2007/06/1
主な目的は、果実の重みによる枝折れの防止と、枝の下垂によって果実が上下に重なり着色が妨げられるのを防ぐために行う。
過去には主幹に沿って鉄柱を立て、番線(太い針金)で吊り上げる「枝吊り」が流行した。
支柱と違って地面に障害がなくなるので草刈りなどの作業が楽になるメリットが宣伝されたが、流行時に1度設置しただけで廃れてしまった。
主な理由は資材コストと、支えが必要ではない時期に設置しなければならないため、やる気が起きないため、剪定の省力化が進んで吊り上げのポイントがずれて役に立たない事が多かった事などが考えられている。
管理を怠り、吊った部分の枝が食い込んで折ってしまう事故も多かった。
支柱は、枝折れ防止ばかりでなく、風害防止にも役立つ。
強風による落果は、風でもぎ取られるかのように錯覚している農家が多いが、枝が上下に揺さぶられて振り落とされるものが殆どなので、風で揺れないように枝を固定する事が肝要となる。
風害対策を兼ねる場合、風で持ち上げられると落ちた時の衝撃で落果するため、支柱にはある程度のテンション(張力)を与えなければならない。
枝折れ防止と異なり、結果枝の先端近くに設置しないと支柱を設置した部分から先の揺れが大きくなる。
特に、前年発生の長果枝先端に着果させた場合は動きが大きくなるので注意が必要。
支柱は支える枝の真下に設置しないと、風が吹いた時に枝の揺れが大きくなる事が多い。
草刈り族(草刈り命の人々)は特殊な能力があるらしく、台風の前になると無性に草刈りしたくなる特性があるので、作業のためにずらしたまま放置すると被害が増えるので要注意。
風害対策では、下から支えるばかりでなく、地面に打った杭や他の太い枝から誘引するのも有効となる。
リンゴのビターピット防止には、カルシウムの吸収とカルシウムの要求量を増やすアンモニア態チッ素の吸収を減らす事が重要(→【カルシウム】を参照)だが、果実内のカルシウム含量は生育初期に頭打ちになることから、生育初期の吸収量を増やす事が重要といわれてきた。
落花後からの葉面散布が指導されているが、十分な効果が得られているとは言い切れないのが現状。
カルシウムは本来、体内で再移動し難い成分なので、貯蔵された成分が役に立つとは考え難く、指導の根拠となっている果実内カルシウム含量の測定では、液胞中に廃棄されて利用される事がない(=使用済み)のカルシウム分を測定しているに過ぎない。
カルシウムの吸収は水とともに根から届いたものだけなので、果実の肥大中期以降にほとんど増加しないのは遺伝的な性質ではなく、周囲に葉が繁茂して果面からの蒸散が減ったのが原因ではないかと推察される。
ビターピットは、樹冠外周での発生が少なく、枝吊りなどの作業が不十分だったり、遅れた場所での懐枝で発生がい。
長さの種類が多すぎると、選択に手間取って無駄に長いものを使う事になりがちなので、3〜4種類に制限する。
購入する場合は、1.8m・2.4m・3.0mを基本とし、これより長いものは剪定で不用になるよう心掛けるが、これより短い方は事故で折れたりしたものが勝手に増えてくるので心配要らない。
市販の支柱資材は鋼管に防錆を兼ねた樹脂で被覆したもので、鋼管自体には防錆処理がなされていない事が多いので、被覆が破れるとすぐに錆びてボロボロになり、折れてしまう。
草刈機などで傷つける事が思い浮かばれるが、格納や運搬時に支柱同士が擦れて傷付ける事が多い。
バラバラのものを数本まとめて持つと意外なほど摩れてしまうので、かならず持ち運びしやすい量をまとめて両端を縛った状態で運搬する事。
乾いた泥を擦り取るのも厳禁で、気になる場合は必ず水洗する。
使用しないものを地面に直置きすると汚れ易いし、草が生えると見えなくなって事故を起こす元になるので、必ず立て掛けて置く習慣も重要。
耐候性や使用後の処理では稲ワラで作った「縄」が優れる。
樹脂製ロープでは、ビニールハウス用のバンド(芯入り平テープ)が好まれるが、結束部分から切れ易く、大きな荷重の掛かる場所には向かず、縛り癖が付くので2回目以降の再使用時にどんどん結びにくくなる。
3本縒りのPP(ポロプロピレン)ロープの場合、白色のものは風化が早く、ひどいときには半年で粉になって切れてしまうが、着色ロープだと2年以上の使用に耐える。
耐用年数の違いは概ね色の違いで、黄(2-3年)→赤→青/緑(5年以上)の順に見た目の色の濃いものほど長持ちする傾向がある。
機作は加水分解と云われるが、実用上は紫外線による劣化なので、透明(←製品は白く見える)製品は内部まで浸透するが、顔料を混ぜると吸収して熱に変えるので内部に浸透せず、長持ちすると云う理屈らしい。
もちろん、数ヶ月で色が消える製品では意味が無いので、いきなりまとめ買いせずに試用すること。
・製品には縒ったもの同士が融けて離れない融着品と非融着品があり、融着品と表示してあっても切り口から解けて来るものもあるので、予めローソクの炎などを使って溶かしておくとよい。
