大海原の小さな家




・人物紹介

・ブルー  ・・・ 5歳の女の子。 日記をつけるのが趣味。 主人公。
・ミズ ・・・ ブルーの妹。 4歳。
お父さん ・・・ ブルーのお父さん。 ダッチオーブン料理が得意。
・お母さん ・・・ ブルーのお母さん。 3児のママ。
・ジジ ・・・ ブルーのおじいちゃん。 家造りの提唱者。
・コウ ・・・ ブルーの弟。生まれたばかりで0歳。
・マ○ダさん ・・・ 北さん、池さんらと、『サツキとメイの家』をつくった大工さん。棟梁。
・北さん ・・・ 大工さん。
・風さん ・・・ 大工さん(風?)。
・サノ ・・・ イケメン
・大河 ・・・ 番犬



・プロローグ

 肌白き人々は、大いなる夢と希望を抱きて、大西洋を渡り、新大陸に上陸した。先住民を追い、大草原を西へ西へ・・・・。最初に入植した開拓者達はプレーリーという大草原に小さな家をつくり、ダッチーオーブンを焚き火にかけ、輝く未来を信じていた・・・時は1700年代のアメリカ入植時代。・・・・







  ・・・・から300年たった、平成17年の日本。

☆ブルーの日記☆

・8月30日

 楽しかった夏休みももうすぐ終わり。今年も一杯遊んで楽しかったなあ。今年の夏休みは色々あったなあ・・・。コウが生まれたばかりでお母さんは大変そうだったし、ミズの遊びあいてはしなくちゃならないし、お父さんの面倒もたくさん見てあげたし・・・・・。でも、一番難しかったのは、ジジに新しい家造りの相談を受けたことかな。ジジが作りたい家、まだまだ考え中みたいだけど、素敵な家になるといいなあ。ジジ、サノサンに相談するって言っていたから、多分大丈夫だね。いつか映画で見た、『大草原の小さな家』みたいな家が出来るといいな。

*今年もたくさん川に行きました。特に、大工さん一同を川に連れて行った「接待カヌー」。あの、接待カヌーのおかげで、「大海原の小さな家」が現実となったのです。来年もたくさんの接待をせにゃいかん。(お父さん)

*左の写真は、我が息子・大地が施主さんを接待している写真です。(サノ)



・8月31日

 お父さんが大工さんとサノサンを連れて家にやってきた。なんか、家造りの相談のするって言ってたのに、三人ともビールを飲んでばかりでそれらしい話をする気配もない。だめだこりゃ。やっぱり、私とジジでしっかり計画をしなきゃ、って思った。でも、大工のマ○ダさんって、いま愛知県で開かれているあの『愛・地球博』にある、『サツキとメイの家』を作った棟梁さんなんだって!びっくり!!!!!私、トトロの大ファンだから、今度、マ○ダさんがトトロにあったらちゃんとサインをお願いしとかないと!あ、そうだ!ネコバスに乗ることがあれば、記念に整理券持ってきてもらおうっと!家造りは放っておいてもいいから、それはきちんとやってね、マ○ダさん!


・9月5日

 サノサンが図面を届けてくれた。全部で平面プランが8枚あったけども、全てボツ。理由は、ジジがどうしても3部屋必要だって言うから。でも、サノサン頭抱えて悩んでいたよ。だって、私、ジジに言ったんだよ。10坪の大きさでは3部屋作るのは無理だよって。お父さんは、家の三分の一はカヌー小屋にするってもっと変なことを言っているし・・・・。ジジ、もっと家の大きさを広くしてね。


 *愛犬大河。後ろに見えるカヌー小屋が飽和状態になってきているので、ちょっと増築をしたいなあ・・・・・。(お父さん)




