肥料・はじめての実験

最初に知っておくべき事

 肥料分の分析結果をまとめた表に掲げられた項目(P25,CaOなど)は、これらの量を測定したと云う意味ではなく、P・Caなど個別の測定値をこの物質に換算しました・・・と云う意味。

 たとえば、CaO(生石灰)の分析値が高いからと言って、土壌pHが高いとは限らず、石灰の投入後に硫酸イオンや炭酸イオンなどと結合して中和され、別の物質に変わったものも全て取り出してCaOを作ったらこれだけの量になると云う値を示しています。

 分析値は、何らかの方法で実際に測定した値なので、用語の概念とは異なる場合があります。
 例えば、塩基飽和度は土壌が肥料分を吸着する量の何%が満たされているかを表すものですが、吸着能力と吸着量は別々に測るので、溶け残って土壌に吸着されずにいた成分があった場合などに飽和度が100%を超えてしまう事もあります。

 障害の診断には、なんと言っても栽培履歴の聞取りが重要です。
 ずっと同じ方法で栽培を続け、同じ銘柄の資材しか使っていないのに、急に障害が出たという相談をされる事があります。
 聞取り調査の際に相談者が「ずっと同じ」と回答しても、N・P・Kの含量が同じ化成肥料で安価な銘柄に替えたような場合、農家は全く意識していないので、質問するだけではなく、たとえ話とか、別の農家の事例としてそれとなく話して、話をさせる予備知識を与えるテクニックも必要になります。




土壌の採取

 通常の土壌分析では、殆どが「お任せ」ですが、土壌の採取はお金を出すだけという訳には行かず、自分でやらなければなりません。
 多くの農家は何箇所も掘るのが面倒だといいますが、この手間を惜しむと、たまたま肥料分が多かったり少なかったりした場所の成分量を測定して役に立たないデータになってしまう危険が増えます。

【採取時期】
 通常の診断では、収穫後で基肥や礼肥の投入前に行いますが、障害の診断では障害の発生を確認できたら出来るだけ早い時期に行う必要があります。
 時間が経つと生理障害の診断は難しくなります。

【採取位置】
 施肥量を決めるために行う診断では、圃場に2本の対角線を引いて中心と対角線上の4点(中心から端へ2/3離れた場所)から等量採取して混ぜるのが標準ですが、果樹園などの場合は対角線上という訳には行かないので樹冠線下か樹と樹の中間点から採取します。
 いづれの場合も特殊な場合を除き、表土5cmを取り除いた後、層別に30cmくらいまで採取しますが、耕盤が出来ている場合は耕盤の直上と直下(耕盤の切れた部分)の違いが診断のポイントになることがあります。

 生理障害診断の場合は、表土の分析が必要な事があります。

>  通常の土壌分析では、風乾後に砕いて使用します。これは水田のような還元土壌で酸度矯正のためのデータが必要なときには必須となりますが、還元環境で可溶化する成分は酸化されて変質しますから、障害があるのに発見できない場合があります。
 殆どの場合、生土の分析を依頼しても「乾燥させるのが面倒なだけ」だと思い込んでいますから、逆に説得されて、受け入れてくれない場合が多いようです。




土壌からの抽出

 土壌からの抽出方法や定量の方法によって結果が違ってきます。
 学校での理科の実験のように「やってみた」というだけなら構いませんが、得たデータを利用する場合は、同じ方法で抽出・定量しなければなりません。  

 抽出には、試料(土壌など)と抽出液を一度に混ぜてしまうバッチ法(1回抽出法)と試料を筒(カラム)に詰めて抽出液はコーヒーメーカーのように少量ずつ滴下させるカラム法があります。

【バッチ法の欠点】
 簡便だが、抽出液の量によって抽出量が変わり、慣例として分析法を確立者が使用した比率を使うので、溶媒・比率(試料/溶媒)がまちまち(データの比較が難しい)

【カラム法の欠点】
 機器の準備や操作が面倒で、バッチ法に較べて難溶成分が多く抽出される。

【分析例】 バッチ法で希塩酸を使って亜鉛を抽出した場合、塩酸濃度が低いほど量の影響が大きく、酸量に換算するとほぼ一致する。
 (0.2N-HCl 5ml と0.05N-HCl 20ml の抽出量はほぼ同じ)
 酸による抽出では低濃度ほど土壌pH の影響が大きく、アルカリ性土壌での抽出量は少なく、酸性土壌で多くなる。
 教訓:各要素の分析値とpH項目は関連性を念頭において見なければならない。

 酸に溶け易い成分の場合、高濃度の強酸で抽出した方が多く抽出されるが、植物体分析の結果と比較したとき相関が低くなる。
 これを以って、強酸や高濃度の酸で抽出するのは意味が無いと判断するのは早計で、土壌pHの低下など、環境が変わった時に思わぬ影響が出るのを知っておく必要性は高い。 土壌分析の結果を、低濃度の酸で抽出した方が相関が高く、塩酸のような強酸と塩化カルシウムのような中性塩では、

