2005/4/1,2008/3/10,2009/1/17,2011/10/05
基肥を与えているにも拘らず、葉色の上がりが悪い(緑が薄い)のをチッ素の不足にするのが最も多い「誤診」で、リン酸・苦土・マンガン(←殆どがコイツの所為!)など他の成分が原因となっている事が多い。
チッ素以外の要素の過不足であっても、全てチッ素肥料の「さじ加減」だけで解決しようとする伝統が根強く、「チッ素」は最も誤解されている要素と云える。
C・H・Oと共に、タンパク質の構成成分で、根の発育・茎葉の伸長・葉緑体など全身に必須の要素。
主として硝酸態やアンモニア態として吸収されるが、硝酸態は体内でアンモニア態になってから、アミノ酸を経てタンパク質に合成される。
体内で再移動し易いため、欠乏症は古葉から生じる。
チッ素を含む物質は大きく4つに分類され、作物との関わりが異なる。
多くの陸上植物は、硝酸態(NO3-N):アンモニア態(NH4-N)=5:1 のときに吸収や生育が最もよくなるが、アンモニウムへの耐性によって特殊な構成を好む作物がある。
・好アンモニウム植物・・・・チャ・パイナップル・水稲
・アンモニウムに弱い作物・・トマト・ハクサイ・ホウレンソウ
※アンモニアとアンモニウムの違いは後述の別項参照
・空気の約7割を占める「チッ素ガス」のこと。
気体チッ素から有機・無機態のチッ素化合物が合成されることを「チッ素の固定」と言い、一部の細菌類が行う他、酸化チタンが触媒となって非生物的な固定も行われる。
TiO2 の光化学的還元触媒の働きにより、N2→NH3 が生成される。
・チッ素を固定する微生物が居る一方で、気体チッ素に戻す微生物も居て「脱窒菌」と総称されている。
(チッ素の固定はチッ素をアミノ酸の原料などとして利用するためだが、脱窒は酸化によって生じるエネルギーが目的。)
・チタン含量の高いアメリカのカリフォルニア砂漠では、年間 1〜10kg/acre のアンモニア生成が計測されており、原始地球でのアンモニア生成に貢献していたと推測されている他、原始大気中には気体チッ素がなくアンモニアとして存在していたとも考えられている。【Henderson,Schwartz, 1980/微量要素〜農業生態系(1990,養賢堂)より孫引き】
・工業的に合成される尿素やアンモニア(アンモニア→硝酸)の原料。
・アンモニア態チッ素とは、アンモニウムイオンやアンモニウム塩に含まれるチッ素成分の事で、定量分析ではアンモニウムの量を測定した後チッ素分だけに換算して表示するので、”NH3-N ”と略記する事が多い。
(アンモニア[NH3]は、水に溶けるとアンモニウム[NH4・OH]に変わるので、アンモニアとアンモニウムは同じものとして扱われる事が多い)
・有機物が分解されたときに最初に出来る無機態チッ素で、尿素肥料もアンモニアに分解されて肥効を発揮する。
その後、酸素のある場所では微生物の働きによって亜硝酸を経て硝酸態チッ素に変化する。
・細胞中の糖がなくなると呼吸基質としてアミノ酸が転用されるが、この時にアンモニアが生じてしまう。
アンモニウムイオンは、細胞内で数mmol(ミリモル)の濃度(→微量!)に達すると死に至るため、炭水化物などと共にアミド類に合成され、細胞内濃度を低く維持する働きがある。アミドはその後アミノ酸を経てタンパク質に合成されていく。
・硝酸態チッ素とは、硝酸イオンや硝酸塩に含まれるチッ素成分を指し、定量分析では含まれるチッ素の分だけを表示するので、”NO3-N ”と略記する事が多い。
