[もりおのえんげい]
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ホウ素

ホウソ・硼素・ボロン・boron



 図鑑の類に掲載されるのは、茎葉の障害例が殆どで、写真になりにくい不稔現象は解説文でしか扱わない事が多いようです。
 このため、読者や指導者は「不稔」の原因を肥料以外に求める場合が多くみられます。
 「不稔」は作物栽培の上で極めて重要な障害なので、図鑑類は文字だけの解説ページも丁寧に読んで下さいね。

1999/08/16--2008/12/20,2012/3/11



INDEX

  1. 概要
  2. 体内での役割
  3. 動物への影響
  4. 測定
  5. アゾメチンH法 クルクミン法
  6. 花粉の発芽試験 (リンゴ)
  7. 欠乏症
  8. -------- 概要 作物別の症状 対策
  9. 過剰症
  10. -------- 概要 作物別の症状 対策
  11. 葉面散布
  12. 事例1・モモ−−開花前の雌ずい露出
  13. 事例2・ナス−−石ナスの多発
  14. 資材
  15. -------- ホウ酸 ホウ砂

概要

 欠乏症は不稔・果実の奇形・生育不良に大別できる。

pHが高くなると土に強く吸着される.
土中pH4〜6の間では水と共に移動するが,これより高くなるとイオン化して土壌有機物とエステル結合(=不溶化)する.
 土壌粒子や金属類と結合して無効化する事は少なく、土壌pHの適正化で再び可給態化する。
  →土中での移動が妨げられる
  →肥効が足りずに増肥すると、忘れた頃に過剰害が出る事がある
  →過剰施用した時は土壌pHを高くする
  →細胞内では、原形質と結合して機能を阻害する(参照:「体内での役割」)。

 土中に豊富にあっても土壌水分が少ないと、吸収され難くなる。

作物体内で再移動しにくい。
  →貯蔵して再利用される事はほとんど無い。
  →生育全期に渡って吸収されなければならない.
  →萎れに至らない、土表面だけの乾燥でも被害が出る(主に開花直前)
  →葉面散布は薬液が付着した部分にしか効果が無い
  →葉面散布をを繰り返すと古葉に過剰害が出易い。

吸収が不足した直後に根の生育が止まる。
 ホウ素の欠乏でCa吸収が低下するが、Ca単独の欠乏でも同様な経過を辿るため診断時に注意.

欠乏の検出は,新葉〜茎頂の汁液分析が適している(=とっても楽ちん).
水溶性ホウ素の減少は顕著.ペクチンと結合したホウ素の含量は欠乏が深刻になるまで変化しにくい.

・ホウ素の吸収を助ける要素---K(K欠乏時にB吸収が劣る)
・ホウ素が、吸収を助ける要素----Ca(B欠乏時にCa吸収が劣る)

※ エステル結合:カルボン酸(R-COOH)の末端にある "-H" と置換して-COOR’となる事。
 ふつ〜に肥料が土壌に保持される仕組みの一部です。



ホウ素の性質

 レアメタルに指定されている稀少元素。(レアメタルは和製英語で、珪素のように地球上に大量に存在していても精製が難しかったり、用途の研究が進んでいないものも含まれる。一般には "Minor Metal" と呼ばれ、意味の上でもマイナーの方が近い。)

 V族、原子番号5の非金属元素。酸化(荷電)数は+3だが、陽イオンとして化合物を作る事はなく、酸素と複雑に組み合わさって陰イオンを作る。
 天然にはホウ砂(borax)やケーナイト(kernite)として産出する。

 体内での役割を調べるには、放射性同位体を使って移動や代謝の様子を調べるのが常套手段だが、ホウ素には放射性同位体が存在しないので,未だに不明な点が多い.
※ 放射性同位体:放射線の発生場所をモニターする事で、生育状態での挙動を観察できる。
※ 分析技術の進歩によって,非放射性同位体による調査が試みられている・・・らしい(小さな部位に分解して原子単位で分布を調べるので、とっても大変!)
※ 天然のホウ素には非放射性の安定同位体「10B」が 19.9% 含まれていて、これに核分裂時に発生する中性子(高エネルギーを持った熱中性子)が当たると、α線を出して非放射性の「7Li+」に代わります。
 「7Li」はリチウム電池などに使われている核分裂を起こさない安定した原子なので、連鎖反応も、発熱も早く止められる事を利用して、原子力発電所で事故が起きると「ホウ砂」が炉心に投入されます。

オルトホウ酸(H3BO3)ホウ砂(Na2O・2B2O3・10H2O)
(構造式→)(Na2[2B4O5(OH)4]・8H2O)
    H
    |
    O
    |
H−O−B−O−H
    HO   Na
      \ /
       B
      / \
     O   O
    /     \
HO─B───O───B─OH
    \     /
     O   O
      \ /
       B
      / \
     Na  OH
(たぶんこんな形?)