・9月7日

 早速サノサンが新しい図面を持ってきてくれた。今度は全部で6枚。だけど、またまた全部ボツ。理由は、ジジが家が大きすぎるって言うから。でもね、ジジ、和室1部屋、洋間2部屋、ミニキッチンに洗面所、トイレに玄関が必要って言ってたよね。それで18坪だから、決して大きすぎることはないよ〜。でも、仕方ないかな。あそこに根を張っている二股の松は、アメリカ開拓時代の頃からの松(300年もの)だってジジが言ってたもん。もし、あの松にあまりに近いところに家を建ててしまって、松が枯れてしまったら、本当に最悪の家造りになってしまうもんね。でもサノサン、いつも打ち合わせ打ち合わせって口癖のように言っているけど、家の話をするのって10分くらいで、後はずっとお酒を飲みながら遊びの話ばかりしているような気がする・・・・・・。


 *遊んでいるばかりじゃないのですよ、ブルーさん。ボクは、遊んでばかりいるように見えるけども、きちんと仕事もしているのです。左の写真は、築80年程度の郵便局を解体する際、その解体現場に出向いて戴いてきた古材の丸太なのです。これは、見事に生き返るのです。(マ○ダ)



・9月10日

 なんとか平面プランがまとまったみたい・・・。私が見ても、結構使いやすいいい感じになっているよ。ちゃんと私の勉強部屋も作ってあるし・・・・。ジジが色んな制約をつけたから、ちょっと設計の自由度が低いよ〜、なんてサノサン言っていたけど、どうせ設計は下手糞なんだから、自由度が低いくらいがちょうどいいんじゃない。でも、家を建てるときって、たくさん注意することがあって、大変。朝日にお尻を向けちゃだめとか、玄関の西にトイレがあったら駄目とか、近くのご老人方もアドバイスをたくさん下さるので、立場上もジジも話を聞かねばならず、苦労しているなあ。



・9月13日

 今日、幼稚園から家に帰ってきたらびっくり!昨日まであった畑が、そしてカーポートが、突然なくなっているんだもん。サノサンが整地をするって言っていたら、もう早速こんなに更地になっちゃった。バックフォーという重機が庭を縦横無尽に走り回り、あっという間に何もなくなっちゃった。少し寂しい気もするけども、これも新しい何かを生み出すための通る道!私は泣かないわ!



・9月14日

 大工のマ○ダさんがまたまたやってきた。このおじちゃんも、「仕事の話をしなければ・・・・」って言いながら、いつもお酒飲んでばかり。お父さんといい、ジジといい、みんなお酒ばかり飲んでいるから、家造りの打ち合わせはちゃんと進むのかなあ・・・。でも、お父さんに聞いてびっくり!マ○ダさん、夜はいつも酔っ払っているけども、昼、私の見えない、知らない遠い山奥で、きちんと家造りの仕事をしているんだって。夏に一緒にカヌーをした、[晴吉]さんの作業場を借りて、一抱えもある丸太を切り落として、柱や梁を角材にし、それに落書きみたいなものをして、印をしていく仕事をいつもは遅くまでがんばっているみたい。これまた遠い静岡県から北さんという大工さんも応援に来てくれていて、心強い限りだね。

 ・・・・・・でも、おじちゃんとお父さん、10月になったら何処何処の川に行くって話しかしていなかったけど、大丈夫かなあ・・・。

 *柱や梁といった構造材に墨付けをし、刻んでいく。それぞれのパーツを頭の中で3次元化し、角材を柱や梁として位置づけていく。俺がいるからこの「大海原の小さな家」は完成するのさ。(きた)




9月18日

 畑だったところは整地され、砕石を敷き詰められていく・・・・。あんなにおじいちゃんが・・・、じゃなくて、近所のおばあちゃんが愛情を注いでいた畑もこれから新しい私の家になっていくのね・・・。幼稚園では、避難訓練というのがあって、地震が起きたときは、安全な場所に避難しなさいって、先生が言っていた。サノサン、「きっと近い将来大きな地震が来るから、頑丈に作るね」って。地震が起きたときに、安全に逃げ込めるくらい丈夫な家にするためには、まずは基礎が大切。お勉強もそう。面倒くさいけども、宿題の計算ドリル、日記を書き終わったらやろうっと。
 
 

 *ブルーが生きている間には、必ずやってくる、東海大震災。それに備えて、基礎はとてもがっちり作ってあるから、安心しなさい。スラブ厚み150ミリ以上、基礎立ち上がり部幅150ミリ。頑丈です。(サノ)


