その他の要素

肥料・petronium・Ni・Al・SiO・Cr・Co・Sr

INDEX

  1. Ni・ニッケル
  2. Al・アルミニウム
  3. SiO・ケイ酸
  4. Cr・クロム
  5. Co・コバルト
  6. Sr・ストロンチウム


Ni・ニッケルの概要


尿素をアンモニウムに分解する酵素「ウレアーゼ」の成分で、尿素だけが窒素源として与えられたときには必須となるが、Co・Moと同様に必須の要件が限られるため必須元素から外されている。

主として過剰に存在した時に、有害元素として扱われる

【人体への影響】ニッケルアレルギーは主として、アクセサリーなどの金属アレルギーとして知られるが、食品ではチョコレートに多く含まれ、バレンタインデー症候群に数えられる。(チョコレートには別の成分が原因で、愛犬に食べさせて致死に至る。2月15日日はペット病院も大忙しだそうです。)


 蛇紋岩の分布地帯でCrと共に過剰害を発生させる。
・徳島県名東郡佐那川内村〜みかん
・北海道中央部を南北に縦断する山系〜エンバク・豆類・ダイコン・キャベツ

 作物の種類によって障害の有無が異なるが、蛇紋岩地帯では作物の栽培は不可能な、置換性ニッケルが20〜500ppm の地帯が存在する。

作物別症状

エンバク
 稚苗時に葉身が白化し、成長に伴って縦縞となる。

大豆・小豆
 葉脈間が黄化してモザイク状になり、褐色斑点を生じる

キャベツ
 葉がコップ状になって葉脈間に灰褐色斑点が出来る。斑点部分は壊死して穿孔する。

対策

・モリブデンの葉面散布で被害が軽くなる。
・石灰を散布してpHを上げると吸収が減る。





ニッケルの測定

渡辺式迅速養分テスト法

※ 本法で使用する試薬は、ニッケル以外にも2価鉄(→赤色)、銅(→暗褐色)、鉛、コバルトなどと反応して発色する

【試薬の調製】
ジメチルグリオキシム 1g を、1%水酸化ナトリウム水溶液100mlに溶かす

【操作】

  1. pH5.2 10%酢酸ナトリウム溶液で乾土換算1:2 で抽出する
  2. 抽出液 2ml に、試薬を 2滴(0.1ml)添加して攪拌し、5分後に比色する。
  3. 屋内で20℃以下なら2時間以上安定だが、屋外で30℃以上だと10分程度で退色する。
    試薬添加量は、1/2、4倍とも影響がない。

【判定】

水抽出液
呈色度
テスト液中濃度 2.5ppm 5 10 25 50
乾土1kg当り
   (1:5 抽出)
13mg 25 50 125 250
   (1:2 抽出) 5mg 10 20 50 100
診断 ←    過剰    →



  • Al・アルミニウムの概要



    作物別症状



    アルミニウムの測定

    FHK法

    【測定原理】
     アロフェンの陽荷電により、フッ化ナトリウム(NaF) の F-を吸着させると、残った NaOH をアルカリの強さとしてフェノールフタレインで検定する。
    (推定される反応)
    Al(OH)3+6NaF → 3NaOH+Na3[AlF6]

    【試薬の調製】
    ・(試薬1)フッ化ナトリウムの飽和水溶液 ・(試薬2)フェノールフタレイン含侵ろ紙
    1%のアルコール溶液でろ紙を湿らせたもの

    【操作】

    1. フェノールフタレイン含侵ろ紙の中央部に、米粒3〜4粒分の細土を置くか、耳掻き1杯分くらいをこすり付ける。
    2. ろ紙上の細土に試薬1を1滴落とす。土の湿りが足りない時はもう1滴追加する。

    【判定】
     試験紙に染みた発色部の濃淡と面積により、バン土性を判定する。
    ■加藤(静岡大)による区分
     2:即時に呈色
     1:数秒〜数10秒で呈色
     ±:数分〜数時間で呈色
     

    参考:フェノールフタレイン(Phenolphthalein)
     pH8.2> 無色、  10.0< 赤
     60%アルコールに、0.1%溶液となるように溶かして貯蔵する。
     滴定では、試験液100mlに 3〜10滴使用する。

    アルミノン(Alminon)法(京大法)

    【試薬の調製】
    ・アルミニウム標準液
     カリウムミョウバン(KAl(SO4)2・12H2O 9.286gを水1gに溶かし、重量分析によって1ml中にAl2O3として1.00mgとする。
    ・(抽出液)20%酢酸アンモニウム溶液。氷酢酸でpH4.8 に調製する
    ・(試薬1)1%メルカプト酢酸溶液
    ・(試薬2)0.2%アルミノン溶液

