整枝・剪定

 家庭菜園で果樹の栽培をする人が殖えて、ネットで簡単に質問が出来るようになった頃、「整枝と剪定はどう違うのですか」との質問に答えられない先生たちが困った挙句に・・・
   結論:「同じです」
   対策:「整枝」と云う語を使わず「剪定」だけにする。

2006/3/30






整枝と剪定の違い

 1本の枝を切った時に、それが整枝と剪定のどちらに属すかを決めるのは難しいのですが、概念と目的の上では大きな違いがあります。
 そんなときは、どちらなのか判らないのではなくて、「1粒で2度美味しい」作業だったとお考え下さい。

【整枝】
 残した枝が伸びるための空間を確保する作業です。
 果樹関係の本しか読まないと判りにくいかもしれませんが、野菜ではかなり区別して用いられています。スイカやキュウリのような"つる性"の作物は整枝作業はあっても剪定作業はありません。
 初期の収量を上げるために密植しておいたものを、収穫の途中で分岐部分からそっくり間引く作業が整枝です。(育苗・定植する種類では、株ごと間引きするのは稀)

【剪定】
 摘蕾や摘果の前倒し作業で、着花数を制限する事で肥大を良くしたり、成り疲れ(果樹では隔年結果に相当する)を防止する効果がああります。

整枝と剪定を混同して作業すると、花芽のつきにくい種類では全く着果しない状態になったり、着果しても実が育たなかったり、途中で落ちたり、青臭い味が付いて食べられないといった事態に陥ります。

 昔の人は整枝の肝要を「樹に悟られるな」と表現しました。切ったのを知られて、盛大に徒長枝を吹かれたり、花芽が無くなって枝ばかりになったのでは良い実を採ることはできなくなります。
 逆に、剪定では樹に切られた事を教えて、余分に実を大きくしてもらわなければなりません。




枝の観察

【色】
新梢の表皮色は花弁や果実(特に果肉)の色が反映される事が多い。ただし、翌年の春には消えてしまう。

【皮目】
 新梢の発生当初に光合成を行っていた名残りで、枝の肥大に伴って「気孔」の部分が裂け、コルク化したもの。
 イボ皮などの病気と区別できずに削り落とすと、樹肌が荒れて永遠に剥皮し続けるようになる。
 異説(当地の指導員様):芽の退化したもので、刃物で周囲に傷を着けると発芽するのだそうだ。(”め”には違いないけど、まさかね?)

【果台枝/女枝(おんなえだ)】
 果台は、花芽から生じる1〜2cmの枝で花束の付け根部分に当たる。リンゴやナシなど1つの花芽から複数の花や枝を出す種類で生じるもの。
 果台から発生した新梢が太くなると、数年後には判別できなくなるが、結実の負担などから強大にはならない事が多く、「女枝」との異名もある。

【成りカス】
 各地で同名異義のものが多数存在し、ナシやサクランボなどでは花束状短果枝を指すが、前年に結実した果台から出た貧弱な枝を指す事もある。(土地と樹種によって違う意味で使っているので、判りにくい)。

【土瓶掛け/トランジスター剪定】
 主枝の懐から出た短い枝の事。
 トランジスターラジオ(小型の携帯ラジオを指すらしい)をぶら下げるのに都合がいいと云う意味で、このような枝を作る事を「トランジスター剪定」と呼ぶ地方もある。




下垂する枝・しない枝

 枝が太くなれば、相応に強度を増しますが、同じ太さの枝であっても硬くて曲がりにくいものや柔らかくて簡単にしなるものがあります。

 健康な枝を途中で切ると、本来発芽・成長するための養分が行き場を失って道管の周囲(随伴細胞)にこびり付く形で頑丈な組織を作ります。
 根が何らかの障害で貯蔵養分を持たない時は、この変化が起こらないので、いくら強い剪定をしても堅くなりません。
 移植を行った場合、断根の影響で直前に伸びた枝(前年枝)は下垂し易くなります。

