真夏の役内川

     以前までは、役内川というとどうしても遠くてなかなか行けないというイメージが付きまとったものだが、秋田から高速道路が湯沢まで延長してからは気軽に行けるようになった。そして、そこから延びる国道108号線の先には通称“鬼首峠”(オニコウベ)があり、難所の一つで冬季は閉鎖を余儀なくされていた。しかし近年バイパスが完成してからは、「あっ」という間に宮城県に行けるようになった。それまでは釣りをする人であれば誰もが鬼首峠から見下ろす渓を見ては、ロッドを振ってみたいと思うに違いない素晴らしい渓が展開していたのだ。

 ある真夏の早朝、つなぎの重量級ことA氏と役内川方面を目指す。天気はといえば、晴れたり曇ったり雨が降ったりで、不安定状態でそして暑い。国道108号線の桑沢から薄久内川へと入って行き、そろそろ入渓も近いと心を引き締めていた時、道路脇に釣りの格好をした20 代後半といった年頃の男が、なぜか一人体育座りでこちらをジーっと見つめているではないか!気になったので、車を止めて情報交換でもと思い「何たもんだったすか?」と尋ねると「釣りに入って間もなくのところで、熊を見かけたので、慌てて引き返してきた」という。何とも穏やかな話ではない。(あまり聞き慣れない言葉。これが静岡弁かー!)
 話を続けると6〜7人の仲間で静岡から来たというだが、仲間たちは1台の車でそれぞれのポイントに降ろして、大役内川へ行ったというのである。だから静岡ナンバーのS車に会ったら伝えてくれと云うことだった。会うか会わないかは別として、この辺の渓は諦め大役内川へと向かうことにした。

役内川添いの道路決壊現場

 なかなか沢へ降りられない。また走る!良いなあと思えば先行車が居る。仕方なく我々は奥へ奥へと追いやられていったのである。そして例の静岡ナンバーのS車発見!丁度釣り終えた所であり、仲間のことを伝え我々も少しは気が楽になった。後は釣りに専念だ。しかし着いたところは渓流というよりは源流といったところだ。
 ロー&ボーの世界だが、それでもたまには開けて何とかキャスティングができる。周りには新鮮な足跡がたくさんあるが、何とか1尾でも出したい気持ちで夢中でキャストをくり返す。ちび岩魚だけど、お互い1尾ずつ出たくらいで、切りの良いところで引き返すことにした。


 車で中流域まで戻ったところで、気になる脇道があったので立ち寄ってみることにした。何と堰堤の上に出たのだ・・・大物の気配がした。そしてそこから見える上流は、絶対出ると確信して釣り上がるも、全くの反応無し!ガッカリして堰堤に戻ってきた頃には、2〜3家族が遊びに来ていて、あの堰堤は子供たちのプールと化していたのである・・・
いったい俺たちは何処を釣っているんだー?笑って帰るしかなかった。今日もただの遠足になりそうだ。
 近くのドライブインで腹ごしらえだ。勿論、稲庭うどん大盛り2人前ー!
相変わらず天気は、目まぐるしく変化している。晴れたかと思えば雨が降ってきたりで、なかなかドライブインを離れられないでいるが、食後のコーヒーを飲み干し、小雨の中を出発! マダゴ沢か、赤倉沢か、う〜ん、迷うがやっぱり本流の役内川へ入ることにして川沿いに道路を下り始めた。しばらく走ると、な・な・なんと道路の半分が削り取られていて危ない状態なのである。結局この辺から入渓する事にした。


 さっきまでの雨も止んで、今度はカンカン照りの蒸し暑い天気。汗を拭き拭きしながら丹念にポイントを攻めるが出ない。時折、一瞬だが見には来るのだがフッキングまではほど遠い。次第に意欲も減衰してきた頃、何やら前方に怪しい物体が動いていたのである。
近づいていくと、何と高校生らしい2人が海水パンツ一丁でヤス持ってはしゃいでいるではあーりませんか・・・(*_*) 話を聞いたら、我々が入渓した場所から入ってある上流まで行き、また戻ってきたというのである。ヤス持った人間が川ん中に顔突っ込んで福笑いしたら、魚も3日は食欲落ちるデー。(釣れねー)
 諦めきれず、高校生が引き返したという上流に入ったとたん、岩魚がでた。出たには出たが時すでに遅しで、今度は体力と気力が出ない。遊びに来てくれた岩魚にはいつも以上に感謝してのお別れで、納竿とした。フ〜!

 今日もただ終わらなかった釣行であった。  以上




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