【参考データ】渡辺:迅速養分テスト法より引用
15種の土壌・4種の溶液・5段階の液量・2段階の生育ステージ(コカブを供試)で土と生体からの抽出量を比較したもの
【溶媒の種類】:抽出媒:0.1N-HCl(強酸・高濃度)<0.01N-HCl(強酸・低濃度)<0.1M/L-CaCl2(塩エン)=0.1M/L-CdCl2 の順に相関が高くなる
【溶媒の量】:同じ濃度の塩酸では、量が多いほど相関が低くなる

【土質】:土の種類で大きく違い、変化の大小にも違いがある
亜鉛の土壌抽出量(μg/g土)
土:液25102050
土A2548607595
土B5052606265
【生育ステージ】:0.1M/L-CaCl2 の場合、幼植物では土:液=1:2のとき最も相関が高く、成熟期では1:50 の時に最も相関が高くなる。
カブの生体中亜鉛濃度(ppm)
発芽後日数11305065
土A694103012301550
土B11201140909921
 土Bでは黄色の部分で濃度が逆転しており、土Aでは亜鉛の保持量が十分だが保持する力が強いため作物が利用し難いのに対して、土Bでは保持力が弱く作物は利用しやすいが流亡などによって途中で不足してしまったと考えられる。




抽出液の種類

※ 著者によっては、「N酢酸ナトリウム(pH4.2)」のような記述をする事がある。「1N-酢酸ナトリウム」のつもりらしいが、N(規定度)は酸やアルカリの濃さを表す単位で、塩酸や水酸化ナトリウムを添加して中和に必要な量として求められる。つまり、酸とアルカリの中和によって出来た塩(エン)の規定度は薄めても濃くしても、常に「0」になる。
 たぶん、1mol/litt. のつもりでしょうね。




バッチ法による抽出の実際

ポイント

 試料を分析するには、一定量を計り採らなくてはならないが、これには容量を基にするものと、重量を基にするものとに分けられる。
 重量を基にした場合、作土全体の量に換算する際、比重データが必要になる。

 水田では還元によるpH上昇の影響を排除するため、風乾が慣例となっているが、揮散や不溶化によって測定値に影響するため、障害の原因を見つけるのに都合が悪い。
 長期的な視野での土壌改良の場合を除き、採取直後の生土を供試しなければならない。
 土壌・植物体とも、鮮度を維持できるのは常温で採取後30分以内、冷蔵しても12時間が限度と云われている。
 (※ すぐに分析できない時は採取を遅らせればいいのかというと、施設栽培で起こるガス害などでは、短時間で揮散して検出できなくなる)
 風乾土によるデータも、生土と比較することで重要な情報源となるので無駄にはならない。

水分

 風乾しない試料を使うと、土壌水分によって抽出液が薄まるので、水分量の違いで結果に違いが出てしまう。

 重さを基にする場合、試料の一部を急速乾燥させて水分量を求める事ができる。
 また略式として、水分の測定をせずに土質別に求めた適湿状態の水分量で代用する方法などが考案されている。  重さの代わりに容積を使えば水分量の違いは気にしなくて良くなるが、採取に専用の器具が必要になる。





【容積による採取法】
・持ちやすい長さのパイプを使用する。採取量を50mlとし、下端からの内容積を測定して外側に目盛り線を付け、平らにした採取面に垂直に突き刺して採取する。
 差し込んだ後、通常は引き上げるだけで容器の下端に沿って平らに剥がれて来るが、崩れやすい場合は差し込んだ状態で周囲の土を掘り出す。
・パイプに厚みがある時は外側を削って、土に差し込み易いように加工する。
 塩ビ管など樹脂製が望ましいが、缶コーヒーなどのスチール缶でも内部は樹姿塗装されているため、鉄分の精密分析以外では問題ない。
 空き缶は一端のみ切り落とし、他端の蓋または底を残した方が扱いやすく丈夫になる。
採取断面の直径と高さが同じ程度になる物が良く、高くなると圧縮によって増え、低くなると下端断面が崩れやすく減るなど、採取量の誤差が増える傾向がある。

 採取は地表からの深さ別に5・15・30cm程度の3点で行い、数箇所(一般には5箇所)から同じ深さの場所で採取する。
 自園の傾向がわかれば、2回目以降は省略して3層を混ぜるか1層のみにして構わないが、最初の分析では必ず3層を別々に測定する。
 肥料の散きムラがあるので、採取箇所(地表上の位置)は必ず複数にする。

 採取した土は砕いてから混合し、小石などを除く為にふるいに掛けて全体重量を元に採取箇所数で等分した重さだけ取り出す(全てをふるいに掛ける必要は無い)。

【抽出】
 



【重量による採取法】〜渡辺式生土容積法

1:5で抽出する場合の手順

  1. 200ml の透明で蓋つきの容器を準備し、140ml と 162ml の位置に印をつける。
  2. 140ml の位置まで抽出液を入れる
  3. 162ml の位置になるまで採取した生土を入れる。
  4. 5分間連続振盪し、その後25分は間断振盪する

