肥料−共通の話題
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有機・無機を問わず肥料分のある資材を一切持ち込まずに、長期的に商業栽培が可能な土地が日本各地に存在します。
東北の有名どころでは、「宝の山」と歌にもなっている会津磐梯山(福島県)の山麓、津軽富士の異名を持つ岩木山(青森県)の山麓(ただし、南側はダメらしい)、県立の農業試験場だというのに肥料試験が出来ないという寒河江町(山形県)など。筆者の知人にも「ほとんど肥料をやった事がない」畑を持った農家が居ます。
適切な肥培によって管理・維持された圃場と較べて、作土中の土壌中の肥料濃度が極端に高いわけではありません。
粘土層が深かったり、地下水とともに作土に供給される肥料分が豊富なためで、このような土地でも、干ばつ気味の時に除草に精を出すと地被を失った表土は高温になって乾燥がより早く進行しますから、あらゆる肥料欠乏の症状(〜ほんとうは、水の欠乏症)が発生します。
筆者の自宅近くの場合、大昔の山崩れで出来た場所はホウ素の欠乏地帯で、水稲以外の作物が出来ないと云われた土地柄で、何をするにも少し掘ると遺跡が出てくるので工事が止まってしまうのに対して、ほんの少し離れて山崩れで埋もれるのを逃れた場所は何の苦労もなくあらゆる作物が出来るのですが、過去に埋もれなかったために、いくら掘っても遺跡は出てこないという、業種が違えば価値が大きく違う土地同士が隣接しています。
恵まれた土地は各地に散在しますが、線で引き分けたように考古学者しか喜ばないような土地が隣接している事もあり、いくら近いからと言って、土質の違った場所での栽培方法を真似ても役には立ちません。
一般には過剰の肥料を与えても倒伏・枯死などの起こりにくい性質と解される。
イネを増収するには、主としてチッ素施肥量を増やすことが必要になるが、チッ素施肥量を増やして倒伏すれば減収するため、制限があった。
このような条件の下で、施肥によって徒長した場合でも倒伏しないように、予め下位節間の短い変異が選抜され、現行の施肥栽培される品種の殆どに導入されている。
貧栄養の状態では地上部よりも地下の生育が優先する事が多く、より多くの肥料分を求めて根を張り巡らすためと解されている。
本来なら水やミネラルの給源となる土から遠い枝葉の先端部分は不利なので、基部優勢となり、姿は「球」となってしまいそうなものだが、多くの植物は頂部優勢の性質があり、縦(上)や横に伸びてゆくのが普通です。
地上や地下の先端部分(生長点)で生産される成長ホルモンは、次々に生まれる腋芽の発芽を抑制するばかりでなく、地上部は地下部に対して、地下は地上に対して抑制的に働く事が知られています。
このため、施肥が行われると地上部の生育が増すほどには地下部の生育は増えず、相対的に根の生育が劣る様になりますが、通常の施肥ではチッ素など特定の成分だけが与えられるので、根を張り張り拡げる事で掻き集めていたその他の成分に不足が生じる事になります。
このような事態に対して、施肥量の増加に鈍感で[地上:地下]のバランスが逆転しにくい性質も耐肥性と呼ばれることがあります。
農業を取り巻く社会環境は、これまでにも幾度となくコストダウンを迫って来ましたが、前回・・・1990年代に流行したのは残念ながら安い資材を手に入れる努力で終始し、具体的には中国製品に切り替えることでした。
今回(2008年)の危機は、世界的な肥料の不足、とえりわけ頼みの綱の中国製品が輸出禁止となった事が大きな要因でしたので、今度こそ、根本的なコストダウンを図る事しか解決の道はなくなったようです。
我々農家の会話は「何を与えればよいか」に終始して、「減らす」事には興味を持たないのが普通です。
作物の吸収量を減らさずに肥料を減らすには、無駄に与えないことと、圃場の外に出てしまうロスを減らす事に尽きます
【分肥】
肥料を分肥せずに、まとめて一度に投入すると流亡量が増えます。
化成肥料の使用は、当初投入の手間を省くためのものでしたから、肥料の散布回数を少なくして「基肥一発・追肥なし」の体系になるのは当然の成り行きです。
肥料の購入コストよりも投入に必要な労力の方が効果であった時代なら、それもありだったのかもしれませんが、そういった時代が長く続いたために、何を遣ったらいいか判らないので「摂り合えず」に変化してしまいました。
