pHはロールケーキの太さ!
・・・長さまでは判らない

1999/10/01-2004/01/03,2008/8/20,9/23


 酸度とpHは、似ているようで違うものを計った値です。
 ロールケーキをガラスのケース越しに見て、太い方を選ぶと厚みがなくて「別の方がよかった」と云う経験はありませんか?
 酸度はケーキの体積、pHは断面積に相当します。




pHの意味

 ロールケーキは厚切りにしても、薄切りにしても、はみ出さないで済むお皿の大きさは変わりませんが、薄切りは少し食べただけでお皿が見えてきますが、厚切りだとそうは行きません。

 酸やアルカリは、物質の種類に関わらず、水溶液になった時に放出する水素イオンや水酸化物イオンだけに注目した呼び名です。
 肥料成分の殆どは電気を帯びたイオンなので、これらの酸性やアルカリ性を示すイオン成分と電気的に競合して、肥料成分の吸収を邪魔することもあれば、土壌から肥料成分を溶かし出すことで作物が吸収できるようにする働きもあります。
 肥料成分や作物が直接影響を受けるのは、水素イオンや水酸化物イオンなのですが、元になる物質の種類によっては、ありったけ出してしまうものと、回りの様子を見て出し惜しみするものがあります。
 酸やアルカリの性質を持つ物質の量と、水に溶けた時に酸性やアルカリ性を決める水素イオンや水酸化物イオンの量は比例しないのですが、中和させる物質が加わった時に、出し惜しみをする性質の物質は減った分を補充できるので、酸性やアルカリ性の程度が変わりにくいといった現象が起こります。

 隠れた部分まで全体の大きさを計ったものが酸度で、外見だけを見たものがpHです。
 作物が直接影響を受けるのはpH(見掛けの強さ)ですが、同じpHの土でも酸度(総量)が小さいと施肥や養分吸収の後でpHが大きく変わります。
 酸度を知るには、中和滴定という操作が必要になります。


pH:何のための測定値か?

 一般には、作物の生育に適した「最適pH」のデータがあって、自分の畑を「この値に近づければよい」と考えている事でしょうが・・・

【その1】多くの肥料成分は土壌pHによって溶け易さが変わり、例えば、酸性で溶けやすくなる石灰の場合、pHが高くなるほど土壌溶液中から検出され難くなります。
 分析データを見るときも、土壌pHと各肥料要素の抽出量には、必ず関連があることを念頭に見なければなりません。

【その2】 国の事業として作られた「基準値(最適pH)」は、改訂の度に高い方に修正されてきました。
 最適pHは、各種の肥料成分が過不足なく与えられたときに、最高収量をもたらす「理想値」です。
 土壌のpHを高くすると微量要素が欠乏しやすくなるのですが、これを補うための土壌改良剤が普及して問題にならなくなったことや、高いpHを好む品種が増えてきたことなどが改訂の根拠に挙げられています。

 基準値は絶対的なものではありません。
 参照した文献の発行年次で違うわけですし、作物の種類や品種によっても違ってきます。
  pH の上昇につれて不溶化して欠乏しやすくなる成分を肥料として補うのが前提なので、pH以外の項目に無頓着であれば、pHが理想値に近づくほど作物の出来は悪くなるという事態も起こりえます。

 ゆえに、測定値と本に書いてあった数字を較べて「近い・遠い」だけの判断をするのでは意味がありません。
 自宅土壌でのpHの変化と作物の出来具合を記録して,pHが高くなってきたら良くなったとか,悪くなったという判断をするのが本当の使い方です.


pH:読み方

 ドイツ式の「ペーハー」が流行していた時期があり、中高年者は専らこちらの読み方。
 JIS(日本工業規格)では英語式で「ピーエイチ」と決められており、現在の学校教育でもこちらに統一されています。


pH:値の意味

 pHは「1リットル中の水素イオンのモル濃度の常用対数の逆数」と定義されています。
 中性の純水は、25℃のとき、10-7mol/L. 乖離(かいり)しているので、このときの水素イオン(実際は、ヒドロニウムイオン:H3O+)濃度は、10-7=-log107 ですが、・・・
 ぶっちゃけた話、「この"7"の部分だけ取り出したら便利じゃない?」 というのを数学的に表現したものです。

 
 

うっかり間違え易いところ:対数

 もともとが対数なので、pHの値が 1 だけ大きくなると、水素イオン濃度は10倍になり、 2 大きくなれば 100倍です。
 土壌の pH を 1 だけ変えるのに 10kg の資材が必要だったとき、さらに 1 だけ変える(元の値から 2 変える)には、単純計算で 100kg の追加資材が必要になります。
 (これは強酸の場合。弱酸が相手の時はもっと必要になります。)