結果量が少なく生育旺盛な若木では、支柱の設置期間中に枝が肥大して結束部が食い込み、折れてしまう危険があるので、概ね2箇月を越えるときは予めゆるく結束して、作業の度に結び直す必要がある。
将来の主枝候補枝の場合が多いので、下垂するのも困るし、着果させずに成り癖が付かなくなるのも困るので、丁寧に行う必要がある。
3本縒りのPP(ポロプロピレン)ロープを使用する場合、
支柱は、支える枝の真下に伸びるように設置しないと風が吹いた時に支柱無しの場合よりも横揺れのが増して落果しやすくなる事がある。
竹などを使用する場合、節の部分を利用して紐を巻くとずれ落ちる事がない。支柱側には希望する高さを決めて巻き結びで固定し、下端をずらして枝に斜めに当てがって固定してから支柱を真直に立て直す。
支柱の使用は下がりすぎた枝を持ち上げる効果ばかりでなく、張力を掛けた状態にして置くと風が吹いた時に持ち上げられ難くなるので、上下に揺すられて落果するのを防止する効果が得られる。
枝側の固定は、予め支柱に固定した紐の両端を枝の上下から回して支柱側で交差させ、解除が簡単に出来るように片結びする。
枝に何度も紐を回すと、きつく締められて樹皮を剥がしたり食い込んだりしやすくなる。
【応用】竹の節間隔が広くて適当な位置に無い場合、高めの位置に固定して、上から吊り下げるような形で枝を巻く。要するに、枝の位置は支柱に紐を固定した位置と一致させる必要は無い。
【紐の種類】個人的には3本縒りのPPロープ(直径5〜6mm)で、有色のものを推薦する。白色(透明)製品は半年程度で劣化し使用に耐えないが、黄色で3年、緑や青だと5年以上使用できる。これら劣化の原因は紫外線といわれ、色素の添加で内部まで紫外線が到達するのを防止しているらしい。
ビニールハウスの天幕を固定するのに使うハウスバンド(商品名・マイカー線)を好む農家も居るが、硬いので結びにくく、結束部に折り癖が付くので再使用時にはさらに結び難くなる。耐荷重も5mmのPPロープに劣るので、大きな枝を支えようとすると切れてしまう事がある。ハウスバンドを好む農家は、概ね白色ロープの劣化しやすさに嫌気が差したと云い、有色品との違いを教えても信じない。
市販品の場合、Y字形をした枝受け用の別売り部品を薦められるが、下から支えただけでは風で煽られて外れてしまう事が多いので、別途先端近くに固定した紐を枝に掛けて軽く固定した方が良い。
圃場で適当な長さの支柱を選択するのは、かなり手間の掛かる作業なので、長すぎる支柱を無理して斜めに掛けている事もあるが、作業の邪魔になる事著しい。
これらの事情から、できるだけ紐を使って支柱の途中に固定し、枝受け部品は下支えするのに丁度の高さときだけ使うと云う方針を採用している。
【巻き結び】
(1)紐の中央付近を20cm程度離れた場所を両手で持ち、支柱を縦にした状態で、正面からを真横に当てがう。
(2)どちらか一方(通常は利き手の側)を支柱の裏側に回して"ひと巻き"させ、多端を保持した手の上から出す。
(3)さらにもう"ひと巻き"して、今度は保持した手の下から出す。
(4)(3)で下から出した紐の端を、(2) で巻いた紐の下をくぐらせる。
(5)紐の両端をきつく引くと固定される。
(・)出来上がりを正面から見ると、平行に2回巻いた紐の上から斜めにもう1巻きした形。裏から見ると、平行に2回巻いただけに見える。
力が加わっている間は緩まないのに、外さなければならない時は簡単に緩める事が出来る。
劣化した樹脂製の紐類を交換するときのために、三脚などにゴミ袋と交換用に予め切り取った紐を結び付けておくと作業がはかどる。
支柱を設置すると除草時の障害になるため、キレイに刈ることだけが目的になると除草の度に支柱を動かす事になる。
支柱の移動は、地面にしか注目していないので支持・結束部の樹皮が破れたり、無理してずらすので枝が折れたり果実に当たって傷を付ける事がある。支柱が真下から移動したまま放置されれば大風の時に枝の揺れを大きくしてしまう逆効果も起こってしまう。
当園では、支柱の移動が不要になるように除草剤を併用した事もあるが、草刈り好きの年寄り(最近は若者も増えた!)にとっては除草剤で枯れた草であっても刈りたいものらしく、何の効果も無かった。(経営状況に応じて、無駄な抵抗判断されれば諦めるしかない)
サイズごとに運び易い本数に縛ってから集積する事。
・バラしたまま運搬すると擦れて寿命が短くなる。
・サイズがふぞろいのままだと使う時に手間が掛かるし、収納も場所をとるし、何より運びにくい。
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全ての期間に渡り、地面に寝かせたまま放置しない事。
見つけられずに放置してしまう結果になったり、つまずいて怪我をする原因になるし、汚れるし、・・・とにかく良い事がない。
できるだけ雨に当たらず、直射日光を避けられる場所に保管する。
稲杭と廃トタンなどで専用の格納所を作るのが望ましい。