 *時代はホールダウン金物一辺倒。これまで、地震大国日本ではぐくまれてきた、耐震性能の高い伝統的な木組みは、建築基準法では認められにくくなってきている。ホールダウンは、その箇所だけに負荷がかかりすぎて、柱がせん断する恐れがあるというのに・・・。

 現在主流の、金物と構造用合板を多用した「やたらめったらビス打ち工法」にはない、本物の木の強さを生かした家を作りますよ(マ○ダ)。



 9月25日

 他のお友達の話では、家を新しく作るときは、「地鎮祭」っていうのをやるんだって。ブルーの家はなぜやらないのかなあ?お友達の家には、神主さんがきて、へんな緑の葉っぱみたいなのを振り回していたのに・・・・。でも、今日、ジジがなんか、数珠を持ってゴニョゴニョ言っていたなあ。あれが、地鎮祭なのかな、きっと。お酒を地面にまいているのを見て、サノサンがぼやいていたなあ、

「地面にまくくらいなら、ワタクシが飲んだほうがいい家が出来そうなのに・・・・。」って。

ぼやかないぼやかない。きっといいこともあるよ、サノサン。

 基礎が出来た後は、平均台の遊び場みたい!ミズと一緒に、日が暮れるまでずっと遊んじゃった。

 *基礎の連続性を確保し、また、通気量を増やすために、今回は基礎パッキン工法を採用。今の主流ですが、最近の家を見ていると、サイズの細い土台や、土台として不向きな木材を使っている家まで基礎パッキン工法を使っているような・・・。今回は、ヒノキ4寸。力強いです(サノ)。



10月13日

 明日は「建前」の予定日。でも、天気予報はすごい悪い・・・。前から気がついていたけど、お父さんって、すごいアメオトコなんだもん。こんな大きなイベントのときって、必ず雨。そういえば、10月1日のミズの運動会のときも、天気予報は晴れだったのに、お父さんが運動会場に着いた瞬間、土砂降りになったもんね。夕方、サノサンから電話があって、明日の建前は中止としますって。仕方ないよね、降水確率100%だもん。お父さんのせいだね・・・・。




10月14日

 降水確率100%なのに、雨は降っていない・・・・。なんで?サノサンも、家に来てぼやいていた。

 「せっかくだから、雨降ってくれないかなあ・・・。諦めがつかないなあ・・・。」だってさ。気持ちわかるよ、サノサン。だって、サノサンの後ろには、仕事を休んだジジ・お父さん・お母さん等々が、じーーーと、サノサンの背中を見ているんだもん。なんか、居心地が良くないだろうねえ・・・。






10月17日

 建前を延期して、今日が予定日。満を持して、大工さん7人、サノサンたち3人、クレーンが朝からやってきた!さあ、きょうはやるぞーーー!
私も出来ることは何でもお手伝いしたい!
 
  なんだか、空に雲が多いのがとても気になるけども、みな、棟梁のマ○ダさん、そして施主のジジの挨拶の後、きびきびと動き、柱を立て始める。棟梁のマ○ダさんはじめ、建前の応援に来てくれた晴吉のみなさん、そして風さんらは、金物を極力使わない、民家型伝統工法で家造りをしてくれんだ。だから、プレカットって言う、現在の主流の機械で行う刻みではなく、血の通った、人間の手による継ぎ手や仕口の数々。おもわず、見惚れちゃうね。
 

 *土台にある溝の刻みに合わせて、柱を立てていく。国産の杉・ヒノキの柱の数々・・・きちんと納めるのが、大工の腕ってモンさ(マ○ダ)。
 *杉板を柱に刻まれた溝に落とし込んでいく「板倉造り」。耐力壁としての期待は大きい。そこいらの合板釘うちつけ壁なんかよりも、よほど強度は高い・・・。国土交通省のおりこうさんたちに教えてやりたいですな(マ○ダ)
 *板倉造り以外の壁は、大貫工法。厚み30mmの大貫に筋交いまで取り付ける。この「大海原の家」は全ての壁に耐力が期待できる(北)。


 ・・・・・・棟上が始まるまえ、時間的には昼過ぎからぽつぽつと雨が降り始めた・・・・・。サノサンや風さんは、真剣に

「なぜ雨が降るか?」

を真剣に考えていた。二人が出した結論は、こうだった・・・。


「アメオトコは、本人は意識していないけども、何か自分にとって、気合の入ることがあると、脳天から大量の蒸気を噴出すのじゃないか?」

まったく、そんなことを考えるよりも、ちゃんと棟上まではがんばってね。特にサノサン!ブルーはずーと見ているけども、サノサンはほとんどお仕事していない!なぜか、ずーっとダッチオーブンで料理をし続けているんだもの。そりゃ、私だって、ダッチオーブン料理は楽しみだよ。でも、今日はきちんと仕事してね!



*棟木はわしが納める!施主自らがかけやをふる。家に対する愛情は、作る段階からどんどん深まっていく(お父さん)。

*スイッチが入ってしまったので、この時間から雨脚が強くなってしまい、今日の建前はここまで。駄目ですよ、マ○ダさん、アメオトコさんのスイッチを入れるようなことをお願いしたら・・・・。(風)
*仕事?いいかい、ブルーよ、よくお聞き。ワタクシの仕事は、家を建てている大工さんたちに、少しでも気持ちよく働いてもらうこと。どうだい、こうやって横でおいしそうな匂いを醸し出していると、皆、がんばれるだろ?!(サノ)



 雨が強くなってきて、2時30分過ぎには今日の作業はここまでという棟梁の指示があったみたい。皆さん、お父さんを責めないで!お父さん、頑張って、ダッチオーブン料理を一生懸命作っているんだから・・・。お父さん、今日、みんなのためにこんなにメニューを作ったのよ。

・マグロ兜焼き
・トンポーロー
・スモークサーモン&チーズ
・チリコンカーン
・ローストチキン
・オイルホンデュ


 こんなにたくさん・・・・・・。さらに、サノサンの従業員の大きい人が、ビールサーバーまで持ってきて、建前の後は完全に宴会になっていたんだ・・・。みんな喜んでもらえて、本当に嬉しいけども、明日の建前の続きは大丈夫かな???



*ダッチオーブン12インチディープ。アメリカ開拓時代から愛されているこの鍋には、ニワトリが丸丸一匹はいっているんだぜ。水を使わず、肉と野菜から出る旨味汁だけで、濃厚なソースが出来る。一度食べたら、病み付きになってしまうのです。(サノ)
* 12インチのダッチオーブンを二枚重ねて作ったのが、本邦初公開、マグロの兜焼き!ダッチオーブンをあけると、マグロがこっちをにらんでいる!グロテスク!目の周りのゼラチンが旨いのです(お父さん)。




10月18日

 今日も、建前の続き。ところが、みなの顔が曇りがち・・・・・・。それは何故かというと、みんな、空を見上げているから・・・。

 今にも、空から雨粒が降りてきそう・・・。ぎりぎり、降らずにいる。そんな感じの秋の空。マ○ダさんが他の大工サン達に声を掛けて、いざ、作業開始。昨日の二日酔いの疲れも見せず、着々と家は組み上げられていく。午前中の作業が終了し、昼食休憩をしていたそのとき!お父さんが帰ってきた!








・・・・・・・・・と、同時に雨が降り始めた・・・・・・・。

 風さんがぼそりと言う。

 「スイッチが入ったかな?」

 マ○ダさんもまた、ぼそりと。

 「やっぱりな!」

 そして、雨の中、この日も建前は続いたのでした。



 *施主さんには文句は言えないけども・・・・・ちょっと雨降らせすぎじゃないですか!?(大工一同)

 *雨に降られ慣れているだけあって、タープを張る手際のよさにびっくり!(マ○ダ)


 マ○ダさん、この日も思ったより進まなかったよ〜って、嘆きながらお父さんの方を見つめていた。ごめんね、棟梁。でも、お父さんを責めないで。お父さんも、みんなと一緒に家造りを楽しみたいのよ。