 ホウ酸塩の命名体系は統一されておらず(とっても複雑で)、ホウ砂はピロホウ酸塩、二ホウ酸塩、(1:2)ホウ酸ナトリウムなどの異称がある。
 ※「ピロ-」 は、2分子の酸から水分子がとれて一緒になった形を意味する。
 ※「(1:2)ホウ酸ナトリウム」は(Na2O・2B2O3)と云う化学式に由来する。

 ホウ砂などのホウ酸塩は殆どが無機ポリマー(または、オリゴマー)の一種で、希薄溶液中では、ホウ酸と同様に [H2BO3-] と [BO2-] のイオンを放出する。
 (→ホウ酸塩資材は、葉面散布での吸収が遅い=薬害が出にくい?)
 ※ポリマー:分子量が比較的小さな化合物が重合して大きな分子を作っているもの。重合の数は数十〜数万に及ぶ。ポリエチレンの"ポリ"はポリマーの意味。
 ※オリゴマー:ポリマーのうち重合数が数個〜十数個のものを指す。食物繊維として注目されている甘味料の「オリゴ糖(oligose)」など。

 濃厚水溶液中では徐々に重合して、ピロホウ酸(H4B2O7)を経てポリホウ酸となり、不溶性の結晶を生じる。
 ※ 5%溶液のとき、夏季2箇月位で大粒の結晶が目立ってくる。
   1%溶液では、6箇月放置しても変化がなかった。


 古くからホウケイ酸ガラス、釉薬(セラミックス)、洗浄剤、水軟化材、融剤(鍛治)として使用されているが、近年ではダイヤモンドよりも硬い研磨剤(窒化ホウ素)やロケット燃料(水酸化ホウ素)の原料にも使われている。

ホウ砂 葉面散布

体内での役割

 高等植物の必須元素であることが明らかにされたのは1923年で,過去には膜輸送や核酸合成・補酵素の成分など様々な説が唱えられたが,現在必要性が認められているのは,細胞壁の機能と構造の維持だけになった.

 維管束の無いシダ類以下の緑色植物や動物・微生物には不要な成分と考えられており,被子植物・裸子植物・ケイ藻だけに必要性が認められている.(維管束の形成に必須の要素と考えられた.)
 細胞壁でペクチン質の多糖体に架橋の役目を果たし,欠乏すると細胞壁の生成が悪くなって成長が止まる.

 ホウ素の必要量は細胞壁を構成するペクチン質の含量にほぼ比例し,細胞壁の無い動物では全く必要としないし,植物であっても細胞壁にペクチン質をほとんど含まないイネ類では要求量も少ない.
  • ペクチン質:プロトペクチン・ペクチン酸・ペクチンの総称
  • ペクチン:熟した果実に多く含まれる短鎖のメチルポリガラクトロン酸で,水に溶けないプロトペクチンの鎖状結合が短くなって水溶性に変わったもの)
  • 欠乏により通導組織(維管束の形成)が不完全となる為,水・肥料の吸収が悪くなる

    主として道管のみを移動するカルシウムの吸収や移動が悪くなる
      →新芽や子実の成長が停止.果実・茎・根の中心部が黒化.

    細胞の内部では全く不要な成分で,細胞膜の機能によって原形質中の濃度が極めて低く維持されている.
     根から受動吸収されたものは道管を通って全身に行き渡るが,生きた細胞で出来ている師管や細胞どうしの間の通過は制限され,再移動や貯蔵は期待できない.
    このため,生育全期に渡って吸収されないと欠乏症が発生する.

    原形質はpH7〜8のため,ホウ素はイオン化しやすくなって細胞内容物と結合してしまい,機能を低下させる.
    過剰時は,細胞膜のバリア性が低下して流入量が増える悪循環で壊死に至る.

     細胞の分裂や花粉の受精を助ける.
     生殖生長期の欠乏に特に敏感で,花粉の発芽と伸張にはCaとともに必須(急速に伸張する花粉管の細胞壁を維持するのに必要)
     ナタネの不稔,ダイコンの心腐れ,セルリーの茎割れ,リンゴの縮果病,石ミカン・ヤニミカンなど,ホウ素の欠乏症は多岐に渡る。

    栄養周期説:
     かつて、ブドウの大粒種(巨峰)で、チッ素過多で徒長すると実止まりが悪くなり、ホウ素の施用で徒長が抑制され、実止まりが確保出来ると云う理論が唱えられ、実際にホウ素施用によって効果を上げていた。
     現在では実止まり不良(花振るい)の正体がホウ素の欠乏症状であることが確認されているが、宗教化した拡大解釈によって、「徒長抑制の効果がある」と信じている栽培農家は多い。(特殊な事情により、長野県のブドウ農家だけは信仰者が少ない。→「ブドウ・巨峰は品種か商標か?」を参照

    自家不和合性:
     ウメ・アンズ・プルーン・スモモなどの不稔の原因とされてきた花粉の自家不和合性は、ホウ素の施用で解消される事が多い。
     もともと特定の品種にだけ自家不和合性があって、授粉用の品種は単独でも結実するような事実は、吸肥力や要求性に差がある事で説明できるし、受粉後に花柱内で花粉管の伸長が止まると云う観察事例も、寒天培地上でのホウ素欠乏による伸長停止と酷似している。