1:2で抽出する場合の手順(検出感度の低いNi・B用)

  1. 200ml の透明で蓋つきの容器を準備し、140ml と 144ml の位置に印をつける。
  2. 140ml の位置まで抽出液を入れる
  3. 144ml の位置になるまで採取した生土を入れる。
  4. 5分間連続振盪し、その後25分は間断振盪する

※ 100ml の容器を使用して、夫々半分の量で行っても良い。

原理:

  1. 畑土壌の水分量は通常20〜30%で、平均25%。火山灰土ではこれより多く、砂質土ではこれより少ない。
  2. 畑土壌の真比重は通常2.3〜2.7で、平均2.5。火山灰土ではこれより小さく、砂質土ではこれより大きい。
  3. 水分25%の生土40gには、乾土30g+水10gが含まれる。
  4. 乾土30gの体積は、平均真比重(2.5)より、12mlと推定される。
  5. 生土から気相を除いた体積は、12+10=22(ml)
  6. 乾土30gを1:5で希釈するのに必要な水は、150-10=140(ml)



【重量による採取法】〜上記、渡辺式の元ネタ

 生土中の水分によって、抽出液が薄まるのを防ぐため、添加する抽出液の半量を2倍濃度に調整した抽出液を加え、不足分は生土中の水分量を差し引いた量の水を加える。

(例)水分30%の土壌から、乾土10g相当を供試したいとき、
  ?g×(1-0.3)=10g より、
  ?=14.7
  乾土比1:5で抽出の場合、生土:14.7g/20%-KCl:25ml/d.w.:20.3ml となる。




カラム法による抽出の実際

ポイント




葉(汁液)分析

 葉汁分析では、葉緑素が混じると色調の変化が判定しにくいため、主として葉緑素の少ない葉柄を供試する。
 汁液の採取が容易な作物の場合は搾汁を供試できるが、果樹では殆どの場合、いくら加圧しても搾汁を得ることが出来ない。
 大量〜中量要素では細片にして10倍量の蒸留水で浸出する。

 微量要素や中量要素の欠乏域の診断では、等量の蒸留水を加えてすり潰した後、絞って濃厚液にしなければならない事もあるし、その後さらに濃縮しなければならない事もあるが、夫々抽出法が異なれば結果も異なるので、比較する場合は同じ方法を使う事。

 汁液に試薬を加えるだけで検出できるような成分は、カリウムを除く殆どの要素の場合、体内で余っているか役に立っていない分と見做す事が出来る。
 このため、果樹の施肥量は蔬菜やチャと較べて 1/5〜1/100 なので、大量〜中量要素(微量要素以外のもの)での欠乏障害の判定では、検出されるか否かで概ね判定できる。
 施肥量と検出量に相関が見られないことがあり、同じ施肥量であっても、測定の時期によって大きく変わり、平時に十分な量が検出できても、潅水や除草の直後に検出できなくなる事が多い。
 必ず土壌分析と平行して行い、葉分析で欠乏と診断できたからと言って即、追肥という診断は避けなければならない。




【参考】沈殿

 試薬を加えた時にできる色や白い濁りは殆どが沈殿物です。
 沈殿を作る組み合わせは特定の2つだけではない事に留意し、誤診を避けなければならない。

・沈殿反応のまとめ【北大路書房:高校入試5科総まとめ.181p.】
・凡例:○溶け易い △少し溶ける ×殆ど溶けない
Na+ +Ca2+ Zn2+Ba2+ Cu2+Ag+
Cl- NaCl
KCl
CaCl2
ZnCl2
BaCl2
CuCl2
AgCl
×
SO42- Na2SO4
K2SO4
CaSO4
ZnSO4
BaSO4
×
CuSO4
Ag2SO4
CO32- Na2CO3
K2CO3
CaCO3
×
ZnCO3
×
BaCO3
×
CuCO3
×
Ag2CO3
×
NO3- NaNO3
KNO3
Ca(NO3)2
Zn(NO3)2
Ba(NO3)2
Cu(NO3)2
AgNO3
・硝酸イオン(NO3-)はどのイオンとも沈殿を作らない
・ナトリウムイオン(Na+)は一部除き殆どのイオンと沈殿を作らない
・ イオンの検出試薬
検出するイオン 加える溶液 沈殿
Cl- AgNO3硝酸銀 AgCl
Ag+ NaCl塩化ナトリウム
CO32- Ca(OH)2水酸化カルシウム CaCO3
Ca2+ Na2CO3炭酸ナトリウム
SO42- BaCl2塩化バリウム BaSO4
Ba2+ Na2SO4硫酸ナトリウム

