1999/12/31--2008/2/5,2010/10/26
吸収や移動を助ける要素・・・K、N
吸収や移動を妨げる要素・・・Ca(顕著)、Cu、Fe,Zn
吸収を妨げる要素・・・・・・P
従来、アブラムシ被害の多少はチッ素の量と関連があると云われていたが、1980年代に発表になった論文で、マンガンとの関係が明らかになった。(参考論文は和訳抄録のみ、再検索中)
作物体内での代謝にはマンガンを必要とする酵素があり、マンガンの欠乏で不活性化すると、代謝が中断して仕掛品(中間生産物)が異常集積する事になる。
この物質がアブラムシ類の繁殖に必要なため、アブラムシ類の繁殖力が強くなる。また、有翅世代はその成分が豊富な場所を探して定着するため、被害が集中する。
筆者所在地においてワタアブラムシ、モモアカアブラムシ、ユキヤナギアブラムシ、リンゴワタアブラムシ(リンゴワタムシ) で、この傾向が認められ、マンガンの施肥で激減する。
しかし、体内貯蔵して再利用できないマンガンは、新しく出来た組織で常に欠乏状態となるため、リンゴの害虫で発芽〜開花初期に寄生するコブアブラムシなどに対しては、施肥の効果は無く、葉面散布も幼葉に薬害が出るので低濃度でしか散布できず、実用的な防除は実現できていない(追試中)。
マンガンは、水田の湛水下で溶脱し、B層に集積して斑紋や結核をつくる。
鉄よりも還元されやすく、酸化されにくいため、鉄の集積層より下方に見られる。
(注:マンガンは還元されると可溶化して溶脱し、酸化されると不溶化して集積する。)
(注:A層:溶脱層/表層 A0(粗腐植層)、A1()、A2(漂白層)
B層:集積層/下層 B1(腐植層/鉄集積層)、B2
C層:風化物層/底層 D層:母岩層
渡辺式迅速養分測定法(農文協・刊)をベースに一部を翻案してあります)
本法の検出感度は極めて高く、原子吸光分光分析の10倍に達するいが、発色の安定が悪く、吸光光度計が使用できない(間に合わない)。
【試薬の調製】
【操作】
最高色調は試薬添加後、30秒〜1分の間ときわめて短い。Mn 含量が高ければ、試薬3 の添加直後に青色レーキ(もやもやしたもの)が生成する。
試薬添加量の影響が大きく、量に応じて濃〜淡色になる。
pH の影響も大きく、基準溶液が pH6.5〜7 で呈色度 3 のとき、pH8,10 では呈色度 1、pH5,4 では呈色度 0、同じ試料を 10%酢酸ナトリウム(pH5.2)で抽出した場合、呈色度は 5 になる。
【判定】
| 水溶性マンガン(Mn2+)の診断基準 | |||||
| 呈色度 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
| テスト液中濃度 | 0.05ppm | 0.1 | 1.25 | 2.5 | 5.0 |
| 乾土1kg当り | 0.25mg (ppm) | 0.5 | 1.25 | 2.5 | 5.0 |
| 土壌溶液中濃度 | 0.8ppm | 1.5 | 3.8 | 7.5 | 15 |
| 診断 | 滴 | やや多い | 多い | ||
【簡略法】
10% 過酸化水素水を滴下し、発泡の多少で判定する。
オキシドール(5%過酸化水素水+リン酸)で代用しても構わない。
【ベンジジン法】
ベンジジン 1g を、酢酸 10ml に溶かしてから、水で 100ml にしたものを濾過して使用する。
土壌断面に振り掛けると、MnO2 の集積した層が鮮やかな黒紫色になる。
還元態--Mn(U)を検出したいときは、土壌断面に 0.05N-NaOH(または KOH)を振り掛けて湿らせてから、ベンジジン液を振り掛ける。
作物体内での再移動が遅く、根からの吸収が悪いと新葉の葉脈以外の部分が黄〜薄い緑色になる。(軽い欠乏では、光にかざさないと判らない事が多い)
ただし、葉脈間の黄化は他の要素欠乏全般に見られる症状で、特にMg・Fe・Zn の欠乏と区別が付きにくい。
これら3要素とは相互に関連性があり、特に亜鉛の欠乏と併発しやすいなど、診断には葉分析を併用するのが望ましいが、硫酸マンガンの葉面散布で回復しないときは硫酸亜鉛の追加散布で回復する事が多い。
著しい欠乏では、新しく出る葉が小型化しやすく、 黄化した葉脈間が褐色になるが、イネ・ムギ・トマトなどではやや古い葉に症状が出やすいなど、作物によって発症部位が異なる。。