 下垂させたい場合、何よりも切らない事が肝要になりますが、徒長して副梢が多数発生した時は切らざるを得なくなるし、切らなくても枝が太くなる事で強度が増すのが実情です。
 そこで、切らなくても済むようにしなければならなわけで、このためには、将来必要な枝1本だけを残すのではなく、周囲に2〜3本を囲むように配置して生育を阻害し、十分な着果負担が得られる花芽を持った状態にしてから周囲の不要な枝を取り除くなどの工夫が必要です。
 この場合、家族などの周囲に理解出来ない人が居ると、剪定漏れ(見つけ残し)と誤解されて、切り落とす予定の強い枝だけ残されてしまう事故が起こり易く、必ず失敗します。

 ハサミを入れずに済んだ場合、直径5cmを超えるような枝であっても着果の負担(重み)だけで下垂させる事が出来ますが、都合の良い向きに下垂させるには、着果位置の配分を工夫したり、誘引などの補助作業が必要です。




リンゴの花芽誘導

 徒長枝ばかりで花芽の付かないリンゴに対して、5月上旬に開花する地域では6月下旬〜7月中旬に徒長枝を短裁すると花芽を誘導する事ができます。

 短裁は、一部の徒長枝だけに行い、必ず周囲に手付かずの徒長枝を残さないと巧く行きません。
 発生基部のロゼット状に葉が付いた部分からは発芽しない品種が多いので、葉が密集した部分を除いて数芽を残して切ります。

 勢いが強いと残した先端の芽はすぐに発芽して新たな徒長枝になりますが、直下の芽は肥大するだけで花芽になります。

 こうして出来た花芽は貧弱なので、貧弱な果実にしか成長しないのですが、9-10月上旬の剪定しても徒長枝が出ない時期に、徒長枝部分を再び切り落とすと、充実した花芽になります。

 こうして出来た花芽から出た果台枝を継続して結果枝として使うのには、発生角度などや手間が掛かり過ぎるなど問題があります。
 暴れた樹体を落ち着かせて成り癖を付けるためのもの、とお考え下さい。
 本来は不要な作業ですから、これで安心して、徒長枝が乱立するような管理を続けたのでは意味がありません。




剪定による果実重量の変化

 剪定は摘蕾の前倒しなので、徒長枝が発生しない範囲であれば果実肥大に貢献しますが、冬の剪定はあくまでも摘蕾や摘果の効果しか得られません。
 花芽誘導(前項)で述べたような秋の剪定を併用すれば、腋芽花も頂芽同様の果実に誘導できますが、通常はこのような手間を掛けるのは不可能だし、無駄です。


 5kgあたり25玉と15玉を狙う選定方法は根本から異なり、どちらかが先に剪定して後から別の人が手直しを加えても取り返せないのが普通です。
 通常、目標果重は1果当り葉数で調節(摘果)しますが、着果制限は果重の上限に近づけるだけで、上限そのものは前年からの貯蔵養分や剪定の方法が影響します。

 本来の整枝や剪定は、生育期や収穫直前の樹姿を前提に行うものですが、剪定直後の姿を見栄えの良いものにしようとすると、どうしても前年に結果して下垂を始めた枝を多く残すようになってしまいます。

 花芽からでた果台枝は徒長枝にくく、花芽を持ちやすいと云われていますが、暴れまくった樹勢では葉芽から出た枝も花芽から出た枝も同じように暴れます。
 樹勢が落ち着いて花芽が付き易くなった状態は、果実がたくさん付いて負担が増えるので衰弱しやすく、衰弱した枝には花芽が付き易いというだけの話のようです。

 何年も果実を付けて古くなった枝の果実は大きくなりません。
 小玉狙いなら構わないのですが、そうではない場合、剪定直後の姿を重視すると、新梢の側芽が花芽になるには2年掛かり、結実は3年目なので、それらは果実を着けない無駄な枝で、樹形を乱すものに見えてしまうので、剪除の対象になりがちです。
 切り忘れて残ったような枝だけが、良い果実を着ける枝として翌年に残るのが現状で、この作業を「あまりキレイに切らず、少しだけ残す」と表現します。。




逆行枝

 樹が老化してくると主枝の基部から禿げ上がってくるので、逆行枝を残したくなるのが普通。
 逆行枝自身も禿げ上がりながら、正向枝の邪魔をする大きさになってゆくが、逆行枝の元になるのは背中に出た枝なので勢いが良く、正向枝の方が見劣りするので処理を間違い易い。