・硝酸は「酸化力」を持った「酸」なので、生成されると土壌pHが低下するだけでなく、Fe(U)・Mn(U)などが酸化されてFe(V)・Mn(W)となって不溶化する。
・酸素のない場所では微生物(脱窒菌)の働きによって気体チッ素(N2)に還元され、肥料としての機能を失う。
このため、水田のような還元環境(極端な酸欠状態)では硝酸態チッ素を配合した資材は使用しないのが常識となっている。
一部の雑誌(および系列の出版物)では「硝酸態チッ素は酸素を含むので、湿害対策に有効」という説を掲げて久しいが、脱窒菌によって無駄になるばかりか、脱窒の途中で有害な物質になってしまうので、斯様な環境での使用は好ましくない。(「湿害」を参照)
土中チッ素の大部分を占める要素。
有機態チッ素は、生物の分泌物や遺体が由来となったもので、元来「有機物(organic matter:オーガニック)」は人知で合成出来ず、生物の摩訶不思議な能力でだけ作る事が出来る物質と云う意味であった(organic は「生物に由来する」と云う意味)。
化学の分野で有機化合物である「尿素」の合成に成功して以来、殆どの有機物は無機物を原料に合成可能となったが、構造の似た有機物を原料とした方が安上がりである事から使用されているに過ぎない。
オーガニックの意味は変わらざるを得なくなり、日本語訳の「有機物」は生物の関与に関わらず「比較的複雑な炭素化合物」という曖昧な意味に変わりつつも、カタカナ語の「オーガニック」は生物原料や天然鉱石類(無機物)に限定されるようになった。
「有機農法」の有機はオーガニック(カタカナ語)の意味で、主として生物の遺体や糞尿を指し、化学合成された有機物は含まないが、無機物に該当する鉱物(ノルチッソなど)も太古に生物が関与したか、人が関与していないという理由で有機肥料に含める。
分解が進んでアミノ酸のような小さな分子になれば、有機化合物のままで作物に吸収される事もあるので、有機栽培を扱う文・書の中には、従来の肥料学を否定(ただし、超古典のリービッヒ説のみ)したり、有機物の必要性を論じる根拠として採用しているが・・・
一般に、作物の根を取り巻く微生物相が活性を保った状態(=健康な土)では、根を囲む微生物の層を通過する間に無機態チッ素に分解されて届くので、無菌に近い特殊な環境でしか起きない現象であり、供給源としては重要だが、肥料要素として扱わない事が多い。(形態を問わない「全窒素」として測定され、アンモニア態や硝酸態などの量を差し引いて推定される)。
「全チッ素」という場合、通常はこれら3態のチッ素の合計を指すが、有機農法ではアンモニア態と硝酸態の合計だけを指すことが多く、分析結果を読む時には注意が必要。(有機農法で有機態チッ素を無視する理由は不明)
アミノ酸は弱酸で、カチオンの交換基としても重要。(アミノ酸自体は水に溶けてしまうので肥料成分を保持するのに役には立たないが、タンパク質のような不溶性の巨大分子の末端で働く)
有機肥料・化学肥料という分類は、第2次有機物ブームの起こった1970年代後半から主流となったもので、それ以前は天然肥料・人造肥料と呼ばれていたが、有機=自然=善(安全)、化学=悪(危険)のイメージが定着してから言い換えられるようになった。
天然肥料は、生物の遺体や代謝物に由来するもの(2000年現在の「有機物」と同義)と、鉱物(地下から掘り出したもの)粉末から成り、鉱物が原料であっても粉砕や加熱よりも高度な加工を施したものは化学肥料に分類される。
有機化合物の定義変更により、特に「尿素」などは工業的に合成されたものと、し尿由来のものとに分割されてややこしくなったが、有機肥料中のチッ素成分は形態によらず、まとめてチッ素含量として扱う事が多い。
また、鉱物粉末は無機物であっても、(化学肥料ではないと云う意味で)有機肥料に分類されており、結局のところ、旧来の呼称(天然・人造)に即した分類が適用されている。
特殊な例として、アスファルト(原油のカス)を硫酸で煮込んだものが「腐植酸」製品として市販されており、有機農法では有機肥料として扱われるが、肥料取締り法の制限(=消費者の保護)を受けない土壌改良剤として流通している。
「尿素(Urea/CO(NH2)2)」は主として陸上動物の尿に含まれる物質として命名され、化学の分野では有機物に分類されるが、市販品は殆どが工業的に合成されたものなので、化学肥料として扱う。
尿素は分解されやすく、分離・精製した状態でしか保存できないため、し尿由来の有機肥料として流通する事は無い。。
尿素は酵素(ウレアーゼ/Urease)で分解されてアンモニア態に変化するが、その後硝酸化成細菌によって硝酸態となる。
これらの変化速度は温度に依存するが、この間、アンモニア態化によって土壌pHは上昇し、硝酸態化によって低下するため、尿素が多量に投入された土壌環境は短期間で劇的に変化する。
硝安や硫安に由来するアンモニアと異なり、酸性の副成分が無いため、硝酸化成細菌の活性が高くなり、硝酸態チッ素への変化は比較的早い。
尿素はそのままでも植物に吸収され、葉面に散布した場合は他のチッ素肥料より高濃度でも障害を起こさないので、(高濃度散布によって)早く吸収させることが出来る。
尿素だけを定量するには、尿素分解酵素(urease/ウレアーゼ)によってアンモニアに分解する前後のアンモニア態チッ素の差として求める事ができる。
植物が吸収できるのは無機態チッ素以外にも尿素やアミノ酸なども含まれるが、細胞内では(一部のアミノ酸を除いて)殆どがアンモニアを経て利用される。
尿素の分解にはニッケル、硝酸態チッ素にはモリブデンを必須とする酵素が必要で、これらの酵素によってアンモニアに還元してから利用される。
硝酸還元系では、硝酸イオン1モル当り、電子伝達系から8モルの電子を受け取ってアンモニアに還元するが、これはブドウ糖1モルを合成するのに必要な電子エネルギーと同量で、計算上、硝酸1分子を利用するためにはブドウ糖1分子相当のエネルギーが消費されることになる。
そこで、しろーと相手の営業では、分子量の比を使って「硝酸態チッ素 1gを利用するには、9.4g のブドウ糖が消費される。」と云った方が、インパクトが大きくなりますな(^^;
「硝酸態チッ素」と較べるのがポイントで、硝酸イオンと較べたのでは分子量が 14 の[N] に対して [NO3-]では 64 に増えるので、ブドウ糖換算では 2.1g に減ってしまいます。
【アンモニによるガス障害(主として施設内)】有機肥料が投入されると、微生物による分解の過程で土中の酸素が奪われるため、硝酸化成が行われずにアンモニアが集積する事がある。
アンモニアはアルカリ性の環境下でガス化するが、アルカリ性肥料(石灰など)を投入したとき以外にも、アンモニア自身がアルカリ性の物質なので、高濃度化が原因でガス化する事がある。
ガス化したアンモニアは、気孔から体内に入って細胞から酸素を奪うので、被害は急速で、被害葉は黒ずんで萎凋する。
土中でアンモニウムイオン(アンモニア態チッ素)が硝酸イオン(硝酸態チッ素)に変化する途中で、毒性の高い亜硝酸イオンが出来る。
亜硝酸の毒性は還元性で、細胞の中で必要な酸素を奪う作用によるもの。
通常はすぐに硝酸イオンにまで酸化されるが、施設栽培で多肥が行われた場合や土壌消毒によって亜硝酸から硝酸に変化させる細菌が死滅した場合などに一次的に高濃度となって気化し、短時間で葉を枯らす事がある。
毒性の順位は、亜硝酸>アンモニア>硝酸 で、硝酸態チッ素の毒性はきわめて低いため、多肥を行って 5,000ppm以上蓄積しても枯れないが、人や動物が食べた時に胃の中で亜硝酸が発生し、乳児が「ブルーベビー症候群」と呼ばれるチアノーゼ症状(酸欠で血色が紫色に見える)を起こしたり、成人でも消火器内の細菌によってニトロソアミンという発癌物質が出来やすくなる。
牛の場合、ルーメン(第1胃)で異常発酵を起こして腹が膨れ、すぐに処置しないと死に至る事故も発生する(腹鼓症)。
チッ素が過多になると害虫被害が増えるといわれ、特にアンモニア態チッ素でアブラムシが、硝酸態チッ素でハダニの被害が増えるといわれてきたが、実際の観察では。チッ素形態との相関は無く、土中水分の変化に伴う酸素の豊否で、チッ素の形態が変化するのと偶然一致しているに過ぎない。
【アブラムシ】
アブラムシの吸汁の主目的はタンパク質と水分の摂取で、作物の汁液中に含まれる糖分は殆どが不要らしく、濃縮して排泄するので、葉が照かって油を引いたように見えるというのが名の由来。
ゴキブリの別名も”あぶらむし”(なぜかひらかな表記が多い?)だが、こちらは油を塗ったような体表の様子が、その名の由来。
体を作るタンパク質の原料になるチッ素が豊富なほど増殖も盛んで、被害が増える。
多くのアブラムシの増殖には、作物体内でマンガンの欠乏時に特異的に増えるる物質が必要で、有翅世代が定着場所を探すときもこの物質を求めて試し吸いを繰り返す事が判っている。(マンガンを必須とする酵素が働かなくなる事で代謝が停滞し、仕掛品として溜まってしまう物質がある)
マンガンの欠乏は土壌の乾燥で起こり易いが、石灰の過剰投与でも発生し、多肥下でアンモニア態チッ素が増えると土壌 pH が上昇して、溶け難くなるために欠乏しやすくなる。
一方で、可溶化は溶脱を促進して欠乏を起こすが、一定の深さに達するとアルミニウムなどのマンガンよりも酸化還元電位が低い物質によって酸化され、不溶化し斑状に集積することがあり、天地返しなどによって再利用可能になることもある。
雨が多く土中の酸素が欠乏するとアンモニア態チッ素が増え、土中のマンガンも可溶化し易くなるが、チッ素のように定期的に施肥する習慣が無いため、可溶化は流脱を促進して、作土中で不足する事が多い。
マンガンは作物体内で再移動し難い要素なので、生育初期は常に欠乏状態で、、老化した葉からは結露や雨水などで濡れた際に流れ出すため、生育初期と後半で欠乏する事がある。
【ハダニ】
の場合は、チッ素由来のタンパク質含量以外の用件は不明で、雨に弱いので乾燥時に増えるといわれている。(実は、雨除け施設での発生が多いと云うだけとの説もある)
乾燥時には土中にも酸素が供給されやすいので酸化されて硝酸態チッ素が主体になるのと一致しているが、果樹園に限ると雨が続いてもハダニの発生は多い事があり、「除草直後に大発生する」といった、管理の影響の方が大きい。(詳細は草生栽培へ)
茶は硝酸態チッ素を過剰に投入すると、テアニンと云う甘味のある物質に転換して無害化する。テアニンは太陽光の下では更に「カテキン」と云う苦味物質に転換されるため、玉露などの高級茶は遮光下で栽培される。