    ■ホウ素含量の分析例(含量の高いものほど,欠乏症も出易い)

  • 菌茸類(マツタケ,シイタケ,キクラゲ)---------- 1〜 3ppm(不用)
  • イネ・ムギ類---------------------------------- 3〜 5ppm(イネ科)
  • ホウレンソウ・チシャ--------------------------10〜15ppm(葉物)
  • 大豆・小豆・インゲン・果樹類------------------35〜50ppm(実物)
  • ダイコン・カブ--------------------------------50〜70ppm(根物)
  • 海藻類(コンブ・ワカメ)------------------------70〜100ppm
  • ナタネ-------------------地上部・30ppm/10ppm・地下部
  • ダイコン-----------------    32 /15
  • ニンジン-----------------    35 /22
  • ホウレンソウ-------------    40 /20
  •  一方,ホウ素は適量の幅が狭く過剰障害を起こし易い成分というばかりでなく,作物間でも適量が違う為,間作・転作の際に障害が発生することがある.
     「本や雑誌に”必要”と書いてあったから」等の軽い判断でホウ素資材を投入するのは禁物で,十分な診断をした上で施用すること.
     【危険な例】
    ・化成肥料・熔成燐肥・石灰類など,ホウ素が添加され、成分が保証・明示されているものが数多く販売されいるが、指導機関による指導をそのまま実行しただけのような場合、自分でホウ素を投入している事に気付かない事がある。
    ・粗悪な製品を販売する業者からユーザーを保護すると云う姿勢で作られた「肥料取締法」では、保証(表示)してはいけない下限濃度が定められているため、ホウ素含量が 0.1% 未満の場合は表示されないが、低濃度であっても大量に投入するアルカリ資材などでは蓄積し、知らずに連用して過剰害を起こした例がある。



    参考:リンゴやセルリーでは,欠乏時にソルビトールやマンニトールを生成してすでに体内にあるホウ素と結合し,自由に移動できる複合体をつくるという説が存在する。
     解題:ただし、ソルビトールなどは光合成落葉期など糖類が転流する時にとる形態で、常に生成されている(ちょっと、胡散臭い?)。



    動物への影響

    ホウ素は植物の細胞壁以外での有用性が確認されておらず,植物を含めたあらゆる生物にとって、細胞膜とその内側部分(≒原形質)では毒として働く。
     一説に細胞壁の発達は、ホウ素が細胞内に入るのを防ぐ為、外側で捕捉する仕組みが細胞壁に進化したのではいか,とまで云われる.

    ゴキブリを殺すためのホウ酸団子は主婦の知恵として有名.最近では出来上がったものが市販されている。
     マッシュポテトにホウ酸を混ぜて小さな団子を作り、台所の隅に置くだけ。「ホウ砂」では効果が劣るので注意【参照→「資材の知識」

    健康な皮膚からはほとんど吸収されないが,創傷・潰瘍部,粘膜(胃・腸なども含む),体腔(体内の至る所にある隙間)からは速やかに吸収される。




    参考ページ:
    ・北協大学〜スライム遊び〜ホウ砂とホウ酸の毒性
      http://wchem.iwa.hokkyodai.ac.jp/~u5095/suraimu/index6.html
    ・福岡県薬剤師会〜ホウ酸,ホウ砂はどうして眼の洗浄・消毒にしか使えないのですか?
      http://www.jp-info.com/fukuyakuqa/qa01/qa01_15.htm


    ホウ砂:幼児が,5〜10gの摂取で吐瀉・下痢〜ショック死
    ホウ酸:経口・吸引により,吐き気・嘔吐・下痢・腹の痙攣・皮膚や粘膜の紅斑・循環器系の虚脱・心悸高進・チアノーゼ・意識混濁・痙攣発作・昏睡.
    経口致死量は,7才以下の子供では5g未満.成人は5〜20g.
     【“The Merck Index”】(独の薬品会社Merckが出版している薬学百科辞典)より孫引き。上記いずれも急性毒性。

     現在では,「結膜嚢の洗浄・消毒(眼科)」のみに有効性が認められ,使用が限定された.使用濃度はホウ酸が2%以下,ホウ砂が1%以下(→?).
     ホウ酸やホウ砂を含有する製剤は全て配合意義が認められず,有用性がないと判定され,日本薬局方および薬価基準から削除された。
     この改正によって、現在でも医師が使うのは自由だが、保健点数の請求ができない(=お金にならない)ので事実上の使用規制となっている。



