おかげさまで、当地での2009年用防除暦から「デラン」の文字が大幅に減りましたが、抗生物質剤の使用量が増えています。
2008/5/3,2009/1/9
多くの農家は危険性を知らずに使用して、家族(おもに婦人や子供)が散布園に入ると腕や顔などの露出部分にカブレを起こし易く、通院治療を受けている方が多く居ます。
これらのカブレ症状は以前から多くの農家が経験していますが、全く別の農薬(ボルドー液、無機硫黄剤、パルノックスなど)に冤罪が掛けられている事があります。(※ パルノックスは2008年で生産終了となりました。)
散布された園地に近づかなくとも、付近で散布が行われると、目のかゆみや鼻炎などの花粉症と酷似した症状を起こしますが、使用時期の多くはリンゴやナシ等の開花期に当たるため、それらの花粉によるものと誤解されることがあります。
花粉症向けのマスクや薬は効果の無い事が多く、特に病院で処方されるような第2世代以降の抗アレルギー薬や、薬局で購入できるスイッチOTC薬は効果が無いのが特徴です。
モモでは、ボルドー液の代替農薬として使用されていることが多いので、見た目とは逆に、葉が石灰の跡で白くなっていないモモ園の方が危険です。
ただし、ボルドー液の散布後に追加で使用されることもあるので、近づかないのが一番です。
・衣服や顔を覆う布を使用する場合、洗濯の際は他の衣服と分ける。
・脱いだ衣服の表裏が触れて移行するため、重ねない。
・付近に果樹園ががある場合、農薬散布が行われる期間(特に、早朝〜日没後数時間)は窓を開けないこと。布団干しも危険で、花粉と異なり叩いた程度では落ちません。
第2〜3世代の抗アレルギー薬(病院で処方されるものや、処方箋無しで買えるSwitch-OTC)は殆ど効果がありませんが、抗ヒスタミン剤(痒み止め)に血管収縮剤などが配合されたものや点眼・点鼻薬など(通常、使用直後に効果が現れるもの)は僅かに効果があることが多いようです。
花粉症用のマスクは通過してしまうので本来の効果はありませんが、鼻詰まりで口で息をしなければならなくなった時は、のど荒れ防止に有効です。(インフルエンザ用マスクは未体験)
工業用のマスクで、ミスト(飛沫)用の撥水・防塵マスクは高い効果があります。
当然ながら、これらのマスクを使用しても肌や目の痒みなどは防げません。
「アレルギー」は異物に対して過剰な免疫反応を引き起こす病気で、防御のために「体内で作られる」物質が原因で起こります。
原因となる物質が持っている「本来の毒性」とは無関係です。
抗アレルギー薬は、生物(ヒトも生物!)が本来持っている防御作用を弱めて防御のために体内で作られる物質を減らそうという代物なので悪影響がありました。
そこで、アレルギーの本体にだけ作用する薬が新しく開発されたのですが、これら副作用の少ない新薬ほど効果がありません。
※ ここで云う「毒性」は、致死量の大小ではありません。
例えば、命に別状がなくとも失明すれば大事件です。ひどい痒みや痛みのように、日常生活に支障をきたすあらゆる障害を含みます。
モモでは、主として穿孔細菌病の予防に使用するよう指導されています。
この病気は前年に感染した枝上の病斑から、果実や葉に拡がるという仮説を元に越冬病斑を叩くのが目的ですが、主たる感染源は河川水(→潅水・農薬散布)と土壌や下草(→草刈り)からの人為的な伝染なので、農薬を散布しても散布直後の一次感染を防ぐ効果しかありません。
当地の指導では、概ね4月下旬から5月中と、収穫後の10月頃に限られており、同じ病害を対象にした他の農薬(無機銅剤、抗生物質剤など)を全て使用中止し、春先の防除ではこれらを全て無機硫黄剤などに置き換えても、防除に問題は生じません。
本来、穿孔細菌病の枝感染が2次拡大するのは稀で、農薬の効果は殆どありませんし、開花期に枝が枯れるのはボトリチス菌というカビの病気が殆どを占めます。(「モモの草刈り病(穿孔病)」を参照。)
モモの場合、指導する側もデラン剤にほとんど効果が無い事は知っているし、公の場でそのように説明しています。
それでも使う理由は、防除暦と呼ばれる農薬散布のローテーション表に採用されているからで、多くの農家はこれがなければ何を散いていいのかさえ判らないといいます。
モモの穿孔細菌病が、前年に感染した枝から広がって被害を出すという「理由が考案された」のは、農薬で「防除できる」事にしたいからで、農薬を使わせたい理由は、関係者が農薬会社からの接待や寄付を受けられるから。
