の項を参照)



青子と青子臭

※以下、「ビタミンC」はヨードカリ・デンプン法で測定した還元型ビタミンCを指し、概ね「果汁の持つ還元力」という意味です(一般人のイメージそのまま)。
 還元力を失った「酸化型ビタミンC」も摂取後に体内で還元型に戻して再利用出来る仕組みがあるので、保健上は有用です。
 この辺の事情を組み込むと、以下の話が極めてややこしくなるので、ご容赦下さい。

 後述の「蜜入りリンゴ」が美味しいといわれる理由のひとつに、青子臭が消えている事が挙げられます。
 一般に、青子臭は未熟なうちに収穫したためと思い込んでいる方が殆どですが、夏季剪定によって発生する人為的なものが大部分を占めています。
 夏に剪定をしなければならなくなるような過剰施肥の影響も考えられますが、夏剪定を止めて葉掻き(徒長枝の全摘葉)を行った場合と較べると、食味に明らかな違いが認められます(切らないほうが美味)。

 一方の青子は、開花前後から幼果期に掛けての果実細胞分裂期に起こる一時的なホウ素欠乏によるものと考えられ、蕚窪部付近を中心に欠乏程度に応じて下半球部〜果実全体の果肉が石果状(食べるとゴリゴリする)になります。

 果実中のビタミンC(還元力)は青子臭が消えるのを邪魔しているので、収穫を遅らせる事でビタミンC含量が低下すれば青子臭も徐々に消えてゆきます。
 しかし、青子果実中のビタミンCは正常果に較べて消えるのが遅い傾向にあり、青子果実からは青子臭が消えない事が多いのです。

 青子と青子臭は全く違う原因によるものなので、青臭くない「青子」を作る事も可能ですし、飛び切り青臭くて食べられない「蜜入り」リンゴにすることも可能です(←実際に市販されてますよね)。

【簡単な実験】
 樹上で行うのは手間が掛かるので、簡単に実感できる方法を考えました。
 皮を剥いて放置すると褐変するような遅採り品か、収穫後時間の経ったものを使った方が、結果がはっきりします。

  1. とびっきり青臭いリンゴを使ってジュースを造ります。
  2. 2つに分けて、一方はそのまま、もう一方には市販のビタミンC粉末を耳掻き1杯分程度入れて溶かしてから、ラップなどで蓋をしておきます。
  3. 細胞が壊れると酸化酵素が働いて褐変しますが、ビタミンCが十分にあると褐変が遅れます。
  4. 1〜2日経ってビタミンCを入れなかった方のジュースが褐変してきたら、飲み較べましょう。

 ビタミンCを入れた方のジュースは生果のときと同じ青臭さが残っているはずです。
 果汁加工を請け負う業者は1〜2月中の加工ではビタミンCを入れない所が殆どですが、決してケチな訳ではありません。
 持ち込まれる原料が概ね、食用にならない青臭いリンゴばかりなのが原因の慣習です。



蜜入り

【この項は、[蜜入り/ソルビトール]として独立しました】