硝酸還元酵素の成分で、欠乏すると体内に硝酸態チッ素が蓄積する(植物で唯一認められる効用)。
根粒菌が空中チッ素を固定する時に必要な酵素「ニトロゲナーゼ」の構成成分で、マメ科植物の根粒には茎葉の10倍のモリブデンが含まれる。
モリブデン欠乏地帯で栽培された豆類は窒素欠乏を起こして生育が悪くなるので、チッ素の追肥が行われる事が多い。施肥後しばらくすると、硝酸態チッ素の過剰蓄積症状(コップ状葉など)が起こるが、施肥さえ行わなければ窒素欠乏による生育不良しか起こらないのが特徴。
作物体内のビタミンC含量は、モリブデンが欠乏すると低下し、モリブデンの施用で増加する。
体内に適量存在すると、Zn・Cu・Niなどの過剰害を軽くする。
体内で、吸収リン酸の有機化に関与する
ひどい欠乏では、葉が黄化〜落葉して品質・収量が低下する。
酸性土壌で欠乏を起こしやすく、酸性土壌による障害の原因の一つと考えられている。
土壌中のモリブデン含量 ・全Mo:0.5〜3.0ppm
・置換性Mo:0.05〜0.4ppm ・水溶性Mo:0.01〜0.02ppm
作物体内のモリブデン含量 ・0.01〜1.0ppm
ぜいたく吸収するので、施用によって高濃度となりやすい。
・安全レベルは、5ppm以下
吸収を助ける要素:P,K
吸収を妨げる要素(過剰時のみ):NH4,SO4,Ni,Fe,Mn,Ca,Mg
典型的な欠乏症状:古い下葉〜中葉に黄緑色〜淡橙色の斑点を生じる
(広葉)葉が内側(表側)に向かって湾曲し、コップ状になる
(細葉)葉がよじれる。ひどくなると緑色の薄くなった斑点が褐色になり、葉縁が枯死する。
ハナヤサイ・ダイコンでは葉肉部分が退化して犬の尾のようになる「鞭状葉」を生じる。
【欠乏の起きやすい条件】
【応急処置】
【根本的な対策】
(オウハン病)葉に黄斑を生じ、次第に褐斑となる。葉先と周辺部が内側に巻く(葉縁が立って葉裏が見えるようになる)。
(鞭状葉)葉肉部分が退化して犬の尾状になる(ダイコンの小葉を取り去った形状。正常なら、中肋から左右に広がる部分が展開せず、先端だけヘラ状になる)
花蕾の肥大が悪く、ひどい時は矮化する。
(萎縮病)葉先が黄化し、成長が悪くなる。
葉の切れ込み部分が大きく、葉肉部分が少ない。
小葉がややコップ状になり、ひどい時は下葉が萎凋する。
根粒の付きが悪く、小さく、白っぽい。
チッ素固定能力が衰えて、地上部はチッ素欠乏様となる(伸長が衰え、葉が黄化する)。
黄斑は出ないが、内側に巻いて、コップ状葉となる。(土中チッ素が欠乏していれば、この症状は出ない)
下葉の葉脈間に不鮮明な黄斑を生じる。
葉がコップ状に曲がり、花は落ちるものが増える。
果実の肥大する6〜9月に葉の先端から黄化し、新葉がコップ状に巻く。
葉にマンガン欠乏のような濃淡ができる(オウハン病)
欠乏がひどいと、チッ素欠乏時のように黄化し、落葉がひどくなる。
酸性になりやすい急傾斜の園地で発生しやすい。
果実肥大期に黄褐色の斑点ができ、欠乏がひどいと果実を残して落葉する。
岩手県で発生し、当初は奇病と呼ばれた。
苗を植えてから3〜4年後に出やすい。
葉の先端や周囲に褐色の斑点を生じ、内側に巻く(コップ状葉)。欠乏がひどいと落葉しやすくなる。
葉に灰白色の不規則な斑点を生じ、萎凋落葉する。
モリブデン含量の多い牧草を牛に与えると、下痢や体毛の変色・脱毛、衰弱などの症状を起こす。
【応急処置】・・・なし。
硫安・硫加などの使用や、硫黄華を散布(20〜30kg/10a)し、土壌を硫酸酸性にすることで吸収を抑える。