「枝感染」で拡大すると云う説が考案された原因となった農薬は、ここで話題にしているデラン剤とは別の無機銅剤です。
具体的には、工場視察の名目で温泉旅行が振舞われたり、風俗店(バー)で農薬会社もちのツケ飲み(「この店を自由に使ってください」と言われるらしい)、各種団体の行事に合わせて「祝い金」名目での現金提供、公的試験場への研究費の寄付(領収書を発行する公正なもの。ただし使途は自由)、・・・
当地の場合、デランや抗生物質剤はたまたま適用登録があったので使用されているに過ぎませんが、枝病斑が感染源とされている以上、デランのような危険な農薬も使用する理由が出来てしまうというのが、唯一の理由です。
・・・これらを全部止めろとは云いません。どんどん接待を受けてもらっても構いません。とりあえず、ジチアノン剤(デラン)の散布を指導するのだけ止めてもらえると、患者として、とても助かります。
モモの穿孔細菌病に対して、現在の指導上はボルドー液が最も効果があることになっていますが、濃厚な石灰乳を含むため、知らない人が見た時に、いかにも「農薬を使いました」と言っているように見える事と、作業に入った時に石灰の粉末が体中に付くのが"目立つ"のを嫌って代替薬のジチアノン剤(デラン)を使う場合があります。
※石灰粉の飛散を防ぐには固着性展着剤の使用が有効で、(もし効果があれば)長期の残効も期待できます。
見た目だけを気にした結果、「もっと危ない」結果を生んでいる事になります。
当地のモモでは、デランに続いて同じ目的で、3種類の抗生物質剤の散布が指導されています。
直接的な粘膜への刺激なども問題ですが、何より、医薬品の転用であり、抗生物質は全て放線菌などの微生物が作る物質なので共通する構造を持っているので、医療用の抗生物質が効かなくなったり(交叉耐性)、アレルギーが起こって使えなかったりと、地球規模で人類の存続を危うくする恐れがあることから、先進各国から使用中止を要請されているにも拘らず、登録があるから違法ではないと言い張って使い続けているものです。
これだけ危ないものを使い続けるのですから、デラン剤の使用中止が不可能なのは当たり前かも。
ちなみに今週、適用作物を栽培する老若6人の農家に聞き取りしたところ、抗生物質だと知って散布している方は皆無でしたが、医者がすぐに抗生物質を使うから効かない病気が増えたというニュース解説は皆知っていました。
モモの穿孔細菌病に、デラン剤や抗生物質剤、ボルドー液(および無機銅剤)の散布は役に立ちません。
以下は、一般的な農薬の注意書きと異なる部分の抜粋
安全使用上の注意事項
・眼に対して刺激性があるので、眼に入らないよう注意してください。眼に入った場合には直ちに水洗し、眼科医の手当を受けてください。
・皮ふに対して刺激性があるので皮ふに付着しないよう注意してください。付着した場合には直ちに石けんでよく洗い落としてください。
・作業時に着用していた衣服等は他のものとは分けて洗濯してください。
・かぶれやすい体質の人は作業に従事しないようにし、施用した作物等との接触をさけてください。
・夏期高温時の使用をさけてください。
・漏出時は、保護具を着用し布・砂等に吸収させ回収してください。
・移送取扱いはていねいに行ってください。
・魚毒性…水産動物に強い影響を及ぼすので河川に流入する恐れのある場所では使用しないで下さい。
適用の概略:
(作物) (使用時期) (総使用回数)
かんきつ 収穫30日前まで 3回以内
りんご 収穫60日前まで 3回以内
かき 収穫90日前まで 5回以内
もも 収穫7日前まで 4回以内
ネクタリン 収穫90日前まで 1回
なし 収穫60日前まで 5回以内
ぶどう 落弁期まで 但し、収穫75日前まで
3回以内(休眠期は1回以内、生育期は2回以内)
ぶどう 休眠期は1回以内、生育期は2回以内・合計3回
うめ 収穫45日前まで 1回
いちご 育苗期
・総使用回数は、ジチアノンを含む農薬全ての合計回数
補足と解題:
・該当作物を付近で見かけない場合は安心できます。
・使用時期は、注意しなければならない時期の目安になります。
・現在の剤型はフロアブルですが、水和剤だった頃の外装(段ボール箱)にはドクロのマークとともに「散布後2週間は畑に入ってはいけない」旨の注意書きがありました。なぜだか、現在この記載は見当たりません。