【陽イオンの系統的な分析/数研出版:チャート式新化学】
混合溶液(Na+,Ca2+,Zn2+,Al3+,Pb2+,Fe3+,Ag+,Cu2+)
  ↓+HCl/NaCl(希塩酸または塩化ナトリウムを添加)
Na+,Ca2+,Zn2+,Al3+,Fe3+,Cu2+ →(沈殿)AgCl↓,PbCl2
   ↓+H2S(酸性で硫化水素を通す)   ↓(熱湯で洗浄する)
(沈殿)AgCl↓ (溶解)Pb2++2Cl-
↓+(アンモニア水)   ↓+K2CrO4
[Ag(NH3)2]+
ジアンミン銀(T)イオン
PbCrO4↓(黄色沈殿)
Na+,Ca2+,Zn2+,Al3++(還元)Fe2+→(沈殿)CuS↓
  ↓HNO3+(加熱してH2Sを追い出してから硝酸を添加)
Na+,Ca2+,Zn2+,Al3++(酸化)Fe3+--
  ↓+NH3(過剰のアンモニア水を加える)
Na+,Ca2+,Zn2+→(沈殿)Fe(OH)3↓,Al(OH)3
  ↓+H2S(アルカリ性で硫化水素を通す)
Na+,Ca2+→(沈殿)ZnS↓
  ↓+シュウ酸アンモニウム溶液を添加/+炭酸アンモニウム
Na+→(沈殿)CaC2O4↓/CaCO3
(他にSr2+,Ba2+も沈殿する)


混合溶液(Na+,Ba2+,Mg2+,Zn2+,Cu2+)
  ↓+NaOH(水酸化ナトリウム溶液を添加)
Na+,Ba2+,ZnO22+, →(沈殿)MgOH2↓,CuOH2
  ↓(硫化水素を通す) ↓(アンモニア水を添加)
Na+, Ba2+ ZnS↓ [Cu(NH3)4]2+, Ba2+ Mg(OH)2
↓+CO32+
(炭酸ナトリウム溶液を添加)
↓+HCl ↓+HCl ↓+HCl
Na+ BaCO3 Zn2+ Cu2+ Mg2+
↓+HCl
Ba2+




栄養分析での誤診

欠乏や過剰症の写真・図解集だけを頼りにしたり、肥料分析の結果だけを重視した診断は誤診の温床になっています。

 要素の欠乏や過剰の写真集だけ見ると、外観だけで診断出来そうな気になってきますが、肥料に関わる障害は単独で発生することは稀な事と、生育ステージや作物の種類、場合によっては品種によっても違った症状を見せます。




依託分析の限界

 欠乏や過剰症の起きる現場は瞬間的で短時間の事が多く、目の前で障害が発生しているからと言って、この時期を外して分析しても原因はわかりません。

【乾燥試料】
 土壌の依託分析では、試料の風乾が求められます。これは、水田土壌のために開発された古式ゆかしい手順に則ったもので、水田のような還元環境において主として鉄やマンガンが還元されて pH が上昇する影響を排除するためのもので、検査の対象が水田であれば構いませんが、畑土壌では還元化の度合いそのものが検査の対象となるため、誤診の原因になります。

【分析時間】
 とっ〜ても待たされますから、既に発生した障害の対策には間に合いません。
 一般には、今回はあきらめて次回作から何とかしようというためのものになってしまいます。




土壌分析と葉分析

 葉分析を代行してくれる業者は極めて少ないのに加えて、「生もの」である試料は経時変化が激しく、採取直後に測定を完了できない時は氷詰めが必須になります。
 氷詰めでの保存可能時間は12時間程度と云われていますが、詳細なデータは無く、出張先などで採取してきたら、日付の変わらないうちに終えなさいという目安とも云われています。
 結局、自分で行うのが一番手間が掛からず、精度が高い方法になります。

 葉分析では、目安となる適正値に当てはめて多い少ないを論じる必要はありません。(※ただし、土壌分析で異常が無い事を確かめるのが前提です)
 灌漑を兼ねて液肥で追肥が行われる野菜類を除き、多くの場合、分析結果は「ある」「ない」のどちらかになる事が多く、診断は非常に容易です。

土壌分析の結果に異常がない場合で、葉分析の結果が「ある」「ない」のどちらかになってしまうのは、除草や潅水の直後に急速に肥料の吸収が衰えるためで、測定のタイミングが重要になる理由でもあるのですが、葉汁分析を行うことで、何気なく行ってきた除草や潅水という作業が如何に難度が高いものかを知ることも出来ます。(「葉(汁液)分析」の項を参照)

補足:肉眼比色法での検出限界(←低濃度の方)で見た時に限りますが、化合物として働かないカリウム(のイオン)を除き、葉汁に含まれる成分は、現在「余っている分」なので、検出されなければ「不足」している可能性があるけれども、検出されれば「余るくらいにある」ことになります。
 