うっかり間違え易いところ2:緩衝能

 酸や塩基を水に溶かすと、酸性・アルカリ性の水溶液ができますが、溶かした物質の全てが pH の変化に役立つのではなく、濃い溶液にしたときほど、怠け者の割合が増えていきます。
 どんどん濃くしていっても怠け者の割合があまり増えない物質を「強酸」「強塩基」といい、少し濃くしただけで怠け者が増える物質を「弱酸」「弱塩基」と呼びます。

窓のサイズに応じて拡大・縮小します

 弱酸や弱塩基の溶液には、中和剤のような反対の性質の物質が入って来ると、働き手が減るので、隠れて怠けるわけにいかなくなって働き出します。
 そうすると、強酸や強塩基の溶液と違って中和剤の量に対して pH の変化が少ないので「緩衝能力」があると云います。

 これを最初のロールケーキの例で云うと、太いのに食べるとすぐになくなっちゃう「薄切り」が「強酸」で、細いのにいくら食べてもなくならない1本丸ごとみたいなのが「弱酸」。

 本来は、原子間に働く電気陰性度の大小で決まる挙動なので、大小の2種類に分けられるものではないのですが、
 強酸・強アルカリの事を「出たがり(目立ちたがり)屋さん」、
 弱酸・弱アルカリの事を「恥ずかしがり屋さん」とイメージしてもいいですね。

 pH価(pHの値) は、作物の生育環境に直接関わる性質ですが、全ての場所で唯一の最適地があるのではなく、細胞の原形質内部と根の表面では pH の値で 3 以上も違うなど、作物の持っている調節能力が機能する為には、緩衝能力の大小も重要になります。

酸や塩基の反応は、最終的に水に出てくる H+ や OH- なので、ごく一部の例外を除いて酸や塩基の種類とは関係ありません。

pH価を決定するのは、この水素イオンと水酸化物イオンとのバランスで、同じ酸度調整用の資材を投入しても、土壌の状態によって効果はまちまちです。


うっかり間違え易いところ3:解離度・活性

 土壌が酸化や還元を受けると、土壌 pH は変化しますが、 とんでもない物質が突然に出来たり消えたりしているわけではありません。
 たとえば、畑が長雨や有機物の投入で還元状態になると、土壌 pH は上昇しますが、鉄やマンガンの酸化物から酸素が離れたために溶け易くなったりしただけで、強酸から弱酸に変ったり、その逆になったりと変化するためです。
 元になる物質は、土の中に大量にあって、酸素の供給や欠乏で鉄・マンガン・アルミなどの成分が性質の違う物質・・・ pH の変化に影響する(←→しない)物質に変わるためです。

 土壌pH を測定するときは日陰で風乾するように指示される事が多いのですが、これは水田土壌向けに開発されたもので、熱乾燥しないのは十分に空気に触れさせて酸化させるのが目的です。  もともと、石灰の投入が必要かどうかを知りたいわけですから、酸欠(還元化)が原因の障害は、水捌けを良くしたりする作業が優先されます。


うっかり間違え易いところ4:酸と酸性,アルカリとアルカリ性

 酸性やアルカリ性と言うのは、pH7.0 を基準にした絶対評価ですが、酸や塩基と言う表現の場合は、絶対評価の他に混ぜる相手の pH がどう変わるかを対象にした相対評価の場合があります。

 土中の鉄やアルミニウムの酸化物は、pH7.0 の土壌から見れば酸(酸性物質)ですが、どちらも弱酸で pH1〜2 の土壌から見れば、特定の帯域(pH2〜4)に維持しようとする働き(緩衝能)をもっているのでアルカリとして働きます。

 とはいっても、pH2〜4 などという土壌は作物の生育に適していないため、農学上は酸性物質として扱われます。


うっかり間違え易いところ5:酸(アルカリ)に溶ける

 「蒸留水には溶けにくいが、酸には溶ける」と云う場合、酸の素(H+)と反応して出来た物質が水に溶ける性質を持っているという意味です。

(不溶性) (水溶性)
CaO 2HCl →  CaCl2+H2O

 石灰が、塩酸には溶けるが硫酸には溶けないように、反応して出来た物質があまり水に溶けない場合もあるということです。
(不溶性) (不溶性)
CaO H2SO4 CaSO4+H2O



蛇足:水素イオン

※:水素原子が最外殻電子を失うと、陽子1個が裸の状態になるので、気取って”プロトン”と呼ばれることもありますが、実際には水分子を配したオキソニウムイオン・H3O+ で、もともと水中での反応なので、ほとんどの反応式では水分子を省略して H+ と記されます。
 少し考えれば・・・裸の陽子がそこら中にあったら核融合が起こりかねず危険この上ないし(中性子も無ければ+と+なのでくっつきませんけど^^;)、水素原子がイオンになるたびに、原子と陽子のサイズの差だけ・・・千倍以上も変ってしまうというのもありえないことです。








pHの測定

1999/10/01
2002/01/21
2004/01/03





 一口に土壌pHといっても,いろいろな測定方法があって,方法の違いで測定値も違ってきます.