 この日は、雨の中、大工さんみんなに頑張ってもらって、なんとか屋根垂木までは全部出来ました。秋の雨は冷たいもの・・・。風邪ひかないでね、大工さんたち・・。・・・・・ま、棟梁のマ○ダさんやサノサン、お父さんなんて、カヌーであれだけずぶ濡れになっても、風邪ひかないくらいだから、大丈夫だと思うけど・・・。

 *この屋根垂木は45ミリ×105ミリ。二重屋根にして、断熱材を入れるんだ。下から見ると、きれいな化粧天井になるんだよ。また、軒先には通気口を設け、屋根内の湿った空気や暑くなった空気を入れ替えるように出来ているんだ。自然の力をうまく取り入れ、また制御するようにボクは家造りを心掛けているんだよ(マ○ダ)



10月21日

 今日も幼稚園から帰ってくると、マ○ダさんと北さんがトントン金づちの音を響かせていた。リズムよく叩かれる木の音が耳に優しい気がするね。やっぱり、ブルーは木が好きだから、木の家に住みたい!でも、わたし、本当に変だと思うの。だって、ブルーの通学路にも何件も新しい家を作っているけど、他の家は、ぜんぜん木を使ってないもん。なんだか、積み木かブロックみたいに、上からどんどん積み上げていく家だったり、細い鉄の柱に一体化されたパネルをどんどん貼り付けるだけだったり、コンパネっていう板材をべたべた貼り付けているだけだったり・・・。あの、コンパネって板は、木なのかなあ・・・。サノサンが言っていたけど、柱に見えるのも、板や木のチップっていう、木を砕いたものをボンドで固めている集成材ってものなんだって。ボンドの匂いって、ブルーは大嫌いだけど、臭くないのかなあ・・。



 その点、わたしんちはすごい。壁の中の中まで本物の杉!マ○ダさんが言っていたけども、日本の杉だって。工事中の家の中の匂いがすごいいい。毎日毎日出来上がっていく家を見るのはとても楽しいよ!


・・・・・・結構毎晩、サノサンとかマ○ダさんとか、ジジに付き合わされて一杯飲んでるみたい。8時ごろまで一生懸命仕事して疲れているのに、ジジときたら、もう!今度ちゃんとジジにきつく言っておかなきゃ!

* 毎日毎日頑張ってくれている大工さんに、ちょっとご飯をご馳走してやりたくなるではないか!大工さんもまんざらではなくて、毎日嬉しそうにご飯食べて、ビール飲んでいるよ・・・。ま、一週間に一回くらいは泊まっていくけどね・・(じじ)。


* おかげさんで、新しい彼女でも出来たんじゃないかって、彼女に疑われて、大変です・・・・(マ○ダ)。


* おかげさんで、毎日晩御飯ダブルヘッターで、体重が増えました・・・(サノ)。





10月29日


 家の周りには防水透湿紙っていうのがまかれ、屋根には瓦が葺かれた。ぐっと家らしくなってきたね。ずっと頑張ってくれていた北さんが、他の現場があるということで、ひとまず今日でブルーのうちから去っていったの・・・。ありがとう、北さん。

 入れ替わって、風さんがきてくれることになったの。でもね、風さんって変なのよ。今日も、家の中で作業をしながら悩んでいたの。ブルーが、どうしたのって聞いたら、風さんこう言ったの。

 「オレは、なぜ、働いているのか、わからなくて、考え込んでいたんだ・・・・。」

 ブルーは、大人になったら働くのが普通って思っているから、そんな悩み、変だと思ったから、風さんにこう言ってあげたんだよ。

 「そんなこともわからないなんて、あほや!」

 かなりしょげている風さんを見て、ちょっと言いすぎたかなって、反省したけどね・・。



 *がーーーん。ブルーにそんなことを言われるなんて・・・。ブルー、君も大人になるとわかると思うよ・・・。毎日働き続けることが、毎日前進し続けることがどんなに大変か。ふと、足を止めて、後ろを見たくなるときもあるんですよ・・。それを、「あほ」だなんて・・。ぐすん(風)。


 *日本の伝統の美・瓦。最近の瓦は、釘うち工法だし、屋根土も乗せないから、地震にも台風にも強い。断熱効果も期待できる。屋根には、日当たりを少しでもよくするために、天窓を設けたんだよ(サノ)。


11月4日

 
 家の中もマ○ダさんや風さんのおかげでどんどん出来てきた。コンクリートの基礎の上に、鋼鉄製の束が立ち、床の骨組みである大引きを支える。ブルーも、サノサンに色々聞いて、勉強しているんだ。大引きの上には、ネダっていう材が300ミリ間隔できれいに並べられている。この上に、厚さ30ミリの杉板を貼るんだよって、マ○ダさんが教えてくれた。

 ふと、そのネダの下を見ると、なんと、お父さんが寝ている!

