穿孔細菌病(bacterial shot hole)
初版:1990/3/30〜最終更新:2006/8/16
【防除の概略】
【病気の特徴】
葉の穿孔が特徴だが、これは病原細菌によるものではなく、作物側が感染部位の周囲に離層を作って切り離す防御反応によるもので、幼葉や生理活性の衰えた状態や感染密度が高い場合には全体が黄変して落葉する。
発病の初期には失緑した斑点を生じるが、落葉する場合は赤い斑点になる事が多い。斑点は後に茶褐色となり、収縮に伴って周囲に亀裂を生じて脱落するため、直径数mmの穴が開く(穿孔)
感染の成立から肉眼で判る病徴を生じるまでの期間は気温に比例し、
このため、肉眼で感染を確認した後にできる事は無いが、樹の勢力を保つことで落葉を防ぎ、葉面積を維持するのに役立つので、著しい被害の起こった場合は早急に摘果して樹勢の低下を防ぐ必要がある。
幼果に感染したものは落果する事が多い。
開花から1ヶ月を過ぎてからの感染では、はじめ水浸状の斑点を生じヤニを吹く事もあるが、乾いた黒色の斑点となり肥大に伴って斑点の内部に亀裂を生じる。
病斑から吹き出たヤニには感染力があり、降雨によって膨潤したものは農薬散布の際に周囲に飛び散る可能性がある。
いずれの場合も肥大させても商品価値は無いので、見つけ次第摘果する。
枝上病斑で越冬して被害が広まると云う説があり、開花前のボルドー液散布が薦められる事もあるが、開花期に起こる枯込みの大半はボトリチス菌(カビの一種)によるもので、農薬の有効範囲が違うため、穿孔細菌病を対象にした農薬を散布しても効果が無い場合があり、診断に留意する。
【別の原因による酷似する症状】
果実の最終肥大期にカリが欠乏すると、葉に穿孔症状を起こす事が知られている。
果実に症状が現れる事は無く、収穫直前になって斑点を生じ急速に拡大する。カリウムの欠乏で特徴的な葉縁焼けも併発し、葉の先端から中央付近までの葉縁が褐色になり、落葉を伴う。
通常の施肥体型に従っている限り、土壌中に欠乏する事は無いが、干ばつなどで潅水を行った場合、日中の高温時や連日少量ずつ与えるなど、(専ら作業者が凉むための)不適切な方法だと簡単に欠乏を起こして発症する。
この場合は、カリの追肥(土表散布)は全く役に立たない。液肥として常時灌漑用水中に加えれば回避可能と考えられるが、全くの無駄で、適切な潅水方法を行えば良いだけである。、
収穫直前には、草刈りなどの作業も行われる為、病原細菌の侵入によって発病するものと混在する場合もあるので、診断は慎重に行う。
診断のポイント
【定説への疑問】
当初は山間園での被害が多く、風当たりの強い場所で多く発生すると言われたが、1990年頃から山間部での発生は見られなくなり、仮説の根拠を失った様に思える。
(考察に値する他の状況)
・当地は盆地地帯なため、山間部よりも強い風の吹く平地の風害常習地帯が存在し、当病害の分布と一致しない。
・被害の消失時期は、鳥獣害などによる廃園が増えた時期と一致している。
・山間部での薬剤散布に使用する水は殆どが貯め水で、周囲の園から流入が避けられなかった。
同一園内を見渡しても、発生の場所は風当たりの強弱とは無関係に見えたため、風当たり以外の要因を探したところ、スピードスプレヤーによる農薬散布の際に、旋回部分や重複散布されやすい部分との相関の方が高く、希釈用水の汚染を疑った。
(汚染度の検出法1)ファージ法
バクテリアに感染するウィルスをファージ・ウィルスまたはバクリオ・ファージと呼ぶ。中高生向けの理科の教科書には1970年頃に行われたアポロ計画(有人宇宙船による月面着陸計画)での月着陸船のような形をしたイラストが掲載されている。
バクテリオ・ファージは、バクテリアの細胞表面のたんぱく質に対して特異的な選択性を持っており、きわめて狭い範囲のレース(主よりもさらに細かい分類)だけに吸着して感染する。
宿主であるバクテリアと、これに感染するファージ・ウィルスが混じった試料を寒天培地で培養すると、所々にバクテリアの繁殖しない円形のエリアが生じ、これを溶菌斑と呼ぶ。
同定の済んだバクテリアを餌として純粋培養し、ファージ・ウィルス増殖させ、各地から採取した試料に混ぜて培養すれば、溶菌斑の有無から、元のバクテリアの有無を間接的に知る事が出来る・・・というのが、ファージ法のあらましである。
これによって、複雑な同定作業が大幅に省力化でき、広範囲の分布調査が可能になるというもの。
(汚染度の検出法2)筆塗り法
本稿の筆者が肥料溶液を葉に筆塗りする肥料試験をしてしていた時、筆洗い用に川の水を使ったところ斑点を生じ、後に穿孔症状が現れた。
当初は高濃度障害と思っていたが、濃度を変えてより濃厚にしたり水だけで行ったりといったその後の肥料試験でも再現が不安定であった。
冗長となるので、以下に結果だけ列挙する。
・希釈、洗浄とも水道水を使用すれば斑点は生じない。
・塩素系漂白剤を流用した用水の殺菌を行えば斑点を生じない。
・同じ場所の河川水を使用しても、斑点の密度が異なり、全く出ない時期もある
・ファージ法のように種やレースの同定は出来ないが、産業上重要な症状が出る原因だけを突き止めればよいという、非常に志の低い非学術的な方法であるが、きわめて簡単で実行できる。
【農業用水の殺菌】
そして陰謀?
