自信
 ワタシは、自分にめちゃくちゃ自信があった。今は、ない。
中学・高校と吹奏楽部で楽器を吹いていた。ワタシの楽器はアルト・サックスで、誰よりもきれいで響きがあり、厚みのある音を出せると自信があった。
呼吸は、五線紙の上に書かれた音の感情を表現する。指も動かして音階を追うけど、ワタシは呼吸が音を作るんだと思っていた。何でもいい、自信を持ってるヒトはスゴイ。

 これでもワタシは、講習会や他校の演奏会やコンクールなんかで、そういうヒト達が集まる場所では良く声を掛けられたものだ。
「どんな練習をしているの?」
「リードは何番のを使っているの?」
「どこの音楽大学に進学するつもりなの?」
真面目に答えたことはなかった。努力はヒトに見せないものだから。

 あの頃は、いつか楽器を持たなくなる日が来るとは思わなかった。
でも、その時は以外にあっさりと、来た。部を引退したから。進学した短大に、吹奏楽部はなかったから。
吹奏楽の世界から離れて、何年も経つ。
あの頃の、恐ろしいほどに過剰なまでの自信はない。

芸をなくしたら、タダのヒトである。

2000年11月25日

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