果実には欠乏症状が出ないが、生育不良に伴って着色不良などの二次的な症状が発生する場合がある。
多くの土壌で、欠乏症が出るのは pH6.5 以上のときで、欠乏症の発生時にはアルカリ性資材の投入を停止する。
マンガンの欠乏により、鉄の過剰吸収が起こり、リン酸の吸収と移動を妨げる。また、リン酸の多肥でMnの吸収が妨げられる。
【欠乏の起きやすい条件】
【応急処置】--葉面散布
・硫酸マンガン(MnSO4・4H2O)を使用する。
| 野菜類 | 0.3% | |
| 0.25% | ||
| 1.5% | ||
| モモ | 0.2〜0.5% | 4月下旬から,1週おき2〜3回(欠乏時5回)散布.徐々に濃くする。 または,1樹2kg施用. |
| リンゴ | 0.3% | 6月頃より,2〜3回散布. |
| ブドウ(デラのみ) | 0.5% | デラウェアのゴマシオ症(着色不良).2回目のジベ処理時に加用する |
| ブドウ(その他) | 0.5% | 開花15〜22日後に使用する.0.5%以上で薬害が発生する. ジベレリンとの混合浸漬は薬害があるので使用しない. |
【施肥】(畑全面に散布)
土壌中の易還元性マンガン・・40〜45ppm以下
置換性マンガン・・・3〜5ppm 以下は欠乏土壌なので、老朽化水出や火山灰土壌では、MnO として 2〜4kg/10a を、2〜3年おきに投入する。
土壌緩衝が低い畑では、欠乏と過剰が交互に発生し易く、管理が難しいので有機物を入れて緩衝能を高める。
葉脈間が薄緑になって葉脈だけに緑色が残る。陽光で透かしてみると判り易い。
新葉から出易いが、枝全体にでる事もある。
樹勢・品質・収量への影響は見られない事が多い。
普通温州や早生温州よりも、ハッサク・夏ダイダイに出易い。
酸性土壌の改良と称して、石灰類の過剰投入で発生する事例が多く、多くは亜鉛の欠乏と併発している。
【事例:富有・次郎の早期落葉(愛知県)】
5月始めに新梢基部の葉の先端に小黒点が現れ、葉裏には葉脈先端に黒変が見られ、次第に葉脈間が黄化し新梢の中間までの葉に症状が現れた。
軽いものでは、6月中〜下旬に黄化が回復する。
重いものでは、症状が現れて数日後に落葉が始まり、基部から中頃まで落ちる事がある。
(ムギ全般:褐色条斑病)
古葉に近い葉の葉脈間が黄化する。後にオオムギでは褐色化するが、コムギでは白色化する事が多い。
葉幅が広くなり、葉全体の活気が衰えて軟弱下垂する。
伸長期〜幼穂形成期にひどくなる。
生育後期に回復する事もあるが、重症だと出穂や成熟が遅れる。
(主にコムギ:褐線萎黄病)
葉幅が広くなり、葉脈間が褐変し、軟弱下垂する。
重症だと下葉が枯れ、伸長が停まり、穂が小型化・奇形化して収量が減る。
陸稲では、水稲より欠乏がでやすく、症状はムギと同じ。
水稲では症状がはっきりしない。
下葉〜中間葉が黄化し、葉脈に沿って褐色の斑点が出る。新葉には出ない。
漏水田・秋落ち水田では、マンガンの流亡が激しく、ゴマ葉枯病の発生が多い。(硫酸マンガンの施用で、ゴマ葉枯れや下葉の枯れ上がりが減る)
(白渋病)
老朽化水田の裏作などで、置換性マンガンが 2〜3ppm になると、ダイコン・ナス・トマトなどで新葉が全体に白っぽくなり、葉脈間が薄緑色になる。
土壌酸性の改良(矯正)によって症状が激しくなる。
新葉に近いところから黄化する。小葉の先端は黄化せず緑色が残る。
鉄欠乏と似ているが、Fe欠では新芽が白くなるのに対して、Mn欠では白化しない。
葉縁が黄化する。硫酸マンガン0.2%の散布で完全に抑制できる。
【過剰症の特徴】
下葉から発生し、葉脈部や葉脈間にチョコレート色の斑点や条を生じる。根はチョコレート色に変色する。
強酸性土壌で吸収が増えチョコレート色の斑点が生じる。
斑の大きさは様々で、数も数個から多数と様々。
葉先の葉縁から発生し、葉柄付近には出ない。古葉に出易い。
10月頃から出始め、2〜3月頃に落葉がひどくなる。
樹勢が悪く、新根発生の悪い樹は落葉がひどい。
落葉葉中のマンガンは、150ppm 以上。
(枝枯れ病)
枝の皮層内部が褐色になり、ひどいと枝枯れを起こす原因の1つと考えれている。(他に、カビ・バクテリア・ウィルス・ホウ素欠乏でも同様の症状が報告されている)