コストダウンには、昔の農家が手探りで得て、今は失ってしまった肥料の知識を復活させる事が必要です。
【さじ加減】
肥料成分としては不足していないのに、それ以上与えると増収する事があって、肥料焼けなどの障害を起こすぎりぎりまで増やす篤農家技術を一般に「肥料のさじ加減」といいます。
多くの場合、与えている肥料が作物に必要なのではなく、不足した成分の代替効果であったり、土の中にあって利用しにくかった成分を置換浸出して役に立たせる効果で、不必要に多量に与えた肥料はすべて捨てる事になりますから、低コストの方針も反します。
本来不足していた成分だけを追加すれば極めて低コストで同じ結果が得られるのですが、そのためには診断の知識が必要で、その知識を習得するコストの方が高いと判断するのも経営方針次第です。
【作業による吸収阻害】
肥料の不足は、投入量の不足だけと考え勝ちですが、いくら土の中に溢れていても作物が吸収できない要因が存在します。
多く知られているのは耕起の問題ですが、永年作物では草刈りと潅水も意外なほど肥料の吸収を阻害します。
適正量の診断
- 肥料
- 肥料取締法・第2条によって、「植物の栄養に供すること又は植物の栽培に資するため土じよう(土壌)に化学的変化をもたらすことを目的として土地にほどこされる物及び植物の栄養に供することを目的として植物にほどこされる物をいう」と定義されている。
意訳すると、「植物への栄養分の補給や土壌環境を整えるために土壌に投入するものと、葉面散布などの形で植物に与える栄養剤。」
肥料取締法では、「肥料」に該当すれば有無を言わさず、登録を受けなければ販売できない仕組みになっているが、当然のように各種の抜け穴が考案されている。
- 普通肥料
- 法的には「特殊肥料以外の肥料」全てを指し、いわゆる化学肥料の殆どが該当する。公定規格に基づいて登録・製造・検査されたもので、業者が保証票を添付しなければならない。
また、国内で製造されたものについては、登録後も定期的な立ち入り検査を受けなければならない。
輸入肥料
海外で製造された普通肥料で、製造工場への立ち入り検査が出来ないため、提出したサンプルの検査のみと、簡略化されている。
- 特殊肥料
- 用途が特殊なのではなく、登録の要件が特殊扱いで簡略化されている。
監督官庁(農林水産大臣)が指定した品目に該当すれば、都道府県知事への申請だけで登録を受ける事が出来る(サンプルの分析データを提出するだけで、検査はない)。
成分にばらつきがある工業副産物(鉱さいカスや有機肥料)を念頭に出来た区分で、例外的にリン酸石膏(主成分・硫酸カルシウム)や葉面散布用のカルシウム剤などの化学肥料も指定されている。
- 特定肥料
- 有害物質を含み、適用作物や施用量に制限を設けなければならないもの。
- 土壌改良剤
- 肥料の定義に当てはまらないもの。肥料取締法の制約を受けないので、自由に製造・販売・効用(ただし、肥料っぽい表現は不可!)の宣伝などを行うことが出来るなど、法的根拠のないものをまとめて「土壌改良剤」と呼ぶ。
「石灰類」は用途を「酸性土壌の改良」などと表現するため混同しやすいが「植物の栽培のために土壌に化学的変化をもたらす物」という肥料の定義に含まれるので、普通肥料に指定されており、「土壌改良剤」で栽培に役立つような化学的変化が起きるものは違法(「物理的変化」という逃げ道がある)。
- BB(バルク・ブレンド)肥料
- 普通肥料や特殊肥料として登録された肥料を原料として地域や用途に合わせて配合したもの。材料が普通肥料として登録を受けたものだけを使えば、特殊肥料と同様に都道府県への簡易登録で販売できる。
語源は樽(バルク)の中でブレンドするような小規模なものの意味。
- 化成肥料
- N・P・Kのうち2成分以上を含み、なんらかの化学反応させたもの・・・といった解説が多い。
現実には、硝酸カリやリン酸アンモニウムなどの2成分を持つ肥料化学物質に、他の不足する単味肥料を配合後、造粒したもの。バインダー(結合剤)には主として過リン酸石灰が用いられる。
リン酸アンモニウムなどはそのままでも化成肥料として販売可能だが、日本ではカリ(加里)を含まない化成肥料は売れないため、大量に輸入した後、塩化カリなどを混合して製品になる。(必要な場合は、食品添加物や薬品として販売されているものを購入するしかない)