結果枝の老若

 前項で老化した結果枝に付いた果実は大きくならないと書きました。
 花芽は全て前年に伸びた枝の先端に出来るものなので、古いも新しいも無いはずですが、眺めているると明らかに若い結果枝とか、老化した結果枝としか表現できないものが見つかります。(こういった感覚的・文学的な表現を文字で説明するのは難しい作業です)

 中〜長果枝の先端は花芽で、葉芽になっている腋芽の状態が0歳とすれば、強い剪定を加えないで1年放置してたくさんの中〜短果枝が発生した状態が「若い結果枝」です。
 これら新梢の先端は花芽になりますが、短果枝の腋芽が発芽する事は稀で、翌年は更に短い短果枝や腋芽を持たないまま頂芽だけ出来て終るようになります。
 こうした状態が「老化した結果枝」と呼ばれるようです。

 
 


暴れる側の言い分

 毎年リンゴの収穫を終える頃になると、「今年は枝が混み過ぎて色が付かなかったので、もっとたくさん切らなければならない」「おれも」「おれも」といった会話が行われています。

 ところで、樹が衰弱してもっと枝を伸ばしたい時にも「剪定を強くして」と云うのはなぜでしょう」

 暴れまくった樹を観察すると、作業のしにくい場所にばかりよい実を着けそうな枝があったり、実際によい実が着いていたりします。
 わざとそうしている筈はありませんから、詰まる所、意識して行った場所の先鋭は全て裏目に出て、見つけ残したような場所だけが目的通りの姿になったと云う事です。

 リンゴの樹が口を利けたなら、「暴れたのは私のせいじゃない。アンタが間違った剪定をしているからだ」と言いたくて堪らないでしょうな。


主枝先端の切り返し

 切り返した枝の生育が旺盛になるのは「養分が集中するため」という説明は間違い。
 切り返しの有無によって伸長後の全体の長さは変わらないが、切った分だけ余計に伸びるので、「樹勢が強くなる」ように見える。
 新梢が大きくなると、前年度までに伸びた部分の枝は太く丈夫になるので、主幹・主枝を早く太らせたい場合は切り返しを強くする。

 モモの場合、旺盛な生育をする枝は副梢が発生し易いので、副梢を残して主枝先端とする事があるが、副梢にならなかった場所の芽から強い枝が発生するため、主枝先端のつもりで残した枝(前年の副梢)は負けてしまう事が多い。

 直立しやすい性質がある品種の場合、下芽を残して切っても上に湾曲して伸びるので、更にもう1芽余分に残して切る。




誘引

 紐を使った誘引を行うと、容易に枝の向きを変えられるので、剪定技術の未熟さを補う効果がある。

 誘引する枝は、将来残す候補というばかりでなく、残すための枝が伸びるのに邪魔になったり、伸び伸びし過ぎて暴れたりするのを防止するために残した捨て枝の事もある。

 誘引の対象は通常2年枝までで、困った後で考えるのは×。




風に弱い




あああああ


だる〜い剪定の話

2005/3/12



剪定用具

剪定鋏(ハサミ)

握り(グリップ)の形によって2種類ある。刃の形によっても数種類あるが、一般的な形状・・・・

受け刃と切り刃のどちらを切り口の残る側に当てるかでその後の癒傷に影響する


 通常の刃先は、柄に対して真っ直ぐになっているが、「青森型(津軽型)」と呼ばれるものや岡常と云うメーカーのユニーク型は、刃先が柄に対して角度を持たせてあるので、低い枝を切るときに手首に負担が掛からない。低樹高化に対応して変化してきたものだそうである。

 「青森型(津軽型)」では、柄の内側に「チカ」と呼ばれるバネ付きのストッパーを備えて、刃の閉じ過ぎを防いでいるが、岡常型や阿武隈型では軸受けと柄の間に突き合わせの構造を持っており、拍子木のように研ぎ上げる事で刃を閉じた時にカチンと云う軽快な音を出す事が出来る。

剪定鋸(ノコギリ)

アサリは、切りシロ(切り込みの幅)を大きくして作業の途中で鋸身が挟まって動かないくなるような不具合を予防する。 鋸身が曲がってしまと太い枝を切るときに挟まって動かなくなる。  鋸身が硬く曲がりにくい(曲がる前に折れてしまう)ものでは不用で、アサリをつけると切りシロ(切る体積)が増えるために挽きが重くなり疲れる

