塩(しお/salt)と、塩(えん/塩類/saline)と、塩素(えんそ/chlole)に同じ文字が充てられているので、注意を要する。
2000年頃にルールの変更があり、負イオンを「-化物イオン」と呼んで正イオンと区別する様になったため、塩素のイオンには「塩素イオン」と「塩化物イオン」と云う2つの名前が出来た。
必須要素なのかどうかは意見が分かれ、必須16要素には含まれるが、必須14要素には含まれない。
土壌溶液に含まれた分だけ吸収(贅沢吸収)し、作物は体内にはP・Sと同程度含まれる。
・体内のイオンバランスを保つのに必要と考えられている。
・体内の水ポテンシャルを下げて(=浸透圧を上げて)水ストレスを軽減する。この結果、炭水化物などの移動を助ける。
・光合成での酸素発生に関わる酵素を助けているらしいが、必要量は極めて微量。
・塩素の存在下でデンプン、セルロース、リグニンの生成量が増加する事から、生成に関与していると考えられる。繊維化によって病害抵抗性を高め、倒伏し難くなる。
茎・葉柄に多く存在し、移動性に富む
日本国内での欠乏症状は見発見(前田 1968)。
適正体内含量も不明
※ 水ポテンシャル(water potential):根の吸水に関わる力として用いられる「浸透圧」は、細胞膜を通じて侵入する水を止めるのに必要な圧力として測定されるので「正の値」となるが、本来は根の内外の水が持つ拡散圧の差によって移動するものなので、吸水しているときの根の内部は「ーの値」になった方が他の現象と併せて論じるときの都合が良い。
それで、生物学など農学以外の分野では「水ポテンシャル」を用いるのが一般的なのだそうだ。
概念はともかく、数字の上では絶対値が同じで符号が反対になっていて、水はポテンシャルの「高いほうから低い方に流れる」という至極素直な表現を使う事が可能になっている。(浸透圧の場合、低い方から高いほうに流れる。)
引用元の原文は「水ポテンシャルを高めて水ストレスを軽減する」となっており、浸透圧の同義語と勘違いした誤り。
Chilorate:HClO
Choloride:Cl-
アメリカ国内で、トマトに塩素欠乏症が発見されて以来、ビート、キャベツでも欠乏症が発生していると云われ始めた。
イネ:生育後期に適度な塩素があると、チッ素の過剰吸収を押え、K・Ca・Mg・SiOなどの吸収を良くして稔実が向上する(報告:本谷氏)
ワタ・イグサ:塩安・塩加の施肥で繊維が多くなり、病害抵抗性が高まる。
ホウレンソウ:硫加よりも塩加を使った方が外観が良くなる。
セルリー:塩安・塩加の使用で、香りとタンパクの質が良くなる。
いも類:繊維が多くなるので、品質が低下する。
タバコ:火付きが悪くなるので、品質が低下する。
※ これらの特性により、イモ類やタバコ用の化成肥料には塩化カリの代わりに硫酸カリを配合した専用の製品が市販されている。
キャベツ・ハナヤサイ:塩素が欠乏すると「プロリン」が異常集積する。
ココヤシ:塩素の体内農奴が低下すると気孔開閉が正常に機能しなくなる。
一般の植物では孔辺細胞内の葉緑体が生産するリンゴ酸が気孔の開閉に関与するが、ヤシ科など孔辺細胞に葉緑体が未発達の植物ではリンゴ酸が生産されないので、K+・Cl- が代替する。
原子番号17、長周期表ではZaに属するハロゲン元素。
最外殻電子7個で、酸化数は主に -1,+1,+3,+5,+7 をとり、-1,+7 の時に安定する。
Cl2 は有毒な気体で、塩化ナトリウムの電気分解で生産されるが、本来は水酸化ナトリウムの副産物であり、効率的な処分方法として考案されたのが塩化アンモニウムやポリ塩加ビニル(いわゆるビニール・シート)などの製品。
検出できるのは塩素イオンのみで、遊離の塩素(Cl2)や塩素酸(HClOなど)には反応しない
【試薬の調製】
0.1mol/Litt. 硝酸銀溶液
市販品または、硝酸銀 1.7g を水に溶かして 100ml にしたもの。
