未練の釣行2002
  

 雪代も終わり、ドライフライフィッシングには最高の季節を迎えた6月上旬、プロショップ経営のK氏と釣りに行くことになった。

 場所は太平山を源とする小阿仁川上流だ。当日は先行者のいないことを祈って、早朝5時半出発!
 この川は、木材王国秋田特有の森林軌道跡が上流域まで続いているので意外と釣り人の入る川でもあるが、上流域であるにもかかわらず、川の規模が大きいので魚も良く育つ川でもある。

 さて、車を止めた場所から約30分歩いた場所より入渓したが、期待とは裏腹に当たりが全くないのである。フライを替えサイズも替え、ポイントを慎重に攻めるがチビさえ出ないのである…出てくるのは釣り人と獣の足跡だけである。しかしながら、大蓋沢との合流点が近づいてくる頃には、やっとボツボツ当たりが出てきたので「ホッ」としたものである。大場所からは尺前後が顔を覗かせてはロッドをグイグイ絞るなど先程までの光景など吹っ飛んでしまった。やがて大蓋沢との出合いにさしかかると、合流点特有のポイントが現れてきた。先に攻めたのは私であったがスレているのか、シビアでそしてフライの脇に出るのである。それを見ていたK氏は、すかさずCDCアダルトに結び替えてのプレゼンテーション。一発でヒットし今だにCDCの威力を見せつけるとともに、上流域にもかかわらず随分と贅沢なイワナだと思わせた。

 K氏は大蓋沢へ寄り道したが、間もなく「全然ダメだ」といって戻ってきて、本流を攻めている私と大旭又沢を目指した。そして小旭又沢との合流点を過ぎる頃から何となく渓相が変わってきたような気がする。しかも今回はイワナに悟られてはしまったが、大物の居場所も確認出来たし来年が楽しみだ?











 しかしながら小旭又沢合流点以降全く釣れないのである。なおも上流を目指したがどうしたことかパッタリと途絶えてしまった。時計を見たらもう午後5時をまわっていた。悔いを残しながらも引き返すことにした。

 その帰り道、再び大蓋沢との合流点でチャレンジした。ダウンストリームで流心脇をナチュラルドリフトに心がけフライを送り込んだ。そして10ヤードも出しただろうか、いきなり大物が食らいついてきた。尺2寸はあるイワナはハイジャンプを2回程見せたあと一気に下流へ突っ走ったのである。あまりに強烈な引きに思わず自分も下らざるを得なかったのだが、どんどん出ていくラインの先の荒瀬に不安を感じ、一気にドラッグをきつく締めてしまった。とその瞬間、「ふわーっ」と魔法が解けたように軽くなった。ティペットがノット部分から切れたのだ。 やり切れない気持ちにかられ、呆然とただ立ち尽くすだけだった‥‥一気に渓の音が耳に入ってきた。山間の、誰もいない夕暮れ時の光景である。そして、空しさを覚え現実に戻った。

 そういえば、相棒のK氏とは既にはぐれて別行動となっていたのだ。自分よりまだ上流にいるのか、もう帰ったのか検討もつかない。空を見上げては何となく心細くなってきた。暗くなる前には車までたどり着かなければ‥‥K氏の行方を心配しながら、クマ出没の不安の中車まで急いだ。
 私より先に戻っていたK氏は、私がまだ戻って居なかったことから再度上流目指して迎えに来たところで再開となった。

 一緒に車に着いた頃から、雨が降りはじめてきた。帰りの車中は土砂降りとなり、この時間まで待ってくれた山の天気に感謝した。  めでたし!めでたし!











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