EC

電気伝導度・EC・electric condacttivity



INDEX

  1. 概要
  2. pHとECの関係
  3. ECの怪しい解説コレクション
  4. −−


この項の目的

 実用上は「ECメーターから読み取った数字」ってだけの理解で十分ですが、ブラックボックスにしたままでいると、信仰まがいの期待が発生する恐れがあります。
 カルト系農業雑誌では一般的な意味を拡大解釈して生命現象の神秘を数値化できるような印象を与える解説を展開しますが、測定の原理を知れば測定値の意味や利用の限界を知ることが出来ます。
 おかしな信仰に陥る危険を避けるため、もう少し詳しく押えて置きましょうね・・・というのが全て(^^v)



概要


 電気伝導度とは、電気抵抗の逆数です。
  (逆数:掛け合わせて1になる数字の事。具体的には分母と分子を入れ替えた数字で、たとえば、"2" は "2/1" とも書けるので、その逆数は "1/2" になり、2/1×1/2=1・・・ね!)

 中学校の理科に出てくる「電気抵抗」は、”(電圧)/(電流)”で求められ、「電気の流れ難さ」を表します。
 分母と分子を入れ替えた式 ”(電流)/(電圧)”は、意味が正反対の「電気の流れ易さ」を表すので「電気伝導度」と呼びます。

(参考)固有の名称を持つSI組立単位(理科年表.物3 より)
コンダクタンス電気抵抗
siemens(S)単位(記号)ohm(Ω)
m-2・kg-1・s3・A2SI単位m2・kg・s-3・A-2
組立単位



 土壌溶液の実測値は 0.001S 以下の事が多いので,1/1000 を表す”m(ミリ)”を付けた,”mS(ミリジーメンス)”が,実用単位として用いられます.
 古い文献だと, ”S”の代わりに”Ω-1”や,Ωを逆さまにした記号(  この記号の読み方は、”ohm(オーム)”を逆さまに綴った”mho(モー)”で,実用単位は,さらに”m(ミリ)”をつけた”mmho(ミリモー)”になります.

 電気抵抗と同様に、電気電導度も温度で変わりますから,測定を行う時は器具や試料,洗浄液など一切の物に温度差が無いように,同じ場所で室温に馴染ませてからはじめます.



【中学生のとき理科の授業で寝ていたヒトのための補講】

電気は水の流れに似ています。水を満たしたホースの両端から圧力をかけると、左右の圧力が高いほうから低い方へ水が流れます。

ホースの太さが同じなら、ホース両端の圧力差が大きいほど、たくさんの水が(低い方へ)流れ出ます。また、同じ圧力差ならホースが太いほどたくさんの水が流れます。

 このときの水の流れを邪魔する性質を抵抗といいます。
  (ホースと水の場合を「流路抵抗」、電線と電気の場合は「電気抵抗」)

 電気の性質を調べると「R(抵抗)=E(電圧)/I(電流)」の関係があることが分かりました(ここは、問答無用の暗記事項!)。

上の公式に仮の数字を入れてみましょう。
 電圧は圧力、電流は水の流れ出る量にたとえることが出来るので、一定時間に1リットルの水を流すのに2kgの圧力を掛ければよいホースの抵抗は
     X  =  2 / 1  より X=2 。
  (未知の抵抗) (圧力) (流量)


 さて、電圧を電流で割った数字を抵抗と呼んで「電気の流れ難さを表す」ことにしました。
 これと反対に、電流を電圧で割ったときの数字は、意味も反対なので、「電気の流れやすさを表す」ことになりました・・・とさ。




 校正は標準溶液を使って行います.

 温度や電池の減り具合などの影響を補正するため、測定の前に校正が必要になります。
 校正というのは、通常 JIS規格で定められた標準溶液を使って、メーターの針が決められた位置を指すように調整することで、日時や測定者の異なるデータと比較出来るようにするためのものです。

 測定した値を公的機関等の発表している基準値や試験成績と較べるのではなく、その場限りで成績の良い畑と悪い畑の土を較べるような場合には、校正作業は省略しても構いません。
 また、安価な測定器ですと、そもそも校正ができない仕組みになっていることもあります。

→参照:【標準KCl溶液の電導度(理科年表.物111)】




 ECは、土の中の肥料濃度を知る為の目安となりますが,屈折式糖度計(Brix scale)が糖濃度を測っているのではないのと同様に,肥料濃度を測っている訳ではありません.

 各種イオンの中で,H+ やOH の電導度が飛び抜けて高いため、得られる値は、H+ やOHの量に左右されます。
 したがって、土性(母岩,粒径分布)が同じで,過去〜未来の肥培体系が一定の条件・・・
  たとえば、同一成分の化成肥料だけを使って,施肥量の加減をする為に使う
 ・・・では、肥料濃度計として極めて有用ですが,それ以上の意味は無いことに留意しなければなりません。

 肥料焼けに関係しているのは浸透圧です。
 たとえば、砂糖水は電気を通さないので電導度はきわめて低いのですが、高濃度で与えれば、根に障害を起こす能力があります。

 「肥料焼けを防止して塩基飽和度を下げる」という触れ込みの(某)資材を入れた場合,肥料焼けは改善されますが、土壌pHが下がるので、EC値が上昇します.

 これらの特徴をよく知った上で,有効に御利用下さい.



pHとECの関係


 窒素肥料の多投によって、酸化状態の畑(通気性が良い事)では硝酸が生じて土壌pH(H2O)を低下させるとともに、ECは上昇する。
 このような原因による高EC土壌が示すpHは、短期間で大きく変化する一次的なもので、土壌本来のpHではない為、石灰による酸度矯正を行う場合は、除外しなければならないが、そのための分析や計算が煩雑なため、簡便法として、「ECの値(単位:mmho)をpHの値に加えた数字」を「本来のpH値」とする方法が提案されている。

一般的な関係
EC低いEC高い
pH低い窒素・塩基共に不足窒素過多・硝酸態窒素多い
pH高い窒素少ない・塩基多い窒素・塩基共に多い
硝酸態窒素多い



  • テスト

  • [問題]次の解説文を読んで、ツッコミを入れなさい。

  • その1:
    高木亜由子:天然の食卓をつくる本(p.170)・・・より、
     (著者は、女性誌の編集者を複数経た後フリーの編集者として活躍中。普通のオバサンの目で見たことを伝えたいんだってよ)

    (引用本文)「○○さんはやはり土だと思った。EC(電気伝導度。土には磁気が働いており,その力によって肥料が吸収される。肥料の吸収力を測るメーターである。)が狂っている。」

    (ツッコミの例)
     ふつう、肥料の吸収力は CEC(カチオン置換容量) と云う測定値で表します。
    電気伝導度は、土に吸収されきれずにあふれた分が測定されると考えるのが主流です。この文章そのものが CEC の事で、EC とは全く無関係。

    ちなみに、月刊現代農業でおなじみ農文協系のライターは,「磁気」が大好きで,重力さえも磁気なのだそうです.

    その2: