亜硝酸態チッ素

肥料・petronium・nitrite・NH2-N



1999/12/31-2011/08/20



概要


 土中でアンモニウムイオン(アンモニア態チッ素)が硝酸イオン(硝酸態チッ素)に変化する途中で発生する毒性の高い物質。
 強い還元性を持ち、細胞内で酸素を奪うため壊死に至る。
 亜硝酸菌(細菌)がアンモニアに作用して生じるが、通常は速やかに硝酸化成菌(細菌)によって毒性の低い硝酸イオンに酸化される。
 多肥や土壌消毒の後(硝酸化成菌の死滅)などに一次的に高濃度となって気化し、施設栽培では短時間で葉を枯らす事がある。
 目に見える被害が出た後で土壌を分析しても検出できない事が多いが、施設被覆に着いた露滴から検出できる事がある。

 堆肥や尿素など、アンモニアを生成して一次的に土壌pHを上昇させる資材が大量に投入された場合、硝酸化成細菌の活性が低下して亜硝酸が集積する。
 その後、硝酸化成が進んで土壌pH が低下するとガス化して葉に急性の症状を起こす事が多い。

 土壌消毒では、硝酸化成菌が死滅することで発生しやすくなるが、多肥を伴わなければ被害に至る事は少ない。


土中チッ素の挙動

 土中のアンモニアは、亜硝酸菌によって亜硝酸となった後、硝酸化成菌によって(通常は速やかに)硝酸に変化するので、土中から多量に検出される事はないが、硝酸化成菌の方が活性が低いため、多肥下では亜硝酸が集積する事になる。

 亜硝酸菌の活性は pH7.5 で最大になるのに対して、硝酸化成菌の最大活性域は pH7.0 だが、亜硝酸菌の活性の幅は広く、pH5.0 では硝酸化成菌の活性を上回る

 pH5.0 以下になるとガス化する。
 硝酸が土中に集積して酸性化した状態で、温度が上昇すると、急激にハウス内に充満し、1晩のうちに枯死することもある。

 障害が発生したハウスの調査例では、施肥チッ素が70〜120kg/10a
 障害発生直後の土中成分は、アンモニア:極めて多量、硝酸:30〜60mg/100g土、亜硝酸:5〜10mg/100g土

 多肥のみでは発生しないこともあるが、連作・過乾燥・過湿・ナタネ油粕の多投・砂質土などの条件が揃うと著しい。
 ※ナタネ油粕:(たぶん→)ウレアーゼ活性によるもので、投入資材中の尿素含量が少なければ問題にならない(←と思う)。

土中蓄積害の症状

【軽度の被害】一時的な生育停止と葉の濃緑色かが起こるが、亜硝酸が消滅すれば回復する。

【中位度の被害】生育が極端に抑制され、下葉が濃緑色化し、新葉は黄化する。古い根は枯死し、新根先端は褐変して伸長が止まる。

【重度の被害】生育が停止し、新葉が黄化した後、枯死する。

 葉の黄化は、Fe、Mn の欠乏と似ているので、汁液を分析するか、これら資材の葉面散布をして確認する。

ガス害の症状

 中位葉から被害が現れ、下位や上位へと進む。新葉は被害を受けにくい。(光合成活性の違いによるガス交換量によるもの)

【軽度の被害】中位葉の葉縁部と葉脈間に水浸状の斑点が現れ、次第に黄褐色や白色に変わる。要素欠乏と異なり、被害部と健全部の境界ははっきりしている。

【重度の被害】熱湯で茹でたように枯れるが、新葉と下葉だけかろうじて緑色を保つことが多い。。

作物別の強弱

・抵抗性が強い作物・・・・ピーマン
・抵抗性が弱い作物・・・・ナス・トマト・イチゴ



亜硝酸態チッ素の測定

 亜硝酸は不安定なため、検出されれば即時に危険と判断して対処した方が良い。
 同じ理由により、定量による基準値との照合は難しい。

土壌 pH による間接的な検知法

土壌pH :表層 1cm を除去し、直下の2〜3cm 厚の土を採取し、蒸留水で抽出する。
 判定:pH 7.0 以上・・・安全
    pH 5〜6 ・・・・警戒
    pH 4.0 以下・・・危険

 ハウス内の露滴pH :早朝に露滴を集めて測定する。判定は土壌pH に準ずる。

亜硝酸標準液

(100mgN/L.溶液)NaNO2 :0.493g を水に溶かして 1リットルにし、密栓して冷蔵する
 使用時に100倍希釈し、試験管に 1〜10ml 分注して水で 20ml にすると、0.5〜5ppm の標準液となる。

グリース・ロミイン亜硝酸検定試薬

試薬の構成が異なるだけで、貯蔵や操作法は硝酸検定試薬に準じる。

【試薬の調製】調製済みの混合試薬(粉末)も市販されている。

  1. αナフチルアミン  1g
  2. スルファニル酸  10g
  3. 粉状酒石酸    89g
     を、乳鉢で混和する

【判定】
水抽出液
呈色度
テスト液中濃度 0.05ppm 0.1 0.25 1.0 2.5
乾土100g当りmg
(10a当りkg)
0.025mg(kg) 0.05 0.125 0.5 1.25
土壌溶液中濃度 0.75ppm 1.50 3.75 15.0 37.5
診断 多い 酸素不足・多肥 ← 注意 → 危険

※ 上記表中、テスト液中濃度以外の数値は単純換算したもの。

過剰域であっても、葉柄中濃度は検出感度以下の事が多い。
 比色計を使用する時は、520nm で、0.01〜0.1ppm の測定が可能



アゾ色素法

【小倉紀雄:調べる・身近な水.76-81pp. 講談社 ブルーバックス・刊,】

【試薬の調製】

  1. (発色試薬A)スルファニル酸アミド 2g を、
      塩酸 60ml +水 80ml に溶かした後、全容を 200ml としたもの(・・・塩酸の品位不明・・・調査中)
  2. (発色試薬B)N-1-ナフチルエチレンジアミン2塩酸塩 0.2g
      を、水で 200ml にしたもの

【操作】

 検出範囲は、0.02〜0.3ppm で、共立パックテストWAK-NO2 を使用して得た値は、本法で得た値の約2/3となる



パックテスト(共立・ほか)

 小型のポリエチレン製チューブに粉末試薬が封入されたもので、添付のピンで穴を開けてスポイトのようにして検液を吸い込ませるだけ。
 発色後に添付の比色表と較べて判定する。

 1998年当時の価格は40入り4200円。かなり高単価なので自腹でやるなら薦めないが、公費で買って貰えるならとっても楽。
 亜硝酸以外のキットも販売されている

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