西洋鋸では、鋸身の断面を鋭角な台形にして、刃を付ければ側面が開くのでアサリの代わりになるが、輪鋸同様に刃の先端出傷つけた木材が切り進むにつれてと根元付近の刃で何度も切られる形になるため、効率が悪い。  鋸身を厚くして両側が平行なまま同様な刃をつけてから刃の内側を研ぎ減らした「快速鋸」では、刃先でいったん切り取った鋸屑がそのまま出てくるので、軽快になる。


ヤニ・シブ(渋)

 鋸や鋏に付くヤニ・シブ・樹脂と呼ばれる固着物は、主としてペクチンが切り屑などと混じったものです。
 ペクチンはジャムを固める成分なので、吸水させれば簡単に落とす事が出来ます。また、お湯を使うと極めて早く吸水します。
 放置して時間が経つと吸水し難くなるので、早めに取り除いた方が楽に落とせるし、作業もはかどるので定期的に行いましょう。
 放置して落ちにくくなったときでも、時間を掛ければ表面からふやけくるので、数回に分けて処理すれば完全に落とせます。。

【ガセネタ】発芽近くの時期になると樹の中を水が上がってくるので、ヤニも付きやすくなるというのは、よくできた嘘で、ペクチンは細胞壁の成分なので、一年中切断面に存在するし、鋸の場合、連続して使用している間はヤニが付いてもすぐに擦れて落ちるのですが、鋏と交互に使うなどして乾いてしまうとこびり付いて厚く溜まります。
 春になれば気温が高くなるので、乾きやすく、こびりつき易くなりますが、雨上がりなどの湿度の高いときには全く付着しません。


 ペクチンはミカンの袋にも多く含まれる成分で、アルカリで溶けるため、缶詰に加工する際は、塩酸でふやかした後に水酸化ナトリウム(アルカリ)で溶かして除去する。

樹形

 「樹形はどうあるべきか」について語らせると、・・・
(1)「○○でなければならない」  と、
(2)「どうでも良い」       と、に真っ二つに分かれます。

 (1)の方のいう○○の部分は、主枝・亜主枝・結果母枝の各々を、細長い三角形であったり、葉っぱのような形(つけ根も細く)にするべきであったりするのですが、実のところ、剪定直後の姿をそのようにしても観賞用ではないので何の意味もなく、無理にそのような形に納めようとする為に、発芽期以降あちこちから強大な徒長枝が発生します。

 その結果、「樹形なんてどうでも良い」と云う結論に至るのも自然な成り行きです。

 一方、収穫直前の姿を先の人が云うような○○の形にしようとすると、果実の重みで下がったり、強く切った部分から強い枝が出たりするので、・・・
剪定直後の姿は枝の長さもばらばら、全ての枝が立ち上がり加減で、樹形なんて考えているようには見えないのが普通ですわな。

 某地域の指導者的存在で、このような方針で管理しているのされた樹をたくさんの方が見学に来るのですが、帰ったあとで「○○さんの所では、樹形なんてめちゃくちゃなのにあんな立派なものが採れる」と言いふらされるのに苦笑しておられました。

 最初に上げた2つの意見は、全く同じものを見て半分しか理解できない状態って事かしら。


主枝の反り(主枝延長枝・主枝更新枝の出し方)

 下の図で左側は上に向かって反った枝、右は下に向かって反った枝の断面図です。雑誌の小口や新聞紙・ベルト等をいくつか重ねたもので実際に動かしてみるとよいでしょう。
 各々の図の左側が枝の付け根だとして固定し、右端が果実の重みで下垂した時、上に凸のものは各層が離れずにいますが、凹型のものは各層が分離して裂ける様子を表しています。

 生育が一時中断したり、新梢の先端を先刈りせずに放置すると、その後に伸びる枝は必ず上を目指します。
 重力に対して負の屈性が起こるのは、細胞分裂の際に染色体以外の原形質が重力で下方に偏り(=沈む)下辺の細胞の方が活力が高くなるための現象。
 上に曲がるので、上辺の細胞が強くなるように思い込みがちですが、下辺の方が太るので育ち負けして曲がるのが正解。