「肥料取締法」は、粗悪な製品を販売する業者からユーザーを保護すると云う姿勢で作られたため、有害成分の上限のほか、保証できる有効成分の下限も定められている。(実際には、省令で決めるように指示しているだけ・・・いわゆる監督官庁の専権事項の定め)
微量要素の場合、資材に含まれるのが表示できない低濃度であっても、大量に投入するアルカリ資材などでは蓄積して過剰害に発展する事もあるので、表示以外の情報にも留意しなければならない。
(例)ホウ素の場合、保証下限は無水ホウ酸に換算して 0.1% で、化成肥料などに添加され、表示されているのは 0.1〜0.2% の製品が多い。
海産原料の貝殻や貝化石肥料、水酸化マグネシウムなどには同程度のホウ素を含むが、天然産品ゆえ下限以下となる場合があるので表示できない(〜されない)。
訳知り顔でよくやってますな。
基肥に相当する施肥が行われていれば、春先に葉色が薄い原因はチッ素以外によるものが殆どで、不要なチッ素の追肥でアブラムシなどの被害が増えて、殺虫剤(農薬・非農薬とも)の散布に忙しくなるのが通例です。
マンガンの場合、前年に吸収したものを体内でやりくりして利用できないので、春先に一時的な欠乏を起こして葉色が濃くならないことがあります。
何もしなくても、地温が上がって新根が伸びると欠乏は解消する事が多いので、その間にチッ素だけの追肥を行っても効果があったように見えることがあります。
このような誤診は、ほんの一部の無施用区を設けて比較すれば回避できます。
湿害の場合も、春先はリン酸の欠乏で葉色が薄くなりますが、チッ素を含んだ肥料を与えると悪化します。
軽いリン酸欠乏では赤色色素が出来るので、緑色と混ざると葉色が濃くなったように見え、施肥の効果があったように誤診してしまうのかもしれません。
軽症の場合は回復するので、「あの時、追肥しておいて良かった」事になりますし、重症の場合でも、「追肥したからこの程度で済んだ」となってしまいがちです。枯れる前に何とかしましょうね(^^;
- 可給態化
- 肥料成分が作物に吸収できる形態に変化すること。
有機物が分解されて含まれていた成分が解放される場合や、土壌の pH や酸化・還元の度合いによって溶けやすくなる場合とがある。
この変化が必要以上に起こると作物に過剰症が発生したり、溶脱しやすくなるので後に欠乏症が発生したりする恐れもある。
- 体内移動・再移動
- 肥料成分の移動は、根から道管を通って葉や実などに移動する時(一次利用)と、一旦各部に移動した後、師管を通って別の場所に再移動する時(二次利用)では挙動が異なる。
道管内部は原形質が消失した空洞なので制限がないのに対して、師管は生きた細胞なので、原形質内の濃度が低く維持される成分は極微量づつしか通過できないので、「再移動が遅い」成分と表現される。
師管を構成する細胞の内部は、容積のほとんどが液胞で占められ、原形質は周囲に押しやられているので、実容積(=移動距離)は非常に小さい。
細胞膜の機能によって出入りする物質が制限され、一旦細胞膜を通過したものは原形質流動によって反対側の細胞膜付近に速やかに届けられる。
再移動しにくい要素が欠乏したとき、ソルビトールなどの糖アルコールが結合してマスキングし、再移動を助けていると考えられている例が報告されているが、施肥などの根本対策を講じないと収量が激減することに変わりはない。
道管は、水道やガスのように本管・支管と次々に分岐して行く構造ではなく、旧式の電話線のように交換機(根)と端末機(葉・実)が専用通路で結ばれている。
よって、肥料の散布むらが原因で欠乏症が発生する事もある。
- ・・に関与する
- 器官や酵素を構成する成分として確認されていないが、欠如すると機能に影響があるときに使われる表現。
- 土壌の乾燥
- 乾燥によって起こる肥料の障害は、概ね2つに分けられます。
・水分が不足して、水溶液として吸収される肥料成分が不足する場合(=量の変化)と、
・酸化されると不溶化する成分が、気相が増えて酸素が供給される事で不可給態化する場合(=質の変化)がある。
前者では、潅水の直後に水しか吸えない状態になるので一次的に悪化する事があり、後者(不可給態化)では、降雨や潅水を行っても短時間では回復しない。