     2001年のWHO健康被害報告に、ホウ素による腎疾患が取り上げられたため、水質汚濁防止法による省令が改訂され、ホウ素(および、フッ素)が追加となった。
     排水1リットル中の上限は、ホウ素10mg(10ppmに相当する)。
    (ちなみにフッ素は、歯が黒く染まる被害が上げられ、上限は1リットル中8mg)
     過失の場合、30万円以下の罰金または、3箇月以下の禁錮が適用されるが、、温泉旅館などで掛け流しを行っている所での排水がこの規制に掛かるため、浄化設備の開発などが間に合わず、何度も施行が延期になっている。
     監督省庁が異なる「日帰りの浴場」などには適用されず、流し放題にしても違法にはならない。
     報道ネタとなった「草津温泉」の場合、源泉が強酸性の為に河川の下流に酸度調整の施設が儲けられて以前から処理が行われていたが、水質汚濁防止法では下流でまとめて処理するのは禁止されているため、旅館ごとに導入しなければならず、温泉旅館の存続が危ぶまれている。(2007年2月の報道)。
     2007年7月施行予定(その後の経過不明)

     

     



    ホウ素の測定

    アゾメチンH法

    Azomethine H ・アゾメチンH
    化学名:8-Hydroxy-1-(salicylideneamino)-3,6-naphthalenedisulfonic acid, disodium salt
    分子式:C64・OH・CHN・C104・OH・(SO3H)2
    性状:黄橙〜黄褐色結晶性粉末で,熱水に溶ける.

    ・妨害イオンが少なく,操作はクルクミン等を使う方法に比べて格段に簡単
    ・原末はデシケーター中に保存すれば長期間安定。(溶解後の調整液は保たない).
    ・肉眼比色では過剰域のみの診断しか出来ない(検出されれば常に過剰).
    ・発色後の経時変化が大きい.
    ・植物体の分析では,銅,鉄,アルミニウムが妨害するが,EDTAでマスキング可能.
    ・pH5.2以下では発色が極端に低下する。(少し高いのは影響が無い)
    ・410 nm での吸光度測定では,1〜6 μg/ml のホウ素が定量可能.

    【渡辺式迅速養分テスト法(1986)】
     アゾメチンHを採用した方法の中で最も簡便にしたもの。

    1. 試薬1(緩衝液):酢酸アンモニウム50gを水に溶かして100mlにしたものに、5倍希釈した濃硫酸を約16ml加えて、pH5.2 に調整する。(長期保存可能)
    2. 試薬2(EDTA液):エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム 3.72g を水に溶かして 100ml にしたもの。(長期保存可能)
    3. 試薬3(発色剤):アゾメチンH 0.15g とアスコルビン酸 0.5g を水で50℃以下に加熱しながら溶かし、25ml にする。
       冷暗所に貯蔵しても1箇月程度の保存しか出来ない。

    水抽出(乾土比1:5)
    呈色度
    テスト液中濃度 0.5ppm 2 5 10 50
    乾土1kg当りmg
      (=ppm)
    2.5 10 25 50 250
    診断 適当 多い 過剰
    熱水抽出(乾土比1:2)
    呈色度
    テスト液中濃度 0.5ppm 2 5 10 50
    乾土1kg当りmg
      (=ppm)
    1 4 10 20 100
    診断 適当 やや多い 多い 過剰

    ・表中の乾土当り換算量は、単純計算によるもの。
    ・熱水抽出で呈色度1以下(発色しない)の時は欠乏と診断してよいが、吸光度計を使用するのが望ましい。水抽出では欠乏の診断はできない。



    クルクミン法

    非常に感度は高いが妨害イオンが多く,これらを除去するための前処理(有機溶媒抽出法)が必要で,発色を濃硫酸中で行うとか,試薬添加後に蒸発乾涸させなければならないなど極めて操作が煩雑.

     クルクミンは,カレーのスパイスにも使われるウコンに含まれる色素



    花粉の発芽試験

     この実験方法は,ハスの研究者が書いたコラムから思いついたもの.
     ハスの花粉は、長い間人工培地で発芽させる事が出来ず,ホウ素の添加で可能になった。
     ハスは、花粉内に利用可能なホウ素を持たず,雌しべからホウ素の供給を受けてはじめて正常に発芽できるのだそうだ.

     当地では、モモ・リンゴ・ナシで開葯事業のサービスを受けられ、持ち込んだ花蕾の重量に応じて、開葯済みの花粉を配布されるシステムなので、途中で各農家の花が混ざり、発芽率が公表されなくても(自分で試験すれば)容易に地域の平均値を知る事ができる。
     生(非貯蔵)花粉での、平年の発芽率は70%以上、過去の最低値は10%未満となることもあったが、交配を必要とする側に十分なホウ素濃度があれば、正常に着果する事が判明している。





    ホウ素の欠乏症

  • INDEX
  • 欠乏症の概要
  • 作物別の症状
  • リンゴ
  • ***
  • ***
  • 対策
  • 欠乏症の概要

    【主な欠乏症状】

  • 茎:発育停止し,下部から発生した側芽で叢生状となるが,全て先端から枯死する
  • 葉:水浸状の斑点を生じ,葉柄や茎はコルク化して脆くなる
  • 花:花芽形成や花粉生成・発芽がが悪く,不稔となる
  • 果実:肥大不良で,ヤニが出たりコルク化する
  • 茎・根の断面:中心部が黒くなる
  • 根は分岐してもあまり伸びず,先端が球状に膨らむ
    (先端の伸張が止まって,付近から分岐した根の先端も次々に伸張を停止するための現象)
  • 根菜類:根の中心や肌の組織が崩壊・黒変(茎葉には症状が出ない)
  • 果樹類:果実の一部が壊死したり肥大が停止する(茎葉には症状が出ない)
  • 体内のカルシウム欠乏を誘引して,病害抵抗性が低下する
  • 【欠乏の起き易い条件】