 マ○ダさんや風さんが一生懸命仕事をしているのに、なんてザマなの!娘のブルーは、顔から火が出るほど恥ずかしい・・・。どうせ昼寝をするのなら、おうちの中で、布団で寝ればいいのに・・・。いくら馬○だからといっても、もう11月なんだから、風邪ひいちゃうよ。

 風さんは、床に綿みたいなモノをいれていた。なにかなあって、聞いたら、断熱材っていうんだって。なんか、サノサンはグラスウールっていう断熱材は全ての建材の中で一番嫌いって、言っていたっけ。なんだか、ちくちくして、ハシカイって・・・・。でも、風さんなんて、服の中に入れたり、おなかの中に入れたりしていたよ。ブルーの家は、この綿みたいなので、断熱するんだって。あったかい家になるよね、マ○ダさん。



* 寝ているんじゃありません。ガスの配管をしていたんです!これも、大事な仕事なのですよ!(お父さん)。

* この断熱材は、パーフェクトバリアっていうんだよ。ペットボトルから作られている地球に優しい製品なんだよ。水や湿気に強いし、保温力も大きい。人体にも害はない。現場で、パーフェクトバリアに包まって泊まったこともあるくらいだよ(風)。 



11月15日

 色々な職人さんたちが来てくれた一日だった。職人さんって、みんなカッコイイ!動きもきびきびしているし、思わず見惚れてしまいそう・・・。電気屋さんが電気の配線をしてくれて、板金屋さんが玄関の庇や窓の小庇の板金工事をしてくれた。大工さんは風さんとマ○ダさんが頑張っているし、サノサンも今日は配管の工事をしたみたい。頑張っている皆さんに、ブルーもお茶の給仕くらいはしなきゃ。みんなに、お茶を入れてあげて、休憩のときに一人づつ、ご苦労様でしたって、声を掛けてあげるの。ブルーは全然欲しくないんだけど、職人さんたちが、休憩のときに出してもらえるお菓子をブルーに渡してくるから、本当にいらないのに、食べなきゃいけない・・・。妹のミズも一緒になって食べたりしている・・・。本当にイヤなのに、職人さんたちが食べろ食べろって言うから、仕方ないの・・・。

 サノサンが、お昼から一生懸命塗料を塗っていた。マ○ダさんが、塗料のことをいろいろと教えてくれたよ。完全自然塗料で、木に染み込んで光に当たって変色させるんだって。なんか、ぴかぴかの杉板の輝きが、この塗料のおかげで随分古びた感じになったような・・・。サノサン、塗り方を間違えてないのかなあ・・・。なんだか、塗っている塗料もネギみたいな匂いがするし・・・・。


 日が短くなってきて、5時にはもう真っ暗・・・。でも、今日も電気をたくさんぶら下げてマ○ダさんは頑張っている。毎日、遅くまで作業ご苦労様。そのあと、ジジに付き合うのも、大変だね。





11月25日

 外壁が貼り終わった・・・・。外壁を張る前に、窓とか、玄関とかを先につけて、柱と柱の間には、なんか、厚い板みたいなのをはめ込んでいた。風さんは「断熱材だよ」っと教えてくれたんだ。その上に、透湿防水紙をはって、その上から外壁材を打ち付けていくんだ。その外壁材を見て、ブルーはびっくり!だって、真っ黒い変な板が、どーーんと運ばれてきたんだもん!運んできたお兄さん自身、「これはなんですか?」って、頭をひねっていたくらいだもん。サノサンが、「焼き杉だよ」って教えてくれた。触ると、手が真っ黒になっちゃう、本当に焼いてある杉板なんだ・・・。焼き杉が張られて、どんどん黒くなっていくブルーのお家・・・・。全部貼り終わった今日、なんか、真っ黒な物体が目前に現れたって感じだよ・・・。

 サノサンが言っていた。

 「なんか、みたいな雰囲気になったなあ・・・。」

 ・・・・・でもね、ブルーは思うの。


 砦というよりは、火攻めにあって、落城した砦みたいだなあって!