- 土中の有機物
- 微生物によて分解される時、酸素が消費されるので、土中が還元状態になる。
鉄やマンガンなど、酸化されて不溶化する成分の場合、未熟な有機物の投入で過剰に可溶化すると湿害と同じ症状を起こす。
逆に、有機物投入が恒常化して通気性が改善されたために、不溶化して欠乏を引き起こしているとしか思えない事例(主にマンガン)もあるらしい。
- 土壌粒子による保持
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イオン結合によって出来た物質は、周囲のイオン濃度によって解離度(≒溶け出す割合)が変わり、施肥や吸収が行われても溶液中の濃度が大きく変化しない性質があります。塩をつくる一方の相手が土壌粒子であったとき、この作用は「保持」と呼ばれます。
酸の性質を持った粘土や有機物は、末端の水素イオンと交換するようにカチオン(+イオン)になる肥料成分と電気的に結合して保持され、雨等による流亡から逃れる。
腐植酸のような有機物は弱酸なので、土壌の酸性化が進むと水素イオンが元の鞘に納まって保持力を発揮できなくなるが、粘土は強酸に近く、周囲の環境(pH)の影響を受けにくい。
程度の差はあっても保持の能力には限界があり、多肥になるほど流亡量は増える。
また、古い入門書(かの有名な「土壌肥料総説」など)では、1価よりも2価イオンの方が保持されやすいと書いてある事が多いが、これは同じ濃度の場合の比較で、カリの様に過剰に施肥される事が多い成分の場合、1価であってもカリウムイオンが多く保持されてカルシウムやマグネシウムの様な2価のイオンでも流亡する。
- 土壌による固定
- 基本的には、保持と同じ機能によるものだが、結合してできた物質の解離度が極めて小さいと、再び土壌水に溶けて作物に吸収されにくいので、固定と呼んで区別する。
主として「リン酸」が、鉄やアルミニウムの酸化物と結合する事を指す。
- 肥沃な土壌
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一般には、自然状態や施肥によって与えられた肥料分が過剰を起こさない範囲で豊富と云う意味に解されている。
大部分が土壌溶液中に溶け出すと肥料焼けを起こしてしまうので、作物に吸収された分だけ溶液中に補充するような、出し惜しみする機能も大事で、緩衝能と呼ばれる。
水分と同様に、根圏ばかりでなく地下や周囲の非根圏からの補充も重要なため、作土だけの分析では判らない。
- 排水
- 排水というと、何かと暗渠ばかりに注目しがちだが、最も迅速な排水方法は地表排水である。
耕耘直後は、団粒構造が破壊されて地表に膜状の単粒構造が出来るが、暫くすると地表付近から徐々に粗孔げきが発達してくる。生物以外に需要なのは霜柱で、縦方向に貫通した空隙を作るので耕耘や開墾の直後の透水性確保が迅速となるので、耕起の時期は重要。
雨水は、地下に浸透する他、地表を流れて園外に出て行くが、暗渠管を埋設した場所で粗孔げきが発達すると、雨水の浸透量が増えてくる。
この状態は、ざるに盛った土を流水で洗っているのと同じで、肥料の流亡が加速される。
水の流れは、水深に比例して速くなるので、たとえ果樹園であっても畝のような構造を作った方が排水は迅速行われるが、土壌の流亡を防止するために草生は必須となる。
- 潅水などによる欠乏症の発生
- 干ばつ時の潅水を少量ずつ頻繁に行うと、作物は水だけしか吸収できない状態となり、生育量の低下や葉縁焼けが発生する。
- 根の吸水作用は内外の濃度差を利用して行われる。 乾燥時は根に蓄えた「不溶性」のデンプンを糖化して「水溶性」にすることで浸透圧を高めているが、降雨やかん水が行われると速やかにデンプンに再合成されて浸透圧を低下させる(こうしないと水膨れになって破裂する!)。
- 根から離れた場所にある肥料分は、予め土壌水分に溶け出したものが吸水に伴う水の流れで根の近くに運ばれてくる。
- 通常の降雨であれば葉からの蒸散も抑制されるので問題になる事は少ないが、日中の高温下で潅水が行われると水だけを大量に吸い上げるため、膨圧の維持に必要なミネラルが不足して潅水の度に萎れてくる。(「水をやったからこの程度で済んだ」などと自己満足しないように!)