  • 土壌の酸性化でホウ素が可溶化して流亡した後,酸性土対策で石灰類を投入すると,ホウ素が不溶化する.
  • イネ・ムギに代わってホウ素要求量(=吸収量)の多い野菜類が栽培され,持ち出し量が増えた,
  • 水田転換園で多い
    ------→水稲はホウ素要求量が少ないので問題が無かった
    ------→水田の土壌pHは比較的高い
  • 施設栽培
    ------→土壌が乾燥しやすい為,吸収され難くなる
  • 有機物投入量が少ない
    ------→土壌の乾湿差が激しく,根が痛み易い
    ------→有機物からの供給が少ない


    作物別症状


    ムギ

     (不稔病)


    ナタネ


    トマト


    キュウリ

    新葉が出にくくなるとともに奇形化し,付近の茎や葉柄が脆くなる

    断根を伴う接木(挿し接ぎ)苗などでは、3〜13節目の葉に奇形葉を生じ易くなるが、接木直後にホウ砂0.01〜0.05%(2000〜10000倍)液を散布すると防止できる。高濃度では葉縁焼けを生じる。【南信濃農試.(2000)】


    ナス


    ハクサイ


    キャベツ


    セルリー


    ホウレンソウ

     石灰類の過剰投入が多く,土壌pHの上昇によって欠乏を起こし易い.
     補足:ホウレンソウがアルカリ性土壌を好み,石灰類が不可欠といわれるのは,発芽障害(=発芽しない)の対策であって,正常に発芽しさえすればその後の生育には害になる事の方が多い.


    ダイコン・カブ

    ・播種後2週間頃から生育の遅れが見られ,根部の肥大が始まると抑制の度合いが大きくなる.欠乏がひどいと生育が止まる.

    ・(心腐れ病)(赤芯病)(根腐病)
     軽い欠乏では,地上部の変化が無く,軸茎を輪切りにすると形成層に沿って黒〜暗褐色の筋が見える(赤芯症)
     収穫物は煮ても硬く,数日干しても芯が残るため柔らかい漬け物が出来ない
     ひどい欠乏でも生育初期の症状は無く,根の肥大が始まった頃葉柄を折ると脆くなっているのが観察できる.次第に葉が黄化して心葉が内側に巻いて萎縮し,枯れる.
     地上部に出た白い根(軸・収穫部分)は粗剛で亀裂を生じ引き抜いてみると肌の汚いサメ肌状でコルク化している
     一番太い部分を輪切りにすると,黒く腐っていたり,空洞化している.

    ・土中の水溶性ホウ素が 0.3ppm 以下で発生し易い
     欠乏時の葉中ホウ素含量は,20ppm 以下

    ・首付近は正常だが下部はサメ肌
    -----下層土部分が著しいホウ素欠乏を起こしている

    ・地際の肌が黒褐色で亀裂を生じている
    -----2〜3週間,畦表面の乾燥が続いてホウ素吸収が阻害された.


    ニンジン


    ビート


    ジャガイモ


    サツマイモ


    ラッカセイ


    クローバー(牧草)


    アルファルファ(牧草)


    トウモロコシ


    果樹全般

    果実:裂果・核割れ・不稔など障害
    葉:薄く脆くなり、風などで千切れ易くなる。


    リンゴ

    【木栓化性縮果病】奇形果と果芯コルク化の2種類がある

    【枝枯れ病】
     葉が赤味〜暗紫色を帯び,葉焼けを起こす。 新芽は葉が細くなり,萎縮して密生する

     発生の年次差が大きく,生育前期の乾燥やチッ素過多で欠乏が出やすい
    ・正常時の葉中含量-----40〜60ppm
    ・欠乏時の葉中含量-----25ppm以下

    (発芽時の一時的な欠乏)
     開花期の早い品種の中心花だけが萎縮し,側花は正常となることが多い(欠乏が進行すると全ての品種で発生する).欠乏の程度により,蕾が発育せずに枯死したり,開花しても花弁が小さく雄芯・雌芯も短い(雄心の方が短くなりやすい).開花時の中心にヤニを吹くこともある.正常な花の花粉を付けてやれば結実するが,蕚窪部付近の変形(尻すぼみ果)が収穫期まで残る事が多く肉質にも影響する.
     春先の石灰類投入で土壌 pH が高くなるときや,発芽後に高温の日が続いて開花が早まったときに多く、除草などで土壌の乾燥が進むと被害が大きくなる。
     花叢葉が展開して花蕾の先端が見えた段階では,中心花が一段高く突出てみえるが,側花の花梗が伸びるにつれて中心花が取り残されていくようであれば,ホウ素資材の葉面散布を実施する(正常花の花束がばらける時期になると手遅れ).この時期の散布は将来果実になる部分の発育を助けるだけで,花器(雄芯・雌芯)に障害が残ることが多いので開花直前にも追加散布する.(概ね,1週おきに2回の散布となる)
     ホウ酸2〜5000倍液に展着剤を加用する.展着剤は固着成分を含まないものが望ましく,量は付着の具合を見て加減する(毛茸が水滴を弾くので付着しにくい).
     果実は蕚窪(底部)が逆三角形の尻すぼみ果となり、果肉が硬く渋みが残り易い
     花・果梗の伸長不良は亜鉛の欠乏でも発生する。亜鉛の欠乏は樹全体でほぼ均等に発生するが、ホウ素欠乏では枝や花叢内での差が大きい。(亜鉛の項を参照)

