腐植や有機物を投入する理由には、化成肥料などによる施肥に含まれない成分の補給と、土壌物理性の改良に分けられる。
腐植は、堆肥・厩肥や作物・雑草の残渣が分解した後に残る分解されにくい有機物で、
世の中には、石炭や石油を原料にして作られた腐植酸資材が存在する。
「腐植」と云う語の本来の意味がいかなるものであろうと、定量方法が決められた以上、その方法に従って得られた値が腐植の量なので、納得行こうが行くまいがどうしようもない。
石炭になる途中の泥炭や亜炭を硝酸で処理するとニトロフミン酸が得られ、「これ1袋で堆肥○トン分の腐植」などと書かれた有機肥料の原料となる。
石油精製カスである重油を硫酸で煮込み、水溶性にしたものもある。
副成分の硫酸を多量に残留させて強い酸性を示す液体状の資材なので、この種の資材の使用を公的機関が指導する例としては、過度の石灰投入などでアルカリ性化した土壌へのpH調整剤のみ。
腐植成分の方をなんらかの有用な目的とした使用例は発売元の広告以外に見当たらない。(どっかの油田の底から偶然発見された・・・みたいな文句がいかにも有機農法の便乗っぽくて嫌い。←あくまで、個人的な意見です)
腐植の主な材料となるセルロースは、β-ブドウ糖が5.15Å の間隔で直鎖状に繋がったもので、分子量が105〜106 と推定されており、これをブドウ糖の分子量(180.16)で除算すると約550〜5500個のブドウ糖分子が並んでいる事になる。
ここから推定される長さは0.25〜2.5μm で、バクテリア並みのサイズ。
ブドウ糖の一般名は glucose(グルコース)で、分子式は C6H12O6、構造式はいわゆる亀の甲型をしており、水によく溶ける白色の結晶。
光学活性を有するが天然に産出するものは全て右旋性なため、右旋性糖(デキストロース,dextrose)とも呼ばれる。
また、最初にブドウの果汁から発見されたので、グレープシュガー(葡萄糖)の名前でも親しまれている。
六角形のテーブルの角の夫々にに上下に突き出した足がある様な形なので、脚の配置によってα型とβ型と名付けられた立体異性体が区別でき、水溶液中では一部が解けて1本棒になった形のアルデヒド型を介して、夫々が化学平衡を保っている(≒交互に変身し続けている)【リンゴの蜜入り(ソルビトール)を参照】
デンプンは、α型ブドウ糖(α-グルコース)が長く繋がったもので、デンプン粒の中には、直鎖状のアミロースと、分岐部分を持つアミロペクチンに分けられる。
デンプン粒を水に入れて加熱すると、約70℃で皮が破れて、この2種類の内容物が出てくる。
アミロースの溶液はさらさらしており、ヨウ素の呈色は青色で、ジャガイモに含まれるデンプンなどでは全デンプン中に2割程度含まれる。
アミロペクチンは水煮すると糊になる成分で、ヨウ素反応での呈色は赤紫色になる。
アミロペクチンを含まない米の突然変異種が「もち米」である。
α-グルコースが繋がったデンプンは、グルコース分子が同じ向きを向いているのに対して、β-グルコースの繋がって出来たセルロースは、交互に上下逆向きの形をしている。この違いによって水や殆どの有機溶媒には溶けず、デンプンを分解する酵素では歯が立たない。
腐植酸塩肥料等に適用される公定法。
有機物とは、
乾燥させた土壌を強熱し、灼熱損量として求める。
【渡辺:生理障害の診断法】より抜粋
良い結果がでないと発表されないため、報告書の縦覧で誤った結論を導く可能性を指摘したもの。
有機物投入と深耕を否定するものではないことに注意。
| (設定) | 有機物投入量 | 施肥量(kg/10a) | 6年間の平均球重 | ||
| N | P | K2O | |||
| 無チッ素 | なし | 0 | 20 | 20 | 4.6t(69.7%) |
| 化学肥料単用 | なし | 20 | 20 | 20 | 6.6(100) |
| 有機物 | オガクズ牛糞 1.5t | 20 | 20 | 20 | 6.2(93.9) |
| 有機物・増量 | オガクズ牛糞 3.0t | 20 | 20 | 20 | 6.3(95.5) |
| 無リン酸 | なし | 20 | 0 | 20 | 6.2(93.9) |
| 深耕 | 20 | 20 | 20 | 6.2(93.9) | |
【解題】
高収田と低収田の調査をすると、高収田は腐植・リン酸・ケイ酸ともに多いが、熱心な農家だから作業の一部として土壌改良資材もよく投入してきただけの事で、低収田の主が土壌改良資材だけ投入しても同じ結果になるとは限らない。(管理技術の違い)
堆肥を投入した田は冷害に強いといわれるが、手間の掛かる堆肥投入を行っている農家は、その他の管理にも熱心なだけかもしれない。
圃場や管理者が異なるものを較べても意味が無い。
【バーク堆肥】
元来は針葉樹の樹皮を「バーク」と呼んだらしいが、事実上は製材所から出るゴミ(製材カス)を堆積・腐熟させたもの。
1980年代以前は単なるゴミとして捨てられていたが、商品化されて当初は腐熟の進んだものが流通したが、ブームとなったため不足して、未熟なものまで流通している。
最大の問題点は、樹皮に特化して普及させる微生物が優占種となっているため、果樹園などに投入すると木材腐朽菌(=病原菌)を導入するのと同じ事になってしまう。
バーク堆肥の投入が流行した果樹園地帯では皮部先行型の木材腐朽菌により樹肌が荒れていることが多いのに対して、流行しなかった地帯では木部先行型の木材腐朽菌が優占種となっている事が多い。
たまたま、後者の地帯で石灰硫黄合剤の散布が慣行化していたため、樹肌を綺麗に保つには石灰硫黄合剤が有効であるというデマが流れたことがあり、根強い信仰を持つ農家が存在する。
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