灌漑用水にカリ肥料を混入することで回避できる事もあるが、他のあらゆる肥料成分も欠乏するので、萎れさせないだけでは意味がなく、やらないに越したことはない。
- 園内清掃
- 一部に、「落ち葉に含まれる成分は、植物に不要なものなので、持ち出して処分した方がよい」と説くグループが存在するが、カルシウム、マンガン、鉄などの様に植物体内を再移動しにくい成分は、落葉やリーチングによって地面に落とし、根から再度吸収する以外に必要量を新しく出来た器官に移動させる事が出来ない。
そこまで言わずとも、園芸家が「腐葉土」と称した落ち葉を買い求める現実を示すだけで、反論になろう。
| 【大気】 |
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(細胞内の水分) |
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・・【 葉 】・・ |
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【篩管】→ 生きている細胞 |
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土壌水 |
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・・【 根 】・・ |
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(細胞内の水分) |
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土壌水/地下水 |
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- 根や葉の細胞は半透膜に覆われ、中身を損なうことなく水分だけ出し入れする事ができる。
- 土壌が乾燥し始めると・・・
根の半透膜エリア内ではデンプンが分解され、メープルシロップ(カエデ糖)やソルビトール(リンゴなど)などの糖ができることによって浸透圧が高まる。
水分で増量された糖は、道管へと押し出されて上昇する。
・・・ここで発生する圧力は陽圧(+)
- 葉の半透膜エリアでは、光合成による糖の合成や蒸散による濃縮で、浸透圧が発生する。
・・・ここで発生する圧力は陰圧(−)
- 根と葉で発生する圧力差によって水分が道管(茎・幹)を上昇する。
生育期の日中は葉の陰圧が勝り、夜間は根の陽圧が勝る。
- 潅水が行われると・・・
根のエリアでは糖類がデンプンに合成されて浸透圧を下げる。
潅水直後は、土中のミネラルを溶かす暇もなく取り込まれてしまう。
- 炎天下で、糖やミネラルの濃度が低くなった水は乾燥しやすく、葉の水分が不足する。
(海水に浸かった衣類は、真水で濡れたものより乾きにくのと同様の理屈)
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長くは続かないので萎れる
- 連日繰り返して行われるような潅水は、「作業者が凉む」のが目的なので、日中の炎天下が多く、設置や撤去が面倒なスプリンクラーよりもホースの先を手持ちしてまき散らす方法が好まれる。
このため、送水圧を下げて運転中に移動しやすい様に調整される。
手持ちしたままじっとしているとすぐに飽きてくるので、すぐに移動する。 よって、潅水量は極めて少なくなる。
- ・・・書いてて飽きた・・・
- 事例・リンゴの夏肥施用による品質向上(雑誌記事)
- ネタ元は「月刊 現代農業」で、「夏肥を与えたら、つる割れが軽減し、着色がよくなった」というもの。編集部の結論は「チッ素が足りない!」
しかし、圃場の条件をよく読んでみたら、従来から地域平均よりも多収で品質も優れており、肥沃なため過去には一切が無肥料であったと云う特殊な土地柄。
土壌分析で水の代わりに塩化カリウム溶液を使うとよりたくさんの成分が溶け出してくるように、こうした場所で敢えて施肥を行うと、施肥資材の種類に関わらず、土壌に元からあった成分が置換・浸出されて作物に吸収される。