     土壌中含量が適切レベルでも発生する花器障害は、新梢の伸長前に開花する樹種(モモ・ウメ・リンゴ)のうち特に開花時期の早い品種で起こり易く、新梢の腋芽に着果する樹種(ナシ・ブドウ・キウイ)では置きにくい傾向がある。
     発芽の初期には蒸散(葉)による受動吸水するよりも,根の浸透圧による能動吸水の方が多く,生きた細胞の通過が制限されるホウ素の特性により,吸収が妨げられるものと考えられる.

    【青子・尻すぼみ果】
     成熟期に達しても幼果のように果肉が硬いままで、最終肥大期にほとんど肥大せず、果実表面が妙にツルツルして果粉の生成や微細な皺を生じない「青子(あおこ)」や、同様の症状が果実の下半分だけに起こって、全体が逆三角形の尻すぼみ果となるのもホウ素の欠乏が原因と考えられる。
     土壌の乾燥や春先の石灰施用など、ホウ素の吸収を妨げる要因があった時に発生するものと考えられ、土表散布で増肥しても効果は無い事が多い。
     2009年までの実験で、開花日を挟んで1週間おきに前後2回(合計4回)の散布で激減する事が確認できた。今後絞り込みの追試を行う予定。
     ホウ酸、またはホウ砂の5000倍液を散布する。マシン油乳剤以外の殆どの農薬と混用可能で、開花1週間前と落花直後の定期散布に混用すれば解消できる事が多い。(短首果や中心花の萎縮・脱落には、開花2週間前の散布も必要)

     従来、青子は青臭い食味を伴うのでチッ素過多が原因と考えられてきたが、正常な果実にも同様の臭味が付き収穫を遅らせる事で消失する。
     ビタミンCなどの抗酸化物質が臭味を消すのを邪魔する事が判明しており、代謝の低下した青子では還元力の低下するのが遅い事から、臭みの消えるのが遅いだけと考えられる。
     また、尻すぼみ果は晩霜害とも云われてきたが、こちらは、判らないことは全部不可避の気象災害にしてしまえという思いつきと云うだけで、全く根拠が無い。
    ※ 青臭い臭いが付く原因と対策は、【企画・栽培マニュアル→果樹共通→着色・食味・日持ち】の項を参照)


    ブドウ


    ナシ


    モモ

    【樹脂病】
     ・枝先端が枯れ,小枝が多く出る.葉が奇形で脆くなる
     ・果実も奇形で,ゴム質のものが出る
     ・欠乏状態の葉中ホウ素は 20ppm 以下

    【花器の発育不全】
     ・軽い欠乏では「雌しべ」だけが障害を免れる。
     ・花弁の発育が悪くなり、蕾の時から「雌しべ」だけ露出(突出)する
     ・花粉の形成や発芽が悪くなり、受精(実止まり)しない。
     開花直前に現れるだけなら問題にならないが、放置して発現時期が早まると実止まりが悪くなる事が多い。  ・参照→「ホウ素の欠乏症・モモ」



    欠乏の対策

    【応急処置】葉面散布(溶液散布)

     体内で再移動しにくいため、効果のあるのは薬液の付着した場所だけで、細胞間隙を浸透して1mm 程度の範囲にとどまる。
     貯蔵して再利用される事はほとんど無く、生育全期に渡って吸収されなければならないが、葉面散布を何度も行うと古葉に過剰害が出易い。
     地表に落下した散布液や、分解した落葉から解放された成分は、根から吸収されて全身に届くので無駄にはならない。

    資材適用作物濃度注意等
    ホウ酸,ホウ砂ナタネ0.5〜1.0%
    他の野菜・果樹0.2〜0.3%生石灰0.3%加用,またはボルドー液に混用
    ブドウ開花前10〜15日頃に1回散布
    ミカン・リンゴ5〜6月頃に2〜3回散布

    ※ 作物に吸収された後に再移動して効果を発揮するのは、散布液が付着した場所から 1mm 程度の範囲に留まるため、花器の場合、開花1週間前頃か開花直後に限られる。
    茎頂・腋芽などの生長点が壊死する症状に対しては2週間以上効果が持続するように見えるが、応急処置に限定して次項の施肥を併用するのが望ましい。

