1999/12/31-2011/10/25
通常の土壌検査では表土を剥いでから試料を採収するが、ボルドー液などの散布による過剰の判定では、表土付近に蓄積した銅が問題になるため、表土を含めた試料が必要になる。
・表面に堆積した粗腐植類は予めガスバーナーなどで灰化してから採収する。
・果樹類では、改埴直前の段階だと抜根や整地の作業によって混和・埋没・希釈されてしまうので、抜根前に行う。
葉や茎よりも根に多く含まれる。茎葉中では各種酸化酵素の成分。
葉緑素にも含まれ欠乏すると葉緑素が減少する。
葉緑体中の銅タンパク質(プラストシアニン)として局在し、光合成の電子伝達鎖の一部として働く。
人体にも必須の成分で、70mg/60kg 含まれ、推奨摂取量は 2.5mg/日・成人
鉄との共存が不可欠で、鉄欠乏性貧血のとき、鉄だけ摂取しても回復しない。
養豚飼料やヒト(乳児)用の粉ミルクにも添加されていて体重増加の効果が大きい。
2004年4月1日より栄養機能食品表示基準が改正され、銅が追加になった。以下は、表示基準
潜在的欠乏地帯が各地にあると考えられているが、ボルドー液(無機銅・殺菌剤)の使用により回避されていた。
欠乏症状の共通点は、葉が真直に伸びずに折れ曲がったり奇形化する。
葉・枝の先端が枯死したり、新葉先端から黄白化して萎れることもある。
葉の葉脈だけが細かい網目状に着色(緑色)する。
土壌がアルカリ性化したときも吸収が悪くなる。
【欠乏症地帯】
岩手県で調査されたムギの銅欠乏地帯(収穫皆無)では、
・全銅含量:25〜60ppm
・置換性銅:0.1〜0.5ppm
(酢酸でpH3.2 に調整した 0.05mol/litt. KCl溶液で抽出)
展開し終わった新葉先端の半分くらいが黄化し、先端がコヨリ状になる。その後に出る葉は展開せずに巻いたままで黄化する。
出穂しても穂軸が伸びず、止葉の葉鞘から首を出す感じで白穂となる。
症状がひどいときは、分けつ茎がほとんど枯死し、主稈だけ残る。
(トマト・チャ:外国での報告)
葉が小型になり、全体が黄化して茎葉が軟らかくなる。
欠乏症状のないホウレンソウ・ダイコンに硫酸銅を施して増収したという報告がある。(潜在的欠乏の疑い)
キャベツ
全面真っ白になるまで石灰を振って耕耘する習慣のある家庭菜園の症状。
葉が縮れて生育が悪い。
株の周囲に丸く水を散いた跡のあるのが、硫酸銅溶液で追肥したところ。既存の葉は回復せず、この後、現行の葉を覆うように大きな葉が出て正常に結球した。
(南ア・北米の事例)若枝の樹皮に水泡を生じ、褐色のゴム様物質で充満する。
悪化すると外周の枝が枯れこんで、葉は濃ねじれて奇形化する。褐色で
果皮にゴム状物質が溜まり、後に果皮が破裂する。
果実内部や種子周囲にもゴム状物質が形成される。
カンキツの症状に似る。
葉は淡緑色で、鉄欠乏のような網目状に緑色が残る。(苦土欠乏で起こる黄化のときよりも細い葉脈の周囲まで緑色が残るので、細かい網目状になる)
樹皮に水泡を生じ、褐色のゴム様物質で充満する。(樹脂病)
太い枝の背面で、日焼けに伴って発生しやすい。
硫酸銅を施用する。
葉面散布はボルドー液を使用するが、殺菌剤としての散布に準じる。
。
| 銅の添加濃度 | 状態 |
| 10ppm | 影響なしい |
| 50ppm | 活着するが、生育が著しく悪く出穂しない影響なしい |
| 100ppm | 活着しない |
土壌 pH5.0、置換性銅 40ppm の水田裏作エンドウでは、発芽して10〜20cm伸びた頃に生育が止まり、葉色悪くチッ素欠乏のような症状を呈する。
根に根粒が付かず、太く・短く、先端が褐色に枯死
インゲン:子葉が黄化し葉脈間に不規則な小斑点を生じる。
銅の土中含量とふじ/M24台の生育
(青森県リンゴ試・1984年の報告。処理2年後の1982年に調査したもの)
| 土中の全銅 | pH4.5-1mol/L 酢安可溶銅 | 0.01N 塩酸可溶銅 | 全体重 | 新梢数 | 総新梢長 |
| 0ppm | 3ppm | 9ppm | 404g/樹 | 5本 | 150cm |
| 200 | 30 | 75 | 345 | 4 | 74 |
| 400 | 102 | 155 | 200 | 6 | 49 |
| 800 | 255 | 378 | 144 | 2 | 10 |
根の伸長が劣り、地上部では幹から大量の樹脂を吹いて枯死に至ることがある(樹勢が低下したときに起こる核果類に共通の症状で、この症状のみで銅の過剰とは断定できない。降雨直後に吹き出る樹脂は透明な事が多いが、適湿時にじわじわと噴出すときは黄〜赤に着色する事もある)。
果樹園での過剰は農薬としてのボルドー液散布によるものが多く、かつてはリンゴで使用されていたため、リンゴ園をモモに転換した時に発生した。
過去の水田では、銅鉱山や工場廃水によるものが多く、たいていの場合酸性水の流入を伴う。(現在、各種の規制によって、これらの原因によるものはほとんど発生しなくなった)
石灰投入により、銅の吸収を少なく出来る。
土壌pHの違いによる玉ねぎ定植後の成長
| 銅の添加濃度 | pH4.5 の畑土 | 石灰で pH7.0 に矯正した畑土 |
| 50ppm | 全く成長しない | 無症状 |
| 300ppm | 全く成長しない | 生育やや劣る |
| 500ppm | 枯死 | 生育やや劣る |
畑土では、有機物投入の効果が高い。(吸着)
リン酸の増肥も少し効果がある("熔リン"が良い)
銅鉱害のある水田では、水取入れ口に2〜3m2の沈殿池を作り、水を停滞させるだけで池の土に吸着させることが出来る。
灌漑水中の銅は、水取入れ口から2m以内に60%、大部分は10〜15m以内の表土に集積する。
このほか、使用水量を少なくしたり、深耕・客土による希釈を行う。
| 計測例(年次不明) | 表土の全銅 | 0.05mol/litt.-KCl置換銅 |
| 足尾銅山の流入水田 | 90〜694ppm | 16〜227ppm |
| 米代川流域 | 300〜1600ppm | 10〜700ppm |
硫酸銅【医薬用外劇物】
主として、ボルドー液の調製材料で、農薬として販売される。
無水品は白色だが、結晶水を含むことで青色に変わる。
硝酸銅【医薬用外劇物】
ボルドー液調製の際に、硫酸銅の代わりに全量〜半量使用すると薬害が低下すると宣伝された事がある(未検証)。
コサイド水和剤【農薬(普通物)・殺菌剤】
Cu(OH)2を主成分とする粉末。水(蒸留水)には殆ど溶けないが、二酸化炭素や有機酸を含んだ酸性水には徐々に溶ける。
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