    【操作】

    1. 試料を50ml容メスフラスコに採る(Al2O3として10〜150μgで、最終pHが4.0以下にならない様、弱酸性に調製しておく)
    2. 酢酸アンモニウム溶液を10ml添加する
    3. 水を加えて、全体を約40mlにする
    4. 試薬1を0.5ml添加して振とうする
    5. 試薬2 を 2ml添加して水で50mlにする
    6. 沸騰湯浴中に浸して湯浴中の水が再び沸騰してから2分後に取り出して室温で徐冷する
    7. 2時間以上放置してから比色する

    渡辺式迅速養分テスト法

     以下は、Fe(V)による妨害を無視した簡略法。Fe(V)含量の多い土壌では誤差が大きくなる。

    【試薬の調製】
    ・アルミノン:0.2%水溶液に調製して褐色瓶に貯蔵する

    【操作】

    ※ 試薬添加量が少ないと、誤差を生じる
     最終 pH を 4.0 以上にする。弱酸性域では安定だが、pH8 以上では発色しない。

    【判定】

    水抽出(水溶性アルミニウム)
    呈色度
    テスト液中濃度 0.5ppm 1 2.5 5 10
    乾土1kg換算 2.5mg 5 12.5 25 50
    土壌溶液中濃度換算 7.5mg 15 37.5 75 150
    診断 ←    過剰    →

    ※ 生土容積法では、乾土3:水1(平均水分25%)と推定している

    塩抽出(1:5抽出後、5倍希釈)
    呈色度
    テスト液中濃度 0.5ppm 1 2.5 5 10
    乾土1kg換算 12.5mg 25 63 125 250
    診断 微量 含む 多い 多すぎる 過剰

     一般作物では、土壌 100g 当り 10mg(1ppm) 以下が望ましいが、チャ等好アルミニウム植物では、水溶性アルミニウム 15ppm(呈色度2)でも障害を生じない。

     Fe3+ が共存すると、試薬によって紫色に発色して判定を妨害する。除去の方法は「京大法」を参照。



    SiO・ケイ酸の概要


     茎葉の表皮細胞に沈積(珪化)して組織を硬くする。
     チッ素の多肥やカルシウムの欠乏下では細胞壁が薄く軟弱となるが、珪化組織を持つ作物では保護できる。

     欠乏すると茎葉が軟弱となり、イネでは稔実が悪くなる。



    イネは、ケイ酸植物と呼ばれ、珪化によって茎が強化されるため、姿勢維持のための炭水化物必要量が減り、他の作物に較べて子実収量が高い。

     作物によっては、トマトの様にケイ酸の吸収を選択的に排除するものもあるが、キュウリでは受動的に吸収して果実表面から排出して「ブルーム(果粉)」となる。
     ケイ酸吸収力が弱い品種(ブルームレス台木)を使用することで、農薬散布跡と誤認されてきたブルームのない果実が生産されているが、ブルームレス台木を使用すると病害に弱く農薬使用量は増えるといわれている。

    豆知識1: ブルームは、果実の表皮細胞から生じたがいぼ状の突起部分(毛の退化したもの)から内容物が染み出したもの。作物によってはケイ酸の他に果糖などが染み出して結晶化することもある。ブルームを拭き取ると表皮に傷が付くので日持ちが悪くなる。
    豆知識2: ブルームレス台木を使用しないキュウリでも、体内のケイ酸濃度が低い収穫初期にはブルームの付かない果実が収穫される。ケイ酸自体に味はないが、他の雑味の元になる成分も少ないため、「初モノ」としての珍重さと相まって高値で取引きされていたらしい。

     イネ科植物では、葉身基部の機動細胞(motor-cell)内に、種特有の模様を持った不溶性の結晶(プラント・オパール/plant_opal)を生じる。
     考古学では水田跡が里芋栽培に利用されたのか水稲を栽培したのかを判定するのに重要な役割を果たす。
     水田を深く掘った場所の土が陶器材料(粘土)として珍重され、一般には長年耕起され踏み締められて微細な粘土になったからとされるが、蓄積したプラントオパールが主役とする説もある。



    Cr・クロムの概要


    蛇紋岩地帯には、Ni,Cr が多量に含まれ、過剰害を起こしやすい(主として Ni による障害)。

    ・徳島県名東郡佐那河内村(ミカン)
    ・北海道・中央部(エンバク・マメ・ダイコン・キャベツ)



    Co・コバルトの概要


     ビタミンB12の成分。(コバマイド補酵素)
     動物・微生物には必須だが、植物にはこれに依存しない経路があるため必須要素ではない。

     チッ素固定微生物に必須なため、マメ科等の共生植物でチッ素源が気体チッ素に限られる場合にだけ有用となる。



    Sr・ストロンチウムの概要


    トウモロコシで、カルシウム欠乏の際に一部の機能で代替作用が認められる(完全に代替できず、必要量が軽減される効果が認められる)。

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