    ※ 。

    ※ 砂状の製品や固結して粒子が大きくなったものは溶けにくいので,予め磨り潰すか,温湯で一旦濃厚液を作って使用する。
     水と共にペットボトル等に入れて風呂に一晩漬けて置くのも良いが,一旦溶けた後に冷却されて溶けきれなくなると大きな結晶が出来て余計に解けにくくなるので,使用時期の最低気温に応じた量に加減する
    (盛夏季:10%.春・秋:5%程度)

    ※ 濃厚溶液は長期間放置すると重合して不溶化するので、作り置きしない。

    ※ ほかにホウ素入りの葉面散布剤(液体)が市販されているので、説明書に従って使用する。


    【施肥】(畑全面に散布)

    資材適用使用量(10a)
    軽い欠乏のときホウ砂(全て) 0.5〜1.0kg
    重い欠乏のときホウ砂野菜1.0kg
    ホウ砂ブドウ・ミカン2.0kg
    ホウ砂リンゴ3.0〜4.0kg

    【堆厩肥・稲ワラの施用】

  • ホウ素の給源となる
  • 水分保持力の強化により,根の保護と吸収力維持
  • 【干ばつ・湿害の対策】

  • 吸収根の保護
  • 【石灰類】

  • 土壌のアルカリ性化でホウ素の吸収が悪くなる
  • 【改善の事例・1】
    砂質土の水田裏作・ナタネ(※欠乏し易い)
    ホウ砂 1kg/10a の施用で子実収量が5倍(48kg→258kg)
    草丈が伸び,叢生している分岐数が減少

    【改善の事例・2】
    美濃早生ダイコン
    ホウ砂 1kg/10a が適量.2kg/10a では減収.

    【改善の事例・3】
    ・購入したブドウの苗木が毎年数cmしか伸びなかったが、ホウ素の施用で、正常に伸長し始めた。
    ・過去30年間、小梅以外の品種は何度植え替えても結実しなかったが、ホウ素の施用で、実止まりするようになった。



    ホウ素の過剰症

    過剰症の概要

    ホウ素の適量範囲はきわめて狭く,過剰に施肥した場合,黄化枯死する.

    各種作物の平均:土中ホウ素濃度 5ppm以上で種子の発芽障害
        イネ科:土中ホウ素濃度 10ppm以上で過剰症害
      アブラナ科:土中ホウ素濃度 20〜30ppm以上で過剰症害

    作物別症状



    イネ

    土中濃度(水溶性ホウ素)10ppm影響なし
    20ppm葉に褐色斑点
    30ppmほとんど枯死
    被害株中のホウ素含量ワラ中:40〜60ppm
    モミガラ中:30〜100ppm
    玄米中:10〜40ppm

     ※水田には,0.5ppm 以上のホウ素を含む潅漑水は使用しない(工場廃水,特殊な湧水など)



    タマネギ,ホウレンソウ,シロナ

     施用試験で,害の出ない添加量は 5〜10ppm



    モモ



    リンゴ

    (蜜入り果)
     蜜入りの蜜は糖アルコールに分類される「ソルビトール」が果実の細胞間隙に集積し、浸透圧によって水分が集まったために、隙間を埋めてしまった状態で、色褪せた衣服が濡れた時に色が濃く見えるのと同じ現象。肉原で見えるのは水分であり、果肉が黄色の「ふじ」などは、より鮮明に見えるが白肉の品種は判りにくい。
     ソルビトールは糖が輸送される時の形態で、細胞に入る前にブトウ糖に転換され、活動中は常に(春〜夏期間も)存在する。
     代謝が低下すると細胞の周囲に溜まって隙間に溢れてしまう。

     蜜入りが過剰になった時に起こり易いる果肉の褐変は、老化してビタミンC還元型/以下同じ)が欠乏した時に発生する。(ただし、還元型ビタミンCが豊富にある状態では蜜入りしない)
     皮を剥いて放置した時に起こる褐変と同じもので、ビタミンCが豊富にある状態では褐変しないまま乾燥するほどで、褐変の進行からビタミンCの豊非が推定できる。(半定量には、ヨウ素デンプン試薬を使う)

     収穫時期を遅らせるほど蜜入り量が増え,概ね11月下旬以降に顕著となるが,ホウ素資材を過剰に与えると収穫適期以前から蜜入り状態にする事ができる.
     これよりも早い時期(文化の日11/3)を中心に行われる品評会で入選するには,ホウ素入り資材の葉面散布が必須と言われている.
     葉や果実表面に散布されたホウ素が直接、蜜入り部分に移動して作用するのではなく、樹全体の老化が促進されたための現象と考えられる。