【ボルドー液散布との関係】
同じ頃、ボルドー液の散布が正式採用され、一部の園地では被害が減ったと報告されているが、年間5回に及ぶ散布にもかかわらず全く被害が減らない園地も存在する
(考察に値する他の状況)
・同時期に普及した乗用型モア(草刈機)は、座席下に刈り刃を持った機種が主流となり、枯れ草などの飛散は極めて少ない。
【塩素系殺菌剤の知識】
通常、「残留塩素」と呼び慣らしているが、殺菌力の正体は塩素が塩素イオンになる際に放出される活性酸素であり、資材として市販されている「次亜塩素酸ナトリウム」は塩化ナトリウム、「次亜塩素酸カルシウム」は塩化カルシウムに変化して殺菌力を失う。
事実上、残留塩素とは活性酸素の発生力といえます。
※ 塩化ナトリウムは塩(しお)であり、塩化カルシウムは融雪剤や家庭用の乾燥剤(水が溜まるタイプのもの)に利用されている。
※ 次亜塩素酸ナトリウムは、水に溶けやすく、上水(水道水)用殺菌剤は水溶液の形で市販されています。
※ 次亜塩素酸カルシウムは、水に溶けにくく、ゆっくりしか溶けないのを利用してプールなどに投げ込む錠剤や米粒状の白い薬(商品名:ハイクロン、など)としてお馴染みのものです。
農業用には「カルクロン」等の名前で農薬メーカーから発売されています。
これらの資材は農業用水や資材の殺菌に使うものなので、「作物に対して効果を及ぼすもの」という農薬取締法での農薬の定義に当てはまらないため、登録がなくても販売・使用できたのですが、新法施行以来、登録のないものは散布液に混ぜてはいけないという解釈によって、使用を禁止する出荷団体が多いようです。(登録を申請しても却下されるそうです。)
防除暦と呼ばれる農薬散布の指導書にも、以前は巻頭に「散布に使用する水を殺菌しましょう」というページがあったのですが、現在はひっそりと削除されています。
非常にややこしいのですが、使用を禁止している団体であっても、予め混入されている水道水を使うのは構わないし、水路に投入して殺菌した水を使うのも構わないのだそうで、要するに「タンクに直接入れなければ良い」のかな?(とっても不思議なシステム!!)