比色分析の原理

 何らかの試薬を加えて変色させたり、予め試薬の浸込ませてある試験紙を使って、出た色の具合から目的物質の濃度を推測する方法を「比色法」といいます。

 比色法では、発色によって光を遮るのを利用して、その程度を器械で読み取る「吸光度計」と、肉眼で比較するための「比色計」があります。
 器械で読み取れる値は連続的なので「定量」と呼ばれるのに対して、数段階の標準色と比較してどれに近いかを判定するのは「半定量」と呼ばれます。

 このときに使う試薬は、目的の物質と特別によく反応して色のある物質に変化するものや、色は着かなくても水に溶けない物質(沈殿)に変化して白い濁りを作るものが使われます。
 世の中に無数にあるともいえる物質の種類中で、特定の2つの物質間でしか反応しないものはきわめて少なく、一方が肥料成分という限られた物質であれば、なおさら稀な組み合わせになります。
 そこで、一般に行われる分析作業では、違う成分なのに試薬と反応して実際よりも大きな値が出てしまうものや、反応を邪魔して値を小さくしてしまう成分を予め取り除く作業が必要になりますが、現場では煩雑な操作が出来ないので、公定法と呼ばれる正式な分析方法と比較した上で、誤差を承知で出来る限り簡略化した簡易分析法を採用する事になります。

 これらの分析に使う試薬は、調整後に時間が経つと劣化して感度が落ちますし、色の目安として使う比色表も色褪せてくるので、校正が必要になります。
 そこで、肥料成分となる試薬を個別に溶かして、数種類の濃度の標準液をつくり、試験液の代わりに発色させて較べなければなりません。
 逆に言うと、比色表は必ず購入しなければならないものでは無いという事です。




体内養分の経時変化

 分析の対象になる作物の切片を採収する時間による違い(日変化)は極めて少ないが、地表管理等による変化は極めて大きい。

 体内養分が大きく変化する管理は除草と潅水で、除草では刈取3日後から1週間くらいまでの期間で検出できないレベルにまで低下する事が多いのに対して、潅水による変化は急激で半日程度で最低レベルに達する。

 潅水では、カリウムを含めた全ての成分が低下し、株元だけ、少量ずつ、何度も潅水すると最も回復が遅くなる。
 急性症状は、カリウムの濃度低下によって起こる葉縁焼けなどの障害が多く、潅水しなければ起きない作業ミスだが、潅水量が不足したと勘違いして被害を深刻にする事が多い。
 カルシウムやホウ素などでは、目に見えない微細な亀裂を生じるのだけなので、収穫期の裂果や核障害となって発現するまで時間が掛かり、関連性さえ気付かない事が多い。




経費

 パックテストなど、予め必要な試薬が準備されたものは、1回に付き120円から200円程度。40〜50回分で1包装なので、購入代金は4000〜5000円となる。

 個別に試薬を買い揃えて行う場合は、20銭から5円程度と格段に安くなるが、包装単位によっては数千回分を一度に買うことになるので、途中でやめるかもしれない場合には割高になる。

 試験紙の場合、分析項目が限られるが、50枚入り2000〜2500円程度

 試薬を単品で買う場合以外は、時間が経つと劣化して感度が低下するので、早めに使い切ってしまわなければならない。
 購入後時間が経ったり、高温になる場所に放置した時は、呈色(色の具合)と添付された標準変色表に示された参考濃度が違ってくるので、肥料成分の標準液で発色させて補正しなければならない。




化学アレルギー

 試験紙型の分析用品は、発色が薄くなるので、試薬を加えるものに較べて約1/10 の感度しか得られない。

 信じられない時は、たとえば、コップに水を入れて少量のインクを垂らし、僅かに着色した色水を作った後、これをちり紙などに浸してみると、色が付いているのかどうかがわからなくなるので、試してください。
 着色液の厚みが無いと




酸とアルカリ

 化学アレルギーを持った方たちは往々にして、酸は危険なもの、アルカリは安全なものという神話に取り付かれていることがありますが、本当に危険なのはアルカリであって、酸は意外なほど安全です。。

 人体を構成する有機物は、アミノ酸やカルボン酸といった弱酸を構成成分にしています。
 「弱酸」というのは、pHの変化を緩和するような性質があるので、周囲が酸性だと乖離していた水素イオンが戻ってきてがっしりした構造に戻りますますが、周囲がアルカリ性だとどんどん乖離して分解し易い構造になってしまいます。

 胃液の場合、塩酸を主成分にした「胃酸」が胃や食道・十二指腸といった部分を溶かすと云われるために、余計にそうした誤解を受けるようです。
 肉を消化するための器官なので、胃なども溶けてしまうのに不思議は無いのですが、溶かしているのは消化液であって、胃の消化液は酸性環境よく働く性質があるからと云うだけのことです。

 地球上の生命は原始地球の硫酸に満ちた海で発生したと云われています。隕石にくっついて宇宙からやってきたと云う説もありますが、硫酸の海の洗礼を受けた事に変わりはありません。
 周囲が強酸性な訳ですから、生物の外皮は酸に強く出来ていなければ、我々は存在しません。
 そこまで話を広げなくとも、秋田県にある大須温泉は pH1.2 という強酸性の温泉として有名ですが、ここの温泉に浸かって溶けて無くなった人はいません。

