初夏の大湯川と小坂川のヤマメショー

いびきの巣となったテントにて 芽吹いたばかりの季節と雪代が終わりを告げた頃、我々の気持ちも高鳴っていた。天気予報では晴れと言うことで問題無し。週末に向けて当クラブの連絡網が鳴り始めたのである。そして出発は木曜日の夜と決定。
さて当日は夜の9時、いつもの道具にシュラフとテントを積っ込みいざ出陣だ。でも行き先にキャンプ場なんて無く行き当たりバッタリのキャンプだ。しかも何処で夜を明かそうと誰も考えていない。ただ釣りをしたいことだけで頭がいっぱいなのである。
 走ること約2時間、大湯川が見えてきた。といっても真っ暗なのだが! そして大楽前沢との合流点より少し上流の左側にちょっとした空地を見つけそこにテントを張った。 
(キャンプ場および指定地以外は、ダメなのだが今回だけ?ということでお許しを)何しろ道路と5mと離れていないばかりか、夜の国道とくりゃあ長距離トラックのけたたましいスピードと轟音。トラックがテントめがけて突っ込んで来そうで、とてもゆっくり眠れたもんじゃない。合間に聞こえる大湯川のせせらぎ音に心安らぐも今度はメンバーの容赦ない、いびき。夜空は星が満天なのにテント内は騒音効果満点
 当然お目覚めは悪い。 朝靄の中、そっと川を覗いてみる。澄み切った水が清らかに流れているが明らかに渇水気味である。ここ暫く雨が降ってないのが気にかかる。テントを畳み早速キャスティング開始だ。案の定まともな流心からは全然出てこない。出るのは岸ぎりぎりで尚かつ日陰でないと反応がなく、やはり一雨欲しいところだ。やれやれ・・・ 大湯川にて
 腹も減ったのでここいらで一端引き上げドライブインへ向かった。そこで知ったのがさっきまで釣りをしていた区間が禁漁区間であったこと。 釣券を購入するともれなく付いてくる大湯川の詳細図。 釣り区間と禁漁区間が交互に入り乱れていて地図を片手に釣りとなり、初めて入渓する人は煩わしくさえ思える。それにもまして、この日は気温はどんどん上がるが釣果は上がらず、短気な我々は大湯川を後にした。
 気温が上がった日中は、大広間のあるドライブインで冷たいざるそばに昼寝付きがたまらない。 満腹になった我々を昨夜の寝不足が一気に押し寄せてきた。 3人で思わず大爆睡 z z z z z

 小1時間位寝ただろうか、おもむろに起きて今度は小坂川へと車を走らせた。 そして野口でハンドルを右に切り適当な場所より入渓する。
クレソンのかなり広範囲な群生域での釣りもいいのだが、如何せんここも水が不足気味だ。パッとしないながらも柳のトンネルまで遡行して来ると、なにやら怪しい落差30cm位の堰堤まで来た。蜘蛛の巣も壊れず張られたままなので、先行者は居ないとみた。3人でお互い誰が先陣を切るかけん制しあい、一瞬静けさが漂った。そしてメンバーの1人が1投目のプレゼンテーションを放ったのだった・・・ 
 閑かな溜まりの中に8寸ヤマメが飛んだ電光石火のごとく合わせたが、フライを口にしていないのが良く分かる。腕に自信のあるメンバーが、次は俺だとばかりプレゼンテーションするが1尾としてフライを口にしていないのだこれはただのライズではない。ショーだ! 水族館でみるイルカショーを思い出してしまうが、これは自然のヤマメショーなのだ。ヤマメは頭から尾ビレまで全身で飛んでいて、幼魚斑がハッキリと手に取るように観察できる。こんな光景は滅多に見ることはない。何しろ何回となく何の警戒心もなく全力で飛んでいる。それは我々が柳の木のトンネル内からキャスティングしているとはいえ、6〜7mの至近距離。 それにしても5分も続いただろうか? 気が付いたら我々も更に距離を詰めて行き過ぎ、とうとう現れなくなってしまっていた。 ライズとはひと味も二味も違うヤマメの乱舞!
 ショーが終わってから、ここのヤマメだけは釣れなくて良かったような気がする。と同時に、こういう光景を目にすると「絶対釣ってやる」という狩りの本性むき出しの気持ちの反対側をみたような気がして半分ホッとしている。あくまでゲームなのだから!
 
この後しばらくの間、渇水気味の渓をブラブラと世間話などしながら散歩状態。結果だけど、たまにはこういうのんびりとした釣りも良いのでは?




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