水の有機物による汚染度は通常、「COD(化学的酸素要求量)」として測定されるが、この指標は試薬として加えた酸化力のある物質の減り具合を調べるもので、同じ原理によって、水中の有機物が多量にあると有機物の酸化に費やされて消費される。
残留塩素には、水中で単独のイオンになっているもの(遊離塩素)と、水中の浮遊物などに結合しているもの(結合塩素)の2種類があり、結合残留塩素を測定するには希塩酸を加えて遊離残留塩素に分解する前処理が必要になる。
実用上、添加量の上限を設定する事で薬害を回避し、残留塩素の測定は遊離態のみで行う。
残留塩素の濃度を測定する器機は様々なものが市販されているが、単価や扱いやすさから、色の変化で読み取る試験紙を使用する。
【商品例】
先の防除の概略で述べた農業用水の殺菌では、残留塩素濃度を1〜10ppm としてありますが、この下限は水道水の規格と同じで、もっと大きな理由は試験紙で検知できる下限が 1ppm のためです。
試験管などに試薬を添加して検定する方法だと0.1ppmまで検定可能で、もっと低濃度でも防除可能ですが、散布前に有効濃度になったのかどうかを知ることが出来なければ意味が無いので、 1ppm を暫定的に採用しました。
上限の 10ppm は、公的機関による試験で薬害の発生する濃度が 100ppm と発表されていることから、安全率を10倍に見て定めました。
・・・いずれにしても、水の汚濁度によって必要な量が変わるため、添加量だけを定めても意味が無く、添加後の残留濃度が重要になります。
毎回測定する必要は無く、始めに一度だけ測定して目測で水の透明度などに変化が無いと判断できれば同じ量の添加にしてよいでしょう。
今のところ、農薬散布に水道水を使用したときの悪影響は報告されていないませんが、濃度が高くなった時は主剤(農薬)の効果に影響することも考えられますので、範囲内の出来る限り低濃度で使用してください。
現実的な使用法としては、用水100リットルあたり10cc(500リットルなら50cc)の殺菌剤を添加して濃度を測定する。全く反応しなければ、さらに50cc添加して測定しなおす。2回目以降は 1回目に投入した合計量を最初から入れる。
【塩素系漂白剤】
身の回りは様々な「色」に溢れているように見えますが、色というのは特定の波長の光だけを反射するという現象なので、物質が白〜灰〜黒以外の色を持つには、奇蹟に近いような微妙な構造が必要です。
色が着いている物質(色素)のうち、構成する原子同士の間に二重結合が含まれているものは、この二重結合を無くすことで色がなくなります。
二重結合を無くすには、主に酸化と還元の2つの方法があります。
・酸化:二重結合を分解する ( -C=C- → -COOH + HOOC- )
・還元:二重結合を飽和させる( -C=C- → -CH-CH- )
塩素は二重結合に割り込んで引き離します。
[ -C=C- + Cl2 → -CCl-CCl- ]
ここで必要なのは「生の塩素」であって、食塩に含まれるような「塩素イオン」は他の物質を酸化する事で自らの酸化力を失った馴れの果てですから、漂白能力はありません。
浄水場のように大量に使用する現場では塩素をそのままの形で購入したり、食塩に電気分解を加えて(←電気のエネルギーを与える)製造したりする事もありますが、次亜塩素酸ソーダ(NaClO)などの形で購入します。
※注) 酸化・還元:中学校で教えるのは酸素の付加や分離の起こる反応ですが、様々なの化学反応を並べてみた時、酸素の関与しない場合でも電子のやり取りに注目すると同じ現象としてまとめる事が出来るため、高校→大学(一般)→大学(化学専攻)と進むにつれて、(教える都合で)用語の意味が拡張されていくのだそうです。ここで使ったのは高校レベルの「酸化・還元」です。
漂白の仕組みは酸化ばかりでなく、還元でも可能な場合が多く、絹織物のように塩素系漂白剤では痛み易い素材には、「亜硫酸ソーダ」のような還元漂白剤が使用される。(たぶん、カメラ屋さんの現像液コーナーで買うのが最も安くて、500g入り300円くらい)
【草刈】
一部の自走式〜乗用型草刈り機械は、刈り草を効率よく排出する為に遠くに飛ばすように改造されています(人や作物にやさしい安全設計は農家に人気が悪く、売れないため)。
これは周囲の人や構造物にとって非常に危険なので市場からは消えつつありますが、こうした機械を使うと雑草の葉上や地面の枯れ草などで繁殖した病原菌を作物に塗りつけて歩くのと同じ状態になってしまいます。
降雨や朝露で濡れているときの除草作業は最も危険です。歩き回っても靴が濡れない状態(黒い長靴を履いて歩くと結露で濡れるのが良く目立ちます)に乾いてしまえば感染の危険は無くなるのですが、果樹園地帯では「雨が続くと、どこの畑も"キレイ"になる」という定説があって、このようなときにこそ他の仕事はわずらわしいので草刈りをしたいという方たちが多くいるため、感染を拡大しています。
薄い板や段ボール片に白い紙を貼り付けて園内の各所に配置してから草刈り作業をしてみると、思わぬ場所にまで飛散しているのが判ります。
紙に張り付いているのは、濡れた状態で飛び散ったものばかりです。
(重要なので繰り返します→)園内を暫く歩き回って全く濡れないようであれば問題ありませんが、湿っているような状態のときは「楽しい草刈り」を我慢しましょう。
通常、草刈りが必要な程度に伸びていれば刈り終わっていない草が壁になって飛散を防ぐので飛び散らないのですが、僅かに残った場所を1本も残すまいとして刈り直した様な場合に、盛大に飛散します。
刈り直しの場合、ローター・タイプの除草機ですと刈草が片側に寄せ集まるように排出されるため、この刈草の山に交差するような軌跡で作業すると大量に飛散します。また、刈草の排出される方向が決まっているので、刈取の方向によっても飛散しやすさが変わります。
今日も小雨の続く中、近隣の園主が軽トラックに草刈り機を積んでやってきました。
穿孔病の大発生で困っているというので、「ビタビタ濡れている時に刈ってるんでないの?」と尋ねると、「そんな事は一度もやっていない」と言い張ります。
毎日小雨の続く中、自分が雨合羽を着て、長靴を履いているにもかかわらず、堂々と言い張るのですよ!