以上の理由で銘茶の産地は、日の当らない山間地や霧の多く発生する場所が多かったが、近年ではカテキンの抗酸化作用がガンの予防有効などの理由で注目され、変化してきている。
日照量の多い産地では、カテキンの苦味を減らすため、製茶工程の蒸し時間を長くした「深蒸し茶」を開発した。
蒸し時間を長くすると茶葉の細胞が壊れやすくなり、茶を入れた時に崩れてカテキンを吸着するので苦味が減るのだそうだ。
2011年1月放送の「ためしてガッテン(NHK総合テレビ)」では、カテキンを効率よく摂取する方法として、茶を入れる前に磨り潰す方法を紹介した。
チャの栽培では、古くから下流域での稲作が困難となるほどの多肥が行われてきた。一般作物の中でも多肥栽培が行われる葉物野菜の10倍に達する。
チャは「シュウ酸」の蓄積量が多く、尿路結石の心配があるのですが、摂取量を減らすよりも、トイレが大変になるくらいたくさん飲んで、石になる暇が無ようにした方が安全なのだそうです。
・・・たぶん、美味しい一番茶には「シュウ酸」もたくさん溶け出てくるので、出がらしで何度も煎れて飲めという話だと思います。
※ 用語の補足
NO3-N の飲用水基準(WHO、日本とも):10mg/Litt. 以下
・乳児・胎児のメトヘモグロビン血症、流産の恐れがある。
主として地下水汚染で、河川水の汚染は少ない。
【症状】
生育不良:草丈が低く、分けつが悪い。
葉の黄化:下葉や古葉から現れ、淡緑色から黄色に変わる。株全体に緑色が薄く、リン酸欠乏時のような新旧葉での極端な差は少ない・・・肉眼での判定は困難なので、化学分析を併用して判定するのが望ましい)
子実の成熟が早くなり、収量が少なくなる
【欠乏の起き易い条件】
多量要素のため、施肥量が不足すると生育の途中で肥切れする事が多い。
未熟有機物が投入された場合、微生物の活動により一時的なチッ素飢餓状態に陥り、作物で不足する事がある。
砂質土や腐植の少ない土壌で流亡しやすい。
【対策】
応急処置として、尿素0.5%(200倍液)を1週間おきに数回散布するか、水に溶かして追肥する。
流亡しやすい土壌では、分肥する(数回に分けて与える)。
【症状】
一般的には葉が暗緑色化して過繁茂するが、トマト・キュウリなどの野菜で極端な過剰になると葉が「小型化」する。(※ 誤植に非ず。「小型化」します)
茎葉の軟弱・徒長に伴って病虫害が増える。
カルシウムの吸収を阻害して、カルシウムの欠乏症を起こす。
・トマト:空洞果・スジグサレ病・異常茎
・タマネギ:芯腐れ・肌腐れ
・果樹類:徒長・花芽の減少・耐寒性の低下・耐病性の低下・
果実の着色不良・貯蔵性低下
【過剰の起き易い条件】
多くは過剰施肥で、前作の残留による場合もあるが、水稲の場合、潅漑用水中のチッ素が濃度が高い場合もある。
アンモニア態チッ素の測定の他、試料溶液にデバルダ合金を作用させると硝酸をアンモニアに還元できるので、別途に測定したアンモニウム濃度を引けば硝酸イオン濃度の測定も可能になる。
かつて中学生の試験問題として暗記必須でもあった、「ネスラー試薬」は、調製済みの混合試薬が市販されているが、水銀(HgCl2)を含み、廃液の管理が必要となる。
肉眼比色法による測定範囲は、1〜50ppm
調製後の試薬の保存は、冷蔵庫で2年程度。室温では沈殿を生じやすいので小出しにして用いる。沈殿を生じた場合は濾過して使用する。
鑑賞魚の水質管理用に市販されているテストキット。(おススメ!)