 全部別々の意味があって,それぞれの測定値に差が在るのが正常なものと,差が在れば異常であることを示すものとがあります.

 毎回違う方法や違う測定器具で測ったのでは意味がありませんし、公的機関などの作成した基準値と別な方法で測定して比べるのも意味がありません。
 基準値に近づけるのが目的ではなくて,値の変化につれて畑の顔がどう変わったか比べるのが目的です.



 土を使う−−土壌水を使う(特殊な用具を使って畑土の水分だけを採取する)
  ↓
 土を風乾する←・→しない.  ※ または,過酸化水素水を添加
         ↓
 水で抽出する←・→塩(エン)溶液で抽出する  ※生土測定の場合,含有水分で薄ま
         |    ↓         るので抽出液の濃度調整が必要
         |    ・−−−−−−−−−−・−−−−−−−−・−−−
         |    ↓          ↓        ↓
         | 強酸の中性塩を使う  弱酸の中性塩を使う (もっとある^^;)
         | (塩化カリなど)   (酢酸カリなど)  
         |
         ・−−−−−-・
                ↓
    濾過してから測定する←・→懸濁液のまま測定する
                ↓
        ・−−−−−−・−・ 
        ↓        ↓
   滴定酸度として測定する  pH価として測定する


 試料の土を風乾するのは,乾燥重量を一定にする為ばかりではなくて,過湿状態で還元されると,たとえば,硫酸(強酸)から亜硫酸(弱酸)になってpHに影響するものが有る為です.

 水捌けが悪くなると,pH3の畑(酸性土)も、pH9の畑(アルカリ性土)も,中性に近づいていきます.

 故に,急速乾燥したのでは意味が無くて,日陰で時間を掛けて,生乾きのままで長時間酸素に触れさせる事が必要です.

 急ぐ場合は,過酸化水素などの酸化剤を添加する方法もあります。その場限りで診断の参考にするなら構いませんが、データを保存して比較に使う場合は、後日風乾試料を測定しなおします。




 ※ 私自身も時々ごっちゃになってる事がありますけど,”強酸”と”強酸性”の区別はついてます?
 「強酸性の強酸溶液」も「弱酸性の強酸溶液」も,どっちも有りね.

強酸の対語は弱酸で、塩(エン)が水に溶けたとき、乖離してイオンになる割合。溶かす量が少くて pH6 の溶液でも塩酸(塩化水素の水溶液)は「強酸の溶液」と言い、pH2 の酢酸溶液は「弱酸の溶液」です。

強酸性の対語は弱酸性で、溶けているエンの種類に関係なく、水素イオンの濃度だけに注目したもの。




 試料の採取方法

 これが面倒で、「測定なんかやりたくない、俺はカンで行く!」と云う方が多いのも事実です。
 面倒だから省略して、いい加減に選んだ場所からちょっとだけ掘り取って測ったのが、たまたまお菓子の袋に入っていた石灰乾燥剤を捨てた場所だったりしたら・・・と考えれば恐くてできないでしょ?

 

 風乾後に測定、または生土測定−−−通常の畑の場合、pH の測定で含有水分や希釈水の多少の増減などの影響はない事が多いのですが、極端に痩せた土地などでは変わることもあります。
 風乾による酸化と水分量の影響を共に避けて測定するには、試料の一部を加熱乾燥して損量を求め、希釈水量を減らすという方法もあります。

 

 肥料の影響も大きくて,堆肥が分解する途中で有機酸ができるとpHは下がりますし,有機態や尿素態,シアナミド態の窒素肥料がアンモニアになるとpHが上がり,その後,硝酸に変わって行くと下がります.
 アルカリ性の「アンモニウムイオン(アンモニア態チッ素)」や酸性の「硝酸イオン(硝酸態チッ素)」は作物に吸収されると無くなってしまうものなので、石灰などを使って中和する対象ではなく、施肥量を調節するのが本筋ですので、土壌改良などの目的で測定する場合、別に硝酸態チッ素含量を測定して補正する必要があります。

 排水が悪かったり,地下水位が高かったり,異常に雨が続いたりすると硫酸イオンが亜硫酸に還元されてpHは高くなります.