現行犯を押えて指導しない限り、農家に聞取り調査や指導をしても無駄なのがお判りでしょう。
【薬剤散布】
河川水を採収して筆塗り法で発病の有無を追跡すると、病原菌の活性は(当地において)上流の水田で代かきが始まる頃から急に高くなり、梅雨明け後の炎天が続き始める頃に急に低下するのを繰り返しているようです。
この間に農薬類の希釈に使う水を殺菌してやらないと薬剤散布が原因の感染を引き起こします。
※活性:病原菌の有無ではなく、感染〜発病の有無だけを問題にすること。活動可能な病原菌の個体密度と、作物側の抵抗性の強弱が関与するので実用的な目安となる。
(葉や果実の古い病斑からは常に、病原細菌は検出できない。)
【症状】
モモ果実への感染では、開花後1ヶ月未満だと落果することが多く、落果を免れたものは黒色不整形に凹んだ斑点を生じ、感染時期が遅くなるにつれて病斑は小型化する。
摘果などの振るい落としを逃れて収穫時期を迎えたものは概ね、開花後2ヶ月頃までに感染したものでは黒く窪んだ斑点に見えるが、3ヶ月を過ぎると、粟粒状の白色斑点や斑点がつながって小ヒビ状となるが、感染がなくても風雨害や農薬散布で起こった毛茸の脱落のみでもこれらの症状は発生するようにみえる。
【日和見感染】
湿害や肥料要素の欠乏症による日和見感染
衰弱した作物は病原菌に対する抵抗性が弱まり、あらゆる感染症に掛かり易くなります。
いくら農薬を散いても病気が止まらない状態のはずで、この病気ばかりでなく、あらゆる病気に弱くなっており、また降雨に伴って裂果しやすくなります。
湿害で根が腐ったときも、土壌中の養分が豊富でも吸収できずに栄養失調のような状態になります。このような状態での薬剤散布は「気休め」でしかなく、土壌管理を変える以外に、効果的な対策はありません。
【川中島白桃・2005】
この年は、適度な間隔で夜間に降雨があり、朝露の無い日が殆どなかった。
開花後約1ヶ月間の草刈りを命懸け(←マジ)で防ぐが、他に出来る仕事がない園主を止めるのは限界となる。
そこで、実止まり確認後の摘果を実施し、袋掛けをした。
残りは、1〜3回の草刈りを経て5月下旬に全園で袋掛けを行った。
・・・この結果、早期に袋掛けを行ったにもかかわらず袋内での落果は殆ど無かったが、草刈り後に袋掛けを行ったものは除袋時に直径10mmに達する巨大な病斑が各所に見られた。
【得られた教訓】
・袋内の落果は草刈り病の早期感染によるものである(気温により異なり、発病までに2〜4週間かかる)
・感染による落果をま逃れた果実の病斑は、感染時期が早いほど大きくなるが、病原菌は検出されないため、果実表面積の増加にともなって傷痕が拡がったものと考えられる。
【白鳳、あかつき、まどか、など・2006】
当初、苗木の定植は3×6mで出発して、5年程度で間引いて6×6mで成園の状態にしていたが、倍の密度で植えても初期の果実肥大は劣るので製品収量は望めない事から、欠損の補植が収量した定植翌年に間伐した。
・・・この結果、列内の樹間が開いたため草刈機の軌跡がスラローム状になり、飛散量が増える結果となり、被害が増大した。
【得られた教訓】
(草刈りを簡単な作業だと思っている従事者がいる園では・・・)列内は2〜3倍の密植にして草刈り機のスラローム走行を妨げるようにしなければならない。
以下は旧版。reformなし