以下は、ネスラー試薬を採用した迅速養分テスト法(渡辺.1986)から操作法だけを流用したもの。
【土壌からの抽出】
1:5水抽出で5分間振盪後、ろ過する。
この方法では、約30% のアンモニアが遊離する
【比色操作】
キットの説明書に準じるが、試料溶液を 2ml 程度に減らし、試薬の添加量もこれに応じて減らして使用する。
キットに添付された試験管は角型なので洗浄が難しく、添付数も1本だけなので、他で使用した試験管を使った方が楽に操作できる
【植物体分析】
葉中濃度が低いため、障害を起こす濃度であっても肉眼での比色は出来ない。
【判定】
| 水抽出(乾土比1:5) | |||||
| 呈色度 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
| テスト液中濃度 | 1.0ppm | 2.5 | 5.0 | 10 | 50 |
| 診断 | ← 適 → | やや多い | 多い | 過剰 | |
| 単純換算による参考値(乾土比5倍・生土水分3倍) | |||||
| 乾土100g当りmg (10a当りkg) |
0.5mg(kg) | 1.25 | 2.5 | 5.0 | 25 |
| 土壌溶液中濃度 | 15.0ppm | 37.5 | 75.0 | 150 | 750 |
※ 上記表中、テスト液中濃度以外の数値は単純換算したもの。
原案は、Dorich, Nelsen で、多くの変法が考案されている。以下は、伊藤純雄:土壌溶液に基づく施設内土壌診断と管理.農業及び園芸59巻8号.1081-1088pp.(1984, 養賢堂)より、安定性と感度によって選抜された方法を抄録した。
【試薬の調製】
【操作】
(検量線の作成)
10ppmの NH4-N 標準液を、0〜1,000μl 試験管に採って、全容を 7.2ml にする。以降は操作Aと同じ。
1cm セルを使用時、1ppm の吸光度はほぼ 1.0 になる。
作物の種類や生育段階によって、全チッ素の変異が2倍程度なのに較べ、汁液中の硝酸態チッ素濃度は大きく異なり、変異幅は100倍にも達するため、栄養診断に適している。
湛水下で栽培されるイネには、ほとんど含まれない。
グリース・ロミイン硝酸検定試薬を使用する。
調製後の保存は室温で1年程度。吸湿して固結するほか、光に反応するので褐色瓶に入れて密封する。
調製済みのものを購入し、2重瓶に密封して冷蔵した場合は10年以上使用可能(毎年小分けして取り出している)。
【試薬の調製】調製済みの混合試薬(粉末)も市販されている。
亜硝酸に対して10倍の敏感さで反応するため、混在は許されない。
混在する場合は、過酸化水素を加えて硝酸に酸化してから行う。
(オキシドールで代用する場合、微量のリン酸が添加されているので留意する)
【操作(土壌)】
【操作(植物体)】
(定性的同時比較法)
標準液などを使用せず、生育の優れた場所とそうでない所の比較をするだけの簡便法
葉緑素が発色を妨害するので、色の薄い葉身を使う。細断したもの5〜6片(約0.2g)に、水 2ml と、試薬の耳掻き1杯分を加えて混合する。
(簡易定量法)
【判定】
| 水抽出液 | |||||
| 呈色度 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
| テスト液中濃度 | 1.0ppm | 2.5 | 5.0 | 10 | 50 |
| 乾土100g当りmg (10a当りkg) |
0.5mg(kg) | 1.25 | 2.5 | 5.0 | 25 |
| 土壌溶液中濃度 | 15.0ppm | 37.5 | 75.0 | 150 | 750 |
| 診断 | ← 少ない → | やや少ない | 適 | 多い | |
※ 上記表中、テスト液中濃度以外の数値は単純換算したもの。
テスト液は乾土を5倍希釈したもの。土壌溶液は含水量25%(乾土比1:3)の推定値
・ウリ科・アブラナ科野菜は葉柄中に多量に含む