 現在の状態が知りたいだけなら,このような状態で測ったpHにも意味はありますが,これからpHをいじろうとする場合には具合が悪いので,1週間以上かけて風乾(日陰に放っておいて酸素に触れさせる)してから行います.

 風乾せずにすぐ測った時は,ECの値(単位:mS)をそのまま引くと,かなり近い値になるそうですが、極端な多肥栽培などではずれてくるので、定期的に簡略法ではない方法で測定しておきましょう。.




【pH試験紙を使うときの注意】

 標準変色表の色調毎に添えられた数字は,測定対象に応じて補正する必要があります。
 標準変色表は 「JIS標準緩衝液」に浸した時の色合いを示したものです。
 「緩衝液」とは、酸やアルカリを加えてもpHの変化が少なくなるように作られたもので、pHの指示薬自体が保存性などを考慮して指示薬毎に特定のpHに調整されているため、比較的緩衝能の少ない土壌溶液では測定結果が pH値で0.5〜2.0ずれる事があります。通常の土壌pH測定に使うものの中では、特にメチルレッドのずれが大きいようです。

 懸濁液での測定では、土壌粒子の接触によって、測定中に置換が起こり、溶液のpHよりも大きく変化する可能性があります。
 また、試薬の色素が溶け出して土の粒子に吸着され、変化が判らなくなってしまう事があります.

 変色表上で使用前の色と反対側のpHでは、試薬の構造が不安定になるものが多く、短時間で脱色(漂白)されてしまうことがあります。




【標準的な操作方法】

  1. 降雨後24時間以内を避けて土を採取し,
  2. 日陰で1週間以上かけて乾かした後,
  3. 2mmの篩に掛けた物を,
  4. 重量比1:2.5(または,5)の水を加えて,
  5. 30分間良く振り混ぜて,
  6. そのまま(懸濁液)、または放置して上澄液を採るか,濾過したものに試験紙を浸します.
     ・懸濁液と清澄液では違う値になる事があるので、データを比較するときは統一して下さい。
     (補足1)pH試験紙や指示薬を使う場合、腐植を多量に含んだ土の懸濁液では、試薬の色合いが見分けにくくなります。
     (補足2)懸濁液中の粒子に結合したまま浮遊している成分が、試験紙や電極の表面と反応してイオンの置換が起こり、測定値に影響します。



 

【ろ紙(濾紙)を購入するときの注意】

 ろ紙には、大きく分けて「定性用」と「定量用」の2種類があります。pH測定に使うときは、「定性用ろ紙」を購入してください。

 定量用ろ紙の「定量」とは、何らかの方法で作った沈殿物だけをろ紙上に取り出した後、全体を焼いて水分とろ紙中のCHO成分を飛ばしてから質量を測定する作業を指します。
 このときにろ紙に由来する灰分は空焼きして測定し、差し引きますが、元からある灰分が少ないほど誤差が少なく安定した結果が得られるので、酸で洗浄して抜き取ったのが「定量用ろ紙」です。

 パルプ(木材繊維)の灰分は、カリウムやカルシウムの酸化物が大部分を占めています。
 これらの成分を含んだ肥料を畑にやると、電気的に結合して土に保持されますが、酸性雨が土のミネラルを流亡させるのと同様に、これらのミネラルもパルプ繊維に結合しているので、酸で洗浄すると酸と入れ替わって出てきます。
 置換の相手は水素イオンなので、このようなろ紙を使って土壌懸濁液を濾過すると、液中のカチオンが水素イオンと置換されてパルプに残る一方で、水素イオンが出てくるので、溶液のpHが下がります。

 通常、ろ紙の製品番号が大きいほど目が細かいので、ゴミをろ別する能力が高い(値段も高い)のですが、その分濾過するのに時間が掛かります。
 「迅速ろ紙」と呼ばれる製品は、特殊な構造によってすばやく濾過できるようにしてあると云う噂が広がっていますが、目が粗いだけです。
 スタンダードタイプのビデオテープが「長期保存に向かない」と云う代わりに「繰り返し録画に適している」というPOPを付けているようなものだとお考え下さい。



【測定値の解釈に付いて】

 pHの値が1だけ違うと,水素イオンの濃度は10倍違ってくる・・・所までは,たいていの人が本を読んで知っています.ところが,・・・  たとえば,pH:7からpH:6への変化と,pH:5からpH:4への変化とを同じに感じてしまいませんか.