 硫酸の場合、顔などに掛かって火傷を負う事故や犯罪を耳にしたことがあるでしょうが、火傷を負わせるのは「濃硫酸」だけです。
 濃硫酸は、水と混じると発熱する性質があって、小中学校の理科の授業で慎重に扱う様に教えられますが、乾燥剤としても重要な材料で、濃硫酸に紙などの有機物を触れさせると、分子中の"H"と"O"から無理やり水を作って取り出してしまうという荒業を繰り出します。
 乾燥剤である濃硫酸は人為的に濃縮したもので、出来たばかりの頃の地球の海を「硫酸のスープ」と表現する事もありますが、生物が生活できない濃硫酸とは違います。
 しかも、酸の性質を現す為には水に溶けなくてはならない訳ですから、水分を持たない濃硫酸は酸の性質を持てません。はじめから水溶液でしか存在できない「濃硝酸」との大きな違いです。
 希硫酸で銅は溶かせませんが、酸化銅なら溶けます。濃硫酸は酸化剤としての性質を持っているので、銅を溶かす事ができます。

 参考:「酸と塩基/塩(エン)と塩(シオ)」




分析用器機の取り扱い

デジタルはかり

 最近では、0.1g の単位まで表示されるデジタル秤が販売されていますが、0.1g と表示されたときの真の値は、0.05000…g〜0.14999…g の何れかで、表示はそれを四捨五入した値となります。
・0.1g のつもりで、実際には 0.05g だった場合、誤差は最大の 50% に達します。
・0.1g を2つ測り取る場合ですと、最悪の場合 0.05g と 0.149g のものが出来て、その差は 300% になります。
 こういった誤差を一定内に納めるために、「秤量」という「測ってよい範囲」が表示されています。(詳しくは次項「上皿天秤」を参照)
 10.0g 計ろうとして 10.05g になれば、誤差は 0.5% に減りますし、100g なら 100.05g なので 0.05% になります。

 それなら・・・というので、「10gの容器を載せて、この中に0.1gの薬を計り取れば合計10.1gを計った事になるでしょ」と考えた人がいます。
 難しい計算をして説明する迄もなく、「はかり」には計量物を載せる皿などの部品が付いていて、それらの目方を考えなくても良いように予め表示を調節してあるわけですから、容器の重さを加えるのは、載せ皿を重いものと交換したのと同じですよね。
 このような時、水に溶かして使うものであれば10倍くらいの量を計ってから、濃い目に溶かしたものを容積で10等分するか、粉のまま使うものであれば2・4・8・16倍分を計って、目分量で2等分ずつを繰り返した方がよほど誤差が少なくなります。

 計れる事と、計ったものが役に立つかどうかは別です。(↓へ続く)

上皿天秤

 誰でも小学校で扱ったことのある道具ですが、様々な誤解が広まっています。

ウソ・その1:感量とは、計る事の出来る最少量
JISでの定義:天秤には目盛り盤と針が付いていますが、目盛り板の中央から左右に1目盛り動く量の事です。

ウソ・その1:秤量とは、計る事の出来る最大量
JISでの定義:許容誤差を満たす事の出来る測定範囲(最小-最大)

 感量が0.1gの天秤は、左右の皿上の重さに100mg の差があったとき、針は中央から1目盛りずれるように設計されていますが、差がそれ以下だった場合でも、1目盛りの1/10までなら目分量で読み取る事が出来ます。
 これ以下の変化は読み取れないと仮定すると、100mg のものを計った時の誤差は最大 10% になりますが、100g のものだと 0.1% になります。
 その様な不具合を解消するために、感量・秤量の他に公定誤差(許容誤差)という項目を設けられています。
 上皿天秤の公定誤差は 0.5% なので、2g 以上の物でなければ計る事は出来ません。2g 以下だと計ったつもりでも、0.5% 以上の誤差を生じる事になります。
 また、あまり重過ぎるものを計った時も支点が歪んで感度が落ちてきますから、上限を100g と決めています。この範囲(2-100g)が秤量です。
 もちろん、秤量を大きくしたり感量を小さくしたりすることは可能ですが、高価な材料と加工代金が必要になります。

メスシリンダー

 小学校では、液面の一番低い部分の目盛りを読むように教わりますが、天邪鬼(アマノジャク)達は、「壁面周囲の盛り上った分が誤差になってしまう。真ん中がいいんじゃないの」といいます。さてどっち?
 ・・・・・・

 メスシリンダーに目盛りを付けた職人さんが居た事を想像しましょう。職人さんはどうやって目盛りの位置を決めたのかしら?

