問題1:水栽培の植物が枯れないのはなぜでしょう?
問題2:周囲をアスファルトで覆われた街路樹が枯れないのはなぜでしょう?
湿害は、「土壌の通気性が低下し、根に必要な酸素が不足して起こる障害」のように漠然と認識されている事が多いのですが、
通気性の低下ばかりではなく、土中の酸素要求量が増えた為に起こる相対的な場合も考慮しなければなりません。
酸素が不足しただけでは生育が劣る程度の被害しか起こらず、酸素が完全に無くなった後で起こる「還元化」によって、それまで無害だったものが有害なものに変化するのが、湿害の本当の恐さです。
多くの生物は酸素と反応する時に発生するエネルギーを使って生活しますが、光合成をする生物が進化してくる以前は、別の方法でエネルギーを得る生物が主流でした。今でも地面の下や汚れた川の底などでは、「嫌気性菌」と呼ばれる地球の先住民が活躍しています。
土中の有機物が微生物に分解されるとき、酸素を使い切ると酸化物として結合した酸素まで引き剥がすようにして利用されます。
それでも足りなくなると電子レベルのやり取りが起こり、電子を奪うことでエネルギーを得る微生物たちが居ます。
土の中に豊富に存在する鉄やマンガンは、酸化によって水に溶けにくくなっていますが、土中で還元が進行すると溶解度が増し、作物に過剰害が発生します。
さらに進行すると猛毒の硫化水素が発生して、さらに激しく根を痛めます。硫化水素は「ドブ」の臭いの素です。
湿害とは、これらの還元によって出来る物質が根を痛める為に起こる現象で、一般的には、土中の有機物が分解される時に必要な酸素が足りない為に起こります。
よって、湿害が発生している場所で通気性を良くしようとして有機物の投入量を増やすと、酸素の要求量(=消費量)が増すので被害を深刻にします。
還元は酸化の反対なので、酸化してエネルギーを得た残りカスから、還元してエネルギーを得ると云うのは、騙されているような気もします。
以下で解説を試みますが、絞りカスも絞り方を変えれば、まだまだ絞れる・・・という程度の考え方で如何でしょうか?
| 考案中 |
鉄分の豊富な土を掘り出して客土に使うと、イネ以外のたいていの作物は湿害と同じ症状を見せ、生育が低下したり、枯れてしまいます。(鉄の過剰症は、主としてリン酸の欠乏症として現れる)
稲用の育苗培土を野菜の育苗に使った時も、同様の障害を起こします。(可溶性鉄分の含量が多いため)
リン酸の欠乏時にはチッ素の施肥で症状が悪化します。
リン酸の欠乏時も葉色が薄く生育も遅れるため、チッ素の欠乏だと誤診して追肥を行う事が多いようです。
その後放置すれば回復する事もあるので「追肥の効果があった」事になってしまうのですが、多くの場合は枯死に至るのを早めます。
[衰弱=チッ素の欠乏]という固定観念は捨てましょう。
一部雑誌では、「硝酸態チッ素は酸素を含むので、湿害対策に役立つ」と薦めています。
ところが、硝酸イオンが還元環境下で酸素を放出すると、毒性の高い亜硝酸に変り、湿害よりも激しい症状を起こします。(植物・動物共に有害)
亜硝酸はさらに還元されて無害なチッ素ガスになりますが、チッ素ガスは作物も利用できません。
昔から、水田や水田のような排水の悪い畑で硝酸態チッ素入りの資材を使うのは、バカか大金持ちと云われてて来ました。
湛水下での硝酸態チッ素は、殆どが肥料として利用される前に微生物の力で気体チッ素に分解されてしまいます。(脱窒現象)
土中で酸素を最も消費するのは作物の根ではなく、有機物を分解する微生物です。
通気性の低下した土壌への対策に、有機物の投入で解決しようとする風潮がありますが、極めて危険です。
通常の畑であれば、酸欠が進むとマンガンなどの微量要素が溶け出すので欠乏症が改善される効果がありますが、鉄やマンガンの過剰症として「湿害」が危惧される場合、有機物の投入は被害を深刻にします。
土壌の通気性の目安となる気相は、土壌水との関係から3つに分類される。
耕耘直後は土壌構造が破壊され、降雨によって地表に膜状の単粒構造が出来るが、暫くすると生物の働きで地表付近から徐々に粗孔げきが発達してくる。