このため、元から置換できる要素がない場所で同じ事を行っても結果は異なり、施肥した成分だけが吸収されることになるので、従来の説どうりに2次伸張を起こして着色が悪くなったり、青臭い味の付いたリンゴが出来てしまう。
つる割れについては、開花から1箇月後以降に素因ができはじめるとの説が有力で、夏肥の時期によって結果が変わることが予想される。
- 葉が外側に巻く
- 展開後に反り返って、葉の裏側を隠すように巻き込むこと。
葉裏の伸びが制限されて、葉表の伸びが勝ったために反ってしまう現象で、先端や縁が垂れ下がったように見える。
- 葉が内側に巻く
- 葉が展開の途中で止まったような形で、葉縁が上・中肋が下になって笹舟の形になる。
葉が平面状に展開するよりも、姿勢を保つのに都合が良いので、軽度であれば増収の素因となる形質の場合がある。
- 黄化(etiolation)
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緑色の葉が黄色になるのではなく、遮光によって緑化を阻害する「軟白栽培」のように緑色にならない状態を指す。
慣用の根拠は、学術用語集(文部省, 1956)によるもの。
- 黄色化(yellowing)
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etiolation に黄化の訳語を与えたため、区別するために創案された造語。
「クロロシス(白化)」と同じ原因によるものだが、カロチノイドが生成されて失緑によって黄色だけが残った状態を指す。
・厳密には、チッ素の欠乏等で一旦緑色になってから失緑して黄色になる場合を指す。
・黄化←→黄色化←→クロロシスは、専門の研究者以外は区別しない事が多く、農家や家庭菜園向けに引用する際、書き換えられることもあるので注意を要する。
当サイトに引用した症状集でも不確かな部分が多数残っています(すまん^^;)。
- クロローシス(chlorosis)
- ・農学〜植物学では葉緑素の退色を意味し、「白化現象」と訳される。(「失緑」「萎黄病」と訳される場合もある)
栄養障害(N・Mg・Fe・Mn等の欠乏)によってクロロフィルが生成されず、緑色にならない状態で、「白化」という訳語に関わらず、カロチノイドが生成されて黄色に見える状態も含まれる。
・医学では鉄欠乏による貧血を指し、血の気の失せた顔色を欧米では「皮膚の色が緑色になる」と表現することに由来する(白人ではない日本では「顔が青い」と云う)。直訳では「緑色化」で、農学と意味が反対。
chlor- は、ギリシャ語でgreen の意味を持つ借用語。
-sisは、行為・状態を表す抽象名詞を作る
欠乏症や過剰症は単独で発生するとは限らず、過剰症は他の要素の欠乏症として発生する事が多い。
欠乏症で最も多いのは、生育最盛期や結実などの負担が増えて起こるもので、果実肥大期や葉菜類の収穫間際になって一斉に進行する。
次に多いのが施肥の影響で、多量要素の施肥の直後に拮抗関係にある要素が欠乏を起こすもので、これらの管理情報も診断に役立つ事が多い。
同じ要素の欠乏(過剰)であっても、育苗中や移植した時など急に環境が変わって短期間で発生した場合と、本圃でじわじわと進行した場合で様子が異なる事が多い。
また、経年変化で徐々に収量が落ちる場合も、決定的な黄変などの傷害が出るまで気付かずに見落としやすい。
作物体内の養分を分析をする場合、診断の時間帯や前後の気象は影響しない事が多いが、中耕・除草・潅水の影響は極めて大きい。
果樹の場合、除草やかん水の後は検出できないレベルにまで低下する事がある。
- チッ素は葉肥、リン酸は実肥 カリは根肥 または、
チッ素は葉肥、リン酸は根肥 カリは実肥
- どちらも正しいが、前者は主に野菜類で、後者は果樹類の場合。
ともに、軽い欠乏状態では生育の劣る部位が違うことから、診断の目安としてまとめられが、家庭菜園の入門書などに引用された際、「肥料の役割」として紹介され、意味が変ってしまったもの。