モモ穿孔細菌病被害防止 1990.3.30 細菌病は、全般に破傷殺生で、他の生物に感染寄生するためには、必ず寄主生物が新しい傷を持っていなければなりません。 モモ斑点細菌病が、桃の果実及び、葉、新梢に感染する場合、病原菌は、それらの何処かに生々しい傷がなければなりません。少しでも時間が経つと、傷口ができた生物の細胞は空気中の酸素によって、一部の内容物が分解されて病原菌が容易に進入できないようにするための物質を作って、他の健康な細胞が冒されないような仕組みがあります。 傷口ができてから、抗菌性の物質ができるまでの時間は樹の健康状態によってまちまちで、非常に優れた健康状態の木では、ビタミンcが豊富なので酸敗が遅く、夏でも数時間、冬ならば一日以上も掛かりますが(→生物と酸素の項参照)、適当に衰弱した樹では、数分〜数時間で完了します。さらに衰弱した樹では全くそのような抗菌性の物質ができないか、できても極僅かで役に立たない程度の量である場合もあります。できた物質は、雨によっていつかは流されてしまいますが、その間に傷ができて死んだ細胞と周りの健康な細胞の境は、完全に仕切られてしまうので細菌病となって被害が出ることはありません。 さて、病原細菌が感染するためには、寄主生物(桃の実や葉、枝)に傷口があることのほかにも、歩く足のない病原細菌が傷口の中へ泳いで入るために周囲が水で濡れていなくてはならず、更には活動に適した温度(30゜くらいが最適)でなくてはなりません。 水の条件を満たすのは、普通なら雨の降った時か、夜間の結露時に限られるのですが、大抵は気温が下がっているので病原細菌が感染するには少し不利な条件になっています。 ところが、農薬の散布をする場合葉必ず晴れた日ですから陽の当たった果実の表面などはかなりの温度になりますし、特にスピードスプレヤーを使っての作業では台風以上の風と水滴に因って擦過傷や、毛茸の脱落(早い話が、果実表面の毛が抜けること)が起こり微視的には、かなりひどい障害を受けます。更には、大抵の場合川や溜池の水を散くのですから、予め水源の中で繁殖していた病原細菌を持ち込むことにもなり、すべてが発病して当たり前の環境を作っていたことになります。 以上の説明から、この種の病気は防除の必要があるものではなくて、農薬散布という作業によって二次的に引き起こされた人為的な”被害“だということを知っていただきたいと思います。 不適当な作業のために発生する被害なのですから、作業の方法を改めるか工夫を加えるかによって防止することができます。 * 無闇に風圧を上げないで散布する。 * 散布液の殺菌を行なう。 細菌類に対して、もっとも安価でしかも効果の高いものとして、水道水にも使われている”次亜塩素酸塩(いわゆる晒し粉とその類似品)“ =========== 1999/08/30 =========== モモ穿孔細菌病の病原細菌は,自然界に広く分布し,腐生生活を営んでいる. 農業用水中や梅雨時の様に土表面の有機物(死骸)が長時間結露状態にある場合は旺盛に繁殖して居り,懸濁液にしてモモの葉に筆で塗る事で,活量が検定出来る. 従来,山間のモモ園で多発するとされてきたが,近年は廃園が進んで,栽培条件の悪い高所のモモ園から順に廃園となるにつれ,上限付近のモモ園では発生が皆無となる現象が起こっている. 最近,出梅時に揃って大発生する事態が続いているが,筆塗り試験による病斑数は,1葉あたり10〜30病斑程度で,農薬散布や強風による被害とは一線を隔しており,疑問であった. 特に,梅雨明け直後のまだ地表が湿っていて,しかも真夏の日差しが照り付けるような時に除草を行うと,刈り刃に跳ね上げられた地表の土砂や枯れ草,敷き藁などが葉に衝突する事で感染する事が考えられる. 園の中央に通路がある場所では草刈機の,刈りパターンも直交する為,1回目の刈り跡で刈り草が山状に築かれるため,直交する2回目の刈り取りでの跳ね上げ量が多くなって被害が増える筈とのか説を立てて,本年度に観察した所,見事に被害の甚だしい場所と一致した. 跳ね上げ量は,草刈機の種類による違いが大きく,歩行型に限ればハンマー・モアでは比較的小さいが,ロータリー・モアで極めて大きく3m以上の高所にまで飛び上がって葉に突き刺さる切れ端さえ見つける事が出来る.