草刈り・反射材マルチ・潅水
果樹園において、高温・乾燥が続く時は「草刈りをした方が乾燥が防げます」と云う指導が行われます。
指導原案では、草刈りの直後にアルミ蒸着シート(反射シート・反射マルチ・シルバーマルチ)を敷き詰めるのが前提となっていますが、口頭での指導では「草刈り」にしか触れないため、農家が誤解して「刈りっ放し」による高温・乾燥の被害が見られます。
多くの場合、被害があっても「やるだけの事をやったから、この程度の被害で済んだ」と喜んでいるようです。
土壌水分の蒸発(損失)には、風速と地表付近の温度が関与します。
ヘアドライヤーを使って髪や衣類を乾かす時を考えると判り易いかと思いますが、放置するよりも、風を当てる方が乾きが早く、熱風を当てた方がさらに早く乾きます。
作物や下草の蒸散による損耗は、「葉」が地面よりも表面積を増やす事で蒸発を促進すると考えられていましたが、多少の風が吹いても通風が妨げられるので、意外なほど影響が少なく、飽和量を大きくしたり、上昇気流を作る温度上昇の方が影響が大きくなります。
さらに、日中の植物は萎れが起こって草姿が寝てしまうので、光線の反射率が増して地表の温度上昇を防ぎます。
よって乾燥防止の管理目標は、地表付近の水分の温度を低く保つ事となります。
最も根強いのが「雑草に吸わせる水がもったいない」ので、乾燥時にこそ草刈りを徹底するというものと、反射シートを敷くと園内が暑苦しく感じられるようになるので、熱いのは樹にも良くない筈だからと「早めに草刈りして、シートの敷設は遅らせる方が良い」という説です、
十分な降雨があった後、草生状態の果樹園では2週間程度なら毎朝下草に結露が生じ、潅水は不要な状態となりますが、除草直後には水分を含んで黒っぽくなっていた地面が、あっという間に乾いて白んで来ます。
反射材シートの敷設は、地面から直接蒸発するのを防ぐ他に、地温の上昇を防止します。
高温時の植物にとっての水は冷却材で、50℃を越えるような夏季の剥き出しになった地面で高温に熱せられた水は作物を衰弱させ、果実の日焼けなどの障害も増やしますから、地面を低温に保つのは必須となります。
また、果実の着色を考慮した場合、リンゴで20℃、モモで28℃程度が上限なので日中の気温や果実の日照面の温度は高すぎて着色に役立ちません。
盛夏期は朝・晩の気温が低い時間帯の光だけが有用なものとなりますが、反射材シートは地面への蓄熱を妨げるので、夕刻以降の気温低下が早く着色が促進されます。
参照:栽培→果樹共通→地表管理」
:栽培→果樹共通→着色・食味・日持ち