重い欠乏では全体の生育に支障をきたすし、充足量以上に与えても各々の部位の生育だけが進むわけではない。
- 苦土の欠乏はトラ葉が特徴
- 多量要素なのに施肥される事が少ないので、欠乏を起こしやすく当たる確率は高いが、別の要素でも似た症状を起こす事があるし、作物によってはトラ葉にならないものもある。
苦土の欠乏を疑った方が良いと云う程度の話に聞いておいて、決め付けるのは止めましょうね。
- 土つくりには堆肥が一番
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・堆肥とは本来、動植物の遺体を積み上げて発酵させたものなので、生物の体を構成するのに必要な物質が全て配合された実績があり、肥料として優れている事に異存はないが、微量要素の欠乏では、地域内で採れた材料で作った堆肥は同じ要素が欠乏している可能性が高く、欠乏症の改善に効果が無い事もある。
・有機物は肥料を保持する効果が高いので、欠乏している要素が不十分な場合は吸収保持されて作物が利用出来る分が減り、症状が悪化する事がある。
・有機物は分解される時に大量の酸素を消費するので、通気性の向上を狙ったのに、根腐れを起こしやすくする事がある。
・有機物を連用すると、一旦増えた収量が徐々に低下する現象が起こります。マンガン肥料の追肥などで回復するため、活性化された土中微生物によるマンガンの不溶化が原因と推測されている。
・有機肥料は決して万能ではありませんし、摩訶不思議な力があるわけでもありませんが、「肥料の勉強はしたくない」のであれば堆肥を含めた有機肥料のにすがるしかないのも事実です。
- 永久しおれ点(永久萎凋点)
- 土壌水分表す指標で、pF4.2(15気圧) を永久しおれ点と呼ぶが、もはや水をやっても萎れが回復しない状態と誤解されていることがある。
作物の萎れは、蒸散量が吸水量を上回った現象なので、蒸散量の増える日中に強く現れ、夜間に最低となる。
日中にだけ萎れが見られ始める水分量が「初期しおれ点」で、作物の生育に障害となるので、農業上重要な監視ポイントとなる。
夜になっても萎れが回復しない水分状態の境目が「永久しおれ点」で、ここでの「永久」とは日夜の交代を指し、放置すれば必ず枯死するが、枯死の前に潅水すれば回復する。
- 水分供給能
- 根の張った範囲の作土中に保持されている水分は僅かで、いくら有機物を補給しても地下からの供給が無ければ、すぐに使い尽くしてしまう。
耕耘作業は、必ず地下方向への力を加えた反作用で土を持ち上げる行為なので、どのような方法で行っても耕耘した位置より下の土を固め、耕盤が出来るのは避けられず、地下からの水分上昇を妨げる。
だから深耕して耕盤を破壊しなければならないという理屈は一見理に適っているように見えるが、より深い場所に耕盤が出来てしまうため、作物の根が貫通して破壊するのが難しくなる。
- 乾燥時の亀裂
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乾燥時に亀裂を生じるのは、有機物が不足しているためと誤解されている。
有機物は水分によって膨潤し保水力を高めるので、乾燥時には収縮して地面に亀裂ができるのに何の不思議も無い。
亀裂の生じるのを地下に空気の通りが良くなると喜んで、作物の根が切れてしまうことに気付かなかったり、亀裂を隠すために耕耘して隙間を埋めてしまえば、土がより締って堅くなるなど、水分を保持しやすく膨潤しやすい土壌が亀裂を起こしやすい事に気付かないと、誤った対策を摂る事になる。
- 膨潤
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水の分子は1つの酸素原子に対して2つの水素原子が偏って配位しているため、極性(電気的な偏り)を持っている。
極性によって水は、粘度や腐植の荷電した表面に電気的に吸着されて膨張する。
モンモリロナイト(←粘土の種類)など粘土層間の面積が大きいものでは、吸着するカチオンの和水と外液の浸透(濃度差による水の移動)によって吸着される水分子は7層にも及ぶ事がある。