 滞りなく細胞分裂が起これば、原形質が重力で沈んで偏る時間が無いために上辺と下辺の細胞に能力差は出来ず、どんな方向であっても真っすぐに伸びるのですが、一時的に生育が滞ると上下の差が出来てしまいます。


太い枝の切り方

 長大な骨格枝を切り落とす時、最後の後始末まで自分でする場合は、小枝を切り落としてから行った方が、地面に落としてから小枝の処理をするよりも楽に出来ます。【手間】
 後始末を考えなくてもよい賃取り作業などの場合では、小枝を払わずに、そっくり切り落とす事が多いと思いますが、多少の小枝を払って作業空間を確保してからでないと、作業者の体に当って怪我をする事があります。【安全】

 骨格部分を切り落とす際、予め切り落とすよりも先方2〜3cmの位置で下から  数回に分けて落とす場合は下傷を付けない  下傷がないと裂けながらゆっくり落ちるののに対して、下傷があると突然落ちるので危険


着色の為の枝切り

 是非尋ねてみてください。
 質問1「樹が弱ったときはどうすればよいのでしょうか。」
 予想される答え「剪定を強くして下さい」

 質問2「色付が悪いときは、どうすればよいのでしょうか。」
 予想される答え「剪定を強くして下さい」

 答えだけ cut&paste でとっても楽チン・・・???  ウチの先生たちはこの矛盾に気が付いているのでしょうか?  「だって、みんなそう言ってるから・・・」  自称プロと言っても、後追い産地の剪定なんてこの程度よ。

果皮が着色する種類では特に問題になりますが、日当たりがよくないと色が付かないという理屈で、冬の剪定では樹冠の外周だけ残して丸裸。夏になると徒長枝がたくさんでて日当たりが悪くなったからと、骨格枝の先だけ残してプードルみたいな姿にされる果樹の剪定・・・どっか間違ってねぇか?(悪循環)

 徒長枝切りはやればやるほど果実が小さくなるし、色も着きにくくなるし、おまけに青臭くなって誰が食うもんだか・・・自分じゃ食わないから判らないってか?

 (補・色が付きにくくて(果実全般)、食べると青臭い(主としてリンゴ)・・・ この原因をチッ素肥料のやりすぎだけで片付けるのは、対策を誤る原因になります。
 

 不味そうな色をした果実が不味ければ「しょうがないかな?」と云う気にはなるかも知れませんが、どんな品種でも、時間が経つと着色しやすい枝変わり品種が登場して、農家が争うように取り入れて原種を駆逐し、外観で美味・不味の区別が付き難くなります。
 美味しそうなのに不味いのに当たったお客さんは、もう買わなくなります。

 徒長枝がでるのは、結果枝や結果量が少なすぎるのが大元の原因。
収穫期近くになってからはどうすることも出来ない。

りんごの場合、特に花芽の出来難い「ふじ」では3本残しておくと暴れもせずに花芽を持つので、その後で1本に間引いて使うのが原則。
 これを、日当たりが悪くなるからと背中からでたのを1本だけにするとじゃんじゃん側枝が伸びて次の年に切らなきゃならなくなるから、益々強い枝が出て根元から切るしかなくなるんだね。



結果枝の更新

 枝が隣の樹にぶつかった場合など、太目の枝を途中で切って更新する場合、必ず背中から出た枝で延長部を作り直さなければなりません。

 真上を向いた芽のところで切ると、そこから出た枝は真上を向いて伸びてしまうため、1年生の枝などでは必ず下を向いた目のところで切るのですが、骨格枝の更新を伴う太い枝を切るときに同じ事をしてしまうと、切り口が枯れこんだり、出た枝が切り口から裂けやすくなったりするため、必ず上面から出た枝で更新しなければなりません。

 上を向いた枝は勢いよく伸びやすいため、側枝も発生しやすく、無理に誘引すると徒長枝が乱立します。

 あらゆる場面に共通して、枝を切ると切った場所から下の部分が硬くなって下垂させる事が出来なくなりますが、先端を負かす様な大きな側枝が出れば切らずに放置できないのが現実です。
 こんな時たいていの方は、「切らなきゃしょうがない」と云うのかもしれませんが、予め大きな横枝が出ないようにするのが唯一の解決策です。