・ナス科はやや少なく、マメ科は最も少ない
・ユリ科は葉柄中に少ないが根部に多く含まれるので、根部で診断する
・イネ科には殆ど含まれない
【試薬の調製】
【操作】10検体を同時に行った場合、全操作に要する時間は約1時間
グリース・ロミイン硝酸検定試薬に準じて調製して使用する。
(1)硫酸バリウム 100g
(2)硫酸マンガン 10g
(3)粉末亜鉛 2g
(4)クエン酸 75g
(5)スルファニル酸 4g
(6)αナフチルアミン 2g
上記の試薬をそれぞれ微粉末にした後、(1)の一部と(2)(3)(5)(6)を混合し、次に(1)の残りと(4)を加えて混合する。密封して暗所に貯蔵
【長野県果樹指導指針(1991)】より「堆厩肥の腐熟度簡易判定法」
(1)特級 ジフェニルアミン 30mg を濃硫酸 25ml に溶かして褐色瓶に貯蔵する
(2)堆厩肥の搾汁1〜2滴を時計皿に採り、上記の試薬を4滴加える
(3)2〜5分間放置して、青色の濃さを観察する
【渡辺式迅速養分テスト法(1986)】より植物体簡易分析法
(1)特級 ジフェニルアミン 1g を濃硫酸 100ml に溶かして褐色瓶に貯蔵する
(2)白い磁製皿に、植物体切片をいれ、試薬を2〜3滴垂らす。
(3)淡空色 50ppm
空色 100ppm
青色 250ppm
濃青色 500ppm
(※ 土壌や水耕液のテストには向かない)
|
|
(Wittwer et al.,1963)濃度の幅は、品種や環境によるもの
| (東京都農試) | (茨城県園試) | |
| コマツナ | 33-37 | 20-30 |
| コカブ | 15-20 | 5-10 |
| キャベツ | 40 | 20-30 |
| レタス | 10 | 10-20 |
| シュンギク | 20-25 | 20-40 |
| ホウレンソウ | 10-15 | 5-10 |
| イチゴ | -- | 20-30 |
| ナス | -- | 10-20 |
| トマト | -- | 5-15 |
| ミツバ | -- | 5-10 |
※ 共に、アンモニア態と硝酸態の合計 単位:mg/100g乾土
土壌・作物体とも、無機態チッ素は変化しやすいため、採取後すぐに測定する(風乾処理をしない)。冷蔵した場合でも24時間を超えない事。
| キュウリ・トマト・ナス・ピーマン | |||||
| NO3-N(mg/100g土) | 粘質土 | 腐植質土 | 壌土 | 砂質壌土 | 砂土 |
| 1.0-5.0 | ← 不足 → | ||||
| 5.0-7.5 | ← やや不足 → | ← 適 → | |||
| 7.5-12.5 | ← 適 → | ||||
| 12.5-25.0 | ← 適 → | ←やや過剰→ | |||
| 25.0-62.0 | ← 過剰 → | ||||
| イチゴ・レタス・ミツバ | |||||
| 1.0-2.5 | ← 不足 → | ||||
| 2.5-5.0 | ← やや不足 → | ← 適 → | |||
| 5.0-7.5 | ← 適 → | ||||
| 7.5-12.5 | ← 適 → | ←やや過剰→ | |||
| 1.5-62.0 | ← 過剰 → | ||||
| NO3-N(mg/100g土) | 粘質土 | 腐植質土 | 壌土 | 砂質壌土 | 砂土 |
※ 亜硝酸ガス発生抑制剤:(c)ガスストップ、アスライト
200倍に希釈して如雨露で均一に散布する。
| pH7.0 以上 | アンモニアガスが発生 |
| 7.0-6.2 | 被害なし(ガスの発生は無いか、アンモニアと亜硝酸が同量発生) |
| 6.2-5.6 | 亜硝酸ガスが優勢となる(要警戒) |
| 5.6-4.6 | 作物に障害が出始める(ガス害対策が必要) |
| 4.6以下 | 殆どの作物に障害が出る |
イネでは、アンモニア態が利用の中心なので、過剰時のアミド類が集積し易い。
アミド類が集積すると「いもち病」が発生しやすくなるため、葉色が濃すぎないように管理する事が重要とされている。