Ca2+よりもNa+を吸着しているときの方が膨張が大きくなり、粘土や腐植が多く、モンモリロナイト型粘土の割合が多い土壌ほど膨張しやすい。
膨潤しやすい土壌は、雨季に透水性が失われ、乾季に亀裂を生じ易くなる。
- 除草
- 水分の損耗を防ぐためと称した除草が推奨されているが、夏季の高温時に除草すると地表温度が高くなり60℃に達する事もある。ドライヤーを当てて乾かすようなものなので、損耗量は増えてしまう。
イネ科植物を除き、植物の葉に覆われた地表の太陽光反射率は平時で95%以上、萎れた時には99%に及び、効率よく温度上昇を防ぐ防御物となっているので、旱魃時の除草は害になる事もある。
- 湿害
- 湿害は水分が多すぎて起きる訳ではない。これだと水耕栽培を否定する事になる。
湿害の本質は、酸欠状態の進行によって土中の微生物などの働きで還元され、可溶化されたFeやMnの過剰吸収が原因であったり、有害な硫化水素が生じるためで、微生物の活動に必要な有機物や、これらの元になるFe・Mn・Sなどが過剰に存在しなければ起こらない。
逆に、これらの成分が過剰にあれば、作物の生育に必要な最低限の水分でも湿害と同じ症状が起こる事がある。
一例を挙げると、水稲の育苗用培土を野菜に使った場合、鉄分の過剰症で生育が止まり、そのままであれば育たないだけにしか見えないが、チッ素を含んだ肥料を与えた直後に黄化して枯死する。
- ドンナン平衡
- ドイツの物理学者「ドンナン」によって理論化された「ドンナン膜平衡理論」のこと。
ドンナン氏の登場以前から、細胞膜付近とそこから少し離れた場所でのイオン分布に不均衡が起こる謎の現象が観察されており、熱物理学の法則を当てはめる事で説明できる事を指摘した。
[-]に荷電した根の表面によって[+]イオンは引き寄せられ、[-]イオンは遠ざけられるのが原因で起こる現象。
多くの入門書では生物の複雑さを強調するあまり、生命現象に方程式を持ち込む方法は嫌われ、「現在では注目されていない」と云う1〜2行の解説に留まる事が多い。
某肥料商の執筆した解説では、「塩化カリよりも硫酸カリの方が吸収力が優れる」という理論にされているが、これは「熊沢・他:植物の養分吸収(1976.東大出版会)」の中で1:1型に電離する塩化カリウムと、2:1型の塩化カルシウムを例に計算例を示したものから勝手に読み取ったらしい。
式ではモル数で扱うため、同じ1モルの硫酸カリウムには、塩化カリウムの2倍の質量のカリウムが含まれる事に気付かなかったためにおこった大発見なのか、引用書に登場する「塩化カルシウム」を「塩化カリウム」と間違えて読んだのかは不明。(→「カリウム」の項も参照)
- ソルビトール(D-グルシトール)
- 工業上はアスコルビン酸(≒ビタミンC)製造時の中間生産物で、グルコースに水素を添加して作られる。
化学構造は、CH2OH・(CHOH)4・CH2OH
6価のアルコールで、糖アルコールとしては最も広範に天然にも存在する。
マンニトールはソルビトールの構造異性体で、2番目のHO-C-H の向きが反対になっているだけ。
※糖アルコール:直鎖状の多価アルコールの総称。
ソルビトールでは、6個の炭素が直線状に繋がって、周囲に -CH2や -OH が配位している。
リンゴでは、葉・根・果実などの細胞間を移動する時にグルコース(ブドウ糖)から変換されて生じ、細胞が老化すると吸収が間に合わなくなって周囲に溜まって水浸状となるため、蜜入りと呼ばれる。果糖などに較べて甘味は感じないが、TVの影響で「甘いはずだ!」と主張する人が多い。
- 化成肥料
- 三要素(N・P・K)のうち、2つ以上の成分を含み、単なる混合ではなくて化学反応を起こさせたもの。・・・だそうですが、リン安や硝酸カリのような、2成分を含む物質を原料(の一部または全部)に使っていると云う意味です。
このため、副成分となる硫酸や塩酸が減って、単肥を混ぜたものよりコンパクトになります。
日本に多い酸性土壌では、これらの酸根(酸性の元)が悪影響を与える事も多いのですが、硫酸や塩酸を構成するに硫黄や塩素も重要な肥料要素なので不足して、単肥や配合肥料に替えると生育が良くなることもあります。