 このためには、来年以降に必要な枝だけ残すのではなく、その周囲に2本の捨て枝を挟むように配置してやればいいだけです。
 熟練者はこの事を「立ち枝を残す」と表現しますが、別の意味に解釈されてしまうようです。。
 



主枝先端が立ち上がる「"出"の字」剪定

 主枝先端が立ち上がって、「出」の字状になってしまうと、先端部分に手が届かなくなてしまうため、横に伸びた側枝の部分まで切り下げる剪定をする事があります。

 通常、切り下げ剪定をすると、切った部分から下の枝は徒長枝化して全て切り落とすしかなくなるため、結果枝が樹幹の外周部分だけの状態になってしまいます。

 先端が立ち上がるのは、背面の側枝を切り落としてしまった所為です。
 枝の先端を切り返すと、先端の芽の他に必ず2本以上の枝が出ます。前年の枝は切り落とさずに2年目に切り落とすようにしないと先端から出た枝(将来残す部分)が上を向き易くなります。

 ここでも、「切らなきゃしょうがない」のではなく、切らなくて済むように手を打っておくのが最上の方法です。

 結実状況が良好で「切り上げ剪定」とか「腰入れ」と呼ばれる作業になれば問題ないが、樹が暴れているようなときに行うと背中から出た枝は強大な徒長枝になり易いので腹側から出た下垂枝を残すような形になりやすい。

 横向きや下向きの枝は切り口の全周を癒合させる力がないので枯れ込むし、果実の重みが掛かったときに枝が裂け易い。

 背中から出た強大な徒長枝の近くには必ず負け枝が出るので、徒長枝を残してさえおけば(横枝が出たら払ってよい)いいだけよ。


 通常の切返しでは、先端の芽は下芽になるように切りますが、すでに上向してしまった枝の場合は外芽(=下芽)では無く、外芽の1〜2芽上で切りると、外芽から出た枝は横に伸びやすくなります。
 リンゴではつがるや王林などは、水平に近い枝であっても下芽で切ると旺盛な生育をする枝の場合、そこから出た枝は真上に向かって伸びてしまう事があります。このような時も残したい枝の出る芽よりも1〜2芽上で切ってから、余分な部分を切り落とす方法が有効です。



残せない場所の枝に良い芽が付く不思議

現象:剪定の時に残せないような、逆行枝や手の届かない高い場所の枝にばかり良い花芽が付く。

解題:剪定の方法が間違っているため、残そうとして手を入れた枝は暴れて花芽が付かなくなるが、見逃して放置された枝だけが正常に育ったのでしょうね。



強い剪定をすると強い枝が出る

 不思議な事に、枝が込み合ってきた時も強い剪定をすることで「空間を確保する」のだと言う人たちが多くいます。
 枝が混み合ってしまったときや隣の樹とぶつかってしまったときにも強い剪定が行われますが、花芽が減って果実の負担が減るため、益々強大な枝が出ることになります。


切り口とウロ(洞)の処理

 以前は、元のほうを少し切り残した方が良いと言われたが、よく見えるのは切断から3年程度までであって、はみ出た部分は最終的に枯れこんでしまう。 聞き回った結果、どうやら、癒合は切り口全体から湧くようにして新しい組織が盛り上るものだと勘違いしているようである。

 太い枝を切り落としたとき、リンゴでは王林・さんさ・つがるなどは早期にゆ合して切り口が盛り上げるようになって完全に塞がるが、ふじ等では遅く、切り残りが僅かでもあると周囲の枝が太って埋もれるまで切り口が残ってしまう。

 切り口の癒合は形成層部分の肥大で、新しい組織は乾燥に弱く、放置すると夏に壊死して粉状に砕けてしまうので、乾燥防止の保護剤塗布が必須。
 癒合は残った幹の肥大に伴って起こるので、えぐる位に切った方が巻き込みが早く、心抜きのように片側に1本大枝だけが残るような場所では、枝の無い方が短くなるように斜めに切るように指導が変更されている。