     ショ糖や果糖に較べてソルビトールの甘味は6割程度なので、蜜入り果が美味しいと言われる主な理由は、見た目の変化や果肉の軟化以外にも、酸味や青臭さの減少が大きい。
     ・同じ糖分を含んだ果汁でも、酸味があると甘さを感じにくい。
     一般には収穫が遅れるにつれて糖分は根に移動して減るため、味は薄くなるが、収穫を遅らせて減酸した方が甘味を感じるようになる。
     近年では僅かの酸味も苦痛と感じる人が増えてしまったので、酸味の無い事は好ましい事になるたしい。(酸味の管理は「カリウム」の項をを参照)
     ・一部の地域では着色管理の一環として剪定が行われるが、収穫前の剪定を行うと果実に青臭い味が付く。
     この臭味が消えるのは酸化反応なので、ビタミンCが邪魔で、収穫時期を遅らせるか、貯蔵して十分に老化させる必要がある。
     ・これらは、蜜入りを増やすのと全く同じ作業(老化促進)となるに過ぎない
     ※ この項での「ビタミンC」は還元型のみを念頭に置いたもので、事実上還元力の消失と云う意味で用いている。

    (以下は誤認・重複)
     正常な細胞では,ホウ素の侵入を阻害する働きがあるため,他の成分が巻き添えを食う形で細胞間に溢れ,果肉が水浸状となって蜜入りと呼ばれる状態になる.
     収穫時期を遅らせるほど蜜入り量が増え,概ね11月下旬以降に顕著となるが,ホウ素資材を過剰に与えると収穫適期以前から蜜入り状態にする事ができる.
     これよりも早い時期(文化の日11/3)を中心に行われる品評会で入選するには,ホウ素肥料の追肥が必須となっている.
     品評会向けには葉面散布の形で追肥するが、葉から果実に再移動するのではなく,地面に落ちたもの(ドリフト分)だけが根から吸収されて働く.
     過剰が進行すると,細胞膜のバリア機能が低下して細胞内に侵入して壊死するため,貯蔵中に内部褐変を起こす事がある.
     ホウ素の追肥を行った後では,収穫時期を早めて果実に蓄積する量を減らすしかない.

    「蜜の正体はソルビトール」という文言もあるが、ソルビトールとその光学異性体のマンニトールは、リンゴがブドウ糖を転流するときに還元されて出来る塘アルコールの一種で、甘味は少なく、本来は果実細胞に入る時にブドウ糖や果糖などに再変換される。
     成熟に伴ってこの代謝が停止すると、維管束付近の細胞間隙に溢れて隙間を埋め、濡らした布が透けるのと同じ状態になったのが「蜜入り」である。
     品評会で入選するには「蜜入り」が必須で、ホウ素の過剰によって代謝が低下するとブドウ糖などへの転換が滞り、早い時期から集積させることが出来る。
    (参照:果実の品質→食味

    (落葉)
     過剰になると葉に斑点を生じて落葉するが,葉面散布の場合は過剰な濃度による失敗よりも重複(複数回)散布による被害事例が多い.
     落葉を止める方法はないが,樹体内に貯蔵されて再利用される事がないのと、葉面散布での施用量は限られているため、枯死さえ免れれば翌年の生育に影響する事は稀。

     同様の理由で、基肥としてホウ素を与えても蜜入り果率を増やす効果は低く、葉面散布として与え、葉を老化させることが肝要。


    過剰の対策

     多量の灌漑水で洗い流す.
     酸性水の方が効果が高く,土壌pHが低い方が流亡させやすい.(この間は作物に過剰吸収され易くなる事に注意)

     石灰などによって土壌pHを高くし,ホウ素が溶けにくくする.( pH6.5 以上にするとアルカリ性の害が発生するので別の対策も必要になる.)

     ホウ素入りの肥料を使わない
     ホウ素入りの化成肥料や石灰などが市販されており,気付かずに使用して、ホウ素肥料を別途投入している例があるので,表示を確認する。
     ほとんどの海産資材にはホウ素が含まれるが、0.5%未満だと表示されないので、苦土やカルシウムなど大量に投入する資材では特に注意を要する。


    過剰施肥になりやすいので土壌分析を併用して計画的に行う.

    作物の種類によって適応範囲が異なるので,作付け計画を行う.

  • 過剰に弱いもの:トマト・カブ・ダイコン・サツマイモ・キャベツ
  • 過剰に弱いもの:キュウリ・インゲン・メロン・エンドウ



  • 資材の知識



    ホウ酸(boric acid)



    ホウ砂(borax/boric acid, disodium salt decahydrate)

    水に溶かすには時間が掛かるため,前日に濃厚液を作って使用すると便利がよい.
     温水で溶け易いが,冷めたときに再結晶しない濃度にするのがポイント.
     夏:10%,春・秋:5%以下 を目安に計量してペットボトルなどに入れ,水で満たしたものを風呂に沈めておけばよい.
     高濃度の溶液は、溶解後長期間放置すると不溶性の結晶を生じるので早めに使い切るか、使用した残りは薄めてから貯蔵する。(5%のとき1〜3箇月で透明な結晶を生じ始め、多量の水を加えても再溶解しなくなる。概ね2%以下なら安心。只今2.5%で放置実験中

     市販品には、主として 1kg 包装の微粒品と、10kg 包装の細粒品があり、微粒品は水溶きして使うのに適しているが、そのまま散こうとすると動作で起こる僅かな風でも飛び散るので、霧を吹いて過湿してやると良い。

    [もりおのえんげい]
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