生物以外に重要なのは霜柱で、縦方向に貫通した空隙を作るので耕耘や開墾の直後の透水性確保には、耕起の時期が重要となる。
・・・以下は全く無駄な写真ですが、文字の割合が少ないのが見やすく判り易いホームページだと主張する知人が居るので、敢えて割り込ませてみました。
地表に張り付いた枯れ草に出来た穴。(右は接写したもの)
当地では虫が出入りしたものだと云われていたが、発生時期が12月以降なので不思議に思い、追跡調査で「霜柱」と判明。
参考までに、霜柱本体の写真。
当地では滅多に出ませんが、畑の凹んだ場所に火山灰土を盛ったら見事に発生。
霜柱は、地表が凍った状態で、凍ってない「水」が下からふんだんに供給されないと出来ない現象だそうです。
主に次のような過程で発生します。
【地割れ・・・水はどこにあるのかを考える】
□みんなの想像・・地割れが起きるのは、有機物が少ない所為に違いない。
■現実・・・水を吸った土は膨張するので、水分を保持しやすい土は膨張の度合いが大きく、乾燥時に収縮して出来る亀裂も大きい。
吸水力の大きな土の成分は有機物で、保水力を高めるために投入が推奨されていますわな。
粘度の種類別では、モンモリロナイト。こいつは、塩基置換容量が大きい事で知られる優等生。
どちらも、たっぷりあった方がよいと云われているものばかりですが、思わぬところに落とし穴がありました。
作土中の水分は、土の体積そのものが限られているので、盛夏期には数日分の水しか保持できないのが現状。
通常は、作土よりも下にある地下水が徐々に上昇して随時供給されるために数週間の晴天が続いても耐えることが出来ます。
鉢植えや施設内でのベット栽培では、毎日潅水するので、作土の保水力だけ留意すればよいのですが、一般の露地栽培では地下水の上昇を妨げない事も重要になってきます。
※ 作土:根が張る範囲の土。通常はロータリー耕で攪拌される範囲に相当する。
ロータリー耕(特に標準装備の鉈爪耕)は強固な耕盤を作るので、根張りを制限し、深い位置に出来た耕盤ほど根の貫入が難しくなるので、深耕を続けたときの影響の方が大きい。
※ 耕盤:すき床とも呼ばれる耕耘によって生じる緻密で堅い土層の事。耕盤の生成を防ぐ耕耘方法は存在しない。
新梢伸張の停止が早く、夏以降に二次伸長して芽が飛ぶ。
強い切り返しを行っても硬化せずに下垂し易くなる。
被害を受けた初期の果実は異常なほどに肥大するが、腐敗しやすく農薬の効果が無い。また、裂果しやすく収穫困難となる。
前者は根や新梢伸張の抑制による同化産物の溢れ、後者はカルシウムなどの吸収阻害が原因と考えられ、各種資材の葉面散布を行えば枯死を免れるが、回復させるには土壌管理の変更が必須となる。
被害から回復しても、それ以前に生育した部位が脆いため、寿命は極端に短くなる。
【排水】
暗渠に拘らず、明渠による排水を優先する。溝にしてしまうと地上での作業に支障をきたすので、蒲鉾状のゆるい畦にし、波型のトタン板のような外観にすると滞水が減り、地上作業に支障がない。
【石灰類の投入】
鉄やマンガンの過剰による障害が出る場合、土壌pHを高く維持して不溶化するしかない場合もある。
この時は、他の微小要素が欠乏を起こすので増肥する。
【土盛り】
暗渠や明渠に接続する排水路が確保できない場合、土盛りして土地そのものを高くするしかない事もある。
【酸素発生剤】
主として施設栽培出の灌漑用水に混入して使用するもの。イネの湛水直播栽培で、発芽時の酸素を供給するためのコーティング剤にも使用される。
【エア・バンダー】
圧搾空気によって地下に空洞を作る機械。少量の雨であれば地表に滞水しないので作業が楽になるが、根域の深い作物の場合、出来た空洞に根が入るため、土質や環境によっては雨が続くときには根腐れが起こりやすくなるので注意。
【有機物】
基本的に、湿害の起こる場所での有機物投入は避ける。
排水を良くし、通気性を高めるなどの効能は投入開始から何年も要するので、他の排水対策を講じた後にするべし。