 お父さんは、すごい気に入ったみたいで、眺めては、「いいなあ」と吐息をつき、また眺めては「かっこいいなあ」と絶賛していた。ブルーは、どっちかというと、シンデレラ城みたいな華やかなお城がいいのに・・・。でも、サノサンも、ジジもマ○ダさんも風さんも、みんなかっこいいって言うから、オジサンたちにはこういうのがいいんだろうなあ、きっと。


* ブルーさん、この塗装はね、「エージング」っと言って、新しいものを時代がかって見せる技術なんだよ。愛知万博の「サツキとメイの家」でも使ったんだ。このエージング塗装と、焼き杉の外壁のおかげで、平成17年の建築物に見えないだろ?(マ○ダ)

* ・・・・ちょっとエージングしすぎて、昭和初期から大正くらいの建築物に見えてしまうのですが・・・・。(サノ)
 *サッシも黒、フード類も黒。統一されたデザインがとても美しいと思うんですが・・・(サノ)。  *断熱材・内装下地材とも、フォレストボードという過ぎのチップをコーンスターチで固めた天然素材のインシュレーションボードを使っているのです。それを隙間なくきちっと入れるのが大工の腕。ブルーの家は暖かくて、涼しい素敵な家ですよ(マ○ダ)。



11月30日

 どんどん内装が出来てきて、毎日毎日がとても楽しいの、ブルーは。厚さ30ミリの杉板はとても足に優しくて、暖かい。冬なのに、足の先が冷たくならないのがとても不思議・。今日は、マ○ダさんとサノサンが外で壁に貼る杉板を塗装していたの。何十枚もある板を、どんどん塗っていって、乾かすために干していくの。マ○ダさんが、「完全自然素材の塗料だよ」って、教えてくれたんだよ。白い壁のお部屋って、明るくて素敵な感じ♪ブルーの宿題もはかどるわ、きっと。

 お父さんが、100年古材を亜麻仁油で着色したの。存在感が随分増して、心強いわ。

 壁の中の断熱材のおかげで、家の中は暖かくて、静か。・・・・・と思ったら、大工の風さんのジョークがうるさいくらい止まらない・・・。しかも、内容は寒いし・・・。

 玄関では左官屋さんが仕上げをしてくれている。寒い中、大変。セメントに砂利を混ぜて、仕上がった頃に水で洗い流す、「洗い出し」って言う技法を使うんだって。友達の家の玄関って、タイルが多いけど、この「大磯ビリ」の「洗い出し」も、時代を感じさせる、懐かしい感じの仕上がりだね。

 



12月5日

 大工さんの工事が大詰めになってきた。ほとんど形は出来ていて、後は、細かい細部の仕上げをするだけだって。でも、ここに来て、屋根裏収納が追加注文になって、今日も大工のテルさんが、屋根裏で体を丸くして仕事を続けていたんだ。あーーんな高いところに、こんなにたくさんの収納スペースがあるなんて!しかも、マ○ダさんの工夫で、壁だか収納の扉だか、全然わからない!扉が開いてないと、絶対見つけるの無理。っていうか、ブルーは覚えているけど、ジジは絶対に収納スペースがあることを忘れると思う。お父さんも怪しいな、きっと。

 入り口の扉の上は、ガラスになっているんだ。これだと、明るいし、部屋が広く見えて気持ちいい。ガラスには、キセイのおっちゃんが飛散防止のフィルムを貼っていたよ。

 サノサンが、トイレの床に大きな石を貼っていた。すごい豪華なトイレが出来てしまって、ブルーなんてもったいなくて用を足せなくなっちゃった。仕方がないから、これからトイレは外でしようと。