健全樹の葉中マンガン・・・100〜200ppm
粗皮病樹の葉中マンガン・・200〜400ppm(甚:700ppm)
酸性土・排水不良土壌に多く、マンガンの過剰施用でも全く同じ症状が出る。
(粗皮病)
はじめ枝の皮に小粒状の発疹を生じ、後に円錐形に隆起しながらひび割れを生じ、輪状に拡大する。
(同様の症状を示すイボ皮病では、釣り鐘状に隆起する点で異なる。)
樹皮表面が褐色で皮層に暗褐色のネクロシスが斑点状に出る。症状が激しいと木部にもネクロシスが出る。
皮層内部の褐変枯死が起きた結果、表面に異常な凸凹となって現れる。
紅玉は枝枯れがひどく、粗皮症状は軽い
国光は、はじめに粗皮症状が出て、悪化すると枝枯れが出る。
※ 「粗皮病」は、樹皮に隆起や亀裂を生じる障害の総称で、ホウ素欠乏やイボ皮病も粗皮病と呼ばれる事がある。
過剰地帯では初期生育が悪く、特に分けつが悪い。
田植え後1ヶ月間の根の伸長が悪く、分岐根が多い。株の地際が紫〜黒褐色に汚れる。
後期には穂数は揃うが小穂が多く稔実が悪い。
易還元性マンガンは、通常 100ppm に対して、300ppm 以上
葉中マンガンは、 通常 0.05% に対して、0.2〜0.3%以上
(発生しやすい条件)
マンガン鉱山からの伏流水が流入する場所
すき床層にマンガンが異常集積している水田
・・・など
古葉に紫褐色斑点が多数出る。
ひどいときは、末展開葉にも小斑点が出る。
マンガン含量の多い地帯で、強酸性となった所や湿害を受けた所に多い。
下葉の先端に褐色の斑点が出る。新葉には出ないのが特徴で、根の伸長が悪く、地上部の伸張も著しく悪い。
古葉先端に褐色の小斑点が着き、黄褐色になって枯死する。新葉は内側に巻く。
はじめは葉脈沿いに褐色の小斑点を生じる。ひどくなると葉脈間が褐色に壊死し、葉が萎凋して枯死する。古い葉から発生し、次第に上葉へ萎凋が進む。
久留米H系・・・褐変が広範囲に出て症状が重い。
ときわ夏節系・・症状が軽い。
葉に小さい黒紫色斑点が多数出る。古葉よりも新葉に出やすく、ひどいときは葉がねじれて奇形化する。
斑点のみで葉色は変わらない。
チッ素の過剰施肥でマンガンの吸収が促進される。
施設内土壌で、強酸性のときに発生しやすい。
※ キュウリ・ナスでは、鉄錆病・ごま葉枯れ病・褐色葉枯病と呼ばれる事がある。
葉脈が紫黒色のサビ状になる。
葉が巨大化する。
酸性土壌の場合、石灰類の投入が多くなると苦土欠乏を助長する事があるので、適宜、苦土石灰を使用する。
下層土に資材が届くように留意する。
BMようりん:
ク溶性のリン酸・苦土を含むようりん(溶成リン肥)にホウ素(名称中の'B')とマンガン(M)を加えたもの。20kg包装の製品ではB・Mを含まない「ようりん」よりも100円程度高価に設定されている。
硫酸マンガン:
水溶性のマンガン肥料。速効性だが、流亡しやすく、過剰害も起こり易いため、まとめて投入するのは危険で、分肥が必須。葉面散布にも使用できる。
FTE:
微量要素6成分をバランスよく含み、「ようりん」のように硝子質の粒子なので肥効が長続きし、流亡せず、過剰害も起こりにくい。
例1-TOMATEC(東鑵マテリアル)・FTE1号
保証成分:、く溶性マンガン--19%、く溶性ほう素-- 9%
保証成分以外の成分:鉄・亜鉛・銅・モリブデン
(肥料取締法に定められた表示用件を満たさないため、保証できない成分)
施肥量:4〜6kg/10a = 4〜6g/m2
荷姿:2kg x 12袋------顆粒品のみ
20kg紙袋--------粉状・粒状
販売地域:全国。ただしJA全農以外への取次ぎは出来ない
例2-TOMATEC(東鑵マテリアル)・FTE295号
保証成分:、く溶性マンガン--29%、く溶性ほう素-- 5%
保証成分以外の成分:鉄・亜鉛・モリブデン
施肥量:6〜8kg/10a
荷姿:20kg紙袋--------粉状・粒状
販売地域:全国。ただしJA全農以外への取次ぎは出来ない
菱マンガン:(りょう・まんがん)
炭酸マンガンを主成分にした可溶性(水溶性ではない)マンガンで、硫酸根を含まないので土壌酸性化の心配がない。
(※ ただし、硫酸に含まれる「硫黄」は必須要素です。)
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