 液面の一番低い場所に合わせて目盛りを付けたので、読み取るときも一番低い場所に合わせて良いのですよ。
 ちなみに、この現象は表面張力ではなく、ガラスと水との親和力によるものです。乾いたガラスは水を弾くので、戸棚に納って置いたものをそのまま使うと誤差が出ます。(水に浸して馴染ませなければならない)
 また、メスシリンダーの中に入った水ではなく、出したときの容積を元にして目盛りをつけているので、メスシリンダーをビーカー代わりに使って何かを溶かす様な事をしてはいけません。

ガラスと親和性の無い水銀を入れると、壁面部分は中央よりも下がって凸の状態になって誤差が出来ますから、水銀用のメスシリンダーは違った目盛りが付いていて、水銀のマーク("Hg")が付いています。

メスフラスコ

 メスシリンダーと違い、中身の正味容積に対して目盛りが付けてあります。

 試薬10gを水に溶かして100mlにする・・・様な場合に使いますが、大抵は完全に溶けると容積は減りますから、少な目の水で完全に溶かしてから目盛り線まで水を足して仕上げます。
 ビーカーやボトルのようなものから少量の水を注ぐのは難しいので、極細のノズルが付いた洗浄瓶を使って注ぎます。
 水滴の大きさは約0.05mlなので、ぽたぽたと垂らしたのでは、これ以下の誤差が出ます。空間部分の壁面を洗い落としてから壁に沿ってゆっくり流し落とすようにしないと、正確に目盛り線に合わせる事が出来ません。

ろ紙(濾紙)

 肉眼で比色するのであればコーヒー用の紙フィルターやペーパータオル(厚手のティッシュペーパーみたいなヤツ/フェルト風のクッキングペーパーは目が粗すぎて使えない)。
 実験専用の円形ろ紙を購入する場合はJIS2号相当品(国産大手の東洋濾紙製No.2)を使用する。サイズは7cm(直径)のもので十分だが、抽出液の調整などでは更に大きなもの(15cm程度)もあれば便利な事もある。ろ紙を購入する際はサイズを合わせた漏斗も用意する事。

 指定しないと使用目的を聞かれ、「それは定量操作だから定量用ろ紙ね!」と、高価なものを渡される事が多い。
 本来の「定量」とは、ろ紙上に残った沈殿物の重さ(質量)を計るもので、ろ紙の内部に絡まった沈殿物まで取り出すために、全体を焼いて計量する操作を指す。
 このため、ろ紙を焼いたときの灰分が少なく、しかも一定であるように酸で洗浄した製品となっている。
 土壌分析で、試料の土を塩や酸の溶液で抽出すると水のときよりも抽出量が増えるのは、土中の成分と抽出液の成分が置換されるためだが、ろ紙の材料(パルプ繊維)にも同じ事が行われて、ミネラル分が減ったのと反対に酸が残ってしまうので、こうした定量用ろ紙を使うと、ろ液(濃し取った溶液)の成分に影響する。

 「高価な方が間違いない」「大は小を兼ねる」といった世間の常識は実験で通用しないのでご注意を。


【迅速ろ紙】
 濾過速度が速いことを謳っているが、これは目が粗いと云うだけの話で、かつてのビデオテープで、長期間画像の劣化が少ないハイグレードに対して、劣化が早い製品を「繰り返し録画に強い」と表示したようなもの。

東洋ろ紙の品番と用途
・サイズ(直径:mm) 55,70,90,110,125,150,185,240,・・・
品番用途による呼称厚み
(mm)
ろ過
速度
No. 1定性用0.2050 (JIS1種)
No. 2標準定性用0.2560 (JIS2種)
No.101膠状・粘稠液用0.21-- No. 1をクレープ加工したもの
No.131細密定性用0.25120(JIS3種)半硬質、No.2より更に微細な沈殿用
No. 26減圧濾過用--
No. 3工業定量用0.2390 保持性中位、灰分多い
No. 4A細密、耐圧0.121200 (JIS4種)保持性極大、強靭で耐圧、耐酸、耐アルカリ、繊維剥離しにくいので沈殿を移すのに適す
No. 5A迅速定量用0.2230 (JIS5A種)定量用として最も粗い
No. 5Bやや迅速定量用0.21150 (JIS5B種)5Aと5Cの中間
No. 5C微細沈殿定量用0.22420 (JIS5C種)5Bより微細
No. 6標準定量用0.2240 (JIS6種)5Bより細密で灰分も少ない
No. 7無灰定量用0.18180 最も薄く均一な精密分析用、保持性は5Bよりやや劣る
元素の周期(典型元素/遷移元素)
元素を陽子数(=原子番号)の順に並べると一定の周期が見られるので、周期表にして利用されます。
 化学反応に関与するのは最外殻の電子なので、原子番号が1つ増えるごとに最外殻電子の数も1つ増えるといった関係にある元素を「典型元素」と云い、周期表上で縦方向の元素(最外殻電子数が同じ元素)の性質が似ています。
 これに対して、原子番号が1つ増えると外から2番目の電子軌道上の電子数が増えるだけで最外殻の電子は増えない仲間を「遷移元素」と云い、周期表上では横方向の隣同士の元素の性質が似ています。






