モモ・樹脂の漏出症

2009/2/10

 細菌感染症として知られる樹脂病やこれ以外の原因による樹脂の漏出全般に関する話題です




樹脂漏出のメカニズム

 「ヤニ」とも呼ばれる樹脂の主成分は「ペクチン」で、ジャムを固めるために必要な成分です。
 ペクチンはミカンの袋にも多く含まれる成分で、アルカリで溶けるため、缶詰に加工する際は、塩酸でふやかした後に水酸化ナトリウム(アルカリ)で溶かして除去します。

 核果類全般で見られる障害で、噴出が少量の場合は乾燥しながら濃縮されるので樹肌にこびり付きますが、夾雑物が酸化されて茶褐色に変色する事が多くなります。
 乾燥が続いた後で、降雨と同時に各所から大量のゼリー状物質が噴き出して地面に落ちる事もあります。大量流出の後では篩部の細胞が大量に壊死して溶け出すので空洞が見られます。
 大量に噴出する急性症状では、細胞内の液胞に溜め込んだカルシウムが流出するために細胞質 pH が変動(上昇)して壊死し、さらに過剰なカルシウムが隣の細胞へとドミノ倒しのように侵入して壊死が拡大します。【→リンゴのビターピットを参照】

樹脂の漏出は、細菌感染か銅イオンの欠乏症と云われています。
 細菌感染では、樹皮の内側にヤニを溜め込んだ火ぶくれ状になります。
 銅の欠乏では樹脂が噴出すときの外観の異常は見られませんが、時間が経つと噴出時に生じた亀裂の直下に褐変部分を生じます(ただし、大量噴出時は空洞となる)。

※ 銅は体内で再移動しにくい要素なので、根から吸収して道管経由で届いた場所にしか行き渡りません。土壌にふんだんにあっても、根に障害が起こると吸収が妨げられ、その後に出来た新しい組織で不足します。

※  樹脂の噴出は、根部障害による銅の吸収阻害と、トマト(尻腐れ)やりんご(ビターピット)と同様のアンモニア態チッ素の過剰が引き金となって起こる、カルシウムの急性過剰症に分けられる。【→カルシウムのページを参照】

 

若齢樹の枯死症

 1990年頃から発生し、徐々に増えているが、病原菌などは検出されておらず、改埴で再発するとは限らないなど土壌伝染の兆候も見られない。伝染枯死した樹は根張りが浅いのが特徴。
 主として「あかつき(品種)」の若齢樹でみられ、夏の終わりごろに樹皮の各所から樹液を浸出し、これに煤カビなどが繁殖するので、冬頃には黒い汁が滲み出たように見える。

 樹幹に大きな切り口を作ると発生しやすいと云われ、大きな切り口にならない様に収穫直後の夏季剪定で切り落とす指導が行われている(2008年頃)。
・枯死した樹から病原菌は検出されず、切除直後に保護剤を塗布しても効果が無い。
・枯死樹に対して何の処理もせずに補埴した場合、再発率は非補植樹と大差が無いため土壌伝染病の可能性は低い。

 樹幹に大きな切り口を作ると発生しやすいと云う本人が、おかしなことに、チッ素の不足が原因だと言い出してチッ素の増肥を指導している。
 益々大きな切り口を作らざるを得ない徒長枝が増えるだろうに?・・・まぁ信仰でしょうね。

 多肥栽培では、地上部の生育に阻害されて新根の伸長が抑制されるため、吸肥力が低下します(←生長ホルモン「オーキシン」の特徴です)。

干ばつ時の草刈り奨励 チッ素の欠乏バカ/過剰や他の肥料を知らない