大きな切り口には、市販の切り口保護剤を塗るが、多くの保護剤に採用されている主剤は酢酸ビニールで、木工ボンドと同じものなので、硬化後も吸水して膨れたり、紫外線で劣化するなど耐候性に乏しい。
 水洗ペンキを塗るなどの試行を行った農家も居たが前後の準備や煩わしさから現在では見られない。

 近年、切り口保護剤を塗った後に紙を貼ると長持ちする事を発見した方が居て流行しそうである。
 流儀は2通りあって、ティッシュペーパーを貼るグループと、新聞紙を貼るグループとに分かれている。

 新聞紙の場合、いきなり大1枚を拡げてそのまま貼ろうとすると大変なので、予め拡げた新聞紙を横に4枚に切り、トイレットペーパーのように何枚も巻き付けたものを押しつぶすとポケットに入り、楽に携行できる。
 保護剤を塗った後、紙を押し付けて馴染ませてから残りを千切り取る。
 切り口からはみだした分は放置せず必ず取り除くが、よく乾いてからだと簡単に千切り取る事が出来る。

 紙貼りは切り口だけに拘らず、背中の日焼け部分にも使う


【ウロ(洞)の処理】

 幹に空洞が生じた場合、コンクリートを流し込むように薦められることがあるが、絶対にやってはいけない。
 コンクリートは施工後収縮して残った樹肌との間に隙間が出来、ここからさらに雨水が浸入してその後の修復を困難にする。
 また、伐採の時に鋸などの刃を傷め、切り倒す事すら出来なくなる。

 充填する場合、建築材料に「スパンフォーム」と呼ばれる発泡後に硬化する樹脂が販売されている。スプレー容器に入ったもので、空洞の内部にスプレーすると発泡して充填される。かつてはフロンガスやカブレの原因になる樹脂を使用した製品が主流であったが、安全なものへと変わり、値段も格段に安くなっている。
 低温ではスプレー缶からの出が悪く、出た後も発泡が遅いので充填量の見極めがしにくいため、表示された気温の時期に使用する。
 

 充填後、開口部はポリエチレンシートで覆い、ガムテープや紐で固定する。ポリエチレンシートは施工後、簡単に剥がす事ができる。
 新聞紙などで覆った場合、紙の隙間から染み出したり、破れて噴き出したりする事がある。新聞紙で覆った場合、施工後にはがせなくなるが、周囲の余った部分だけちぎりとって放置した方が表面の保護に役立つ。

 生乾きの時に穿刺などの傷を漬けると泡が切れて大きな空洞になるので触れない事。完全に固化するには1週間程度必要で、露出部分は太陽光などで劣化しやすいため、ペンキなどを塗って保護する。


 充填材として、木工ボンドを使用することもできる。
 空洞の底に木工ボンドを流し込んだ後、適度な大きさに切った発泡スチロールを押し込んでボンドの量を節約する。


この世にはびこる思いつきの正体

枝が下垂しても支柱が要らないように、若木のうちに高くしておく。
そのココロは・・・
樹勢のコントロールが出来ずに結果開始が遅くなった言い訳。
 また、支柱は枝折れや果実が地面についてしまうのを防ぐためよりも、風害の防止に重点を置くもので、上下に揺さぶられて落果するのを防ぐ効果があるので、支柱設置の軽減は収入減に結びつく
リンゴの「ふじ」は若木のうちに樹勢が強すぎて花芽が着き難く、結果開始後は急激に衰弱する。また、衰弱し易いので若木のうちに勢いをつけておく。
そのココロは・・・
上同。樹勢のコントロールが出来ずに結果開始が遅くなったため、不安になって樹を苛め始め、結実する頃には樹体が衰弱してしまうのがホントの理由。
胴吹き枝は夏以降に出た弱いものだけを残す
そのココロは・・・
翌春に花芽を持つ事がないので、迷わず切り落とす事ができる
真上に出た枝は基本的に切り落とすが、少しだけ残す。
そのココロは・・・
周囲に広い空間を作ると強大化して側枝が出るため、花芽を持つ事もなく、迷わず切り落とす事が出来る
そのココロは・・・
そのココロは・・・


立体的なはずなのに最適LAI=1.8 とは?

入門書の類には、果樹の特性について立体的で空間を有効的に利用できると書いてあるが、LAI を比較すると水稲が一番高く、果樹類は最も低い部類に入る。

受光体勢

剪定の方針