慣用句・名言集など




化学用語など

異性体
分子式が同じでも構造が違うもの同志を云い、構造異性体、位置異性体、幾何異性体に分類される。
・構造異性体・・炭素の骨格が違うもの
分子式

410
n-ブタン(ノルマル・ブタン)
    H H H H
    | | | |
  H−C−C−C−C−H
    | | | |
    H H H H
i-ブタン(イソ・ブタン)
    H H H
    | | |
  H−C−C−C−H
    | | |
    H | H
      |  
    H−C−H
      |
      H
分子式

26
エタノール
    H H
    | |
  H−C−C−OH
    | |
    H H
ジメチルエーテル
    H   H
    |   |
  H−C−O−C−H
    |   |
    H   H
・位置異性体・・骨格が同じで、結合する原子や基の位置が違うもの
直鎖型の場合
分子式

37Br
1-ブロモプロパン
    H H H
    | | |
  H−C−C−C−H
    | | |
    H H Br
2-ブロモプロパン
    H H H
    | | |
  H−C−C−C−H
    | | |
    H Br H
芳香族(ベンゼン環)の場合
o-(オルト)型 m-(メタ)型 p-(パラ)型
o-ジクロロベンゼン
       Cl
    /\/
    | |
    \/\
       Cl
m-ジクロロベンゼン
       Cl
    /\/
    | |
    \/
     |
     Cl
p-ジクロロベンゼン
       Cl
    /\/
    | |
   /\/
  Cl
芳香族(ナフタレン環)の場合
1-ナフトール
       OH
       |
    /\/\
    | | |
    \/\/
2-ナフトール
         OH
    /\/\/
    | | |
    \/\/
(枝の番号)
     8  1
    7/\/\2
    | | |
    6\/\/3
     5  4
(上と同じと見做す)
    /\/\
    | | |
    \/\/
       |
       OH
(上と同じと見做す)
    /\/\
    | | |
    \/\/\
         OH
・幾何異性体・・骨格も結合位置も同じだが、立体構造が違うもの(トランス型/シス型)
 ・・・trans:反対側、sis:同じ側(解説図はパス^^;)
1,2-ジクロロエチレン(C22Cl2
シス型
  Cl     Cl
   \   /
    C=C
   /   \
  H     H
トランス型
  H     Cl
   \   /
    C=C
   /   \
  Cl     H
1,2-ジクロロエタン(C24Cl2
炭素骨格が2重結合ではないので、自由に回転出来て同じ形になれる
(→と同型)
    H H
    | |
  H−C−C−H
    | |
    Cl Cl
(←と同型)
    H Cl
    | |
  H−C−C−H
    | |
    Cl H
ピロ-(pyro-)
・2分子の酸から1分子の水が取れた形の物質につける接頭辞
 ピロリン酸(H4P2O7/リン酸:H3PO4)、ピロ硫酸(H2S2O7/硫酸:H2SO4)、ピロホウ酸(H4B2O7/ホウ酸:H3BO4)など
・本来は「熱」を意味し、熱分解して出来た物質にも使われ「焦性-」と訳されるる。
ピロガロール(C6H3(OH)3/gall:胆汁)、ピルビン酸(CH3COCOOH/ブドウ酸=?酒石酸)、など
光学活性
結晶・液体・溶液に通過させた光(平面偏光)の偏光面を変化させる性質。
・構成する分子が非対称性を持っていたり、結晶の場合は分子が対称性でも配列が非対称性だったりした場合に起こる現象。
 非対称性の分子は2種類に分けられ、「光学異性体(optical isomers)、鏡像異性体」と呼ばれる。
 化学的な挙動はほぼ同じだが、物理的(光学的)性質が異なる。(酵素の反応は物理的な構造を識別するので、異なる事が多い)
光学異性体(d-, l-, dl-, (+), (-), (±))
・偏光面を右に回転させる性質を「右旋性(dextrorotatory)」と云い、 "d-" または "(+)" と表記する。(dextro- は、「器用な」の意味で右手の語源を経て右側になったらしい)
・「左旋性(levorotatory)」は、 "l-" または "(-)" 。
・d-, l-異性体の等モル溶液は「ラセミ混合物」と呼ばれ、光学活性を示さない。"dl-" または "(±)" と表記する。
・天然の有機化合物は一方の型しかない物が多く、ブドウ糖では「d-グルコース」しか得られない。
絶対配置(D-, L-, DL-)
(absolute configration)光学活性を持つ物質を記載するときの方法で、任意に決められた基準物質と同様の配置のものを「D型」、違うものが「L型」で、「D-L方式」 とも呼ばれる。
 原子の配置を基に決めた "D-", "L-" と、偏光面の回転の向きを基にした "d-", "l-" は必ずしも一致しない。  

[もりおのえんげい]トップへ