 もう、いよいよ完成が近づいてきたと思うと、ブルーはうれしい・・・。でも、完成しちゃうと、毎日来てくれていたオジちゃんたちとオニイチャン(注:サノサンのこと)がこなくなると思うと、ちょっと、寂しいかな・・・。

 *さて、どこが収納かわかるかな?(マ○ダ)  *入り口の上は皆、ガラスなのです。
あと、建具に貼ってあるのは、土佐の和紙。
塩ビのクロスと比べ、随分柔らかい感じがします。
 (サノ)



12月11日

 大工さんたちが来なくなり、代わりに、サノサンたちや左官屋さん、クロス屋のキセイのおっちゃん、電気屋さん達が入れ替わり立ち替わり、毎日やってくるの。どの職人さんも、まずは外観に驚き、内観に感心し、そして、自分に言われた仕事内容のシビアさに驚いているの。キセイのおっちゃんは、クロスの替わりに土佐和紙を貼るように言われ、四苦八苦していた。でも、貼りあがったときの、塩ビのクロスにない、柔らかいたたずまいに、自分で見惚れていたくらい・・・。

 左官屋さんは、和室の壁を「じゅらく」という砂で塗り塗り・・・。

 一番大変なのは、電気屋さん。サノサンと、電気の配線を隠す工夫にずっと頭を痛めていたよ。だって、ブルーの家は全然天井と壁がないから、線を隠せないんだって。それなのに、照明器具は一杯あるし、スイッチは多いし、大変大変。 電気屋さん、大変だけど、ブルーはテレビの線だけは絶対忘れてほしくないな!

 サノサンたちが、水の配管や、排水の配管をしてくれて、お父さんが給湯器をつけてくれ、そしてそして、和室には床暖房が敷かれ、いよいよ、完成は間近だ!



 *洋間天井。梁は塗りました。打ち込み栓は打ちました。他にも、細かいお手伝いをたくさんさせていただきました。愛情をたっぷり注ぎこんだ、ワタクシの洋間です!(お父さん)

 *本当は、ジジの部屋です(ジジ)。

 *もうちょっとしたら、私達の部屋です(ブルー・ミズ)。

 *将来は、ボクの部屋でちゅ(コウ)。

 *ダウンレバークラブの部室にしようかと思っています(サノ)。


12月18日

 引渡しの今日は大雪だった。ああ、アメ○オトコ・・・・。

 引渡しの今日、畳を敷く人、掃除をする人、電気をつなぐ人、配管をする人、検査をする人、調整をする人、みんな忙しそう・・・。今日中に引き渡しできるのかなあ・・・。なんて思っていた夕方、マ○ダさんとサノサンが相談をしていた。

 耳をそば立てて聞くと・・・・

マ○ダさん「サノサン、ちょっと床の塗装が終わりそうにないですね。」

サノサン「あそこに、暇そうな人が二人たっているので、あの二人にお願いしましょうか?」

マ○ダさん「ありゃ、暇そうですね。任せましょう。」


 ・・・・・結局、ジジとお父さんが二人で塗装をすることになった・・・。

 
 そして、無事引渡しも終わり、皆、満足そうな顔をして、引き上げていった。

 大工のマ○ダさん、北さん、風さん、晴吉の皆さん、基礎屋さん、瓦屋さん、足場屋さん、電気屋さん、左官屋さん、板金屋さん、建具屋さん、クロス屋のキセイのおっちゃん、畳屋さん本当にありがとう。素敵な家が出来て、ブルーは満足よ!


 *床の仕上げの塗装はワタクシ達がやりました!
(ジジ・お父さん)

*玄関からホールをみる

*和室全容



12月22日

 今日は打ち上げ。お世話になった皆さんにブルーが手料理を振舞う日。お酒もたくさん飲んでいって。本当にありがとうございました。



 ・・・・・珍しい人が、酔って眠りに落ちました。和室の床暖房の上が気持ちよさそうね、サノサン。今度は、サノサンの家を楽しみにしています♪

 

 *人に自慢できる素敵な家になりました。
 *人間に優しい住まいを突き詰めて考えたら、こんな感じになりました。この空間に身をおくだけで、本当に気持ちいいと思えます。