  pH:7 => 0.0000001   |
  pH:6 => 0.000001   ↓
   差は・・・0.0000009 −−・
--------------------------- 100倍の差がある
   差は・・・0.00009  −−・
  pH:4 => 0.0001     ↑
  pH:5 => 0.00001    |

大雑把にいいうと、pH:7からpH:6へ変えるのに10kgの資材が必要なら、pH:6からpH:5へ変えるには100kg必要になります。
(実際の土では、鉄やアルミなどの緩衝能を持った成分がpHを支配しており、支配するpHの範囲が分かれているので、pH変更に必要な資材の量はpH値の範囲によって異なり、単純に計算できない。)







酸と塩基・・・の復習

中学校での酸と塩基

水に溶けて水素イオンを出すのが酸

水酸化物イオンを出すのがアルアリ

これだと、酸のはずの二酸化炭素(CO2)や塩基のはずのアンモニア(NH3)の立場が怪しくなってきます。

高校での酸と塩基

 二酸化炭素(CO2)は、水に溶けたとき、水とくっついて H2CO3 になりますが、この一部は H+ を放出(乖離)して HCO3+ になるため、酸性を示します。
CO2+H2O → H2CO3 → H++HCO3-
 気体の二酸化炭素と、水に溶けてできる炭酸イオンを全く別の物質として扱うのも変だし、ドライアイスのような固体ならともかく、気体の CO2 も気体のまま酸として反応する様にしか見えないので、昔の人達は定義を変えることにしました。

アンモニア(NH3)の場合、




酸と塩基

 塩(エン)と塩基(エンキ)は、言葉を輸入して和訳した時に同じ文字を充てたために塩(シオ)と混同しやすく少々ややこしくなっています。
 塩基は英語で "base" で、酸と塩基が結合してできる塩(エン)の素と云う意味です。




「中性」のいろいろ

 このページで扱ってきた「中性」は、全て酸とアルカリが反応して pH7.0 の状態を指しましたが、世の中にはいろんな「中性」があります

・酸やアルカリの性質が無いものも中性と云われます。




眉唾な解説記事

雑誌や書籍などから拾った、私には理解できなかった記事の抄録。




【安部清a:土壌診断でわかる・防げる土壌病害−−決め手は”塩化カルシウムpH”とアンモニア(月刊・現代農業 2003年10月号 190-195pp.)】

内容:慣行法の抽出液の代わりに、0.01規定塩化カルシウム液で土壌を抽出して測定したpHからは、生物由来の有機酸や硝酸の動きがわかる。

ここがわからん:
・塩化カルシウムは中性の物質なので、酸やアルカリの濃度を表す「規定」と云う単位を使うと、いくら濃くしても「0規定」のままなのがフツウ。
 仮に0.01規定溶液が存在したとして、この溶液のpHは2か12になるため、pH測定には使えない。
 単位が「規定」ではなく「mol(モル)/L.(リットル)」の誤植だとしても、0.01mol/L.の塩化カルシウム溶液は約0.11% で、慣行法で使用する塩化カリウムや酢酸カリウム溶液に較べて 1/100 の濃度となり、非常に希薄なため蒸留水での抽出と差が出にくい。
・「有機酸や硝酸の動きがわかる」といっても、たとえば、尿素を施用後1ヶ月位の間には、いったんアンモニアに変化した後、硝酸に変わっていくため、pHの幅で2くらいの幅で上下に動くのは土壌学の常識で、通常の方法で測定しても同じ。これを以ってなにが新発見なのかがわからない。

ちょっといいなと思ったところ:
・2価のCaイオンは浮遊物を沈殿させる能力が高いので、きれいな上澄液を採ることができた。比色法でpHを測定するなら便利かも?

実際に測定したら:
 読めといわれたので記事を読みました。
 やれといわれたので試してみました。
 常に水で抽出した値よりやや低め、塩化カリ液で抽出した値よりやや高めの値になるというだけでした。


結局・・・そもそも、有機系の摩訶不思議な実態をたった一つの数字に凝縮できるわけではない。
 塩化カリウムが1:1型のイオンなのに対して、硫酸カリウムは2:1型のイオンに乖離するので熱力学的な挙動が変わる点と、硫酸イオンが他の土中成分と難溶塩を作って反応系から外れるため、違った結果が得られるというだけのことで、より大量のデータを比較しないと何も判らないし、判ったところで、より大量の測定項目と比較するのが前提になるので意味を持たないと思うけど・・・どうよ? 現代農業信者の諸君