しかし、葉色の濃淡は光合成能力に比例するため収量の低下に直結する。また、チッ素の欠乏によって光合成能力が低下した状態で、中干しや穂肥の追肥などで急に多量のチッ素肥料を吸収すると、アミド類がタンパク質に合成されるための資源が不足して集積し、いもち病が発生しやすくなる。
これらの事情により、むしろチッ素の欠乏がいもち病の発生を助長すると表現する事もあり、正反対の指導が並存するがどちらも成立する。
葉色だけで判断する事は出来ず、葉の厚みや硬さも診断のポイントとなる。
欠乏によって異常成熟が起こり、日持ちが悪くなる。
落葉病によって葉が失われると吸収が低下して顕著になるが、葉が健全でも土中含量の不足で異常成熟を起こす事がある。
収穫1箇月前に尿素の500倍液を散布することで、果実品質に影響することなく、日持ちが改善される。
流通市場で問題となっている日保ち(棚保ち)の悪さは、主として脱渋方法がアルコールから炭酸ガスに変更になったために起こったもの。
アルコール脱渋と異なり「ヘタ」が枯れずに鮮度を保ったままとなるため、見た目は綺麗だが、水分の損耗が進み、呼吸の亢進がもとで起こる生理現象。
軟化の始まる前に「ヘタ」に水を塗るなど水分を補うだけで防止できる。
【×:ガセネタ】開花後1月程度の頃の葉色が薄いのもチッ素欠乏と診断して追肥を指導する事があるようですが、多くの場合マンガン欠乏で、放置しても改善するためチッ素の追肥効果が出たと判断されるようです。
【×】一部の産地では、若齢樹の枯死や異常成熟(よろけ、へそ抜け、核障害などの名で呼ばれているもの)の原因がチッ素欠乏であると重い込んで、増肥を薦めているようです。
実際には増肥によって被害は増えますが、改善しないのは「まだ足りない/農家が言うことを聞かない」せいなのだそうです。
宗教的な信念なので反論すると厄介です。聞き流しましょう。
【尻腐れ病】アンモニア態チッ素の過剰吸収で、カルシウム要求量が増え、カルシウムの相対的な欠乏症として発生する。
カルシウムの増肥も有効だが、雨が続くと土中有機物の分解が進んで多量のアンモニアを生じるのが主たる原因。
有機物投入は微量要素の供給以外に、通気性の改良を期待して行われるが、実際には分解に伴って酸素の消費が増え、降雨時には吸水して膨潤するため通気性が損なわれる弊害も起こる。硝酸化成が進まず、アンモニア態として集積し易く、土中混和した場合に被害が大きい。
(カルシウムの体内濃度が高くても起こるので、診断に注意!)
【ビターピット/コルクスポット】トマトの尻腐れ病と同様な経過で発生する。
※ 一般的な分類に従い、ビターピットは「カルシウム欠乏」のページにまとめてあります。
草刈りの後で幹の付近に苅草を集める「刈り敷き」を行うと、入梅や長雨の直前に当たった場合などに腐敗してアンモニア発酵を始める事が多い。
、果樹の根は数10m先まで広がっているので施肥や保水の効果は全く期待できない上に、生活の場を失ったハダニが集まって木に登り劇的に殖えるなど美的(自己満足的)な効用以外は皆無なので、廃止が望ましい。
【若齢樹の枯死】 主として「あかつき(品種)」の若齢樹でみられ、夏の終わりごろに樹皮の各所から樹液を浸出し、これに煤カビなどが繁殖するので、発見される頃には黒い汁が滲み出たように見える。
1990年頃から発生し、徐々に増えているが、病原菌などは検出されておらず、改埴で再発するとは限らないなど土壌伝染の兆候も見られない。伝染枯死した樹は根張りが浅いのが特徴。
樹脂の噴出は、根部障害による銅の吸収阻害と、トマト(尻腐れ)やりんご(ビターピット)と同様のアンモニア態チッ素の過剰が引き金となって起こる、カルシウムの急性過剰症に分けられる。
浅根の原因は、多肥による根伸長の抑制効果で、地上部の茎葉だけを収穫する作物では根の伸長が減収となるので好ましい性質とされますが、果樹類では致命的な障害になります。
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