褐色瓶に入れて貯蔵する。室温で長期間保存可能。
【危険!】有機物が混入した状態で長時間経過すると、爆発性のある雷銀に変化する恐れがあるため、汚染したものは早期に処分する。
(滴定による使用法)5% クロム酸カリ(W.S.)を指示薬として既知濃度の硝酸銀液を滴下すると、等量点で黄褐色になる。
【操作】
【判定】
| 水抽出液 | |||||
| 呈色度 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
| (新聞の文字) | よく読める | 読める | 見える | 僅かに見える | 全く見えない |
| テスト液中濃度 | 5ppm | 10 | 50 | 100 | 500 |
| 乾土1kg換算 | 25 mg | 50 | 250 | 500 | 2,500 |
| 土壌溶液中濃度換算 | 75ppm | 150 | 750 | 1,500 | 7,500 |
| 診断 | 正常 | 多い | 異常 | 生育不良 | 障害 |
水耕培養液中の濃度は通常、1〜100ppm
土壌からは通常、呈色度(-)〜1度。
用水中濃度は、50ppm までなら生育異常は見られないが、100ppm では耐塩性の弱い作物に異常が発生する。500ppm(EC≒1mS/cm) では栽培不能
欠乏すると葉の先端が黄化〜萎れを生じ、生育が悪くなる。
初葉から数枚の先端が越冬前に枯れ込んだもの。(写真は4月20日撮影、前作の堀残しから発芽したもの)
当初は霜害と思っていたが、種球の植付け直後に比較のため、塩化カリと塩(塩化ナトリウム)の2種類に分けて施用試験したところ、どちらも枯込みが無くなった。
塩類集積による高濃度障害と同じ原因・対策が適用される。
塩化ナトリウムに由来する過剰は、海水や潮風によるもので、台風の時に広範囲で発生する。
海水には、塩素の他にも硫酸化合物も多く含まれるので、2者の過剰害が重なって被害を大きく・複雑にする。干拓地での被害が大きい。
塩素を含む肥料を極端に多く使用した時にも発生することがある。
台風に伴う潮風によるもの:
葉を舐めてみるか、表面を蒸留水で洗った洗液を硝酸銀で検定する。
→噴霧器で水を散布して、洗い流す。
海水の流入によるもの:
ポンプで排水し、淡水で洗い流す。
塩類集積を伴う場合:
蒸散の多い時期に高濃度となりやすいので、潅水を多くする。水田では中干ししない。
肥料用石灰を100kg/10a 散布して混和後、多量の水を散くと塩素が流去しやすくなる。塩害を受けた場所では、これを2〜3回繰り返す。
耐塩性の高い作物を栽培する。
(非常に強い)ムギ←ナタネ←タイサイ←キャベツ←ダイコン←
←タバコ←ジャガイモ←ホウレンソウ←セルリー←ハクサイ←
←カブ←タマネギ←チシャ←インゲン←ソラマメ←ミツバ(非常に弱い)
田植え後、土壌水中の塩素が 0.1% 以下だと活着するが、0.13〜0.16% で活着が悪くなる。
水田中の濃度は水の動きで大きく変化し、濃度が高くなった時に生育が滞り、低くなると再び生育する。
塩害を受けた土壌は暗黒色で、甚だしい還元状態になっている。
Cl+-0.2% :分けつが少なく、草丈も伸びずに、葉が濃緑色になる。
Cl+-0.25%:葉先が急に巻いて白く枯れる。
Cl+-0.3% :被害が進行する
NaCl-0.3% :被害が深刻になる境界の濃度。
NaCl-0.5% :枯死
塩害を受けた水田の裏作では、土壌の酸化に伴って次第に強酸性となり、葉が枯れてくる。
畝立てして空気に触れた表面の土は褐色になるが、土塊の中は青味が残る。
海岸に近い温暖なところでの栽培が多いため台風の潮害で葉が枯れ易い。
極端な多肥栽培でも落葉する事がある。
葉中塩素 0.4% で過剰害が発生する
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